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2006/11/23

妊娠・出産に関する3とおりの政策(1)

 まわりくどくなりますがアメリカ合衆国の1993年家族・医療休暇法(50人以上雇用する使用者は出産、養子の受け入れ、子・配偶者・親の重大な疾病、本人の重大な疾病のために1年間に12週の無給休暇を被用者が取得することを認めなければならないとする性的中立立法。この法案は8年にわたって議論され、父ブッシュ大統領が二度拒否権を発動したため、クリントン政権になってやっと成立したものであった。)成立までの妊娠・出産に関する最高裁主要判例と政策について概観しておきたいと思います。このような制度は使用者の裁量にゆだねられるべきで政府が強要すべきではないというのが私の考え方、それでも米国はフェミニズムに毒されてない健全な面もあるので理論を研究しようというのがブログの趣旨です。
 初めに結論的なことを述べたいと思います。私は我が国の政策のような職業家庭両立支援はもっとも不愉快だし邪悪な政策だと思います。最近ではフェミニストが男性の長時間労働を非難して、厚かましくも規制するために一定時間以上の時間外手当を増額にせよみたいな非常にふざけたことを言い出している。私は仕事に対するコミットメント(責務)、仕事に打ち込む、粉骨砕身働くという価値をもっとも重視しますから、ホワイトカラー、クラーク、事務職は週60時間ぐらい働くのは当然だ。労働基準法は悪法、時間外手当適用除外のほうが働きやすいし満足できる、それが本来の在り方だと思いますからフェミニストとは180度価値観がちがいます。女性のために労働倫理を破壊してしまおうなどというのは絶対許せない。傷害や疾病で労働不能な人には同情しますし、その人をカバーするために仕事の負担が増えても、使用者に対する誠実労働義務ということ協力を惜しまないのは当然と思いますし、ハードワークや雑務の増加を厭うことはないですが、私事である出産のコストは好意的になれない。私が経験した例では休暇に入る何ヶ月も前から負担を軽減して他人に押しつけているのに女は威張り散らして厚遇は当然だという顔をしてますから腹がたちます。だいたい他人の子どもなんて憎たらしいです。給与所得者のダウンサイジングがある。定型業務だけでなく中核業務もアウトソーシングが進行している流れがあるわけです。生産性の低いホワイトカラーは成果を上げるのにもっともっと頑張らなければいけないのに、多くの人は、ワーキングマザー支援でカバーするしわよせがかかるのを快く思ってないと思います。使用者のためには献身的に仕事に励みたいですが、赤の他人の子どものためのコストは愉快ではないですね。一方では結婚したくでもできない人はたくさんいるんです。ワーキングマザー支援の強要は特定の社会階層、ダブルインカムで高収入を得ながら子どももつくってそのコストは他者に押しつけたいという人達だけの利益に寄与するもので公正な政策でない。男性と同じ土俵で就業する機会を与えて、キャリアをとるか、子どもをとるかは個人の自由とすれば男女平等なんですよ。それ以上に事実上の女性の職業生活支援のためにコストをかけることは社会に歪みと怨恨を生じさせているので健全な在り方に引き戻したいというのが私の意見です。

川西正彦

 妊娠・出産と男女平等の考え方は、大まかにいっておおまかにいって3つの考え方があるので検討してみたいと思います。

1 妊娠・出産の別扱いは性差別ではないし、法によって救済しない。
  (私はこの立場に賛同する)

