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2008年12月の25件の記事

2008/12/28

アメリカ社会左傾化の危機Card-Check Agreements

 Employee Free Choice Actについては全米独立企業連盟(NFIB National Federation of Independent Business)も当然強く反対してます。http://www.nfib.com/page/cardCheck.html

  アメリカ合衆国では1880~1930年に4300件のレイバー・インジャンクションが発せられました。とりわけ1920年代にはストライキの25%に差止命令が発せられ、秩序の維持と労働組合の抑圧に大きな効果がありました。第一世界大戦への戦時協力としてストを禁止する見返りとしてウィルソン政権が団体交渉を促進する政策を取りましたが、20年代は反労働組合の全米製造業者協会によるオープンショップ運動もあり組合の組織率は低下していきました。当時は団体交渉権なるものは保障されてない。組合を交渉相手とするか否かは経営者の判断でした。デトロイトもオープンショップの健全な都市であり組合の組織化を抑止してました。
  アメリカで産業別組合が台頭したのは30年代以降です。UAWが結成したのが1935年であり、GM・クライスラーが組合を承認せざるをえなくなり団体交渉を行ったのが1937年でした。
  20年代のように低い組織率で推移していればアメリカは健全な社会でした。ところがフランクファーターのような左翼急進主義者が反インジャクション法を仕掛けて、組織労働者の味方をしました。赤い30年代と言いますが、1932年ノリス・ラガーディア法。これは反インジャクション法、平穏で暴力的でない労働組合活動を保護し、黄犬契約の裁判上強制力をもちえないこととし、特に労働紛争への連邦裁判所の差止命令を制限することにより、全米製造業者協会のオープンショップ主義とレイバーインジャンクションの多用により20年代に著しく衰退した労働組合を生き返らせ財産権を否定する超悪法でした。
  1935年のワグナー法。これは民間企業の団結と団体交渉を推進、組織労働者保護のため雇用主による不当労働行為の禁止を規定した超悪法です。
   きわめて悪質で誤った労働政策がなされましたが、、産業別組合を台頭させたもう一つの要因が、大恐慌による失業者の増大です。1932年6500社の調査ではフル稼働体制を維持しているのは僅か26%に満たず、週5日以上操業している企業は28%、工場労働者全体の56%が通常の59%の時間しか働けないパートタイム労働者だった。USスティールは1929年に22万5千人の労働者を雇用していたが1933年4月には完全就業者がゼロになり、パートタイム労働者だけになった。失業者と罷業者の団結でマスピケッティングに動員されても、以前はレイバーインジャンクションという手段がありましたが、ノリス・ラガーディア法により差止命令に歯止めがかけられたこと。労働者がストライキやピケッティングによる圧力行動をかけることが容易になり、ワグナー法で団体交渉の奨励が産業平和のための国策とされたためです。これは自由を否定する反アメリカ的な政策だと私は思います。
   1942年に設置された全国戦時労働委員会は、戦争協力のため労働組合にストライキを放棄させる一方、労働協約締結期間中の組合離脱を禁止し、それを保障するためのチェックオフを導入した。組合の組織維持と拡大は容易になり、労働組合員は1941年の1020万人から、1945年の1432万人に増加し、アメリカの産業別組合は、ニューディール立法で存立基盤を与えられ、戦時中の労働組合保護政策により強力化しその地位を確立させたのである。
 このように1935年ワグナー法は団体交渉を推進し労働組合に権力を与えました。しかし1947年のタフトハートレー法 は強くなりすぎた労働組合の権力を削ぐための ワグナー法の修正であリ、全米製造業者協会、共和党、南部民主党、組合不在企業により推進され、トルーマン大統領の拒否権発動を覆して成立した。排他的交渉代表制度という枠組み自体はワグナー法を継続するが、ワグナー法の「団結する権利、労働団体を結成・加入・支援する権利、自ら選んだ代表者を通じて団体交渉を行う権利、および、団体交渉またはその他の相互扶助ないし相互保護のために、その他の団体行動を行う権利」に対し、「それらの行動のいずれかを、またはいずれも行わない権利を有する」(7条) と定め消極的団結権、団体行動を行わない権利を労働者に付与して、労働組合主義奨励ではなく、中立立法としたのである。
 私は、ワグナー法を廃止するのが最善だったと思いますが、1947年タフトハートレ-法によって、一応アメリカ社会は自由社会として比較的健全なあり方に戻ったと言って良いと思います。

