政労協議に反対-公務員に団体交渉権を与えるな(2)
地方公務員の労働組合が悪質であることを理解していただくために、2003年9月から書いた、東京都水道局長宛の要望書(実際には出してない)の草稿がみつかってでてきたので、書きかけのものですが、個人名が出ていた部分をカットしそのまま掲載します。勤務時間内活動についてはその後ながら条例の改正で改善された面がありますが、解散命令を出さないことは以前と同じです。
川西正彦(平成18年4月1日)
東京都の労働組合活動及び庁舎管理等の方針に関する根本的な疑問
まず、国の九段第二合同庁舎(東京法務局・麹町税務署・中央労働基準監督署・関東運輸局東京分室等のある)正面玄関自動扉前に設置されている2個にある立て札について述べます。仕事上法務局の窓口に屡々訪問したので立て札のことをよく覚えているからです。
庁舎構内において次の行為を禁止すると書かれています。
1、凶器・危険物の持ち込み。2、腕章・はちまき・ゼッケン・旗・幟・プラカード・拡声器の着用又は持ち込み。3集会・演説・座り込み、及びこれに類する示威行為の禁止。4、面会の強要、・文書の頒布その他管理を妨げる行為。
要するに国は、組合活動とは名指ししていないものの庁舎構内での職場集会や示威行為は明確に禁止しているわけです。
私が職場で何が不満かといえば不適切な組合活動の規制がなされていないこと、特に郵便局など国の政策と比較して40年以上のタイムラグがあること。これが職場における大きな不満の一つである。
まず庁舎構内で行われている、3割動員、2割動員と称する勤務時間内職場集会である。平成14年春の支所統合反対闘争では、中央支所の庶務課倉庫前の来客用駐車場のスペースで午後2時より集会がなされていたが、赤旗が何枚も貼られていてビラが集会場所だけでなく、階段の側面にびっしり貼られて(立て看板は1ヶ月以上放置)、200人ぐらいの人が集まってやっていましたが、ここは駐車場だから、水道局だけでなく、都税事務所の来客も含め迷惑がかかり、明白に正常な業務を阻害するものといえる。
次ぎに平成6年から6年間勤務していた江東営業所(東一支所)の事例です。正面玄関前にお立ち台が置かれそこで職場集会がなされるのですが、赤旗が3~4本掲揚され、ビラはドア、窓部分とエトランスの壁面にびっしり貼られ、万国旗式のビラが天井に吊られて、終了後は、シュプレヒコールしながら、庁舎内を練り歩く態様のものですが、たぶん郵政や国であれば昭和40年代で完全に規制されたようなスタイルの示威行為がなされていた。この態様は明らかに業務を阻害し、営業妨害といってもよい。業務手当闘争の際は立て看も正面玄関脇の植え込み前に置かれたが、中央支所と違っては放置せず、引っ込めさせていた。引っ込めては出すという繰り返しだった。
中央支所、東一支所いずれも管理職はいっさい監視活動も、解散命令も発することがないのである。組合との間で監視活動、解散命令を発しないと言う協定がなされているのですか、又その理由を説明してほしい。当局は賃金カットとはしている。3割動員を2割にするとか動員の規模を小さくしており、規制強化の努力をしているとか言うのだが、賃金カットすればよいというものではない、それはノーワーク・ノーペイということであって、適正良好な職場環境を維持し企業秩序に定立するためには、解散命令を発し、処分しなければ論理的一貫性はないわけです。郵政とか国では1960年代からやっていることを東京都はやっていない。それが非常に不満であると第一に申し上げたい。
しかし、水道局の庁舎で私が知るかぎりこのような立て札をみることができません。千代田営業所では駐車場に来客以外の駐車禁止といった立て札があるだけです。国のように集会・演説等を禁止するという立て札を置くべきである。そうしないのは労働組合の示威行為を認めたいということですか。この点で国と都では政策に明確な差があります、国でやっていることをなぜやらないのか説明してください。
