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2016/09/27

民法の成年年齢の引下げの施行方法に関すパブリックコメントその2

以下を法務省に出しました

成人年齢引き下げに強く反対

18歳選挙権は国民投票法成立のため与野党間の取引、民主党の公約を丸呑みしたものである。成人年齢は国民の7割が引下げに反対であり、若者が求めているわけでもない

 日本大学法学部民事法・商事法研究会「『民法の成年年齢引下げについての中間報告書」に対する意見」『日本法学』75巻22009年の見解に賛同する。明治9年の太政官布告で満20歳に定められ、私法においては、満20歳の成年制度で長い間安定しており、これを引き下げることは混乱を生じるだけだ。安定している法制度をぶち壊すことに強い疑問をもつ。

 米国はコモンローの成年は21歳であるが、ベトナム戦争の際、学生運動が盛んになり、18歳以上21歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当だとの主張がなされ、1971年に選挙権を18歳に引下げた。ドイツも兵役義務が18歳のため1970年に18歳に選挙権が引下げられた。あくまで激しい学生運動を懐柔させる政策だったのである。

 米国では45州が18歳、コロラド、ミネソタ、ミシシッピが21歳、アラバマ、ネブラスカが19歳である。私はコロラド、ミネソタ州のように選挙年齢と成人年齢が違っていてもいいと思う。国民の7割が反対しても成人年齢も引下げというのは納得できない

 

元服儀礼に関する誤解

 

 とはいえ我が国では、元服年齢は若かったのではという人もいるが、元服は今日の成人式とは意味が違う。元服は父の功績にもとづき政治的社会的地位の父子継承表明の場であった。

服藤早苗『家成立史の研究』 校倉書房1991278頁以下の「元服と家の成立過程」によればが参考になった。我が国の元服儀礼は、天皇とその周辺から政治的社会的地位の確立過程で出現し、それが日本的特色であったこと。位階は王権との距離をあらわし本来律令では臣君に仕えて忠をつくし功を積んでから授与されるものであった。野村忠夫『律令官人制の研究』によれば、この位階授与原理は8世紀には確実に遵守され、勅授すら21歳にほぼ蔭位どおりに授与され、祥瑞出現の特例でも20歳だった。(実態としては日本は古い時代から20歳ころが成人と認識されていたといえる)

 つまり、元服と叙位は別であった。ところが平安時代になるとこの原則が破られる。とくに転換期となったのが関白基経の嫡男時平と、その弟の仲平・忠平の元服叙爵である。時平は仁和二年(886)正月二日仁寿殿において「天皇手ずから冠をとって」元服儀礼が行われると同時に正五位下に叙位がなされた。宸筆の位記には「名父の子、功臣の嫡」と叙位理由が記載され、こののち元服儀礼は父の功績、政治的社会的地位の父子継承表明の性格が濃厚なものとなるのである。

民法の成年年齢の引下げの施行方法に関すパブリックコメント

以下を法務省に出しました

民法731条改正(男18歳女16歳の婚姻年齢を男女とも18歳とする)に強く反対

百歩譲ってもドイツのように一方が18歳以上なら16歳で結婚できる法制が望ましい

 

 

1)米英独仏といった主要国では女子16歳は法定婚姻年齢であり、女子18歳引き上げが世界的趨勢というのは真っ赤な嘘である。

 

 イギリスが男女とも16歳が法定婚姻適齢である(正確にはイングランドが16~17歳は親の同意要、スコットランドは親の同意も不要)。ドイツは成年である18歳を基準とするが、未成年者においても配偶者が成年であるという条件で16歳以上で婚姻の可能性を開いている。つまり男女を問わず結婚相手18歳以上なら16歳の婚姻を可としている。16-16はダメだが、18-16なら良いというものです。フランスは男18歳、女15歳(例外規定もある)であるが、それが差別だとは論じられていないとする。

 アメリカ合衆国は、50州及びDistrict of Columbia and Puerto Ricoの法定婚姻適齢についてコーネル大学ロースクールLIIMarriage lawsのサイトを見てくださいhttp://topics.law.cornell.edu/wex/table_marriage。各州の婚姻適齢の一覧表があります。マサチューセッツではコモンローの婚姻適齢男14歳、女12歳が今でも生きている。

 1970年以前は18-16のケースが多かったのですが、アメリカでは古くから統一州法全国委員会が主体となって統一州法というものが幾つかあり、婚姻法についても一定の方向性を打ち出している。これは拘束力はないが、男女とも16歳を婚姻適齢とし、18歳は親の同意を得ないで結婚できる年齢とするもので、16歳未満についても裁判所の許可で婚姻が可能なモデルで、各州で70年代以降部分的に採用されてます。その場合でも、統一州法のモデルどおり男女とも16歳を法定婚姻適齢の基準としている州が圧倒的に多い。私が数えたところでは50州のうち41州は16歳女子は文句なしに婚姻適齢とされています。17歳、18歳を基準とする州でも例外規定があるケースが多い。さらに16歳未満でも例外規定で裁判所の許可により結婚可能としている州が結構多く、男女差をなくす場合でも、16歳、17歳の結婚の可能性を否定することにはなっていないんです。

 法制審議会は、男女とも婚姻年齢を18歳以上とするのが世界的趨勢とか言ってますが、嘘ですね。悪質にも国会と国民をだましているんですよ。ソ連やスウェーデンがそうかもしれませんが、米・英・独・仏といった主要国では16歳女子は結婚できることになっています。

 

2)野田愛子氏の見解を無視すべきでない。

 

「統計的に、16、17歳で婚姻する者は、〔年間〕約3000件あるそうです。私の家庭裁判所判事当時の経験に照らすと、16、7歳の虞犯の女子がよい相手と巡り会って、結婚させると落ち着く、という例も数多く経験しています。あながち、男女平等論では片付づかない問題のように思われます。」改正は望ましくないとする野田愛子氏のような家庭裁判所の実務家の見解(戸籍時報419号)を無視していることが疑問です。家庭環境に問題があり「非行」に走る少女も結婚すると落ち着くということです。結婚が解決策になるのです。人間学的に言えば、喜びと苦労を分かち合うことで喜びは倍になり、苦しみは軽減され、人生の困難を乗り越えていくことができるのです。従って必ずしも恵まれていない環境にある若い女性から法定婚姻資格を剥奪するのは過酷であると私は考えます。なるほど、16歳、17歳女子が結婚するカップルは、年間3000組程度ですが、全体数からみて少ないから切り捨てよというのは乱暴な議論であり、人情にも欠くものです。結婚し家庭を築くことは幸福追求にかかわる基本的な価値でありますから、安易に伝統的に容認されていた婚姻適齢での婚姻資格を剥奪することは、個人の幸福追求権より形式な平等追求を重んじるもので賛成できません。

 

 ミルトンは16歳の美少女と、エマソンは17歳の美少女と結婚している。女性が一番美しいのは1617歳であり、明治時代の別嬪番付も18歳未満が多い。この世代の婚姻資格をはく奪すべきでない。ローマ法や古典カノン法14-12、コモンローも同じ。現在の教会法も1614であり、大唐永徽令1513で日本の律令も同じ。持統女帝が結婚したのも13歳であるように、人類史的にみれば東洋が数え年のため、女性は成熟する12歳が法定婚姻年齢でありそのような大局的見地でも反対である。三船美佳のように16歳で結婚したい女性の権利のはく奪に強い不快感をもつ。

2016/09/25

地方公営企業職員の争議行為及び争議付随行為に対してどのような責任追及ができるか(下書)その17

(5)三六協定締結、更新の拒否と争議行為の成否

 

A.三六協定締結拒否闘争の悪質性

 

(A)三六協定の反市民法的特質

 

 労働基準法の三六協定のような強行法規は世界的に類例のないものである。民法の契約の相対効という基本原則に反する点で。契約自由の原則に反するもの、このような制度があること自体、労働基準法が反市民法的、社会主義的法制といわなければならない。(なお、合衆国の公正労働基準法(FLSA)は1938年6月ニューディールの最後の立法であり、立法趣旨はあくまでも失業対策である。40時間以上に割増賃金を課しているが、三六協定のような労働協約を強要する制度はない。割増賃金を払わないことだけを違法とするものである。全国労使関係法は、NLRBが監督する組合代表選挙により過半数の支持を得た組合に排他的な団対交渉権を保障しているが、労働協約の締結を強要しない。もしそれをすると憲法違反の疑いがあるからである。先進的なオーストラリアやニュージーランドの新自由主義な労働立法では時間外労働の賃率は個別交渉で契約自由とし、労働組合の関与を否定するものである)

 この制度は、労働組合による団体交渉を促進する政策的意図のもとに労働協約の締結による集団的取引による労働関係を基本とする1960年代まで一般的なモデルとした時代の遺物であるのに、共産党、その他の勢力に押され、厚労省が今日になって厳格適用を強調する政策を展開していることも私は批判的な考えである。

現実には過半数組合のない企業は多くあるのであって、英米では労働組合ではなく、労働条件は個別交渉による労働契約であるケースが主流になり今日の趨勢からして、あるいは私的自治、契約自由、古典的自由主義、新自由主義的な立場からすれば、労働時間規制とともに悪法の一つだといわなければならない。

                   *

労働基準法は、原則として一週間について40時間、一日について8時間を超えて労働させてはならないとし、これを法定労働時間というが、法定労働時間をこえる時間外労働は、「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合」(331項)、労基法81ないし15号列挙の「その他官公署」の公務員について「公務のために臨時の必要がある場合」。(333項)のほか、事業主が、事業場ごとに、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合がない場合は従業員の過半数代表者と書面による協定を所轄労働基準監督署長に届け出た場合(36条)に、法定労働時間を超えて適法に労働させる効果を発生させるというものである。

地方公務員は原則論としては三六協定を締結しなければならないとされる(地公法583項、地公企法391項)が、非現業の地方公務員は労基法333項によれ時間外勤務を命じられるため、三六協定が締結されるのは非現業の地方公務員だけである。

実際問題、パートタイムを別として、フルタイムで長期雇用を前提とする従業員は時間外労働が平常時においても、余裕のある企業でも少なくとも繁忙期において期待されている職場がほとんどと考えられ、8時間労働で完結する業種などほとんど考えにくく、繁忙期はむろんのこと時間外労働が不可欠であることはいうまでもない。しかも今日では顧客第一主義が浸透し、顧客に対する肌理の細かい迅速な対応が求められ、従業員に権限委譲が進み、高業績と成果が求められることもあり、定時で帰れるほど仕事は甘くないことからしても、三六協定の締結は当然のことといえる。今日でこそ、行政の指導によりノー残業デーなどが流行っているが、昔は定時出勤、定時退庁を組織的におこなえば、それは遵法闘争ないし怠業の一種として白い眼でみられていたものであることを忘れてはならない。

なお三六協定が締結されている場合、労働者は定めるところに従い、時間外労働義務があるということは、日立武蔵工場事件最一小平31128(三六協定が締結されている状況の残業拒否等を理由とする懲戒解雇を是認)で確定した判例となっている。

 

(B)業務指揮権を奪い取る職制麻痺闘争としての三六協定締結拒否闘

 

三六協定締結という強行法規が反市民法的と私が断言するのは、使用者の業務指揮権を無効にする目的で事実上の争議行為として利用されたことである。国労や全逓などが「遵法闘争」の一つの手段として三六協定の締結、更新を拒否し、超勤拒否闘争と云う戦術は昭和2030年代から繰り返され大きな混乱をもたらした。

むろん民間企業でも時間外労働拒否闘争はなされるが、三六協定締結拒否をスケジュール闘争に組込むことにより職場での組織強化に巧みに利用したのが官公労であったといえる。

 郵政省人事局『新しい管理者』昭和415月第六章によると「特に全逓の場合は春、夏、秋、冬、スケジュール闘争を行い、三六協定もこれを戦術に利用し、一年の相当部分の期間を超勤拒否している状態である。これは日本だけに見られる現象であり、全逓がいまだに闘争至上主義から脱脚しきれないでいる」(「新しい管理者(昭和415月・郵政省人事局編) 『労働法律旬報』646号 1967)と組合運動のありかたを批判しているのである

 スケジュール闘争については、昭和40年のドライヤー報告でも批判されており、それを受けてのことであろうが、一年の相当部分を超勤拒否というのも世界的にみても異常なことだろう。

 実は、国鉄の職場が荒れたのも元をたどれば三六協定の現場締結が原因であると国鉄OBの升田嘉夫氏が断言している(升田2011)。

1980年代国鉄における職場規律の乱れが国会でも追及されるようになり、国民・世論の厳しい批判を受けたことは周知のとおりである。

 昭和56年10月・11月に開かれた第95回国会の衆議院及び参議院の行財政改革における特別委員会においては、国鉄におけるヤミ慣行、ヤミ協定、ヤミ休暇、ポカ休等の問題がとり上げられ、職場規律の乱れが指摘され。また昭和57年3月頃から一部の新聞、月刊誌等において鉄労の内部告発をもとに、国鉄労使悪慣行の実態「ヤミ手当」「カラ超勤」「ブラ日勤」「突発休」「時間内洗身入浴」「時間内の食事の仕度」「助役の下位職代務」「現場協議における管理職のつるし上げ」等の職場規律の乱れについて厳しい批判が展開されたのである。報道は、国鉄の現場管理者の弱腰・軟弱とそれを制度的に保障する現場協議制を諸悪の根源とみなしていた。

 現場協議制は近年ではJR北海道の一連の事故や不祥事でも報道で指摘されていたことであるが、問題の現場協議制は三六協定の現場締結から始まった慣行であった。

 三六協定は期間を定めて締結されるが、これを逆手にとって、春闘や合理化闘争のときは三六協定を締結しないというやり方により、長時間勤務や休日出勤の負担を現場管理職(駅長・区長・助役)におしつける闘争手段をとった。組合の意向で下位職務を助役などが代務せざるをえなくする悪しき慣行がつくられたのである。

 三六協定の締結単位は労使間の合意があれば管理局単位でも駅・区などの現場単位でも有効だったので、国労は現場の組合組織を強くし「職場団交権」「現場協議制」を確立する手段として、例えば東京地本は昭和419月から管理局本局・駅・車掌区等の現場ごとに締結する方式をとったのである。

 国労の酒井企画部長が「この三六協定の現場締結は‥‥形式的に押印するにしても、これによって分会長の地位を現場長に認めさせることとなり、‥‥‥明らかに職場団交を確立する突破口を開いたのである」 (国労編『国鉄労働組合の現場交渉権』)と述べているように、国労は三六協定の現場締結による分会の地位上昇を梃子として昭和41年「現場における団体交渉権制度確立」を申入れた。

 当局は国鉄の現業機関は輸送業務を専一に行う場であり、現場長には業務の遂行と労務指揮の権限のみを与えており、労働問題処理に適していないとして反対の立場だったが、昭和42年12月19日の公労委仲裁委員会の勧告を受入れ現場協議機関を設けられることなった。  

 国鉄OBの升田嘉夫氏は現場協議制こそ「国鉄関係の労使を陰湿な内線状態に陥れ、職場規律を根底から掘り崩す要因になった」(升田2011 131頁)と述べている。現場協議制は抵抗闘争、非協力闘争という名の職制麻痺闘争の場を提供し、管理職の負担を増大させ業務遂行の障害となった。元をたどれば三六協定の現場締結により分会長の力が強まったことからはじまったことなのである。

 

 B 岩渕正紀調査官解説について

 

 岩渕調査官はこれについては大きく分けて3つの見解があると説明している。

 

A説(吾妻昭俊「遵法闘争の法理」『季刊労働法』15

 

 争議行為とは使用者の業務の正常な運営を阻害する、右の「業務の運営」とは法令に従った業務の運営に限られるものではなく、現に行われている通常の業務をいうものと解されるから、三六協定を締結するか否かは本来労働者側の自由に属すること事柄ではあっても、超勤自体が通常の業務に含まれている場合には、右協定の締結、更新を拒否することは業務の正常な運営を阻害するものであり争議行為にあたる。

 

B説(内閣法制局意見昭32・9・9法制局一発22号(前田正道編『法制意見百選』766頁)

 

 もっぱら他の争議行為目的のための争議手段として三六協定の締結、更新を拒否するときは争議行為にあたり、そうではなく、超勤に関する労働条件そのものを改めることを目的として協定の締結、更新を拒否する場合には争議行為に当たらない。

 

C説(松岡三郎『條解労働基準法上』443頁、西村信雄ほか『労働基準法論』187頁、野村平爾『労働関係調整法(法律学全集)』106頁)

 

 法外超勤は三六協定が締結されてはじめて可能であるから、協定の成立前に右超勤を前提とする正常な業務の運営というものは存在しえない。従前三六協定が結ばれていたからといって、直ちにその終了後、それを更新する義務が労働者側に課せられているとはいえないから、右期限経過後は新たに労使双方の意見の合致により協定の締結されることが法外超勤の前提になる。したがって、労働者側が新協定の締結を拒否したからといって業務の正常な運営を阻害したことにはならない。

 

 岩渕正紀調査官解説は、「本判決は、一般論としては右三説のうちどの立場をとるのか明らかにせず、本件の事案のもとにおいて、参加人組合が三六協定の締結、更新を拒否した超過勤務拒否闘争は争議行為にあたると判断したものであるが、三六協定の締結更新を前提とした残業が恒常化している職場において、労働者が、三六協定の締結、更新を拒否することを、他の要求を貫徹するめの手段として用いたと認められる場合に、争議行為の成立を認めたものであるから、基本的には、B説かそれに近い立場を前提としている‥‥」と述べる。

三六協定の締結、更新を拒否することと争議行為の成否について最高裁としては初の判断である。

 最高裁調査官解説はあくまでも調査官個人の見解であるが、判例の解釈としては標準的なものとして受け取られていることからみて、岩渕調査官がB説に近いと論評していることの意味は大きい。

