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2007/02/18

ウォルマート絶対支持論(1)

 ウォルマート(WAL-MART アーカンソー州ベントンヴィルに本拠のある)絶対支持宣言をやっておきたいと思います。
 誤解がないように初めに言っておきますが、これは国際食品商業労組(UFCW)やトラック運転者を中心とする「チームスターズ」等労働組合や左翼の反ウォルマート運動に対するウォルマートの明確な支持という意味であって、競合他社に対する支持ということではないです。左翼ジャーナリズムの宣伝とは逆に、ウォルマートが善、国際食品商業労組(UFCW)や「チームスターズ」が悪という図式で私の意見を述べたいと思います。

川西正彦

 ウォルマートは、単に世界一の小売業というだけでなく。民間企業で世界一の売上げを誇る(2002~2005、2006は原油高でエクソンモービルが1位でウォルマートは2位だがほとんど差はない)、全産業のなかで最強・最大の企業です。ウォルマートに関する本を5~6冊読みましたが、なるほど世界一に君臨するにふさわしい偉大な企業であることがわかりました。そこで、 ウォルマートの卓越した企業文化、反労働組合ポリシー、オープンドアポリシーなど非組合企業によくみられる従業員にフレンドリーな政策、ポストモダニズムマネージメント、上層部のハードワーク主義の勤労のエートス、ローコスト経営を賞賛したいと思います。
*昨年の夏、全世界のウォルマートでは初めて、中国のある店舗で組合が組織化されたというニュースを読みましたが、中国で非組合企業批判が強まっていたニュースを読んでいたので予想外のことではないですが、大変遺憾ではあるが中国で商売をやる以上妥協もやむをえないかもしれない。これは些細なことですから気にしていません。実質的に組合不在企業であることに変わりはないです。
 裏返していえば、労働組合が組織されている企業における働き方がコントロールされるモデル(つまり団体交渉や労使協議で、賃金・時間・作業条件・業務遂行方法等を決定し、労働者は組合の職務統制に服し、決められた条件以上には働かない、融通をきかせることもなく、労働者はひたすら交渉や労使合意で獲得した権利を労働組合の権力を背景に自己主張することが基本の職場)に対する反テーゼとして、ウォルマートのようなコミットメント型の従業員関係の企業文化を礼賛したいわけです。要するに結論はノンユニオニズムとポストモダニカルマネージメントに行き着くわけですが、私は組合不在企業には全て好意的ですからウォルマート以外の企業も順次とりあげていきたいと思いますが、まず世界一の企業から論評したいというのが趣旨です。