 実際よく知られている、アメリカの代表的な企業の多くは組合不在企業です。IBM、マイクロソフト、ウォルマート、インテル、プロクター&ギャンブル、コダック、ヒューレットパッカード、シスコシステムズ、デル。
 組合不在企業には良い企業文化があります。オープンドアーポリシー、シングルステータス、人当たりの良くて風通しの良い企業文化。こうした企業が組合不在であるのも、タフトハートレー法のおかげです。
  労働組合は、より組織化しやすい法律に改正しようとしてます。Employee Free Choice Actによってタフト・ハートレー法の中立立法から、あの忌まわしいニューディール時代のような団体交渉奨励型の政策推進に転化することになりかねません。
 もしウォルマートが組織化されれば時給ワーカーの賃金は3ドル賃上げするでしょう。しかしウォルマートの優れたエンパワーメント型の文化は失われ、三流企業に転落するでしょう。レーバーコストの増大で競争力を失うでしょう。
  アメリカ合衆国はついに民主主義を否定し葬り去ります。サッチャー首相は、労働組合民主化のために、スト権投票等の郵便秘密投票と第三者の監査を義務づけました。集会で挙手による多数決では扇動されるからです。多数決は秘密投票がもっとも公正なあり方であることは言うまでもないです。署名と無記名秘密選挙では違うんです。職場で赤い羽根の募金があれば、払いたくなくてもついつい募金したりします。署名も同じことで、威圧や圧力がきくのです。
 ところがほとんど左翼と思われる次期大統領オバマは組合設立の可否を問う無記名秘密投票の否定に賛同してます。カードチッェクだけで組合が交渉代表となれる制度に変えようと言うわけです。
 労働組合によって組合設立に署名しない従業員は、威圧され、ハラスメントされ、つきまとわれるでしょう。組合にとっては選挙で戦うより組織化が楽になります。ターゲットは署名しない従業員です。一人一人て落とせば良いわけです。威圧して、脅してすかして。根負けして署名する従業員が出るでしょう。この法案が成立すると組合に無防備な中小企業は相当荒らされると言われてます。
より深刻な問題はこの法案では使用者側に組合に加わるべきでないかを労働者に説明する機会がなく、強制仲裁が労働組合に有利とされており、労働組合側に加担した立法であることです。
 Employee Free Choice Actは従業員自由選択法というのは偽りです。従業員を組合の圧力に晒して、自由な選択の機会を奪います。ビジネスにとっても従業員にとっても悪い法案です。しばらく共和党優位の時代が続いていたので油断していました。組合を寄せ付けなかった優良企業も安閑としてはいられません。巨悪労働組合は攻撃を開始します。古典的自由主義・リバータリアンはこの法案が通過すると窮地に陥ります。猛烈な反撃が必要です。