あらためて、昭和32・9・9法制意見の要所は次のとおりであるが非常にまわりくどい文章である。

‥‥労働関係の当事者間に時間外労働又は休日労働以外の事項につき労働関係の不一致が存在する場合において、使用者の側から協定更新の申入があるのを利用し、当該申入にかかる時間外又は休日の労働ないしその労働ないしその条件が、労働者の福祉にとって受け入れられるかどうかの判断をはなれ、もっぱら、右に述べたような当事者の主張に不一致の存する労働関係に関してその保持する主張を貫徹するのに有利であるかどうかの判断に基づき、ただその目的を達成するがためにのみ、当該組合が協定の更新を拒否することがありうるとすれば、そのような当該協定の更新の拒否することがありうるとすれば、そのような当該協定の更新の拒否は、もともと法がその本旨に適合するものとしてその生起することを予定しているものとはいいがたい。この場合において当該協定の更新の拒否が労働関係調整法第七条にいわゆる『業務の正常な運営を阻害する』ところの行為にあたるかどうかにかかるわけである。むろん労働組合が当該協定の更新を拒否すること自体は、業務の運営を左右することそれ自体ではなく、協定の更新が拒否され、使用者が労働者をして適法に時間外又は休日の労働をさせることができないこととなる結果、はじめて、業務の運営が左右されることになるには違いない。しかし、協定の更新の拒否が必然的に業務の影響を及ぼすことは確かなことであり‥‥‥

「ところで、『業務の正常な運営』とは、業務の運営であって、経験則に照らし、経常・普通の状態にあると客観的に認められるものをいうと解されるが、特定の事業場において時間該又は休日の行われていることが常態であり、また、そういうことが行われることによってのみ当該事業場における業務の運営が経常・普通の状態にあると客観的に判断しうるような事情の存するときは、労働組合が当該協定の有効期間の満了により、時間外又は休日の労働が行われなくなった場合は、当該事業場における『業務の正常な運営』が阻害されることになるといいうるであろうと考えられる。してみれば、このような事情のもとに労働組合が当該協定の更新を拒否する行為は、争議行為にあたるといいうることになろう。」

 

 本件は控訴審判決が「バスの平常の運行ダイヤは、参加人も加わったダイヤ編成審議会の審議を経て定められたものであり、一日九勤務が超勤ダイヤとして編成されていて超勤が恒常化され、超勤の拒否があれば平常のダイヤ運行に支障を来たす状況にあつたところ、参加人の前記三六協定の締結ないし更新拒否による超勤拒否闘争は、超勤の恒常化(正当性)を認めながら、控訴人の財政再建計画に関する参加人の要求を貫徹するための手段としていたものであり、かつ、控訴人の交通業務の正常な運営を阻害するためにしたものであつて、地公労法一一条一項の禁止する争議行為に該当するものといわざるをえない。」としているように、バスの平常ダイヤの運用が超過勤務を前提としたものであったことと超勤拒否闘争の目的が財政再建計画の阻止の一点に絞られていた事例なので、B説が争議行為と認定する事案の典型のようなものであったから、わかりやすい事例といえる。

問題は、バスの平常ダイヤの運行というほど、毎日の経常業務ではないが、例えば水道局の配水管の付替え、敷設等の工事やその監督業務など、夜間に作業が随時行われる場合など、毎日の経常業務ではなくても、頻繁に時間外労働が行われるケースでの超勤拒否闘争、事務系でも時間外、休日出勤せざるをえない業務が、毎日でなくてもそれなりに平常業務に組込まれている場合の判断、闘争目的の一部に時間労働の縮減等の要求などが含まれるが、主たる闘争目的が別の紛争にある場合について、争議行為とされるかは、この判例では決着がついていないといえる。

 しかしながら、本判決から超勤しなければバスの平常ダイヤが運行できなくなるような特殊なケースに限って争議行為と認定した事例と狭く解釈しなければならない理由はない。少なくとも、B説(法制意見)は「業務の正常な運営」とは必ずしも厳格な法律的意味において「適法な業務の運営」と解すべきでなく、労使関係における慣行的事実も考慮において、慣行的に期待される「通常の業務運営」をさすという石井照久『新版労働法』367頁の考え方をとっていることから、B説に近い考え方を示す本判決はよりプロレイバー学説といえるC説を退けており、「三六協定の成立前に右超勤を前提とする正常な業務の運営というものは存在しえない」といったような超勤拒否闘争が全面的に合法であるという説はなりたないことは明白なのである。

 

C 先例としての都水道局事件高裁判決の評価

 

 

 岩渕調査官は「上告理由において引用する東京高判昭43426労民集19-2-623は、地方公営企業において三六協定なしに時間外勤務をする慣行が行われており、公務のために臨時の就労があったとしても、その時間外勤務命令を拒否する行為が地公労法一一条一項に当たるものと解することはできないとした事例であるが、この件は当該事業場では三六協定は締結されておらず、また時間該勤務手当等の要求に関する労使間の交渉がまとまっていなかったため、職員が時間該勤務命令に従った事案であって、本件とは事案を異にするもの」としているが、これは都水道局事件東京高判昭43・4・26判タ222で、昭和37年4月の水源渇水による第二次制限給水作業に関する事案である。

もっと正確にいうと、水道局と東水労本部と昭和36年8月に「三六協定」とされるものは締結されており、超勤時間の最高限度と有効期間を定め、さらに具体的な協定は支所、部局単位で締結することになっていたが、北一支所長と北一支部長は三六協定について合意が得られず協定を届け出ていなかったのであり、その都度組合支部と時間外労働の条件を交渉して時間外勤務を行う慣行であった。なお東水労はこのような作業に、昼夜交替勤務制の職員や、臨時の雇い上げに反対していた事情もある。組合員は、昭和37年4月16日から勤務時間外の午後10時と午前5時の二回制水弁を操作する作業の要請を受けこれを行った。北一支部は北一支部長に対し、組合員に14時間15分相当の超勤手当と翌日の完全休養を要求し、支所長は420日まで認めたが、4月21日以降の作業は支部要求を認めなかったので、時間外労働を拒否し、その理由として三六協定が締結されていないということを言い出した事案で、局は組合の就労阻止行動が地公労法11条1項に違反するとして、12条によりXら4名(中央委員・青年婦人部長、支部書記長、中央委員・支部長、支部執行委員・組織部長)を解雇したものである。一審東京地判昭401227労民166121は、水道局が主張した「業務の正常な運営」とは日常的慣行的に行われている現実の業務形態であるという主張を否定し、慣行化、状態化を正常な運営視できないとし、労働法規侵犯としたうえで、法の趣旨は事業場毎の協定であるとし、12条解雇を無効とした。控訴審も棄却し解雇を無効としたが、東水労本部との協約は労基法36条が要求している協定の内容ではなく、各支部を拘束しないとして、三六協定は成立していないとしている。(渡辺章1974参照)

 

 都水道局事件控訴審判決は組合側勝訴となっているが、昭和30年代の支所単位では三六協定を締結せずに、その都度組合と交渉するというやり方で屡々超勤拒否が正当化されるというやり方では、ライフラインを預かる公営企業であるのに屡々組合要求で屡々業務が左右されてしまうことを意味し、好ましいあり方とは思えず、市民法感覚でいえば争議行為そのものといえるのに争議行為でないとした同判例につき疑問がある。

北九州市交通局事件は組合が恒常化を認めている事案で、そうでない都水道局事件と事案を異にするので明示的な判例変更をするものではないが、北九州市交通局事件最高裁判決はB説の法制意見に近い立場をとり当時水道局側が主張して石井照久説に近いことからみても、いずれにせよ、三六協定締結拒否を争議行為と判断したことから、類似の事案は、クロといわないでも少なくともグレイゾーンの問題となるのであり、シロと言い切った都水道局事件高裁判決の先例的意義は弱まったとみてよいと思う。

 

 

 

(参考文献)

 

 

岩渕正紀

北九州市交通局事件調査官解説『最高裁判所判例解説民事篇昭和63年』

1989 評批『ジュリスト』939 

  臼井滋夫

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1977b 「五・四名古屋中郵事件大法廷判決について-公企体職員の違法争議行

為と刑事罰」『警察学論集』30巻7号

1977c 「公務員等の争議行為をめぐる刑事判例の動向--名古屋中郵事件判決

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 岡野行雄

1974「公安労働事件裁判例をめぐる可罰的違法性論」『警察学論集』27(9)

 片岡曻

1960「懲戒権の根拠と限界」『菊池勇夫教授六十年祝賀記念 労働法と経済法の理論』有斐閣所収

1969「公務員の争議行為と不利益処分」『季刊労働法』73

 金谷暁

 刑事判例研究〔146〕地方公務員法六一条四号にいう「あおり」「あおりの企て」の意義〔盛岡地裁昭五七・六・一一判決、判時一〇六〇-四二〕『警察学論集』

 川口実

1959「違法争議行為と懲戒」『季刊労働法32号』

 菅野和夫

1971「違法争議行為における団体責任と個人責任()ー損害賠償責任の帰属の問題として」『法学協会雑誌』882

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1989「地方公務員労働組合による三六協定締結拒否と争議行為」『労働法律旬報』1216

 

 香城敏麿

名古屋中郵事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和52年』

名古屋中郵事件(第二次)調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和53年』

国鉄松山駅事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和53年』

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 坂本武志 

札幌市労連事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和45年』

横浜中郵事件第一次判決調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和45年』

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1970「札幌市労連最高裁決定とピケット権の展開」『労働法律旬報』756 [

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神戸税関事件調査官解説 『最高裁判所判例解説民事篇昭和52年』 

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 四国財務局事件『最高裁判所判例解説民事篇昭和52年』

 柴田孝夫

仙台鉄道管理局事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和48年』

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 中野次雄

東京中郵事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇昭和41年』

 永井敏雄

日教組スト事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇平成元年』

岩教組スト事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇平成元年』

埼教組スト事件調査官解説『最高裁判所判例解説刑事篇平成二年』

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1989「刑事判例研究213地方公務員法「あおり」罪の成立を認め「あおりの企て」罪の成立を否定した事例〔東京高判昭六三・五・一〇判時一二七八・五八地方公務員法違反被告事件、控訴棄却、弁上告〕『警察学論集』423

 室井力

 1978 神戸税関事件評釈『ジュリスト』666号45頁

 矢崎秀一

全逓東北地本役員懲戒免職事件調査官解説 『最高裁判所判例解説 民事篇 昭和五三年度』

 山本博

1971「公務員の争議行為責任の法理」『法律時報』4312

 横井芳弘

1976「労働事件にみる村上コートの思想と論理」『労働法律旬報』908

  渡部尚

「刑事判例研究179地方公務員法六一条四号にいう「あおり」「あおりの企て」の意義〔浦和地裁昭和六〇・六・二七、判時一一六二・二〇。地方公務員法違反被告事件、有罪・控訴〕『警察学論集』

 渡辺章

1974「三六協定の締結拒否-東京都水道局事件」『労働判例百選』3版

その他

注解法律学全集5 国家公務員法・地方公務員法 園部逸夫監修、栗田・柳編 青林書院1997

 

2016/09/22

地方公営企業職員の争議行為及び争議付随行為に対してどのような責任追及ができるか(下書)その16

11.北九州市交通局事件最一小判昭63・12・8民集42-10-738判時1314、中労委ウェブサイトデータベース

 本件は懲戒処分を不当労働行為として取消した地労委の救済命令を使用者側が不服とし救済命令取消訴訟であるが、一審救済命令支持、二審救済命令取消し、上告審棄却。
 最高裁が初めて地公労法11条1項を合憲と判示したうえ、北九州市交通局労組合意のもとに三六協定の締結更新を前提とした超過勤務が平常勤務として組み入れられていたところ、超過勤務自体に関する格別の要求を有していた事情は認められないのに、財政再建計画阻止という要求を貫徹するための手段として、三六協定の締結、更新を拒否し、組合員に時間外勤務を拒否させて、超勤拒否闘争を実施したが、これは地公労法11条1項の禁止する争議行為に当たるとした。
 
(1) 争議行為の概略

 本件は大略して次のような事件である。
 北九州市の交通事業は独占地域である若松区を除いて、西鉄バスと競合関係にあり、旧五市時代から承継した事業も含め赤字が累積し昭和40年に1億6000万円に達したため、運賃改訂、給与改定、人員削減、高齢者退職完全実施、ワンマンカーへの移行等による財政再建計画案を作成し、北九州市交通局労組と協議を重ねだが意見の一致をみず、自治省の指示に従った最終案を昭和42年6月15日市議会に上程し(7月3日本会議可決)、6月21日~23日、6月27日から7月1日まで及び7月3日三六協定締結、更新拒否による超過勤務拒否闘争、ディーラー整備員入構拒否、完全点検闘争、休暇闘争が行われた。一審判決では超勤拒否、安全点検、あるいは年休要求と、いろいろ名目は違っても自らの事業所における業務阻害を目的とした争議行為ないしはそれに付随した争議手段であったとしている。
 闘争によるバスの欠行率は、6/21 8.04%、6/22 8.55%、6/23 4.19% 、6/27 8.48%、6/28 8.60%、6/29 3.90%、6/30 6.62%、7/1 6.40%、7/2 1.47%、7.3 36.79%であった。
 北九州市交通局長は、以上の参加人及び訴外X1ほか一二名の行為 が、同市交通事業の業務の正常な運営を阻害する行為であって、地公労法という第一一条一項に違反し、北九州市交通局就業規程第九〇条一一号、地方公務員法第二九条第一項第一、第三号に該当するので、前記の如き争議の計画、指導及び実行を行った執行委員長もしくはその他の役員である前記訴外X1ほか一二名に対し、昭和四二年八月二日付をもって懲戒処分を行った。
 停職6か月3人(X1、X2、X3バス運転手、うち1人執行委員長、)。停職3か月4人(X4、X5、X6、X7、X8バス運転手3人と事務1人、うち書記長1人、副執行委員長1人)、停職1か月4人(X9、X10、X11、X12バス運転手2、車掌1、整備士1、うち中央委員1人)。  
 
*註 北九州市交通局就業規程
第90条 職員が次の各号の一に該当するときは、免職の処分をする。
(11)同盟罷業、怠業、その他局の正常な運営を阻害する行為をしたとき、もしくはこのような行為を共謀し、そそのかしまたはあおったとき。

争議行為の詳細は次のとおり(一審判決で引用される使用者側の説明)

