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2005/11/06

女系天皇容認の皇室典範改正は憲法第二条に反し違憲である

-有識者会議メンバー憲法二条の見解に対する反対意見-第1回-

目次 要旨
   有識者会議のメンバーの見解についての疑問
   園部逸夫の非論理性
   小嶋和司説(世襲=男系継承説)
   フランス王権の王朝形成原理との類比

川西正彦(平成17年11月6日)

要旨   
 
私はこれまで立法政策として女性・女系天皇容認の政府-有識者会議を批判してきたが、憲法問題としても実はかなり疑問である。憲法違反の疑いが濃いということをこの際、言っておこうと思います。
有識者会議の議事要旨をみると、憲法第二条「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」は女系を容認しているという勝手な解釈から、憲法に戻って考えるなら女性・女系天皇を容認できるとする見解のメンバーがいますが、世襲の在り方はどのようにでも国会の議決によって改変できるという性格のものでなく、憲法制定時の趣旨からみて、皇室典範を改変とするとしてもそれは王朝に相応しいルールによる継承、前例によるなんらかの根拠のある方法論に限定されるべきものであり、易姓革命、異姓簒奪を合法化するようなかたちの女系継承はもちろん、歴史上前例のある生涯非婚内親王のような例を別として女性継嗣は、憲法二条に違反すると考える。むしろ、憲法制定時の趣旨からみて、世襲規定に合致するのは旧皇族の属籍を復す方法での皇位継承であるということを述べます。
 つまり私は「世襲=男系継承」とする小嶋和司説(註1)に基本的に従うものであります。こういうとそれは多数説ではないとの批判があるかもしれないが、そもそも有識者会議の結論は皇室の歴史・伝統を否定し、事実上易姓禅譲革命を是認するもので、国を滅ぼす第一歩となり、立法政策として最悪の政策なのである。だから反対。それに付け加えて、少なくとも制定史上の事実として、「世襲」の公定英語がdynasticなのである。皇位の継承はdynastic、王朝形成原理を維持するものでなければならないはずである。憲法制定時の趣旨(それはマッカーサーや民政局の意向であった)を尊重するという観点から、それは万世一系の皇位でなければならないので、したがって世襲規定の意味するところは、昭和二十一年七月二五日宮内省が臨時法制調査会小委員会が提出した文書「皇統を男系に限ることは憲法違反となるか」にみられる世襲規定の定義(註2)
「抑も世襲という観念は、伝統的歴史的観念であって、世襲が行なはれる各具体的場合によって内容を異にするものであらうと思はれる。場合によっては血統上の継続すら要件としない世襲の例も存しうるのである。皇位の世襲と云ふ場合の世襲はどんな内容をもつか。典範義解はこれを(一)皇祚を践むは皇胤に限る(二)皇祚を践むは男系に限る(三)皇統は一系にして分裂すべからずことの三点に要約してゐる。さうしてこれは歴史上の一の例外もなくつづいて来た客観的事実にもとづく原則である。世襲といふ観念の内容について他によるべき基準がない以上これによらなければならぬ。さうすれば少なくとも女系といふことは、皇位の世襲の観念に含まれてゐないと云へるであらう」
  が基本的に正しいのであって、ここから女性・女系への皇位継承の拡大という結論は導き出すことはできない。
   
有識者会議のメンバーの見解についての疑問

10月25日の皇室典範の有識者会議の議事要旨に次のような見解がある。

○ 憲法は象徴制と世襲制しか規定していない。「世襲だから当然に男系男子」との議論は、理論的には難しい。現実に125代男系で継承されてきたという事実はあるが、今回、こういう事態に立ち至って、憲法の角度から改めて考えてみると、国民が世襲制の天皇についてどう考えるかというと、男系に固執するよりも、親から子へと、直系で受け継がれることではないか。

  ○ いろいろな思想や確信を持った国民があり、中には、女性や女系に皇位継承資格を拡大することに違和感を持つ方もおられるだろう。しかし、現行の憲法制定時に、象徴と世襲に絞ったことは大きな歴史の変化で、それはそれで国民は受け入れている。憲法との関係では、皇室典範に男系男子と規定する必要はなかったが、それまでの伝統に配慮して男系男子としたもの。それが、今は維持できなくなっているので、憲法に戻って考えるもの。

