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2007/08/19

副知事・水道局長への抗議文・予備草稿(3)

 事実上の超勤拒否闘争奨励はひどい政策だ

承前

 私はそもそも労働基準法を含めて労働三法に反対だし、ロックナー判決マンセー、コモンローの黙示的誠実労働義務が正しいと思ってますから、黙示的誠実労働義務については別途述べますが、自発的残業については賃金請求みたいな欲深爺さんみたいな欲の深いことはしたくないから、前の職場とその前の職場では賃金請求はいっさいしませんでした。要するにカラ超勤制度がなくなってから、実質8時間コアタイムの裁量労働制でいいということでやってきたんです。
 夏休みとか有給休暇だって全くと言っていいほどとってませんよ。秋から冬に組合が闘争するから、殺気だってくるんで、比較的騒がしくない夏に仕事をこなしていかないと、秋から冬苦しくなるから、夏休みって絶対的にとりたくないんですよ。田舎もんじゃないから、帰郷することもないですし、本当のことをいうと祝日とか土日も関係なく仕事ができた方が楽ですよ。5月とか1月とか祝日のある月が、組合のジョブコントロールで金曜日や祝日の前の日はこの仕事しちゃいかんとか統制するから日程がタイトになってしまう。8月は祝日がなくて31日まであるから仕事しやすいですよ。8月に夏休みとれだの、ノー超勤ウィークをやられると、ストレスで朝青龍状態ですよ。私は手術してから大病院に定期的に診察があるから仕方なく有給休暇をとっているくらいですが、これも仕事に支障があるので大病院止めて夜間土曜もやっている近隣の医者に移りたいと思ってるんですけど。なかなかやめたいといいにくい義理で大病院に通ってるだけです。手術したときもさすがに有給休暇はとりましたが、それでもできるだけ早く退院できる病院を選んだんです。
 
 組織ぐるみで超勤拒否闘争をやるくらいだったら、このさい夏休みを廃止し、有給休暇も減らすことも検討すべきです。人が夏休みや有給休暇(その他女子職員の部分休業とか、育児休業もあるんですが)をとるために仕事をカバーしなければならない面も多分にありますから、茨城県牛久市が今年から夏休みを廃止したというニュースがあります。
 http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/ibaraki/news/20070727ddlk08010037000c.html
 
牛久市:市職員の夏休み廃止 市長「優遇され過ぎだ」 /茨城
 池辺勝幸牛久市長は26日の記者会見で、市職員の夏季特別休暇(5日間)を廃止したと発表した。池辺市長は「年間20日の有給休暇があるのに公務員は優遇され過ぎだ」と話す。菊池正彦市職労委員長は「有給休暇すら消化できていない。公務員バッシングに便乗している」と反発する。総務省公務員課は「地方自治体の夏季休暇廃止は聞いたことがない」と話す。

 牛久市では、長年の慣行で7~9月に7日間の夏季休暇が認められてきた。池辺市長は04年度に5日間に削減、今年4月、組合に全廃を通告した。計4回の団交を経て今月、職員の休暇に関する市規則を改定した。

 池辺市長は元企業経営者で「超優良企業と比べても優遇だ。市財政が苦しいと言っても納税者の理解が得られない」と述べ、休暇全廃で年間約7905万円分の人件費の削減に相当する、と効果を強調する。牛久市職員は417人。
 一方、菊池委員長は「過去5年で100人近い人員が削減され、休日出勤の振り替え休暇も取れない。時短に逆行している」と反論する。全国の自治労加盟労組も616通の抗議文を送った。【扇沢秀明】