  参加人は、昭和四二年六月一一日頃から本庁舎及び整備工場にある整備課事務所に合理化反対等のビラを多数貼付し、更に同月一五日、戦術委員会で同月二一日ないし二三日の超過勤務拒否闘争、同月二七日ないし同年七月一日の超過勤務拒否闘争及び完全点検闘争、同月三日のストライキを決定し、当局の警告を無視してこれを実施した。その具体的事実関係は、以下述べるとおりである。
? 昭和四二年六月二一日から同月二三日までの間の状況
? 参加人は六月二一日から同月二三日までの三日間、第一波実力行使超過勤務拒否闘争と称し労働基準法第三六条の規定にもとづく協定(以下「三六協定」 という。)の締結を拒否し、北九州市立養護学校スクールバスおよび福岡行き 定期便を除く全ての部門で超過勤務を拒否し争議行為を行った。
  北九州市交通局においては運行ダイヤの編成にあたっては事業管理者への諮問機関として労使双方の委員によって構成されるダイヤ審議委員会の審議を経て定められていたが、本件紛争当時の公示ダイヤは参加人側の同意のもとに一日約九勤務の超過勤務ダイヤを組み入れており、超過勤務拒否が行われれば正常なダイヤ運行に支障をきたすことは労働組合も充分承知のうえでこれを争議行動の手段として行ったものである。
? 六月二一日前述のとおり参加人が超過勤務を拒否したので整備関係の勤務時間外の整備作業が困難となり、当局としては何とかして業務の正常な運営を維持しようとして、いすず自動車、ニッサン自動車、ふそう自動車の各ディーラーに整備業務を依頼した。またこのことを参加人に申し入れたところX6書記長は「ディーラー整備員の入構は認めない。あえて入構を強行するなら実力を もって阻止せざるをえない。」と答え各営業所においてディーラーの派遣した整備員の入構について次のとおり妨害した。
イ 二島営業所関係 
  同日午後三時三〇分頃当局の要請に応じてふそう自動車のディーラー整備員二名が来たが、構門付近にてX3、X9両執行委員外組合員六~七名が整 備員の車の前面にピケを張り横に長椅子を二脚並べ整備員の入構を阻止した。
これに対しY2整備課長が両執行委員らに整備員の入構を妨害しないよう再 三にわたり申入れたが聞き入れず結局整備員を入構させることができなかった。 
また同日午後四時頃日産自動車のディーラー整備員が来たが構内付近でX7、X9両執行委員が直接整備員に「入構されては困る」などと云って入構を阻止した。
ロ 折尾営業所関係
  同日午後四時頃当局の要請に応じて、いすず自動車北九州支店のディーラー整備員三名が整備作業を行うべくやってきたが、X10 執行委員は「組合が 承認していないのにディーラー達を中に入れて作業させることはけしからん」「ディーラーの者をスト破りに入れることは不都合だ。絶対阻止する」などと抗議し、整備員が乗ってきた車が動くことができないように組合員と共に取巻き入構を阻止した。
ハ 小石営業所関係 
  同日午後四時三〇分頃、二島営業所で入構できなかったふそう自動車のカーディーラー整備員をつれて小石営業所に来たY3管理係長に対しX2執行委員外組合員一五~一六名が取巻き激しく抗議し、入構を阻止した。
  ? 六月二二日折尾営業所において二番勤務の運転手が出勤せず超過勤務拒否により代行者を充てることができなかったことからY4営業所長が欠行ダイヤを代替乗務し一回目のダイヤを運行した後、二回目のダイヤを運行するため乗務しようとしたところX10、X11 両執行委員が「管理職による運行は認めないことを組合の機関で決定している」と抗議し、Y5職員課長が再三にわたり運行 を阻止しないよう申し入れたがききいれず、やむなくY5職員課長はY4営業 所長に乗務を命じ運行しようとしたが、組合員一〇数名がバスの前面にピケットを張り運行を阻止した。
  このためY5職員課長は運行を強行すれば怪我人が出る虞れがあるので運行を断念した。この結果二番勤務のその後のダイヤは欠行した。
  ? なお参加人は許可なく局庁舎にポスター、プラカード類を掲示結着することは庁舎管理規程により禁止されていることを知りながら六月一一日頃から本庁舎の屋内外の窓、屋内の壁、廊下等および整備工場にある整備事務所の屋内外の窓や壁などに合理化反対に関するものあるいは職制を個人的に中傷もしくは攻撃するものなど多数のビラを貼付し当局の再三にわたる撤去要請、撤去命令 にもかかわらずこれを無視し続けた。
  このような事態に際して当局は撤去命令が実行されないので、ビラを貼付した参加人の手を措りずに庁舎管理規程第六条の規定によって当局の費用で外部から作業員を雇い入れ、撤去作業を始めたのである。これに対し参加人は激しく抗議し作業を妨害し撤去作業を中止させるに至ったのである。 
  すなわち六月二二日午後一時頃からY6庶務係長が作業員と共に本庁舎のビ ラの撤去作業を始めたが、多数の組合員がおしかけて「何故?ぐのか」等と云ってY6係長らに激しく抗議し、そのような状態に外部から雇い入れた作業員もおじけづいてしまい撤去作業を中止せざるを得なくなった。
  同日折尾駅前案内所に出向いていた撤去作業の責任者のY7庶務課長に対し、X10、X11 両執行委員外組合員一〇数名が「何故ビラ撤去を指示したのか、中止させよ」などと云ってビラ撤去作業の中止をせまり激しく抗議した。
  同日午後一時頃整備工場の整備事務所においてY2整備課長が作業員に指示をしてビラの撤去作業を始めたが、X6書記長、X9執行委員外組合員四名が来て作業員がビラを?いでいるのを中止させ、Y2整備課長に対し激しく抗議し、Y2整備課長は「組合が庁舎管理規程に違反して無断で貼ったものだから 撤去する。」と云ったがX9らは激昂し大声で抗議を繰り返し、Y2整備課長はやむなく撤去作業を断念した。
  また当局がビラ撤去を中止した後の午後四時頃X9執行委員ら組合員一四~一五名は整備課事務所に来て、Y2整備課長が強く制止したにもかかわらず、同事務所の窓硝子に五〇~六〇枚のビラを貼付した。
? 昭和四二年六月二七日から七月一日までの間の状況 
参加人は六月二七日から七月一日までの五日間第二波実力行使、超過勤務拒否、車両の完全点検斗争と称する争議行為を行った。
  超過勤務拒否斗争は前述のとおりである。完全点検斗争は次のような方法で行われた。   北九州市交通局においては出庫前三〇分間乗務員を始業点検に従事させることと定めており乗務員は局所定の始業点検表に従い車両を点検し、運行管理者に経果を報告し確認または指示を受けることが義務づけられている。
  ところが右期間において参加人は完全点検斗争と称して運転手が行う始業点検にことさら執行委員を加え運行にまったく支障のないささいな欠陷をとりあげ完全に修理整備しなければ運行させないとしつように抗議し出庫を遅らせたりあるいは出庫を不能にしたりしたものである。
イ 二島営業所関係   
七月一日午前五時三〇分頃からX5副執行委員長、X3、X7両執行委員の三名が順次出庫する車両について各運転手と共に始業点検を行い三~四台の車 両(ツーマン用)についてパイロットランプ(乗降扉のドアの開閉を示す)の点滅不良をみつけ、Y8営業所長に対し修理しなければ出庫させないと云ってきた。Y8営業所長は「パイロットランプの点滅不良は何ら運行には差し支えない」と出庫を命じた。しかし上記三名の組合員はあくまでこれを容れずその 結果バス運行に欠行をもたらした。
  ロ 小石営業所関係
  六月二七日午前五時すぎY8営業所長が点検斗争に備えて代車にするつもりで二島営業所から貸切用バスを運転して小石営業所に赴き車を構内に入れたところ、X8執行委員は車のキーを預っておく、代車には使わせない旨云って車 両のキーをはずして所持し続け、Y8営業所長がキーの返還を求めたが拒絶した。 
  七月一日午前五時二〇分頃から午前八時頃までにかけX2、X8両執行委員が順次出庫する車両について各運転手と共に始業点検を行い四~五台の車両についてバッテリー液が不足しているから液を補給しなければ運行できないとY 9営業所長に対し云って来た。Y9営業所長はバッテリー液は定期的に整備課の方で点検補充しており運行に支障のない旨云いわたしたが、X2、X8両名はバッテリー液の補充をしなければ運行させないなどと云って運行阻止した。
  ? 昭和四二年七月三日の状況
  参加人は財政再建計画案が市議会で議決される予定の七月三日に第三派の実力 行使、休暇斗争、超過勤務拒否斗争と称して多数の組合員が一斉に休暇をとりダイヤの大幅な欠行を生じる争議行動を行った。
  これに対し当局は業務阻害を目的とした休暇申請については承認しない方針を決定し、その申請を拒否したのであるが、参加人はその承認を強要し各営業所等 において次のような紛争を生じさせた。
イ 小石営業所関係
  七月二日午前九時半頃から営業所事務室において、X2、X8両執行委員外多数の組合員がY9営業所長およびY10 係長を取り囲み、七月三日の休暇承認を要求して激しく抗議を行った。午後一時頃まで「休暇を認めよ」「認められない」との応酬が続き、午後一時半ごろY7庶務課長が来所し同人とX2、X8ら組合員との間で同じようなやりとりが続いた。Y9営業所長らは「病気の 者は病気休暇として認めるので医師の診断書を提出するよう」指示したが、X2、X8らは「診断書料がいる」「日曜日で診断書がとりにくい」などと云ってY9営業所長らの指示を受け容れず、休暇申請をそのまま認めるよう要求した。
  午後三時に至りY9営業所長らは組合側の激しい抗議に抗しきれずやむなく 休暇を承認した。
  七月二日午後二時すぎ、小石営業所においてY9営業所長は七月三日の同営業所のワンマン五番勤務の乗務員が欠員となることを知り、七月三日が休日の予定となっていた北九州市交通局新労働組合所属のZ1運転手に休日振替による出勤を命じた。
  七月三日午前四時四〇分頃X2、X8両執行委員ら組合員多数がY9営業所長に対し「労働組合が超過勤務拒否斗争として三六協定の締結を拒否しているときであり、Z1運転手の振替勤務を取り消すよう」要求して激しく抗議した。Y9営業所長らは「Z1運転手の振替勤務は休日の振替えによるもので休日出勤でない。三六協定の有無にはかかわりない」旨反論したが組合側の激しい抗議に抗しきれずやむなくZ1運転手の振替勤務を取消した。
ロ 二島営業所関係
  七月二日午前一〇時頃X3執行委員外組合員二〇名が本庁舎二階事務室においてY5職員課長、Y11 自動車課長およびY8営業所長に対し、七月三日の休暇を承認せよと激しくせまり、Y5職員課長が「七月三日は労働組合が休暇斗争を予定しており、業務に支障をきたすので、当日の休暇は承認できない」と 承認を拒否したのに対し激しく抗議を繰り返し、休暇承認を強要し、Y5職員課長らはつるしあげの中で抗しきれずやむなく当日の休暇を承認した。
  七月三日午前五時頃点呼場において、X3執行委員外数名の組合員が当日の年次有給休暇の承認を激しく要求し、Y8営業所長が「当日は労働組合の休暇斗争が予定されており、また超過勤務拒否が行われているので、交替勤務者がいないので期日を変更するよう」と繰り返し述べ当日の休暇承認を拒否した。
  これに対しX3ら組合員は「病気の者はどうするか」と詰問し、Y11自動車課長が「病気の者は乗務させるわけにいかない」と答えると、すかさずX3は休暇申請の理由を病気のためと書き替えるよう組合員に指示し病気を理由にした 申請書を一括してY8営業所長に提出した。Y8営業所長は病気の者は医師の 診断書を添えて病気休暇の申請をするように云ったが、組合員らは「早朝で医師は起床していない」「初診料等がいる」等といって激しく抗議を続けこのため午前七時頃Y8営業所長らは長時間の組合側の激しい抗議に抗しきれずやむなく当日の休暇を承認した。
  ハ 折尾営業所関係   
七月三日午前四時二〇分頃からX1執行委員長、X6書記長、X10、X11 両執行委員外組合員多数がY4営業所長、Y5職員課長に対し、当日の休暇承認を激しく要求し、Y4営業所長が「当日の年次有給休暇は認められない」「病気の者は医師の診断書を付して病気休暇の手続をとるよう」申し渡した。これに対し組合側は「従来から病気理由の年次有給休暇を認めているではないか」「他の営業所では診断書がなくても年次有給休暇を認めているではないか」などと激しく抗議し、午前七時すぎ、Y4営業所長らは長時間の激しい抗議に抗しきれずやむなく休暇を承認した。
  ニ 整備課関係
   七月三日午前四時三〇分頃から午前八時二〇分頃まで整備課事務所において X3、X9両執行委員、X12中央委員外組合員多数がY2整備課長に対し、当日の休暇不承認について激しく抗議し、その際X12中央委員は激昂し、Y2整備課長の机の上にあった木製の補職名札を手にして机の上を激しくたたき机上のガラスを破損した。

(1)一審福岡地判昭52・11・18判時874号
組合側は、地労委に救済を申立、福岡地労委は昭和47年 4月26日処分の取消しを命令したので、使用者側が不服として救済命令取消訴訟を提起したが一審請求を棄却。

 (抜粋)
6 地公労法第一一条一項は‥‥およそ一切の争議行為を禁ずるかにみえる文言である。従って若し本条項を争議の全面一律禁止の規定としてのみ解釈運用しなければならないとすれば、本条項による労働基本権の制約は‥‥著しく合理性を欠き、違憲であるか、もしくはその疑いが極めて強いということになる。何故ならば、公務員の特殊性に応じて争議権を制約するにせよ、その態様には多くの方法が考えられるのに(労働関係調整法第三五条の二、第三六条ないし第三八条、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律第三条、船員法第三〇条等参照)、争議主体、争議態様その他前述の条件を顧慮することなく全面一律に争議を禁止することは、憲法第二八条による労働基本権保障の趣旨に甚だしく背馳するからである。
7 このように考えると、地公労法第一一条一項は、地方公営企業の業務もしくは職員の職務の公共性の強弱、争議行為の種類、態様、規模等を考慮し、労働基本権の尊重保障によって実現される法益と争議行為を禁止することによって保護される法益を衡量し、なお住民生活全体の利益を害し、住民生活への重大な障害をもたらし、もしくはそのおそれがあるものとして合理的判断により禁止したものと解釈するのが相当である。
(略)
六 不当労働行為の成立について
1 本件争議行為の検討
本件昭和四二年六月二一日から二三日まで、同月二七日から七月一日まで及び同月三日の参加人及びその組合員(‥‥)の行動が、超勤拒否、安全点検、あるいは年休要求と、いろいろ名目は違っても要するに自らの事業所における業務阻害を目的とした争議行為ないしはそれに付随した争議手段であったことは、前記認定の事実にてらして明らかであり、その意味で年休申請も労働者の私的生活上の必要に基くものではなく、その実質はストライキであった。
 そこで、右期間に発生した個別の紛争の評価は別として、以上の争議行為が地公労法第一一条一項で禁止された争議行為に該当するかどうかを判断する。
 ‥‥本件交通事業の規模、市民利用度、独占の度合い(‥‥)、争議の規模、態様(‥‥)、争議の結果(‥‥)、本件争議に参加した参加人所属の組合員らの職種(乗務員、整備員主体)等を検討するに、その期間において延べ九日に及び、争議の性質上ダイヤの運休が不規則に生じたため、乗客の混乱もある程度発生した事実はあるが、本件交通事業の内容は民間企業のそれと異るところはなく、その独占状態等を考慮しても公共性の度合いは特段に強いとはいえず、本件程度の争議を禁止してまで守らなければならなかったほど地方住民の共同利益に対する侵害が重大であり、住民生活への重大な障害があった(‥‥)とは考え難い。
 従って、本件争議行為が地公労法第一一条一項によって禁止された争議行為にあたるとは認められず、全体としてみるときは正当な労働組合の活動であったと判断するのが相当である。
2 本件争議期間中に発生した個別の紛争について
 ‥‥
(イ) 六月二二日折尾営業所におけるY4営業所長の代替乗務阻止(訴外X10、同X11、同X6関与)、
(ロ) 六月二七日小石営業所におけるY8営業所長に対する代車準備阻止(訴外X8関与)、
(ハ) 七月三日小石営業所におけるZ1運転手振替勤務阻止(訴外X2、同X8関与)、
(ニ) 七月三日整備課事務所における訴外X12のガラス破損行為
は正当な組合活動とは認め難く違法評価をうけざるを得ないが、これと不当労働行為との関係は後述する。
 その余の争議手段ないし紛争について。
ディーラー整備員の入構就労拒否については違法とするほどのものがなかったことは前記の通りである。
 ビラ貼りに関しては、その手段方法に若干穏当を欠くものがあったことは否定できないが、前記の如く全体としての争議そのものが違法とは認められない以上、直ちに争議時の文書活動として正当性を否定することは相当でない。なお、本件認定の程度のビラ貼りで、建物の効用を減損せしめたとも認められない。
 点検闘争についてもこれが通常の業務のうちで行われたものであるなら格別、原告が地公労法第一一条一項の争議禁止を文言通りに全面一律禁止と解して組合による一切の争議行為を認めない立場で臨んでいたわけであるから、参加人はこれに対していわゆる順法闘争のかたちで争議を行ったものと推認される(‥‥)。従って、就業命令に対する抗議活動のかたちで業務阻害が行われたことは自然のなりゆきであり、その中に暴行脅迫にわたる行為がない限り(‥‥)特に違法と目すべきものはない。
年休闘争についても点検闘争と同旨の理由により、特に違法と目すべきものはない。
 (略)
3 原告は、前記の如く訴外X1ほか一二名に対する懲戒処分を行ったが、その主たる理由は同人らが夫々組合役職にある者として企画・指導して行った本件の争議が全体として地公労法第一一条一項(及びこれをうけた北九州市交通局就業規程第九〇条一一号)に違反ないし該当する点にあったことは疑いがない。
 本件争議中には、前記の如く違法評価を免れない若干の個別行為は認められるが、その不当性は、原告が争議そのものの違法を主張して為した争議対策に対する行為として考えれば、おおむね軽微であり、本件懲戒処分を為した真の理由は原告の主張は別として、かかる不当性の軽微な当該個別行為にあるとは認められないからである。
 してみると、本件懲戒処分は、右訴外人らが夫々組合の役職にある者として昭和四二年六月二一日から同年七月一日までの間にいわゆる三波にわたる争議を企画、指導関与して実施した点に決定的な動機があったというべきである。そうすると、その争議が全体としてみる限り、地公労法第一一条一項の禁止する争議行為に該当せず、従って参加人組合の正当な行為と評価される以上、本件懲戒処分は、労働者が労働組合の正当な行為をしたことの故をもって為された不利益取扱いであると認めるのが相当である。
七 本件救済命令の正当性
 そうだとすると、被告が本件懲戒処分が労働組合法第七条一号の不当労働行為を構成すると判定して発した本件命令は結果において相当であり、これを取消すべき瑕疵は認められない。

(3)二審福岡高判昭55・12・22労民31巻 5号1033頁


 原判決を取消し、福岡地労委の救済命令を取り消す。
(1) 判示事項概略
○地方公営企業労働関係法11条1項は、憲法28条に違反しない
○労働組合が超過勤務の正当性を是認しながら超過勤務に関する労働条件自体ではなく、労使間の他の紛争について自己の要求を貫徹する手段として三六協定の締結ないし更新を拒否することは、同盟罷業に該当する。
○労働組合の参加しているダイヤ編成審議会の審議を経て定められたダイヤ編成において、超勤が恒常化され、それを拒否すれば平常のダイヤ運行に支障を来す状況の下で労働組合が三六協定の締結ないし更新拒否により超勤拒否闘争を行ったことが地方公営企業労働関係法11条1項に禁止する争議行為に当る。
○地方公営企業におけるピケは、争議行為の適法性を前提とし、争議権保障の範囲内で許されるものであって、地公労法により争議行為が禁止されている以上、本件ピケは正当な組合活動ということはできない。
○地方公営企業における安全点検闘争は、単に交通安全配慮の仕業点検ではなく、組合の要求貫徹の手段としてなすものであるから、業務の正常な運営を阻害する行為に該当する。
○ 地方公営企業における年次有給休暇闘争は、組合の指令に基づき組合員全員が一斉に職場を離脱し、業務の正常な運営の阻害を狙った同盟罷業ということができ、争議行為に該当する。
○地方公営企業における超勤拒否闘争、ピケ、安全点検闘争、年次有給休暇闘争は、地公労法及び市就業規則に違反するものであるから、同闘争を企画、指導、実行させた組合幹部に対する停職等の処分は不当労働行為に該当しない。
○地方公営企業労働関係法4条は争議行為以外の職員の組合活動につき労働組合法7条1号本文を適用しているにとどまり、地方公営企業労働関係法11条1項に禁止する争議行為には、労働組合法の該規定を適用する余地はない。