 ウォルマートの躍進で多くの競合他社を経営不振に陥らせたといわれます。しかしそんなことは非難されるべきことではありません。
 ディスカウントストア第2位のKマートは業績が悪化し2002年に連邦破産法11条(チャプターイレブン)を申請するに至りました。
*Kマートが不振となった要因についてhttp://www.urban.ne.jp/home/take/kmart.htm参照してください。もっともKマートは会社更生手続によって生まれた新会社 Kmart Holdings Corporation が投資家エドワード・ランバートの下で再生され、積極策がとられ2004年11月にシアーズ・ローバックの買収を発表、報道では110億ドルともいわれる。形としてはKマートがシアーズを買収したのだが、2005年に持株会社の名称を Sears Holdings Corporation としてKマートとシアーズがぶらさがる形になっている。
 ウォルマートの二代目のCEOデビッド・グラスの評価が非常に高い。それは旧来のディスカウントストアから拡充されたスーパーセンターに転換し飛躍的業績アップになったからである。1992年以降、スーパーセンター業態でウォルマートが本格的に食品市場に参入したことにより、多くの店舗が閉鎖に追い込まれたとされている。
 2004年4月の『海外労働情報』アメリカhttp://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2004_4/america_01.htmは次のように記されてます。「UFCWによると、1992年以来、ウォルマートの進出により閉鎖に追い込まれたスーパーマーケットは、13000店を超える‥‥カリフォルニア州を中心に営業していた大手スーパーマーケット「レイリー」が、ウォルマート進出により地区18店舗全てが閉鎖に追い込まれ、1400人の労働者を解雇せざるを得なくなった。レイリーの従業員の時間当たりの賃金水準が、家族の医療保険と年金保障を含めて時間当たり約15ドルであるのに対し、ウォルマートは約9ドルである。人件費の差がそのまま商品価格と顧客の獲得数に影響を及ぼしており、地元スーパー経営者の脅威となっている」
 小原博の昨年の著書(註1)によると、1992年以降、ウォルマートは20社強の食品スーパーを経営破綻させた。2005年には中南部に展開するスーパー大手のウィン・ディキシーを破産法の申請に陥らせた(なおアメリカ流通業研究サークルによるとhttp://www.seisenkobo.co.jp/us-ratil-club.htmlウィン・デキシーは2004年度には1000店舗以上を閉鎖したが、2005年2月に経営が破綻。連邦破産法11条による管理下で事業再生を進め、昨年11月連邦破産裁判所は、ウィン・デキシー社の事業再生計画を承認している)。また2005年カテゴリーキラー玩具大手のトイザらスが破綻しhttp://www.nintendo-inside.jp/news/159/15962.html報道によると57億ドルで投資会社に身売りしたが、これはウォルマート影響現象とされてます。
 

 だからといってウォルマートが多くの競合他社を経営破綻させたことを非難する理由は何もないです。この点については流通アナリストの鈴木敏仁氏が同氏の米国流通情報サイトで面白いコラムを書いてます。「スターバックスとウォルマート」http://www.retailweb.net/2006/01/post_53.html「実はスタバも、店員の労働組合結成の動きをつぶしている、健康保険加入資格を得るに十分な時間働かせていない、といった批判を労働組織から受けているんですね‥‥スタバがローカルのコーヒーショップをなぎ倒してきたことはまぎれもない事実で、この点においてはウォルマートとなんらかわりはない」ウォルマートだけが非難される筋合いなど全くないわけです。
 

 波形、中島編著『「ウォルマート」に勝つ店づくり』経営情報出版社(平成14年)を読みましたが、業態開発によってウォルマートに対抗することは可能です。ノースカロライナの地元企業が6社も載っていたので嬉しくなりました。ここでは3社だけ紹介しておきたいと思います。
 

 まずノースカロライナ州シャーロットに本拠のあるファミリーダラーhttp://www.familydollar.com/です。44州で6200店舗を展開してます。同業態のバラエティストアとしては均一価格販売のパイオニアであるテネシーに本拠のあるダラーゼネラルの方が大きく、そちらは8000店舗に達してますが、この業態は低価格、低コスト経営でウォルマートに対抗できる業態とみなされてます。ウォルマートの顧客層の58%が世帯年収4万ドル未満とされるが、生活必需品のニーズに貧富の差はさほどなく金持ちもケチなのでウォルマートで買い物をする。だからウォルマート顧客層は広いのである(註2)。対してファミリーダラーはターゲットを年収2万5千ドル未満の低所得層に絞り込んでいる。近隣立地で、家庭用品、実用衣料を数段階の低価格で売り、生活必需品を全て買ってもらおうという戦略だ。誤解がないように言っておくと、均一価格店として有名な日本のダイソーとはマーチャンダイジングが本質的に違います。ダイソーは自社企画商品が7~8割をしめ意外性・面白さを醸成して宝探し的魅力で客を吸引するユニークな手法ですが(註3)、アメリカのダラーストアはもっと基本的で購買頻度の高い商品が中心です。
 