減らしすぎた労働時間

日本リサーチ研究所総合研究所のレポートで「100年間で1200時間の短縮」という記事があります。http://www.research-soken.or.jp/reports/digit_arch/labor02.html20世紀初頭は年間労働時間3000時間、1960年代は年間労働時間2500時間だったのが、現在は1900時間台まで減っている。英米やオーストラリア人より日本人は働かなくなりましたが、これは労働者保護立法の労働行政の不必要な締め付けによるところが大きい。経済のサービス化ソフト化が進んでいるのだすから、労働時間は長くなってよいはずなのに、その上に、ワークライフバランスで有給休暇完全消化だのノー残業デーだの規制を強めるからますます働からせない主義になっている。このデータだと戦前は年間3100時間、週あたり60時間労働はあたりまえだった。省力化の進んでいる現代なら、ホワイトカラーなら最低でも週58時間、70時間ぐらい働いてもくたびれることはない。規制のないレッセフェールならもっと日本人は勤勉であったはずでこんなに堕落してなかったはず。
 さんざん書いてますが、労働基準法はオーパーホール、団体主義から個別主義へのパラダイム転換が必要だか、自己決定を否定して規制しないと気がすまない人があまりにも多すぎて困る。本当に自由主義が嫌いな人ばっかりだ。例えばこういうことがありました。家事都合で金曜日に休みを取るため週休日変更したい、金曜は休むが土曜は出てきたいと管理職に申し出たら、激しく怒りだし、週休日変更でなく夏休みを取れとの官僚主義的な対応。土日出勤についても労働組合の事前協議を盾に認めないし、労働協約金科玉条で統制することが管理職の仕事、組合役員を怒らせないことが最大優先だら非行でもやったように激しく怒り出す。ワークライフバランスと言うなら、週休日変更など柔軟な対応があっても良いはずと言っても、絶対認めない。管理職は労働組合役員と同じように職務と労働時間を統制し、仕事をできるだけさせない。夏休みを完全に消化させることが仕事になっているわけです。銀行でローンを組むとか、司法書士に依頼するとか、家族の看病とか、平日休まないと家事が進まないことってあるでしょ。住民票とるんだって例えば第三日曜しか区役所やってなかったりするから。しかし仕事も放り出せないので、かわりに土日に出てきたいと言ってだめだとなると、結局家事のほうをあきらめなければならない。
 かたづけるべき仕事を次週に持ち越すと負荷になってかえって能率が悪くなるとか、夏にがんばってやれば、下半期がスムーズに行くとか言っても絶対わからない。仕事をストップさせるだけで、目標達成感のある仕事をさせない管理職は癌みたいなもので、現代企業の組織のフラット化、権限委譲、エンバワーメント、顧客第一主義の趨勢にも反している。
 週休日も必要ないんです。現行法制と二重官僚主義体制(水道局のようなジョブコントロール型ユニオニズムの職場では、職制と組合の二つの官僚主義的組織があって風通しが悪い)は本当に駄目ですね。実際、ホワイトカラーエグゼンブションのようにラッシュのない土日も働いたほうが楽なんですよ。週休2日で平日5日毎日遅くまで仕事していると、夜食で膵臓に負担がかかって糖尿病になりやすいし、実際健康のためにも、日本電産の社長のように毎日規則正しく働いたほうが健康に良い。

2008/12/27

UAWは2700万ドルのリゾート所有とか

 保守的なニュースサイトCNSNews http://www.cnsnews.com/public/content/article.aspx?RsrcID=41148がUAW2700万ドルのリゾートについて記事にしてます。とくにブラック湖のゴルフ場はレースジョーンズの設計で、ゴルフダイジェストでも評価の高いコースです。ここに研修センターがあります。
 dcexaminerの記事 http://www.dcexaminer.com/opinion/Should_UAW_Sell_its_Championship_Golf_Course.htmlによるとUAWのロン・ゲトルフィンガーは16万ドルの収入があるそうです。GMのリチャード・ワゴナー会長の昨年の年俸1400万ドルと比較すれば少ないが、高所得者であることに違いない。

 ミシェル・マルキンのブログにゴルフ場のことが書かれてます。http://michellemalkin.com/2008/12/16/money-pit-the-uaws-gold-plated-golf-course/

レクリエーション施設は、現在、2つの完全サイズのバスケットボール・コート、オリンピックのサイズの屋内のプール、および運動がある美しい体育館を含んで、卓球、玉突き台、サウナ、ビーチ、ウォーキング、自転車用道路、ソフトボール、サッカー競技場があります。