 良性の判決といえる。丁寧にも交通局長が懲戒処分の根拠に挙げてない地公法32条違反でもあるということを説明している。

(判決抜粋)
二 本件懲戒処分の発令について
 地公労法第一一条一項は、「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおってはならない」旨規定し、同法第一二条は、前条の規定に違反する行為をした者を解雇することができる旨規定する。そしてまた、地方公務員法第三二条は、職員に対し法令等や上司の職務上の命令に従う義務を課しており、同法第二九条一項は、同法に違反した職員につき免職その他の懲戒処分をすることができる旨規定しているところ‥‥参加人が第一波ないし第三波の実力行使としてした超勤拒否闘争、完全点検闘争、一斉休暇闘争につき、訴外Bが参加人の執行委員長としてこれを計画指導し、同F及び同Eが副執行委員長、同Gは書記長、訴外Mを除くその余の訴外人ら八名はいずれも執行委員として、いずれも前記闘争行為の計画に関与した行為、更に、訴外Bの七月三日の折尾営業所における前記認定の行為(休暇闘争の煽動)、同Eの前記認定の同日の若松渡し場案内所における管理職によるバス運行を阻止した行為、同Fの同月一日の二島営業所における完全点検闘争を実行した行為、同Gの七月三日折尾営業所における休暇闘争煽動の各行為、同Cの前記認定の六月二一日小石営業所におけるデイーラー整備員の入構阻止、同月二七日及び七月一日同営業所における完全点検闘争の実行、同月二日同営業所における行為(休暇闘争の煽動)、同月三日同営業所におけるR運転手の振替勤務阻止の各行為、同Dの前記認定の六月二一日二島営業所におけるデイーラー整備員の入構阻止、七月一日同営業所における完全点検闘争の実行、同月二日及び同月三日本庁舎、同営業所及び整理事業所における休暇闘争煽動の各行為、同Iの前記認定の六月二七日小石営業所における代替車のキーを取上げてその運行阻止、七月一日同営業所における完全点検闘争の実行、同月二日同営業所における行為(休暇闘争の煽動)、同月三日同営業所におけるR運転手の振替勤務阻止の各行為、同Hの前記認定の七月一日同営業所における完全点検闘争の実行行為、同Jの前記認定の六月二一日二島営業所におけるディーラー整備員の入構阻止、同月二二日整備事務所におけるビラ撤去作業の妨害及びビラ貼付、七月三日整備事務所における休暇闘争煽動の各行為、同Lの前記認定の六月二二日折尾駅前案内所におけるS庶務課長に対するビラ撤去作業中止要求による同作業の妨害、同日折尾営業所における管理職によるバス運行の阻止、七月三日同営業所における休暇闘争煽動の各行為、同Kの前記認定の六月二一日折尾営業所におけるディーラー整備員の入構阻止、同月二二日同営業所における管理職によるバス運行の阻止、同日折尾駅前案内所におけるS庶務課長に対するビラ撤去作業中止要求による同作業の妨害の各行為、同Mの前記認定の七月二日二島営業所における休暇闘争の煽動、七月三日整備事務所における休暇闘争の煽動及びT整備課長の机のガラスを木製の名札で叩いて割った行為は、いずれも地公労法第一一条一項、北九州市交通局就業規程第九〇条一一号の規定等に違反するものであるとして、地方公務員法第二九条一項一号及び三号に基づき、同四二年八月二日、右訴外人らを本件懲戒処分に付したものであることが認められる。
三 本件各闘争と地公労法第一一条一項該当性等について
1 先ず、参加人は、超勤拒否(三六協定締結ないし更新拒否)は、三六協定のない状態における超勤拒否であるから、違法視される理由はない旨主張する。
 そこで、参加人の本件超勤拒否すなわち三六協定の締結ないし更新拒否が地公労法第一一条一項の争議行為になるか否かにつき考える。超過勤務に関する三六協定を締結するか否かは、原則として、労働組合ないし労働者の自由に属するところであるから、労働組合が超過勤務自体の労働条件に関する労使間の意見不一致のため、同協定の締結ないしは更新を拒否したとしても、これをもつて直ちに違法とすることはできないことはいうまでもないところである。しかし、労働組合が、当該事業の運営が超過勤務に依存すること、すなわち、超過勤務の正当性を是認しながら、超過勤務に関する労働条件そのものではなく、労使間の他の紛争についての自己の要求を貫徹する手段として三六協定の締結ないし更新を拒否し、超勤を拒否することは、争議行為(同盟罷業)に該当するものと解するのが相当であるところ、参加人が本件三六協定の締結ないし更新を拒否し、組合員の超勤を拒否させるに至った経緯並びにその態様はさきに認定したとおりであって、同事実からすると、控訴人の交通事業におけるバスの平常の運行ダイヤは、参加人も加わったダイヤ編成審議会の審議を経て定められたものであり、一日九勤務が超勤ダイヤとして編成されていて超勤が恒常化され、超勤の拒否があれば平常のダイヤ運行に支障を来たす状況にあつたところ、参加人の前記三六協定の締結ないし更新拒否による超勤拒否闘争は、超勤の恒常化(正当性)を認めながら、控訴人の財政再建計画に関する参加人の要求を貫徹するための手段としていたものであり、かつ、控訴人の交通業務の正常な運営を阻害するためにしたものであつて、地公労法一一条一項の禁止する争議行為に該当するものといわざるをえない。
 よつて、参加人の右主張は理由がない。
2 次に、参加人は、ディーラー整備員の入構阻止及び管理職による自動車の運行阻止は、いずれもスト破りに対するピケッティングであつて、正当な組合活動である旨主張する。
 しかし、ピケッティングは、争議行為の実効性を確保するための手段として意義を有するものであつて、当該争議行為の適法性を前提とし、争議権保障の範囲内においてのみ許されるものであるところ、参加人に対しては後記のように地公労法第一一条一項により争議行為が禁止されているのである以上、ピケッティングによる前記阻止行為はいずれも違法であって、正当な組合活動ということはできない。よって、参加人の右主張は理由がない。
3 更に、参加人は、完全点検闘争は、北九州市交通局自動車乗務員服務心得第四一条による仕業点検として義務付けられた通り行つたに過ぎない旨主張する。
 しかし、すでに認定したように、本件完全点検闘争は、単に交通安全の配慮から入念に仕業点検したということではなく、実質的には、参加人の要求を貫徹する手段として業務阻害を行おうとするものであつて、いずれも自動車の運行に差支えない整備状況であったのに、上司の出庫命令に従わず、自動車の運行を阻止したことは、いずれも地公労法第一一条一項の業務の正常な運営を阻害する行為に該当するものというべきである。よつて、参加人の右主張も理由がない。
4 また、参加人は、年次休暇闘争は、法律によって与えられた権利を行使したものであつて、争議行為ということはできない旨主張する。
 年次休暇の権利は、労働基準法第三九条一、二項の要件を充足することによって、法律上当然に労働者に生ずる権利であって、年次休暇の利用目的は、労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、労働者の自由であり、本来使用者の干渉を許さないものである。しかし、いわゆる一斉休暇闘争は、労働者がその所属事業所において、その業務の正常な運営の阻害を目的として、組合等の指令により全員一斉に休暇届を提出して職場を放棄・離脱するものであつて、その実質は年次休暇に名をかりた同盟罷業にほかならない。したがつて、その形式いかんにかかわらず、本来の年次休暇権行使ではないのであるから、これに対する使用者の時季変更権の行使もありえないものである(最高裁判所昭和四八年三月二日第二小法廷判決・民集二七巻二号二一〇頁参照)。ところで、本件における休暇闘争は、さきに認定したように、参加人の指令に基づき、組合員である職員が全員一斉に休暇届を出すことによって職場を離脱し、控訴人の業務の正常な運営の阻害を狙ったものであつて、一種の同盟罷業ということができ、地公労法第一一条一項により禁止された争議行為に該当するものというべきである。よつて、参加人の右主張は理由がない。
5 ところで、参加人は、地公労法第一一条一項の規定は、地方公営企業職員の争議行為を全面的一律に禁止したもので、勤労者の団体行動権を保障した憲法第二八条に違反し無効である旨主張する。
(一)地公労法第一一条一項の規定は、その文理上、地方公営企業の職員及び組合に対し、同盟罷業その他一切の争議行為を禁止しているものということができる。
(二)ところで、地方公営企業に勤務する職員も、憲法第二八条の勤務者として、同条の保障を受けるものというべきである。
 しかし、地方公営企業の職員は地方公務員であるから、身分及び職務の性質・内容において非現業の地方公務員と多少異なるところはあっても、等しく公共的職務に従事する職員として、実質的に地方の住民全体に労務を提供する義務を負う点においては、両者の間に基本的な相違はなく、地方公営企業の職員が争議行為に及ぶことは右のような地位の特殊性と職務の公共性と相容れず、また、それによる業務の停廃が地方住民ないし国民全体の共同利益を害し、それら住民等の生活に重大な障害をもたらすおそれがあることは、非現業の地方公務員、国家公務員ないしは公労法の適用を受ける五現業、三公社等公共企業体の職員の場合と選ぶところはない。
 そして、地方公営企業の職員は、非現業の他の地方公務員と同様、財政民主主義に表われている議会制民主主義の原則により、その給与その他の勤務条件が法律ないし地方議会の定める条例・予算の形で決定さるべき特殊な地位にあり、団体交渉権・労働協約締結権を保障する地公労法も条例・予算その他地方議会からの制約を認めている(地方公営企業法第四条、第二四条二項、第三八条四項、地公労法第八ないし第一〇条)。また、地方公営企業の事業は、利潤の追求を本来の目的としておらず、その労使関係には、私企業におけるような市場の抑制力が働かないため、ここでは争議権は、適正な勤務条件を決定する機能を果すことはできず、かえつて議会における民主的な手続によってなさるべき職員の勤務条件等の決定に対し不当な圧力となり、これをゆがめるおそれがある。したがつて、これら職員の地位の特殊性や職務の公共性からして、地方住民全体ないし国民全体の共同利益のため、法律がその争議権に制約を加えてもやむを得ないものといわなければならない。
 そしてまた、地方公営企業の職員についても、憲法によってその労働基本権が保障されている以上、この保障と住民ないし国民全体の共同利益の擁護との間に均衡が保たれるようすることは、憲法の趣意と解されるから、その労働基本権の一部である争議権を禁止するにあたつては、相応の代償措置が講じられなければならないところ、現行法制をみるに、同職員は、地方公務員として法律上その身分の保障を受け、給与については生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して条例で定めなければならない(地方公労企業法第三八条三、四項)とされている。そして、特に地公労法は、当局と職員との間の紛争につき、労働委員会におけるあっせん、調停、仲裁の制度を設け、その第一六条一項本文において、「労働委員会の仲裁裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、地方公共団体の長は、当該仲裁裁定が実施されるように、できるだけ努力しなければならない。」と定め、さらにまた、同項但し書は、当該地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする仲裁裁定については、第一〇条を準用して、それを地方公共団体の議会に付議して、同議会の最終的決定に委ねることにしているのである。これらは、職員ないし組合に労働協約締結権を含む団体交渉権を付与しながら、争議権を否定する場合の代償措置として、よく整備されたものということができ、右職員の生存権擁護のための配慮に欠けるところはないものというべきである。
 以上により、地公労法第一一条一項による争議行為の禁止は憲法第二八条に違反するものではないと解する(最高裁判所昭和四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻四号五四七頁、同昭和五一年五月二一日大法廷判決・刑集三〇巻五号一一七八頁、同昭和五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁参照)。
 よつて、参加人の前記主張は理由がない。
四 結論
 以上のとおり、地公労法第一一条一項は、地方公営企業の職員及び組合の一切の争議行為を禁止し、また、職員並びに組合の組合員及び役員は右禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおってはならない旨規定しているのであるから、右職員及び組合役員が右法令の禁止に違反して争議行為を行い、あるいは右争議行為を共謀し、そそのかし、又はあおった場合には、法令遵守義務を定めた地方公務員法第三二条に違反したものとして、同法第二九条一項一号及び三号に該当し、懲戒処分の対象とされることを免れないと解すべきである。そして、この場合に、地公労法第四条が労働組合法第七条一号本文の適用を除外していないことを根拠として、地公労法第一一条一項違反の争議行為のうちにもなお、労働組合法第七条一号本文の「正当な行為」にあたるものと然らざるものがあるとし、右「正当な行為」に当る争議行為については、地方公務員法第二九条一項一号による懲戒処分をすることができないというような解釈は、これを採用することができない。けだし、地公労法第四条によれば、地方公営企業の職員に関する労働関係については、地公労法の定めるところにより、同法に定めのないものについてのみ労働組合法の定めるところによるべきものであるとされているところ、右職員の争議行為については、地公労法第一一条一項において一切の争議行為を禁止する旨定めているので、その争議行為につき更に労働組合法第七条一号本文を適用すべき余地はないからである。地公労法第四条が労働組合法の右規定の適用を除外していないのは、争議行為以外の職員の組合活動については地公労法に定めがないので、これに労働組合法の同規定を適用して、その正当なものに対する不利益な取扱いを禁止するためであって、地公労法違反の争議行為についてまで「正当な行為」なるものを認める意味をもつものではない。また、労働者の争議行為は集団的行動であるが、その集団性の故に参加人個人の行為としての面が失われるものでないから、違法争議行為に参加した個人の責を免れ得ないことはいうまでもないところである(最高裁判所昭和五三年七月一八日第三小法廷判決・民集三二巻五号一〇三〇頁参照)。
 これを本件についてみるに、さきに認定したところからすると、参加人がした前記認定の第一波ないし第三波の超勤拒否闘争、完全点検闘争、一斉休暇闘争は、いずれも地公労法第一一条一項の争議行為に該当するものというべく、訴外Bはその執行委員長としてこれを計画指導し、同F及び同Eはその副委員長、同Gはその書記長、訴外Mを除くその余の訴外人八名はいずれもその執行委員として、戦術会議において前記争議行為を計画し、組合員をして同争議行為を行わせたものであること、更にまた、訴外Bが七月三日折尾営業所で、多数の組合員と共に、U営業所長らに対し組合員の休暇承認を激しく要求したこと(休暇闘争のあおり行為といえる。)、同Eが同日、若松渡し場で管理職によるバスの運行を阻止したこと、同Fが同月一日、二島営業所で点検闘争を実行し、V営業所長の出庫命令を拒否してバスを欠行させたこと、同Gが、六月二二日、整備事務所で当局のビラ撤去作業を妨害し、七月三日、折尾営業所で前記Bらと共にBと同様の休暇闘争のあおり行為をしたこと、同Cが、六月二一日、小石営業所でディーラー整備員の入構を阻止し、七月一日、同営業所で完全点検闘争を実行し、P営業所長の命令を拒否してバスの運行を阻止し、同月二日、同営業所で多数の組合員と共にP営業所長らを取囲み、長時間にわたり、組合員の休暇承認を激しく要求し(休暇闘争のあおり行為といえる。)、同月三日、同営業所でR運転手の振替勤務を阻止したこと、同Dが、六月二一日、二島営業所でピケを張り、ディーラー整備員の入構を阻止し、七月一日、同営業所で完全点検闘争を実行し、V営業所長の出庫命令を拒否してバスを欠行させ、同月二日及び三日、本庁舎・同営業所及び整備事務所でO職員課長、V営業所長、T整備課長らに対し、多数の組合員と共に組合員の七月三日の休暇承認を激しく要求(休暇闘争のあおり行為といえる。)したこと、同Iが、六月二七日、小石営業所でV営業所長が点検闘争に備え、代車にするつもりで二島営業所から運転してきた貸切用バスのキーを取上げ、七月一日、同営業所で完全点検闘争を実行し、P営業所長の命令を拒否してバスの運行を阻止し、同月二日、同営業所で前記Cらと共に同人と同様の休暇闘争のあおり行為をし、同月三日同営業所でR運転手の振替勤務を阻止したこと、同Hが、六月二一日、二島営業所でデイーラー整備員の入構を阻止し、七月一日同営業所で完全点検闘争を実行し、V営業所長の出庫命令を拒否してバスを欠行させたこと、同Jが、六月二一日、二島営業所でピケを張り、デイーラー整備員の入構を阻止し、同月二二日整備事務所で当局のビラ撤去作業を妨害し、更に、同日、当局の制止をきかず同事務所の窓ガラスにビラ五、六〇枚を貼付し、七月三日、同事務所で前記Dらと共にD同様休暇闘争のあおり行為をしたこと、同Lが、六月二二日、折尾駅前案内所で多数の組合員と共に、S庶務課長に対しビラ撤去作業の中止を激しく要求してビラ撤去作業を妨害し、同日、折尾営業所でピケを張り、U営業所長の欠行ダイヤの代替運行を阻止し、七月三日、同営業所で前記B、Gらと共に同人らと同様休暇闘争のあおり行為をしたこと、同Kが、六月二一日、同営業所でディーラー整備員の入構を阻止し、同月二二日、同営業所でピケを張り、U営業所長の欠行ダイヤの代替運行を阻止し、同日、折尾駅前案内所で多数の組合員と共にS庶務課長に対しビラ撤去作業の中止を激しく要求して、ビラ撤去作業を妨害したこと、同Mが、七月三日、整備事務所で前記D、Jらと共に、同人ら同様休暇闘争のあおり行為をし、その際、T整備課長の机のガラスを木製の名札で叩いて割ったこと等、以上の訴外人らの各行為は、地公労法第一一条一項及び北九州市就業規則第九〇条一一号に違反し、また、地方公務員法第三二条にも違反するものであつて、同法第二九条一項一号及び三号の懲戒事由に該当するものといわなければならない。
 よつて、控訴人が右条項を適用して、右訴外人らを懲戒に付した本件懲戒処分は相当であって、訴外人に対する本件各懲戒処分が労働組合法第七条一号本文の不当労働行為に該当するいわれはないものといわなければならない。

