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2008/01/20

極保守派主導による1895年判決の意義(2)

前回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_0e0b.html

 此の世の3悪といえば労働組合、フェミニズム、日弁連だと思ってますが、私は労働組合の本質、仕事を制限し時間、仕事量、業務遂行過程を統制する、献身的忠実な職務遂行を妨害し、ショップ・スチュワードの支配下におく、横並び、競争の否定それ自体反対です。私は根っから生真面目なんですよ。ピューリタンのように職業労働は神与の隣人愛実践として忠実に履行できる環境が最善であると考えですから、労働組合とは180度考え方が違います。
 さんざん書いたことですが、米国の非組合の優良企業はどこでもオープンドアー・ポリシーがあって、役職にかかわらず、会社幹部に自由に物が言えて、風通しの良い職場になります。最初にやったのはイーストマン・コダックですが、企業文化として良く知られている会社としては例えば、ウォルマート、ホームデポ、パプリックス、SASインスティチュート、ヒューレット・パッカード、非組合企業は大抵そうですよ。これもさんざん書いてますが、働きやすく、従業員に親切なのは実は非組合企業の文化でもある。組合が支配している職場はそうは絶対ならない。労働条件等の苦情とか吸い上げるのは組合役員の専管になるから。従業員はただショップ・スチュワードの威圧と指揮の下に、働きすぎず、横並びで、非能率な仕事をすることを強要されるだけです。会社幹部も各従業員を相手にしません。それは組合の支配下にあるものですから、駆り立てることは組合が許しませんから、手出しできないわけです。駆り立てることは悪になるので、労働意欲は萎縮します。その人の善し悪しもいかに貢献したか、成果ではない。労働組合の威圧下でいかに柔順に非能率に働くかそれだけです。組織はフラット化し、実際に実務をやる従業員に権限が与えられる職場の方が能率的で高業績になりますが、その逆の分断的で疎通を欠く文化になります。労働組合の存在意義を否定する、オープンドアーポリシー、待遇や職場環境のアンケート調査は当然否定されます。組合があることによって、風通しの悪い、人の顔色を見て仕事をするような官僚主義的で硬直した体質が温存される。具体的なことはいずれ書きます。
 しかしもっと単純に言えば、労働組合の暴力とか、脅迫、威嚇、恫喝、執拗な説得と、暴徒の脅威に直面したことがある人は労働組合が嫌いになりますね。レイバー・インジャンクションに徹底的に好意的な理由はそれです。
 
 英米法ではコモンローのパプリックニューサンス(公的妨害)、衡平法のインジャンクション(差止命令)法理がありますが、私はアメリカのレイバー・インジャクションに関心があります。
 これは大鉄道ストのあった1877年にはじまりました。1895年のもう一つの重要判決デブスに関する非訟事件IN RE DEBS, 158 U.S. 564 (1895) http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?court=us&vol=158&invol=564 同判決は1894年7月のプルマン・ストライキにおいて発せられたレイバー・インジャンクションを支持したものですが、これを契機に「雪だるまが転がるように」差止命令が増加しました。 アメリカでは1880~1930年に4300件のレイバー・インジャンクションが発せられました。とりわけ1920年代にはストライキの25%に差止命令が発せられ、秩序の維持と労働組合の抑圧に大きな効果がありました(註1)。しかし、私がもっとも敵視する左翼急進主義の法律家フランクファーター(後に最高裁判事、ルーズベルトのブレインでスピーチライター、第二次大戦参戦を大統領に勧めた人物でもありますが、こいつさえいなければと思うくらい嫌いです。ただ誤解しないで下さい。私はかれがユダヤ人であり、シオニズム運動に深く関わったから嫌いなのではありません。私は女性蔑視主義ですが、人種差別主義ではありません。かれの労働組合に好意的なその思想であります)が深く関わった1932年ノリス・ラガーディア法により「平和的ストライキ」においてはレイバー・インジャクションを全面的に禁止した。これこそ悪法中の悪法である。但し、鉄道は適用除外となり、1947年のタフト・ハートレー法で限定的に復活した。大統領は、国民の健康と安全が危険にさらされていると判断した場合には、ストあるいはロックアウトに対する80日間の差止め命令を裁判所に求めるよう、司法長官に要請することができることになっている。近年では2002年の西海岸港湾労働者ストで、ブッシュ大統領が司法長官を通じて、港湾封鎖(ロックアウト)を強制解除する差止命令を裁判所に申請したケースがある。http://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2002_12/americaP01.html私は20年代のような在り方が望ましいという考え方である。
 差止命令の根拠になっている衡平法の淵源については、神への崇敬と慈悲に訴えるキリスト教徒の本来の欲求である福音の救済という教会法理念から、衡平と善という自然的正義の請願に合流し訴訟分野で発達したものとされています(註2)。すべてが打算と欲と処世術で動いている腐った根性の人には、福音の救済、衡平と善という自然的正義と言っても、馬鹿げたこと、きれい事を言っておれるかとか言うでしょう。とんでもないです。私はつねに何が規範として正しいか、自然的正義にかなっているかをつねに考えていますよ。
 インジャンクションとは、ある人の権利の侵害が衡平に反するとみられる場合に、申請を受けて裁判所が侵害者たる個人や団体に対してその行為を差止るために発する禁止命令です。コモン・ロー上の救済(損害賠償救済)が事後的であるのに対して、エクイティ上の救済である差止命令は、事前的、保全的に発給が可能である。素人である陪審員は排され、裁判官単独で迅速に救済を発しえるだけでなく、差止命令違反は法廷侮辱罪となり、これは起訴にもよらず、侮辱を受けた裁判官が審理するという特徴がある。元々イギリスにおいて財産権が不法に侵害され、回復不能な損害が生じるおそれがある場合に、侵害の継続を禁止することから出発したが、合衆国で適用範囲が拡大されたのである。
 

