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2007年9月の14件の記事

2007/09/30

時津風親方はバッシングにもかかわらず堂々としていて立派だ

 時太山急死事故は北の湖理事長が文部科学省に召喚される事態にまで発展しましたが、私は時津風親方に同情するし、行政の過度の介入にも反対します。

 日刊スポーツ29日記事-相撲協会「国技はく奪」突きつけられた

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070929-00000040-nks-figh

 しかし29日発行の夕刊フジでは従来の報道とニュアンスの違う記事がありました。---時津風親方は、突然始まったバッシング報道に「愛知県警と犬山署からは、あまりの報道のひどさに、わびの電話が入っている。よってたかってリンチなど加えていない」と、親しい関係者に激高しているという---とされています。
 又、29日発行の東スポでは捜査関係者の話として、親方は愛知県警に対し---「私も若い頃は木刀で頭を叩かれ血が出た、なんてことはよくあった。角界では当たり前ですよ」と発言した。又イスにふんぞり返るようにして余裕しゃくしゃくといった感じで話すそうなんだ。普通は警察に呼ばれただけでぶるっちゃうもんだけど----との話しを伝えている。
 つまり報道のようなリンチ事件との認識は親方は持っていない。私も親方の見解を尊重したい。角界では当たり前の指導の何が悪い。しかも時津風部屋の荒稽古は双葉山道場以来の伝統なんでしょ。時太山を有望と見込んだうえでの厳しい指導ということでしょ。
 なるほど、27日定例理事会と師匠会で挨拶のため国技館に現れた時津風親方は雲隠れもせず堂々としたものだし、師匠会では笑顔をみせる余裕もみられたのである。さすがに大きな名跡である時津風を襲名しただけある一廉の人物と認識しました。時津風は先代前理事長の元大関豊山が後継者として指名したんでしょ。解雇必至との報道もありますがそれは前理事長のメンツを潰すことになるから好ましくないです。理事長を二代輩出したこれほどの名門の師匠ですから、警察にびびるような人物ではないわけです。
 私の考えは、そもそも、相撲の年寄は弟子をとって営業できる特権的地位ということからはじまったのだから、指導方法について素人が口出しするのが僭越なのである。木刀で叩くのもビール瓶で叩くのも大差ない。それくらいのストレスに耐えられない根性では大成しないということだろう。ビール瓶は愛の鞭ということでよいのではないですか。素人考えで理不尽に思っても安直に非難するのが間違いだと思う。
 近世史プロパーの高埜利彦『近世日本の国家権力と宗教』 (東京大学出版会、1989年)という本を読みましたが、相撲史に言及していて、記憶だけですが、享保期頃まで江戸幕府は治安対策上相撲興行を禁止するなど否定的だったが、民衆には娯楽の欲求もあり辻相撲や素人が木戸銭を取って営業することを禁止する一方、四季勧進相撲が慣例化し、上覧相撲の成功もあり幕府は吉田司家の由緒を認めて吉田司家免許の年寄の弟子になった者だけが相撲取と認められ、木戸銭を取って稼業とすることができる相撲渡世集団が認められたといった経緯がだいたい書かれていたように記憶してます。
 そのように相撲年寄は公認され営業特権を有する家職として続いてきたことから、素人が古典芸能などのしきたりに非難することがばかげているように、素人がとやかく指導方法にいちゃもんをつけるのが間違いだと思う。
 28日文部科学省内で記者のインタビューで北の湖が角界では各師匠が稽古を指導するのであって、協会はやり方について干渉しないという趣旨のことを説明してましたが、華道であれ茶道であれ歌舞伎や落語であれ各師匠や一門で指導方法は違うのだから、ちゃんこの味が違うようにやり方が違うのは当然のこと。相撲協会は本来稽古の方法を統制したりする立場にはないということで、それはいいんじゃないですか。公益法人だから死者を出すのは拙いというのかもしれないが、10年間で4人http://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/news/CK2007092902052435.htmlなら、これだけ激しい運動にもかかわらず少ないという見方もできなくもないだろう。
 ブログでは時津風バッシングに同意する意見が圧倒的に多く、相撲部屋の体育会系の体質が嫌いとか書いてる人が結構いるようだけど変ですね。
 渡海文科相は角界の体質は古いとか言いましたけど、私はそう思いませんね。
 オタクタイプの人が厄介者扱い、特別嫌悪されなくなったのははごく最近のことですよ。パソコンの普及によりオタクが情報発信するようになってからですよ。オタクもそれなりに役に立つことがわかってからです。
 組織のフラット化や官僚主義を打破した企業文化は1990年代以降の傾向です。
 しかし一昔前までは、世間の空気といいますか、体育会系のノリでないと人間じゃないという雰囲気の時代があったわけですよ。縦社会の人間関係や礼儀を心得ている、体育会系は使いやすいし、はきはきして気持ち良い。リーダーシップもある。就職するにも何にしても体育会系が有利という時代がけっこう長くあったわけですよ。それに比べて非体育会系は人間関係でもまれてないから使いにくいといわれていました。
 そう言う意味でスポ根とか体育会系の作法やしごきは寛容というか、むしろそういう躾が重要なんだという人が圧倒していた時代がありました。私は保健体育の成績は2ですから、スポーツもやったことがない我々のような非体育会系は日陰者扱いだった時代がずうっとあったんですよ。体育系じゃなきゃ新人類とかいわれて人間とみなされなかったんですよ。
 教育雑誌で読んだことですが陸軍士官学校で教師が体罰をふるうことは全くなかったそうです。教師は紳士的でした。ただ先輩からの体罰はあった。生徒間の上下関係が厳しいんです。これを隠れた(ヒドゥン)カリキュラムといいますが、公式的な教育課程ではなく、非公式的な生徒間の人間関係や学校文化が人間形成に与える影響が大きいわけです。表向きは体罰反対といっても、大抵の人は隠れたカリキュラムを支持します。先輩の体罰によって苦労することが人間形成上良いことなんだというのが本音だったんですよ。公式のカリキュラムよりむしろ体で覚える教育が実は大事だという人が圧倒してました。苦労人がよく説教することですが、非公式的な制度、下位制度の方が重要だ。昼間の仕事より飲み会の余興でばかげたことをやることが大事だと説教するのと同じことです。
 そう言う社会の底流にある文化からすれば、親方のビール瓶叩きはたいしたことはありません。非公式的な上下関係を学ぶ教育こそ大事なんですよという人が圧倒的に多かったじゃないですか。であるから、相撲部屋の体質は前近代的なものというわけではないです。

2007/09/27

デモ隊撲滅賛成だ-ミャンマー軍政支持

 町村官房長官が強圧的実力行使をしないように求めたいとか馬鹿なことを言ってますが、率直な意見を言うと、デモ隊の制圧は当然のことだと思いますね。

デモ隊に発砲、数人死亡=市民は投石、100人以上拘束-ミャンマー
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070927-00000204-jij-int

アメリカ憲法の表現権理論ですが、一口で言うと、表現内容に着目した規制は厳格司法審査。しかし表現内容に中立的な時・場所・態様の規制は、合理的な理由により政府の規制は容認されるというものですね。前者で言えば、例えば星条旗焼却という政治的表現は政府が規制できないことが、1989年の最高裁判決で確立してますね。超保守派のスカリア判事も違憲判断ですよ。しかしいかに表現の自由といっても、表現内容に中立的な時・場所・態様の合理的な規制は認められるのですよ。自由な社会だからといって行き過ぎた態様のデモ隊を放置しておくわけにはいかないのは当然のことだと思います。
 私は歴代教皇のなかでも12世紀の歴史上唯一の英国人教皇ハドリアヌス4世を尊敬します。改革派修道院長出身で、余りにも規律が厳格なため訴えられ、教皇エウゲニウス3世に召喚されたが、教皇はこの人物を認めて枢機卿に抜擢した経緯からも明らかなように、厳格な人物ですが、この教皇を尊敬する理由は、世俗権を要求するローマ市民を許さない。対市民戦を躊躇せず、市民の騒擾とは断乎対決したことですよ。教皇の要請で対市民戦に参戦したフリードリヒ・バルバロッサの無礼を叱りつけました。中世屈指の大物ですが、たいした教皇だと思いますよ。。
 暴徒化した市民は断乎叩き潰すべきです。暴民というものは容認しないのが良き統治者なのではないですか。
 そもそも、スーチー女史とかの思想に共鳴しないし、民主政体が最善だなどとは全然思ってませんから、デモ隊が制圧されようと、死者が出ようと全然同情しませんよ。むしろ、生意気な新弟子を可愛がってやったくらいで立件されると報道されている時津風親方に同情します。

2007/09/19

ラーメン絶ちを決意

 土日に深刻で重いテーマの記事を書いて、平日は軽くてくだらない記事を書くパターンにしたいと思います。
 ばかばかしいことも書かないと気が滅入っちゃうんで。
 きのう書店でシリーズ・アメリカ研究の越境第2巻『権力と暴力』ミネルヴァ書房2007年を購入、これはブログで引用するため。駅売店で週刊ダイヤモンド9月22日号特集「新聞没落」を買う。昨年ナイトリッダーを買収して話題になったマクラッチーのCEOのインタビューがあってグループ内最大ミネアポリス-セントポールの「スタートリビューン」を売却するとか。リベラルな地方新聞で、娯楽記事も充実しているという評判を読んだことがあるがどういうことかよくわからない。
 きょう久しぶりに陳建一麻婆豆腐を食べる。オバQの小池さんほどではないが、ラーメンは医者が良くないと言ってたので、遅きに失したがラーメン絶ちをすることになった。血管年齢は老人並みだが、安倍と違って胃腸だけは丈夫。素人童貞で食べることしか楽しみがない人生で貧乏性か必ず完食するのでそれがよくないらしい。麻婆豆腐なら健康的でいいだろ。前回は開店のころで混んでいて、そのころ煙草を吸ってたので、全席禁煙がけっこう辛かったように記憶している。今回はすいていて、店員が水をどんどんついでくれるのでよかった。二度目なのでこれが、本場四川の鉄人の料理かと言う感動はなかったが、大盛りライスおかわりで腹いっぱい。デザートつき1150円。米は千葉東金ふさおとめ新米とか書いてあったが、千葉米というのは初めてだなあ。

2007/09/16

未完成原稿公開シリーズその7 東京都の労働組合活動及び庁舎管理等の方針に関する根本的な疑問

これもパソコンの中にあったもの。自分も安倍のようにいつ倒れるかわからないのて、この際表に出します。

 まず、国の九段第二合同庁舎(東京法務局・麹町税務署・中央労働基準監督署・関東運輸局東京分室等のある)正面玄関自動扉前に設置されている2個にある立て札について述べます。千代田営業所に勤務していたため、仕事上法務局の窓口に屡々訪問したので立て札のことをよく覚えているからです。庁舎構内において次の行為を禁止すると書かれています。
1、凶器・危険物の持ち込み。2、腕章・はちまき・ゼッケン・旗・幟・プラカード・拡声器の着用又は持ち込み。3集会・演説・座り込み、及びこれに類する示威行為の禁止。4、面会の強要、・文書の頒布その他管理を妨げる行為。
 要するに国は、組合活動とは名指ししていないもののの庁舎構内での職場集会や示威行為は明確に禁止しているわけです。
 しかし東京都水道局では不適切な組合活動の規制がなされていないこと、特に郵便局など国の政策と比較して40年以上のタイムラグがあること。これが職場における大きな不満の一つである。
 まず庁舎構内で行われている、3割動員、2割動員と称する勤務時間内職場集会である。平成14年春の支所統合反対闘争では、中央支所の庶務課倉庫前の来客用駐車場のスペースで午後2時より集会がなされていたが、赤旗が何枚も貼られていてビラが集会場所だけでなく、階段の側面にびっしり貼られて(立て看板は1ヶ月以上放置)、200人ぐらいの人が集まってやっていましたが、ここは駐車場だから、水道局だけでなく、都税事務所の来客も含め迷惑がかかり、明白に正常な業務を阻害するものといえる。
 次ぎに平成6年から6年間勤務していた江東営業所(東一支所)の事例です。正面玄関前にお立ち台が置かれそこで職場集会がなされるのですが、赤旗が3~4本掲揚され、ビラはドア、窓部分とエトランスの壁面にびっしり貼られ、万国旗式のビラが天井に吊られて、終了後は、シュプレヒコールしながら、庁舎内を練り歩く態様のものですが、たぶん郵政や国であれば昭和40年代で完全に規制されたようなスタイルの示威行為がなされていた。この態様は明らかに業務を阻害し、営業妨害といってもよい。業務手当闘争の際は立て看も正面玄関脇の植え込み前に置かれたが、中央支所と違っては放置せず、引っ込めさせていた。引っ込めては出すという繰り返しだった。
 中央支所、東一支所いずれも管理職はいっさい監視活動も、解散命令も発することがないのである。組合との間で監視活動、解散命令を発しないと言う協定がなされているのですか、又その理由を説明してほしい。当局は賃金カットとはしている。3割動員を2割にするとか動員の規模を小さくしており、規制強化の努力をしているとか言うのだが、賃金カットすればよいというものではない、それはノーワーク・ノーペイということであって、適正良好な職場環境を維持し企業秩序に定立するためには、解散命令を発し、処分しなければ論理的一貫性はないわけです。郵政とか国では1960年代からやっていることを東京都はやっていない。それが非常に不満であると第一に申し上げたい。
 しかし、水道局の庁舎で私が知るかぎりこのような立て札をみることができません。千代田営業所では駐車場に来客以外の駐車禁止といった立て札があるだけです。国のように集会・演説等を禁止するという立て札を置くべきである。そうしないのは労働組合の示威行為を認めたいということですか。この点で国と都では政策に明確な差があります、国でやっていることをなぜやらないのか説明してください。
 

郵便局であれば、昭和36年7月に『新しい管理者』というテキストにより、管理職の労務管理訓練を実施して、かなり徹底した組合活動の規制を実施してきました。不適切な組合の既得権、職場慣行の破棄、オルグの入局禁止、庁舎内の集会制限・禁止、掲示物の記載内容の規制、リボン・腕章着用者の処分、職場段階の交渉申し入は労基法上の三六協定・二四協定以外は団交事項として拒否。抵抗の強い職場には監視班の送り込んで、外勤者については局外の行動に同行するなどの監視の強化が行われた。*1、無許可職場集会は解散命令を出します。拡声器を使うこともあります。それで当然だと思います。その結果として、全逓の闘争至上主義的組合活動は是正されていったものと理解している。水道局はそれに比べると非常にぬる過ぎると思うわけです。
 中労委命令も勤務時間内集会や無許可集会などは基本的に認めなかったし、水道局ではあたりまえとされている組合本部役員によるオルグ活動についても、組合事務所の立ち入りはよくても、事務所に入室することは許されない。また専売など国営企業についてはILOのドライヤー報告を受けて勤務時間内活動の規制が強化されたといわれている。それに比べると、東京都の場合は組合活動の規制がぬるすぎてひどいと思うわけです。
 例えば全運輸近畿支部事件(最高裁第二小法廷昭和60年11月8日、棄却『最高裁民事判例集』39巻7号1375頁)、これは、勤務時間に15分から20分程度食い込む庁舎構内における職場集会の事例ですが、当局は事前に警告書を交付し、当日は口頭もしくは文書の手交もしくはプラカードにより再三解散命令を発した。そして分会長クラスが、集会での挨拶もしくは交渉経過報告もしくは頑張ろうの音頭とりなどの行為のため懲戒処分に付されたものでかすが、解散命令は再三行うよう管理職に指示されており、全運輸では昭和47年頃からは庁舎構内での集会は行わなくなったとされています。実際、仕事で霞ヶ関を通過したさい、全財務の職場集会を横目でみたことがありますが、敷地外の歩道であった。つまり国の場合は庁舎構内での集会は認めてないのです。江東営業所のように正面玄関で来庁者の出入りする場所はむろんのこと、構内での職場集会はきちんと監視して拡声器やプラカードを使って解散命令を出すべきです。のみならず、ビラ貼りも勤務時間中に堂々と貼られているのを私はみました。現行犯で処分すべきです。立て看板も同様に撤去されるべきものが撤去されずに一ヶ月も放置しているわけです。撤去命令に従わなければ処分すべきなのにそういうことをなにもやってません。つまり、東京都は組合の示威行為や争議行為に本質的に好意的なのです、これが我慢ならない点であります。
 なぜ、争議行為である集会の場所を提供し監視活動や解散命令をしないのか、この点について組合とはどういう取引になっているかを説明してもらいたいわけです。組合との交渉でいわゆる勤務時間内の動員決起集会について組合から自発的に賃金カットを申し出ることにより、庁舎構内の集会を事実上許可し監視活動や解散命令はしないで黙認する、そういう取引になっているんですか。これでは多額の組合費を収奪している労働組合にとってこたえるものではないし、むしろ解散命令を出さず事実上黙認することにより、組合の組織強制、団結強制の一翼を当局が担っているとみるほかない。
 つまりこうです。いわゆる所長席前に陣取ってなされている勤務時間内事務室内報告集会を当局は容認しています。これも中央委員会報告、書記長会議報告、交渉経過報告、それいがいにも突発的に行われることがあります。賃金カットしているといいますが、分会長・書記長クラスが司会・報告するものですが、いっさい解散命令を発することがない。事実上容認です。そこで、毎年年中行事のように闘争スケジュール、戦術、具体的には何月何日に何割動員をとか、この間ステッカー闘争をするとか、重要な闘争では総力戦として立て看闘争なども発表される。重要な闘争では組合本部からオルグ演説があり、千代田営業所の場合は、港分会からも団結のための演説があります。スト権投票の呼びかけが繰り返しなされ、高率の批准で闘争の意思を表そうとか呼びかける。それ自体が争議行為をあおっているわけので違法行為だと思いますが、スト権投票場所の便宜供与も含めいっさい管理職は容認するわけです。そこで、分会長・書記長クラスから、闘争期間につき必ず一回は職場離脱して動員集会に参加するよう指示が出される、所長席前での呼びかけにも、これを管理職はいっさい止めようとしない。
 団結権とか労働基本権というものをどう定義するかが問題になりますが、たぶん労働組合の論理では団結権というのは他人を威圧して犯罪的反社会的行為(労働契約に反する行為)を強要する権利という考え方なわけです。例えば労働組合員の倫理についてプロレーバー労働法学者で沼田稲次郎はだいたいこういうことを言っています。実は私が東京都に入って最初に勤務したのが都立大学事務局だせったんですが、この野郎が総長だったわけです。私は挨拶しませんでした。、思想が180度違いますから。こいつが言うには労働者のモラルとして労働者はは階級の下の集合人格であって、個別人格というものを認めない。したがって労使関係における個人の自己決定は許されないとするのである。労働組合がストライキを構えたら階級の下の集合人格として吸収されている個別労働者がストライキに参加するのは当然だとするわけであります。こうしたプロレーバー学者の考えをつきつめていくと、労働組合というのは政府、暴力団と同様に他人に特定の行為を強制力を有する権力だということになりますし、実際、団結権というのは、組合幹部が組合員を労働契約違反行為を強制する権利を憲法によって認められている権利なんだという考え方をとっているのだと思います。
 だから、スト権一票投票が批准されれば、これは労働組合は個別労働者にたいして、威嚇、威圧により強制力として現れることになり、動員指令は事実上の命令ということになります。
 動員指令を割り振る回状が勤務時間中にまわされ、署名やカンパもそうですが、勤務時間中になされている。勤務時間中動員指示を所長席前から公然と発出しているの黙認することは実質的に当局が争議行為を支援しているわけです。
 わたくしは、囚われの聴衆の状況で、むりやり組合の主張や争議行為の呼びかけ指示を聴かされるというのは、相当な威圧になっており、争議行為に巻きこまれるように仕向けられているわけであります。無理矢理職場集会に参加させられているようなもので、これを容認している当局は組織強制、団結強制の一翼を担っていると理解してよいわけです。
 これは適正な職場環境とはいえない。しかし、これまで私が管理職や課長補佐級の監督職員に呼びつけられたさい、いわゆる頭上報告容認の当局の方針について抗議したところ、業務阻害であり争議行為の支援だということを絶対認めない。
 演説者もこちらに集中してくださいと言い、職務に専念することを否定するわけですが、大声での組合役員の指示は相当な心理的威圧効果がある。アジ演説中にも当然顧客から電話がかかってくる。演説の騒音で電話相手の声が聞き取れない。組合がアジ演説してるのでせ大きな声でお願いしますとはいいにくいので難儀するわけです。たんにそれだけでも正常な業務を阻害しているといえるが、例えば江東営業所では、工務係の工事審査のために業者が待機するソファに工事係の技術員が占拠して職場集会がなされていたから、この時間帯は工事審査がなされないということで、業務を阻害しているわけです。といっても管理職はそれはおまえの解釈で、当局は業務阻害とは考えてないとのことであった。あるいは、営業部長のNのように聞きたい人がいるんだから認めるんだみたいな、理屈にもなってないことを言うわけです。
  繰り返し言います。勤務時間内無許可職場集会(ストライキ体制に入った場合は場所・時間を問わずすべての集会)を明確に警告、中止・解散命令・懲戒処分を徹底せよ。賃金カットをしてるからいいんだというのは駄目です。分会書記長の某は雪で競馬が中止になった日も競馬場に行く、徹夜麻雀もやるギャンブル好きですが、よく京都とか新潟に泊まりがけで競馬旅行をしてます。要するに飲み食いしながら競馬を楽しむ大名旅行をやっているわけですが、組合役員は高額の組合費を収奪しているとしか思えない

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未完成原稿シリーズその6 2002年ブッシュの連邦公務員政策

これはたんなるメモ程度のもの

1.国土安全省の創設にあたり、従前の給与システム(職階制)の放棄、行政規則上の保護(降格等の不服審査)     

 の放棄、団体交渉権の放棄

2.現在の連邦労働力の半分にあたる85万人の競争入札による民間委託化の提案

3.連邦公務員の賃上げを3.1%に抑制

その後、法案可決にいたるまで、ブッシュは繰り返し強調したことは、公務員の行政規則上の保護(不利益処分の不服審査)や労使合意事項にこだわることなく、管理者が雇用し、解雇し、配置換、昇進させる広範な裁量権を与えること。もし上院の法案が行政規則上の保護と団体保障権を保持する文言があれば我々は受け入れない。さらに団体交渉権は邪魔であるとも述べた。国土安全省構想は9・11テロ攻撃後、コネチカット選出のリーバーマン上院議員(民)ら上院のメンバーによる提案であり、ブッシュは当初反対だった。

11月14日下院で法案は299(共和211+民主87)対115(民主114+独立1)で可決した。

ブッシュは雇用判断に広範な裁量権を認めない法案は拒否すると脅す(FOXNews July 26

http://www.foxnews.com/story/0,2933,58748,00.html

リーバーマン上院議員爆発、ブッシュの団体交渉権剥奪の方針に怒る(FOXNews July 29 

http://www.foxnews.com/story/0,2933,58935,00.html

ブッシュは中間選挙で上院勝利なら労組の権利を保証しないことを最優先として通過と合図(政府幹部マガジン10・30)

http://www.govexec.com/dailyfed/1002/103002p1.htm

ポール・C・ライトは連邦公務員の職階制は時代遅れと10年以上前から指摘(共和党全国委員会のサイ渡)

http://www.goprnc.org/r/Newsroom/RNCResearch/research090902.htm.go.php

2007/09/15

未完成原稿シリーズ5 平成14年11月勤務時間内組合活動について

パソコンの中にあったものですがこの際公開します

 『産経新聞』平成14年11月15日一面「東京都と組合合意『ながら条例』改正合意-有給活動3分の1に削減」記事は次ぎのように記す。
「東京都が職員に勤務時間内の組合活動を認めている「ながら条例」の見直し問題で、都は十四日組合側と団体交渉を行い、組合活動の認定範囲を、従来の三分の一程度まで大幅に削減することで合意した。来年開会の定例都議会で条例改正され、来年四月に施行される見込み。改正は昭和四一年の制定以来三十六年ぶり。これまで広範囲に認められてきた有給組合活動にようやく歯止めがかかることになる。都と同様の条例があるのは新潟県と京都府のみだが、実際には勤務時間内の有給組合活動を認めている自治体は多いといわれ、全国自治体の労使関係にも大きな影響を与えそうだ。都によると条例に基づいて都職員が行っている勤務時間内職場活動は、推計で年間七十五万六千時間、給与に換算して約十九億七千万円に及ぶ。今回の労使合意に基づいて、条例改正されると、有給組合活動として認められるのは「団体交渉」とその準備に必要な「予備交渉」や「小委員会交渉」に限定。各支部や部会で週一回開かれる専門部会や職域委員会などは認められなくなるるこれにより都が職員の組合活動に支払う年間金額は十三億円減り、六億円程度に収まるという。改正条例では「準備行為」を求める文言が削除される見通し(以下略)。」
 ながら条例につき産経同記事の囲みの解説は次のように記す。「昭和41年当時無秩序に行われていた勤務時間中の組合活動を制限する目的で制定されたが、条文に「適法な交渉」に加えて「交渉の準備行為」を認める文言を盛り込んだため、結果的に勤務時間中の組合活動の大半が合法化される事態が生じた。」
 この条例改正はは、組合ビラでも明かなように、都議会の圧力によるものであるから、議会に言われて腰を上げたようなもので都職員の怠慢は目に余ると思うし、都管理職は組合とつるんで腐れきっていたということになるだろう。それはともかく、勤務時間内組合活動がの認定範囲が絞られることは職場環境を適正良好に保持し規律のある公務の運営態勢を確保するために大きな前進であり、歓迎する。
 問題は、今後、認定範囲外の組合活動が時間外でなければならないこと、つまりノーワークノーペイが徹底されるのか、条例適用範囲とされていない勤務時間内組合活動、例えば組合分会総会とか、女性委員会、争議期間中の組合集会、団結みそ汁づくりなど管理職は黙認されている実態、事務室内でのオルグ活動、報告集会、職場大会などについては、賃金カットはしているとのことだが、警告や解散命令、就業命令は出しておらず、事実上の黙認だし、江東営業所の慣行では3時以後組合活動のための職場離脱は自由ということになっていた。そうしたヤミ慣行も含めると都のコストは厖大なものだと思う。
 具体的にいえば、認定範囲外の職場離脱してなされる勤務時間内組合活動につき、施設構内・会議室利用の便宜供与は明確に不許可とする方針で徹底するのか。無許可組合集会による、警告、解散命令を発出し、従わない者は処罰する方向で徹底されるのかなお不明である。又、当局が頭上行為と称して容認している事務室内のオルグ活動、職場集会が今後も容認するのか。さらにスケジュール化された争議行為の問題がある。国家公務員は組合が争議体制に突入する状況で庁舎構内での集会は認めていない。例えば全運輸は昭和48年から職場集会は敷地外で行うようになった。郵便局ではたとえ時間外集会であっても争議体制に入れば会議室利用等の便宜供与はしない(全逓城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6『労働判例』442号)。ところが水道局中央支所は勤務時間中駐車場で来客の駐車を妨害する形でなされ、東一支所では正面玄関前に陣取って決起集会がなされ、監視活動や解散命令もなされていない。又、争議期間中の所長席を取り巻いてなされる所長交渉も、明確に拒否し、解散命令を出すへきだと思うがこうした態様も含めて、従前からの管理職の組合の既得権擁護姿勢は明確に転換できるのかという問題がある。

未完成原稿シリーズその4 東京都が組合の示威行為を規制しないのはおかしい

これはパソコンのなかにあったもの

私は仕事上、法人登記調査などで東京法務局のある、九段第二合同庁舎をしばしば訪問する。麹町税務署なども同居し来客の多い庁舎である。入り口に2カ所立て札があり記憶によるので正確な表記ではないが、「庁舎構内において、旗・幟・プラカード・凶器の持ち込み、腕章・ゼッケン・ヘルメット・はちまきの着用、面会の強要、演説、座り込み、これに準ずる示威行為禁止」といったことが書かれていて、警備員が一人必ず立ち、人の流れを監視している。つまり国の庁舎では庁舎構内における組合集会、赤旗掲揚や、水道局では黙認されているタテ看については記載がなかったが、これに準ずる示威行為の範疇に入ると思われ、そうしたことは一切認めていないのである。全運輸は昭和48年以降、庁舎構内での職場集会をやめ、構内では集会を開催してないとのことであるが、私も実際に一年前に財務省本省前の職場集会を目撃したことがあり、公道上の選挙カー仕様の車の上で演説がなされ、赤旗はなかったように記憶している。歩道上に全財務と書かれた幟を持った組合員数人と20~40人くらいの聴衆がいた。民間企業でも大手町のマルハとか、三井物産前の集会も見たが歩道上でやっていて構内からは閉め出されていた。施設管理権からして当然のことである。
 ところが、東京都はそうではない。むろん九段合同庁舎のような立て札はないし、勤務時間内組合決起集会は構内でやらせ、監視活動もなく組合天国の様相である。千代田営業所は都税事務所との合同庁舎であるが、決起集会の行われる駐車場は常に主として水道局に出入りする設備業者の車で満杯の状況であり、ここで集会を開催することは、来客者の駐車の妨げとなり、業務の阻害であることは明白である。江東営業所にいたってはさらに悪質で、組合は来客の通行を妨げないとしているが、正面玄関前にお立ち台を置いて、組合役員が陣取りってアジ演説をなし、自動ドアや窓ガラスにビラがびっしり貼られ、赤旗が2~3本掲げられ、中に入ると万国旗式のビラが吊り下げられている状況をみれば、来客者はひるむだろうし、あたかも組合が庁舎を封鎖しているかのごとき外観を呈し明白な営業妨害と考える。