 ビッグ3のトップの年俸1ドルと、自家用ジェット使うなはひどすぎるので同情しますが。

2008/12/23

Employee Free Choice Act は違憲とリチャー・ドA・エプステイン教授

   民主党優位の新議会とオバマ次期大統領でもっとも懸念していること。それは労働組合が後押ししているEmployee Free Choice Act「EFCA」 です。下院は承認しているが上院はまだ承認していない。ブッシュは拒否権を発動するから安心でしたが、オバマは労働組合の応援の見返りとしてこの法案を推進します。この四半世紀に、合衆国の労働組合の組織率は20パーセントから12パーセントに低下しました、そして、多くが公務員です。 労働統計局によると、民間企業の従業員の組織率は7.5パーセントです。組織化組合承認を容易なものとするとともに凋落傾向から回復しようと言うのが組合側のねらいですが、左寄りの政策で到底容認できるものではありません。このような法案に加担するオバマは危険な大統領だと思います。
 連邦労働関係法(National Labor Relations Act 「NLRA」)は、組合と会社の関係についての規則と手続を定めた法律です。アメリカの特徴は排他的交渉代表制度ですが、適正な交渉単位で3割の署名を得ると組合代表選挙が申請され、過半数の支持で組合が承認され交渉代表となります。「EFCA」はこの法律の重要な改正になります。増田船井法律事務所のサイトから引用します。現行の制度は「NLRAは、従業員に対して組合に加入する権利を認めているが、また組合に加入しない権利も認めている。従業員は、組合授権カードに署名することによってその権利を行使する。会社の従業員数の30%+1名がこのカードに署名すれば、組合は、連邦労働関係委員会(National Labor Relations Board)(「労働関係委員会」)に選挙の実施を申し込むことができる。選挙では、各従業員が個別の投票ブースで無記名投票を行う。組合は、どの従業員が組合に賛成投票をしたのか、または反対投票をしたのかを知ることはできない。投票した従業員の数の50%+ 1名が組合を支持すれば、組合の勝利となる。組合が従業員を代表することになると、組合と会社は交渉し、両者が合意できる賃金、諸手当および労働条件などを含む契約が結ばれる。」
   法案は「従業員数の50% + 1名が組合授権カードに署名すれば、組合は、労働関係委員会に対して、組合が従業員を代表することを記載した法的認証証書の発行を求めることができる。また、従業員は、従来のように個別の投票ブースで無記名投票することもなくなる代わりに、組合員が公の場で従業員を勧誘することになる。従業員は、組合員や同僚のプレッシャーを感じ、組合に参加するかもしれないし、組合は、従業員から組合授権カードの署名を集めて、それにより組合を結成しようとするだろう。多くの従業員は、組合授権カードの意味を理解していないだろう。政府が、組合について、そして組合が従業員らの生活や会社業務に与える影響について知識のない従業員に対して、組合結成を強要するようになってしまう。」引用http://www.masudafunai.com/jpn/?  労働組合の勢力強まる‐対処する準備はできていますか?PDFhttp://www.masudafunai.com/jpn/pdf/Client%20Advisory%20EFCA%20110508%20(Rev%2011-5-08)%20amkslj%20(formatted).pdfとされています。

 この法案は労働組合に有利で、これが成立すると企業は対策が必要になります。

ウォールストリートジャーナル12月19日ににシカゴ大学のリチャードA・エプステイン教授 (リバータリアンとして著名な学者)がEmployee Free Choice Actは違憲との論評を発表してます。http://online.wsj.com/article/SB122964977342320545.html

関連するワシントンポスト
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/08/AR2008120803408.html?wprss=rss_politics&referer=sphere_related_content

山崎憲「オバマ次期大統領と労働組合の将来」 

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jalm/n_jalm/jalm.html

2008/12/20

制限的労働規則が問題だ

  アメリカの産業別労働組合で何が問題かというと 制限的労働規則(restrictive work rules)である。労働組合による仕事の制限、統制である。「工場内における職務を細分化し、個々の職務範囲を極めて狭い範囲に限定するものである。このため、単一の工場内における職種が数十種類に及び、組合は個々の職種ごとに賃金等を設定し、仕事の規制を行うので、職場組織は極めて硬直的となる。」  http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpyj199401/b0055.html
   日本は戦前から大企業が存在し、新技術の導入と人員配置は経営者の強い権限を持つモデルなので、柔軟に対応できるが、アメリカの組合セクターはそうではない 。米国に進出した日系自動車工場がUAWの組織化を嫌うのも主としてこの理由である。「米メーカー並の複雑な就業・作業規則などを締結すると‥‥規則に手足を縛られ‥労働者の配置転換1つを取っても、大きな困難となる。」http://www.jil.go.jp/mm/kaigai/20010829b.html
  さらに、組合セクターは従業員の競争を排除するので、個別の査定による業績給が導入できない。同志社大学大学院教授佐藤厚のコラムから引用すると「組合員内部には、階層格差が全くなく、したがって入職してから経験を積むにつれてより上位の地位に昇進するキャリアもない。細かくみると、チームリーダーには多少の上乗せ賃率(時間当たり0.5ドル)があったり、修理などを行う保全労働者とラインのオペレーターとでは時間賃率に差があったりするが‥‥働きぶりの個人差を反映する査定や熟練形成に伴う昇進キャリアのない世界」なのである。日系企業には職長への昇進キャリアがある。http://sosei.doshisha.ac.jp/column/07.html
   北米日産の工場に組織化を仕掛けても、大差で組合設立が否認されている。http://www.jil.go.jp/mm/kaigai/20011017a.htmlオハイオやインディアナに工場のあるホンダの組織化も困難である。労働者もUAWのような制限的労働規則では、生産性が向上せず、結局競争力を失うことがわかっている。

