痛恨の極みだが、川田亜子のように死ぬことはない
公務員制度改革で玉虫色的表現を残しつつも、団体協約締結権付与に道を開いたとされている決着は痛恨の極みである。http://www.asahi.com/politics/update/0528/TKY200805280116.html。締結権を付与したら公務員が労働組合の職務統制に支配されていく可能性が強い。そもそもこの問題は森内閣の頃から足かけ9年ぐらいになるが、理論的に明快に改革は必要だが、労働基本権は付与しないことが正しいという対抗言論を展開できず8~9年無為に過ごしたことは非常に後悔している。もっともその間に停職1ヶ月の他、特別指導職員とされ昇給停止や、不本意配転、狭心症、心筋梗塞の発作と、手術があり、健康状態も思わしくなかったので、意欲がそがれた投げやりになった面もあるが、しかし川田亜子のように人生に絶望せずに、地道に対抗言論をやっていく予定である。
『海外労働情報』2003年4月号「難航の公共部門、Verdiが賃金協約締結 」
という記事http://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2003_04/germanyP01.htmlにドイツの公共部門ストライキについて載ってます。それによると
「難航を極めた交渉の最終段階で、Verdiは交渉決裂の場合には1月末から新たな戦術を取り入れて無期限ストに打って出る強硬姿勢を示していたが、これに対する使用者側の譲歩の背景には、1992年のOTVのストで、多額のコストとともに市民生活に大きな支障を来したという事情がある。同年の公共部門のストでは、公共部門の労働者と郵便・鉄道関係の職員約40万人が11日間ストライキを行い、この間バスは止まり、郵便は遅配され、収集容器が放置されてごみ収集が滞る等、6大経済研究所の一つミュンヘンのIfo経済研究所の試算では、このときのスト関連の損失は10億マルク(当時)に達したとされる。その意味では、使用者側の今回の譲歩も、ストの損失を回避するためと言える。しかし財務省の試算によると、今回の公共部門の協約締結で連邦・州・自治体にかかる財政負担は、2003年が25億ユーロ、2004年が29億ユーロの合計54億ユーロであり、このような財政負担を招いた使用者側の大幅譲歩に対しては、財政の逼迫する州・自治体レベルの不満は大きい。1パーセントの賃上げで自治体の財政負担は年間7億ユーロ増加するとして、ゼロ回答に近い妥結を要望していたシュラム市町村連合会長は勿論、州・自治体レベルでは、交渉団体からの離脱の声のほか、現行の連邦主導による労組との協約交渉の在り方自体に疑問を呈する声が上がっている。」
ドイツの公共部門にみられるように協約締結交渉が決裂した場合、長期ストを打つぞという脅しは相当きくし、多大の財政負担を強いられることになる。
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