未完成原稿シリーズその3-東京都の組合活動の規制はもっと必要

あまりにも推敲されてない拙劣な文章だが、人生は短いので公開する。

 まず当局は、ながら条例改正にともなう見直しいかんにかかわらず、事前承認を得ないで、職場を離席し、組合活動に当たることを黙認している実態がある。組合活動については、事前承認の有無いかんにかかわらず職務専念義務の違反行為、労働供給義務の提供拒否行為とみなさないというのが職場慣行になっているこれが問題だと思うし、たんに有給での組合活動容認範囲を縮減すれば改善になるということではないということである。例えば収納係のBについていえば勤務時間中事前承認を得ている部分だけで組合活動をしているわけではない。承認をえないで、組合集会に出ているケースや、自席で組合会計の処理をしているケース、共用パソコンで組合文書を作成しているケースがあり、本来の職務を行っている時間は9月以降は半分以下なのではないだろうか。収納係Aについては、承認を得て支部委員会に参加しているケースと、承認を得ないで支部委員会や分会執行委員会、総会参加のために離席しているとともに、ほとんど毎日、現場出張しなかったときと、当日待機のケース以外は、毎日4時40分頃から5時頃まで風呂に入っている。これは多分、5時20分以降に全支所長のSが風呂に入るので、支所長とダブらないためだと思うが、組合役員特権として当然のこととしてなされている。★それがあたりまえ。又ストライキ体制に入って争議行為の期間中においても、当局が違法行為として認定しているのが庁舎構内における2~3割動員をかけて行われる職場集会が限定されていることが問題だが、これについても監視活動や解散命令を発することはない。さらに、争議期間中であるにもかかわらず、頭上行為と称する勤務時間中の報告集会・演説やオルグ活動として来所した組合幹部の演説を黙認するのみならず、争議期間中の組合活動に伴う離席、勤務時間中の支部・分会組合集会も黙認し、会議室使用の便宜供与もしている。このほかにビラ貼りや立て看設置等のさまざまな問題がある。ビラ作成についても営業所のパソコンに既に雛形があって勝手に作成し、コピーマシンも勝手に使ってビラ貼りをしているのである。問題はたんに組合活動にとどまらない。みだりに離席しても監督職員は黙認するという慣行から、勤務時間中に休憩室に滞留する慣行があり、勤務時間中風呂に入る者や、各係を徘徊し職務無関係のおしゃべりをする女子は少なからず存在し、あるいは男と庁有者を使って遊びに外出する女子すらいる。そうした勤務時間中の離脱で本来離脱者がとるべき電話なども離脱しないでまじめに働いてしる職員がカバーしているわけだが、監督職員に不満をいっても一切無視し、職員の離脱は認容されるべきだというになっている。むしろ仕事の分担を増やしたり恫喝するなど報復さえ受けるのである。職務に専念して無駄なことをしていない人が叩かれて、不真面目な人の違法行為を容認するのみならず、増長を促し、そちらの人の方が威張っており厚遇もされるのである。石が流れて木の葉が沈む価値が転倒した状況が、私の職場環境に対する最大の不満であるけれども、その根本原因は、承認されていない組合活動も勤務時間中に広範に許されているという慣行にあると考える。つまり監督職員はポカ休についてうるさく言う傾向があることは知っているが、それはたぶん対象がたまたま少数労働組合員であったりするためで、基本的に組合活動による職場離脱を職務専念義務の違反行為、労働供給義務の提供拒否行為としてはとらえない。黙認というか事実上容認ということにあると思う。それが当然であるとされている。不真面目な職員は、勝手に離席しても何もいわないということで、増長していくわけである。増長しても黙認する。目に余る事態まで放置され、今度はそれに不満を持つ真面目な職員を叩いて、事実上職務専念義務の違反行為、労働供給義務の提供拒否行為を支援するという悪循環になり、問題が解決しないうちに管理職などは転勤してまうから、いつまでたっても職場規律は回復しないということになっている。江東営業所で支部の女子委員会が、他の営業所から来た者も含めて3時半頃から女子全員が離脱して集会を行う慣行があったが、組合活動にあまり関与してない比較的まじめな女子が、承認をえないで離脱してよいのかと青年部の役員に質問したところ、3時以降は組合活動での離席自由との慣行であると答えていた。千代田営業所においても分会総会が3時すぎから勝手に離脱した行われているので、要するに現状では組合活動いかんにかかわらず、離席者を注意することは監督者はやっていない。何もしないし、職場集会などの解散命令監視活動もしないばかりか、監視活動もしない、争議期間中の組合員多数が押し掛けて怒鳴りちらすなどしてやっている所長交渉にしても、解散命令を発するべきだろうが、勝手にやらせてる。そういうことだから、完全になめられているのである。
 この実態は、国労札幌ビラ貼り判決のいう企業秩序が定立されていない、混乱状況というほかなく、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢は全く確保されていないことの管理者の責任は極めて重いものと私は考える。この際根本的に見直し、ノーワーク・ノーペイ原則・監視活動・や解散命令を徹底し、正当な組合活動とそうでないものを明確にして、適切ででない組合活動を徹底的に規制すべきであるとう。
 そういうと、局長は組合活動を是非は管理者が判断することで、お前がとやかく言うことでないと仰せになるかもしれない。たぶん、こうお考えなのだと思う。とにかく勤務時間中のアジ演説であれ、オルグ活動であれ無許可集会であれ、なんであれ認めるんだ。水道局は、立て看闘争、万国旗式ビラで、七夕まつりの笹に組合要求の短冊の吊り下げがあって楽しくていいじゃないか。なんでもありというのが我が社風だよ。勤務時間中無許可集会であれ団結みそ汁、署名活動なんであれ認めるんだ。やみ専従状態の職員がいてもいい。たとえ、電話がリンリンなっても団結みそ汁づくりが優先するんだ。職務より組合活動優先だ。スト権投票のために台帳室なり宿直室の便宜供与をするんだ。パソコンでのビラづくりも御勝手に、勤務時間中の風呂は組合役員特権として当然だ。管理職が組合の業務確立闘争に荷担して、非能率に仕事をするよう指導するのは当然だ。お前らは労働者階級の下の集合人格にすぎないのであり組合役員のいうことさえきいていればよい。一人当たりの受付件数を増加させて生産性を向上させるなていうのは建前にすぎないんだよ。そんなこともわからないのか。お前なんかヒューマンリソースマネージメントの対象外であり、ナレッジワーカーでもないのに、ウィンドウズノートパッドさえ使わせない、イントラネットは使わせない、さわらせないという方針に不満をいってるのはけしからん、はじめから実務能力向上なんて期待してないし、組合の方針に従ってペーパーワークを増やして非能率に仕事をやれとでも仰せになるのかもしれない。要するに黒い者でも白と判断したっていいんだ。組合活動の是非は管理職の判断でお前がとやかくいうことではないと仰せになるのだろう。もし局長はそんなに組合支援の立場ではないということなら、その旨を示してください。といっても電子メールは届かないし社内文書も見てはいけないことになってます。アメリカの有名企業ではCEOが社員全員に就任退任の挨拶を電子メールを送るのが普通のようだが、非組合企業のインテルのように社員の誰がだれに質問しても全く自由というフレンドリーな企業とは全く反対に労組役員が跋扈する陰鬱な雰囲気の企業でトップの顔が全くみえない構造の企業だから、結局のところ局長も組合とつるんでるのかなと推論するしかないわけです。
 人間にとって我慢ならないこととは無規範状態であります。人間は石が流れて木の葉が沈むような価値の転倒した社会が最も耐え難いものなのであります。善行により功徳を積んでいくのが人生だと倫理的な生き方が基本の人間にとっては、労働倫理に反することを強要されるのがもっとも不愉快なのであります。管理職が組合の下請けとなって、非能率に仕事をするよう強要するような状況は打開されるべきです。繰り返し私は言ってきた。使用者のために業務を遅滞することなく誠実に業務を遂行するという、被用者にとっての義務、労働倫理の基本を果たしたいということを言っているだけだ。英米のコモンローがそうです。我が国でも労働契約の基本は誠実労働義務にある。むかしから洋服師は途中で仕事を放棄し、背広を仕立てなかったら処罰されます。当然のことです。しかし水道局では能率的に仕事をすることを許さないのです。一昨年自席にデスクトップパソコンがあるにもかかわらず、ウィンドウズノートパッドという最も基本的なソフトすら使ってはならぬということがあり、別室の共用パソコンを使用するようし向けられました。組合営業部会常任の玉木が、パソコンの汎用ソフトを抜きたいと言ってました。OA職場は良くないんだ。パソコンは悪だ違法職場集会で演説しております。相当な威圧になっているが、目の前のマシンがあって使えないということはストレスが溜まると言っても絶対に管理職は理解することはない。---グループウェアで電子メールアドレスがもらえるのは監督職員だけです。イントラネットは全社員が活用できる環境でなければ意味がないというのが常識なのに、設計思想から間違っているわけです。管理職は暇潰しにイントラネットでもながめておもちゃにして楽しいだろうが一般職員にはパソコンにふれさせない。イントラネットの入り方も教えないということで非常に陰険な職場になっております---別室で作業するため電話をとることができないので隣の人が年輩でできるだけ電話をとりたいのですが、これでは係の協力体制がとれないし、他の人に迷惑がかかる労働倫理に反することを強要されました。しかもそれは所長会議で徹底させるとの方針で、所長会議が組合の反OA闘争の下請けになっているのです。労働倫理に反し、他人に迷惑をかけることはできないということで、自席にあるデスクトップマシンを使いたいと抗議したところ、所長はデスクトップマシンをパソコンとして使うこうは許さないとして四度にわたって叱りつけたのですが、勤務時間中に風呂に入ったり、承認を得てないで組合活動のために離席したりすることは一切黙認しながら、それはいいんだということで職場規律の維持という本来の職務を放棄し、組合の業務規制闘争に反する者を叩くとことに狂奔しています。異常です。ところがそれを異常と思わないのが組合の走狗となることを恥とも思わない都の管理職です。組合が業務遂行方法に不当に干渉し団結強制に従って、管理職自ら業務確立・規制闘争ら加担し、できるだけ非能率に仕事をするようしむけられていること、争議行為に巻き込まれるようしむけられていること。我慢の限界であるとということは自力救済による解決も辞さなかったことで、そのことはよくご存じだと思います。停職期間中に私が保存していた文書は削除されていました。ただ係長がバックアップをとっていたのでなんとかなりましたが、これは異常なことだと思います。この経緯はどうしてなのか分かりませんが組合の業務妨害ではないでしょうか。そんな些末なことはこのさいどうでもよい。
 例えば所長席前に役員が陣どって勤務時間内事務所内の職場集会が日常的にあります。そのために庁内放送のボリュームも下げて行われたりします。こんなのをどうして認めるのか。業務に集中できる環境でありうるはずがなく、適正な職場環境とはとてもいえない。囚われの聴衆として職場集会に半ば参加を強制されているようなもので、これを事実上認めることにより、職員は争議行為に巻き込まれるようしむけられている。常に組合の示威行為により威圧を受けている常態です。例えば、組合の方針に従わず能率的に仕事をやっている営業所は締め付けるという発言などであります。事実上の管理職による争議行為支援でありゆゆしき問題だと思います。賃金はカットしていると言いますが、役員は高額の組合費を収奪しているのですからこたえない。警告し、解散命令を発するべきであるが何もしないで積極的に容認している。これは後述する全運輸近畿支部事件判決でも明らかなように、たんに集会の司会や、交渉の経過報告、がんばろうと音頭をとっただけでも、戒告処分として正当なものであります。戒告処分でも定昇延伸などで抑止効果があると思うが、それすらしない。水道局で行われているのはたんに報告のみならず、オルグ活動としてのアジ演説、闘争スケジュールの伝達、スト権投票の執拗な呼びかけ、違法集会への動員の執拗な呼びかけ、団結により闘い抜こうといった、違法行為をあおり、そそのかすことがほぼ日常的になされているのですから、全運輸の事例より悪質なことがまかりとおっている。そもそも国は庁舎構内での集会は認めてないから、全運輸も昭和48年から構内での集会はやらなくなっているのです。

 そこで論点を移しますが、局長が仮に組合活動を広範に認めたい、従来どおり組合天国でいいんだとしても、やはり国との組合活動規制との落差が大きすぎて納得できないのであります。これをどう説明してくれますか。
 私は仕事上法人登記を調べるために、九段第二合同庁舎をしばしば訪れます。東京法務局、麹町税務署、東京航空局など複数の官庁が同居しているビルですが、正面玄関に立て札が二つあって、記憶だけで正確な記述ではないですが庁舎構内での集会・演説・座り込みこれに類する示威行為、旗・幟・プラカード・ゼッケン・腕章・拡声器・凶器の持ちこみ、着用、その他管理を妨げる行為などを禁止すると明確に書かれてあります。しかし私がこれまで勤務した都の庁舎ではそういう立て札はありません。基本的に国は庁舎構内での組合集会・示威行為を認めていないのです。
 しかし水道局はそうではありません。江東営業所の事例ですが、他の営業所から動員して正面玄関前に役員が陣取りお立ち台を置いてアジ演説をなすなど、午後2時から職場集会をしていました。赤旗が3本ぐらい掲揚され、自動ドアなどの窓にビラがびっしり貼られ、中に入ったところは、万国旗式のビラが吊り下げられているほか壁面にもビラが貼られ、集会参加者は庁舎内をシュプレヒコールで練り歩く、昭和40年代型の組合集会がなわれていました。監視活動や中止命令は一切ないわけです。組合は来客の通行を妨害してないと言いますが、来客は驚くし、あたかも組合が占拠しているかの外観を呈しており明らかに業務を阻害しているわけであります。
 千代田営業所においても昨年の2~3月まで支所統合合理化反対闘争で、動員して集会がなされました。支部長のSがもう一人をつれて階段の一階から上までビラを貼らせていました。午後1時すぎのことです。2時頃から駐車場で開催されるのですが、普段は水道局に出入りする業者の営業車を主として来客の駐車場であり、ここに200人くらい集まった。やはりビラや赤旗の掲揚があり、たぶん拡声器を使って集会がなされてました。むろん監視活動はない。さらに支所統合反対・ストライキで闘うぞとの文面の立て看(黒板ほどの大きさ)が、1ヶ月近く放置されてました。最初は白い布をかぶせたりしてましたが、闘争期間に入るとそれもしなくなり放置され、スト配置の日までです。江東営業所でも業務手当闘争のときに立て看が出現しましたが、管理職が撤去要請し、出しては引っ込めることを繰り替えしていましたが、朝みたものが、昼には引っ込められているケースが多く、けっこううるさく言っていたことがわかります。しかし千代田はそうでないです。支所長は明らかに怠慢であると思う。撤去命令をしたかどうかも定かでないが、命令を発しても撤去してないから配水分会の名がはっきり書かれているから関係者を処罰すべきです。そもそもこの集会は来客の駐車を妨害しており、悪質なもので即刻解散命令が出されるべきだと思う。このように、国とは違って水道局は事実上庁舎構内での組合集会。示威行為を是認しています。
そもそも、国の公共企業体の組合活動は、昭和32年岸内閣の石田博英労相は吉田内閣の池田蔵相がとった公労委仲裁裁定不履行の慣行をあらため、33年より仲裁裁定完全実施政策に転換するとともに組合側も公労法を厳守せよとの態度をとった。違法組合活動は厳罰というアメとムチの政策といわれる。中労委命令も勤務時間内集会や無許可集会などは基本的に認めなかったし、水道局ではあたりまえとされている組合本部役員によるオルグ活動についても、組合事務所の立ち入りはよくても、事務所に入室することは許されてなかったわけである。昭和39年春闘における池田首相-太田議長トップ会談により、官民格差解消路線に転じた。組合は違法な争議行為により味をしめたことになるが、池田首相が招請したILOのドライヤー報告を受けて国家公務員については勤務時間内活動やチェックオフについて規制が強化されたとされている。特に全逓については早い時期から組合活動が非難され、労使関係の正常化のためにノーワークノーペイ原則の徹底、組合集会の監視や解散命令を組織をあげて行われた。国家公務員の組合活動はかなり以前に改善されているわけである。東京都のように勤務時間内活動や庁舎構内・事務室内の職場集会が常態であったり、組合役員がふんぞりかえって威張っている。ビラ貼り闘争が行われたりしている実態は35年以上の落差があるわけである。つまりこの間、都のお偉方は労使関係、組合活動の正常化の努力をなしていなかったわけで、都議会にいわれて初めて「ながら条例」を見直すというところまで腐敗していたことになる。
 せめて、国家公務員並に組合活動を規制してくださいと言ってはいけないんですか。そこで私の提言ですが、判例理論に準拠して勤務時間内組合活動を規制することはどうでしょうかと言います。
冒頭に述べたことと同じです。庁舎構内の組合活動として認容するのは最高裁判例が認容している、始業時前もしくは昼食時間における平穏にして休憩を妨げないかたちのビラ配りのみとし、勤務時間内組合活動は原則として禁止し、会議室使用も許可しない。ストライキ体制に入った場合はいかなる集会も認めない。むろん頭上報告も認めないし、無許可集会は監視と解散命令によって厳格に対処する。ビラ貼りや立て看も監視活動を強めて規制するべきであることを上申します。もしそれが不可能だというなら、従来どおり組合活動をのさばらせおくしかない・きたいというなら不可能な理由を説明してほしい。
 私も含めて職員は団結強制と業務規制闘争の圧力により組合に虐げられている現状をなんとか打開していただきたい。アメリカの有力企業の多くはリエンジニアリング、アウトソーシングはかなりすすんでいるわけです。基幹的技術者、ナレッジワーカーは有能な人材を確保するが、事務員などはできるだけ非正規雇用もしくは、アウトソーシングを進めていくのが普通のありかたになっている。日本の大企業ここ数年、家電メーカーをはじめとして、大規模なリストラはかなり進んでいるようだ。近年は同じ傾向にあるとみてよい。しかし一方で全米自動車労組はクライスラーと協約有効期間中のアウトソーシングは認めない協約を結んでいる。賃上げよりも下請け化による人減らし阻止をやっている。それは、全米自動車労組が強いからできるだけのことであって、米国の民間の組合組織率が一割をきっている以上、それが一般的なのではない。主力銀行は昔からそうですが、今日我々がよく知っているアメリカの主力企業、ウォルマート、インテル、シスコシステムズ、マイクロソフト、IBM、ヒューレットパッカード‥‥というように非組合企業である。連邦公務員にしても、ブッシュ大統領が連邦労働力の半分にあたる85万人を競争入札による民間委託化計画を発表している(実は、連邦公務員を半減するのではなく、25%減らしたうえで85万人分を民間委託とするので実質的には25%連邦労働力の雇用増とする計画なのだが、人は増やすが全体の予算は圧縮するとの計画である。あと数年で大量に連邦公務員が退職するので実現性は高く、ブッシュはラッキーだと報道されている)。
 そうすると、民間委託化が必然とすれば、高コスト被用者であるわれわれは、実務能力を向上させて基幹社員として生き残っていくほかないわけで、労働組合は民間委託化を阻止できる力もないのに、業務確立闘争と称して非能率な業務遂行方法に固執し、団結強制により、無意味に時間をかける仕事を一般職員に強要している。結局被害を蒙っているのは一般職員である。組合役員はふんぞりかえって威張っていて、デスクトップパソコンの内蔵ソフトの使用禁止、イントラネットをパソコンに繋げさせないなどの締め付けをやりわれわれをIT棄民にさせてほくそ笑んで喜んでいるが、前の分会書記長だった加藤は毎週のように京都だ新潟だとわざわざ宿泊旅行で飲み食いをしながら競馬をやっている。高額の組合費収奪は安泰で左うちわなのかもしれないが、しかし、われわれ一般職員は組合のいいなりになって、イントラネットもワープロも操作してはいけない。ペーパーワークをできるだけ残す。社内文書すら閲覧するのはけしからん。というのでは実務能力も向上できない。民間委託に代替できる生産性の低い見込みのない人間になっていくだけでは将来はないということは多くの人がわかっている。労働組合の弱体化により社風を刷新しなければ希望がみえてこないのであります。
 
 争議行為の警告・解散中止命令を徹底して行うべきだ。
 組合活動については平常時における正当な組合活動と適切でない組合活動を仕分けすることと争議行為とを区別して論ずるべきなので、まず争議行為についていいます。資料1に3年前の記録を載せましたが、争議行為が違法であることはS63.12. 8 最高一小 昭和56(行ツ)37 北九州市交通局超過勤務拒否闘争事件判決で司法で確定していることであるから、当然のこととして(超過勤務闘争も重大な問題だが、今回は主題からはずして次ぎの機会に上申する)既に述べたように、いわゆる頭上報告と称している勤務時間内事務室内職場集会を規制すべきであります。これは集会であり勤務時間中に囚われの聴取の状況で集会に無理矢理参加させているものであり、拍手の要請や決議文朗読がなければよいという次元の問題ではないと思います。実際司会者は演説者のいうことに集中してくださいといっているから業務遂行を阻害しているものである。江東営業所では技術員が工務係前のふつうは業者が申請のために待つための長椅子を占拠して行われており、業務の阻害があることはいうまでもない。電話が頻繁にかかってきてもアジ演説で客の声がききとれなくなることも同じである。のみならず、ストライキ投票の呼びかけ、高率批准で団結の強さを示そうとか、動員の呼びかけ、超過勤務拒否闘争の呼びかけ、オルグ演説が付随するので、違法行為をあおり、そそのかしているから、事実上の違法行為なのである。そこで、この問題について参考になるリーディングケースとして次の判例を取り上げる。

昭和60・11・8 最高二小 昭和57(行ツ)77 大阪陸運局職員戒告(全運輸近畿支部)事件 民集39巻7号1375頁

被告局長らは、原告らが勤務時間内にくい込む職場大会に参加した点において国公法98条2項前段の争議行為をなした場合にあたるとし、あいさつ、経過報告、決議文朗読、演説を行い、がんばろう三唱の音頭をとった点において同項後段「あおり」「そそのかし」の行為に当たるとした戒告処分につき適法とした判例。最高裁は本件職場大会における上告人らの行為が国公法九八条二項後段に規定する「あおり」「そそのかし」に該当するとした原審の判断は正当であるとした。

 第一審判断は以下のとおりである(第二審も事実認定で若干異なるが第一審を認容する)
昭和54・8・30大阪地裁判決(要点のみ)

(事実)
全運輸近畿支部は、昭和44年10月23日から、同25日にかけて、全運輸指令第1号に従い、全分会において本件統一行動(実力行使)に対する賛否を問う一票投票を実施した……賛成意思を投票した組合員の比率が75・2%であり……さらに、同年11月7日から10日にかけて全運輸指令第二号に従って実施された本件統一行動に対する参加決意署名が行われた。「私は左記の国公統一賃金要求を勝ち取るため11・13統一行動日に全運輸指令に基づいて『早朝から勤務時間に29分くい込む職場大会に参加します』」と記載し、「賃上げを5月から実施すること」等要求事項を列挙したものであったが、右署名の結果は組合員数386名中362名が署名した。
 10月23日総理府総務長官は国公共闘議長に対し、公務員の自覚と反省を促し、違法な行動を行うことがないよう自重を求める旨の警告を発すると共に談話を発表し、同年11月12日、運輸政務次官は、全運輸中央執行委員長に対違法な行動を行うことがないよう自重を求める旨の警告を発した。
 さらに同月8日から10日にかけて被告局長から近畿支部長である原告二瓶に対し、大阪陸運局総務局長から本局分会長宮川に対し(同局管内陸運事務所については略す)、それぞれ「伝えられるところによれば、貴組合においては来る11月13日勤務時間内職場集会を計画している模様であるが、いうまでもなく国家公務員には、かかる争議行為は法令で禁止されているところであります。当局は貴組合がもし伝えられるような違法行為をとった場合には、関係法令に基づき必要な措置をとらざるをえないので、貴組合の自重を強く要望します。」と記載した警告書を交付し、 さらに、当局は、同月8日から11日にかけて各職員に対し、同月6日付運輸事務次官名による本件職場集会に参加しないようにとの内容を含んだ「職員のみなさんへ」と題した警告書を交付した。これに対し、近畿支部及び傘下各分会は、右警告書をあえて受取らず、或いは交付したものを分会役員などにおいてまとめて当局に返還するという状況であった。右に加えて、和歌山県陸運においては、同月12日の所長交渉の際、原告祐成から翌13日に勤務時間に食いこむ職場大会を中庭で行う旨通告があったのに対し、同所長は違法であるのでとりやめること、庁舎管理規程に基づく目的外使用の許可を受けることについて口頭で警告し、奈良県陸運事務所においては、同月12日、所長交渉の際、同所長から原告川上らに対し、ストライキをとりやめるよう重ねて警告し、本件ストライキが実施されれば処分問題が生ずる旨伝え、兵庫県陸運事務所においては、同月11日、所長交渉の際、本件職場大会による実力行使の通告がなされたのに対し、違法である旨回答し、右同日、全職員に対し、総理府総務長官か国公共闘議長あての前記警告文を回覧閲読させ、大阪陸運局(本局)においては、同月11日、原告二瓶から本件職場大会実施の通告があったのに対し、当局から違法であるからとりやめるよう警告すると共に勤務時間中は職務に専念する義務がある旨強調し、さらに同月12日、同局総務局長から原告二瓶に対し、再度勤務時間にくい込む本件職場大会を中止するよう説得した。又、大阪陸運局及び管内各府県陸運事務所において、同月12日、当局は全職員に対し、勤務時間は午前8時30分から午後5時まで(本局においては9時5分から5時20分まで)であること及び勤務時間内にくい込む職場大会に参加することは違法である旨伝えた。
 同月12日、近畿支部執行部は、常任中央闘争委員会から「ボーナス抜6月実施の閣議決定に断固反対し、11・13むは早朝時間内くい込み職大の実力行使は実施せよ。ただし、くい込み時間については追って電話にて指令する」との電報による全運輸指令第3号を受け、さらに同夜半、本局分会はくい込み15分、その他の分会は20分とするとの電話指令を受け、右指令を傘下各分会に伝達した。
 《職場大会の状況については一部要約》
和歌山分会の職場集会
和歌山県陸運事務所宿直室前の中庭において、午前8時30分頃から同45分頃ま16名の組合員が参加して行われた。右大会の進行は、近畿支部奥田執行委員の司会で進められ、まず原告祐成が分会長として、一・二分あいさつをした後、高瀬副分会長らからのメッセージ、祝電の紹介がされるなどし、決議文朗読、岡本書記長が要求項目の確認を提案して全員一致で確認され、最後に奥田執行委員長が閉会のあいさつをして右大会を終了した。その間、赤居和歌山県陸運事務所長は、午前8時40分頃、分会長である原告祐成を呼び勤務時間にくい込んでおり、許可のない場所で行われているので、解散するよう命じたが、従わなかった。

奈良分会の職場大会
奈良県陸運事務所宿直室において、午前8時25分から同50分頃まで17名で行われた。奥西書記長の司会で始まり、まず分会長でいる原告川上が全運輸本部及び近畿支部のメッセージと祝電を朗読し、その後加納中央闘争委員(近畿支部副支部長)が11・13闘争の意義についてのべ、近藤副分会長が所長交渉り経過を報告、奥西書記長が閉会を宣言して解散した。牟礼輸送課長は午前8時40分頃、原告川上をはじめとする大会参加者に対し、勤務時間内の無許可集会であるから解散するよう口頭で命じた

兵庫分会(本所)の職場大会
兵庫県陸運事務所玄関前横庭
において、午前8時20分頃から同42分頃まで47名の組合員が参加して行われた。開会宣言にはじまり、分会長原告北谷があいさつ及び職場大会の意義について約7分演説し、書記長から経過報告、メッセージの紹介、闘争宣言の朗読、かせんばろう三唱、労働歌合唱で終了した。尾仲総務課長は、分会長原告北谷に対し、午前8時25分頃「この大会は無許可であるからすぐ解散せよ」同35分頃「時間内にくい込む集会は違法だからすぐ解散しなさい」と各解散命令を口頭で伝え、さらに同40分頃、全参加者に対し、プラカードに解散・職場復帰命令を記載して伝達した。

兵庫分会(姫路支所)の職場大会
姫路支所構内入口横の空地において、午前8時33分頃から50分頃まで15名の組合員で行われた。建石副分会長の開会の言葉に始まり、副分会長である原告中橋が所長交渉の経過について演説すると共に決議文を朗読し、その後メッセージ朗読、がんばろう三唱、労働歌合唱で終了した。青木正姫路支所長は、8時35分頃、建石副分会長に対し組合旗が立ててあること及び勤務時間にくい込む大会は違法であると口頭で注意し、さらに同49分頃、参加者全員に対し、解散するよう口頭で命じた。

京都分会の職場大会
京都府陸運事務所玄関前広場において、午前8時20分頃から49分頃まで33名で行われた。桜井執行委員長のあいさつ、伊藤書記長の経過報告、決議文朗読、要求スローガン朗読、来賓あいさつ、労働歌合唱と進み、最後に分会長原告供田が音頭をとって団結がんばろうの三唱をした後閉会した。大堀総務課長は、8時25分頃、分会長である供田に対し、解散命令書を手交しようとしたが、同原告はこれを受領するのを拒否し、同36分頃、同課長が参加者全体に対し、解散命令及び職場復帰命令をプラカードに記載して掲出し、同45分頃、原告供田に対し、解散命令書を手交したが、同原告はこれを受領することを拒んだ。

大阪分会(本所)の職場集会(略))

本局分会の職場集会
大阪陸運局自動車部事務室において、午前8時45分頃から9時17分頃まで82名の組合員が参加して行われた。本局分会書記長中尾の開会宣言に始まり、本局分会長宮川があいさつと経過報告を行った後、近畿支部長原告二瓶があいさつし、人事院勧告に対する閣議決定の不当性を説明し、メッセージ等の紹介、大会宣言を拍手で採択した後閉会のあいさつをもって終了した。その間、大会参加者に対し、午前8時51分頃、奥西総務課長が「無許可集会に付き直ちに解散せよ」との局長命令を大声で二度くり返して伝え、9時4分頃、高須人事課長が「9時5分が勤務時間であるから直ちに解散して勤務に就くように」との局長命令を二度にわたり大声でくり返し伝えた。

