『パブリックスの「奇跡」』について(2)
ブラントンの方針は、パブリックスの全従業員の仕事は、「お客様を喜ばせる」ことだから、それ以外の職務を規定する必要はないというものである。
著者はわかりやすい事例としてニューヨークタイムズの1995年4月25日の記事を引いている。これはアメリカの北東部のスーパーより、南東部のスーパーの方が経営状況もサービスも良い事実を分析した記事である。ジャムの瓶が落ちて売り場にこぼれたとき、グランド・ユニオンでは、清掃はメンテナンス担当の仕事であるので、他の担当はどんなに手が空いてもモップがけはしない。パブリックスではどの部門の床であれ気づいた人が掃除をする。なぜならば、パブリックスの従業員は「お客様を喜ばせる」ことが職務だから当然のことである。他部署で問題が生じた時に力を貸すのは当たり前というわけだ。組合セクターのようなジョブコントロールがないこと、役割分担を固めないことにより命令や指示がなくても自発的、積極的に貢献することが許される。組織もフラットで官僚主義的でない良さがある。
参考
アメリカ流通業研究サークル 「アメリカ食品小売業プロフィール」
http://www.seisenkobo.co.jp/doc/us-retailer.htm
続く
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