郵便局であれば、昭和36年7月に『新しい管理者』というテキストにより、管理職の労務管理訓練を実施して、かなり徹底した組合活動の規制を実施してきました。不適切な組合の既得権、職場慣行の破棄、オルグの入局禁止、庁舎内の集会制限・禁止、掲示物の記載内容の規制、リボン・腕章着用者の処分、職場段階の交渉申し入は労基法上の三六協定・二四協定以外は団交事項として拒否。抵抗の強い職場には監視班の送り込んで、外勤者については局外の行動に同行するなどの監視の強化が行われた(座談会「全逓4.28処分の本質と人事院公平審査制度の意義」『労働法律旬報』1027)。無許可職場集会は解散命令を出します。拡声器を使うこともあります。それで当然だと思います。その結果として、全逓の闘争至上主義的組合活動は是正されていったものと理解している。水道局はそれに比べると非常にぬる過ぎると思うわけです。
中労委命令も勤務時間内集会や無許可集会などは基本的に認めなかったし、水道局ではあたりまえとされている組合本部役員によるオルグ活動についても、組合事務所の立ち入りはよくても、事務所に入室することは許されない。また専売など国営企業についてはILOのドライヤー報告を受けて勤務時間内活動やチェックオフについて規制が強化されたといわれている。それに比べると、東京都の場合は組合活動の規制がぬるすぎてひどいと思うわけです。
例えば全運輸近畿支部事件(最高裁第二小法廷昭和60年11月8日、棄却『最高裁民事判例集』39巻7号1375頁)、これは、勤務時間に15分から20分程度食い込む庁舎構内における職場集会の事例ですが、当局は事前に警告書を交付し、当日は口頭もしくは文書の手交もしくはプラカードにより再三解散命令を発した。そして分会長クラスが、集会での挨拶もしくは交渉経過報告もしくは頑張ろうの音頭とりなどの行為のため懲戒処分に付されたものでかすが、解散命令は再三行うよう管理職に指示されており、全運輸では昭和47年頃からは庁舎構内での集会は行わなくなったとされています。実際、仕事で霞ヶ関を通過したさい、全財務の職場集会を横目でみたことがありますが、敷地外の歩道であった。つまり国の場合は庁舎構内での集会は認めてないのです。江東営業所のように正面玄関で来庁者の出入りする場所はむろんのこと、構内での職場集会はきちんと監視して拡声器やプラカードを使って解散命令を出すべきです。のみならず、ビラ貼りも勤務時間中に堂々と貼られているのを私はみました。現行犯で処分すべきです。立て看板も同様に撤去されるべきものが撤去されずに一ヶ月も放置しているわけです。撤去命令に従わなければ処分すべきなのにそういうことをなにもやってません。つまり、東京都は組合の示威行為や争議行為に本質的に好意的なのです、これが我慢ならない点であります。
なぜ、争議行為である集会の場所を提供し監視活動や解散命令をしないのか、この点について組合とはどういう取引になっているかを説明してもらいたいわけです。組合との交渉でいわゆる勤務時間内の動員決起集会について組合から自発的に賃金カットを申し出ることにより、庁舎構内の集会を事実上許可し監視活動や解散命令はしないで黙認する、そういう取引になっているんですか。これでは多額の組合費を収奪している労働組合にとってこたえるものではないし、むしろ解散命令を出さず事実上黙認することにより、組合の組織強制、団結強制の一翼を当局が担っているとみるほかない。
つまりこうです。いわゆる所長席前に陣取ってなされている勤務時間内事務室内報告集会を当局は容認しています。これも中央委員会報告、書記長会議報告、交渉経過報告、それいがいにも突発的に行われることがあります。賃金カットしているといいますが、分会長・書記長クラスが司会・報告するものですが、いっさい解散命令を発することがない。事実上容認です。そこで、毎年年中行事のように闘争スケジュール、戦術、具体的には何月何日に何割動員をとか、この間ステッカー闘争をするとか、重要な闘争では総力戦として立て看闘争なども発表される。重要な闘争では組合本部からオルグ演説があり、千代田営業所の場合は、港分会からも団結のための演説があります。スト権投票の呼びかけが繰り返しなされ、高率の批准で闘争の意思を表そうとか呼びかける。それ自体が争議行為をあおっているわけので違法行為だと思いますが、スト権投票場所の便宜供与も含めいっさい管理職は容認するわけです。そこで、分会長・書記長クラスから、闘争期間につき必ず一回は職場離脱して動員集会に参加するよう指示が出される、所長席前での呼びかけにも、これを管理職はいっさい解散命令をいっさい発出しない。