 インジャクションが19世紀末期から「雪だるまが転がるように」増加していった理由の一つはこうだろう。そもそも労働者の団結をコンスピラシー(共謀罪)とする歴史は古いのです。イギリスで1718年に綿糸紡績工が賃上げのために団結した事件で、その首領が2年間投獄されましたが、何と400年前の1304年の共謀者令(The Ordinance of Conspirators)が適用されました(註3)。
 しかしこれは全く正しいのです。英国において共謀法理の本格的な展開は19世紀後半から20世紀初期であります。これは制定法が労働組合を法認するという馬鹿なことをやったので、裁判所(最高裁は貴族院)がコモン・ローの共謀法理を適用したためですが、 共謀法理は中世に由来します。谷原修身によると、既に中世において、労働者の団結による共謀を刑事犯として扱ってきた。1349年に製パン業者の使用人が賃金を2~3倍でなければ働かないという共謀したケース、製靴業の使用人が自ら定めた曜日でなければ働かないとして共謀したケースで告発されている。その後団結を規制するための一連の法令が公布されたが、1548年法によって統合され、熟練工又は労働者が一定の価格又は料金以下では仕事をしないという共謀又は約束は刑事犯として扱われ、初犯の場合は10ポンドの罰金と20日間の禁錮刑が科された。同様に商品の価格を決定するための結合も、賃金協定と同様に「当然違法」とされた(註4)。
 コモン・ローは賃金協定も価格協定も対等に同じ原則で嫌っていたのである。それはコンスピラシーであり、犯罪だった。要するに我が国で労働基本権などといっているものは犯罪だった。そうすると1890年合衆国シャーマン法第1条「州際、外国との間の取引あるいは通商を制限する全ての契約、トラストその他の形態の団結、共謀を不法とする」が、この時代の法理を受け継いでいるとするならば、労働組合に適用されて当然だということになる。又、ハーラン判事の「当然違法」原則によるシャーマン法の厳格な解釈も(極保守派のフラー主席判事もベッカム判事も同調した)、古い時代の精神に沿った良性のものと評価できるのである。
 イギリス18世紀においては、古い法で団結が禁止されているにもかかわらず、労働者の団結が行われた場合に親方達は、法廷に頼ろうとせず、直接国会に請願した。このために18世紀には特定産業別に凡そ40の制定法で団結が禁止された(註3)。1799-1800年の全般的団結禁止法は、産業別の制定法を統合する意味もあった。
 しかしアメリカでは、英国のように制定法で団結を禁止するやり方でなく、コモン・ローの刑事共謀法理を適用した。1806年のフィラデルフィアなめし靴職人組合事件で、賃金引き上げのための団結が刑事共謀罪にあたるとされた。検事は団結して賃上げをすることによって、需要供給の自然法則による賃金の決定を妨げた。賃上げのために威圧して労働者を組織に加入させ、非組合員には同一使用者の下での労働を拒否して彼らを組織に加入させることは、イギリス慣習法の罪になる。靴工の共謀のごときは、社会に有益な製造工業を妨害し、高賃金高物価を意味し、裁判所は、社会、消費者、産業、個々の労働者を保護しなければならないとしているが(註5)、正論のように思える。
 これはイギリスの刑事共謀法理を継受したものである。1809年のニューヨーク靴工事件では労働者に靴工職人団体に加入することを強要し、メンバー以外の労働者を雇用する親方の下では働かないと合意し、それを親方達を強制的に服従させる共謀を共謀罪にあたるとした(註5)。
 この判決では靴工団体それ自体を不法とするものではないが、他者に損害を与える不法な行為を目的とする団結は疑いなく共謀罪。目的は不法でなくても目的実現のため恣意的、不法な手段が用いられた場合は共謀罪に当たるとしたものである。このように19世紀においてアメリカでは刑事共謀法理が適用されていた。
 ところが、マサチューセッツ州最高裁1942年のハント事件で、これは、ボストン製靴職人組合が規約違反で組合員資格を失った被用者に対して、組合側が親方に解雇を要求し、解雇された事件で刑事共謀法理が適用されず、組合は無罪となった。
 但し、この事件は、刑事共謀法理それ自体を否定するものではない。目的・手段で判断すべきものという趣旨だった。「マサチューセッツの普通法は、違法かつ犯罪とされるような行為を行う団結をなすことは犯罪であるというイギリスの原理を採用した。しかしイギリスにおいて違法でありもしくは犯罪であった多くの行為は、マサチューセッツにおいては、必ずしも犯罪ではなく、もしくは違法行為でもなかった」と言うのである(註5)。しかしこの判決は大きな影響を及ぼし、これを契機に刑事共謀法理は適用されなくなっていく。民事共謀法理はなお適用されたが、転換点になっている。
 しかし、これによって組合活動のすべてが解放されたけでは全然なく、その目的と手段によって組合活動の正当性が厳しく審査された。すべての州で、共謀・脅迫・強要を犯罪とし、若干の州がピケ、ボイコット、鉄道等への不法な妨害行為を明文で違法としていた。賃上げや時間短縮を求める目的は正当であるとしても、クローズドショップ獲得のためのストや、ストに伴うピケッティングや説得も脅迫と判断され違法とされたのである(註6)。私から言わせればそれは当然のことに思えるが、いずれにせよ、刑事共謀法理が廃れたことにより、労働組合を抑圧する別の手段が必要となった。それがレイバー・インジャクションだったのだと思う。 続く