(判断-要点のみ)
 本件職場集会は、「賃上げを5月から実施すること」などの統一賃金要求を貫徹するために、勤務時間内において、公務員として負担する職務専念義務に違反し、労働供給義務の提供を拒否したものということができ、右のような態様における職務専念義務の違反行為、労働供給義務の提供拒否行為(同盟罷業)は、それ自体必然的に業務の正常な運営を阻害する行為ということができるから、現に業務の正常な運営を阻害したかどうかを問うまでもなく、国公法98条2項所定の争議行為に該当するというべきであり、単なる団結活動・組合活動であるとの原告らの主張は何ら根拠のない主張といわなければならない。
 原告らは国公法98条2項所定の争議行為は、長時間かつ大規模な職場放棄を行ったため、右業務に大混乱が生ずる場合である旨主張するのであるが、公務員の行う争議行為である限り、同法条項に規定する争議行為に該当し、その規模状況等によって区別すべき理由はないことは明らかである(最高裁昭和48年4月25日大法廷判決参照)。よって右主張には理由がない。
 次に、原告らの行為が国公法98条2項所定の争議行為の「あおり」「そそのかし」行為に該当するかどうかについて考察する。国公法98条2項所定の後段所定の「あおり」「そそのかし」とは、国公法98条2項前段に定める違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為をなさしめるようし仕向ける行為を総称し、必ずしもこれによって現実に相手方が影響を受けること及び業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを要しないものと解すべきである。
 本件職場大会は、給与に関する人事院勧告の完全実施などの要求貫徹を目的として行われた国公法98条2項に違反する違法な大会であるところ、同大会参加者はいずれも右大会の目的及び右目的貫徹のために勤務時間にくい込んで右大会を行うものである旨の意思を確認したうえで右大会に参加しているのであり、又、原告らは近畿支部及び分会において同支部等の指導者或いはこれに準ずる地位を有し、右地位にあるものとして右各行為をなしていること。本件職場大会において、原告祐成が分会長としてあいさつをした行為、原告川上が分会長としてメッセージと祝電を朗読した行為、原告北谷が分会長としてあいさつと職場大会の意義について演説した行為、原告中橋が副分会長として所長交渉の経過について演説し、決議文を朗読した行為、原告供田が分会長として団結がんばろう三唱の音頭をとった行為、原告上原が分会長としてあいさつした行為、原告二瓶が支部長としてあいさつし、人事院勧告に対する閣議決定の不当性を説明した行為は、いずれも国公法98条2項後段所定の争議行為の「あおり」或いは「そそのかし」行為に該当するものである。
 原告らは本件職場大会における原告らの行為は、労働組合としての団体行動であるから、右行為について個人責任或いは幹部責任は問うことができないと主張する。
 しかしながら、集団的労働関係の場である争議行為の場においても個別的労働関係が解消されるものではないから、当該違法争議行為における組合員の個人的行為の側面でとらえたうえで、そのことを理由に組合員に対し、個別的労働関係上の責任である懲戒責任を追求することができる。本件において、原告らは、前記のごとく違法な争議行為である本件職場大会にに参加し、支部長、分会長等としてそれぞれ当該大会における主たる役割と目される行為をなしたものであるから、これをもって国公法98条2項に反し同法81項1号に該当するとして懲戒処分の対象となし得るものといわなければならない。
 原告らは、原告らの行為はいずれも組合中央からの方針、指令に従い、組合員としての当然の義務を果たしたにすぎないから、原告らを特に選択して懲戒処分に付する合理的理由はないとも主張するが、既に説示したごとく本件職場大会は国公法に違反する争議行為であるから、仮に組合の指令があったとしても、それは国公法に優先するものではないこと当然というべきであり、右指令に従ったことをもって違法な争議行為に参加したなどの原告の行為を何ら正当化するものではないし、前記のような役割をした原告が他の組合員と区別して本件各処分を受けるに至ったとしても、何ら不合理なものということはできない。
 原告らは、本件各処分が職場大会を開催するについて権限のない分会長に対してなされたことをもって失当と主張する。しかし、本件各処分が分会長であることの故をもって、或いは分会長が本件職場集会開催の権限があり、開催したことの故をもってなされたものではないことは前記説示から明らかであるから、右主張は失当である。
 
 上記の判例により、勤務時間中の職場集会において、たんに一~二分の挨拶、交渉経過報告その他の朗読、演説、あるいはがんばろうの音頭とりだけのことであっても、それが「あおり」「そそのかし」に当たるとされているのである。この点東京都をはじめとして、地方は概して対応が甘過ぎるという心証が拭いきれない。例えば北九州市水道局(50年闘争)事件福岡地判裁昭和59・9・26『労働判例』441号カードは、自治労の昭和50年2月賃上げ等の要求を掲げたストライキを実施の決定を受け、北九州市職労は市労連とともに5月9日、6月7日、6月14日、9月26日、10月16日にストライキを行った。右各日に水道局本庁、各営業所、各浄水所等ピケを張って職員の入庁を阻止し、勤務時間にくい込む集会を行ったり、職場離脱をする等した。という事例で、懲戒処分に付されたX1は統一ストの批准投票を実施し、また自治労の方針どおり実力行使を行うことを決定せしめ、さらに右勤務時間にくい込む集会を主宰して当局との団体交渉の経過及び今後の展望について演説して本件各争議行為を企画・決定・指導した。X2らは他組合員とピケを張って職員の入庁を阻止し、また右勤務時間にくい込む等集会を主宰し、今後の闘争方針につき演説するなどした。というもので組合執行部のみのの、X1は市職労副執行委員長、X2らは市職労執行委員ということで、組合執行部しか処分されてないわけである。同判決においても「争議行為が集団的行為であるからといって、その集団性ゆえに争議行為参加者個人の行為としての側面が当然に失われるものではないから、地公法三〇条以下の服務規律を適用して同法29条1項に基づく懲戒処分を行うことは許されるというべきものである(最高裁判所昭和53年7月18日最高裁第三小法廷判決)」としているから、支部・分会長クラスが処分されてもよかったはずだが、それはやってない。
 これに対して、運輸省の例では、組合員15~6人程度の分会長クラスが処分されており、国の方が厳格な対応をしているとみるべきである。北九州はともかく東京都水道局では現場が処罰されないから、同じことを繰り返す悪弊に陥っているわけである。この点けじめをつけるべきだ。
 水道局においては、ストライキや当局が頭上報告と区別している勤務時間内職場大会について、庁内放送で自重を求める示達がなされているが、たった1回にすぎない、しかもこれが違法行為であるとは明確に言わないのである。運輸省の場合は事務次官名の文書が各職員に交付されるのであり、組合役員には再三にわたって警告をしている。水道局では警告文書が交付されることはないし、職場集会の監視や解散命令はないので明らかに明らかにぬるいものになっている。全運輸近畿支部事件では、奈良陸運事務所の職場大会につき原告側の主張によると、牟礼輸送課長が入ってきて、ほんの一、二秒「川上君この集会は違法だからやめて下さい」と一言述べてにこっとと笑って出ていったとされ、前日の分会との交渉で上局より職場大会中、三、四回位警告せよと言われているものを、一回だけにとどめたのは分会との話し合いどおりのものだった。しかし、他の管内陸運事務所では、口頭もしくは大声、プラカードの掲出、解散命令書の交付といったかたちで、再三、解散命令、中止命令を発しており、概ね上局の指示どおり管理職は任務を遂行している。である。それをやるべきだ。
 

企業施設利用の組合活動の是非(ビラ貼りと集会)

 ここでは争議行為としてではなく、平常時も含めた企業内組合活動の是非を論ずる。指導的な判例としては、国労札幌地本ビラ貼り事件判決(最高裁第三小法廷昭和54・10・30『労働判例』329)小である本判決の意義はプロレーバー学説の、受忍義務説と違法性阻却説を明確に否定したことにあり、この判決により無許可ビラ貼りと無許可の集会等の施設利用は原則的に否定された。プロレーバー学者は一斉に非難の大合唱となったわけだが、そもそも、労働基本権が使用者の施設管理権を制約するというプロレーバーの受忍義務説が労働組合を増長させるための、むちゃくちゃな学説であって、プロレーバー学説の影響を受けていた下級審判例の混乱を収拾し、組合活動規制といて一定の意義を認める。この点での労働組合の勤務場所内活動の指導判例としての意義を認めるものであるが、結論を先にいうと結局、許諾説というものであって、労働組合が使用者の許諾を得ればよいという逆の見方ができるので労働組合活動規制として満足していない。つまり私の考え方は労働組合活動は勤務時間は内の組合活動は原則禁止がベターであり、ビラ貼りについては許諾いかんにかかわらず全面禁止がベターであるから、決して満足はしていない、その理由は後述することとし、しかしながら、少なくとも無許可ビラ貼りや無許可集会については水道局長に対し本判決の趣旨に照らし、厳格に警告、中止・解散命令、懲戒処分を求めるのは当然のことと考える。
 後続する札幌地本判決を引用した最高裁判例には次のようなものがある。

★昭和63・7・19最高三判 池上通信機救済命令取消事件【参考判例に掲載】
 組合結成以来、工場の食堂を会社の許可を得ないで職場大会のために利用してきたことに対し食堂を使っての無許可職場集会・警告書・中止命令が不当労働行為に当たらないといた。

★平成元・1・19最高一小判 日本チバガイギー救済命令取消事件【参考判例に掲載】
就業時間中の団交報告集会の食堂・野外集会開催不許可は不当労働行為に当たらないとした。

★平成元・12・11 最高二小判 済生会中央病院救済命令取消事件【参考判例に掲載】
 慣行化していた無許可職場集会への警告が一審、二審とも病院の業務に直ちに支障が生ずるものではない、事実上の休憩時間にされたか昼休みに終了しないため若干労働時間に食い込んだにすぎない、参加者は業務に支障のない者であり、参加した者も途中業務に支障が生ずれば自由に退出するなどしていたことなどを理由として不当労働行為としたが、最高裁は原審を覆し、まず「労働者は、労働契約の本旨に従って、その労務を提供するためにその労働時間を用い、その労務にのみ従事しなければならない。したがって、労働組合又はその組合員が労働時間中にした組合活動は、原則として、正当なものということはできない。また、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動に当たらない」として札幌地本事件を引いたうえで、本件は労働時間に、病院の管理する物的施設(元空腹時血糖室、テニス・コート)を利用して開かれたものである。病院の権利の濫用であると認められるような特段の事情があるとも解されないので不当労働行為に該当しないとした。

★平成7・9・8最二小判オリエンタルモーター事件『労働判例』679
勤務時間外における会社食堂の利用につき、会社が外部団体の入場については総務部長の許可を得ること、支障のないかぎり組合大会開催のため食堂の使用を許可するなどといった提案をしているにもかかわらず、あたかも組合に利用権限があることを前提として、会社が施錠するまで無許可利用を繰り返していた事例であるが、食堂使用についての施設管理権を前提とした合理的な準則を定立しようとして、施設管理権を無視する組合に対し使用を拒否し、使用条件について合意が成立しない結果、自己の見解を維持する組合に対し食堂を使用させない状態が続いていたことも、やむをえないとし、食堂利用拒否は不当労働行為にあたらないとした。

 以上のように、無許可企業施設利用の組合集会は使用者の権利の濫用にあたる特段の事情がある場合を除き認めないという最高裁の姿勢は一貫しており、特に勤務時間内のケースは、まず使用者の権限の濫用とはみなされなことはない。時間外のケースにおいても、組合が施設管理権を無視して使用することは認められないのである。
 そこで、水道局のケースをみてみるならば、昭和14年9月27日千代田営業所組合分会の総会が午後3時半より会議室を利用してなされ、私が現場出張から帰ってきた3時50分頃には工事・工務は席に着いている者がなく、検針・営業もまばらだった。収納係では、

 しかしながら、最高裁はビラ配りのある種の態様においては、国労札幌地本判決を引用せずに容認もしている。
私は上記の判例について賛同するものではなく、ビラ配りについても批判的な見方をとるが、最高裁判例がある以上、始業時以前における平穏な態様におけるビラ配り、昼休みにおける休憩を妨げない範囲における平穏な態様のビラ配りについては、容認するにやぶそかではない。しかし、無許可集会と無許可ビラ配りはそうはいかない。最高裁判例が確定している以上、事理に即して、厳格な対応を望むことは当然のことである。

現状において東京都水道局では無許可の勤務時間内集会その他の示威行為につき、警告も中止命令もなにもしてないのだから、札幌地本判決にある「職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうる」企業秩序の定立にが全くなされていない混乱状況にあるのであって、当然改善していくべきである、この点について水道局長はこれまでどおり無許可集会も事実上ヤミで容認して放置したい。労働組合の示威行動や勤務時間内集会をやらせたいんだ、おまえがいくら業務阻害になっている、業務遂行に集中できる職場環境ではなく敵対的職場環境だ、組合の示威行為をみせつけられることにより、争議行為に巻きこむプレッシャーが相当なもので殺気だった状況で尋常な神経で業務を遂行することの妨げになっているといくらわめいたって関係ない。それは、おまえが判断することではなくて、管理者である私であるとおっしゃるのだろう。しかし、局長がいかに組合の示威行為、集会を認めたくても、議会の立法趣旨を無視する判断はできないと思う。なぜなら、それは「ながら条例」改正の立法趣旨である勤務時間内組合活動の正常化の要請に反するからである、議会の立法趣旨、勤務条件法定主義に反し、これまでどおり、無許可勤務時間内組合活動を放置するならば、それは議会、ひいては住民に対する背信行為となる。水道局長の管理責任が問われて当然である。従って、それは最低限の要請として妥当なものであると考える。この点について、さらに下級審判例も検討したうえで論究したい。

無許可集会や無許可ビラ貼りについては、古川陽一「一〇・三〇判決以降の組合活動に関する判例動向『労働法律旬報』1517号2001・12・25の32頁以下の判例一覧がある、下級審判例は必ずしも国労札幌地本ビラ貼り判決を引用もしくは同趣旨で無許可集会・無許可ビラ貼り等を否定しているわけではない。この点で下級審判例はなお問題があると思うが、最高裁判例では始業時以前もしくは昼休みの平穏な態様でのビラ配りを除いて、無許可集会は基本的に否定している。下級審判例を含めたビラ貼りについて古川の分析では、札幌地本判決以後、正当性を認めたのは25件中2件にすぎない。無許可集会については25件中5件が正当性を肯定しているにすぎない。ということで、ここでは、国労札幌地本ビラ貼り判決を引用もしくは同趣旨で無許可集会・無許可ビラ貼り等を否定している判決がリーディングケースとして望ましいと判断する。次ぎのような事例である。

★全逓新宿郵便局中央郵便局事件・最高裁第三小法廷-昭和58・12・20『労働判例421号は、昼休み中の無許可職場集会に対する解散命令・監視活動は不当労働行為を構成しないとした。

★全逓長崎中央郵便局事件・長崎地裁判決-昭和59・2・29『労働判例』441号カードは地下食堂及び地下男子休憩室の無届利用行為につき国労札幌地本ビラ貼り判決を引用し、即刻解散を命じたことは不法不当なものということはできないとした。

★東京城東郵便局事件・東京地裁判決昭和59・9・6『労働判例』442号は、合理化反対闘争(内容は後述)

★ミツミ電機事件・東京高判昭和63・3・31『労働判例』516号は争議中の集会・デモ・泊まり込み・ビラ配布、赤旗掲揚に理由とする懲戒解雇を是認した。

以上は、争議行為と関連した組合集会についての事例であるが、本質的には平常時、争議行為時いかんを問わず

。河上和雄(法務省刑事局公安課長)
、ように当該物的施設を管理利用する使用者のる
指導判例であるので、が認めればすむんだという安易とういう
 本判決の判旨は、労働者は企業施設利用は、労務提供に必要な限りでかつ企業秩序に服した利用にとどまり、労働組合も使用者の許諾なく企業施設を利用する権限はなく、本来団体交渉による合意ににもとづいてなされるべきもので、使用者は労働組合による企業施設を受忍する義務を負わない。使用者の権利の濫用にあたる特段の事情がある場合を除き、許諾のない施設利用による組合活動は使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すもので正当な組合活動とはいえない。というものであるが、この判決では施設管理権という言葉は使わず、企業秩序論という論理構成になっている。つまり物的管理利用を施設の所有権(ないし占有権)のみから結論づけるのではなく、業務命令権との総合で導き出す。「企業は、その存立を維持し目的たる事業の円滑な運営を図るため、それを構成する人的要素及びその所有し管理する物的施設の両者を総合し合理的・合目的的に配備組織して企業秩序を定立し‥‥その構成員に対してこれに服することを求めうべく」と判示するところが、それである。河上和雄によれば、実定法上の権限を総合した社会的機能を営みうるひとつの権限と解釈されている。
 本判決の意義はプロレーバー学説の、受忍義務説と違法性棄却説を明確に否定したことにある。「労働組合による企業の物的施設の利用は、本来、使用者との団体交渉等による合意に基づいて行われるべきものである‥‥利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用しうる権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない」と明確に受忍義務説を否定した。又、違法性阻却についても「使用者の許諾を得ないで‥‥企業の物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては」正当な組合活動ではないと判示して否定した。


受忍義務説というのは、私から言わせれば、無責任で悪質なのものであり、このようなプロレーバー学者が組合活動を増長させ社会を混乱に陥れた責任は重いと考えるが、下井隆史*1によれば、主な論者は以下のとおりである。
林迪広「施設管理権と組合活動-ビラ貼り行為を中心に-」『法学教室』第二期3号は「団結権が保障されたその限りにおいて、所有権ないしその社会的機能としての施設管理権は本質的に制約を受けなければならない」とし、「業務に現実の支障を生じることなく、また施設の維持や管理上特別に差支えない程度のものであるときは、一般に団結活動による受忍の限度内のものと考えられ」、「そのような組合活動はまさに『正当』なものである」
本多淳亮『業務命令、施設管理権と組合活動』は、施設管理権とは組合活動抑圧の意図を秘めた政策的概念とし、「組合の90%までが企業別組織の形態をとるわが国の現状では」、「組合活動が使用者の施設管理権と密接な接触と関連をもたざるをえない」のであって「労働者の団結権や団体行動権は、その国その時代における歴史的具体的内容をもつものとして把握しなければならず」、「その意味において、憲法の団結権、団体行動権の中には、一定の範囲における施設利用権を含むと解せざるをえない」。このほか受忍義務説論者としては、籾井常喜、片岡曻、門田信男、近藤富士雄である。要するに憲法28条は使用者の施設管理権を制約する、労働基本権を拡大解釈し、ビラ貼りなどの施設利用につき使用者は一定の範囲で受忍義務を負うという労働組合を増長させるための学説である。私はビラ貼りに限らず組合の示威行為が容認されている企業というのは勤労者にとっても不快な職場環境であるのみならず、来客者の心証も害する。会社の信用にかかわる問題だと思うが、ビラ貼りが労働組合の権利とするような悪質な学説は葬られて当然だろう。
違法性阻却説とは、憲法28条が施設管理権(所有権)を制約する規定がないなどとし受忍義務説を批判するが「労働組合の活動の大部分が展開される場であるという事実に基づき一定の程度のものであれば違法性が阻却される」(下井隆史「労働組合のビラ貼り活動と民事上の責任」判例タイムズ326)というもので、実質的には、態様に即して組合の
施設利用を認めようとするのであって、受忍義務説と大差ないものと解釈できるが、これも明確に否定した。

ビラ貼りの問題は今後精査して別に提言することとして、本判決はたんにビラ貼りの問題にとどまらず、労組の企業施設利用全般にかかわる指導的判例であるので、労組の集会活動等の企業施設利用の問題に論点を移したい。
 

1 東京城東郵便局事件判決の意義
 リーディングケースとして東京城東郵便局事件判決(東京地裁昭59・9・6判決『労働判例』442号)をまずとりあげる。本件は、不許可集会の強行、欠勤暴行を理由とする郵政職員2人の懲戒免職を有効としたものだが、この判決の意義は札幌国労判決を引いたうえで、無許可集会は正当な組合活動として許容されるべきものいなく、解散命令に従わず、集会を強行した原告の責任はかなり重いと評価され、懲戒処分の根拠として認めたことである。
 (1)城東局における労使関係
 昭和41年当時、城東局では郵便物の大幅な遅配が続き、一日三千ないし四千通の遅配の滞留が常態であった。吉田局長は同年7月着任後、このような状態の原因を調査した結果、当時同局においては、始業・終業の時刻を守らない者、麻雀をしている者がいる等の職場規律の乱れがみられ、これが前記業務遅滞の原因となっているとの結論を得た。そこで同局長は、右職場規律の乱れに対し、賃金カット等を含む厳然たる態度による是正策を講ずることとし、同年8月17日城東支部三役に対し、(一)勤務時間の厳守(二)不就労に対してはノーワーク・ノーペイの原則で対処する。(三)局内での麻雀は厳禁する旨通告し、かつ全職員にその旨通知させた。局長は右是正策を実行に移すため、管理に職員の勤務状態や始業時間の遵守状況を点検させる等の体制を採るようになった。
 また、同局長は、本来当局の責任で行うべき業務運営に対し、組合が不当に介入しているとして、組合の介入を排除する対策を採ることとした。まず、城東局においては、正規の団体交渉の他に各職場において管理者とその職場の組合員との間で行われる職場交渉というものが慣行的に確立しており、これが各職場単位における日常的な苦情の処理あるいは正規の団体交渉での決定事項の具体的運用の協議の場としての機能を果たしていたが、同局長は、職場交渉を認めないとし、各課長が個別に組合と話し合うことを禁止した。更に同局長は、正規の団体交渉についても、交渉事項はいわゆる三六協定と二四協定の締結に関するものに限られるとして、それ以上の議題を制限し、また交渉人員の数制限にも制限を加えるようになった。このような中で、城東支部は「組合として反省すべき点は反省する」と言明をとていたけれども、同局長の前記のような措置に対して内部から不満の声が出るようになり、同年九月頃からは「既得権奪還」のスローガンを掲げて吉田局長追放運動を展開するようになった。そして、同年の年末年始における超勤命令拒否、物だめ闘争を経過した後、翌42年に入ると、同支部は、同年春期闘争、集中処理局設置に伴う合理化反対闘争において、同局長追放運動とからませて業務規制闘争を行うようになった。

(2)原告久下(昭和42年10月当時城東局集配課主任、全逓城東支部書記長)の
行為(一部略)
①昭和42年5月11日の集会
城東支部執行委員会は、昭和42年5月2日、全逓中央本部からの指導により、当時全逓が取り組んでいた合理化反対闘争等に向けての団結を強めるため、各課単位で集会を開催することを決定し、これに基づき、郵便課、保険課等で順次集会が開催され、集配課分会
においても右の集会を開催するため、同月9日、同課分会清水執行委員名義で、吉田局長に対し、いずれも組合業務を目的として城東局会議室を同月11日及び12日に使用したい旨の庁舎使用許可願を提出した。同局長は、これに対し、全逓が同月10日の指令第31号により、同月17日に2時間、24日に半日の各ストライキを決行する体制を確立すること。及び同月16日以降業務規制闘争に突入することの闘争指令を発したため、東京郵政局の指示に従い、右指令は公共企業体等労働関係法17条1項に違反するとして、前記許可願いも許可しないこととし、同月11日午前中に、同局庶務会計課主事内海信直を通じて清水執行委員及び原告久下に対して、その旨および理由を通知した。
 このような経緯で会議室の使用が許可されなかったにもかかわらず、同日午後4時7分頃から5時16分頃まで、同会議室において、集配課員約40名による職場集会が開催され、小久保青年部長がこれを司会した。原告久下もこれに参加したが、この中で、原告は、開会後間もなく無許可集会として解散命令を発した貝藤課長に対して抗議し、更に午後4時36分頃、集合した集配課員に対し、「中に入ってやろう」と言って全員を集め、同課長らの再三にわたる解散命令を無視して集会を続行した。
②同月12日の事件
同月11日の集会において前記認定のような混乱があったため、清水執行委員は、翌12日に予定していた集会を開くべきかどうかを城東支部長大塚勝三及び東京地本の井上章執行委員に相談したところ、二人とも集会を開くよう指示をした。そこで、同月12日においても、会議室の使用が許可されていなかったにもかかわらず、同日午後0時33分頃から同51分頃まで、同局会議室において、集配課員約60名による集会が開催され、小久保青年部長がこれを司会し、原告久下もこれに参加し、解散命令を発した吉田局長、貝藤課長に対して抗議し、右両名の再三の解散命令に従わない態度を示し、また参加者全員に対して会場使用の説明をし、更に「青年婦人部長の指揮で歌を歌って終わることとする」と指示するなどした。
③同年8月7日の事件
原告久下は同月7日午後0時30分頃、東京地本の井上、松本、光瀬各委員及び集配課員等50ないし60名とともに、城東局長室前廊下において、同局郵便課の野本孝が同月5日付で保険課へ配置転換されたことについて、吉田局長に面会を求めて局長室内に押し入ろうとし、これを阻止しようとして局長室内に集まった管理職数名の解散命令を無視して騒ぎたて、同50分頃管理職の阻止を突破して集配課職員約20名と共に局長室内に乱入したが、その際佐久間課長に対し、右ひざを一回蹴るなどの暴行を加えた。(他の事件と原告塚本の行為は略す)

3 判断(一部略-要所のみ)
① 無許可集会について
郵政省就業規則十三条七項は、「職員は、庁舎その他国の施設において演説もしくは集会を行い、又はビラ等のちょう付、配布その他これに類する行為をしてはならない。ただし、これらを管理する者の事前の許可を受けた場合は、この限りでない。」と定めていることが認められ、郵政局庁舎管理規程度7条は、「庁舎管理者は、庁舎内において、演説、ビラ等の配布、これに類する行為をさせてはならない。ただし、庁舎等なにおける秩序維持等に支障がないと認められる場合に限り、これを許可することができる。」と定め(中略)城東局における「庁舎管理者」は吉田局長であることは明らかであるから、結局、同局長が会議室の使用を許可しなかった当否が問題となる。
 国の庁舎の管理者は、公物たる庁舎の存立を維持し公務の円滑な遂行を図るため、その庁舎につき合理的・合目的的な秩序を定立し、公務員その他の者に対してこれに服すことを求めうべく、その一環として、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもって定め、又は具体的に指示、命令することができ、公務員でこれに違反する行為がある者がある場合には、その任命権者は、その者に対し制裁として懲戒処分を行うことができるものと解するのが相当であり、また、公務員の労働組合又はその組合員が、庁舎管理者の管理する庁舎であって定立された秩序のもとに公務の運営に供されていたものを、その管理者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されないものというべきであるから、右の労働組合又は組合員が庁舎管理者の許諾を得ないで庁舎を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対し使用を許さないことが当該庁舎の管理者が有する権利の濫用であると認められる特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある公務の運営体制を確保しうるように当該庁舎を管理利用する庁舎管理者の権限を侵し、公務の秩序を乱すものであって、正当な組合活動として許容されるところであるということはできない(最高裁昭和54年10月30日第三小法廷判決民集33巻6号)。
 以上の見地に立って本件について検討する。前記集会が行われた会議室は吉田局長の管理する庁舎の一部であり、郵便局の業務のため使用されるべきものであって、全逓やその組合員が当然には使用を許されていないものであると認められるところ、吉田局長が会議室の使用を許可しなかったのは、全逓が同年5月10日、ストライキを決行する体制を確立すること及び及び業務規制闘争に突入することとの指令を城東支部に発したため公共企業等労働関係法17条1項に違反するとしたためである……このような指令が発せられた場合において吉田局長が、城東支部に対し施設の利用を許諾することは違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと判断したことについては相当な理由があるべきであるから、同局長が会議室の使用を許可しなかったことについて権利の濫用であると認められるような特段の事情がないというべきである。昭和42年5月の各課単位の集会は既に郵便課等集配課以外の課については5月11日以前に実施され、吉田局長もこれらの集会のために庁舎を貸与することは許可していたことが認められるけれども、その後前記のような時化令が全逓から発せられたのであるから、従前庁舎使用を許可していたからといって、集配課分会の会議室使用を許可しなかったことをもって権利の濫用とすることもできない。従って、会議室使用の許可を得ないで開催された同年5月11日と12日の各集会は正当な組合活動として許容されるものということはできないというべきである。よって……原告の行為は、庁舎管理者の許可なく開催された集会に参加し、管理権者の解散命令に従わず、かつ、集会の開催について積極的な役割を果たした点において、国家公務員法82条1号及び3号に該当するということができる。

② 個人責任の不存在の主張について、原告らは本件処分理由たる原告らの各行為は、いずれも、東京地本の指令に従った城東支部執行委員会での決定に基づいて行われ、あるいは全逓中央本部から同支部執行委員会の決議に基づき同支部として行った活動であるから、これらにつき原告らの個人責任を問うことはできない旨主張するが、仮にそのような事実があったとしても、原告らの行った行為が正当な組合活動として認められるものでないことは前記認定の事実から明らかであって、原告らが、それに基づく責任を負うのは当然でありね右の主張は到底採用することができない。

類似の無許可集会に関する判例(古川陽一「一〇・三〇判決以降の組合活動に関する判例動向『労働法律旬報』1517号2001・12・25の32頁以下の判例一覧がある)としては主なものとして、次ぎのとおりである

★全逓新宿郵便局中央郵便局事件・最高裁第三小法廷-昭和58・12・20『労働判例421号は、昼休み中の無許可職場集会に対する解散命令・監視活動は不当労働行為を構成しないとした。

★全逓長崎中央郵便局事件・長崎地裁判決-昭和59・2・29『労働判例』441号カードは地下食堂及び地下男子休憩室の無届利用行為につき国労札幌地本ビラ貼り判決を引用し、即刻解散を命じたことは不法不当なものということはできないとした。

★東京城東郵便局事件・東京地裁判決昭和59・9・6『労働判例』442号は、合理化反対闘争(内容は後述)

★ミツミ電機事件・東京高判昭和63・3・31『労働判例』516号は争議中の集会・デモ・泊まり込み・ビラ配布、赤旗掲揚に理由とする懲戒解雇を是認した。

以上は、争議行為と関連した組合集会についての事例であるが、本質的には平常時、争議行為時いかんを問わず敷地内の無許可集会は規制できるし、監視・解散命令を出すべきだが、東京都は基本的になにもしないのでせ、著しく組合を増長させている。

(未完成推敲不十分)

未完成原稿シリーズ その2 判例研究

勤務時間内勤務場所内職場集会・オルグ活動の演説、同じく施設内職場集会、ビラ貼り、タテ看闘争、超過勤務拒否闘争等組合活動の是非

リーディングケース
国労札幌地本事件・最三小判昭54・10・30(ビラ貼り×)
三菱重工業事件・東京地判昭58・8・24(無許可職場集会・ビラ貼り×)
全逓新宿郵便局事件・最三小判昭58・12・20(無届職場集会×)
明治乳業事件・最三小判昭58・11・1(昼休み時間中の無許可ビラ配布○)
全逓長崎中央郵便局事件・長崎地判昭59・2・29(無許可職場集会×)
和進会事件・京都地判昭59・7・5(ビラ貼り×)
全逓城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6(無届職場集会×)
全運輸近畿支部事件・最高二小判昭60・11・8(出勤簿整理時間にくい込む職場集会×)
北九州交通局労働組合事件・最一小判昭63・12・8(超過勤務拒否闘争×)
全逓城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6(無届職場集会×)
済生会中央病院事件・最二小判平元・12・11(職場集会×)
オリエンタルモーター事件・最二小判平7・9・8(職場集会×)
倉田学園事件・最三小判平6・12・20(始業時前の無許可ビラ配布○)