(4)上告審
 棄却
「‥‥地公労法は、現業地方公務員たる地方公営企業職員の労働関係について定めたものであるが、同法一一条一項は、「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおってはならない。」と規定し、これを受けて同法一二条は、地方公共団体は右規定に違反する行為をした職員を解雇することができる旨規定し、また、同法四条は、争議行為による損害賠償責任の免責について定めた労働組合法八条の規定の適用を除外している。しかし、地公労法一一条一項に違反して争議行為をした者に対する特別の罰則は設けられていない。同法におけるこのような争議行為禁止に関する規定の内容は、現業国家公務員たる国の経営する企業に勤務する職員(以下「国営企業職員」という。)及び公共企業体職員の労働関係について定めた公共企業体等労働関係法(昭和六一年法律第九三号による改正前のもの。以下「公労法」という。)におけるそれと同一である。
 ところで、国営企業職員及び公共企業体職員につき争議行為を禁止した公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであるが(昭和四四年(あ)第二五七一号同五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁、名古屋中郵事件判決)、この名古屋中郵事件判決が右合憲の根拠として、国営企業職員の場合について挙げている事由は、(1) 公務員である右職員の勤務条件は、国民全体の意思を代表する国会において、政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮を経たうえで、法律、予算の形で決定すべきものとされていて、労使間の自由な団体交渉に基づく合意によって決定すべきものとはされていないこと、(2) 国営企業の事業は、利潤の追求を本来の目的とするものではなくて国の公共的な政策を遂行するものであり、かつ、その労使関係には市場の抑制力が欠如しているため、争議権は適正な勤務条件を決定する機能を十分に果たすことができないこと、(3) 国営企業職員は実質的に国民全体に対してその労務提供の義務を負うものであり、その争議行為による業務の停廃は国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすか、又はそのおそれがあること、(4) 争議行為を禁止したことの代償措置として、法律による身分保障、公共企業体等労働委員会による仲裁の制度など相応の措置が設けられていること、の四点に要約することができる。
 そこで、名古屋中郵事件判決が右合憲の根拠として挙げた各事由が地方公営企業職員の場合にも妥当するか否かを検討する。
 地方公営企業職員も一般職の地方公務員に属する者であるが、一般職の地方公務員の勤務条件は、国家公務員の場合と同様、政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により、国民全体の意思を代表する国会が定める法律及び住民の意思を代表する地方議会が定める条例、予算の形で決定されるべきものとされているのであつて、そこには、私企業におけるような団体交渉による決定という方式は当然には妥当しないというべきである(最高裁‥‥五一年五月二一日大法廷判決・刑集三〇巻五号一一七八頁(岩手県教組事件判決)参照)。そして、このような一般職の地方公務員の勤務条件決定の法理について、地方公営企業職員の場合にのみ別異に解すべき理由はない。現行法規上、地方公営企業職員の勤務条件の決定に関しては、当局と職員との団体交渉を経てその具体的内容の一部が定められることが予定されており(地公労法七条)、しかも、条例あるいは規則その他の規程に抵触する内容の労働協約等の協定にもある程度の法的な効力ないし意義をもたせている(同法八条、九条)などの点において、団体交渉が機能する余地を比較的広く認めているが、これは、憲法二八条の趣旨をできるだけ尊重し、また、地方公営企業の経営に企業的経営原理を取り入れようとする立法政策から出たものであつて、もとより法律及び条例、予算による制約を免れるものではなく、右に述べた一般職の地方公務員全般について妥当する勤務条件決定の法理自体を変容させるものではない。
 次に、地方公営企業の事業についても、その本来の目的は、利潤の追及ではなく公共の福祉の増進にあり(地方公営企業法(以下「地公企法」という。)三条)、かつ、その労使関係には市場の抑制力が働かないため、争議権が適正な勤務条件を決定する機能を十分に果たすことができないことは、国営企業の事業の場合と同様である。
 また、地方公営企業職員が実質的に住民全体に対しその労務提供の義務を負っており、右職員が争議行為に及んだ場合の業務の停廃が住民全体ひいては国民全体の共同利益に少なからぬ影響を及ぼすか、又はそのおそれがあることも、国営企業職員の場合と基本的には同様である。もつとも、地公労法の適用される地方公営企業は、法律上具体的に列挙されているものに限定されず(地公労法三条一項)、その種類、内容、規模等には、種々のものが含まれうるが、その事業は、あくまでもその本来の目的である公共の福祉を増進するものとして、公益的見地から住民ないし国民の生活にとつて必要性の高い業務を遂行するものであるから、その業務が停廃した場合の住民ないし国民の生活への影響には軽視し難いものがあるといわなければならない。
 更に、争議行為を禁止したことの代償措置についてみるに、地方公営企業職員は、一般職の地方公務員として、法律によって身分の保障を受け、その給与については、生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないとされている(地公企法三八条三項)。そして、職員と当局との間の紛争については、国営企業職員及び公共企業体職員についての公共企業体等労働委員会(現国営企業労働委員会)のような特別の紛争処理機関は設置されていないものの、労働委員会によるあっ旋、調停、仲裁の途を開いたうえ、一般の私企業の場合にはない強制調停(地公労法一四条三号ないし五号)、強制仲裁(同法一五条三号ないし五号)の制度を設けており、仲裁裁定については、当事者に服従義務を、地方公共団体の長に実施努力義務を負わせ(同法一六条一項本文)、予算上資金上不可能な支出を内容とする仲裁裁定及び条例に抵触する内容の仲裁裁定は、その最終的な取扱いにつき議会の意思を問うこととし(同法一六条一項ただし書、一〇条、一六条二項、八条)、規則その他の規程に抵触する内容の仲裁裁定がなされた場合は、規則その他の規程の必要な改廃のための措置をとることとしているのである(同法一六条二項、九条)。これらは、地方公営企業職員につき争議行為を禁止したことの代償措置として不十分なものとはいえない。
 以上によれば、名古屋中郵事件判決が公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反しないことの根拠として国営企業職員の場合について挙げた各事由は、地方公営企業職員の場合にも基本的にはすべて妥当するというべきであるから、地公労法一一条一項の規定は、右判決の趣旨に徴して憲法二八条に違反しないことに帰着する。論旨は、ひっきよう、名古屋中郵事件判決の立場とは異なる独自の見解を前提として原判決を論難するものであつて、採用することができない。
 論旨は、上告参加人の労働基準法三六条所定の協定(以下「三六協定」という。)締結、更新の拒否による本件超勤拒否闘争が地公労法一一条一項の禁止する争議行為に当たるとした原判決は、法令の解釈適用を誤り、かつ、判例違反を犯すものである、というのである。
 原審の適法に確定した事実関係は、(1)上告参加人は、被上告人の提示する本件財政再建計画の実施を阻止するため、昭和四二年六月一〇日ころ、組合員の投票によってストライキを行うことを決定し、これを受けて、上告参加人の戦術委員会は、同月二一日から二三日まで超勤拒否闘争を、同月二七日から同年七月一日まで超勤拒否闘争及び安全点検闘争を、同年七月三日に超勤拒否闘争及び一斉休暇闘争を行うことを決定した、(2)被上告人経営のバスの運行ダイヤは、労使の委員によって構成されるダイヤ編成審議会の議を経て定められていたが、当時の公示ダイヤは、上告参加人の同意のもとに一日九勤務が時間外勤務ダイヤとして編成されており、被上告人の交通局においては、このダイヤを実施するために超過勤務が恒常化していて、超過勤務拒否があれば、平常のダイヤ運行に支障を来す状況にあつた、(3) 右運行ダイヤを実施するため、被上告人と上告参加人との間において従来から三六協定が締結、更新されてきたが、上告参加人は、本件財政再建計画についての労使の交渉が難航することが予想されるようになった同年四月ころから、同協定を一日ないし数日の期間を定めて締結、更新しつつ事態の推移をみていたところ、同年六月一五日本件財政再建計画案が市議会に上程されるや、前記戦術委員会の決定どおり超勤拒否闘争を行うこととし、バスの正常な運行のための同協定の締結、更新方の当局の要望を拒否して、右決定に係る期間各部門において組合員に時間外勤務を拒否させた、というのである。
 これによれば、被上告人の交通局においては、従来から上告参加人同意のもとに三六協定の締結、更新を前提とした超過勤務が平常勤務として組み入れられてきたところ、上告参加人は、当該超過勤務自体に関する勤務条件については格別の要求を有していた事情は認められないのに、本件財政再建計画の実施阻止という要求を貫徹するための手段として、三六協定の締結、更新を拒否し、組合員に時間外勤務を拒否させて本件超勤拒否闘争を実施したということになるから、右超勤拒否闘争は、地公労法一一条一項の禁止する争議行為に当たるものといわなければならない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。また、所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。‥‥」

(4)岩淵正紀調査官解説の要所

○争議行為禁止の合憲性
A 岩教組学力テスト事件大法廷判決の判示を踏襲

「地方公営企業職員も一般職の地方公務員に属する者であるが、一般職の地方公務員の勤務条件は、国家公務員の場合と同様、政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により、国民全体の意思を代表する国会が定める法律及び住民の意思を代表する地方議会が定める条例、予算の形で決定されるべきものとされているのであつて、そこには、私企業におけるような団体交渉による決定という方式は当然には妥当しないというべきである」がポイントであるが、これは全農林警職法判決に倣った説示であり、国と地方の違いを考慮していないとの異論はないわけでもない。しかも、地方公営企業職員は、労働組合を結成することが認められ(地公法労法五条)、団体交渉権が与えられていて、具体的な勤務条件の一部は団体交渉により決定することが予定されている(同法七条)、また地方公営企業には労働基準法が全面的に適用される地公法(三九条一項)、したがって時間外労働又は休日労働させる場合には過半数の労働者が組織する労働組合がある場合はその労働組合と三六協定を締結しなければならない。
 しかしながら、地方公営企業は独立採算制(地公企法17条、17条の2第2項)をとっているが、独立した法人格を有さず、法的な経営主体は地方公共団体である。憲法15条にいう「公務員」は国家公務員と地方公務員の両方が含まれることは明らかであり、実質的に、その使用者はで国民であって、労務提供義務を国民に対して負うという意味において憲法上同一の地位を負う。地方公共団体の財政等に重大なかかわりをもつ地方公務員の勤務条件を基本的に法律および条令、予算で定められるべきことは。憲法の予定しているところである。したがって勤務条件の決定につき私企業におけるような団体交渉による決定という方式は当然に妥当しないという点においては、国家公務員と地方公務員に本質な違いはないとみることができるのであり、調査官は妥当な判断としている。(つづく)
 

 

2016/09/20

豊洲新市場報道について3

 テレビで平成21年7月より2年間市場長だった岡田至都歴史文化財団副理事長がインタビューに応じ、地下空間があることは知っていたが盛り土の上と認識していたと語ったといってましたが、そうすると市場長も認識してないものが、副知事も知るはずがない。このいいわけで逃げ切れるのか、世論の期待にこたえるためになんらかの不利益処分されちゃうのか。

2016/09/19

豊洲新市場報道について2

   藤井聡、高橋洋一、橋下元大阪市長が、地下ピットがあるのは当たり前の構造、むしろ排水設備もあって安全、全面盛り土のほうが不自然というような見解をテレビやツイッターでみた。そうだとすると空騒ぎになる終わる可能性がある。
表向きの話とと実態がちがったといっても、技術会議で資料として出して承認されたということになると、それは表向き擬似性交、実は本番という業界よりも実態との乖離ほさほど大きなものではないとの印象もえた。地下空洞は重大問題ではないように思った。
テレビでは卸売市場は公営企業会計とか、予定価格は公表されているとか知らない人がコメントしており、報道は偏っているとの心証がある。

地方公営企業職員の争議行為及び争議付随行為に対してどのような責任追及ができるか(下書)その15

6.総理府統計局事件 最二小昭60・9・18労判467

 

 昭和361026日統計職組は午前9時頃から920分頃までの間統計局裏門において職員約80名の参加をえて勤務時間内の職場大会を実施した。これに対し当局はピケなどに参加した約400名に対し有給休暇請求を承認せず賃金カットとしたが、統計職組は賃金カット理由を求める運動を行うため、11891617日の各休憩時間に部外者を含む80100名の職員を集めて勤務時間に食い込むオルグ活動を開催したほか、当該職場の係長らに対し、長い時間で一時間内外にわたって、話し合いを強要し、その執務を妨げ、かつ他の職員の勤務を妨げた。対して総理府総務長官は統計局職組委員長を免職、副委員長1人と執行委員1人を停職四か月、その他執行委員など3人を減給三か月の懲戒処分に付した。  一審東京地判昭501224判時806は原告らの各所為は違法な争議行為であるとして懲戒処分を適法とした。東京高判昭55516訴務315も棄却、上告審も棄却。

 

. 全運輸近畿支部兵庫分会事件 最二小昭60.11.8判決 民集3971375判時1178

 

(1)本判決の意義

 

 本件は、運輸省大阪陸運局長による、違法職場大会であいさつ、演説等を行い指導的な役割を果たした全運輸近畿陸運支部分会役員に対する戒告処分の懲戒処分取消し請求訴訟である。

 全運輸とは運輸省の港湾建設局と港湾・航海関係附属機関を除き、管理職員を除く職員の大多数をもって組織され、本件ストライキ当時の組合員の総数は約7570名であった。昭和44年全運輸は国公共闘・公務員共闘統一行動の一環と人事院勧告完全実施等の要求貫徹のため、勤務時間に食い込む職場大会の実施を指令し、同年1112日全運輸近畿陸運支部は、大阪陸運局本局分会は、15分、その他の分会は20分勤務時間に食い込む早朝職場大会の実施を伝達した。

 原告Kは、本件ストライキ当時全運輸近畿支部兵庫分会分会長の地位にあったところ、右分会が右同日兵庫県陸運事務所庁舎玄関前横において、右要求貫徹を目的として行った勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため、当日の勤務時間中午前八時三○分から同四二分までの一二分間にわたり職務を放棄し、その際分会長として「あいさつ及び職場大会の意義」について演説を行い主たる役割を果たした。

О総務課長は、あいさつをおこなっていた分会長に近づき八時二十五分頃「この大会は無許可であるからすぐ解散せよ」と命令、同三十六分にも「時間内にくい込む集会は違法だからすぐ解散しなさい」と命令、さらに四○分頃自らがプラカードを持って、分会員内を歩きまわるなど、解散・職場復帰命令が発せられている。

 原告Nは全運輸近畿支部兵庫分会副分会長の地位にあったところ、右分会が右同日八時三三分から同五〇分までの約一七分にわたり兵庫県陸運事務所姫路支所構内入口横のひろばにおいて、右要求貫徹を目的として行った勤務時間にくい込む職場大会に参加し、その際副分会長として「所長交渉の経過報告及び決議文の朗読」を行い主たる役割を果たした。

 A姫路支所長は、午前八時三五分頃、T副分会長に組合旗が立ててあること及び勤務時間にくい込む右大会は違法であることを口頭で注意し、さらに同四九分ごろ、参加者全員に対し、解散するよう口頭で命じている。

 なお、原告Nは、勤務場所は兵庫県陸運事務所(本所)輸送課であるが前日に行われた所長交渉に姫路支所勤務のT副分会長が出席していないため、交渉経過を本職場大会に報告するため、有給休暇を取得し、前日より姫路分会に泊まり込んで参加したものである。

 (兵庫分会以外の分会での職場大会の状況を省略する)

原告らの各行為は、組合役員として他の者と共に勤務時間にくい込む職場大会に参加した点において国公法九八条二の項前段所定の争議行為に該当し、右大会おいて組合役員として、参加者に対し、あいさつ、経過報告、決議の朗読、演説、がんばろう三唱の音頭などを行った点において同法九八条二項後段所定の「そそのかし」「あおり」行為に該当するので、同法条項に違反し、同法八二条一号に該当する。‥‥事前に上司から勤務時間にくい込む職場大会は明らかに違法であるから参加しないよう警告されていたにもかかわらず、右行為を行ったことは情状が重いとして、戒告処分としたものである。

なお、本件昭和44年11月13日の本件職場大会の闘争では戒告処分は43名であり、本部役員1名、支部役員8名、分会三役34名であった。本件闘争は、全運輸中央本部の責任者について企画指導の立証を充分にする資料を収集できなかったため、各職場大会毎に実行行為者をとらえ、主たる役割を果たした者を各職場大会毎原則1人につき戒告処分にするという方針のもとに行われた。

(昭和48年から昭和50年までの闘争は、分会役員は処分されていないが、その理由は、職場大会が陸運事務所構内でなく、現認できなかったことと、遅刻者が交通ストのためと申告し、争議行為参加の事実認定ができなかったことである。本部役員15名、支部三役20名が戒告処分を受けている)

 

 

一審大阪地判昭54・8・30は原告の主張を全て排斥し請求棄却、二審大阪高判昭57・2・25も一審判決を全面的に支持し控訴を棄却、上告審も棄却。

国公法が禁止する争議行為を指導したことを服務規律違反として懲戒処分することが適法であることは昭和52・1220神戸税関判決があり決着がついていることで、リーディングケースではないけれども、調査官解説のある重要判例とされているのは、本件が出勤簿整理時間内に終了した職場大会で、就業命令が不当だとの主張がなされ、出勤簿整理時間を正面から問題にした先例がなかっためで、出勤簿整理時間の設定は、一般職に属する国家公務員の勤務時間を短縮し、出勤簿整理時間中の職務に従事する義務を免除したものと解することはできないと最高裁が初めて判示したことによる。

出勤簿整理時間とは、通勤の交通機関が著しく混雑する地域において、始業時刻からある程度の時間(例えば30分)出勤簿を引上げず整理時間内に押印すれば始業時刻に出勤した扱いとする慣行で、事実上出勤猶予時間のような外観を呈していた。平成初期までは官庁で広く行われていたが、この判決の影響もあって10年ほどで廃止されたように記憶している。今日では始業時刻より前にカードリーダーを通さないと遅刻になるので、整理時間の設定はなくなった。