(註1)竹田有「アメリカ例外論と反組合主義」古矢旬・山田史郎編『シリーズ・アメリカ研究の越境第2巻権力と暴力』ミネルヴァ書房(京都)2007年 
(註2)海原文雄「英国衡平法の淵源(二)『金沢法学』4巻1号
(註3)内藤則邦「英国団結禁止法の社会政策的意義について--1799年,1800年法の一研究」『立教経済学研究』6巻1号1952年
 なお内藤は1305年の陰謀者法としているが、1304年法ではないか。
(註4)谷原 修身  「 コモン・ローにおける反独占思想-4- 」『東洋法学』38巻2号1995年 
(註5)高橋保・谷口陽一「イギリス・アメリカにおける初期労働運動と共謀法理」『創価法学』35巻1号2006年
(註6)辻秀典「アメリカにおける連邦鉄道労働政策の起源-アメリカ鉄道労働法の研究緒論」『廣島法學』16巻2号1982年
その他引用・参考文献
大沢秀行『現代アメリカ社会と司法―公共訴訟をめぐって 』慶応大学出版会1987年
 山内久史「アメリカ連邦労働政策の変化とレイバーインジャンクションの機能ノリスー・ラガーディア法の成立とタフト・ハートレー法以後の展開」『早稲田法学会誌』36巻1986年
インターネットでも読めます。 PDF http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/6448/1/A05111951-00-036000183.pdf
荒木誠之「 アメリカ団結立法の形成と運営(一)  ワグナー法を中心として」  『法政研究』九大44巻3号 1978年
インターネットでも読めます。
PDF   https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/1741/4/KJ00000742893-00001.pdf

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