1-職場集会、ビラ貼り、超過勤務拒否闘争等につき、正当な組合活動のみなさなかった判例

1 国労札幌地本事件・最三小判昭54・10・30『労働判例』329号12頁
http://courtdomino2.courts.go.jp/roudou.nsf/Listview01/6A72732240F99C2A49256A57005AF0C2/?OpenDocument
(ビラ貼りを理由とする懲戒処分を適法とした指導的判例)
事件の概要(抜粋)
被上告人Aは、上告人の職員で、札幌駅構内作業掛の職務に従事し、国労札幌支部札幌駅分会の組織部長の地位にあつたものであるが、昭和四四年四月一〇日ころからB助役より組合掲示板以外の施設へのビラ貼付を禁止されていたのにもかかわらず、札幌駅分会の決定に従い、同月一四日午前八時四〇分ころ操連詰所において、他の職員が勤務中であるのに、自己が日常使用しているロツカーの扉の表面に、「一六万五千人の人べらし合理化をはね返そう」及び「七〇年安保にむけ春斗を力つよく斗いぬこう」と白地に青、赤色で各印刷された国労作成のビラ二枚を並べて貼付した。そして、ちようど同被上告人の右行動を現認した右B助役をはじめC助役、D、E各運転掛らが同被上告人に対し「ビラを貼つてはいけない。」と注意し、貼付された二枚のビラをはがすよう促したが、同被上告人はこれを無視して応じなかつたため、右D、Eの両名がやむなく一枚ずつビラをはがしたところ、同被上告人は、「何をするんだ。組合の財産に手をかけるな。」といつて両名の手からビラを取り戻し、Bらが目前で再三にわたつて制止したのにも構わず、再度前同様の方法でロツカーにビラを貼付したが、その際、Eの肩を押し、あるいはビラをはがそうとしたBの手を払いのける行為におよんだ。被上告人Fは、上告人の職員で、札幌駅構内作業掛の職務に従事し、国労札幌支部札幌駅分会執行委員の地位にあつたものであるが、被上告人Aと同様、札幌駅分会の決定に従い、同月一四日午前八時四〇分ころ前記操連詰所において同所備付けのロツカーの扉の表面に国労作成のビラを貼付しようとし、これを認めた前記のB、Cらから「ビラを貼つてはいけない。」と再三ビラ貼りを中止するよう指示されたのにこれを全く無視し、被上告人Fはじめ一〇名の国労組合員である上告人の職員が同職場において日常使用することを許されているロツカー合計一〇個の扉の表面に、札幌地本に委託されたと称し、被上告人Aが貼付したと同内容のビラあるいは「新賃金三万三千円要求をストでたたかいとろう」、「ストで大幅賃上げ獲得首切り合理化粉砕」などと印刷されたビラをロツカー一個に二枚ずつ(ただし、一個について一枚のみのものがある。)を並べて、合計一九枚を紙粘着テープで貼付した。
  更に、被上告人Fは、同月一六日の午前八時四〇分ころにも、前記場所において前同様の方法で備付けロツカーにビラを貼付し始め、これを発見したB、Cらが同被上告人に対し「ビラを貼つてはいけない。はがしなさい。」といつて再三にわたつて制止したのに、「貼つて何故悪いのだ。当然の権利だ。」と返答し、Bらが貼付されたビラをはがそうとすると、「組合のものにさわるな。」といいながらBらの手を払いのける行為におよび、結局、札幌地本に委託されたと称し、国労の組合員である三上潔操連掛ら三名の者が職務上使用を許されているロツカー三個の扉の表面に各二枚ずつ並べて合計六枚のビラを前同様の方法で貼付した。(後略)

判断(一部略)-思うに、企業は、その存立を維持し目的たる事業の円滑な運営を図るため、それを構成する人的要素及びその所有し管理する物的施設の両者を総合し合理的・合目的的に配備組織して企業秩序を定立し、この企業秩序のもとにその活動を行うものであつて、企業は、その構成員に対してこれに服することを求めうべく、その一環として、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもつて定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができるもの、と解するのが相当である。
 ところで、企業に雇用されている労働者は、企業の所有し管理する物的施設の利用をあらかじめ許容されている場合が少なくない。しかしながら、この許容が、特段の合意があるのでない限り、雇用契約の趣旨に従つて労務を提供するために必要な範囲において、かつ、定められた企業秩序に服する態様において利用するという限度にとどまるものであることは、事理に照らして当然であり、したがつて、当該労働者に対し右の範囲をこえ又は右と異なる態様においてそれを利用しうる権限を付与するものということはできない。また、労働組合が当然に当該企業の物的施設を利用する権利を保障されていると解すべき理由はなんら存しないから、労働組合又はその組合員であるからといつて、使用者の許諾なしに右物的施設を利用する権限をもつているということはできない。もつとも、当該企業に雇用される労働者のみをもつて組織される労働組合(いわゆる企業内組合)の場合にあつては、当該企業の物的施設内をその活動の主要な場とせざるを得ないのが実情であるから、その活動につき右物的施設を利用する必要性の大きいことは否定することができないところではあるが、労働組合による企業の物的施設の利用は、本来、使用者との団体交渉等による合意に基づいて行われるべきものであることは既に述べたところから明らかであつて、利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用しうる権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない、というべきである。右のように、労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設であつて定立された企業秩序のもとに事業の運営の用に供されているものを使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されないものというべきであるから、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで叙上のような企業の物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであつて、正当な組合活動として許容されるところであるということはできない。
 二 そこで、以上の見地に立つて、本件について検討する。
  原審が確定した前記の事実によれば、本件ビラの貼付が行われたロツカーは上告人の所有し管理する物的施設の一部を構成するものであり、上告人の職員は、その利用を許されてはいるが、本件のようなビラを貼付することは許されておらず、また、被上告人らの所属する国労も、上告人の施設内にその掲示板を設置することは認められているが、それ以外の場所に組合の文書を掲示することは禁止されている、というのであるから、被上告人らが、たとえ組合活動として行う場合であつても、本件ビラを右ロツカーに貼付する権限を有するものでないことは、明らかである。そして更に、前記の事実によると、被上告人らの本件ビラ貼付行為は、賃金引上げ等の要求を組合員各自がみずから確認し合つてその意思を統一し、もつて組合の団結力の昂揚をはかり、あわせて上告人当局に右要求をアピールする等のために、国労のいわゆる春闘の一環として行われた組合活動であり、上告人の許可を得ないでされたものであるところ、右ロツカーの設置された部屋の大きさ・構造、ビラの貼付されたロツカーの配置、貼付されたビラの大きさ・色彩・枚数等に照らすと、貼付されたビラは当該部屋を使用する職員等の目に直ちに触れる状態にあり、かつ、これらのビラは貼付されている限り視覚を通じ常時右職員等に対しいわゆる春闘に際しての組合活動に関する訴えかけを行う効果を及ぼすものとみられるのであつて、このような点を考慮するときは、上告人が所有・管理しその事業の用に供している物的施設の一部を構成している本件ロツカーに本件ビラの貼付を許さないこととしても、それは、鉄道事業等の事業を経営し能率的な運営によりこれを発展させ、もつて公共の福祉を増進するとの上告人の目的にかなうように、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保する、という上告人の企業秩序維持の観点からみてやむを得ないところであると考えられ、貼付を許さないことを目してその物的施設についての上告人の権利の濫用であるとすることはできない。本件ビラの貼付が被上告人らの所属する国労の団結力の昂揚等を図るのに必要であるとしてされたものであり、ビラの文言も上告人その他の第三者の名誉を毀損しその他不穏当にわたるものがあるとまではいえず、剥離後に痕跡が残らないように紙粘着テープを使用して貼付され、貼付されたロツカーの所在する部屋は旅客その他の一般の公衆が出入りしない場所であり、被上告人らの本件ビラ貼付により上告人の本来の業務自体が直接かつ具象的に阻害されるものでなかつた等の事情のあることは、先に判示したところからうかがい得ないわけではないが、これらの事情は、いまだもつて上記の判断を左右するものとは解されないところである。したがつて、被上告人らの本件ビラ貼付行為は、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、上告人の企業秩序を乱すものとして、正当な組合活動であるとすることはできず、これに対し被上告人らの上司が既述のようにその中止等を命じたことを不法不当なものとすることはできない。
 そして、日本国有鉄道法三一条一項一号は、職員が上告人の定める業務上の規程に違反した場合に懲戒処分をすることができる旨を定め、これを受けて、上告人の就業規則六六条は、懲戒事由として「上司の命令に服従しないとき」(三号)、「その他著しく不都合な行いのあつたとき」(一七号)と定めているところ、前記の事実によれば、被上告人らは上司から再三にわたりビラ貼りの中止等を命じられたにもかかわらずこれを公然と無視してビラ貼りに及んだものであつて、被上告人らの各行動は、それぞれ上告人の就業規則六六条三号及び一七号所定の懲戒事由に該当するものというべきである。
 そうすると、被上告人らの各行動は懲戒事由に該当しないとした原審の判断は、ひつきよう、法令の解釈、適用を誤つたものであり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。(後略)
 

2 三菱重工業事件・東京地判昭58・8・24『労働判例』410号46頁
(無許可集会、ビラ貼り等が正当な組合活動と認められないと判示した例)
http://courtdomino2.courts.go.jp/roudou.nsf/Listview01/FCE347F93815933F49256A57005AF52E/?OpenDocument
事実(抜粋)-集会禁止場所での集会、構内ビラ配布等の強行とこれに伴う暴力行為
 当時の労働協約には、
「第二七条 組合員が次の各号の一に該当する場合はけん責に処する。……
5 事業所の許可なく事業所内又は施設(社宅及び寮の私室を除く)で集会、演説、放送、各種印刷物の掲示・貼付・配布、署名運動、募金その他これに類する行為をしたとき………」
と定められていた。被告会社においては職場秩序維持の必要から、生産の場である事業所内、施設内においては、政治・宗教活動はもちろんのこと、職場の安寧を損うおそれのある前記行為は原則としてこれを禁ずることとしており、現に過去においてこの種の行為を被告会社が事業所内、施設内で行うことを許可したことは一度もない。
 構内における組合活動もこの原則の例外ではなかつたが、組合活動については組合活動の実質的な保障と職場秩序との調和する合理的範囲において、労使間の慣行として一部例外的な取扱いが行われており、これをめぐつて広機(広島精機製作所)において次のような事件が発生した。
(ア) 無許可集会・演説・放送の強行とこれに伴う暴力行為
 被告会社と原告との労働協約では、その第一〇条に「組合は、会社の了解を得て、会社の諸施設その他を利用することができる。……」と、会社施設利用に際しては会社の了解を要する旨を規定し、また各事業所においては、危険防止、職場秩序維持の必要から労使間で集会禁止場所等が慣行として定められ、各分会もこれを遵守してきた。
 広機は、極めて精密な工作機械を製作する事業所で、その作業の性格上作業者は作業中に高度の集中力を要求されるため、昼休みには完全に休養できる場所を確保する必要性が特に強かつた。そこで、広機においては、構内食堂及びその周辺の広場、芝生、植込みを休養の場所に当て、これらの場所における集会・演説・放送その他けんそうにわたるおそれのある行為を禁止することにより、社員に十分な休養を与えるよう配慮してきた。特に被告会社長崎造船所において複数組合が併存するようになつて以来、両組合間で拡声器の音量をあげての放送合戦、集会場所の奪い合いといつたトラブルが発生しており、そうした先例に鑑みても、やはり複数組合の併存する広機においては、食堂及びその周辺における組合集会等を禁ずる強い必要性があつた。
 しかるところ、広機分会は、昭和四四年四月二五日、広機の了解を得ることなく、昼休みに食堂内で春闘総決起集会を開催し、勤労課員の解散命令を無視してこれを強行した。
 広機は、直ちに広機分会幹部に抗議したが、広機分会は、開催場所については分会の自由だとの態度をとつたため、広機は更に同年五月七日付け書面をもつて広機分会に厳重抗議し、反省を求めた。
 同年六月に、広機分会から広機に対して、六月二八日昼休みに食堂前広場で総決起集会を開催したいとの書面による申入れがあつた。広機は同月二七日付け書面をもつて、食堂前広場での集会は許可できないが、組合事務所周辺の空地でなら差し支えない旨回答するとともに、その理由についても十分説明したが、広機分会はこれを無視して六月二八日の集会を食堂前広場で強行した。
 これに対し、広機は、前回同様直ちに広機分会幹部に抗議するとともに、広機分会に対しても同年七月一六日付け書面をもつて厳重に抗議し、広機分会の反省を促した。
 しかるに、広機分会には一向に反省の色はなく、かえつて広機の事前了解を求めることもなく集会を強行するようになり、同年一一月からは集会後にデモ行進を行うようになつた。更に翌昭和四五年四月ころからは大きな立看板を設置し、拡声器を使つて休息中の社員に演説を行うようになつた。同年六月三〇日には、集会の中止を求めに行つた勤労課員に対し広機分会の幹部である者がのどを突き、あるいは突き倒す等の暴行を加え、負傷させるという事件も発生した。
 このような無許可集会は、昭和四四年には五件であつたものが、翌昭和四五年には一九件、昭和四六年五月末までには合計三一件を数えるに至つた。
(イ) 不当なビラ掲示・貼付の強行とこれに伴う暴力行為
 会社構内において、むやみにビラを掲示・貼付することは、美観を損ねることはもちろんのこと、生産能率面、災害防止面からも生産現場においては極めて不具合である。作業場の周辺に「オヤツ」というようなものがあり、それに気をとられたために作業ミスをおかしたり、けがをしたという事例は枚挙にいとまがない。生産会社においては、ハウスキーピングという担当者を特に決めて職場の整理整頓から環境整備まで非常に気を使つており、例えば工場見学者がある場合においては、時間・場所等を十分検討し、作業服に着がえてもらい案内員を置くなどできるだけ作業者の邪魔にならないよう配慮を行つている。
 右の事情からすれば組合は、ビラの掲示・貼付をどこにしてもよいということはできない。被告会社では、原告との労働協約の第九条で「会社は、組合が報道、告知及び教育宣伝のため、会社内所定の場所に掲示することを認める。」と定め、具体的には事業所・分会の協議により、作業場周辺でない例えば通路等に掲示板を設け、それ以外の場所へのビラの掲示・貼付は一切禁止してきた。
 当時、広機分会に対しては、組合分裂によつて二組合が併存するに至つたという経緯もあつて未だ掲示板を貸与しておらず、労使間で設置場所等について協議中であつたが、広機分会は、一方的に掲示物を現に使用中の他組合の掲示板や会社の掲示板に強行掲示し、広機の抗議を無視してこうした行為を繰り返していた。
 また、昭和四五年四月二三日、広機分会は一二時五五分から一五時五五分まで重点指名ストライキを行つたが、この際、正規の作業服を着用していないスト対象者が、広機の退去命令にもかかわらず、他の一般社員が作業している職場内をほうこうし、スト対象者の機械に「スト決行中」と大書した半紙大のビラを貼付した。勤労課員がこれを撤去しようとしたところ、そのスト対象者は大声でわめき、押す、突くなどの腕力をもつて妨害し、約三〇分間にわたり周辺で作業をしている多数の社員の正常な業務の運営を妨げた。
 更に、同月二八日一二時〇五分から翌二九日八時〇五分までの全員ストライキに際しては、広機分会組合員が、会社の禁止命令を無視して「スト決行中」なるビラを広機分会組合員使用の機械、器具、机上等に貼付し、これを制止しようとした勤労課員に対して広機分会執行委員長をはじめとする分会組合員数名が大声でわめきながら組み付き、実力をもつて妨害した。ある勤労課員は三名の分会員によつて組み付かれ、首を絞められ、鉄製部品の上に押し倒されて負傷した。また、はち巻、腕章をつけた多数の広機分会組合員が工場内をほうこうしたため、一時間以上にわたつて職場の秩序が乱された。
 こうした広機分会による掲示板、機械、器具等への不当なビラ貼付事件は、昭和四四年四月から昭和四六年五月末日までの間に四四件発生するに至り、これに伴つて暴力行為も頻発した。
(ウ) 構内における不当なビラ配布の強行とこれに伴う暴力行為
 会社の構内におけるビラ配布は、職場の秩序を乱し、また、ときによつては職場における従業員の集中力を散漫にさせ、更にビラの内容によつては職場内に対立感情を持ち込ませる等の弊害が少なくないため、被告会社においては、構内におけるビラ配布それ自体を禁止することとしており、労働組合にもこの原則を適用している。しかし、組合が自らの組合員に対して組合機関紙及び連絡文書を構内において休憩時間中に配布することはなんら禁止していないし、また組合が不特定多数の者にビラを配布しようと思えば入場時又は退場時に門前で配布することもできるのであるから、構内におけるビラ配布を禁止しても組合活動上大きな支障をきたすことはない。
 こうした状況の中で、広機分会も従来は構内でビラ配布をすることはなかつたが、昭和四四年一〇月二一日に突如、休憩時間中に食堂前でビラ配布を開始した。そこで、広機は直ちに口頭で抗議したが、その後も数回にわたつて同様の行動を繰り返したので、広機は同年一一月一〇日付けの書面をもつて厳重抗議した。
 その後もたびたび同様の事件があり、昭和四五年四月一六日に理由を付した抗議文を広機分会幹部に手交し、話し合つた際には「会社の見解は理解できた。分会としても検討する。」との回答を得たが、その後も構内におけるビラ配布は繰り返され、その回数は昭和四六年五月末日までに二四回に及んだ。
判決(抜粋)-無許可集会、ビラの掲示・貼付、ビラの配付等について検討するに、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで企業の物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが使用者の権利の濫用と認められるような特段の事情がある場合を除いて正当な組合活動として許容されるものということはできないと解されるところ、当時の原告と被告会社との労働協約は、一〇条において、組合は、会社の了解を得て、会社の諸施設その他を利用することができる旨定め、二七(二八)条において、組合員が事業所の許可なく事業所内又は施設(社宅及び寮の私室を除く)で集会、演説、放送、各種印刷物の掲示・貼付・配付、署名活動、募金その他これに類する行為をしたときはけん責に処する旨定めていると認められること(中略)事実関係に照らすと被告会社が原告に施設の利用を許さないことが権利の濫用にあたるとまで認めることはできず、右の無許可集会等は労働協約に違反し、許されないものであるということができる。

全逓新宿郵便局事件・最三小判昭五八・一二・二〇『労働判例』421号20頁
(郵便局長の言動、職場集会の妨害・監視等の行為が不当労働行為にあたらないとされた例-不当労働行為救済命令取消請求上告ー棄却)
事件の概略-全逓新宿支部では、昭和四〇年春闘頃から批判派が「新生会」を形成し、これらは同年六月一日全逓を脱退し、郵政労働組合新宿支部を結成した。一方三九年七月着任した、加藤新宿郵便局長は職場規律の確立等を目ざしていたが、そうした中で、(1)四〇年五月一三日の貯金募集打ち合わせの席上、加藤局長は、全逓の行動につき「新生会の会員の家庭を訪問して、新生会から抜け出さなければ宿舎に入れないようにするとか、脅迫めいたことが行われているらしいが、お互い行き過ぎのないように」と話し、また同局長は「新生会は善良な人がやったことで間違いではない。あなたたちも善良な人たちだから、今やっている組合(全逓を指す)の行動はよく分かるだろう。極力組合の方に行かないように」等の発言があった。(2)大卒新規卒業者鈴木らは、五月一六日(日)品川区旗の台の加藤局長宅に招待され、清水郵便課課長代理と赴いたが、「今日は局長と思わないで飲んでくれ、広島から届いた特級酒もある」と気分をほぐしてもてなし歓談のうち、局長は、「郵政事業は三代かけなければ一つの仕事を達成できないのに、全逓の闘争主義者はこれを破壊する」と述べ、右課長代理は郵政労の加入届用紙を出し、加入勧誘行動を求めたので、右鈴木が趣旨を問い質すと、局長は「これは郵政省の正規の組合だ」と述べた。また、帰りの車中で課長代理は「郵政労のバックがわかっただろう」と話した。(3)加藤局長は、四〇年四月二〇日臨時補充員らへの話の中で、「暗くなるほどビラがはられている。職場の中もゴタゴタしている」と述べた。(4)新宿支部は、五月一〇日の昼休み、集配課休憩室で、六月七日午後五時過ぎ、同月一一日昼休み、年賀区分室で、職場集会を開いたが、右は無許可であったため、管理職らがマイクで解散を求め、あるいは集会の様子をメモする等した。(5)庶務課長は、新宿支部の掲示板の掲示物が無許可であり、同支部が撤去要求に応じないとしてこれを撤去したが、公労委は不当労働行為にあたるが、全逓・郵政省間で掲示板利用について合意が成立し、問題は解決されたので、救済命令を発する必要はないとした。
一審は公労委命令を取消、二審は右各行為は不当労働行為にあたらないとした。
判決(抜粋)-思うに、使用者の言論は、労働者の団結権との関係で一定の制約を免れないが、原則的には使用者にも言論の自由は保障されており、労使双方が自由な言論を展開することは、正常な労使関係の形成発展に資するものということができる。ただ(中略)労使間の対立がみられるような時期に、使用者又は利益代表者が労働者等と個別的に接触し、労使関係上の具体的問題を発言することは、一般的にいって公正さを欠くものとの非難を免れず、場合によっては是正のための救済措置を必要とする事態も十分考えられるところである。新宿郵便局長の所論の発言も、上告人組合に対立する労働組合の結成が準備されている時期において、同局長の自宅又は執務室で特定の職員に対してなされたものでその妥当性が疑われることは否定できない。しかしながら、その内容及び原審認定の事実関係に照らせば、右発言をもっていまだ上告人組合の結成運営に対する支配介入に当たるとまでいうことはできないとした原審の判断は、これを是認することができ、原判決に所論の違法はない。
 労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該施設につ使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該施設を管理利用する使用者の権利を侵し、企業秩序を乱すものであって、正当な組合活動に当たらず、使用者においてその中止、原状回復等、必要な指示、命令を発することができるということは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四七頁)、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ(中略)昭和四〇年五月一〇日新宿郵便局集配課休憩室において、同年六月七日及び一一日同局四回年賀区分室において、それぞれ無許可で開かれた上告人組合新宿支部の職場集会に対し、同局次長らの行った解散命令等が、不当労働行為を構成しないとした原審の判断は正当として是認することができる。(以下略)

明治乳業事件・最三小判昭58・11・1『労働判例』417号21頁
(昼休み時間中の政治ビラの無許可配布を理由とする戒告処分を無効)
事実(抜粋)-被上告人は、上告人の福岡工場に勤務する従業員であるが、昭和四九年六月二四日昼の休憩時間に、休憩室を兼ねている同工場食堂において、同日十四日の昼の休憩時間に、同月一四日に公示された参議院議員選挙の候補者の応援演説のため不破哲三日本共産党書記局長が来援するという内容の同党中央委員会発行同月二三日付赤旗号外約二〇枚を同工場
従業員に配布し、次いで同年七月六日の昼の休憩時間に、同食堂において、同党への投票の呼び掛けを内容とする同党参議院議員選挙法定ビラ約四六枚を同工場従業員に配布した。右の赤旗号外及び日本共産党参議院議員選挙法定ビラの配布は食事中の従業員数人に一枚ずつ平穏に手渡し、他は食卓上に静かに置くという方法で行われたものであって、従業員が本件ビラほ受け取るかどうかは全く各人の自由に任されていた。また、右の配布に要した時間も数分であった。
判断(抜粋)-被上告人の本件ビラの配布は、許可を得ないで工場内で行われたものであるからね形式的にいえば前記就業規則一四条及び労働協約五七条に違反する規程であるが、右各規程は工場内の秩序の維持を目的としたものは明かであるから、形式的に右規程に違反する場合でも、ビラの配布が工場内の秩序を乱すおそれのない特別の事情があると認められるときは、右各規定の違反になるとはいえない(最高裁昭和四七年(オ)第七七七号同五二年一二月一三日第三小判決・民集三一巻七号九七九頁参照)。そして、前記のようなビラの配布の態様、経緯及び目的並びに内容に徴して工場内の秩序を乱すことのない特別の事情が認められる場合に当たり、右各規程に違反するものではないと解するのが相当である。
 なお横井大三判事は反対意見を記す。

全逓長崎中央郵便局事件・長崎地判昭59・2・29『労働判例』441号カード
(無届職場集会の解散命令は不当でないとされた例)
事件概要(抜粋)-四十四年四月、被告人Y1(全逓長崎中央支部長)は全逓支部が掲示板に掲示したスト宣言文を当局が撤去したことに抗議すべく、局長室に組合員二十数名とともに押し入り、A次長および他の管理職数名が解散、退去を求めたのに対し怒り、N貯金課長をつかまえて廊下側の窓まで押していき、他二名の組合員と共同して同課長を抱き上げ、上半身を廊下側に逆さになるまで傾斜させ、もって数人共同して暴行を加え(中略)法内超勤につき、当局は★三六協定ないし組合の同意なくしてこれを命じうるものとし、全逓はこれを不可とする立場をとっていたところ、四五年一一月二一日、全逓支部とのあいだに三六協定締結の交渉が行われている時間帯に、第二集配課副課長が支部員に法内超勤を命じたことから、紛議が生じ、支部組合員による抗議がなされたが、その際被告人Y1は、解散命令を発したC労務連絡官に対し、喉元を手指で突く暴行を加え(中略)全逓支部は四五年一二月一日より年末闘争に突入し、同支部保険分会は、同日午後五時頃から、男子休憩室において、当局の許可を得ることなく、分会集会を開いた、五時二十五分頃、Y庶務課長が、無許可集会であることを理由に、解散を命じ、分会員がこれをとり囲んで抗議していたところ、被告人Y1があらわれ、同被告人は同課長に対し、腕組みした左肘で顎を一回突き上げる暴行を加え、さらに五時三十五分頃、A労働課長が加わり、再三にわたって解散命令を発したところ、被告人Y1は、腕組した姿勢で同補佐を押して数メートル後退させ、右肘で同人の股間を一回蹴る暴行を加え(後略)。
判決要旨-被告人らの「本件有形力の行使は可罰的違法性に欠けるものはなく(以下略)」「労働組合又はその組合員が使用者との合意ないし許諾がないまま企業の物的施設を利用して組合活動を行うときは、これらの者に対して利用を許さないことが、当該物的施設につき使用者の権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合‥‥を除いては施設管理権に抵触するものであ」るから、「本件全逓支部の地下食堂及び地下男子休憩室の無届利用行為も、長崎中央郵便局長の庁舎管理権限を侵すものとして正当なものとすることはできず、これに対しM課長らが即刻解散等を命じたことは不法不当なものということはできない」、

和進会事件・京都地判昭59・7・5『労働判例』439号1176号
(共同絶交行為、無許可ビラ貼付等を理由とした組合委員長らに対する普通解雇が有効とされた事例)
事件概要-(共同絶交行為-「村八分」類似の嫌がらせ-については略し、ビラ貼り事件を主として抜粋)。
被告の和進会とは、京大病院の医学研究の奨励、病院運営に対する寄与、患者の慰藉、職員・学生に対する便宜の供与等を行い医学振興と社会文化への貢献等を目的として大正一二年に設立された財団法人で、京大病院内における食堂・売店・喫茶・薬局・寝具・給食の六事業を行っていた。従業員約百名、労組はユニオンショップ協定により、総務部の係長二名を除いて、全職制員が組合員である。昭和五二年に組合は争議時においも特別調理食の供給義務について運搬を除いて支障をきたさないという保安協定を破棄し、ストに突入する構えをみせたため、被告は増員要求を呑んだ。昭和五三年京大病院当局は意見を出し、組合のストライキ時の特別調理職の安定化を求め、将来給食の直営化をうたうなど、被告和進会に対し強力な圧力をかけ、全国的な傾向として不採算部門の整理、民間会社への再下請化という経営合理化に組合が支障となったため、和進会は労務対策として五四年八月に柴田理事が担当理事として就任することととなった。同年十月二二日柴田理事は、組合に対し「労使慣行廃絶通告」(内容略)を送付した。また、柴田理事は、同年九月二五日の係長会議をはじめとして、同十月に入ってから盛んに係長会議、職制会議を開催した。(中略)さらに同月二一日から同月二五日にかけて全従業員を対象した就業規則研修会を開催したが、その内容は被告の最大の問題が労働契約、業務命令、職場秩序、職制の権限等の労務管理上の基本問題であって、労働時間、配転、有給休暇の取り方、法内残業、服務規律等、就業規則上の基本事項を説明したもので、この中で柴田理事は「職場離脱は重罪だ。自分は軍人だったが、その持ち場を離れて銃殺される人を見た」「協約が成立して別途協定ということになって、それが未締結なのだからその協約ができるまでには一分たりとも時間内組合活動はできない。」「四〇〇人(従業員の家族を含めむの幸せのためには、一人、二人のことにはかまっていられない。腐ったリンゴは取り除かなければならない」(中略)などと発言した。組合は(中略)同月二六日に労使慣行廃絶通告に対し釈明を求める書面を送り、売店の柿の値札付けの件で、柴田理事長が原告中川をしっ責したこと。特別調理用の手鍋の柄が折れたとして吉田係長(組合員)らをしっ責した件に抗議するビラを配布し、さらに同日全職場集会を開催し、その席上、来賓の川中弁護士が、柴田理事の研修会の内容を批判し、今後の労使紛争に備え、柴田理事の言動をメモすること(メモ闘争)を示唆した。このようにして、十一月早々から全職場に「和進会に労務屋はいらない」「暗黒の職場になった」などと書いたビラを貼付、配布し、組合員に右のような内容のワッペンを着用させ、メモ闘争を実施させた。同月八日の集会の決起集会では、運輸一般の宮川分会員から柴田理事がかつて全自連(現運輸一般)の山幸運輸分会をつぶしたことのある労務屋だとの報告があった。九日、臨時大会を開催し、年末一時金闘争及び職場の民主化と権利を防衛する闘いの遂行等に関するストライキ投票を実施してストライキ権を確立する一方、ビラ、ワッペン、立看板などにより柴田理事排斥のための事実上の争議状態を継続し、これに対し、被告側からは、ビラの配布、貼付、ワッペン着用等の中止を求める警告書が次々に出される状態となった(後略)。
ビラ貼付についての判断-「労務屋に和進会は任せられない」などと記載したビラを、被告が貸与していた専用掲示板以外の食堂、売店、喫茶室等り入り口に無許可で貼付した点についてみるに、労働組合又は組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の使用し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが、当該施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであって前記のように右ビラは被告に対する事実上の争議状態下で貼付されたものであることを考慮しても、正当な組合活動に当たらないといわざるをえない。(又、他に右特段の事情を認めるに足る証拠はない)。そうすると、これらのビラ貼りを組合員に指令し、また被告の再三にわたる撤去命令にも応じなかった組合の組合長原告西村の服務規律(四条一項、六条一四号)に違反し、懲戒事由を定めた就業規則六五条四号(職場内の秩序、風紀を紊す行為があった場合」)、一六号(その他各前号に準ずる不都合の行為があった場合」)に各該当するものといわなければならない。
労使慣行廃絶問題についての判断-原告らは、被告と組合間には従来から許可なしに時間内組合活動を許容する労使慣行が存したところ、昭和五四年春闘時に、右労使慣行の労働協約化を図るために労使間で協議した結果、同年九月二六日、春闘妥結協定化中にの別途協議条項が成立しが、労使間には別途協定が成立するまでの間は、従前の労使慣行に従うとの了解があったのに、被告は同年一〇月二二日、一方的に時間内組合活動に関する右労使慣行は廃絶された旨通告(労使関係廃絶通告)してきたというのである。
しかしながら、右労使慣行の点については、たとえ従来から時間内活動が反覆継続されてきたとしても(ちなみに組合の行っててた時間内組合活動が前記のとおりそれが、西村の職務怠慢の一因となっていたこと、平井の組合活動と称しての就業時間内の離席について組合員の内部からも批判がでていたことによっても窺える。)本来賃金を失うことなく就業時間内に組合活動をすることは労働組合法七条三号との関係もあって許されないところであるから、そのことだけで直ちに確立した労使慣行となるものではなく、他に労使間を法的に拘束するような労使慣行が成立していたとは認めるに足り証拠もない。(なお、労使慣行廃絶通告中の「労使慣行」という言葉も、証人柴田国男の証言でも窺いえるように、確立した労使慣行という意味に使われているのではないと思われる。)そうすると、仮に被告が職場規律の確立等の見地から許可を得ない時間内組合活動を全面的に廃止する旨通告したとしても、そのことをとらえて不当な組合攻撃ということはできない(後略)。