 次にノースカロライナ州マシューズに本拠のあるハリスティーターhttp://www.harristeeter.com/Default.aspx リージョナル食品スーパーですが、ノースカロライナを中心に155店舗を展開、5年前の実績で、ノースカロライナのウォルマート110店舗に対し、108店舗を展開しているので大善戦です。人気の理由はとてもきれいで雰囲気の良い店舗、質の高い商品と低価格、すぐ食べられる惣菜、24時間営業(註4)。ハリスティーターの例から、食品スーパーも特徴を出せばウォルマートに対抗出来ることを示してます。
 

 次にノースカロライナ州シャーロットに本拠のあるアパレル製造小売のカトhttp://www.catofashions.com/index.cfmですが、中間層向けのカジュアルなジュニア、ヤング婦人服・靴・アクセサリー専門です。31州で1000店舗を展開している。コストダウンのため売り上げの8割をしめるプライベート・ラベルはアジア、アフリカで製造し、デバートより3割~7割の割安感で若い女性客を吸引している(註5)。ウォルマートに勝てる洗練されたデザインと低価格ならやっていけることを示しています。
 このようにウォルマートとの競争で十分対抗できる経営体質の企業もけっして少なくないのであり、ウォルマートをことさら悪者にする必要はないでしょう。

 ウォルマートは、もともとで競争相手のないド田舎の小さな町に出店した隙間産業だった。しかもアメリカの中心部、中南部の保守的な州を中心に展開していた。いわゆるノンユニオンステート(組合の組織率が低い勤労権州)、あるいはレッドステート(ブッシュが確実に勝てる保守基盤の州)という言い方もありますが、この範囲に留まる限り、軋轢が生じることはなかったと考えられる。軋轢が生じ、ウォルマート批判が強まったのは、ウォルマートの進出が労働組合や民主党リベラルの影響力の強い州、いわゆるユニオンステート、ブルーステートのメガロポリスに達したことによるものと推定できる。

 もっとも社会倫理観の地域特性の差違を過度に強調しすぎるのは問題があります。直接的要因は食品市場に本格参入したことでしょう。競合他社が組合不在の非食品リテーラーの場合は、組合との利害対立にはならない。しかし、スーバーセンター業態で本格的に食品市場に参入したことで組合が組織化されている食品系スーパーマーケットと競合関係となった。レーバーコストの高い競合他社はローコストのウォルマートの経営方式に太刀打ちできるはずがなく、労働組合との利害対立は明白になったと思われます。
 

 アメリカの小売業と労働組合組織率ですが、流通アナリストの鈴木敏仁氏はリアルタイム・リテールのコラム「資本主義とグローバリズムその2」で次のように解説してます。http://premium.nikkeibp.co.jp/retail/column/suzuki2/02/index.shtml「(アメリカの組合組織率は)小売業界は4.5%に過ぎない‥‥(小売・外食の組織率が低いのは)新興のチェーンストア企業がそろってアンチ組合というスタンスをとっていることにも理由を求めることができるだろう。ウォルマートはもとより、ホームデポ、コストコといった大手小売チェーン、マクドナルドを中心とした大手外食チェーンなどのほとんどは組合結成を許していない‥‥この小売業界4.5%のほとんどを占めているのがUFCWである‥‥北米140万人の会員のうち、100万人弱がスーパーマーケット労働者で、その実は食品労働者組合というよりも、スーパーマーケット店員のためにあるといっても過言ではない」とされ、アメリカの小売業では「100年近い歴史を持つグローサリーストアのみ例外的に小売業界で労働組合を持っている」ということである。

つづく
(註1)小原博「ウォルマート」マーケティング史研究会編『現代アメリカのビッグストア』同文館出版2006
(註2)鈴木敏仁『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』株式会社商業会発行2003 26頁
(註3)木綿良行「ダラーゼネラル」マーケティング史研究会編『現代アメリカのビッグストア』同文館出版2006
(註4)波形克彦/中島利行編著『「ウォルマート」に勝つ店づくり』経営情報出版社2003 137頁以下
(註5)波形克彦/中島利行編著『「ウォルマート」に勝つ店づくり』経営情報出版社200359頁以下

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