○ 女系の皇族に皇位継承資格を拡大した場合には、女系天皇の正統性に疑問が生じるとの議論をする方があるが、世襲で皇位が継承され、国民の積極的な支持が得られる限り、正統性に疑義が生じる余地はない。

8月31日の議事要旨にも次のような見解がある
  
○現在の皇室典範では皇位の安定的な継承は難しいということになると、憲法に戻ることになるが、憲法では世襲と規定しているのみであり、男系ということは規定していない。憲法の世襲は血統という意味であり、男系も女系も入る。

筆者は不勉強でメンバーの著書や思想傾向について逐一みているわけでないので、上記の発言がどなたのものか推定できないのですが、全面的に反対です。考え方が根本的に間違ってます。憲法に戻って考えれば、女系容認になるとさかんに言っているメンバーが、そういうことなら、ここで憲法二条の解釈について言及しておきたい。
ところで、チャンネル桜の「闘論!倒論!討論!2005日本よ、今...どうなる皇室典範どうなる女系天皇」いう番組をみましたが、八木秀次が有識者会議は3人(実名をあげないので不明)が議論をリードしていると発言していた。3人が事実上仕切っているというニュアンスだった。なるほど有識者会議の10月25日にもこういう意見があった

○ 皇族女子や女系皇族に皇位継承資格を拡大した場合、例えば、我が国で続いている旧習や伝承、また、日本の伝統的な家族の在り方は家父長制と考えて自らの家庭を維持しているような人々に、影響を与えるのかどうか。この点は、国民の支持という点とどのような関係があるのか。公的な決断が個人に何らかの影響を与えるとしても、決して強制的なものであってはならない。

この見解は良心的なものであり、慎重な意見を述べるメンバーもおられるのである。にもかかわらず、女性天皇・女系天皇で暴走する結論になっている。
3人が誰なのか知りませんが、座長が理工系であること、8人の識者からのヒアリングでの質問者が座長代理園部逸夫の独壇場になっていて、他のメンバーの質問がないこと。園部が皇室法に関する著書があり制度に詳しいことから、会議をリードしている3人のうち1人が園部と推定できる。
 