東京城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6『労働判例』442号、45頁
(不許可集会の強行、欠勤、管理職等への暴行等を理由とする懲戒免職が有効とされた例)
城東局における労使関係(抜粋)-昭和四一年当時、城東局では郵便物の大幅な遅配が続き、一日三千から四千通の滞留が常態であった。吉田局長は同年七月に着任後、職場規律の乱れに対し、同年八月、城東支部三役に対し、勤務時間の厳守、不就労についてはノーワーク・ノーペイの原則で対処する、局内の麻雀は厳禁する旨通告し、右是正策を実行に移すために管理職に職員の勤務状態を点検させる等の体制を採るようになった。また、同局長は、本来当局の責任で行うべき業務運営に対し組合が不当に介入しているとして、組合の介入を排除する対策を採ることとした。まず従来城東局においては、正規の団体交渉の他に各職場において管理者とその職場の組合員の代表者との間で職場交渉といわれるものが慣行的に確立しており(中略)正規の団体交渉の決定事項の具体的運用の協議の場として機能していたが、同局長は職場交渉を認めないとし、各課長が個別に組合と話し合うのを禁止した。更に、同局長は、正規の団体交渉においても、交渉事項はいわゆる三六協定と二四協定の締結に関するものに限られるとして、それ以外の議題を制限し、交渉人員の数にも制限を加えた。(中略)同局長の前記のような措置に対して内部から不満の声が出るようになり、同年九月頃から「既得権奪還」のスローガンを掲げて吉田局長追放運動を展開、同年の年末年始の繁忙期における超勤命令拒否、物だめ闘争を経過した後、翌四二年に入ると、同支部は、春季闘争、集中処理局設置に伴う合理化反対闘争等において、同局長追放運動とからませて、業務規制闘争を行うようになった。
原告久下実の行為(抜粋)-城東支部執行委員会は昭和四二年五月二日、全逓中央本部からの指導により、当時全逓が取り組んでいた合理化反対闘争等にむけての団結を強めるため、各課単位で集会を開催することを決定し、これに基づき、郵便課、保険課等で順次集会が開催され、同月九日、集配課分会清水執行委員名義で吉田局長に対し、いずれも組合業務を目的として城東局会議室を同月十一日及び十二日の両日使用したい旨の庁舎使用許可願いを提出した。同局長は、これに対し、全逓が同月十○日の指令第三二号により、同月一七日に二時間、二四日に半日の各ストライキを決行する体制を確立すること、及び同十六日以降業務規制闘争に突入することとの闘争指令を発したため、東京郵政局の指示に従い、右指令は公共事業体等労働関係法一七条一項に違反するとして、前記許可願につきいずれも許可しないこととし、同局庶務会計課主事を通じて、清水執行委員及び原告久下に対してその旨及び理由を通知した。
このような経緯で会議室の使用が許可されなかったにもかかわらず、同日午後四時七分頃から五時十六分頃まで、同会議室において、集配課員約四〇名による職場集会が開催され、原告久下もこれに参加したが、この中で、同原告は、開会後間もなく無許可集会として解散命令を発した貝藤課長に対して抗議し、更に午後四時三六分頃、集合した集配課員に対し、「中に入ってやろう」と言って、同課長の再三にわた解散命令を無視して集会を続行した。
判断(抜粋)-国の庁舎の管理権者は、公物たる庁舎の存立を維持し公務の円滑な遂行を図るため、その庁舎につき合理的・合目的的な秩序を定立し、公務員その他の者に対してこれに服するこを求めうべく、その一環として、その物的施設に許諾された目的以外には利用してはならない旨を、一般的に規則をもって定め、又は具体的に指示・命令することができ、公務員でこれに違反する者がある場合には、その任命権者は、その者に対して懲戒処分を行うことができるものと解するのが相当であり、また公務員の労働組合又は組合員が(中略)管理権者の許諾を得ることなく組合活動のために利用すること許されないというべきである(中略)管理権者が有する権利の濫用であるという特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある公務の運営態勢を確保しうるように当該庁舎を管理利用する庁舎管理権の権限を侵し、公務の秩序を乱すものであって、正当な組合活動として許容されるところであるということはできない(最高裁五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四八頁)。
以上の見地に立って本件について検討する。(中略)前記集会が行われた行われた会議室は吉田局長の管理する庁舎の一部であり、郵便局の業務のために使用されるべきものであって、全逓の組合や、その組合員に当然には使用が許されてはいないものであると認められるところ、吉田局長が会議室の使用を許可しなかったのは、全逓が同年五月一〇日、ストライキを決行する体制を確立すること及び業務規制闘争に突入することの指令を城東支部に対して発したため、(中略)このような指令が発せられた場合において、吉田局長が城東支部に対し施設の利用を許諾することは違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと判断したことについては相当な理由があるというべきであるから、同局長が会議室の使用を許可しなかったことにつき権利の濫用であると認められる特段の事情はないというべきである。(中略)従って会議室使用の許可を得ないで開催それた同年五月一一日及び一二日の各集会は正当な組合活動として許容されるものということはできない。よって(中略)同原告の行為は、庁舎管理権者の許可なく集会に参加し、管理権者の解散命令に従わず、かつ、その集会において積極的な役割を果たした点において、国家公務員法八二条一号及び三号に該当するということができる。

全運輸近畿支部(出勤簿整理時間にくい込む職場大会)事件・最高二小判昭60・11・8『最高裁判所民事判例集』39巻7号1375頁

判決(抜粋)-本件職場大会の開催が国公法九八条二項前段の規定にいう争議行為に該当するとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。
 職員の勤務時間及びその割振は、法律及びその委任に基づく人事院規則等によつて定めることとされ、右法規に基づかないでこれを変更することは認められていないものというべきである。
 ところで、原審の認定するところによると、兵庫県陸運事務所においては、勤務時間の開始時刻である午前八時三〇分からおおむね午前九時ころまでの間出勤簿整理時間と称する取扱いがされているが、これは、出勤簿管理の必要上、官署の長が勤務時間管理員に対して発した職務命令によつて定められているものであり、右時間内に出勤簿の整理を完了することを命ずると共に、右時間内に出勤して出勤簿に押印した職員については勤務時間の開始時刻までに出勤したものとして取り扱うこととされていたというのである。
 上告人らは、右の出勤簿整理時間の設定によつて職員に対し右時間について職務に従事する義務が免除されたものである旨を主張するのであるが、もし右出勤簿整理時間の設定がその時間中の職務に従事する義務を免除するものであるとすれば、それは勤務時間を短縮し、その割振を変更するものにほかならないところ、法規に基づかないで勤務時間を短縮し、その割振を変更することが許されないものであることは前記のとおりであるから、出勤簿整理時間の設定が、勤務時間を短縮し、出勤簿整理時間中の職務に従事する義務を免除したものと解することはできないものというべきである。
 また、上告人らは、右出勤簿整理時間の設定及びその実施により、職員に対し右時間中の職務に従事する義務を免除するという内容の慣行が成立している旨を主張するのであるが、右のような内容は職員の勤務時間及びその割振を定めた前記規定に抵触することが明らかであるから、前記のような取扱いが相当期間継続して行われて来たものであるとしても、出勤簿整理時間中の職務に従事する義務を免除するという内容の慣行が成立する余地はないものといわなければならない。
 本件職場大会における上告人らの行為が国公法九八条二項後段に規定する「そそのかし」又は「あおり」に該当するとした原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はなく、所論引用の各判例に抵触するところもない。
 上告人Aが年次休暇の承認を受けたことにより本件職場大会当日の職務に従事する義務を免除されていたとしても、そのことによつて同上告人につき国公法九八条二項後段の規定する「そそのかし」又は「あおり」の責任を問い得なくなるわけのものではない‥‥。http://courtdomino2.courts.go.jp/roudou.nsf/Listview01/53C92EBC7F6DCC3C49256A57005AF09A/?OpenDocument
 
 本件ストライキの事実は概ね次のとおりである(第一審より抜粋、若干構成を変えて引用-民集39巻7号より)。
 全運輸は運輸省の港湾建設局と港湾・航海関係の附属機関を除き、管理職員を除く職員の大多数をもって組織され、本件ストライキ当時の組合員の総数は約7570名である。全運輸は、昭和四四年八月三一日から九月二日の定期大会で、人事院勧告の内容、実施時期をめぐる諸般の情勢から、秋の賃金確定期に向けて実力行使をもって闘う必要があるとして、国公共闘・公務員共闘連絡会議(以下国公共闘)の配置する統一行動に積極的に参加して闘う方針をとった。全運輸は運輸省当局に対し九月十九日に統一賃金要求事項を内容とする「要求書」を提出し、政府が右要求を入れないときは、二○○万公務員労働者とともに十一月一三日早朝から勤務時間に二九分くい込む実力行使を行う旨の闘争宣言を発した。なお全運輸が当局に対し、勤務時間にくい込む旨通告したうえ、勤務時間内に職場大会を催して争議行為を実施したのは、今回が初めてであった。
  近畿支部及び傘下各分会は、本件ストライキの闘争体制を固めるため、一○月二○日から二五日にかけてストライキに関する参加決意表明のための一票投票を行い、組合員の75・2%が賛成意思を表したとされる。同月七日から三一日にかけて近畿支部及び各分会から被告局長外それぞれの陸運事務所長に統一賃金要求などの要求書を提出する一方、組合員に対し十一・一三の実力行使への参加決意署名(内容は「私は左記の国公統一賃金要求をかちとるため一一・一三統一行動日に全運輸指令に基づいて『早朝から勤務時間にくい込む職場大会』に参加します」と記載)を分会毎に一斉に実施した。
 一○月二三日総理府総務長官は、国公共闘議長に対し警告を発するとともにともに談話を発表して公務員の自覚と反省を促し、違法な行動のないよう自重をもとめた。
 一一月八日から一〇日にかけて被告局長、総務部長及び各陸運事務所長は、近畿支部長及び各分会長に対し、文書による警告を発し、違法な職場集会を行うことのないよう自重を求めた(内容は「伝えるところによれば、貴組合においては来たる11月13日勤務時間内職場大会を計画している模様であるが、いうまでもなく国家公務員は、かかる争議行為は法令によって禁止されているところであります。当局は貴組合がもし伝えられているような違法行為を行った場合には、関係法令に基づいて適切な措置をとらざるを得ないので、貴組合の自重を強く要望します。」と記載)。又、同月八日から一一日にかけて各職員に対し、六日付運輸政務次官名による警告書(「職員のみなさんへ」と題する)を交付し、違法な職場大会に参加することとのないよう自重を求めるとともに警告した。
 一一月一一日政府は「俸給表などは人事院勧告の内容のままとし、実施時期については6月とするが夏期一時金のはね返り抜き」と閣議決定した。国公共闘は政府の不当な態度に抗議するなどの声明を発し、一一・一三統一行動を既定方針どおり実施することを決定した。一二日近畿支部執行部は、常任中央闘争委員会から「ボーナス抜六月実施の閣議決定に断固反対し、一一・一三は早朝くい込み職大の実力行使を実施せよ。ただしくい込み時間については追って電話にて指令する」との電報による指令を受け、同夜半、本局分会はくい込み一五分、その他の分会はくい込み二○分とすね電話指令を受け、傘下分会に伝達した。
(処分理由たる原告らの所為)
 原告祐成宏治
原告祐成は、本件ストライキ当時全運輸近畿支部和歌山分会分会長の地位にあったところ、右分会が昭和四四年一一月一三日和歌山県陸運事務所宿直室前の中庭において、給与に関する人事院勧告の完全実施の要求貫徹を目的として行った勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中、午前八時三○分から同四五分までの一五分にわたり職務を放棄し、その際分会長として「あいさつ」を行い主たる役割を果たした。(なお、赤居和歌山陸運事務長は、午前八時四○分頃、分会長である原告祐成を呼び、右大会が勤務時間にくい込んでおり、許可の場所で行われているので、解散するよう命令している。組合の主張でき原告の「あいさつ」は一~二分であったとされる。)
 原告川上豊
 原告川上は、本件ストライキ当時全運輸近畿支部奈良分会分会長の分会長の地位にあったところ、右分会が右同日奈良県陸運事務所宿直室において、右要求貫徹を目的として行った勤務時間にくい込む職場大会に就業命令を無視して参加し、このため当日の勤務時間中午前八時三○分から同五○分までの約二○分間にわたり職務を放棄し、その際分会長として「所長交渉の経過報告」を行い主たる役割を果たした。(なお、裁判所の認定は原告は激励のメッセージと電報を朗読したのみとする。牟礼輸送課長は、午前八時四○分頃、原告川上をはじめとする大会参加者に対し、勤務時間内における無許可集会であるから解散するよう口頭で命じた。組合側の主張では、牟礼輸送課長が入ってきて、ほんの一、二秒の間、「川上君この集会は違法だからやめてください」と述べてにこっと笑って出て行った事実であるとし、牟礼課長の右行為は、前日の分会との交渉において、所長が上局から三、四回位警告せよといわれているものを一回にとどめるという、分会との話し合いのとおり行われたものであり、なんら強い積極的なものではなく、形式的に格好をつけただけだとしている。)
 原告北谷信也
 原告北橋は、本件ストライキ当時全運輸近畿支部兵庫分会分会長の地位にあったところ、右分会が右同日兵庫県陸運事務所庁舎玄関前横において、右要求貫徹を目的として行った勤務時間にくい込む職場大会に参加し、このため、当日の勤務時間中午前八時三○分から同四二分までの一二分間にわたり職務を放棄し、その際分会長として「あいさつ及び職場大会の意義」について演説を行い主たる役割を果たした。(尾仲総務課長は、あいさつをおこなっていた分会長に近づき八時二十五分頃「この大会は無許可であるからすぐ解散せよ」と命令、同三十六分にも「時間内にくい込む集会は違法だからすぐ解散しなさい」と命令、さらに四○分頃自らがプラカードを持って、分会員内を歩きまわった)以下数名の原告については略す。

[参考]第一審大阪地判昭54・8・30判決(抜粋)民集39巻7号1408頁
 本件職場大会は、「賃上げは五月から実施すること」などのの統一賃金要求を貫徹するために、勤務時間において、公務員として負担する職務専念義務に違反し、労働供給巳義務の提供を拒否したものということができ、右のような態様における職務専念義務の違反行為、労働供給巳義務の提供拒否行為(同盟罷業)は、それ自ことは体必然的に業務の正常な運営を阻害する行為ということができるから、現に業務の正常な運営を阻害したかどうかを問うまでもなく、国公法九八条二項所定の争議行為に該当するべきというべきであり、単なる団体活動・組合活動であるという原告らの主張は何ら根拠がないといわなければならない。
  原告らは、国公法九八条二項所定の争議行為は、長時間かつ大規模な職場放棄を行ったため、右業務に大混乱を生ずる場合である旨主張するのであるが、公務員の行う争議行為である限り、同法条項に規定する争議行為に該当し、その規模、状況等によって区別すべき理由はないことは明らかである(最高裁昭和四八年四月二五日判決参照)よって、原告らの右主張は理由がない。又、原告らは、本件職場大会の目的が正当であり、本件職場大会が整然と行われたものであり、以前にも本件職場大会と同様の大会で、勤務時間内くい込み時間が右大会より長い職場集会集会回が行われていたことをもって、本件職場集会が国公法九八条二項所定の争議行為に該当しない旨、主張するかのごとくであるが、右事情は本件職場大会参加者に対する処分を科するかの情状として考慮されこそすれ、右争議行為該当性の判断については右事情の存否によって左右されるものではないこと前記説示により明らかである。
 次に、原告らの行為が国公法九八条二項所定の」「あおり」「そそのかし」行為に該当するかどうかについて考察する。国公法九八条二項所定の「あおり」「そそのかし」とは、国公法九八条に定める違法行為を実行させる目的をもって、他人に対し、その行為をなさしめるよう仕向ける行為を総称し、必ずしもこれによって現実に相手方が影響を受けること及び業務の正常な運営を阻害する行為が行われることを要しないものと解すべきである。
 そこで右のような考え方にたって原告らの行為が「あおり」「そそのかし」行為に該当するか判断するに、前記認定、説示のごとく、本件職場集会職場大会は、給与に関する人事院勧告の完全実施などの要求貫徹を目的として行われた国公法九八条二項に違反する違法な大会であるところ、同大会参加者はいずれも右大会の目的右目的貫徹のために勤務時間(出勤簿整理時間)にくい込んで右大会を行うものである旨の意思を確認したうえで右大会に参加しているのであり、又、原告らは近畿支部及び分会において同支部の指導者或いはこれに準ずる地位を有し、右地位にあるものとして右各行為をなしていること、さらには、原告らの各右行為が右大会遂行のうえで積極的な意義を有するものといえることからすると、本件職場大会において、原告祐成が分会長として挨拶した行為、原告川上が分会長としてメッセージと祝電をを朗読した行為、原告北谷があいさつと職場大会の意義について演説した行為、原告中橋が副分会長として所長交渉の経過について演説し、決議文の朗読をした行為、原告供田が分会長として団結がんばろう三唱の音頭をとった行為、原告上原が分会長としてあいさつした行為、原告二瓶が支部長としてあいさつをし、人事院勧告に対する閣議決定の不当性を説明した行為は、いずれも国公法九八条二項後段所定の争議行為の「あおり」「そそのかし」行為に該当するものということができる。
  なお、原告中橋、同供田、同二瓶を除くその余の原告らの本件職場大会におけるあいさつ等の行為は、午前八時三〇分以前に行われたのであるから、右行為には違法性はない主張するかのごとくであるので、附言するに、前記説示のように本件職場大会は違法なものであるから、原告らの右行為が本件職場大会における一行為として行われたものである限り、それが行われた時期如何によって違法性の有無が左右されるものではない。
原告らは、本件職場大会における原告らの行為は、労働組合の団体行動であるから、右行為について個人責任或いは幹部責任を問うことができないと主張する。
しかしながら、集団的労働関係の場である争議行為においても個別的労働関係が解消するものではないから、当該違法争議行為である組合員の行為を個人的行為の側面ととらえたうえで、そのことを理由に組合員に対し、個別的労働関係上の責任である懲戒責任を追及できるというべきである。
  原告らは本件職場大会における原告らの行為はいずれも組合中央からの、方針、指令に従い、組合員としての当然の義務を果たしたにすぎないから、原告らを特に選択して懲戒処分に付する合理的なりゆうがないとも主張するが、既に説示したごとく本件職場大会は国公法に違反する違法な争議行為であるから、仮に組合の指令があったとしても、それは国公法に優先すねべきものではないこと当然というべきであり、右指令に従ったことをもって違法な争議行為に参加したなどの原告らの行為を何ら正当化するものではないし、前記のような役割を果たした原告らが他の組合員と区別して本件各処分わ受けるものであっても、何ら不合理なものということはできない。
  原告らは、本件職場集会の目的が正当であり、態様も業務阻害がなかったから、右大会の違法性が軽微であり、懲戒処分の対象となし得ないものであると主張する。当裁判所も国家公務員が人事院勧告の完全実施を求め要求活動をすることは理解できない訳ではない。
  しかしながら、仮に、原告らの主張のごとく本件職場大会の目的が正当であると評価を受け得るものであっても、その実現のために国公法の禁止する争議行為に訴えて要求を貫徹せしめようとすることは許されるものではなく、又、現に業務阻害を生じることがなかったとしても、広く国民に窓口を開いた陸運局、陸運事務所の有する公共性と保安要員として一人を残した以外は全員が職場から離脱したものであること。さらに本件職場大会に先立ち、又、大会中においても当局が再三にわたり、警告、就業命令及び解散命令を発しているにもかかわらず、これらを無視してあえて強行・続行されたことは、本件職場大会の違法性が決して軽微なものではないといえるのである。

北九州交通局労働組合(超過勤務拒否闘争)事件・最一小判昭63・12・8『最高裁判所民事判例集』42巻10号』
http://courtdomino2.courts.go.jp/roudou.nsf/Listview01/A55B416150BF572849256A57005AF171/?OpenDocument
 (ほぼ全文の引用)
        主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告参加代理人石井将、同谷川宮太郎、同市川俊司の上告理由第一点について
 論旨は、地方公営企業職員につき争議行為を禁止した地方公営企業労働関係法(以下「地公労法」という。)一一条一項の規定は憲法二八条に違反しないとした原判決は、憲法二八条の解釈適用を誤つたものである、というのである。
 地公労法は、現業地方公務員たる地方公営企業職員の労働関係について定めたものであるが、同法一一条一項は、「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない。」と規定し、これを受けて同法一二条は、地方公共団体は右規定に違反する行為をした職員を解雇することができる旨規定し、また、同法四条は、争議行為による損害賠償責任の免責について定めた労働組合法八条の規定の適用を除外している。しかし、地公労法一一条一項に違反して争議行為をした者に対する特別の罰則は設けられていない。同法におけるこのような争議行為禁止に関する規定の内容は、現業国家公務員たる国の経営する企業に勤務する職員(以下「国営企業職員」という。)及び公共企業体職員の労働関係について定めた公共企業体等労働関係法(昭和六一年法律第九三号による改正前のもの。以下「公労法」という。)におけるそれと同一である。
 ところで、国営企業職員及び公共企業体職員につき争議行為を禁止した公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであるが(昭和四四年(あ)第二五七一号同五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁、名古屋中郵事件判決)、この名古屋中郵事件判決が右合憲の根拠として、国営企業職員の場合について挙げている事由は、(1) 公務員である右職員の勤務条件は、国民全体の意思を代表する国会において、政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮を経たうえで、法律、予算の形で決定すべきものとされていて、労使間の自由な団体交渉に基づく合意によつて決定すべきものとはされていないこと、(2) 国営企業の事業は、利潤の追求を本来の目的とするものではなくて国の公共的な政策を遂行するものであり、かつ、その労使関係には市場の抑制力が欠如しているため、争議権は適正な勤務条件を決定する機能を十分に果たすことができないこと、(3) 国営企業職員は実質的に国民全体に対してその労務提供の義務を負うものであり、その争議行為による業務の停廃は国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすか、又はそのおそれがあること、(4) 争議行為を禁止したことの代償措置として、法律による身分保障、公共企業体等労働委員会による仲裁の制度など相応の措置が設けられていること、の四点に要約することができる。
 そこで、名古屋中郵事件判決が右合憲の根拠として挙げた各事由が地方公営企業職員の場合にも妥当するか否かを検討する。
 地方公営企業職員も一般職の地方公務員に属する者であるが、一般職の地方公務員の勤務条件は、国家公務員の場合と同様、政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により、国民全体の意思を代表する国会が定める法律及び住民の意思を代表する地方議会が定める条例、予算の形で決定されるべきものとされているのであつて、そこには、私企業におけるような団体交渉による決定という方式は当然には妥当しないというべきである(最高裁昭和四四年(あ)第一二七五号同五一年五月二一日大法廷判決・刑集三〇巻五号一一七八頁(岩手県教組事件判決)参照)。そして、このような一般職の地方公務員の勤務条件決定の法理について、地方公営企業職員の場合にのみ別異に解すべき理由はない。現行法規上、地方公営企業職員の勤務条件の決定に関しては、当局と職員との団体交渉を経てその具体的内容の一部が定められることが予定されており(地公労法七条)、しかも、条例あるいは規則その他の規程に抵触する内容の労働協約等の協定にもある程度の法的な効力ないし意義をもたせている(同法八条、九条)などの点において、団体交渉が機能する余地を比較的広く認めているが、これは、憲法二八条の趣旨をできるだけ尊重し、また、地方公営企業の経営に企業的経営原理を取り入れようとする立法政策から出たものであつて、もとより法律及び条例、予算による制約を免れるものではなく、右に述べた一般職の地方公務員全般について妥当する勤務条件決定の法理自体を変容させるものではない。
 次に、地方公営企業の事業についても、その本来の目的は、利潤の追及ではなく公共の福祉の増進にあり(地方公営企業法(以下「地公企法」という。)三条)、かつ、その労使関係には市場の抑制力が働かないため、争議権が適正な勤務条件を決定する機能を十分に果たすことができないことは、国営企業の事業の場合と同様である。
 また、地方公営企業職員が実質的に住民全体に対しその労務提供の義務を負つており、右職員が争議行為に及んだ場合の業務の停廃が住民全体ひいては国民全体の共同利益に少なからぬ影響を及ぼすか、又はそのおそれがあることも、国営企業職員の場合と基本的には同様である。もつとも、地公労法の適用される地方公営企業は、法律上具体的に列挙されているものに限定されず(地公労法三条一項)、その種類、内容、規模等には、種々のものが含まれうるが、その事業は、あくまでもその本来の目的である公共の福祉を増進するものとして、公益的見地から住民ないし国民の生活にとつて必要性の高い業務を遂行するものであるから、その業務が停廃した場合の住民ないし国民の生活への影響には軽視し難いものがあるといわなければならない。
 更に、争議行為を禁止したことの代償措置についてみるに、地方公営企業職員は、一般職の地方公務員として、法律によつて身分の保障を受け、その給与については、生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないとされている(地公企法三八条三項)。そして、職員と当局との間の紛争については、国営企業職員及び公共企業体職員についての公共企業体等労働委員会(現国営企業労働委員会)のような特別の紛争処理機関は設置されていないものの、労働委員会によるあつ旋、調停、仲裁の途を開いたうえ、一般の私企業の場合にはない強制調停(地公労法一四条三号ないし五号)、強制仲裁(同法一五条三号ないし五号)の制度を設けており、仲裁裁定については、当事者に服従義務を、地方公共団体の長に実施努力義務を負わせ(同法一六条一項本文)、予算上資金上不可能な支出を内容とする仲裁裁定及び条例に抵触する内容の仲裁裁定は、その最終的な取扱いにつき議会の意思を問うこととし(同法一六条一項ただし書、一〇条、一六条二項、八条)、規則その他の規程に抵触する内容の仲裁裁定がなされた場合は、規則その他の規程の必要な改廃のための措置をとることとしているのである(同法一六条二項、九条)。これらは、地方公営企業職員につき争議行為を禁止したことの代償措置として不十分なものとはいえない。
 以上によれば、名古屋中郵事件判決が公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反しないことの根拠として国営企業職員の場合について挙げた各事由は、地方公営企業職員の場合にも基本的にはすべて妥当するというべきであるから、地公労法一一条一項の規定は、右判決の趣旨に徴して憲法二八条に違反しないことに帰着する。論旨は、ひつきよう、名古屋中郵事件判決の立場とは異なる独自の見解を前提として原判決を論難するものであつて、採用することができない。
 同第二点について
 論旨は、上告参加人の労働基準法三六条所定の協定(以下「三六協定」という。)締結、更新の拒否による本件超勤拒否闘争が地公労法一一条一項の禁止する争議行為に当たるとした原判決は、法令の解釈適用を誤り、かつ、判例違反を犯すものである、というのである。
 原審の適法に確定した事実関係は、(1) 上告参加人は、被上告人の提示する本件財政再建計画の実施を阻止するため、昭和四二年六月一〇日ころ、組合員の投票によつてストライキを行うことを決定し、これを受けて、上告参加人の戦術委員会は、同月二一日から二三日まで超勤拒否闘争を、同月二七日から同年七月一日まで超勤拒否闘争及び安全点検闘争を、同年七月三日に超勤拒否闘争及び一斉休暇闘争を行うことを決定した、(2) 被上告人経営のバスの運行ダイヤは、労使の委員によつて構成されるダイヤ編成審議会の議を経て定められていたが、当時の公示ダイヤは、上告参加人の同意のもとに一日九勤務が時間外勤務ダイヤとして編成されており、被上告人の交通局においては、このダイヤを実施するために超過勤務が恒常化していて、超過勤務拒否があれば、平常のダイヤ運行に支障を来す状況にあつた、(3) 右運行ダイヤを実施するため、被上告人と上告参加人との間において従来から三六協定が締結、更新されてきたが、上告参加人は、本件財政再建計画についての労使の交渉が難航することが予想されるようになつた同年四月ころから、同協定を一日ないし数日の期間を定めて締結、更新しつつ事態の推移をみていたところ、同年六月一五日本件財政再建計画案が市議会に上程されるや、前記戦術委員会の決定どおり超勤拒否闘争を行うこととし、バスの正常な運行のための同協定の締結、更新方の当局の要望を拒否して、右決定に係る期間各部門において組合員に時間外勤務を拒否させた、というのである。
 これによれば、被上告人の交通局においては、従来から上告参加人同意のもとに三六協定の締結、更新を前提とした超過勤務が平常勤務として組み入れられてきたところ、上告参加人は、当該超過勤務自体に関する勤務条件については格別の要求を有していた事情は認められないのに、本件財政再建計画の実施阻止という要求を貫徹するための手段として、三六協定の締結、更新を拒否し、組合員に時間外勤務を拒否させて本件超勤拒否闘争を実施したということになるから、右超勤拒否闘争は、地公労法一一条一項の禁止する争議行為に当たるものといわなければならない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。また、所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

