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2007/06/23

高業績業務システムと90年代以降の仕事遂行方法

 アメリカでは、90年代にドラマチックなダウンサイジングを続け、目立ったレイオフやリストラクチュアリングがあった。仕事の遂行方法も50~60年代のありようとは変化した。
 MITのポール・オスターマン教授(註1)によると、アメリカの企業が80年代から90年代の競争的課題に対応した重要な方法のひとつが、高業績業務システムであるという。つまり従来のシステムは、職場は厳密な分業と狭い範囲で設計された専門的な職務で編成され、意思決定や評価は監督者の手中にあったが、品質を改善し、顧客のニーズ応えることができないため、権限、裁量を下層部の従業員に移し、官僚的な階層を排除し、仕事の定義をフレキシブルにするのが高業績業務システムである。
オスターマンは具体的には、QCサークル/ラインを離れた問題解決グループ、ジョブ・ローテーション、自己管理型業務チーム、総合的品質管理、2つ以上(多数)の業務活動、具体的な企業名では、サウスウエスト航空(パイロットでも時には手荷物業務を行う)、ベルサウスのチーム方式、NUMMI、GMのフリモント工場を挙げているが、オスターマン教授の全米事業所調査によると1997年の調査では基幹従業員の半数が高業績業務活動のある企業の割合はQCサークル/ラインを離れた問題解決グループが57.4%、2つ以上の業務活動が70.7%に達していることからみて、アメリカでは高業績業務システムは90年代のリストラクチュアリングで相当に浸透しているのである。

 佐藤健司(註2)は高業績業務システムとヒューマンリソースマネジメントを結びつけた議論を展開し、新しいスキル獲得のための教育訓練、メール・グループウェア・ネットワークによる組織横断的で十分な情報共有・社内コミュニケーション、クロスファンクショナルチーム、エンパワーメントの組み入れ、煩わしいプロセスの簡素化、水平的な組織、節約型賃金分配制度、従業員持株制度、利益分配制度、チーム別業績給、能力給、インセンティブ報酬システム、雇用保障、献身的で生産性の高い従業員層を確保するための業務環境支援といったことも高業績業務システムだとしている。

ただ佐藤の議論は資源ベース型の企業の特徴とごっちゃになっている感がないでもないが、オスターマン教授と同じく、従業員のアイディアや創造性の活用がコミットメントを強めること。管理監督者が減ってコスト削減となること、ピーアプレッシャーが生産性向上となることを経営者は肯定的に評価していることを述べている。

 上記の事例はいわゆるフルタイム労働者のことをいっている。しかし私が思うには、ウォルマートのパート労働者も高業績業務システムだと思う。ウォルマートが現場主義で時給ワーカーのデパートメントマネージャーの裁量が大きい組織であることは既に述べたとおり。パート労働者はただタイムカードをパンチして箱から商品を出して陳列してといった与えられた作業をやるだけの時給ワーカーでなく、商人でもあるだ。デパートメントマネージャーをヘッドにしたストア・ウィジン・ア・ストアという戦略ユニットがある。これはQCサークルの応用ともいわれているが本部は徹底的にサポートする。数値は時給ワーカーにも公開していて、時給ワーカーでもエンパワーメントの思考をするようになっている。ウォルマートの現場人員は、自らの店舗を自らの頭で考え改善していくのだ(註3)。 
 高業績とはこういうことという見本のようだ。しかも低いレーバーコストで高いパフォーマンスなのである。そういう意味でもやっぱりウォルマートは偉大な企業だと思う。

 高橋俊介によるとアメリカの大企業は80年代から職務等級制度はそのままで、目標管理制度を組み合わせる成果主義を取り入れた。90年代になると職務等級制度の序列構造自体が問題視され、新しい成果主義の潮流となる。大企業は組織のフラット化、MBA取得者が幅をきかせるスタッフ官僚制の打破、顧客満足度の重視から官僚的体質の組織を解体され、職務等級がブロードバンド化され。職務評価を廃止してコンピタンシー(コンピタンシーという概念が多義的で難しいが、成果に結びつく能力全部を含む、行動特性、思考特性などと訳され、主体的ジョブデザイン行動やネットワーキング行動を含む)の重視、市場給与相場の重視、ハイテク企業や金融業界は職務等級なしで市場給与相場比較のみとなった(註4)。
 評価の仕方も行動評価やチームワークを重視し、管理監督者だけでなく、同僚・部下・顧客など360度多面評価を行う企業は97年で、フォーチュン500社の半数まで普及している。これは顧客ロイヤリティ経営、顧客満足度重視によるものである(註5)。もはやジョブコントロールなど時代錯誤、たんなるヒラメ人材は360度評価で生き残れなくなっているというべきだろう。

(註1)P・オスターマン著、伊藤・佐藤・田中・橋場訳『アメリカ・新たなる繁栄へのシナリオ』ミネルヴァ書房(京都)2003年
(註2)佐藤健司「高業績業務システムの展開と人的資源管理」伊藤・田中・中川編著『現代アメリカ企業の人的資源管理』税務経理協会2005年
(註3)鈴木敏仁『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』商業界2003年
(註4)高橋俊介『成果主義』 東洋経済新報社、1999
(註5)高橋俊介『ヒューマン・リソース・マネジメント』ダイヤモンド社2004年

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