園部逸夫の非論理性
 
 10月30日でふれていることだが、園部の『皇室法概論』(第一法規2002年)を引いてもう一度批判しておきたい。
「第二条は、歴史的に皇位が世襲によって継承されたことを背景に、天皇の地位は世襲により継承するものを確認的に定めた‥‥憲法第二条「世襲」をこのように確認規定と解すると、「世襲制」から導きかれる規範としては、世襲、世襲制の具体化にあたっては、皇位の世襲の歴史・伝統を尊重すべきということになる。〔ここまではさほど問題はない-ところが〕ただ、この歴史・伝統の尊重が規範内容の一つとなることは否定できないとしても、歴史・伝統によって世襲制の在り方を決定すべきと考えるべきでなく、最終的には国民が世襲制の内容はどのようにあるべきと考えるかにより決定されるべきものであることはいうまでもない。なお、このように皇位の世襲につき歴史・伝統を尊重する立場に立った場合、憲法第二条の世襲が、女系による継承を含むか否かについてどう考えるべきかが問題になる‥‥結論を先に言えば女系を含むと解する」(39~41頁)。
 歴史・伝統を尊重する立場で女系を含むというのである。これは論理矛盾というほかない。肇国以来の万世一系という歴史を重んじる立場をとりながら女系を含むなどということはありえないからである。
 また「第二条は『皇位は世襲のもの』と定めるのみであり、皇位継承資格を男子に限るか否かについては憲法で定めず、法律である皇室典範に委ねたというのが多数説」(317頁)と述べているが、引用されているのは佐藤功説と清宮四郎説だけである。要するに
これは憲法問題でなく立法政策の問題だという解釈である。
 続いて「本書も多数説と同様に解するが‥‥皇位の世襲制を定めた同第二条は皇位継承の伝統を背景としたものであり、そこで定める『世襲』概念は女系を含まず、憲法が皇位継承資格者を男系男子に限っているという説もみられる(例えば小嶋和司「女帝」論議『小嶋和司憲法論集二 憲法と政治機構』四五頁)。この世襲=男系継承説のように、憲法が皇位を世襲と定めている背景に我が国の歴史及び伝統があることは本書も認めるし‥‥歴史上、皇位が男系で継承されてきたことを否定するものではない。ただそのことをもって同第二条の「世襲」の意味内容をも、男女両方の血統を含むと考えられる一般的な世襲概念を離れ、男系による継承と解さなければならないということではない」(317~318頁)とする。
 ということで憲法第二条の世襲規定には一般的な世襲概念があてはまるとされ、園部が引用しているのが、『広辞苑第五版』の「その家の地位・財産・職業などの嫡系の子孫が代々うけつぐこと」(324頁)なのです。この広辞苑の定義に皇位継承も無理矢理あてはめていいんだというのは不遜な考え方だなと私は思います。皇室の歴史的伝統的脈絡より広辞苑の一般的定義を重んじるなど本末転倒も甚だしい。
 仮に百歩譲って、広辞苑の一般的定義を世襲概念とみなすとしても、日本的家制度(社会慣行としての家族)には女性当主というのはありえないのです。実子であり婿養子であれ、夫が家長継承者・家督相続者で、妻は嫁であれ実娘であれ主婦継承者である。婿養子というのは家長継承者として迎えられるのであって、女性当主というのは家族制度の慣例に反するものです。
 中国では実は、事実上の女系継承として、祖父-孫で父系継承の擬制とする慣行がみられることは戦中の調査などで人類学者にはよく知られていることです。純粋に父系で貫徹している社会ではない。この点では韓国が父系で徹底している社会といえます。だから厳密にいうと中国の社会構造は準父系とみなす学者もいる。これは宗法制度に反するので、事実上の入夫となる男性の社会的立場はありません。
 日本ではそういう慣行はないのです。娘が家産を相続しても当主になるわけではない。婿はあくまでも家長継承者として迎えられる。家督相続者とならない男性の入夫というのは、男性の尊厳を貶めるばかりか、日本の婚姻家族の慣行に反するものです。家長継承者として迎えられるからこそ、婿養子の制度が存続するのであって、たんに労働力、子づくりのための入夫というのはありえないのです。女性当主(入夫)-女系継承が実現すれば男を貶めてフェミニストは喜ぶかもしれないが、家族制度としてはこれほど、男子の尊厳を貶め、いびつで醜い制度はないと私は思う。
 もっとも、私は芸能家元の世界は何も知らないのですが、池坊由紀氏が華道家元池坊の次期家元ということで、女性当主による世襲もありうるのかもしれませんが、それについては部外者である私は意見はありません。いずれにせよ華道家元の世界と皇位継承とは全く次元の異なる事柄で、類比するのは適切ではないでしょう。
 だから一般的な世襲概念からただちに女性当主(入夫)-女系継承といういびつな醜い制度が引き出せるというわけではないです。
 それなら、憲法問題としてとらえている小嶋和司説のほうが、よほど説得力があると考える。
 
小嶋和司説(世襲=男系継承説)

『小嶋和司憲法論集二憲法と統治機構』木鐸社の64頁以下を引用します。
「総司令官マカーサーが、日本国政府に提示すべき憲法草案(いわゆるマカーサー草案)の起草を民政局に命じたとき、草案に盛るべき内容を指示した、いわゆる「マカーサーノート」は次の内容をもっている。
「The Empererは、国の元首の地位にある。His Successionはdynasticである。」
皇位就任者を男性名詞・男性代名詞で指示するほか、その継承をdynasticであるべきものとしていることが注目される。それは、立憲君主制を王朝支配的にとらえ、現王朝(dynasty)を前提として、王朝に属する者が王朝にふさわしいルールで継承すべきことを要求するものだからである。それは王朝形成原理の維持を要求するとは解せても、その変更を要求するとは解しえない。(中略)草案が次の規定をもったのはこれらの当然の結果である。
「The Empererは、国と国民統合の象徴であって、his position は国民の主権的意思に由来し、他の如何なる源泉に由来するものでもない。」「皇位の継承はdynasticであり‥‥」この草案の起草者は、その「説明書」を用意している。それは過去の天皇制に対する批判を多面的に指示しているが、そこでは男帝制を前提として、それへの批判はなかった。しかし、王朝(dynasty)交替の歴史をもたず、現王朝所属の継承を当然とするに日本の政府当局者は、右のdynasticを、たんに「世襲」と訳して、現行憲法第二条にいたらしめた。皇室典範も現王朝を無言の前提として、その第一章を「皇位継承」とし「王朝」観念がその後の憲法論に登場することもなかった。
 もちろん、制定史上の事実は、憲法解釈において、参考的素材以上の意味をもちえない。第二条の「世襲」の公定英語がdynasticとされていることも、決定的な法源的価値をもちうるものではない。
 けれども比較法的および歴史的にも充分な知識を思考座標として「世襲」制の要求をみるとき、それはたんに世々襲位することではなく、継承資格者の範囲には外縁があるとしなければならない。(中略)ここに思いいたるとき、憲法第二条は「王朝」形成原理を無言の前提として内包しているとみなすか、それとも「国会の議決した皇室典範」はそれをも否認しうるとみなすかは憲法論上の問題とすべきである。」

