今日の朝刊(9月1日)を読んで
川西正彦-平成17年9月1日掲載
8月31日「皇室典範に関する有識者会議」(座長吉川弘之元東大学長)の第11回会合に関する記事を読んだが、きわめて不愉快だ。東京新聞によれば--男系男子による皇位継承は「安定性の面で非常に懸念が残る」との認識で一致した。(中略)また旧皇族の復帰による男系継承についても吉川座長は「安定性の意味ではよくない」と慎重な姿勢を示した--とされ、次回より女性・女系天皇を認めた場合の皇位継承順や皇族の範囲の具体的検討に入ると報じている。
吉川座長の言っていることは論理矛盾も甚だしい。女系では、再三述べているように、非皇親(非王姓)のプリンスコンソートを迎えると継嗣が即位した時点で事実上の異姓簒奪、易姓革命になり異姓間の帝位継承で日本国は終焉するのだから、国が滅びる道を選択することになる。むしろ本当の意味での異姓簒奪にならない皇位継承資格者を枯渇させる政策である。皇朝の皇位継承者を枯渇させる政策が安定性だとわめいている、全く異常なことだといわなければならない。
どうも、有識者会議は安定性をキーワードにして(継嗣の安定的確保という意味だろうが)、万世一系の皇位国体を否定し、異姓簒奪を容認し、内親王に禅譲革命を演出する最悪の役割を強要し、日本国を終焉させたいようだ。これほどひどい政策はない。
そんなに安定性というなら、旧皇族にかぎらず、実系で男系で天皇に繋がる家系も含め、複数程度といわず一挙に5つも6つも宮家を復帰・創設すればよいのである。政府要人は三顧の礼を尽くして頭を下げて、それこそ政治家の出番だが、粘り強く交渉していけば、それなりに成果が出るのではないですか。
そんなに安定的確保、安定的確保と騒ぐなら、私がウェブログの第1回の「はじめに」で述べたように、後宮制度を再構築すればよい。明治15年~18年に民間の家族制度では法律上の妾制が廃止されているとはいえ、キリスト教を公定宗教としているわけではないから、単婚制にこだわる必然性はない。とりわけ皇室については。
後宮といっても、次妻格以下のキサキは御所を居所とする必要もなく、里第で比較的自由に優雅にすごしていただければいいじゃないですか。妃殿下にとってもプレッシャーから解放され悪くないのでは。その際、円融后藤原遵子が「素腹の后」と女御にすぎなかった一条生母皇太后藤原詮子(のち東三条院と女院宣下)の女房に嘲られたように、妻后と帝母の地位が逆転することがないように、嫡妻たる妃殿下の身位が毀損されることがないように、制度設計する必要はあります。あくまでも妃殿下が后位で、もし次妻格以下が東宮生母から天皇生母となった場合でも后位の嫡妻の権限を毀損することがないように、例えば皇太后(天皇の公式の母)と皇太夫人(天皇実母)と並び立っても、嫡妻の権限と公式の母ははあくまでも実母でなくても皇太后であることを明確にするとか、そういう制度設計は専門家がいるんでしょう。
皇位国体護持が最優先政策であるべきです。そのための後宮再構築なら費用がいくらかかってもかまわないじゃないですか。公務員住宅を潰して公費で里第となる宮殿を建設してもいいんじゃないかと思います。つまらないことでけちけちして、国を滅ぼすことはない。
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