従って、今日的観点での意義はむしろそれよりも、職場大会においてあいさつ、交渉経過報告、決議の朗読、演説、がんばろう三唱の音頭を取る等、指導的な役割をすることは、国公法九八条二項後段所定の「そそのかし」「あおり」行為に該当するのものとして違法であり、当然懲戒処分も適法であることを明確にしたこと。

本件の副分会長N原告のように有給休暇を取得し、勤務地でない事業所の勤務時間内職場大会で指導的な役割を果たした場合、それは同盟罷業に参加したとはいえず職務専念義務違反にはならないが、国公法が違法とする「そそのかし」「あおり」行為に該当するとして、懲戒処分は適法であるということを明確にしたこと。

たとえ出勤簿整理時間であっても、勤務時間にくい込む職場大会で違法な争議行為であり、参加している組合員に対し、「解散命令」「職務命令」を発することは当然で、職員は右命令に拘束され従うべき義務を負うということがより明確になったということを本判決の意義として認めてよいと思う。

又、本件は処分の対象を職場大会ごとに1人としているため、同様の役割を果たした組合役員でも処分されずにすんだケースがあるが、このような選択的に懲戒処分を賦課するあり方であっても裁量権の範囲として是認しているのである。

 

()一審判決抜粋

‥‥出勤簿整理時間の設定は、職員の勤務時間を変更し、当該時間内の勤務を免除するとの効力を有するものではないから、職員は、出勤簿整理時間内に出勤した場合には、当然に当局の支配管理下にあり、労働供給義務を負うものというべきであり‥‥他の目的のために自由に使用・行動し得る時間ではない‥‥それ故、当局は、出勤簿整理時間内に出勤した職員に対し、職務命令を発することができるのは当然であり、まして‥‥本件職場集会に参加している職員に対して「解散命令」或いは「職務命令」を発したことはなんら瑕疵はなく、職員は右命令に拘束され、従うべき義務を負うものというべきである。‥‥

‥‥本件職場大会は、公務員として負担する職務専念義務に違反し、労務供給義務の提供を拒否したものということができ‥‥それ自体必然的に業務の正常な運営を阻害する行為ということができるから‥‥国公法九二条二項所定の争議行為に該当する‥‥

原告らは、国公法九八条二項所定の争議行為は、長時間かつ大規模な職務放棄をおこなったため、右業務に大混乱が生じる場合である旨主張するのであるが、公務員の行う争議行為である限り、同法条項に規定するその規模、状況等によって区別すべき理由のないことは明らかである(最高裁昭和四八年四月二五日大法廷判決参照)

‥‥国公法九八条二項後段所定の「あおり」「そそのかし」とは、国公法九八条二項前段に定める違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為をなさしめるよう仕向ける行為を総称し、必ずしもこれによって現実に相手方が影響を受けること及び業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを要しない‥‥

‥‥本件職場大会において原告Hが分会長としてあいさつをした行為、原告Kが分会長としてメッセージと祝電を朗読した行為、原告Kがあいさつと職場大会の意義について演説した行為、原告Nが副分会長として所長交渉の経過報告について演説し決議文を朗読した行為、原告Tが分会長として団結がんばろうの音頭をとった行為‥‥原告Nが支部長としてあいさつをし、人事院勧告に対する閣議決定の不当性を説明した行為は。いずれも‥‥「あおり」ある遺棄「そそのかし」行為に該当するものということができる。‥‥

原告Nは、本件職場大会当日、年次有給休暇をとることによって就労義務を免れれたものということができるのだが、だからといって公務員として国公法九八条二項に違反する争議行為を行うことまで許されるものではないのである。

なお[原告三名]を除くその余りの原告らの本件職場大会等におけるあいさつ等の行為は、午前八時三〇分以前に行われたのだから、右行為は違法性がない旨主張するかのごとくであるので附言するに‥‥本件職場集会が違法なものであるから、原告らの行為が本件職場大会における一行為としておこなわれるものである限り、それが行われた時期如何によって違法性の有無が左右されるものではないのである。

原告らが本件処分をもって不当労働行為と主張する‥‥本件職場大会前に警告書を発し、周到な準備をしたうえで‥‥本件各処分をしたことは団結に対する弾圧である‥‥しかしながら、本件職場大会に対し就業命令を発し、又、本件職場大会前に右大会に参加しないように警告書をはっしたとしても‥‥国公法九八条二項に違反する違法な行為である限り、被告局長らが右違法行為を看過することなく右のようなに措置をとり、或いは各処分を行うことし当然のことというべきであり‥‥不当労働行為を推認することはできない。

原告らは、本件職場大会における原告らの行為は、労働組合としての団体行動であるから、右行為について個人責任或いは幹部責任を問うことができないと主張する。

しかしながら、集団的労働関係である争議行為の場においても個別的労働関係が解消されるものではないから、当該違法行為における組合員の行為を個人的行為の側面でとらえたうえで、そのことを理由に組合員に対し、個別的労働関係の責任である懲戒責任を追求することができるものというべきである。‥‥

原告らは、原告らの行為はいずれも組合中央からの方針、指令に従い、組合員としての当然の義務を果たしたにすぎないから、原告らをとくに選択して懲戒処分に付する合理的な理由がないとも主張するが、既に説示したごとく本件職場大会は国公法に違反する違法な争議行為であるから、仮に組合の指令があったとしても、それは国公法に優先するものではないこと当然というべきであり、右指令を従ったことをもって違法な争議行為に参加したなどの原告らの行為を何ら正当化するものではないし‥‥本件各処分を受けるに至ったとしても、何ら不合理なものということはできない。‥‥

裁判所は公務員に対する懲戒処分の適否を審査するにあたり、懲戒権と同一の立場に立って、懲戒処分の適否を審査するにあたり、懲戒権者と同一の視点に立って、懲戒処分をすべきであったかどうか、又、懲戒処分をする場合にいかなる選択をすべきであったかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである(最高裁昭和五二年一二月二〇日第三小法定判決)。

 

 

 

()上告審抜粋

 

本件職場大会の開催が国公法九八条二項前段の規定にいう争議行為に該当するとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。‥‥ 

国公法二八条一項前段は、同法二条に規定する一般職に属する職員(以下「職員」という。)の給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、法律によって定められ、法律によって変更されるべきことなどを規定し、勤務時間及びその割振については、一般職の職員の給与に関する法律一四条一項が、「職員の勤務時間は、休憩時間を除き、一週間について四十時間を下らず四十八時間をこえない範囲内において、人事院規則で定める。」と規定し、同条四項本文が、「勤務時間は、特に支障のない限り、月曜日から土曜日までの六日間においてその割振を行い、日曜日は、勤務を要しない日とする。」と規定している。これを受けた人事院規則一五―一「職員の勤務時間等の基準」は、一週間の勤務時間を四四時間と定め(四条)、その割振は、会計検査院及び人事院の職員以外の職員については内閣総理大臣が定めるものとし(五条一項)、その原則的な基準として、月曜日から金曜日までの五日間においては一日につき八時間となるように、土曜日においては四時間となるように割り振るものとしている(六条一項)。これに基づき、内閣総理大臣は、「政府職員の勤務時間は、休日を除き次の通りとし、日曜日は勤務を要しない日とする。月曜日から金曜日まで午前八時三十分から午後五時まで。但し、その間に三十分の休憩時間を置く。土曜日午前八時三十分から午後零時三十分まで。」と定めている(政府職員の勤務時間に関する総理府令(昭和二四年総理庁令第一号一項)。 

このように、職員の勤務時間及びその割振は、法律及びその委任に基づく人事院規則等によって定めることとされ、右法規に基づかないでこれを変更することは認められていないものというべきである。 

ところで、原審の認定するところによると、兵庫県陸運事務所においては、勤務時間の開始時刻である午前八時三〇分からおおむね午前九時ころまでの間出勤簿整理時間と称する取扱いがされているが、これは、出勤簿管理の必要上、官署の長が勤務時間管理員に対して発した職務命令によって定められているものであり、右時間内に出勤簿の整理を完了することを命ずると共に、右時間内に出勤して出勤簿に押印した職員については勤務時間の開始時刻までに出勤したものとして取り扱うこととされていたというのである。上告人らは、右の出勤簿整理時間の設定によって職員に対し右時間について職務に従事する義務が免除されたものである旨を主張するのであるが、もし右出勤簿整理時間の設定がその時間中の職務に従事する義務を免除するものであるとすれば、それは勤務時間を短縮し、その割振を変更するものにほかならないところ、法規に基づかないで勤務時間を短縮し、その割振を変更することが許されないものであることは前記のとおりであるから、出勤簿整理時間の設定が、勤務時間を短縮し、出勤簿整理時間中の職務に従事する義務を免除したものと解することはできないものというべきである。 

また、上告人らは、右出勤簿整理時間の設定及びその実施により、職員に対し右時間中の職務に従事する義務を免除するという内容の慣行が成立している旨を主張するのであるが、右のような内容は職員の勤務時間及びその割振を定めた前記規定に抵触することが明らかであるから、前記のような取扱いが相当期間継続して行われて来たものであるとしても、出勤簿整理時間中の職務に従事する義務を免除するという内容の慣行が成立する余地はないものといわなければならない。右と同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はなく、右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。‥‥ 

本件職場大会における上告人らの行為が国公法九八条二項後段に規定する「そそのかし」又は「あおり」に該当するとした原審の判断は正当であって、原判決に所論の違法はなく、所論引用の各判例に抵触するところもない。‥‥

上告人Nが年次休暇の承認を受けたことにより本件職場大会当日の職務に従事する義務を免除されていたとしても、そのことによって同上告人につき国公法九八条二項後段の規定する「そそのかし」又は「あおり」の責任を問い得なくなるわけのものではない旨を説示したものであつて、同上告人の右当日の行為が同項前段の争議行為(同盟罷業)に当たるとしたものではないと解すべきであるから、原判決に所論の違法はない。‥‥」

 

()一審ではどのような組合の主張が排斥されたか

 

 本判決は一審の段階で原告の主張すべて排斥していることで気持ちのよい判例なのである。以下は組合側の主張のピックアップである。

○兵庫分会における職場集会でO総務課長が分会長に近づき解散命令をしたり、プラカードをもって歩き回ったことは大会の妨害行為である。

原告Kは8時22分から29分まで挨拶をおこなったが、分会長として当然の正当な行為であり「主たる役割を果たした」とは目しえない

職場大会は何ら業務の正常な妨害をしていない。すなわち通常兵庫県陸運事務所の職員は、午前9時から同15分の間に出勤し、登録事務の受付は9時~、車検の受付は同30分~

大会にしようした場所は、右時刻当局において使用する必要性がなかったし、従来の例からいってその使用を許可されたこともなかったのであり、分会長及び分会員が無届使用を理由とする解散命令や、何ら業務上の必要間内就業命令に従わず大会を進行しても何らその責に問われる理由はない。分会は当局がなんら措置をしていないのに保安要員をおいて、大会中に業務が発生しても対応できるようにしていた。

本件職場大会は出勤簿整理時間内のものであり業務阻害を生じさせていないので争議行為ではなく、団体活動・組合活動である。

○窓口業務も開始されていないのに、職員に対して職務命令を発することのできない時間であり、就業命令や解散命令は職員を拘束しない。

○就業命令等は組織敵視、組合の集会をつぶし、組合の団結を破壊することにある。

原告らの本件職場大会の行為は、労働組合としての団体行動であるから、組合員個人として、或いは組合幹部としての懲戒責任(個人責任、幹部-支部長・分会長責任)を問えない。団体的違法争議行為についていかなる個人責任も生じ得ない。

原告らの各行為は、全運輸近畿支部の支部長または分会責任者とし組合中央からの方針、指令を忠実に実行したものであり、組合中央によって勤務時間のくいこみ時間、集会の態様まですべて定められ‥‥これに自動的に組み入れられていったのである‥‥これに反した行動をとれば、原告らは組合の団結を破壊したことになり、組合の統制処分を受けることになる。従って原告ら、中央闘争本部などからの指令に基づく組合員としての当然の義務を果たしただけであって、使用士やとの国との官位で、原告らを特別に選択して懲戒処分に付する合理的な理由はない。

本件職場大会が国公法98条2項に違反するとしても、違法性の程度は極めて軽微である。しかも各処分は何らの権限もない支部長、分会長、副分会長に対する詩文であり、本件処分により昇給延伸の措置がとられ、原告らが受ける給与上の損失は一人当たり29万円から140万円に達するのは苛酷である。

原告Nの処分について、年休件行使の目的が本件職場大会の参加であったことは、組合員である係長が知っていることで、総務課長が局人事課に打診したうえで「家事都合との理由を書いてもらえば認めよう」ということになったにもかかわらず、処分がなされたのはだまし打ちである。

 

()一審における当局側の反論

 

 当局側の主張は次のようにしっかりして穴がない。

○国公法において争議行為であるためには業務の正常な運営を阻害することを要するとされているが、業務阻害とは、労調法などの場合と異なり業務阻害の危険性をもって足りる。

○本件職場大会が、業務阻害がなかったとはいえない。受付時間前であっても、外部からの電話照会や外来者は皆無でない。出勤簿整理時間は、受付開始時間が到来すれば、ただちに正常業務に入れるように来客受付体制を整えるべき時間であるのに、職場大会を開催すれば、右のような体制を整えることは不可能である。また全運輸中闘の追加指令は前日からの出張、当日の出張は事前にやめさせることを基本とし、当日の出張は実力行使後としており、これだけでも業務阻害といえる。

有給休暇中の者は労務提供義務を免除されるが、国家公務員としての服務上の規律に従わなければならない。

原告らの主張は、要するに、争議行為は、労働組合という一個独立の団体行動であるから、それが違法な場合でもすべて団体が責任を負うべきで、その構成員個人の行為は、組合の行為に吸収され、独立の評価を受ける余地がないということにあるが、その団体性をいかに強調しようともかに強調しようとも、そのことから、直ちに個々の参加者が責任を負担しないという結論を導き出すことはできない。

 争議行為が、一般的に、労働者の団結体たる労働組合の統一的、集団的行為であることは原告の主張のとおりであるが、他面において、争議行為は団体構成員たる組合員の共同に意欲された個別行為の集合であることも事実である。すなわち、争議行為は個々の組合員の積極的、具体的行為なくして成り立ち得ない。これを端的に表現すれば、争議行為は労働組合の行為であると同時に、個々の組合員の行為でもある。そして、個々の組合員は労働組合と別個独立の法的主体であり、従って、違法な争議行為については、労働組合が団体としての責任を負うのとは別に、個々の組合員が責任を負うのは当然である。

 違法争議行為の責任はすべて労働組合にのみ帰せられるべきであるという見解かからすれば、違法争議行為が刑罰法規に触れるときも、刑事責任を負うべきは組合のみとなってしまう。このような帰結が、個々の違法行為者がなした行為について刑事責任を負わなければなんらないという刑事法の一般原則に背馳するものであることは論ずるまでもない。又、不不法行為責任について、近代法の下においては、人は自己の行為についてのみ責任を負うという自己責人又は個人責人の原則が確立されている。違法な争議行為が不法行為を構成するとき、第一次的にその責任をおうべきは行為者個人であり、その行為者が組成する団体が責人を負うのは別個の法理によらなければならず、決してその逆はありえない。決してその逆ではあり得ない。さらに、違法な争議行為が労働契約上の債務不履行を構成するとき、その責人は契約当事者たる個々の労働者について生ずるものであり、組合がかかる風紀の履行責任を負うことはきない。原告の主張は‥‥近代法の建前を立論で何ら根拠のないものといわなければならない。

元来、争議権の保障は、正当な争議行為に限り、これを労働法上団体行動として保障することである。争議行為は業務の正常な運営を阻害する行為であるから、一般市民法上は、刑事、民事の責任が生じ得るべきものであるが、これらの責任を免責し、又は争議行為を理由とする解雇などの不利益取扱いを禁止することに争議行為の権利性が認められる。このような争議権の保障は正当な争議行為に限られており、争議行為が不当、違法なときには、それは労働法上もはや団体行動として保障されず‥‥正当な争議行為に与えられる免責的利益を享受できないのである。換言すれば、違法争議行為は労働法上の団体行為ではなく、法的に個々の労働者の個別行為として契約秩序や服務規律に服することになる。もちろん、争議行為が労働組合の行為であるという側面から、組合としても責任を負うべきことが生じ得るが、こまの組合の責任と個々の労働者の責任とは独立別個のものとして併存するのである。

正当な争議行為の民事免責を定める労組法八条は、「労働組合又はその組合員」に対し賠償を請求することができない旨規定し、本来免責なき場合に組合個々人が使用者に対し債務不履行ないし不法行為による責任を負うことあるべきを当然予定している。又、同法一二条は、法人の不法行為能力に関する民法四四条の規定、法人たる労働組合に準用するものとしているが、民法の右規定の解釈上、法人と共に機関個人の責任が生ずるものと解されている。そして、労組法一二条は、同法八条に規定する組合の正当な争議行為については、右準用を除外する旨明らかにしている。

原告らの主張によれば、このような労組法上の規定は、誤りであるか、適用ないし準用する余地がないことにならざるをえないが、かかる解釈が法条の文理に著しく抵触し、とうてい成り立つものではないことは明らかである。

なお、原告らの主張は「労働組合が争議行為を行う場合には、組合員たる個々の労働者は企業秩序の支配から離脱し、組合の統制に服することになるから通常の企業秩序を前提とする懲戒処分を課することはできない」との趣旨を含むものとも解される。