 私は基本的に小嶋説に従いたいと思う。憲法制定時の憲法二条の趣旨はマッカーサーの指示His Successionはdynasticである。継承は王朝にふさわしいルールというものであった。憲法制定時の価値選択というものを尊重しなければならない思う。皇朝にはそれにふさわしいルールがある。万世一系の皇位、皇胤一統である。だから政府は遠慮せずに大日本帝国憲法のように皇男子孫之ヲ継承スとしてもよかったのである。世襲規定というのは王朝に相応しいルールという原意であることから女系継承は明白に反する。女系継承は憲法二条の世襲規定に反し違憲と私は考える。
 王朝に相応しいルールによる継承とは比較法的にいえばこういうことである。サリカ法(註3)の伝統の王位継承ルールが男系継承で、フランス帝政憲法が女帝制を否認している。1831年ベルギー憲法は王位継承は男系・男子限定の原則で、女子及びその子孫による継承は常に排除されると規定していた。(但しベルギーは1991年に憲法を改正しサリカ法の伝統を放棄し、男女いかんにかかわらず長子相続となった-この問題女子差別撤廃条約との関連による憲法改正のばかばかはしさについては次の機会にでも述べます。)(註4)、現在サリカ法の原則が存続しているのはリヒテンシュタイン侯爵家だけであるが、ここでは比較法として理解しやすいフランス王権(系図-註5)をとりあげたいと思います。
 