          

済生会中央病院事件・最二小判平元・12・11『労働判例』552号10頁
(職場集会への警告・通知書の交付が不当労働行為にはあたらないとされた例)

http://courtdomino2.courts.go.jp/roudou.nsf/Listview01/2F6D5A445175F04049256A57005AF15E/?OpenDocument
(一) 昭和五〇年四月五日の警告
(1) 病院は、従来から、急患室勤務の看護婦不足を補うため、毎月二五日頃翌月の勤務表を作成し、これに基づく急患室勤務を外来看護婦に割り当てていた。この勤務表は、事前の申し出がない限り、外来看護婦の同意を得ることなく病院が一方的に作成し、外来看護婦はおおむねその勤務に服していた。(2) 昭和五〇年三月頃から病院の看護婦不足が甚だしくなったため、同月二七日になってようやく作成された四月分の勤務表には、従来なかった深夜勤(午後一一時から翌日午前八時まで)が導入され、また夜勤(午後四時から午後一一時まで)の回数も増加されていた。外来看護婦の通常の勤務は午前八時から午後四時までであるから、外来看護婦が深夜勤の後に通常の勤務をすると、午後一一時から翌日午後四時までの過重な勤務となった。(3) そこで、支部組合は、三月二八日午後三時三〇分頃から、右勤務表について協議するため外来看護婦ら二十余名を元空腹時血糖室に集めて職場集会を開いた。(4) 病院は、四月一日支部組合との間で労働協議会を開催し、外来看護婦の急患室勤務は事前に申し出れば勤務しないことができるものであることを確認したが、支部組合は、右勤務表に基づく急患室勤務を拒否した。(5) 次いで、支部組合は、病院が病棟看護婦に急患室勤務をさせる動きを示したこともあって、同月二日及び三日午後三時四〇分から右元空腹時血糖室でこれまでの経過を報告するとともにその後の対策を協議するため、外来看護婦らを集めて職場集会(以下「本件職場集会(一)」という。)を開いた。(6) そして、支部組合は、同月三日病院に対し三交替勤務に必要な急患室勤務の看護婦の増員を要求した。(7) 病院は、同月五日支部組合に対し本件職場集会(一)につき「このような集会を勤務時間中に行うことは、労働協約第九条並びに就業規則第二三条、第二四条に違反する不当な行為であります。……今後かかる行為を絶対に繰返さないようここに厳重に警告しておくとともに責任追求の権限を留保しておく。」という「警告並びに通告書」を交付した。(8) 支部組合が本件職場集会(一)をいずれも労働時間中である午後三時四〇分から開催したのは、外来看護婦は、午前中の診療が正午までに終わらないため、現実には通常の昼休み(正午から午後一時まで)をとることができず、休憩時間をとることができるのは午後の診療が一段落した三時過ぎであったこと及び外来看護婦のなかには終業後保育所に幼児を引き取りに行かなければならない者がいたことを考慮したためである。そして、本件職場集会(一)に参加した者は、いずれもその時間に差し迫った業務のない者であり、集会中業務に就く必要が生じた者は中座して業務に就いている。また、本件職場集会(一)の場所を元空腹時血糖室に選んだのも、ここが急患室の隣りであって、必要が生ずれば直ちにこれに対応することができるという配慮からであった。なお、支部組合が本件職場集会(一)を開くに当たって病院に届け出たり許可を得たことはないが、従来この時間帯に届出も許可もないまま職場集会を開催しても、病院から警告、注意等を受けたことはなかった。
(二) 昭和五〇年五月一〇日の警告
(1) 支部組合は、昭和五〇年三月三日病院に対し四月一日から基本給の二五パーセントに一律一万円を加えた賃上げ等を要求し、同月二〇日までにその回答を求めた。病院は同月二四日支部組合と団体交渉をしたが、その際、支部組合に対し、最初にして最後の回答と表現して、平均一万一二六八円(一〇・四一パーセント)の賃金を引き上げることを提示した。(2) 支部組合は同月三〇日の団体交渉においてこれを拒否したところ、病院は、五月六日の団体交渉において、支部組合が争議行為をしないことを条件として、二〇〇〇円の上積み及び看護婦の夜勤手当の増額を認める案を提示した。支部組合は、これを拒否するとともに、病院に対し同日午後六時から時間外勤務、宿日直拒否闘争に入ることを通知した。そこで、病院は、上積み回答を撤回し、同月七日全従業員に「労務情報」を配布し、「平和的解決の条件拒否さる。」という見出しのもとに右の経過を公表した。(3) 支部組合は同月八日病院と再度団体交渉をしたが、六日の案以上の案は出ず、交渉は進捗しなかった。しかして、支部組合は、翌九日に予定していたストライキを回避して交渉を続け、同月二八日、六日の賃上案を受け容れた。(4) この間、支部組合は、同月六日、七日及び九日の一二時三〇分から病院内のテニス・コートを使用して職場集会(以下「本件職場集会(二)」という。)を開いたが、六日は二九分、七日は一一分、九日は五分、午後一時からの労働時間に食い込んだ。そこで、病院は、同月一〇日、支部組合に対し、「……業務を放棄し、……多数の組合員を対象に……集会を行ったことは、労働協約第九条並びに就業規則第二三条、第二四条に違反する不当な行為である。この件については、四月五日……病院見解を明らかにしたように責任追求の権限を留保する。かかる行為を今後も繰返し行った場合は、病院として重大な決意をもって臨むことをここに正式に通告しておく。」という「警告並びに通告書」を交付した。(5) 本件職場集会(二)には、病棟看護婦のうち業務のある者、外来看護婦等で業務に支障のある者は出席せず、また集会中でも業務上必要のある者は自由に退出していた。そして、支部組合が本件職場集会(二)をすることについて病院に届け出たり許可を得たことはなかったが、従来労働時間に若干食い込む職場集会が昼休みに開かれたことはあっても、病院がこれについて警告、注意をしたことはなかった。
二 右事実関係の下において、原審は、次のとおり判断し、上告人の請求を棄却した第一審判決は相当であるとして、控訴を棄却した。
 1 労働者ないし労働組合は、使用者の許諾なくして職場集会のためその施設を利用することができるものではなく、また、労働時間中当然に職場集会をすることができるものでもない。したがって、使用者は、権利の濫用と認められる特段の事情のない限り、そのような集会の中止を求めることができる。
 2 しかし、本件職場集会(一)、(二)は、いずれもその時期にこれを開催する必要性が認められること、本件職場集会(二)によって病院の業務に直ちに支障が生ずるものではないこと、本件職場集会(一)、(二)は事実上の休憩時間にされたか昼休みに終了しないため若干労働時間に食い込んだにすぎないこと、本件職場集会(一)、(二)の参加者は業務に支障のない者であり、参加した者も途中業務に支障が生ずれば自由に退出するなどしていたこと、病院は、従来このような態様でされた職場集会について何ら注意をしたことがないこと等に照らすと、本件の場合、権利の濫用と認められる特段の事情があるから、本件職場集会(一)、(二)を違法なものということはできない。
 3 そうすると、本件警告をもって支部組合及び全済労に対する支配介入であるとした被上告人の認定判断に違法なところはない。
 三 しかしながら、原審の右判断は、是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 一般に、労働者は、労働契約の本旨に従って、その労務を提供するためにその労働時間を用い、その労務にのみ従事しなければならない。したがって、労働組合又はその組合員が労働時間中にした組合活動は、原則として、正当なものということはできない。また、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動に当たらない。そして、もとより、労働組合にとって利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用し得る権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うと解すべき理由はない(最高裁昭和四九年(オ)第一一八八号同五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四七頁)。
 これを本件についてみるに、本件職場集会(一)、(二)は、労働時間中に、病院の管理する物的施設(元空腹時血糖室、テニス・コート)を利用して開かれたものである。しかして、従来、病院が本件のような職場集会について何ら注意をしたことがなかったとしても、それをもって直ちに病院が労働時間中に病院の管理する物的施設を利用して職場集会を開くことにつき黙示の許諾をしていたということはできないし、病院がそのような職場集会を開くことについて反省を求めることの妨げとなるものでもない。また、右の権利の濫用であると認められるような特段の事情があるかどうかの判断に際し、病院の管理する物的施設を利用して職場集会を開く必要性を強調することができないことはさきに説示したところから明らかである。同様に、労働時間中に職場集会を開く必要性を重視して、それが許されるとすることができないことも、前記説示に照らし当然である。なお、支部組合が本件職場集会(一)を開催したのが外来看護婦が通常の昼休みをとることができない傾向にあったためであるとしても、そのことが支部組合として午後三時四〇分から本件職場集会(一)を適法に開くことができる根拠となるものでもない。以上によれば、本件職場集会(一)、(二)の開催につき病院の明示又は黙示の許諾があるとも、また、その開催を許さないことが病院の権利の濫用であると認められるような特段の事情があるとも解されないのであって、結局、病院が本件職場集会(一)、(二)に対して本件警告書を交付したとしても、それは、ひっきょう支部組合又はその組合員の労働契約上の義務に反し、企業秩序を乱す行為の是正を求めるものにすぎないから、病院(上告人)の行為が不当労働行為に該当する余地はないというべきである。したがって、東京都地方労働委員会の昭和五二年三月一日付初審命令(都労委昭和五〇年(不)第六一号事件初審命令)の主文第1項のうち昭和五〇年四月五日付「警告並びに通告書」及び同年五月一〇日付「警告並びに通告書」のうち集会にかかるもの(一通)並びに主文第4項(1)のうち同年四月五日付「警告並びに通告書」及び同年五月一〇日付「警告並びに通告書」のうち集会にかかるもの(一通)について、これを維持した被上告人の昭和五四年一二月五日付再審査申立棄却命令(中労委昭和五二年(不再)第二五号事件再審査命令)の該当部分の取消しを求める上告人の請求は理由があるから、これを認容すべきである。原判決及び第一審判決が本件職場集会(一)、(二)に対する警告が不当労働行為に該当するとしたのは、法七条三号の解釈適用を誤ったものであり、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであって、この点をいう論旨は理由がある。よって、右部分につき、原判決を破棄し、第一審判決を取り消し、上告人の請求を認容することとする。

オリエンタルモーター事件・最二小判平7・9・8『労働判例』679号
(会社食堂の使用拒否が不当労働行為にあたらないとされた例)
労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると特段の事情のある場合を除いては、当該企業施設を管理運用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動には当たらない(最高裁五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四七頁)。もとより、使用者が労働組合による企業施設利用を拒否する行為を通じて労働組合の弱体化を図ろうとする場合に不当労働行為が成立し得ることはいうまでもないが、右に説示したとおり、使用者が組合集会等のための企業施設を利用を労働組合又はその組合員に許諾するかどうかは、原則として使用者の自由な判断に委ねられており、使用者がその使用を受忍しなければならない義務を負うものではないから、右の権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、使用者が利用を許諾しないからといって、直ちに団結権を侵害し、不当労働行為を構成するということはできない。(中略)これを本件について考えてみると、組合結成通知を受けてからK守衛事件まで約九箇月にわたり、上告人は、許可願いの提出があれば業務に支障のない限り食堂の使用の許可をしていたというのであるが、そのことから直ちに上告人が組合に対し食堂の使用につき包括的に許諾をえていたということはできず、その取り扱いを変更することが許されなくなるものでもない。(中略)また、上告人は組合に対し使用を拒む正当な理由がない限り食堂を利用させることとし、外部者の入場は制限すべきではないなどとする組合側からの提案も、上告人の施設管理権を過少に評価し、あたかも組合に食堂の利用権限があることを前提とするかのような提案であって、組合による無許可使用の繰り返しの事実を併せ考えるならば、上告人の施設管理権を無視した要求と上告人 が受けとめたことは無理からぬところである。(中略)本件で問題となっている施設が食堂であって、組合がそれを使用することによる上告人の業務上の支障が一般的には大きいといえないこと。組合事務所を認められていないことから食堂の使用を認められないと企業内での組合活動が困難となること。上告人が労働委員会の勧告を拒否したことの事情を考慮してもなお、条件が折り合わないまま、上告人が組合又はその組合員に食堂の使用を許諾しない状況が続いていることをもって、上告人の権利の濫用であると認められるべき特段の事情があるとはいえず、上告人の食堂使用拒否が不当労働行為に当たるということはできない。

2 ビラ配りにつき組合活動として是認した判例

倉田学園事件・最三小判平6・12・20『労働判例』669号13頁
判断(抜粋)本件ビラ配布は、許可を得ないで被上告人の(学校)内で行われたものであるから形式的には就業規則(略)の禁止事項に該当する。しかしながら、右規定は非上告人の学校内の職場規律の維持及び生徒に対する教育的配慮を目的としたものと解されるから、ビラの配布が形式的にはこれに違反するように見える場合でも、ビラの内容、ビラの配布の態様に照らして、その配布が学校内の職場規律を乱すおそれがなく、また、生徒に対する教育的配慮に欠けることとなるおそれのない特別の事情が認められるときは、実質的には右規程の違反になるとはいえず、したがって、これを理由として就業規則所定の懲戒処分をすることは許されないというべきである(最高裁昭和四七年(オ)第七七七号同五二年一二月一三日第三小法廷判決・民集三一巻七号九七四頁参照)。
 右の見地に立って本件ビラ配布について検討すると、本件ビラはいずれも職場ニュースと題する上告参加人の機関紙であるところ、本件各ビラの内容は、香川県下の私立高校における労使間の賃金交渉の妥結額(五月八日配布のもの)、被上告人との間で予定されていた団体交渉の議題(同月九日配布のもの)、右団体交渉の結果(同月一六日配布のもの)など、上告参加人との労働組合としての日ごろの活動状況の報告及びこれに関連する事項であって、違法・不当な行為をあおり又はそそのかすなどの内容を含むものではない。また本件ビラ配布は、丸亀校の職員室内で行われたものであるが、いずれも就業時間前に、ビラを二つ折にして(特に五月八日及び一六日配布の片面印刷のものは、印刷面を内側にして)教員の机の上に置くという方法でなされたものであって、本件ビラ配布によって業務に支障を来したことを窺わせる事情はない。また、生徒に対する教育的配慮という観点からすれば(中略)始業時刻より十五分以
上も前の、通常生徒が職員室に入室する頻度の少ない時間帯に行われたものであって、前記の教育的に欠けることのおそれのない特別の事情が認められるものということができ、本件懲戒処分は、懲戒事由を定める就業規則上の根拠を欠く違法な懲戒処分というべきである。

未完成原稿の公開シリーズその1 2000年11月~2001年7月組合活動の記録

人生に残された時間は少ない、作文もしなければなせらないが、パソコンは最初のがクラッシュしたが、復元できたデータもある。いろいろな原稿や記録があるので逐次、個人名を削除して公開するシリーズ

2000年11月-2001年7月組合活動の記録(東京都水道局のある営業所の例)これ以外にもたくさんあるが、家に帰ってパソコンに記録をとっていた部分だけ

11月2日オルグ ビラ
11月6日8時50分 組合会議
11月7日8時50分所長交渉 ビラ スト権投票94パーセント
11月8日ビラ 8時50分から、Sが所長に尻を向け赤腕章をして書記長会議報告
動員強化、座り込み闘争に言及。ビラの内容は55歳定期昇給について ふいごまつり
11月9日 SとHが明日ビラ貼りについて協議 便所の向こう側にビラ、4時過ぎ頃Kが徘徊し自己申告書と面接の注意についてビラ配る。組合は一斉にまとめて提出するという。13日14日のソフトボール強要
11月10日ビラ貼り
11月13日 ビラ貼り 8時50分頃Kが所長要請行動のため集まってくださいと指示。但し、集まったのは役員のほか一人。
11月14日 ビラ貼り
11月15日配水ビラ貼り
11月16日K8時45分頃から30分間書記長報告 葛飾統合と徴収オンライン読み上げ アジ演説調 10時半頃 外で待機するのが慣例とKともう一人。所長より通常勤務を希望するか訪ねられる。
11月17日 ビラはり、Kが司会Sが演説20分くらい。Kは闘争への協力 云々 三時より所長要請行動。
11月21日Hが司会I報告 H闘争への協力と所長要請行動
11月24日ビラ貼り
11月29日 8時45分から約25分書記長会議報告。Sによる。赤い腕章をして所長に尻を向け。12月闘争のスケジュール。21日二時間スト。9日14日16日に動員。20日から三日間三六拒否さらに営業部会が延長を要望委している。退職者の欠員補充も闘争目標。ビラ配りKが8時45分前後に二回。S支部長が三時の休息時間は所長にやってもらう。どれだけ電話応対で失敗するか見てやりたいとほざく
12月4日 技術員室にビラ
8時45分頃から20分間職場集会 H・K・S 行動の要請と協力
12月5日 ビラ貼り。8時45分から所長要請行動、工事係主体。9時30分頃、Kと所長が私の方をみてにたり。HOとTともう1人が5時15分過ぎ所長がいないのをみはからってビラはり。
12月6日 ビラ四段貼り。所長窓口。S支部長がからかう。
12月7日 ビラ貼り 一部収拾
12月8日ビラ貼り TAが9時15分頃から報告。30分ほど。所長が要請行動に応え突き上げているなどという。Sら午後長時間会議少なくとも2時以降みていない。12月11日 ビラ貼り 検診係の所長要請行動九時からIら TAと所長が協議12月12日ビラ、Hが昼休み職場集会を指示、TOが加わって所長要請その前に別室で、IとSが代行。
12月13日 ビラ 大型も。Hが5時20分前ビラを持参
12月14日ビラ中まで 所長2時頃撤去
12月15日ビラ中まで 所長すぐ撤去
4時頃、シュプレヒコールあり、スローガン。最後まで戦うぞ。S。
12月18日 ビラ Kの友達阪神競馬場へ K朝サブ六拒否をふれまわる。所長も残業しないでください。とかいう。組合におこられるから。ビラ一つ残る。
2000/12/19ビラ三枚残りと所長三六拒否を宣伝
12月19日ビラ貼り所長の方面まで。と五時以降のビラ貼り三人確認、K会議の報告、当局に誠意なくストライキ決行を戦い抜くとの申し入れ。ストライキを戦い抜く協力をさらに二回。最後にさらに三六破棄で間違いがないようにと威圧的に指示。
12月21日スト中止職場集会、TAが長時間演説。
2月6日K昨日マージャン
2月7日報告、K闘争をくりかえす。春闘、ダイレクト入力阻止、パソコン共用化云々、公示工務定員削減、ビラ配り8-40 8-45から20分、十割動員。確認してください。拝聴願います。
2月13日東水オルグ春闘 TAー徴収担当係長の削減はさせない。徴収依頼額の引き上げに関連して HOーパソコンの私語 Sー中央支所通信を書いていた。昼。 
2月15日ビラ撒き5人ほど Kが麻雀の話し
2月16日HとKがMに動員指令18日午後
2月20日工事工務動員2時頃一人もなし
2月21日職場集会HとK 8時45分から25分
H営業部会報告とK書記長報告 処分抗議の朗読と所長への抗議 座り込みの企画と指令 拍手2回、3月1日のスト権投票は3回、しかも休む人研修者も必ず投票せよ。動員指令は2回くりかえす。必ず一人は、2日、6日3割、あと2日は2割
2月22日10時40分現場出張より戻ったところ、営業部会役員がオルグ。Hが3月決戦に戦う決意をあらわしていただきたい。と、拍手をさせる。
2月27日Kが3月1日のスト権投票の呼びかけ。合計5回スト権投票を繰り返し、当日不在の者は不在者投票を強要。夕方分会役員の会合。TA I S HO K
2月28日M分会から、連帯のオルグ、高率で批准し、当局に対し意思を表示、闘争の決意をあらわしていただきたい。H所長と笑顔で、ご静聴願います。
3月1日スト権投票の号令各係へ-K8時40分頃、台帳室幹部集まる。2時5分前、97%の賛成率で批准と報告。HI、Kについて飲みに行ったとき刺身をパクパク次々食ってしまういやしいやつだという。TA4階にいったりきたり。
3月2日ビラ貼りあり、Kスト権投票結果94%などと発表、工事工務問題所長要請のため集まることを指示するが 今回は執行部だけ殿こと。Sなど、所長の前にたって朗読。
3月5日ビラ貼り、5時50頃戻るとSUともう一人がビラ貼り。退庁7時頃HO残る。3月6日ビラ貼りドア四段、6時半すぎ配水課側、3時25分頃戻ると職場集会,M動員、50人くらい、Kが演説、赤いはちまき、定員削減抗議云々と練り歩く、I集会へ、あす三割動員にもかかわらず係長休みとか。
3月7日当局の示達ボリューム小さくて聞こえない。5時半前配水4人でビラ貼り
3月8日ビラ貼り、とったのは所長要請行動のあと。K、所長の前で昼休みの職場集会の呼びかけ、二回、工事工務の仕事の内容の変化等について、所長要請行動、S支部長ら怒鳴る。5時25分前に配水三人でビラ貼り。
3月9日ビラ、現場7項目要求、工事工務48人削減、5時20分頃階段でビラ、K所長交渉結果の回答等をうけて所長交渉よびかけ、TA、S、HOら、11時頃ビラはがし、3時頃から5時過ぎまで再び所長交渉。所長付近にビラ、机の上にビラ4枚つり下げ3月12日ビラ。自分の斜め前2つ、斜め後ろ1つ、右斜め1つ、S支部長の脇と、窓等、朝はがす。所長が3時半ごろはがすなと言う。トラブルがおきるから云々。
3月13日ビラ、職場集会三人たつ。業務妨害に対する自力救済Kに突撃、所長に就業命令を出せというしと、長年の慣行、副支所長より呼び出し。勤務時間の職場集会が正常というのかとただすとはぐらかし、何も応えない。暴力の話だけ。6時半に配水のほうだけがビラ、残っていたのはかなり。TA、HO、Sなど
何時からはじまりますかと所長。夕方からS、HO、Kが所長と懇談。HOとSが3時頃ひそひそ話。たてかんを自転車置き場で発見。現場新規採用、受託工事反対等
問題を矮小化し暴力行為としてラベリングしようとしている。誘発しているのは当局。ビラ貼り容認。職場集会、争議行為容認、支援。所長は集金の約束は本当かは不愉快。
3月14日ビラ、HOらの仕業、ストライキの文字あり。
3月15日ビラ、所長より上申書の話。10時半Kがたち営業問題で所長要請行動。支所長と意見交換。1時の約束。所長、Sと三六協定の話し
3月19日上申書提出、午後かなり長時間所長交渉、退庁時K仁王立ち
3月21日ビラ、午前中所長交渉工事工務のかなりの数集まる。静かな内容
3月22日ビラ、所長より、あすの時限ストライキに関して配水課にメンツがあるのでピケラインをはるから、衝突しないように、8時前にきてもらいたい、ピケを避けて裏から入ってもらいたいと指示。
3月23日職場集会、SUとH
3月26日部会報告、H、TA、ダイレクト入力問題など8時45分から9時10分過ぎ
3月28日、Sズボンにワッペン。KきのうKA、HIと徹夜麻雀、まけたらしい。KAが昼休みいびきをかいていた。所長転勤がきまってにこにことMIが噂を、TAさかんに電話、調べものしてほしい。SI4時過ぎ15分くらい遊び。
4月4日部会委員会報告H、Kがすわり、Sが仁王だち
所長に呼び出しー気になったところ、拍手、とみたくない
4月17日頭上報告、書記長会議 公務員制度改革の競争原理等反対。退職金の見直し。メーデーの趣旨国際的連帯云々、頭上報告を拍手で確認してくださいとH、ご清聴ありがとうございました、SとH、Sがうろつく。メーデーは三・五割動員
4月25日通達メーデーの関係かボリューム絞ってある。
5月17日S・H・HOが所長まえ、TAも、きのうあたりから蠢く、組合レイアウト案。脇机についてHIから。
5月25日Kと所長、SO4時すぎいない会議か
6月4日頭上報告H
6月5日所長との面談
6月6日支部大会夜間
6月14日一発
7月13日川西問題
7月19日全水道職場集会
7月26日3時より分会執行委員会

2007/09/12

杉山元NHKアナの取材証剥奪に全然同情しない

  本日の毎日新聞<相撲協会>記者クラブ会友の杉山さんの取材証を”はく奪”という記事http://headlines.yahoo.co.jp/hl?b=20070911-00000110-mai-spoですが、私は同情しませんよ。問題の朝ズバは見てませんが、私が見たテレビ番組、ブロードキャスターやサンデースクランブルですが、杉山元NHKアナは朝青龍バッシングに迎合するくだらないコメントしかしていません。杉山元NHKアナを庇っているのが友綱理事であることからみても、杉山氏はアンチ朝青龍としか思えないから、この件については北の湖理事長を支持します。9月2日のサンデースクランブルでも仮病疑惑云々とか言って、朝青龍を批判してましたが、この件は決着がついていることですよ。
 横綱朝青龍は優勝した名古屋場所千秋楽翌日の7月23日、四日市社会保険病院整形外科部長森下浩一郎氏(整形外科一般と脊椎外科、日本整形外科学会専門医、日本脊椎脊髄病学会の中部地区の指導医)の診察を受け、診断書には、 左肘内側側副靭帯損傷、左尺骨神経障害、急性腰痛症、第5腰椎(椎弓)疲労骨折 とされたのである。
  森下整形外科部長は『女性セブン』の取材に対して「肘は重症で腰が疲労骨折していることは間違いありません。ただ本場所でも同じ状態で相撲を取ってきたのですから、数分の遊びのサッカーならできますよ」と仮病疑惑は真っ向から否定している(『女性セブン』45巻33号2007年9月20日号「激白120分細木数子朝青龍の本音SOSで密談5時間全部話すよ」)。

この診断が正しいことは、9月1日スポーツ報知の7面にある次の横綱審議会委員守屋秀繁委員(千葉大学大学院医学薬学府長)のコメントで明白である。
「整形外科医として疲労骨折がどのようなものかを一部の委員から説明された。あの(けがに関する)診断について医師として不信感を覚えることはない。ただ(全治)6週間というのは、その後の騒動の経緯も考えれば少し長く出し過ぎたかな、という感じは受けないでもない」
不信感はないというのは正当なものという意味だ。6週間云々は枝葉末節な事柄、実際に診察しているわけではないし、仮に全治1ヶ月に縮めても東北・北海道巡業の休場はやむをえないということになる。
だから、朝青龍バッシングは悪質なものなのだ。朝青龍は何も悪くない。しいていえば、整形外科の素人に誤解をもたれる印象を与えるかもしれない映像が流れたということだけ。それはやむをえないことだから、朝青龍は謝る必要もない。
疲労骨折を認めつつ、土俵入りだけでも、巡業に参加すべきだとのある医師の意見も夕刊フジで読んだが、朝青龍は本場所で優勝しつづけることが横綱の責務と考えている。そのためベストの体調で本場所にのぞみたい。相撲協会の営業に協力的であるべきだという意見も当然あるだろうが、それは仕事のコミットメント(責務)についての見解の相違にすぎない。朝青龍は責任感の強い横綱だと言うことは故先代佐渡ヶ嶽も認めていることだ。
反朝青龍派とされる巡業部長の大島理事は優勝同点はあるが優勝はない。巡業副部長の高田川役員待遇委員は大関に昇進したもののハチナナ大関と揶揄された。モンゴルでも監視せよと強硬な意見を述べた友綱理事は関脇止まりじゃないか。朝青龍は7場所連続優勝、年間最多勝の記録保持者で既に21回の優勝、こういう迫害的出来事がなくて、順調にいけば、大鵬の32回の優勝記録を超えることのできる大横綱である。あと5年間で年2回ペース以上の優勝は確実と思えるから。横綱には横綱の苦労があると思いますよ。本場所で無様な相撲を取れば横綱は引退に追い込まれる厳しい地位にあることを考えれば、巡業休場は非難されるべきものではないと考える。
9月2日の横綱白鵬昇進パーティーで後援会代表の丹羽耕三氏(土佐清水病院院長)が四日市社会保険病院の医師を非難し「医者として許せない。よくも(全治)6週間なんて書いたな。(エックス線)写真を見せてみろ!あの医者、免許を取られるぞ」と声を荒らげた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070903-00000042-spn-spo(スポニチ9月3日)との報道がありますが無茶苦茶な話ですね。しかしこのアンチ朝青龍の医者も疲労骨折が間違いだとは言ってないんです。
いずれにせよ、有識者で構成されている横綱審議会委員で唯一の専門家が、あの診断書に不信感はないと明白に述べた以上、仮病でさぼったということではないです。にもかかわらず、9月2日のサンデースクランブルに出演した元NHKの杉山アナなどが、仮病疑惑云々と言っているのは間違いです。