 しかしながら個々の労働者は使用者と労働契約を締結することによって、企業組織内に編入され企業秩序に服することになるのであって、このような関係は労働契約が存続する限り継続するものである。他方、労働者が労働組合に加入すれば、労働組合の団体統制に服することになるが、この両者の関係は別個独立のものとして併存し、その間に優劣の関係はない。労働者を企業秩の支配から離脱させることはたとえ労働組合であっても使用者の意思に反し自由になし得るものではない。従って、争議行為が労働組合の団体行動として展開されるものだからといって、争議行為によって使用者と個々の労働契約関係が消滅するわけではなく、それが争議行為であるということのみによって、組合員たる労働者が企業秩序の拘束から離脱するという効果を生ずる理由はない。

 一般的に懲戒は、企業秩序、服務規律の維持、確保を目的とするが、かかる目的の達成は企業が存続する限り存続するのであって、労働組合が争議行為を決定し実施したからといって当然に失われるものではない。正当な争議行為に対して問責できないのは別として、違法な争議行為についてまで使用者の統制が及ばないとする根拠はない。‥‥‥‥

 ‥‥従って争議行為が集団的性格をもつということを理由に、個々の職員の行為について、法律の規定に基づきその懲戒責任を問うことを妨げるべき理由は全くない。

 

8.電電公社長岡局事件 最一小判昭62・2・19労判510

 

 全電通は、昭和36年春闘において、賃上げ、時短、要員の算出基準、配慮に関する協約の締結を要求したが、当局は賃上げ要求の一部を除いて要求を拒否し、要員問題については団交に応じられないとの態度をとったため、各県支部の拠点局で3月16日始業時(長岡局は7時20分)から10時までの勤務時間内職場集会を実施することとし、新潟県支部では、長岡電報電話局を拠点とし、組合員多数が前日から局舎内に坐り込み、ピケをはり、管理職員の入局を阻止するとともに、当日の勤務予定者19名を含む長岡分会員(全組合員動員、保安要員なし)、支部組合員ら17001800名が右職場集会を実施したが、ストの実施、戦術の決定等に参画し、ピケを指導する等の行為をした全電通新潟県支部執行委員(専従)2名を公労法18条により解雇したもので、解雇の有効性が争われた。

 本件は、2時間40分の時限ストとはいえ、管理職の入局も妨げるマスピケが実施され、保安要員もないという点で悪質に思える。

一審新潟地判昭441125労民20-6、二審東京高判昭56930訴務28-4ともに18条解雇を有効とした。上告審棄却。

 

 

 

9.全林野広島営林署分会事件最三小判昭62・3・20判時1228

 

 全林野は定員外作業員・臨時作業員の常用化・常勤性の付与を要求して(A)昭和451211日全国67営林署において約4時間のストを実施した。(B)昭和46423日全国72営業署において約4時間のストを実施した。又全林野は(C)春闘共闘の一環として大幅賃上げを要求し、昭和46430日全国20営林署で約4時間。520日全国21営業所で2時間約2時間50分の各ストを実施したが、本件は(B)のストに参加した現場作業員に対する1ヶ月減給10分の1の懲戒処分の取消請求訴訟である。

()一審広島地判昭51・4・21

東京中郵判決・都教組判決の趣旨に沿って、本件程度のストライキは公労法17条1項が禁止しているとき解しがたいしし、懲戒処分を違法として取消した。

()二審広島高判昭57・8・31

名古屋中郵判決に従って公労法17条1項の組合側の主張をしりぞけたうえ、本件懲戒処分は裁量権を濫用したものとは認められないとして、一審を棄却した。

()上告審

棄却

「公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは当裁判所の判例とするところであり(‥‥五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁)、また、右規定を国有林野事業に従事する一般職に属する国家公務員(以下「林野職員」という。)に適用する場合に限ってこれを別異に解すべき理由がないこと、及び国家公務員法八二条の規定を適用するに当たり、林野職員の行う争議行為に公労法一七条一項の規定により禁止される争議行為とそうでないものとの区別を設けなくとも憲法二八条に違反するものでないことも、右の判例に照らして明らかである。これと同旨の見解のもとに本件争議行為が公労法一七条一項に違反するとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨はいずれも採用することができない。‥‥ 

 団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約(‥‥ILO九八号条約)四条は労働者の争議権を保障した規定ではないから、同条が労働者の争議権を保障したものであることを前提とする所論憲法九八条二項違反の主張は、失当である。‥‥ 

 林野職員が、上司の職務上の命令に反し、公労法一七条一項の禁止を犯して争議行為を行った場合には、国家公務員法九六条一項、九八条一項、一〇一条一項に違反したものとして、同法八二条の規定による懲戒処分の対象とされることを免れない。また、右の争議行為は集団的行動であるが、その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しないところである(‥‥五三年七月一八日第三小法廷判決・民集三二巻五号一〇三〇頁参照)。これと同旨の見解のもとに本件懲戒処分を適法とした原審の判断は、正当として是認することができる。‥‥原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件懲戒処分が懲戒権の濫用に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができる」

 

()伊藤正巳裁判官の補足意見

「公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、すでに当裁判所の確立した判例であり、公労法一七条一項の規定を国有林野事業に従事する一般職に属する国家公務員に適用する場合に限ってこれを別異に解すべき理由がないことも、多数意見のとおりであると考えるが、なお、本件が比較的単純な労務に従事する現場作業員による約四時間の単なる労務の不提供を内容とする同盟罷業の単純参加行為に対し、一か月間一〇分の一の減給処分をもつて臨んだ懲戒処分の事案であることに鑑み、懲戒権の濫用の有無について、私の意見を述べておきたいと考える。 

 公労法一七条一項が現業公務員等の争議行為を一律全面的に禁止したことをもつて直ちに憲法二八条に違反するものとはいえず、公労法三条一項は、同法一七条一項に違反してされた争議行為に対する民事法上の効果として、労働組合法八条の規定の適用を除外することを定め、また公労法一八条は、同法一七条の規定に違反する行為をした職員は解雇される旨を規定していることに徴すれば、同法一七条一項違反の職員の行為が勤務関係上の規律ないし職場秩序に違反するものである限り、右の事由をもつて懲戒処分の事由とされることは免れ難いものといわなければならない(この点において、公労法上特別の罰則のない同法一七条一項違反の争議行為に対する刑事罰の問題とは同一に論ずることはできないものと考える。)。 

 しかしながら、懲戒処分は、被処分者たる職員に係る非違行為の違法性の程度の比例したものでなければならないことはいうまでもなく、公務員も憲法二八条にいう勤労者に当たるものと解される以上、原則的にはその保障を受けるべきものであるから、公労法一七条一項は一律全面的に争議行為を禁止し、職員が争議行為を行った場合には違法の評価を免れないものとはいえ、その違法性の程度については、憲法二八条に定める労働基本権の保障の趣旨と公労法が公共企業体等の職員について争議行為を禁止することによって擁護しようとする国民全体の共同利益との調和の観点に照らし、均衡を失することのないようこれを評価すべきものである。そして、この点について、国家公務員法及び地方公務員法が、いわゆる非現業の公務員の争議行為に対する刑事制裁について、争議行為又は怠業的行為の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者だけを処罰することとし、同盟罷業、怠業その他単なる労務不提供のような不作為を内容とする争議行為又は怠業的行為の単純参加行為については処罰の対象から除外しているが、これは国民全体の共同利益のために争議行為又は怠業的行為を禁止することと右の公務員の生存権、労働基本権の保障との調整を図る趣旨に出たものであり、争議行為又は怠業的行為そのものの原動力となる指導的行為と単純参加行為との間に違法性の程度に格段の差異があることを認めているものであると解されること(国家公務員法九八条二項、一一〇条一項一七号、地方公務員法三七条一項、六一条四号参照)、また、多数意見の引用する大法廷判決において、たとえ公労法一七条一項違反の争議行為が他の法規の罰則の構成要件を充たすことがあっても、それが同盟罷業、怠業その他単なる労務不提供のような不作為を内容とする争議行為である場合には、単純参加者についてはこれを処罰から解放して指導的行為に出た者のみを処罰するのが法秩序全体の趣旨であると解するのが相当であると判示されていることが参考になるものと考える。 

 右のような観点からすれば、本件において、上告人ら現場作業員が全林野労働組合の組合員として同組合本部の指令及び同組合大阪地方本部役員の指導に従って行った約四時間の単なる労務の不提供を内容とする同盟罷業の単純参加行為に対し、一か月間一〇分の一の減給処分をもつて臨むことが、その行為の違法性の程度に比して権衡を失していないか、いささか疑念の余地がないではない。しかし、同盟罷業の単純参加者に対しては懲戒処分として常に裁定の戒告処分しか課し得ないとすることも明らかに不合理であり、公務員に対する懲戒処分は、平素から庁内の事情に通暁し、部下職員の指揮監督の衝に当たる者の裁量に委ねられているものであつて、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものであることに鑑みれば(‥‥五二年一二月二〇日第三小法廷判決・民集三一巻七号一一〇一頁参照)、上告人らに対する本件懲戒処分が社会観念上著しく妥当性を欠いて裁量権を濫用したものとは認められないとした原審の判断は、その確定した事実関係のもとにおいて、これを違法なものと断ずることはできないものと思われる。」

 

10.全林野旭川地本事件最二小昭62・3・27労判496

 

 本件は全林野が昭和46年春闘に際し大幅賃上げ等を目的として三回にわたりストを実施し、全林野旭川地本の三営林署分会で1時間45分ないし4時間の職場集会を行ったことに対する141名に対する下記の懲戒処分の取消訴訟である。

 原告は美瑛営林署長、旭川営林局長、名寄営林署長、羽幌営林署長によって任用された国有林野事業に従事している全林野組合員である。

 

○減給三月(1名)、減給一月(49)

処分理由 昭和46年4月23日に違法な職場放棄に参加した。

職場放棄時間 4時間

違反事項 公労法17条1項、国公法96条1項(服務の根本基準)、98条1項(上司の職務命令に従う義務)、99条(信用失墜行為の禁止)、101条1項(職務専念義務)

適用条項 国公法82条各号

(ほかに1名が4月30日の職場放棄4時間で減給1ヶ月)

 

○戒告(47名)

処分理由 昭和46年5月20日に違法な職場放棄に参加した。 

職場放棄時間 2時間19分~2時間40分(46名)1時間45分(1名)

違反事項 公労法17条1項、国公法96条1項(服務の根本基準)、98条1項(上司の職務命令に従う義務)、99条(信用失墜行為の禁止)、101条1項(職務専念義務)

適用条項 国公法82条各号

 

停職三月(3名地本委員長専従、地本副委員長専従、地本書記長専従)

停職一月(2名地本執行委員長)

停職20日間(1名地本執行委員専従)

以上6名の違反事項は公労法17条1項、国公法99条 適用条項は国公法82条1号、3号

 

停職10日間(地本執行委員6名)

違反事項 公労法17条1項、国公法96条1項(服務の根本基準)、98条1項(上司の職務命令に従う義務)、99条(信用失墜行為の禁止)、101条1項(職務専念義務)

適用条項 国公法82条各号

 

()一審旭川地判昭50・7・17判タ328

中郵判決に従い、参加者に対する懲戒処分につき、公労法17条1項に限定解釈をした上、同法に禁止された争議行為にあたらないとしてとして取消した。

()二審札幌高裁昭57・10・27裁判所ウェブサイト

   昭52・5・4全逓名古屋 中郵事件大法廷判決、昭53・7・18全逓東北地本事件第三小法定判決、昭56・4・9専売公社山形工場事件第一小法廷判決に従って「本件ストライキは、いずれも公労法一七条一項に違反する違法なものであり、原判決添付の処分等一覧表の処分の事由、職場集会実施場所、職場集会および職場に復帰するまでの職務放棄間の各欄に記載の各被控訴人の行為は、それぞれ同表の違反事項欄記載の法条に違反し、適用条項欄記載の法条に該当するということができる。」とした上で、「全林野が実施した昭和四四年一一月一三日から昭和四七年五月二五日までの間のストライキに参加した者は、本件ストライキの参加者を含め、その全員が戒告以上の懲戒処分に付されたが、その後昭和五一年一二月一六日までの間に実施したストライキに参加した一般組合員(単純参加者)は、戒告以上の懲戒処分には付されず、訓告、厳重注意等の処分を受けたに過ぎないこと、右のストライキの単純参加者に対する処分の程度の変化は、昭和四八年四月二七日、同年の春闘の収拾にあたり、政府と春闘共闘委員会との間に、労働基本権問題については、第三次公務員制度審議会の答申が出された場合は、これを尊重する、政府は労使関係の正常化に努力する等の趣旨の項目を含む七項目の合意がなされたこと、同年九月三日、公務員制度審議会が政府に対して答申を行つたこと、同年一一月一六日、ILOの結社の自由委員会が、全逓等の官公労組、総評が出していた提訴について、同理事会に対し、スト参加者に報酬上の恒久的不利益や経歴にまで差別のつく制裁は避けるべきである、ストの起るたびに処分すべきであるとは考えない等の趣旨を含む報告を行ったこと等に基づいて政府、組合側双方の間に労使関係正常化について特別の努力が払われていたという事情が考慮されたことに因るものであり、本件懲戒処分が行われた当時には、右のような事情は存しなかったことが認められる。したがって、全林野旭川地本が実施した昭和四八年二月一〇日から昭和五一年一二月一六日までの間のストライキの単純参加者が、戒告以上の懲戒処分を受けなかったということから、本件ストライキの単純参加者である被控訴人らに対し戒告以上の懲戒処分をなしたことが、懲戒権の濫用であるということはできない。そして、他に、被控訴人らに対してなされた本件各懲戒処分が、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者に委ねられた裁量権の範囲を超えこれを濫用したものというべき事実を認めるに足りる証拠はない‥‥」とし、懲戒処分は違法ではないとした。

 

()上告審

棄却

「公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和四四年(あ)第二五七一号同五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁)、また、右規定を国有林野事業に従事する一般職に属する国家公務員に適用する場合に限ってこれを別異に解すべき理由がないこと、及び国家公務員法八二条の規定の適用に当たり、右の国家公務員の行う争議行為に公労法一七条一項の規定により禁止される争議行為とそうでないものとの区別を設けなくても憲法二八条に違反するものでないことも、右の判例に照らして明らかである。これと同旨の見解のもとに本件争議行為が公労法一七条一項に違反するとした原審の判断は、正当として是認することができる‥‥団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約(昭和二九年条約第二〇号。いわゆるILO九八号条約)四条は労働者の争議権を保障した規定ではないから、同条が労働者の争議権を保障したものであることを前提とする所論憲法九八条二項違反の主張は、その前提を欠く‥‥」

 

 (4)林藤之輔裁判官の補足意見

 私は、公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでなく、また、公労法一七条一項の規定を国有林野事業に従事する一般職に属する国家公務員に適用する場合に限ってこれを別異に解すべき理由はないとする法廷意見に賛成するものである。ただ、上告代理人は、上告人らは、そのほとんどが国有林野事業の現場作業に従事する作業員で、本件争議行為においては短時間に限って単に労務を提供しなかっただけであり、国有林野事業の業務の性質及び右争議行為の態様に照らせば、本件争議行為が国民生活に重大な障害をもたらすものでないことは明らかであり、したがって、これに対して公労法一七条一項の規定を適用することは許されない旨主張する(上告理由第一点の第四)ので、この点について私の考えているところを一言付け加えておきたい。 

 憲法で保障された労働基本権の制限は、労働基本権の尊重と国民生活全体の利益の擁護とが調和するように決定されるべきものである(‥‥四一年一〇月二六日大法廷判決・刑集二〇巻八号九〇一頁参照)。現業の職員の従事する業務も、多かれ少なかれ、また、直接と間接との相違はあっても、等しく国民生活全体の利益と密接な関連を有するものであり、右職員の罷業、怠業等が国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそれがあることは否定できないから、国民生活全体の利益を擁護するため右職員の争議行為を一律全面的に禁止しても、やむを得ない措置として合理性を有するというべきである。公労法一七条一項の規定が現業の職員の争議行為を一律全面的に禁止したことをもって憲法二八条に違反するものということができないとする結論は、右の観点から肯定できるものである。そして、公労法一七条一項に違反する行為をした職員は、その行為が勤務関係上の規律に違反する場合には、懲戒等の制裁の対象とされることを免れないが、右争議行為の禁止の規定は、国民生活全体の利益を擁護するためのやむを得ない措置として設けられたものであるから、右規定に反する争議行為の違法性は、当該行為が国民生活全体の利益に及ぼす影響の程度に応じて強弱の差があるものというべきであり、したがって、争議行為を行った職員に対し懲戒処分を行うとしていかなる処分を選択するかを判断するに当たっては、当該争議行為が国民生活全体の利益に及ぼす影響の程度を重要な要素として考慮すべきであるといわなければならない。ところで、争議行為が国民生活全体に及ぼす影響の程度については、事案に即して具体的に判断しなければならないことはいうまでもないが、一般的には、その影響の程度は、各現業の業態、参加職員の職務内容、争議行為の態様及び規模等により異なるものであるということができる。本件についてこれをみるに、原審の確定したところによれば、本件争議行為は、全林野労働組合の指令に基づき全国の拠点となった分会で行われたものであるが、上告人らを含む争議参加者のうちの多くは、常用作業員又は定期作業員として雇用され、生産手A、B、造林手、機械造林手などとして国有林野事業の現場作業に従事するものであり、その態様は単なる労務の不提供であり、時間も短時間に限られていたというのであり、国有林野事業の業務の性質及び右争議行為の態様等からみれば、右争議行為による作業の遅れ等は、その後における作業計画の中で吸収することが可能であり、それによる国民生活全体への影響の程度はそれほど大きなものではないと考えられるから、右争議行為の違法性は比較的軽微であるといわなければならない。しかも、右常用作業員及び定期作業員は、一般職に属する国家公務員ではあるものの、身分の不安定な非常勤の職員であり、その処遇も定員内職員には及ばないものである。それ故、上告人らのうちの単純参加者に対してされた一か月又は三か月減給一〇分の一(ちなみに私企業における減給の制裁は、労働基準法九一条により一回の額が平均賃金の一日分の半額に制限されているから、本件の一か月減給一〇分の一は、標準作業日数を月二五日とみた場合私企業における右最高限度額の五倍に相当する。)という懲戒処分の内容については、行為の違法性の程度及び上告人らの身分に徴して疑問がないわけではないのである。 