 アイエロ判決GEDULDIG v. AIELLO, 417 U.S. 484 (1974) http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?navby=case&court=us&vol=417&page=484、ギルバート判決GENERAL ELECTRIC CO. v. GILBERT, 429 U.S. 125 (1976)  http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?court=US&vol=429&invol=125の取った考え方。
 州の疾病保険の支給対象から、妊娠を除外していた制度は憲法修正14条の平等保護条項に反しないとしたのがアイエロ判決、私企業内の医療保険制度の適用範囲から妊娠・出産およびそれに関連した疾病を除外することが、1964年公民権法タイトル7に違反しないと判断したのがギルバート判決である。女の我が儘を許さなかった点で正しい判決だと思う。
 妊娠・出産の別扱いは性差別ではなく、妊娠という客観的に認識可能な肉体状態を理由とする区分であって、つまり、ある特定の身体的状態にある人と、そうでない人の区別であるから、妊娠していない男女と、妊娠した女の分類は性差別ではないという論法である。アイエロ判決は6対3であったが、スチュアート判事による法廷意見は次のように言っている。「カリフォルニア州の保険プログラムは、なにびとをも性ゆえに給付資格から除外していない。ただ、ひとつの身体的状態、妊娠を補償される傷害から取り除いているだけである。たしかに女性だけが妊娠するが、それは妊娠に関する立法上の分類が‥‥性にもとづく分類であるということにはならない。妊娠に関する差別が片方のメンバーに対する不快な差別を意図したたんなる口実であることが証明されないかぎり、立法者は、ちょうど他の身体的状態についてと同じように、なんらかの合理的根拠にもとづいて、妊娠をこうした立法の適用範囲に含めるが除外するか、憲法上自由である。」(翻訳引用文献にある根本猛)また当該保険制度を被保険者の掛金で維持するという独立採算性をとりつつ掛金を低率に押さえることで被保険者の負担を低くするという州の政策は正当なものであるとしている。妥当な司法判断だと思う。
 ブレナン判事(ダグラス、マーシャル各判事同調)の反対意見が前立腺切除術、包皮切開、血友病および痛風といった主として男性の疾病は適用されるのに妊娠を除外するのは性差別とか言ってますが、血友病と妊娠は性格が違うし説得的な意見とは思えません。
 

 2 就労不能に関して同様の状態にある妊娠中でない被用者と妊娠中の被用者を全ての雇用上の目的にとって同じように扱うことにより男女平等とする。1978年妊娠差別禁止法の考え方。
 
 1978年の公民権法タイトル7の改正(妊娠差別禁止法)は連邦最高裁のアイエロ判決とギルバート判決に対抗し、最高裁判決の効果を覆すために連邦議会が制定したものです。、憲法上も公民権法でも妊娠・出産の別扱いは性差別でないとしているにもかかわらず、制定法で妊娠も性差別ということにしてしまおうという粗っぽい論理である。これは、主として給付における差別禁止に重点が置かれていた。
 「『性を理由として』または『性にもとづき』という文言は、妊娠、出産、またはそれに関する医学上の状態を含むものとする。ただし、これに限定されない、妊娠、出産、またはこれに関連する医学上の状態によって影響をうける女性は、フリンジ・ベニフィット・プログラムにもとづく給付の受給を含むすべての雇用に関連する目的に関して、これらの影響をうけない労働能力において同様の他の人々と同一に扱わなければならない(以下略)」(翻訳引用文献にある根本猛)
 公民権法では使用者はある種の給付を提供するかどうかは任意だが、ひとたび給付を提供する以上、妊娠による差別をしてはならないこととしたのである。雇用機会均等委員会はガイドラインを改めて、妊娠・出産は健康・医療保険、病気休暇などの利益付与の上で他の病気と同様に扱わなければならないこととした。

 3 妊娠・出産を理由とする解雇の禁止など不利益扱いを違法とすることにより男女平等という女性尊重フェミニズムの考え方。
 
 これは特定の社会階層の女性の利益のために他者にコストを押しつける最も嫌悪する政策である。男性と同じ土俵で働くことができれば機会均等で平等なのにさらに特別に配慮する必要はない。
 そもそも女は男の補助者として創られたが、彼の誘惑者となり彼を破滅に導いた。神は女に次のように宣告した。「私はあなたの産みの苦しみを大いに増す。あなたは苦しんで子を産む。それでもなおあなたの欲望はあなたの夫に向かい、彼はあなたを支配するであろう」〔『創世記』3・16〕。だから出産で不利益があっても当然なんですよ。妊娠・出産女性をことさら厚遇するのはけしからんことです。それは神の宣告を蔑ろにする邪悪な政策というほかない。

つづく

引用・参考文献
中川 秀空「アメリカ 家族・医療休暇法の成立」『日本労働研究雑誌』402号  35(7) [1993.07] 
根本猛「アメリカ、妊娠の取り扱いをめぐる法と判例」日本労働協会雑誌353号31(1) [1989.01]
中川徹「州法による出産保護と公民権法-CALIFORNIA FEDERAL S. & L. ASSN. v. GUERRA(1987)」『判例タイムズ』675号1988年11月15日号
釜田泰介「性による差別とアメリカ憲法-3完-」『同志社法学』29(1) [1977.06]

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