2007/09/11

家族だんらんなんて必要ない

 舛添は少し勘違いしてるんじゃないかな。「家庭だんらん法」に言い換え指示=「残業代ゼロ法」で舛添厚労相http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070911-00000076-jij-pol
 別に残業代のために残業している欲の深い人ばかりじゃないですよ。そもそもホワイトカラーに8時間原則なんていうのが間違っているわけですよ。反対者がそんなに8時間労働に拘るなら、そう言う人は北朝鮮に拉致されればいいんですよ。北朝鮮は憲法で8時間労働が保障されてますから。第一に誠実労働義務だ。誠意をもって献身的に働くことが正しいですよ。仕事を先延ばしにすると拙いから残業しているんですよ。仕事へのコミットメントとしての長時間労働です。仕事が好きで熱中して残業している人もいるし、仕事を覚えるのには熱中して寝袋もってやるくらいじゃないと駄目。育児休業や仕事をさぼっている人をカバ-している場合も多分にある。
 もちろん時代の要請も重要だ。MITのポール・オスターマン教授(註1)によると、アメリカの企業が80年代から90年代の競争的課題に対応した重要な方法のひとつが、高業績業務システムであるという。つまり従来のシステムは、職場は厳密な分業と狭い範囲で設計された専門的な職務で編成され、意思決定や評価は監督者の手中にあったが、品質を改善し、顧客のニーズ応えることができないため、権限、裁量を下層部の従業員に移し、官僚的な階層を排除し、仕事の定義をフレキシブルにするのが高業績業務システムだ。
 要するに組織がフラット化し、官僚制が打破されている高業績業務システムや顧客ロイヤリティ経営、顧客満足度が重視されている今日、権限や裁量が下層の従業員にももたされるようになってます。多くの企業が採用している目標管理だって、従業員が自発的に目標を設定しているわけですから裁量性が認められてます。主体的ジョブデザイン行動やネットワーキング行動が求められています。時給ワーカーのように指示された範囲の仕事をやれば良いというものではないです。だから、ホワイトカラーはですね。下層の従業員でも管理職・専門職並みの待遇でいいいんですよ。いわゆる残業代に相当するものがタダになるわけじゃないでしょ。裁量労働制でも定額の裁量労働手当みたいのがつくそうだし、要するに役所のカラ超勤手当みたいのがつくでしょう。私は欲が深くないのでそういうものが全くなくてもホワイトカラーエグゼンプションを望みますが。
 ホワイトカラーの生産性が低いと、国際的な競争でも日本は不利になりますよ。だから国家繁栄の為にも
労働時間法制の抜本的見直しが必要ですよ。
 時間制限なしに一生懸命働いて、実績を上げた人が昇進していく方が努力が報われて公正でもある。きつい仕事でもなく汚い仕事でもないホワイトカラーは週最低58時間働くべきだ。次のブログを見て下さい。http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_40dc_1.html土曜日も日曜も自由に出勤して働いたほうが平日に毎日10時まで仕事するより楽。ホワイトカラーエグゼンプションが楽だし、管理職・専門職並みの働き方だから誇りがもてる。時間制限されるの時給ワーカーみたいに働かされるのが不満ですから。特に顧客相手、取引のある仕事だと、顧客が在宅している時間帯に仕事をしたほうが能率がよく、そもそも8時間労働なんて言うのが大きな間違い。炭坑労働者のようなきつい仕事ならともかく、アメリカの鉄鋼労働者は1910年代は毎日12時間労働で休みなしだった。つまり週84時間労働ですよ。ウォルマートの二代目社長だったデビッド・グラスは毎日16時間勤務、グーグルの女副社長は9時~24時勤務3時に寝る毎日だという。それくらい働けたら本当にうらやましいと思うよ。
 だから家族だんらんなんて必要ないんだって。人生の幸福とは職業上の成功のことだ。ビジネスで成功する為には、家族の犠牲は当然です。その人の社会的地位、威信というのは職業上の地位のことです。仕事で実績を上げることが第一であって、家族なんて二の次、三の次、アメリカでは1990年代以降従来なかったホワイトカラーのレイオフがみられるようになった。だから一生懸命働かなきゃいけないんですよ。労働基準法のような悪法や、労働組合に統制されることなく、自由に時間制限なく働けることが幸福追求の権利として主張されるべきです。
 
 家族団らんとか片隅の幸福なんて言うのはばかばかしい。だいたい生涯未婚率は日本では高くなってます。詳しい数字は知りませんが、今の20代、30代は25~30%台の未婚率になりそうなんでしょ。だから結婚したくても多くの人はできなくなります。家族団らん自体が、贅沢になります。贅沢は敵です。家族団らんなどより仕事の方が楽しいし価値があります。

(註1)P・オスターマン著、伊藤・佐藤・田中・橋場訳『アメリカ・新たなる繁栄へのシナリオ』ミネルヴァ書房(京都)2003年

2007/09/09

副知事・水道局長への抗議文予備草稿 勤務時間中の集会室等の便宜供与について

 今回は、5年前に書いてパソコンの中に塩漬けになったものを、個人名を伏して掲載するものである。その後、ながら条例の改正で、勤務時間内の組合会議の一部が規制された経緯があり、提出するタイミングを逸したが、内容的には現在の状況でも解決されていない問題を含んでいるので掲載する。推敲されてないがパソコンの中の未完成草稿が結構ありそれらの多くは拙劣な内容だが、ブログで公開してしまった方がストレス解消になるので、今後ブログでアップしていきたい。

川西正彦

争議期間中の平成14年11月12日のことである(所長は争議期間中にもかかわらず研修により不在)。前日には勤務時間内都庁第二庁舎前決起集会3割動員が行われている(分会長のAは自分は座り込みがあるので早めにいくといっていたのを側聞した。3時より収納係員Bが動員により職場を離脱した。12日の朝着替え時間に側聞したところ、実際の集会は4時より1時間だったらしい)。この日の午後、私は、1時40分から×地区の外回りをし、2時40分頃営業所に帰ったとき、組合役員で収納係員Cは離席しており、組合活動とみられる(彼は5時前に戻るまで離席しており、その日の宿直待機に入り、組合分会長のAと何事か話していた-ビラ貼りのことか-13日の朝エレベーター前の空間の壁面に都労連要求項目のビラが多数はられたていた。-)。3時直前になって、DがBに支部委員会があると伝えにきたので、組合分会執行委員の一人であるBは3時より離席した。その際、収納係員のEに支部委員会のため4階に居ると断っていた。3時50分に、F営業所から電話で×地区で本日Bが給水停止を執行した顧客が未納金額を支払ったので早速開栓してほしいの連絡が入った。自分は人が良い方なので開栓に行こうかとも思った。通常担当者が開栓に行くのが原則だが、担当者が反対方向に外回りしているときや、休みの場合などは担当者でなくても開栓に行くのは当然である。しかし担当者が職場離脱している状況にあったので、係長にBの現場だが入金あり開栓してほしいとの電話があったという内容のみ伝えたところ、EがBは組合の会議に出ている事実を係長に知らせため、係長は4階の会議室から呼び出す判断をとり、会議室に電話しCが出たのでBに替わってほしいと言い、開栓が一件でたので行ってほしいとしたところ、Bが応じた。私は組合に遠慮し係長自身が開栓に行くのではと思ったが、そうでなかったのでほっとしたものである。問題は開栓云々ではない。そもそも勤務時間内組合活動による職場離脱は、企業秩序論からいっても、ノーワーク・ノーペイ原則からいっても許容されるべきでなく正当な組合活動とはいえない。監視活動と警告書の交付、解散命令が発出されてしかるべきである。従わない者で主導的な役割を果たしいる者は懲戒処分に付し、出席者は賃金カットとすべきであると考える。しかし東京都はそういう方針をとっていない。この事例は争議期間中であることから、なお一層のこと問題であり、この支部委員会の後ビラ貼り戦術が開始されたことから、ストライキ体制を強化していくための共同謀議がなされていてたとみてよいだろう。たんに職場離脱という職務規律違反だけの問題ではなく、争議行為を助長する虞が明白な事例である。会議室を利用するには庶務課に申請して鍵を受け取ることになっているから、管理者が掌握しているはずで、このような会議室利用に許可することは、事実上管理者が組合とつるんで争議行為を支援しているも同然で、そうしたことが組合の既得権として長年の慣行であったコストは甚大であり、管理者の著しい怠慢というべきである。許可を与えてないとしても、黙認しているわけであり、職場環境を適正良好に保持し規律のある公務の運営態勢を確保しうる責任のある管理者が職務を放棄しているも同然と断じてよいだろう。前支所長のG(その後本局部長)と話す機会があったが、Gは、かなり以前は就業命令を出してしたことがあるが、今は命令を発出することはなくなったと聴いているが、こういうことでよいのだろうか、許可を与えているのか事実関係と当局の見解を窺いたい。(なおGは勤務時間内事務所内の、大声でアジ演説することについても一切、解散命令・就業命令を出さないことに私が疑問を呈しても、聞きたい人が多いから認めるんだというスタンスであった。)
 この点について判例から検討すると、そもそも、企業施設構内における組合活動は国労札幌地本事件・最三小判昭54・10・30『労働判例』329号12頁国労札幌地本ビラ貼事件が判示した企業秩序論に従えば、公務員の労働組合又は組合員が管理権者の許諾を得ることなく組合活動のために利用すること許されず、管理権者が有する権利の濫用であるという特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある公務の運営態勢を確保しうるように当該庁舎を管理利用する庁舎管理権の権限を侵し、公務の秩序を乱すものであって、正当な組合活動として許容されないのである。この趣旨から平常時においても、特段の事情がない限りいかなる無届無許可の企業施設内組合活動もは許されないというのが原則である。但し、最高裁は、無許可の始業時前、もしくは昼休み中の平穏な態様のビラ配布について、札幌国労地本判決を引用せず、正当な組合活動として認容する判決(明治乳業事件・最三小判昭58・11・1『労働判例』417号21頁)を下している。この態様における組合活動はいわゆる施設管理権の侵害の程度が小さいとみたのか、国労札幌地本判決に対するプロレーバー労働法学者の反発が強くバランス感覚が働いたとみられる。従って、私は反組合主義でありながら、最高裁が許容している範囲のビラ配りにつき非難することはしない。
 しかし最高裁は、勤務時間内外を問わず企業施設内の職場集会について、国労札幌地本判決を引いて、職場集会不許可とする使用者の判断を支持する重要判決が次々と出ており、国労札幌地本判決の企業秩序論になんら揺らぎはないのである。労働時間中に職場集会を開く必要性を重視してそれが許されるとすることができないと明確に述べた済生会中央病院事件・最二小判平元・12・11『労働判例』552号勤務時間外の会社食堂利用拒否が不当労働行為に当たらないとした10頁オリエンタルモーター事件・最二小判平7・9・8『労働判例』679号
 争議行為中の庁舎利用等の便宜供与につき、郵便局などの公共企業体においては、組合がストライキ体制をとったり、業務規制闘争を指令している状況においては、平常時には許可されていた態様の施設利用であったとしても許されないとするのが判例である。まず全逓城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6『労働判例』442号、45頁は「前記集会が行われた行われた会議室は吉田局長の管理する庁舎の一部であり、郵便局の業務のために使用されるべきものであって、全逓の組合や、その組合員に当然には使用が許されてはいないものであると認められるところ、吉田局長が会議室の使用を許可しなかったのは、全逓が同年五月一〇日、ストライキを決行する体制を確立すること及び業務規制闘争に突入することの指令を城東支部に対して発したため、(中略)このような指令が発せられた場合において、吉田局長が城東支部に対し施設の利用を許諾することは違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと判断したことについては相当な理由があるというべきであるから、同局長が会議室の使用を許可しなかったことにつき権利の濫用であると認められる特段の事情はないというべきである。(中略)従って会議室使用の許可を得ないで開催それた同年五月一一日及び一二日の各集会は正当な組合活動として許容されるものということはできない。よって(中略)同原告の行為は、庁舎管理権者の許可なく集会に参加し、管理権者の解散命令に従わず、かつ、その集会において積極的な役割を果たした点において、国家公務員法八二条一号及び三号に該当するということができる」としており、解散命令は全く正当である。
 関連し公労委における不当労働行為事件を詳しく調べる余裕がなかったが、基本的には組合集会、オルグ活動等が勤務時間中に行われたとか、組合集会が使用者の管理する施設・建物・敷地等を無断使用して行われたとか、それらの組合活動が業務の正常な運営を阻害するような方法で行われた場合、不当労働行為の成立は認めていないとされている。例えば古い事例だが、例えば昭和39年の年末手当支給等不当労働行為事件。郵便局は勤務時間内の便宜供与を認めておらず、上記の事例は勤務時間外の集会であった。勤務時間外であれ認めなくてよいことは、これまで引いた判例でも明かである。ところが水道局は平常時においても勤務時間内組合活動による職場離脱を容認し、ノーワーク・ノーペイ原則をとっていない。なんでもありという状況であるうえに、争議期間中もそれを容認しており、極めて悪質で著しい無秩序と断じてよいだろう、この点について見解があれば説明してほしい。

附録1(判例抜粋)

S63.12. 8 最高一小 昭和56(行ツ)37 北九州市交通局救済命令取消事件
(超過勤務拒否闘争を争議行為として懲戒処分を認容した判例)

      
 論旨は、地方公営企業職員につき争議行為を禁止した地方公営企業労働関係法(以下「地公労法」という。)一一条一項の規定は憲法二八条に違反しないとした原判決は、憲法二八条の解釈適用を誤つたものである、というのである。 
地公労法は、現業地方公務員たる地方公営企業職員の労働関係について定めたものであるが、同法一一条一項は、「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、又はあおつてはならない。」と規定し、これを受けて同法一二条は、地方公共団体は右規定に違反する行為をした職員を解雇することができる旨規定し、また、同法四条は、争議行為による損害賠償責任の免責について定めた労働組合法八条の規定の適用を除外している。しかし、地公労法一一条一項に違反して争議行為をした者に対する特別の罰則は設けられていない。同法におけるこのような争議行為禁止に関する規定の内容は、現業国家公務員たる国の経営する企業に勤務する職員(以下「国営企業職員」という。)及び公共企業体職員の労働関係について定めた公共企業体等労働関係法(昭和六一年法律第九三号による改正前のもの。以下「公労法」という。)におけるそれと同一である。
 ところで、国営企業職員及び公共企業体職員につき争議行為を禁止した公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであるが(昭和四四年(あ)第二五七一号同五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁、名古屋中郵事件判決)、この名古屋中郵事件判決が右合憲の根拠として、国営企業職員の場合について挙げている事由は、(1) 公務員である右職員の勤務条件は、国民全体の意思を代表する国会において、政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮を経たうえで、法律、予算の形で決定すべきものとされていて、労使間の自由な団体交渉に基づく合意によつて決定すべきものとはされていないこと、(2) 国営企業の事業は、利潤の追求を本来の目的とするものではなくて国の公共的な政策を遂行するものであり、かつ、その労使関係には市場の抑制力が欠如しているため、争議権は適正な勤務条件を決定する機能を十分に果たすことができないこと、(3) 国営企業職員は実質的に国民全体に対してその労務提供の義務を負うものであり、その争議行為による業務の停廃は国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすか、又はそのおそれがあること、(4) 争議行為を禁止したことの代償措置として、法律による身分保障、公共企業体等労働委員会による仲裁の制度など相応の措置が設けられていること、の四点に要約することができる。
 そこで、名古屋中郵事件判決が右合憲の根拠として挙げた各事由が地方公営企業職員の場合にも妥当するか否かを検討する。
 地方公営企業職員も一般職の地方公務員に属する者であるが、一般職の地方公務員の勤務条件は、国家公務員の場合と同様、政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により、国民全体の意思を代表する国会が定める法律及び住民の意思を代表する地方議会が定める条例、予算の形で決定されるべきものとされているのであつて、そこには、私企業におけるような団体交渉による決定という方式は当然には妥当しないというべきである(最高裁昭和四四年(あ)第一二七五号同五一年五月二一日大法廷判決・刑集三〇巻五号一一七八頁(岩手県教組事件判決)参照)。そして、このような一般職の地方公務員の勤務条件決定の法理について、地方公営企業職員の場合にのみ別異に解すべき理由はない。現行法規上、地方公営企業職員の勤務条件の決定に関しては、当局と職員との団体交渉を経てその具体的内容の一部が定められることが予定されており(地公労法七条)、しかも、条例あるいは規則その他の規程に抵触する内容の労働協約等の協定にもある程度の法的な効力ないし意義をもたせている(同法八条、九条)などの点において、団体交渉が機能する余地を比較的広く認めているが、これは、憲法二八条の趣旨をできるだけ尊重し、また、地方公営企業の経営に企業的経営原理を取り入れようとする立法政策から出たものであつて、もとより法律及び条例、予算による制約を免れるものではなく、右に述べた一般職の地方公務員全般について妥当する勤務条件決定の法理自体を変容させるものではない。
 次に、地方公営企業の事業についても、その本来の目的は、利潤の追及ではなく公共の福祉の増進にあり(地方公営企業法(以下「地公企法」という。)三条)、かつ、その労使関係には市場の抑制力が働かないため、争議権が適正な勤務条件を決定する機能を十分に果たすことができないことは、国営企業の事業の場合と同様である。
 また、地方公営企業職員が実質的に住民全体に対しその労務提供の義務を負つており、右職員が争議行為に及んだ場合の業務の停廃が住民全体ひいては国民全体の共同利益に少なからぬ影響を及ぼすか、又はそのおそれがあることも、国営企業職員の場合と基本的には同様である。もつとも、地公労法の適用される地方公営企業は、法律上具体的に列挙されているものに限定されず(地公労法三条一項)、その種類、内容、規模等には、種々のものが含まれうるが、その事業は、あくまでもその本来の目的である公共の福祉を増進するものとして、公益的見地から住民ないし国民の生活にとつて必要性の高い業務を遂行するものであるから、その業務が停廃した場合の住民ないし国民の生活への影響には軽視し難いものがあるといわなければならない。
 更に、争議行為を禁止したことの代償措置についてみるに、地方公営企業職員は、一般職の地方公務員として、法律によつて身分の保障を受け、その給与については、生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないとされている(地公企法三八条三項)。そして、職員と当局との間の紛争については、国営企業職員及び公共企業体職員についての公共企業体等労働委員会(現国営企業労働委員会)のような特別の紛争処理機関は設置されていないものの、労働委員会によるあつ旋、調停、仲裁の途を開いたうえ、一般の私企業の場合にはない強制調停(地公労法一四条三号ないし五号)、強制仲裁(同法一五条三号ないし五号)の制度を設けており、仲裁裁定については、当事者に服従義務を、地方公共団体の長に実施努力義務を負わせ(同法一六条一項本文)、予算上資金上不可能な支出を内容とする仲裁裁定及び条例に抵触する内容の仲裁裁定は、その最終的な取扱いにつき議会の意思を問うこととし(同法一六条一項ただし書、一〇条、一六条二項、八条)、規則その他の規程に抵触する内容の仲裁裁定がなされた場合は、規則その他の規程の必要な改廃のための措置をとることとしているのである(同法一六条二項、九条)。これらは、地方公営企業職員につき争議行為を禁止したことの代償措置として不十分なものとはいえない。
 以上によれば、名古屋中郵事件判決が公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反しないことの根拠として国営企業職員の場合について挙げた各事由は、地方公営企業職員の場合にも基本的にはすべて妥当するというべきであるから、地公労法一一条一項の規定は、右判決の趣旨に徴して憲法二八条に違反しないことに帰着する。論旨は、ひつきよう、名古屋中郵事件判決の立場とは異なる独自の見解を前提として原判決を論難するものであつて、採用することができない。
 同第二点について
 論旨は、上告参加人の労働基準法三六条所定の協定(以下「三六協定」という。)締結、更新の拒否による本件超勤拒否闘争が地公労法一一条一項の禁止する争議行為に当たるとした原判決は、法令の解釈適用を誤り、かつ、判例違反を犯すものである、というのである。
 原審の適法に確定した事実関係は、(1) 上告参加人は、被上告人の提示する本件財政再建計画の実施を阻止するため、昭和四二年六月一〇日ころ、組合員の投票によつてストライキを行うことを決定し、これを受けて、上告参加人の戦術委員会は、同月二一日から二三日まで超勤拒否闘争を、同月二七日から同年七月一日まで超勤拒否闘争及び安全点検闘争を、同年七月三日に超勤拒否闘争及び一斉休暇闘争を行うことを決定した、(2) 被上告人経営のバスの運行ダイヤは、労使の委員によつて構成されるダイヤ編成審議会の議を経て定められていたが、当時の公示ダイヤは、上告参加人の同意のもとに一日九勤務が時間外勤務ダイヤとして編成されており、被上告人の交通局においては、このダイヤを実施するために超過勤務が恒常化していて、超過勤務拒否があれば、平常のダイヤ運行に支障を来す状況にあつた、(3) 右運行ダイヤを実施するため、被上告人と上告参加人との間において従来から三六協定が締結、更新されてきたが、上告参加人は、本件財政再建計画についての労使の交渉が難航することが予想されるようになつた同年四月ころから、同協定を一日ないし数日の期間を定めて締結、更新しつつ事態の推移をみていたところ、同年六月一五日本件財政再建計画案が市議会に上程されるや、前記戦術委員会の決定どおり超勤拒否闘争を行うこととし、バスの正常な運行のための同協定の締結、更新方の当局の要望を拒否して、右決定に係る期間各部門において組合員に時間外勤務を拒否させた、というのである。
 これによれば、被上告人の交通局においては、従来から上告参加人同意のもとに三六協定の締結、更新を前提とした超過勤務が平常勤務として組み入れられてきたところ、上告参加人は、当該超過勤務自体に関する勤務条件については格別の要求を有していた事情は認められないのに、本件財政再建計画の実施阻止という要求を貫徹するための手段として、三六協定の締結、更新を拒否し、組合員に時間外勤務を拒否させて本件超勤拒否闘争を実施したということになるから、右超勤拒否闘争は、地公労法一一条一項の禁止する争議行為に当たるものといわなければならない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。また、所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

昭和54・10・30 最高三小判 昭和49(オ)1188 国労札幌地本戒告事件『労働判例』329号
(ビラ貼り事件につき使用者の企業秩序定立権を前提に受忍義務説を全面的に否定した指導的判例-概ね全文)

 (一) 日本国有鉄道労働組合(以下「国労」という。)は、昭和四四年三月ころ、同年度の賃金引上げの要求及び一六万五〇〇〇人の減員を内容とする合理化案反対の要求を目的とした同年四月一三日以降のいわゆる春闘に臨むにあたり、行動方針について全国各地方本部に指令を出したが、その際、右要求を組合員各自がみずから確認し合つてその意思を統一し、もつて組合の団結力の昂揚をはかり、あわせて上告人当局に右要求をアピールする等のために、ビラ貼付の行動を指令し、これを受けた国労札幌地方本部(以下「札幌地本」という。)の指令に基づいて、同札幌支部において執行委員会で具体化方策を決定し、同月一〇日ころ、さん下の各分会に対して右闘争の実施を指令した。同支部さん下の札幌駅分会においては、同月一〇日すぎころ分会委員会でビラ貼付には粘着テープを用いることとし、また、札幌運転区分会においては、同月初めころ執行委員会を開いて前記札幌地本の指令の実施について協議したところ、同分会において指令のあつたビラ貼り行動を実施することは困難な状況にあつたことから、その実施を同分会青年部に委託することに決定した。同分会青年部においては、そのころ右決定をうけ集会を開いて検討した結果、青年部の組合員が各自昼の休憩時に同運転区検修詰所(以下「検修詰所」という。)備付けの組合員が日常使用することを許されているロツカーにセロテープでビラを貼付することとし、白紙のビラ用紙に各自が要求事項を記入してビラを作成し、貼付行動に備えた。そして、札幌駅分会あるいは札幌運転区分会所属の組合員は、札幌駅においては小荷物などの事務室備付けのロツカー合計一九九個に約四〇〇枚のビラを貼り、札幌駅輸送本部においては操車連結詰所(以下「操連詰所」という。)備付けロツカー合計五五個に約一〇〇枚のビラを貼り、札幌運転区においては検修詰所備付けロツカー合計五六個に五六枚のビラを貼つた。
 (二) 被上告人らは、次のような行動をした。
 (1) 被上告人Aは、上告人の職員で、札幌駅構内作業掛の職務に従事し、国労札幌支部札幌駅分会の組織部長の地位にあつたものであるが、昭和四四年四月一〇日ころからB助役より組合掲示板以外の施設へのビラ貼付を禁止されていたのにもかかわらず、札幌駅分会の決定に従い、同月一四日午前八時四〇分ころ操連詰所において、他の職員が勤務中であるのに、自己が日常使用しているロツカーの扉の表面に、「一六万五千人の人べらし合理化をはね返そう」及び「七〇年安保にむけ春斗を力つよく斗いぬこう」と白地に青、赤色で各印刷された国労作成のビラ二枚を並べて貼付した。そして、ちようど同被上告人の右行動を現認した右B助役をはじめC助役、D、E各運転掛らが同被上告人に対し「ビラを貼つてはいけない。」と注意し、貼付された二枚のビラをはがすよう促したが、同被上告人はこれを無視して応じなかつたため、右D、Eの両名がやむなく一枚ずつビラをはがしたところ、同被上告人は、「何をするんだ。組合の財産に手をかけるな。」といつて両名の手からビラを取り戻し、Bらが目前で再三にわたつて制止したのにも構わず、再度前同様の方法でロツカーにビラを貼付したが、その際、Eの肩を押し、あるいはビラをはがそうとしたBの手を払いのける行為におよんだ。
 (2) 被上告人Fは、上告人の職員で、札幌駅構内作業掛の職務に従事し、国労札幌支部札幌駅分会執行委員の地位にあつたものであるが、被上告人Aと同様、札幌駅分会の決定に従い、同月一四日午前八時四〇分ころ前記操連詰所において同所備付けのロツカーの扉の表面に国労作成のビラを貼付しようとし、これを認めた前記のB、Cらから「ビラを貼つてはいけない。」と再三ビラ貼りを中止するよう指示されたのにこれを全く無視し、被上告人Fはじめ一〇名の国労組合員である上告人の職員が同職場において日常使用することを許されているロツカー合計一〇個の扉の表面に、札幌地本に委託されたと称し、被上告人Aが貼付したと同内容のビラあるいは「新賃金三万三千円要求をストでたたかいとろう」、「ストで大幅賃上げ獲得首切り合理化粉砕」などと印刷されたビラをロツカー一個に二枚ずつ(ただし、一個について一枚のみのものがある。)を並べて、合計一九枚を紙粘着テープで貼付した。
  更に、被上告人Fは、同月一六日の午前八時四〇分ころにも、前記場所において前同様の方法で備付けロツカーにビラを貼付し始め、これを発見したB、Cらが同被上告人に対し「ビラを貼つてはいけない。はがしなさい。」といつて再三にわたつて制止したのに、「貼つて何故悪いのだ。当然の権利だ。」と返答し、Bらが貼付されたビラをはがそうとすると、「組合のものにさわるな。」といいながらBらの手を払いのける行為におよび、結局、札幌地本に委託されたと称し、国労の組合員である三上潔操連掛ら三名の者が職務上使用を許されているロツカー三個の扉の表面に各二枚ずつ並べて合計六枚のビラを前同様の方法で貼付した。
 (3) 被上告人G、同Hは、いずれも上告人の職員で、札幌運転区検修掛の職務に従事し、Gは国労札幌支部青年部長、Hは同支部運転区分会青年部長の地位にあつたものであるが、同被上告人らは、前記青年部の決定に従い、同月一五日午後零時から一時までの間に、検修詰所において、「合理化反対」、「C交粉砕」、「検長会議は当局の会議だ直ちにやめろ」などと手書したビラを他の国労の組合員と共に同所備付けのロツカー五五個の扉の表面にセロテープで貼付し、これを現認したI検修助役が同被上告人らに対し「職場内にビラを貼ることは違法であり、許可されていない。直ぐはがすよう指示する。」旨注意したのに、「地本の指示だからはがされない。闘争が終わるまでこのままにしておいてくれ。はがしたら今度は糊で貼るぞ。」と返答して、右Iの指示に従わなかつた。
 更に、被上告人Gは、同日午後零時五五分ころ、右の貼付につづいて、前同所において前同様の方法により、自己が日常使用することを許されているロツカー扉の表面に、「安全、安全と言いながら気の許すひまをあたえない当局だ。この様な事では我々の安全は保障されない。もつと考えてほしい」と前記白紙のビラ用紙に手書したビラ二枚を並べて貼付した。
 (三) なお、検修詰所は、職員の詰所として使用され、南北一〇・四七メートル、東西九七メートルの長方形の部屋で、その北側壁に沿つて高さ一八〇センチメートル、幅八八センチメートル、上下二段四個一組のスチール製ロツカー六〇組(二四〇個)が南に向けて一列に設置され、被上告人G、同Hらが前記のビラを貼付したロツカーはそのうちの五六個であり、貼付されたビラは、縦の長さ約四〇センチメートル横の長さ約一三センチメートルの統一された大きさの長方形のもので、その下部に国鉄労組札幌地本と印刷され、その余の白紙となつている個所に前記認定のような文言を手書したものである。また、操連詰所は、同様職員の詰所として使用され、南北五・六メートル、東西二一メートルの長方形の部屋で、その中に前記検修詰所のロツカーと同規格のロツカーが南東隅に東に向けて二組(八個)、北に向けて二組(八個)、北側壁の中央よりやや東寄りに二組(八個)が設置され、被上告人A、同Fが前記のビラを貼付したロツカーは右のうちの一四個であり、これに貼付されたビラも右検修詰所に貼られたビラと同様の規格(ただし、前記のビラの右国鉄労組札幌地本と印刷された部分に国鉄労働組合と印刷されたものもあつた。)で、右ビラの白紙となつていた部分に、さきに被上告人A、同Fの具体的行動について述べたところで判示したとおりの文言が白地に赤色又は青色の文字で、あるいは色地に白抜きの文字で印刷されたものであつた。
 (四) また、上告人が内部における物品の調達、運用、管理について定めた物品管理規程及び物品事務基準規程によれば、被上告人らが本件においてビラを貼付した前記ロツカーは、会計整理上の区分では備品、用途上の区分では調度用品であり、物品出納員である札幌駅長あるいは札幌運転区長の責任において保管され、職員に使用を許しているものであり、上告人の物的施設の一部を構成するものである。そして、上告人は、その管理する施設に許可なく文字等を記載し又は掲示することを禁じ、組合に対しても掲示板の設置を認めるが右掲示板以外の場所に組合の文書を掲示することを禁じていた。もつとも、本件ビラの貼付がされた当時、国労が上告人から文書の掲示を許可されていた組合掲示板には、必要な多数の文書が掲示されていたため本件のようなビラを貼付する余地は全くなかつた。また、本件ビラが貼付された操連詰所及び検修詰所は、右ビラ貼付行為がされた当時においては、いずれも、旅客その他の一般公衆の出入りは全くなく、被上告人ら職員が休憩や就労前の準備をする等のために使用する場所であつて、同所を使用する大部分の職員は国労の組合員であり、ただ小人数の管理職等の職員が同所の一部で事務をとり、就労していた。
 (五) 上告人の総裁は、昭和四四年八月八日、被上告人らに対し、被上告人らの行為は上告人の就業規則六六条三号(「上司の命令に服従しないとき」)及び一七号(「その他著しく不都合な行いのあつたとき」)に規定する事由にあたるとして、日本国有鉄道法三一条の規定に基づいて被上告人らをいずれも戒告処分に付する旨の意思表示をした。
 二 原審は、被上告人らの本件ビラ貼付行為は、これについて上告人の許可を得ていないけれども、正当な組合活動として許容されるべき行為であり、右ビラ貼付行為を禁止しあるいは制止した被上告人らの上司の命令は結局のところ不法又は不当というべきであるから、被上告人らが右命令に従わずビラ貼付その他の言動をしたことをもつて上告人の就業規則六六条三号又は一七号に該当する行為をしたものということはできず、本件各戒告処分はなんらの処分事由もないのにされたことに帰し無効である、と判断した。
 三 論旨は、要するに、被上告人らの行動を正当な組合活動と判断した原判決は、労働組合法七条又は憲法二八条の解釈を誤つたものであり、理由不備、審理不尽の違法をおかしたものである、というのである。
 第二 当裁判所の判断
 一 思うに、企業は、その存立を維持し目的たる事業の円滑な運営を図るため、それを構成する人的要素及びその所有し管理する物的施設の両者を総合し合理的・合目的的に配備組織して企業秩序を定立し、この企業秩序のもとにその活動を行うものであつて、企業は、その構成員に対してこれに服することを求めうべく、その一環として、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもつて定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができるもの、と解するのが相当である。
 ところで、企業に雇用されている労働者は、企業の所有し管理する物的施設の利用をあらかじめ許容されている場合が少なくない。しかしながら、この許容が、特段の合意があるのでない限り、雇用契約の趣旨に従つて労務を提供するために必要な範囲において、かつ、定められた企業秩序に服する態様において利用するという限度にとどまるものであることは、事理に照らして当然であり、したがつて、当該労働者に対し右の範囲をこえ又は右と異なる態様においてそれを利用しうる権限を付与するものということはできない。また、労働組合が当然に当該企業の物的施設を利用する権利を保障されていると解すべき理由はなんら存しないから、労働組合又はその組合員であるからといつて、使用者の許諾なしに右物的施設を利用する権限をもつているということはできない。もつとも、当該企業に雇用される労働者のみをもつて組織される労働組合(いわゆる企業内組合)の場合にあつては、当該企業の物的施設内をその活動の主要な場とせざるを得ないのが実情であるから、その活動につき右物的施設を利用する必要性の大きいことは否定することができないところではあるが、労働組合による企業の物的施設の利用は、本来、使用者との団体交渉等による合意に基づいて行われるべきものであることは既に述べたところから明らかであつて、利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用しうる権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うとすべき理由はない、というべきである。右のように、労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設であつて定立された企業秩序のもとに事業の運営の用に供されているものを使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されないものというべきであるから、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで叙上のような企業の物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであつて、正当な組合活動として許容されるところであるということはできない。
 二 そこで、以上の見地に立つて、本件について検討する。
  原審が確定した前記の事実によれば、本件ビラの貼付が行われたロツカーは上告人の所有し管理する物的施設の一部を構成するものであり、上告人の職員は、その利用を許されてはいるが、本件のようなビラを貼付することは許されておらず、また、被上告人らの所属する国労も、上告人の施設内にその掲示板を設置することは認められているが、それ以外の場所に組合の文書を掲示することは禁止されている、というのであるから、被上告人らが、たとえ組合活動として行う場合であつても、本件ビラを右ロツカーに貼付する権限を有するものでないことは、明らかである。そして更に、前記の事実によると、被上告人らの本件ビラ貼付行為は、賃金引上げ等の要求を組合員各自がみずから確認し合つてその意思を統一し、もつて組合の団結力の昂揚をはかり、あわせて上告人当局に右要求をアピールする等のために、国労のいわゆる春闘の一環として行われた組合活動であり、上告人の許可を得ないでされたものであるところ、右ロツカーの設置された部屋の大きさ・構造、ビラの貼付されたロツカーの配置、貼付されたビラの大きさ・色彩・枚数等(これらについては、先に判示したとおりである。)に照らすと、貼付されたビラは当該部屋を使用する職員等の目に直ちに触れる状態にあり、かつ、これらのビラは貼付されている限り視覚を通じ常時右職員等に対しいわゆる春闘に際しての組合活動に関する訴えかけを行う効果を及ぼすものとみられるのであつて、このような点を考慮するときは、上告人が所有・管理しその事業の用に供している物的施設の一部を構成している本件ロツカーに本件ビラの貼付を許さないこととしても、それは、鉄道事業等の事業を経営し能率的な運営によりこれを発展させ、もつて公共の福祉を増進するとの上告人の目的にかなうように、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保する、という上告人の企業秩序維持の観点からみてやむを得ないところであると考えられ、貼付を許さないことを目してその物的施設についての上告人の権利の濫用であるとすることはできない。本件ビラの貼付が被上告人らの所属する国労の団結力の昂揚等を図るのに必要であるとしてされたものであり、ビラの文言も上告人その他の第三者の名誉を毀損しその他不穏当にわたるものがあるとまではいえず、剥離後に痕跡が残らないように紙粘着テープを使用して貼付され、貼付されたロツカーの所在する部屋は旅客その他の一般の公衆が出入りしない場所であり、被上告人らの本件ビラ貼付により上告人の本来の業務自体が直接かつ具象的に阻害されるものでなかつた等の事情のあることは、先に判示したところからうかがい得ないわけではないが、これらの事情は、いまだもつて上記の判断を左右するものとは解されないところである。したがつて、被上告人らの本件ビラ貼付行為は、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように当該施設を管理利用する使用者の権限を侵し、上告人の企業秩序を乱すものとして、正当な組合活動であるとすることはできず、これに対し被上告人らの上司が既述のようにその中止等を命じたことを不法不当なものとすることはできない。
 そして、日本国有鉄道法三一条一項一号は、職員が上告人の定める業務上の規程に違反した場合に懲戒処分をすることができる旨を定め、これを受けて、上告人の就業規則六六条は、懲戒事由として「上司の命令に服従しないとき」(三号)、「その他著しく不都合な行いのあつたとき」(一七号)と定めているところ、前記の事実によれば、被上告人らは上司から再三にわたりビラ貼りの中止等を命じられたにもかかわらずこれを公然と無視してビラ貼りに及んだものであつて、被上告人らの各行動は、それぞれ上告人の就業規則六六条三号及び一七号所定の懲戒事由に該当するものというべきである。
 三 そうすると、被上告人らの各行動は懲戒事由に該当しないとした原審の判断は、ひつきよう、法令の解釈、適用を誤つたものであり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
 四 そこで更に、原審が確定した事実に基づき被上告人らの請求の当否について判断する。 まず、被上告人らは、本件各処分は憲法二八条及び労働組合法七条一号に違反し民法九〇条にいう「公ノ秩序」に反するもので無効である、と主張するが、右は被上告人らの本件ビラ貼付行為が正当な組合活動であることを前提とする主張と解されるところ、右行為が正当な組合活動にあたらないことは前述したとおりであるから、被上告人らの右主張は、その前提を欠き、失当である。
 次に、前述のように、被上告人らの各行動は懲戒事由に該当するものであるところ、被上告人らは、本件各処分は懲戒権を濫用したものとして無効であると主張する。しかし、上告人の総裁が職員につき懲戒事由があると認める場合にいかなる処分を選択すべきかについては上告人の総裁の裁量に任されているものと解されるところ、一方において被上告人らの各行動が前記のとおりのものであり、他方において上告人の総裁の選択した被上告人らに対する各処分が懲戒処分として最も軽い戒告処分であることを考えると、右各処分をもつて社会通念に照らし合理性を欠き懲戒権の濫用にあたるものとまでいうことはできない。したがつて、被上告人らの右主張も、採用することができない。
 そうすると、上告人の総裁のした本件各戒告処分は無効であるとはいえず、被上告人らの各請求は、いずれも理由がないから、棄却を免れないものであり、これと同旨の第一審判決は相当であつて、被上告人らの控訴は、棄却されるべきものである。