毎日新聞 2007年7月27日

 私は牛久市長の考え方に全面的に賛成ですね。夏休みを取れとかギャーギャー言われるのが非常に不愉快ですよ。自己決定できる領域に執拗に干渉してくる。上半期に頑張っておくと、秋から年度末の仕事の能率が上がるんですよ。夏休みがないほうが仕事が楽なんですよ。東京都は有給と夏休みだけでも25日あリます。そもそも、有給休暇というのはアメリカ1920年代のウェルフェアキャピタリズムの反労働組合労務政策の一つとして広まったものです。要するに組合を組織化させないための従業員福祉政策だったわけです。だから今日でも従業員福祉の発達している企業の多くは非組合企業です。
 アメリカでは1980年代以降有給休暇は削減の方向、時間外労働は増大の傾向といわれてます。(後述ショアーのと著書の111頁)有給休暇削減がトレンドです。政府の時短政策は大きな間違いでした。
 東京都では生産性を無視していまだに時短だ職員の権利だとかばかなことをやっている。阿呆としかいいしようがないです。
 アメリカで「働きやすい企業、従業員に優しい企業」でビジネスウィークとかでランキングにのるような企業でも今日では有給で25日も休めるところはほとんどないんじゃないか。
 またカロライナの宣伝ですかといわれるかもしれないが、世界最大の非上場企業、ヒューマンリソースマネージメントの資源ベースアプローチの典型としてよく引用されるノースカロライナ州ケアリー(州都ローリーの近く)を本拠とする業務ソフトウェア大手のSAS Instituteを取り上げたいと思います
http://www.sas.com/corporate/index.html
http://www.sas.com/offices/asiapacific/japan/news/press/200107/26b.html 
 SASインスティチュートは1976年に創業された、ビジネス・インテリジェンス・プラットフォームとソリューションのリーディングカンバニーで同社の製品はフォーチュン500の90%以上を含む世界中で4万のサイトで採用されている。ノンユニオン(組合不在)で株式未公開企業、世界で9500人、全米で5000人、うちカロライナの本社で4000人が働いていて、離職率4%と低く、従業員に優しい社風で知られている。
 週35時間労働、月300ドルで利用できる良質の社内託児施設、社内診療所も充実している。ピアノ演奏つきのカフェテリアがあって1時間のランチタイムを家族で楽しむこともできる。900エーカーの広大なキャンパスとよばれる敷地に最新設備を備えたフィットネスセンター、10レーンのプール付体育館、サッカー場、テニスコート、ゴルフのパット練習場があり、テニスラケットの弦の張り替え無料サービスもある。医療保険制度が従業員には無料で提供され、全額会社拠出で年俸の3倍の生命保険が受け取れる。病気休業は6ヶ月まで保険で給与の100%がカバーされ、それを超えても66%が職場復帰まで支給される。多くの企業が退職者向けの医療給付金を削減している傾向なのにSASは追加しているのである。またカフェテリアのスタッフや芝刈り職人にいたるまで、全員が正社員というのも特徴的である。アウトソーシングが流行っているのにどういうことだろうか。また「ワーキングマザーのための職場ベスト100」に17回中13回ランクインしている。非組合企業ではどこでもあたりまえですが、もちろんオープンドアーポリシーを採用し会社幹部に自由に意見を述べることができる。
 技術専門家にとって働きやすい企業といわれているが、シリコンバレーのようなストックオブションやフリーエージェント制、契約時のボーナスはない。長期雇用を前提として教育訓練でじっくり人材を育てていく、福利厚生や従業員にフレンドリーな社風で人材を引きつけ離職率を低くして、教育訓練投資のコストを低減させる経営手法といえる。もっとも「従業員を信頼・尊重」する社風とはいっても営業部門の離職率が18%と高く、営業部門では会社に貢献できない社員に厳しい現実もあるようだ。(引用参考文献-伊藤健市「SASインスティチュート社の人的資源管理」伊藤・田中・中川編著『現代アメリカ企業の人的資源管理』税務経理協会2006年)
 もちろん、SASのような福祉重視企業は80年代以降の株主主権重視やリエンジニアリングの流れから一般的な傾向とはいえないとは思うが、それでもやっていけるということである。
 カフェテリアのピアノ演奏者や、芝刈り職人も外注化しないのだそうです。非上場企業なので株主から文句をいわれる筋合はないということでしょう。私はIT企業で35時間労働はあまりにも少なすぎると思います。人によっては週60時間あたりまえみたいなハードワーク主義を好む人もいるでしょうし、私は同社の社風に全面的には賛成しません。しかしそれができるのはそれだけ生産性の高い企業で、知的財産やノウハウが蓄積した成功した企業だということです。
 このようにSASは従業員にやさしい企業の典型として語られますが、前出伊藤健市によると「平均勤続年数16.7年で24.5日の休暇を取ることができ、そのうち9日は有給で、それ以外に2.7日の休みを取れた」としています。
 アメリカできわめて生産性が高く、従業員にやさしい企業の典型でも有給休暇は9日ですよ。
 生産性の低い地方公務員が25日も有給を取ることはないでしょう

 ある管理職が私にいうにはドイツでは1ヶ月の夏休みはあたりまえとかいうわけです。東京都の管理職は阿呆じゃないですか。たしかに1989年のデータによるとドイツは立法で3週間、協約で5.5~6週間の有給休暇があります。大陸欧州や北欧では休みが長いです。ドイツでは1980年代に大労組IGメタル(金属産業労組)が激しいストライキで週35時間労働を獲得してますが、こんなのはグローバルスタンダードでもないしもんじゃないですよ。
 英米では労働時間は増加傾向です。こっちがグローバルスタンダードです。ジュリエット・ショアーというハーバードの女性教授の『働きすぎのアメリカ人』森岡他訳 窓社1993年を読みましたが、未婚男性は時間外や副業で年間334時間働く。1973年の生活水準を維持するために245時間多く働いていると書かれている。私はショア-の考えと正反対で、アメリカ人はよく働くようになったことを賞賛すべきだと思います。
 特にホワイトカラーはもっと働くべきでしょう。

 

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