団結権とか労働基本権というものをどう定義するかが問題になりますが、たぶん労働組合の論理では団結権というのは他人を威圧して犯罪的反社会的行為(労働契約に反する行為)を強要する権利という考え方なわけです。例えば労働組合員の倫理についてプロレーバー労働法学者で沼田稲次郎はこういうことを言っています〔出所不明になったが探し出すようにします〕。労働者は階級の下の集合人格であって、個別人格というものを認めない。したがって労使関係における個人の自己決定は許されないとするのである。労働組合がストライキを構えたら階級の下の集合人格として吸収されている個別労働者がストライキに参加するのは当然だとするわけであります。こうしたプロレーバー学者の考えをつきつめていくと、労働組合というのは政府、暴力団と同様に他人に特定の行為を強制力を有する権力だということになりますし、実際、団結権というのは、組合幹部が組合員を労働契約違反行為を強制する権利を憲法によって認められている権利なんだという考え方をとっているのだと思います。
だから、スト権一票投票が批准されれば、これは労働組合は個別労働者にたいして、威嚇、威圧により強制力として現れることになり、動員指令は事実上の命令ということになります。
動員指令を割り振る回状が勤務時間中にまわされ、署名やカンパもそうですが、勤務時間中になされている。勤務時間中動員指示を所長席前から公然と発出しているの黙認することは実質的に当局が争議行為を支援しているわけです。
わたくしは、囚われの聴衆の状況で、むりやり組合の主張や争議行為の呼びかけ指示を聴かされるというのは、相当な威圧になっており、争議行為に巻きこまれるように仕向けられているわけであります。無理矢理職場集会に参加させられているようなもので、これを容認している当局は組織強制、団結強制の一翼を担っていると理解してよいわけです。
これは適正な職場環境とはいえない。しかし、これまで私が管理職や課長補佐級の監督職員に呼びつけられたさい、いわゆる頭上報告容認の当局の方針について抗議したところ、業務阻害であり争議行為の支援だということを絶対認めない。
演説者もこちらに集中してくださいと言い、職務に専念することを否定するわけですが、大声での組合役員の指示は相当な心理的威圧効果がある。アジ演説中にも当然顧客から電話がかかってくる。演説の騒音で電話相手の声が聞き取れない。組合がアジ演説してるので大きな声でお願いしますとはいいにくいので難儀するわけです。たんにそれだけでも正常な業務を阻害しているといえるが、例えば江東営業所では、工務係の工事審査のために業者が待機するソファに工事係の技術員が占拠して職場集会がなされていたから、この時間帯は工事審査がなされないということで、業務を阻害しているわけです。といっても管理職はそれはおまえの解釈で、当局は業務阻害とは考えてないとのことであった。
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コメント
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やはり大きな画面で花はなの皆の動く姿が見たい!!!
ちなみにウチはパソコンが無く動画はいつもスマホで見ています📱
お兄ちゃんとっても可愛い!!私好みの猫さんだわ🎵
今回は出番が無いのね…でも次回は是非是非!!
投稿: みぃまま | 2020/09/11 19:34