昭和63・7・19最高三判昭和58(行コ)86 池上通信機救済命令取消事件『労働判例』527号-上告棄却-以下の高裁の判断を認める(一審もほぼ同じ) 
S59. 8.30 東京高裁 昭和58(行コ)86 池上通信機救済命令取消事件『労働判例』439号
(食堂を使っての無許可職場集会・警告書・中止命令が不当労働行為に当たらないといた-主要部分を抜粋)

三 本来企業施設は企業がその企業目的を達成するためのものであつて、労働組合又は組合員であるからといつて、使用者の許諾なしに当然に企業施設を利用する権限を有するものではないし、使用者において労働組合又は組合員が組合活動のために企業施設を使用するのを受忍すべき義務を負うというものではないことはいうまでもなく、このことは、当該組合がいわゆる企業内組合であつて、労働組合又は組合員において企業施設を組合活動のために使用する必要性がいかに大であつても、いささかも変わるところがない。このように解すべきことは、労働組合法が使用者の労働組合に対する経費援助等を不当労働行為として禁止し、ただ最小限の広さの事務所の供与等を例外的に許容しているに過ぎない(同法第七条第三号)ところの法の趣旨に適合する当然のことである。労働組合又は組合員による企業施設の利用関係は、この点において、企業が労働安全衛生法第七〇条の規定に基づいて労働者の体育活動、レクリエーシヨンその他の活動のために企業施設の使用を認める場合とは、基本的に性格を異にするものといわなければならない。
 そして、使用者は、企業目的に適合するように従業員の企業施設の利用を職場規律として確立する一方、企業目的の達成に支障を生じさせ秩序を乱す従業員の企業施設の使用行為を禁止又は制限しあるいは違反者を就業規則等違反を理由として懲戒処分に付するなどにより、企業目的にそわない施設使用を企業秩序違背として規制し排除することができるのはいうまでもないところである。
四 本件においても、以上に述べたところと別異に解すべき事情はなんら見当たらず、組合が組合員集会や組合大会の開催その他の組合活動のために会社の一般的又は個別的な許諾を得ないで当然に会社の従業員食堂を使用し得るものと解すべき理由はない。しかるに、組合は、その結成以来一貫して、組合活動のために会社施設を自由に使用できるのは組合の当然の権利であるとの基本的な前提に立ち、これを会社構内における組合活動の自由と称して会社にその承認を求め続け、会社の承諾を得ないままに会社の従業員食堂を組合員集会等のために多数回にわたつて使用し続け、この間、会社の許諾を得ることなく組合又は組合員が組合活動のために会社施設を使用するのは違法であり、先ず団体交渉等を通じて組合活動のための会社施設の利用について基本的な合意を締結するのが先決であるとして組合又は組合員による従業員食堂の無許諾使用を阻止しようとした会社と再三にわたつて衝突を繰り返すなどしてきたものである。また、先に認定したような経緯に鑑みると、組合においては、従業員食堂等の会社施設の組合活動のための使用につき、会社と真摯に協議を尽くして合意に達しようとする姿勢に欠けていたものといわざるを得ない。
 そして、組合が右のような不当な見解に固執して従業員食堂の使用につき会社と真摯に協議を尽くそうとせず、かえつて会社の許諾を得ないままに会社の阻止を実力で排除してこれを使用し続けるという挙にでるという態度を採り続けたものである以上、会社としても、団体交渉等を通じて組合活動のための会社施設の利用について基本的な合意を締結するのが先決であるとして、組合がその後個別的にした従業員食堂の使用申し入れに対して許諾を与えなかつたのも、やむを得ない措置というべきであつて、これを権利の濫用ということはできないし、会社が組合員の入構を阻止したり、組合員集会の中止命令を発するなどの措置を採つて、会社の許諾を得ないまま従業員食堂において開催されようとする組合員集会等を中止させようとし、あるいは組合が無許諾で従業員食堂を組合活動のために使用した場合に組合又はその責任者の責任を追及し処分の警告を発するなどしたのは、先にみたようないわゆる施設管理権の正当な行使として十分是認することができるところであつて、これら会社の採つた一連の行動が組合に対する不当労働行為に該当するものということはできない。

平成元・1・19最高一小判昭和53(行ウ)118 日本チバガイギー救済命令取消事件
『労働判例』533号-上告棄却-以下の原審の判断を認める

S60. 4.25 東京地裁 昭和53(行ウ)118 日本チバガイギー救済命令取消事件『労働判例』452号
(就業時間中の団交報告集会の食堂・野外集会開催不許可は不当労働行為に当たらないとした部分につき抜粋)

 原告は、参加人からの本件食堂の貸与の申入れあるいは屋外での集会の開催の申入れをいずれも拒否したのは原告の施設管理上の正当な理由によるものであつて何ら不当労働行為に該当しないとして被告の認定・判断を争うのでこの点について判断する。

(一) 昭和四九年四月当時宝塚市には原告の医薬生産部である工場部門とそれ以外の本部部門があつた。そして主たる建物は五三号館とこれに隣接する六三号館であり、六三号館の一階には本件食堂があつて、二階には本部関係の生産管理の事務部門、三階には医薬事業部、マーケツテイング部、四階には研修室、人事労政部がそれぞれ入つており、就業時間は工場部門では午前八時から午後五時まで、その他は午前九時から午後五時四五分までであつた。また当時、従来五三号館に入つていた部署が六三号館へ移転中であつたことから両館の会議室や応接室の使用が困難な状況にあり、他方本件食堂は昼食を出すだけであつたことから、その他の時間にはプライバシーを保つ必要のない商談や会議等に使用されていた。
(二) 参加人は同年四月九日原告との間で第一回の団体交渉を行つたが、その団体交渉の経過報告を組合員に行う必要があつたことから、右交渉の終了頃、原告に対し翌一〇日午後五時から報告集会を行うので本件食堂を貸与して欲しい旨申し入れた。原告は右申入れに対し翌一〇日に回答を行うと回答した。ところで参加人は、工場部門の工場支部については就業時間が終了する午後五時から、また本部部門の本部支部については就業時間終了後の午後五時四五分から報告集会を開催することに決定した。参加人が工場支部と本部支部とを分けて工場部門の組合員に対し先に報告を行うこととしたのは、公然化して間がなく午後五時四五分まで組合員の帰宅を引き留め待機させることに不安があつたこと、遠方から通勤している組合員が当時数十名おり、その者達のためにも早い時間に終了させたいと考えたためであつた。
 ところで右申出に対し原告は工場部門の終業時刻は午後五時であるが、本部部門の終業時刻は午後五時四五分であるから、それまでは本部への来客があり本件食堂を使用することもあり得、また集会においてマイク等が使用されて喧噪状態となつた場合には就業中の従業員の執務に影響を与えて業務上の支障が生ずるおそれもあると判断し、工場及び本部の終業後である午後六時からの使用を認める旨の回答をした。これに対し参加人は再度本件食堂の使用許可を求めるとともに、もし本件食堂の使用ができないのであれば、屋外での報告集会の開催を認めて欲しい旨原告に申し入れた。しかし原告はこれに対しても、屋外での集会も本部で就業中の従業員の執務に影響するとの理由から屋外集会の開催も許可しなかつた。
(三) 工場支部の組合員約七〇名は、同日午後五時から予定どおり本件食堂を使用して報告集会を開始した。ところで同日午後五時すぎ頃本部写真機械部のBが本件食堂で業者との商談をしようと本件食堂へ行つたところ、右のとおり参加人の集会のため使用できる状態にないため、労働組合関係を担当する教育労政室に抗議した。そこで原告ははじめて参加人が無許可で集会を開催したことを知り、右教育労政室のDが同日午後五時二〇分頃本件食堂へ行き、午後六時からの集会許可であるとして集会を中止するようCへ申し入れて同人と押問答となつたが、その間に午後六時となつたのでDはその場を引き上げ、その後集会は午後七時頃まで行われた。
 なお参加人が工場支部の報告集会を一〇日の午後五時から行う旨の通知は原告からの回答がなされる前になされ参加人が午後六時に開始時間を遅らせる旨の連絡は可能な状況であつた。
 また、従来原告は従業員が就業時間中に職場集会を開くことを許可したことも、また本件食堂の使用を許可したこともあつた。
 以上の事実を認めることができ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
2 ところで参加人が許可を求めた本件食堂の使用にしろ屋外集会にせよいずれも原告の物的施設の利用を伴うものであつて、これら施設は本来企業主体たる原告の職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保しうるように物的施設を管理・利用しうる権限(以下「施設管理権」という。)に基づいてその利用を原告の許可にかからしめる等して管理運営されているものである。したがつて、参加人において右施設を利用する必要性が大きいからといつて原告の許可なく参加人が当然に右施設を利用しうるものではないというべきである。そうであれば、原告が参加人の本件食堂の使用の申出に対し許可しないことが権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、これを許可しないことをもつて不当な使用制限とはいえないものというべきである。
 そこで右に認定した事実を基礎に検討するに、本件食堂は会議、商談等に利用されてはいたが、秘密を要求されるものについては利用されていない臨時のものであつたこと、参加人が集会を開始して後Bの苦情から原告がはじめて参加人の集会開催を知るなど集会が喧噪にわたるものではなかつたこと、このことは集会の目的が第一回の団体交渉の報告であつて必ずしも喧噪にわたることが当然に予想される集会ではなかつたこと、更に従業員会には本件食堂の使用も許可したことがあること、また屋外の集会については必ずしも具体的な業務上の支障があつたともいえないことなどからすれば、本件食堂の使用や屋外集会を参加人の希望どおり許可したことによる現実の業務上の支障は必ずしも大きくなかつたものと推認されなくもないが、他方、工場部門とは別に本部の従業員の就業時間は午後五時四五分までであつてその間に集会が行われるとすれば就業中の従業員が集会に気をとられ、職務に専念することができないなどの事態も予想し得ないわけではなく、また当時本来の会議室等の使用が困難であつたことから、本部従業員の就業時間中は本件食堂を当座の会議室等として使用していたのであるから、原告において本部就業時間中の本件食堂の使用を許可しないと考えたことにも合理性があること、現に使用できなかつた従業員もでていること、しかも原告は全く許可しないというわけではなく午後六時からの使用は許可していること、そして参加人が集会の開催を午後五時に固執した理由は専ら組合員の帰宅時間の遅れを妨ぐといつた自らの結束力の弱さからくる事由であり、これに固執する合理性に乏しいこと、また、従業員会は親睦団体で、原告の組織に近いものであつて、参加人と同一に扱うこともできないことなどの事情もあり、これらの事情を比較考量すると、原告が参加人からの午後五時からの本件食堂の使用申出あるいは屋外集会を許可しなかつたことについて、原告の権利の濫用であると認められるような特段の事情があつたものとはいえず、右の事情に原告が一般的に参加人に対し好意的でなかつたことも併せ検討しても、これをもつて未だ右にいう特段の事情があるものと認めるに足りず、他に右の権利の濫用があるものと認めるに足りる証拠はなく、結局、原告の右許可しなかつた行為は不当ということはできず、参加人に対する支配介入行為とはいえないものというべきである。
 したがつて、右の点に関し、原告の支配介入による不当労働行為であるとした被告の判断には誤りがあり、違法であつて取消しを免れない。

平成元・12・11 最高二小判 昭和63(行ツ)157 済生会中央病院救済命令取消事件
『労働判例』552号

(慣行化していた時間内無許可職場集会への警告が一審、二審とも不当労働行為としたが、最高裁は原審覆し不当労働行為に当たらないとした部分について抜粋

(一) 昭和五〇年四月五日の警告
(1) 病院は、従来から、急患室勤務の看護婦不足を補うため、毎月二五日頃翌月の勤務表を作成し、これに基づく急患室勤務を外来看護婦に割り当てていた。この勤務表は、事前の申し出がない限り、外来看護婦の同意を得ることなく病院が一方的に作成し、外来看護婦はおおむねその勤務に服していた。(2) 昭和五〇年三月頃から病院の看護婦不足が甚だしくなったため、同月二七日になってようやく作成された四月分の勤務表には、従来なかった深夜勤(午後一一時から翌日午前八時まで)が導入され、また夜勤(午後四時から午後一一時まで)の回数も増加されていた。外来看護婦の通常の勤務は午前八時から午後四時までであるから、外来看護婦が深夜勤の後に通常の勤務をすると、午後一一時から翌日午後四時までの過重な勤務となった。(3) そこで、支部組合は、三月二八日午後三時三〇分頃から、右勤務表について協議するため外来看護婦ら二十余名を元空腹時血糖室に集めて職場集会を開いた。(4) 病院は、四月一日支部組合との間で労働協議会を開催し、外来看護婦の急患室勤務は事前に申し出れば勤務しないことができるものであることを確認したが、支部組合は、右勤務表に基づく急患室勤務を拒否した。(5) 次いで、支部組合は、病院が病棟看護婦に急患室勤務をさせる動きを示したこともあって、同月二日及び三日午後三時四〇分から右元空腹時血糖室でこれまでの経過を報告するとともにその後の対策を協議するため、外来看護婦らを集めて職場集会(以下「本件職場集会(一)」という。)を開いた。(6) そして、支部組合は、同月三日病院に対し三交替勤務に必要な急患室勤務の看護婦の増員を要求した。(7) 病院は、同月五日支部組合に対し本件職場集会(一)につき「このような集会を勤務時間中に行うことは、労働協約第九条並びに就業規則第二三条、第二四条に違反する不当な行為であります。……今後かかる行為を絶対に繰返さないようここに厳重に警告しておくとともに責任追求の権限を留保しておく。」という「警告並びに通告書」を交付した。(8) 支部組合が本件職場集会(一)をいずれも労働時間中である午後三時四〇分から開催したのは、外来看護婦は、午前中の診療が正午までに終わらないため、現実には通常の昼休み(正午から午後一時まで)をとることができず、休憩時間をとることができるのは午後の診療が一段落した三時過ぎであったこと及び外来看護婦のなかには終業後保育所に幼児を引き取りに行かなければならない者がいたことを考慮したためである。そして、本件職場集会(一)に参加した者は、いずれもその時間に差し迫った業務のない者であり、集会中業務に就く必要が生じた者は中座して業務に就いている。また、本件職場集会(一)の場所を元空腹時血糖室に選んだのも、ここが急患室の隣りであって、必要が生ずれば直ちにこれに対応することができるという配慮からであった。なお、支部組合が本件職場集会(一)を開くに当たって病院に届け出たり許可を得たことはないが、従来この時間帯に届出も許可もないまま職場集会を開催しても、病院から警告、注意等を受けたことはなかった。
(二) 昭和五〇年五月一〇日の警告
(1) 支部組合は、昭和五〇年三月三日病院に対し四月一日から基本給の二五パーセントに一律一万円を加えた賃上げ等を要求し、同月二〇日までにその回答を求めた。病院は同月二四日支部組合と団体交渉をしたが、その際、支部組合に対し、最初にして最後の回答と表現して、平均一万一二六八円(一〇・四一パーセント)の賃金を引き上げることを提示した。(2) 支部組合は同月三〇日の団体交渉においてこれを拒否したところ、病院は、五月六日の団体交渉において、支部組合が争議行為をしないことを条件として、二〇〇〇円の上積み及び看護婦の夜勤手当の増額を認める案を提示した。支部組合は、これを拒否するとともに、病院に対し同日午後六時から時間外勤務、宿日直拒否闘争に入ることを通知した。そこで、病院は、上積み回答を撤回し、同月七日全従業員に「労務情報」を配布し、「平和的解決の条件拒否さる。」という見出しのもとに右の経過を公表した。(3) 支部組合は同月八日病院と再度団体交渉をしたが、六日の案以上の案は出ず、交渉は進捗しなかった。しかして、支部組合は、翌九日に予定していたストライキを回避して交渉を続け、同月二八日、六日の賃上案を受け容れた。(4) この間、支部組合は、同月六日、七日及び九日の一二時三〇分から病院内のテニス・コートを使用して職場集会(以下「本件職場集会(二)」という。)を開いたが、六日は二九分、七日は一一分、九日は五分、午後一時からの労働時間に食い込んだ。そこで、病院は、同月一〇日、支部組合に対し、「……業務を放棄し、……多数の組合員を対象に……集会を行ったことは、労働協約第九条並びに就業規則第二三条、第二四条に違反する不当な行為である。この件については、四月五日……病院見解を明らかにしたように責任追求の権限を留保する。かかる行為を今後も繰返し行った場合は、病院として重大な決意をもって臨むことをここに正式に通告しておく。」という「警告並びに通告書」を交付した。(5) 本件職場集会(二)には、病棟看護婦のうち業務のある者、外来看護婦等で業務に支障のある者は出席せず、また集会中でも業務上必要のある者は自由に退出していた。そして、支部組合が本件職場集会(二)をすることについて病院に届け出たり許可を得たことはなかったが、従来労働時間に若干食い込む職場集会が昼休みに開かれたことはあっても、病院がこれについて警告、注意をしたことはなかった。
 二 右事実関係の下において、原審は、次のとおり判断し、上告人の請求を棄却した第一審判決は相当であるとして、控訴を棄却した。
1 労働者ないし労働組合は、使用者の許諾なくして職場集会のためその施設を利用することができるものではなく、また、労働時間中当然に職場集会をすることができるものでもない。したがって、使用者は、権利の濫用と認められる特段の事情のない限り、そのような集会の中止を求めることができる。
2 しかし、本件職場集会(一)、(二)は、いずれもその時期にこれを開催する必要性が認められること、本件職場集会(二)によって病院の業務に直ちに支障が生ずるものではないこと、本件職場集会(一)、(二)は事実上の休憩時間にされたか昼休みに終了しないため若干労働時間に食い込んだにすぎないこと、本件職場集会(一)、(二)の参加者は業務に支障のない者であり、参加した者も途中業務に支障が生ずれば自由に退出するなどしていたこと、病院は、従来このような態様でされた職場集会について何ら注意をしたことがないこと等に照らすと、本件の場合、権利の濫用と認められる特段の事情があるから、本件職場集会(一)、(二)を違法なものということはできない。
3 そうすると、本件警告をもって支部組合及び全済労に対する支配介入であるとした被上告人の認定判断に違法なところはない。

 三 しかしながら、原審の右判断は、是認することができない。その理由は、次のとおりである。
  一般に、労働者は、労働契約の本旨に従って、その労務を提供するためにその労働時間を用い、その労務にのみ従事しなければならない。したがって、労働組合又はその組合員が労働時間中にした組合活動は、原則として、正当なものということはできない。また、労働組合又はその組合員が使用者の許諾を得ないで使用者の所有し管理する物的施設を利用して組合活動を行うことは、これらの者に対しその利用を許さないことが当該物的施設につき使用者が有する権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては、当該物的施設を管理利用する使用者の権限を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動に当たらない。そして、もとより、労働組合にとって利用の必要性が大きいことのゆえに、労働組合又はその組合員において企業の物的施設を組合活動のために利用し得る権限を取得し、また、使用者において労働組合又はその組合員の組合活動のためにする企業の物的施設の利用を受忍しなければならない義務を負うと解すべき理由はない(最高裁昭和四九年(オ)第一一八八号同五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四七頁)。
 これを本件についてみるに、本件職場集会(一)、(二)は、労働時間中に、病院の管理する物的施設(元空腹時血糖室、テニス・コート)を利用して開かれたものである。しかして、従来、病院が本件のような職場集会について何ら注意をしたことがなかったとしても、それをもって直ちに病院が労働時間中に病院の管理する物的施設を利用して職場集会を開くことにつき黙示の許諾をしていたということはできないし、病院がそのような職場集会を開くことについて反省を求めることの妨げとなるものでもない。また、右の権利の濫用であると認められるような特段の事情があるかどうかの判断に際し、病院の管理する物的施設を利用して職場集会を開く必要性を強調することができないことはさきに説示したところから明らかである。同様に、労働時間中に職場集会を開く必要性を重視して、それが許されるとすることができないことも、前記説示に照らし当然である。なお、支部組合が本件職場集会(一)を開催したのが外来看護婦が通常の昼休みをとることができない傾向にあったためであるとしても、そのことが支部組合として午後三時四〇分から本件職場集会(一)を適法に開くことができる根拠となるものでもない。以上によれば、本件職場集会(一)、(二)の開催につき病院の明示又は黙示の許諾があるとも、また、その開催を許さないことが病院の権利の濫用であると認められるような特段の事情があるとも解されないのであって、結局、病院が本件職場集会(一)、(二)に対して本件警告書を交付したとしても、それは、ひっきょう支部組合又はその組合員の労働契約上の義務に反し、企業秩序を乱す行為の是正を求めるものにすぎないから、病院(上告人)の行為が不当労働行為に該当する余地はないというべきである。したがって、東京都地方労働委員会の昭和五二年三月一日付初審命令(都労委昭和五〇年(不)第六一号事件初審命令)の主文第1項のうち昭和五〇年四月五日付「警告並びに通告書」及び同年五月一〇日付「警告並びに通告書」のうち集会にかかるもの(一通)並びに主文第4項(1)のうち同年四月五日付「警告並びに通告書」及び同年五月一〇日付「警告並びに通告書」のうち集会にかかるもの(一通)について、これを維持した被上告人の昭和五四年一二月五日付再審査申立棄却命令(中労委昭和五二年(不再)第二五号事件再審査命令)の該当部分の取消しを求める上告人の請求は理由があるから、これを認容すべきである。原判決及び第一審判決が本件職場集会(一)、(二)に対する警告が不当労働行為に該当するとしたのは、法七条三号の解釈適用を誤ったものであり、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであって、この点をいう論旨は理由がある。よって、右部分につき、原判決を破棄し、第一審判決を取り消し、上告人の請求を認容することとする。

2007/09/01

歌川広重《名所江戸百景》

  本日は頸ドプラ検査という超音波検査のため某病院ヘ、これは義理で半年おきにやっている検査、若い看護婦なら興奮するところだが、おばはんの女医なのでなんの面白味もない1600円。食事後、やるべきことは山積だが、気候が涼しいので気分転換のため、上野公園へ遊びに行く。めぼしいものがなかったので、芸大美術館の「歌川広重《名所江戸百景》のすべて」を見物、入場料300円、図録1500円。ぞろぞろ行列して見ていられないので、遠目にさらっと5~6分見てさっさと出る。ど素人だが感想を言うと、なぜか印象に残ったのが『市中繁栄七夕祭』、こんなふうに鯉のぼりみたいに高く竹を飾るものなのかと意外に思った。次に『月の岬』。妓楼か茶屋の二階大広間から海を見た景色。解説を見ずともこのロケーションは品川しかないとすぐわかったから。品川八ッ山は月見の名所なんだそうだ。
 図録の新関公子の解説によると夜空を明るく描いた『猿わか町よるの景』http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2007/collection200707/collection200707_ja.htmという広重の作品はゴッホが所有していて、『夜のカフェテラス』のような作品に影響を与えているとしている。なるほど芝居茶屋がカフェテラスに変化したのかと感心した。ついでに西洋美術館常設展420円も見て、秋葉原へ、ラオックスコンピューター館が今月中に閉まるらしい。パソコンもここで買ったし、翻訳ソフトなどもほとんどここで買ったのに残念だ。地下のメイドカフェも見ておこうと思ったが、すでにオタク系の客が行列をつくっていたので、あきらめて帰る。

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