 以上のとおり、私は、本件懲戒処分は、これを懲戒の裁量権の行使が妥当であったかどうかという点からみると、問題にする余地があると考えるが、公労法一七条一項の規定は、現業の職員の争議行為を一律全面的に禁止したものであると解すべきであり、上告人らが同法二条二項二号に該当する職員であることは否定することができないところであるから、前記のような事情が存するからといって、上告人らの行った本件争議行為に同法一七条一項の規定を適用することが許されないということはできないのである。」

この補足意見は名古屋中郵判決によって否定された東京中郵判決の内在的制約論を引用している点で疑問をもつ

2016/09/17

豊洲新市場報道について

  表向き敷地全体に盛り土と広報されていたのに実は主要な建物の地下が空洞だったことからこの関連記事が連日一面トップ、ワイドショーも、汚染対策や建築の専門家を呼んで詳しく報道している。技術的な問題なので難解であるにもかかわらず少なくとも中村橋之助の不倫事件より世間の関心は高いといえる。
 最近の報道は、都庁の体質の批判に及んでいる。日経9/16は「都庁の統治不備露呈」との見出しで、「意思決定が曖昧なままに事業が進んでいた」とする。慎太郎元知事は13日の報道番組で「都庁の役人は腐敗していると思った」「東京都は伏魔殿だ」とさえ言ったという。平成14年にながら条例問題で三羽烏と呼ばれる都議から厳しく追及されたが、主として報道していたのは産経新聞だけだったように思う。都庁の問題はローカルニュースでも情報量は少なかったが、今回はワイドショーもやっているので世論への影響ははるかに大きく、ガバナンス改革が必要ということになりそうだ。

  築地に魚河岸があるのは知っていたが、青果市場もあるいうのを今回はじめて知った。都政新報を熟読したことはないので、今回テレビのインタビューで慎太郎元知事に反論していた比留間英人氏すら知らなかったというほど、都政にうといのでとやかく言える立場ではないが、16日発行(17日付)日刊ゲンダイhttp://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/190025「盛り土無視・全責任者リスト公開、都庁は伏魔殿、クロをシロとする奴ほど出世する」という見出しで近年の中央卸売市場幹部13人の実名と現職をピックアップしている。中でも比留間氏の「渡り」がすごいと言っている。平成23年7月総務局長で退職、同年10月に東京臨海ホールディングス社長、昨年8月から東京メトロの代表取締役副会長で報酬約1800万と推定されている。
  自分がネットで調べたところこの人は、教育庁での経歴が長く、平成24年に教育長に就任しているから、実力相応の出世なのだろう。
  天下りについては『週刊ダイヤモンド』2011年10月15号特集「おいしい公務員」(つまり比留間氏が退職した時期)、「国以上の伏魔殿東京都!天下り・わたり野放しの実態」という記事がありで定年退職後の生活に不安を抱く民間を尻目に悠々自適の生活が保障されていると批判されていたことなので驚くことはない。
  しかし、26年6月9日 地方公務員法等の一部を改正する法律で、詳しくは知らないが、元職員による働きかけの規制、働きかけ規制違反に関する監視、再就職状況の公表、例2 職員が他の職員又は元職員の再就職をあっせんすることの制限、職員が在職中に自らの職務と利害関係のある企業等に求職活動することの制限など措置する退職管理を行うようになっているので、改善されると思う。

2016/09/11

働き方改革 残業時間上限規制罰則化に強く反対その2

私は、安倍政権の「働き方改革」で、三六協定の運用見直しによる一ヶ月あたりの残業時間の上限規制厳格化、罰則もと報道されているが全面的に反対なので意見をのべたい。

 

理由2 男性中心の働き方改革という目的に強く反対

 

(1) 私的自治と婚姻家族を否定する政策

 

長時間労働規制の目的が、女性活躍、女性のキャリア形成や男性の家庭参画をはばむためで、ひいては少子化対策にあるという。とくに男性に育児負担をさせ、男女役割分担の定型概念打破する社会変革を行うためだという。

私は近代市民社会の原則である、契約自由、自己責任、私的自治に反する政策として強く反対である

第一にこれは婚姻家族の否定である。なぜなら、人類学者の大御所である清水昭俊国立民族学博物館名誉教授は、婚姻家族を厳密に定義し母系家族と対極をなすのが婚姻家族であって「家内的生活が主として夫婦間の性的分業によって営まれる家と定義され、核家族や核家族からなる拡大家族はこれに含まれる」[清水『家・身体・社会 家族の社会人類学』弘文堂1987  97頁]とされている。

また清水は日本の「家」の構造を理論化し、家長-主婦という地位は必須の構成であること。家長と主婦は必ず夫婦であること。次代の家長と主婦を確保することで永続が保障されること。嫁は主婦予定者として、婿は家長予定者として婚家の成員であるとしている。

つまり性的分業があって初めて婚姻家族なのであるから、男女役割分担の定型概念の打破は実質的に婚姻家族を否定する社会変革といえるが、それを私は望まないし、多くの国民もそう思うだろう。

にもかかわらず、女性活躍のため男性が育児負担をするジェンダー論によるモデルのパートナーシップを公定イデオロギーとしてが国策だと安倍さんはいうのだろうが、われわれが、結婚するにあたってどのような家庭を築くかは私的自治の領域であって、政府が干渉すべき事柄ではないと強く抵抗の意思を示したい。

わが家は、伝統的な家長-主婦の役割分担の家族を築いてもよいし、クリスチャンであれば夫がバロン(領主)であり、小さな教会の主教であるという家庭が最善であると考える。私的自治の原則から、これは政府に干渉される事柄ではない。私には信教の自由もある。

男性を育児参加させるために時短はばかげている。ハードワークだけがとりえの男性は生きる場を失うことになる。というよりもこの政策はもはやジェンダー論という特定の価値観をおしつける悪性のパターナリズム、全体主義である。育児を押し付けられるんだったら私は絶対に結婚しない。

 

(2) 全く根拠がない少子化対策

 

長時間労働規制が少子化対策などというのは詭弁である。なぜならば時短先進国のドイツは2012年の出生率が1.38と日本より低く、配置転換がなくあくせく働かない印象のあるイタリアも2012年に1.40と低い、むしろ法定有給休暇もなく日本より労働時間の長い米国や、EU労働時間規制について適用除外を(オプト・アウト)が可能で、大陸諸国より長時間労働の英国の出生率が高い。百歩譲って、なんらかの論理性があるとしても、契約の自由を侵害する長時間労働規制は反対だ。 

働き方改革 残業時間上限規制罰則化に強く反対

 

(首相官邸に送信したもの)

 私は、安倍政権の「働き方改革」で、三六協定の運用見直しによる一ヶ月あたりの残業時間の上限規制厳格化、罰則もと報道されているが全面的に反対なので意見をのべたい。

 

理由1 反自由主義、反自由企業体制、共産党の政策であり、契約の自由、私的自治等近代市民社会の根幹を歪める

 

(1)時短は進みすぎて、米国より労働時間が短くなっていのに、やりすぎである。

 

 古賀茂明週刊PBのコラムによれば、長時間労働是正政策は90年代に通産省で自分がとりまとめたもので、共産党不破委員長が賞賛してくれたという。元は赤い官僚の政策なのだ。90年代は週休2日制により時短が進み結果として失われた10年を招いた。しかし90年代はまだ健全で、日経連が全ホワイトカラー裁量労働制と、労基法の罰則廃止を提言し自民党もその政策に賛成していたし、世界的潮流も独仏等時短先進国で見直しの動きになっていた。これに危機感をいだいた左翼陣営が、不払残業撲滅運動を行い、森内閣坂口労相が2001年より、それまで労使自治に委ね、政府の干渉をさけてきた方針を転換し、サービス残業は労働基準法違反で、悪質な企業は司法処分を辞さないという労働基準局長通達)を出し、時代錯誤な労基法厳守の方針にしてしまった。まずNECが基準監督署の指導で主任以下の調査を行い過去2年分の残業代を支払わされた。100人以上について平均150時間約4500万とされている。次に日立製作所、三菱電機で是正勧告、係長級に導入していた残業手当の定額支給も見直された。さらにシャープ、沖電機でも是正指導がなされた、その後も摘発が強化され、結果的に、一定時間で手当を打切ったり、定額支給などの運用ができなくなり、80年代日本人はホワイトカラーなら年間300時間のサービス残業はあたりまえだったのに(これは事実上コアタイムの長い裁量労働制と同じである)、悪法「法令遵守」が求められるようになった。さらに最近は共産党のブラック企業攻撃により、不払い残業ではなく、残業代を出しても時間外労働協定違反を摘発するようになった、異様な長時間労働叩きである。

 一方、勤労者も、失われた20年の経済低迷、忠誠心の低下、成果主義も頓挫し昔はサービス残業を厭わなかったのに、「法令遵守」を口実にせちがらく実働時間手当を求めるのが一般的になり、時短推進の口実となっているが、もとは坂口労相時代の方針転換が招いたことである。

 結果的に、日本人は80年代の経済絶頂期は猛烈に働いていたのに、アメリカ人より働かなくなくなり、これ以上の時短強化は、勤勉だった国民性を崩壊させ、自滅を招くだけ。労働契約は、役務賃貸借契約であるという近代民法の原則からして債務の本旨の履行こそ労働者の本分であるのに、時短の影響で、仕事をやり遂げることよりも、時間で働く風潮が強くなり、モラルはますます崩壊する。仕事にブレーキをかけることで、ドラッカーのいう達成感、成功体験を与えることのできない職場に変質する。米国ITベンチャーでは週80時間労働はあたりまえ。クァルコムが夜食やクリーニングのサービスをするのは知識労働者にもっと働いて貰いたいから。

 百歩譲って、失業率の高い時期なら、ワークシェアリングとしての時短はありうるが、今日は人手不足で、時短を強行するのは理解不能である。

 

2・自由主義者が神聖視する契約の自由に著しく反する政策である

 

 そもそも三六協定のような労働法は外国にはない。それは契約の相対効という近代市民法の原則に反するためだが、そもそも労基法が赤い法律である。

 米国では古典的自由主義者が神聖視するロックナー時代の最高裁判例が2つある。

 アドキンス対児童病院判決 (1923)最低賃金立法は雇用者及び被用者の雇用契約交渉の自由に対する違憲な侵害であり、雇用契約中に包含する仕事の内容に注目せずに賃金の支払いを強制する法律は立法権の根拠のない専断的行使とした。(1937年判例変更)

 もう一つは、バン焼き、ケーキ、ビスケット職人の週60時間以上の労働を禁止した州法を違憲としたロックナー判決(1906)である。パン焼は危険な業務ではなく、労働力取引の自由を侵害するものして違憲判決を下した(後に判例変更)、当時は時間給ではなく日給2ドルが相場だった。実際60時間以上働いていたのは自発的にケーキ作りの練習の為で、雇用主と良好な関係だったのに告発されたのである。

 奴隷は自身が他人の財産であるから主人に保護されるが、自ら望んでも長時間労働する契約の自由はない。長時間低賃金労働を厭わない人の契約の自由を奪うことは人間を一人前扱いしない侮辱だ。

 従って真の自由主義者は、最低賃金規制と労働時間規制には絶対反対するはずである。

 (2000字につめる前のもの)

 

 私は、安倍政権の「働き方改革」で、三六協定の運用見直しによる一ヶ月あたりの残業時間の上限規制厳格化、罰則もと報道されているが全面的に反対なので意見をのべたい。制

 

 

 

理由1 反自由主義、反自由企業体制、共産党の政策であり、契約の自由、私的自治等近代市民社会の根幹を歪める

 

 

 

(1)時短は進みすぎて、米国人より労働時間が短くなっていのに、やりすぎである。

 

 

 

 古賀茂明週刊PB37号のコラムによれば、今回の長時間労働是正政策は、90年代に通産省で自分がとりまとめたものだか、共産党不破委員長が賞賛してくれたものだという。元は赤い官僚の政策なのだ。90年代は週休2日制により時短が進み結果として失われた10年を招いた。しかし90年代はまだ健全で、日経連が全ホワイトカラー裁量労働制と、労基法の罰則廃止、成果主義という働き方改革を提言し自民党もその政策に賛成していたしし、世界的な潮流もドイツ・フランス等時短しすぎで見直しの動きになっていた。これに危機感をいだいた左翼陣営が、不払い残業撲滅運動を行い、森内閣坂口労相が2001年より、それまで労使自治に委ね、政府の干渉をさけてきた方針を転換し、サービス残業は労働基準法違反で、悪質な企業は司法処分を辞さないという労働基準局長通達(基発339号)を出し、時代錯誤な労基法厳守の方針にしてしまった。まずNECが基準監督署の指導で主任以下の調査を行い過去2年分の残業代を支払わされた。本社の100人以上について平均150時間約4500万とされている。日立製作所でも未払い残業代が支払われ、三菱電機で是正勧告、係長級に導入していた残業手当の定額支給も見直された。さらにシャープで是正勧告、沖電機でも是正指導がなされた、その後も摘発が強化され、 結果的に、一定時間で手当を打切ったり、定額支給などの運用ができなくなり、80年代日本人はホワイトカラーなら年間300時間のサービス残業はあたりまえだったのに(これは事実上コアタイムの長い裁量労働制と同じである)、悪法「法令遵守」が求められるようになった。さらに最近は共産党のブラック企業攻撃、女性活躍、男性中心の働き方改革等の赤い政策要請により、不払い残業ではなく、残業代を出しても時間外労働協定違反を摘発するようになった、異様な長時間労働叩きである。

 

 一方、勤労者も、失われた20年の経済低迷、会社への忠誠心の低下、成果主義も頓挫し昔はサービス残業を厭わなかったのに、「法令遵守」を口実にせちがらく実働時間手当を求めるのが一般的になり、残業代削減のために朝型出勤などが提言されるに至っており、時短推進の口実となってしまっているが、もとは坂口労相時代の方針転換が招いたことである。

 

 結果的に、日本人は80年代の経済絶頂期は猛烈に働いていたのに、アメリカ人より働かなくなくなり、これ以上の労働時間規制強化は、勤勉だった国民性を崩壊させ、自滅を招くだけ。労働契約は、役務賃貸借契約であるという近代民法の原則からして債務の本旨の履行こそ労働者の本分であるのに、時短の影響で、仕事をやり遂げることよりも、時間で働く風潮が強くなり、モラルはますます崩壊する。仕事にブレーキをかけることで、ドラッカーのいう達成感、成功体験を与えることのできない職場に変質する。米国ITベンチャーでは週80時間労働はあたりまえだ、そのかわり当たれば億万長者だ。クァルコムが夜食やクリーニングのサービスをするのは知識労働者に働いて貰いたいから。労働時間規制で働く意欲にブレーキをかけるのは本末転倒である。

 

 百歩譲って、大恐慌、失業率の高い時代なら、ワークシェアリングとしての時短は理解できるが、今日は人手不足で、時短政策を強行するのは理解不能である。

 

 

 

 

 

2・自由主義者が神聖視する契約の自由に著しく反する政策である

 

 

 

 そもそも三六協定のような労働法は外国にはない。それは契約の相対効という近代市民法の原則に反するためだが、そもそも労基法が赤い法律である。

 

 米国では古典的自由主義者が神聖視するロックナー時代ノ最高裁判例が2つある。

 

 アドキンス対児童病院判決 (1923)最低賃金立法は雇用者及び被用者の雇用契約交渉の自由に対する違憲な侵害であり、雇用契約中に包含する仕事の内容に注目せずに賃金の支払いを強制する法律は立法権の根拠のない専断的行使とした。(1937年判例変更)

 

 もう一つは、バン焼き、ケーキ、ビスケット職人の週60時間以上の労働を禁止した州法を違憲としたロックナー判決(1906)である。パン焼は危険な業務ではなく、労働力取引の自由を侵害するものして違憲判決を下した(後に判例変更)、当時は時間給ではなく日給2ドルが相場だった。実際60時間以上働いていたのは自発的にケーキ作りの練習の為で、雇用主と良好な関係だったのに告発されたのである。

 

 奴隷は自身が他人の財産であるから主人に保護されるが、自ら望んでも長時間労働する契約の自由はない。長時間低賃金労働を厭わない人の契約の自由を奪うことは人間を一人前扱いしない侮辱であり、過剰なパターナリズム、奴隷扱である。

 

 従って真の自由主義者は、最低賃金規制と労働時間規制には絶対反対するはずである。ところが、長時間労働規制に反対する人が日本に少ないというのは、健全な自由主義の枯渇した危機といわなければならない。

 

 実際、メジャー首相時代の英国は、最低賃金制度も廃止し、年少者以外労働時間規制はなく、労使自治ないし個別の契約に委ねられていた。豪州自由党、ニュードジーランド国民党の労働政策は、所定時間外労働の賃率等しはすべて個別交渉で自由とするものである。そうした政策を打ち出す新自由主義政党が日本にないのが問題だ。

 

従って、元々総評・社会党の提案を岸派の倉石忠雄氏を通して自民党が妥協して成立した最低賃金制度や、長時間労働規制に異常なほどのこだわりを持つ安倍首相は明らかに反自由主義者で社会主義者だと評価しなければならない。ひょっとしたら習近平主席より左翼体質かもしれない。日本は競争力を失う、残念なことだがもうこれからは中国の時代になる。

 

 

 

 

 

 

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