SASインスティチュートの企業文化との比較(1)
11月25日のブログでSASインスティチュートをとりあげました。とはいえ別に従業員福祉を重視する企業を賞賛するという趣旨ではないですよ。むしろ、私はウォルマートのようなレーバーコストをかけないとされる企業を賞賛しているわけですから。
ここでSASインスティチュートの企業文化をテーマとするのはこういう意味です。この会社は人的資源管理、ヒューマンリソースマネージメントの事例研究で大抵取り上げられる企業です。企業文化論をやるのに格好の材料なんですね。もっともノースカロライナは好きですね。労働権州で、製造業州でありながら、労働組合の組織率が全米で最も低い。州公務員は団体交渉が明文で禁止されていて勤務条件法定主義を墨守(但し州従業員協会という職員団体はある。州議会議員に賃上げなどを陳情している)しているためです。この点は敬意を表したいと思います。
それでグーグルを検索してたら、上田尊江「不思議の国アメリカ番外編-最も働きがいのある会社はエンジニアの理想郷 」http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071121/287680/?ST=biz_shinというSAS本社(ノースカロライナ州ケアリー)訪問リポートを読みました。もとより関心がありますから面白く読みました。。
著者によると、日本のIT企業では1日12時間労働は普通と書かれています。たぶんアメリカでも長時間働くのはかわらないと思います。
例えばサンマイクロシステムズに関する本(註1)を読んでますと社風は放任主義でプロセスを非常に嫌ってほとんどやりたい放題、中心になって影響を及ぼしたい人間にとっては最適の場所という自由な社風ですが、長時間勤務で永遠に終わらない仕事を抱え込むことを耐えられない人間は振るい落とされるということのようです。
マイクロソフトはハードワーク主義ということでもなさそうだ。テクニカルサポートや受付以外は勤務時間が決まっておらず、マネージャーも部下の労働時間を把握してないという。社員は仕事の成果で評価されるので労働時間に関心はない。いつ出勤して退社しても自由ということですが、それでも1日10時間以上は働いているといいます(註2)。
SASはIT企業にしては労働時間が短いのである。週35時間制でほとんどの社員は自分の都合のいい時間に出勤すればいいことになっているが上田尊江リポートの聞き取りでは1日8~9時間は働くという。ただ「多くのIT企業とは一線を画すように週70時間労働には陥らないよう、会社が積極的に働きかけをするそうだ」とされています。
うーん。私は時間制限に大反対なのです。別に80時間働いたっていいわけで、ただ70時間は経験からみて能率からいえば打ち切りにしてもいい線だとは思います。日本でやってるノー超勤ウィークみたいに、5時15分になったら電気を消して閉め出すぞみたいなひどいことでは全然ないわけですね。
上田リポートによるとSAS本社は「基本的にみんな笑顔であったことが非常に印象的で、誰もが驚くほど親切だった。勝手が分からないでいると、通り過ぎる社員の人、案内係の人、食べ物をよそう調理人の人、ほぼ全ての人が丁寧に話しかけてくれ、対応してくれた。」と書かれています。
社員のほぼ全てが笑顔で親切だって書かれてますね。南部はサザンホスピタリティといって人々は親切だといわれていますが、著者は米国に詳しい人のようですから、土地柄というよりこれはSASの社風でしょうね。
我が水道局とは全然違いますね。11月25日ブログで書いた、私を攻撃してきた女ですが、「親切にするな、親切にやるな」とうるさいんですよ。懇切丁寧に仕事をやるとそれが前例になってしわよせがかかるとか言うんですよ。できるだけ仕事をやりたくない自分さえよけりゃいい士気の低い人が威張っちゃってどうしようもないですよ。
続く
(註1)カレン・サウスウィック著山崎訳『サン・マイクロシステムズ-世界的ハイテク企業の痛快マネジメント』早川書房2000年
(註2)デビッド・シーレン著、成毛・岩崎訳『マイクロソフトのマネジメント』2000年日本能率協会マネジメントセンター216頁
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