感想 根本猛「女性天皇と法の下の平等に関する小論」
根本猛という憲法学者の最大の業績は鉛の被曝を避けるための胎児保護ポリシー(間接的母性保護)を性差別と断定し違法としたジョンソンコントロールズ判決の論評を書いた数少ない学者だということだと思います。当ブログでも引用させていいだいてます。「反女性・女性敵視主義宣言(2)」http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_f099.html我が国でも女性差別問題は関心が高いのに、ニューヨークタイムズが賞賛する重要判決が全くといっていいほど無視されている。母性保護の否定がフェミニストの意向にそわない判決だからですが。
ただ私はこの人の思想傾向には反対します。労働基本権が人権だなどとばかなことを言ってますから。これです。http://jinken.pref.shizuoka.jp/meeting/nemoto2.htm大学の労働組合の書記長を務め、20年間で100万円の組合費を払ってますとか書かれています。
それでも比較的まともな学者であるということは「<論説>女性天皇と法の下の平等に関する小論」 『静岡大学法政研究』3巻3・4号1999年http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/handle/10297/1344(フルテキスト)の結論が「男系主義を違憲とする根拠として憲法14条の法の下の平等は不適切」としていることである。
論旨は、違憲論者はことさら男系主義を問題視するが、長系主義も生まれつきの属性による差別であり、平等な相続権を認める新民法の原則にも反している。
男系主義が違憲なら長系優先も違憲だ。長幼の序はそれ自体差別思想だから。皇位継承を平等原則と合致させるとすると、皇位継承の法定自体が不可能というもの。
ここから私の意見だが、選定相続なら平等なのだろうか。これは政治的に決定されることから、平等とはいえないだろう。有資格者のなかから国民投票で選出するか、もっとも平等なのはくじ引きによる選出だろう。
平等原則にこだわるなら、くじ引きで、男女長幼直系傍系の差別をいっさいなくすべきであるということになる。むろん私はこういう考え方にも反対する。
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