フランス王権の王朝形成原理との類比

 フランス王権では男系継承が王朝の形成原理であり、帝政憲法で女帝を否定していたわけです。それと類比すれば万世一系男系継承の皇朝がたんに言葉では世襲としているだけだが、女系継承を排除するという含意があるという憲法解釈でよいと思います。
 フランス王権はサリカ法典の伝統により女王はありえない。フランスよりずっと古い国家である日本は女系天皇はありえない。むろん、神聖不可侵の我日本朝の万世一系と、フランス王権やサリカ法の男系主義は法源も性格もかなり異なるもので、類比するのは適切でないと思うが、男系という点で類似しているので、私はフランス史は全く素人で、具体的な系譜をよく知らないのですが、ここで一応みておきたいと思います。
 10世紀のユーグ・カペーにはじまるカペー朝は、規則正しく男子が産まれていて、シャルル4世(位1322-28)まで17代(兄弟継承含み)も続いている。カぺー朝がはじめて直系男子不在という事態が発生したのはルイ10世が歿した1316年のことである。この経緯については次の2つのサイトハピネス~AMUのトイ・ボックス~系図の迷宮~西洋王族家系図の世界が説明しているでみてください。つまり簡略していうとルイ10世の遺児ジャンヌ王女とルイ10世の弟のフィリップ5世(位1316-22)と王位継承争いとなった。カぺー王家が規則正しく男子で継承され、慣習としては男子であったが、フィリップ5世は王位継承の正当化のために、学者に根拠を求めた結果、ゲルマン民族のサリ族の領地相続法において女子が排除されていることが「法発見」され女子への王位継承否定という王位継承法が成立したということらしい。
 傍系継承の例としてここではヴァロア系のアンリ3世(位1574-1589)からブルボン家のアンリ4世(位1589-1610)の王位継承をみてみたいと思います。アンリ3世の末弟アランソン公が亡くなると,王には子どもがなく、ヴァロア系の男子が枯渇したため、傍系で遠縁だが、サリカ法により筆頭親王家ともいえるブルボン家のアンリが王位継承人となった。私が系図をなぞって数えたところ、アンリ3世とアンリ4世は男系では22親等の遠縁である。
 ブルボン家というのはカぺー朝の聖王ルイ9世(位1226-70)の王子でフィリップ3世(位1270-85)の弟、クレルモン伯ロベールからはじまって、ルイ9世の10世孫がアンリ4世である。父子の直系だけを系図的に示すとルイ9世-クレルモン伯-ブルボン公-ラマルシュ伯-〇-〇-〇-〇-〇-〇-アンリ4世(位1589-1610)-ルイ13世(位1610-43)-ルイ14世(位1643-1715)-〇-〇-ルイ15世(位1715-74)-〇-ルイ16世(位1771-92)。
 次にルイ9世からアンリ3世まで父子関係を示すと、ルイ9世-フィリップ3世-ヴァロア伯-フィリップ6世-ジャン2世-シャルル5世-オルレアン公-アングレーム伯-アングレーム伯-フランソワ1世-アンリ2世-アンリ3世であるから、ルイ9世の12世孫がアンリ3世である。12世代を皇室に類比すると、近世初期の後陽成天皇と今上陛下が12世代ということになります。アンリ3世と4世は22親等の遠縁になります。いかに遠縁でもフランス王権の王位継承はそのようになっているわけです。それが王朝形成原理であり、王位継承のルールということです。
 もっともアンリ4世の母がフランソワ1世の姪にあたるので女系でヴァロア系と近縁なのですが、フランス王権の王朝形成原理はあくまで王位継承人は男系主義で機械的なルールである。
 そういう在り方というのが王朝に相応しいルールによる継承、マッカーサーの指示His Successionはdynasticである。憲法二条の世襲規定がそういう趣旨だということで、我が国でいえば万世一系の皇位、皇胤一統であるわけですから、むしろこの趣旨の世襲原理から旧皇族が王朝に相応しいルールによる継承として、憲法第二条の趣旨にかなっている。伏見宮系の旧皇族と、ブルボン王家を類比するのは適切でなく、大変失敬なことになるかもしれないが、あえて比較法的な類比もできるのではないかと私は考えました。
 憲法学者の解釈を逐一調べていませんが、田上穣治は憲法第二条について「世襲とは、皇統に属する者のみが継承権を有し、かつ前の天皇の在位期間が、後の天皇のそれと時間的に連続して空位の期間がないことをいう」(註6)とする。女帝は皇統を形成できない。女系は皇統ではないということはこれまで、女帝即位絶対反対論(皇室典範見直し問題)第7回~10回などで述べてきたとおりであり、田上説からも女系容認は憲法第二条の趣旨に反する疑いがあるといえるだろう。
 だから、有識者会議のメンバーの発言のように、憲法二条に戻って女系継承容認なんていう理屈はなりたたない。また園部逸夫座長代理の持論である憲法二条女系容認説は誤りである。首相の独裁的強力な権力からすれば憲法二条なんてどうってことないのかもしれない、そんなことにかまってられるかとのお考えかもしれませんが、私は憲法違反であると考えます。

つづく

(註1)小嶋和司『小嶋和司憲法論集二憲法と政治機構』木鐸社1988「「『女帝』論議」45頁以下
(註2)芦辺信喜・高見勝利編『日本立法資料全集1 皇室典範〔昭和22年〕』信山社出版1990 79頁
(註3)ハピネス~AMUのトイ・ボックス~「サリカ法」
http://www1.ncv.ne.jp/~amu/page030.html
系図の迷宮~西洋王族家系図の世界「サリカ法~英仏百年戦争の原因となった法典~」
http://www9.wind.ne.jp/chihiro-t/royal/keisyo1.htm
(註4)山田邦夫「諸外国の王位継承制度-各国の憲法規定を中心に-」『レファランス』656号2005年9月
(註5)
鷹の城~西洋王朝系図 フランス
http://www5d.biglobe.ne.jp/~dynasty/catsle/france/franj.htm
系図の迷宮~西洋王族家系図の世界~フランス
http://www9.wind.ne.jp/chihiro-t/royal/France/F_index.htm
(註6)田上穣治『日本国憲法言論』青林書院新社1980 58頁

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