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2008/05/15

感想 會澤 恒 「憲法裁判におけるトランスナショナルなソースの参照をめぐって 」

 ブログは他者に読んでもらうのが基本だが、読書カードとしても使える。電子データでプリントアウトできる研究論文は増えていくだろうから、素人なので出来の善し悪しは判定できないが、斜め読みでも多くの量を読んでいきたいと考える。
 上掲の論文『北大法学論集』 58巻4号http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/30250(フルテキストが読める)であるが、テーマがしぼられていて手堅い内容に思えた。
 テキサス刑法による成人間の合意による男色行為の処罰を6対3の票決で違憲判決を下したローレンス対テキサス州事件(Lawrence v. Texas, 539 U.S. 558 (2003))は、先例の1986年のバウアーズ対ハードウィック事件(ジョージア州のソドミー処罰法を合憲とした)を覆したことで大きな反響を呼んだが、私は判例変更に反対であり、ローレンス判決はワースト判決と考えている。
 ケネディ法廷意見はかなり問題があると考えるが、その1つの論点として、法廷意見が先例、バウアーズ判決の5年前に欧州人権裁判所が同意に基づく同性愛行為を禁止する法は欧州人権条約の下で無効としていたのに、合憲判断をとったことは誤りだったとしている点である。
 いうまでもなく、憲法判例で外国の裁判所の判断に追随したり拘束される理由はなく、先例を覆す典拠にはなりれえない。引用は不適切であると考える。いつからアメリカ合衆国は欧州の子分になってしまったのか、そんなばかな。合衆国最高裁と比較したら欧州人権裁判所なんてくだらないし、たいした権威はないでしょ。
 なるほどヨーロッパの趨勢は80年代には同性愛は非犯罪化が進んでいた。しかし外国の意向にふりまわされる必要はないのである。欧州はアメリカと比較して世俗化がすすんでおり、アメリカ人ほど教会の礼拝に熱心とはいえない。だからバッグラウンドは同じではないです。
 スカリア判事の反対意見「この裁判所は、外国のムードや流行やファッションを、アメリカ人に押し付けるべきではない」に賛同します。
 アトランタオリンピックの開会式の行進で欧州の女子選手団や日本の田村亮子なんかが見たくもないミニスカートでしたが、アメリカ選手団はロングスカートだったのをよく覚えてます。アメリカはミニスカートについて日本ほど許容的ではないです。それと同じことですよ。
 ただし私は「被害者なき犯罪の非犯罪化」といったリベラルな刑事政策に賛成なんですよ。とくに売春と賭博ですが、しかし、ユダヤ-キリスト教2500年の伝統、道徳的倫理的基準から逸脱する男色行為を憲法上の権利とすることはないでしょうということです。バウアーズ判決の補足同意意見でバーガー主席判事が「至福千年の道徳的教訓を棄て去ること」はできないとしましたが名文句だと思います。
 合衆国は売春に厳しくて、ネバダ州の一部以外は違法のようですが、もともと西洋文明社会は娼婦は職業として認められていた。古代ヘレニズム世界にコリントだけでなくどんな都市でも神殿娼婦はいたでしょうし、中世であればローマであれ、パリであれどんな都市でも多くの娼婦がいた。コモンローは売春それ自体を犯罪とはしていない。聖職者と娼婦は相性がいいんですよ。売買春は単婚婚姻非解消主義のキリスト的文化を維持するためのコストでもあったと考えます。男色だけ憲法上の権利になってしまうんじゃおかしいじゃないですか。売春婦より同性愛者の政治的発言権が圧倒的に強いからでしょうか。だとすれば政治的な判決のように思える。
 以上は私の意見でしたが、上掲論文は最高裁判例における欧州人権規約や欧州人権裁判所判例のようなトランスナショナルな典拠の善し悪しについて考察しているものですが、結論がわかりにくかった。
 スカリア判事が反対するのは原意主義から論理的な帰結としているが、反対論者の主たる見解は、トランスナショナルなソースによって解釈する技法が、アメリカのコモンローの伝統と相反するものだというものである。しかし、ドレッド・スコット判決やレイノルズ判決、ミュラー対オレゴンのような著名判決でも外国法を参照しており、トランスナショナルなソースの参照が新奇なものであるわけではないということも指摘されている。
 とすると、外国法の参照それ自体、否定はできないだろう。しかし、ローレンス判決の欧州人権裁判所の引用はくだらなさすぎるし、先例を覆すのにくだらない欧州人権規約なんかをたてまつるのはひどいと思ったわけである。

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