2008/12/18

Michael Barone記事の感想

    私は単純明快にワグナー法労働組合主義を悪とみなします。従って組合代表選挙それ自体反対ですが、無記名秘密投票から労働組合に有利なカードチッェクにすることは強く反対です。1930年前半までデトロイトは組織化を抑止していました。しかし労働組合は大恐慌によって失業者があふれると、失業者をピケットラインに動員して、スト破りを防止しました。要するに暴徒を動員して組合は強くなりました。UAWは1935年に結成されますが、1936年~37年は全米的に座り込みストライキという悪質な態様のストライキが ありました。この悪質なストライキによりUAWはGMより組合として承認されました。つまり自動車産業とUAWの団体交渉は70年の経過を経ています。
  政治評論家Michael Baroneの Who Is at Fault for the Decline of the Big Three?と言う記事http://www.aei.org/publications/pubID.29074,filter.all/pub_detail.aspを読みましたが Michael Baroneはワグナー主義はテイラー主義への応答だったとしています。この見解に私は反対です。もし大恐慌がなければ、ノリスラガーディア法やワグナー法といった労働組合に権力を付与する立法がなければ産業別組合が台頭することはなかった。ただBaroneが言うように 現代の産業構造はテイラー主義はほとんど死んでいます。百歩譲っても労働組合のジョブコントロールはテイラー主義を緩和させる意義を持たず、競争力のない産業にするだけです。

UAWの非能率な就業規則では優秀な環境対応車は造れない

  マークJ.ペリー教授のブログに UAWの 非能率な組合就業規則を厳しく批判 する  Mickey Kausのslate.comの記事を引用しているものがあります。http://mjperry.blogspot.com/2008/12/web-of-inefficient-union-work-rules.html http://www.slate.com/blogs/blogs/kausfiles/archive/2008/12/12/where-do-unproductive-work-rules-come-from.aspxフォードは2215頁、GMは1000頁になります。ワグナー法労働組合主義とはこういうものだ。組合セクターは厳格な職務統制、団体協約で定めた分業組織が硬直的で新技術を導入しにくい。UAWが典型である。組合員は、団体交渉で獲得した仕事規則を盾にしてひたすら権利を主張し制限された仕事しかしないし、柔軟に対応できないのである。
  新技術導入と人員配置に経営者が強い権限をもっている日本企業の方が競争力で優位にあったのはそのためである。むろんアメリカの組合セクターのレイオフは利点はあったが、下方賃金の硬直性、労働過程における厳格な職務統制はレイオフができるメリットを相殺して余りある。                               
slateの記事は「GMとフォードが米国に高いMPGの小さい車を造ることを強制することによってデトロイトを救うことができると思うなら民主党員が勘違いしている理由です」労働組合の厳格な職務統制、効率の悪い仕事規則では無理と言ってます。

2008/12/17

Todd Zywicki 教授 チャプター11-非能率な組合就業規則を潰す-強制調停失敗-労働協約無効化のプロセスが最善のとの論評

   12月16日のウォールストリートジャーナルGeorge Mason University School of Lawの Todd Zywicki 教授のオピニオンでデトロイト自動車企業は倒産させ、仕事を制限し柔軟に対応できない厄介な組合就業規則を潰す。強制調停のプロセスが失敗すれば団体協約は無効となり、組合は解体するシナリオが最善みたいなことを言ってます。Bankruptcy Is the Perfect Remedy for Detroit http://online.wsj.com/article/SB122939117718809261.html
   Zywicki 教授は法的な人気ブログhttp://www.volokh.com/の寄稿者です。この記事を引用しているのがマーク・J.ペリー教授(ミシガン大学フリント校)のブログです。ミシガン州はビッグ3の本拠地でありますが、Mackinac Center for Public Policy という新自由主義-経済自由主義-反労働組合のシンクタンクがあります。ここのメンバーで、歯切れ良く市場経済原理の主張を行ってます。Let's Not Spend Our Money to Avoid Reality Check と言う記事http://mjperry.blogspot.com/ 又、ビッグ3の一時間あたり73.20ドルの労働コストを宣伝したのもこの人のようです。自由主義経済のためにトヨタ・ホンダ・フォルクスワーゲンが米国自動車産業を引き継いでかまわないとの歯切れの良い見解です。76のコメントがついてます。http://mjperry.blogspot.com/2008/11/should-we-really-bail-out-7320-per-hour.html
   ケイトー研究所Daniel J. Mitchell の救済お断りという記事も読みました
   http://www.cato.org/pub_display.php?pub_id=9787  UAW労働者の金遣いの荒い年金給付効率の悪い仕事場規則を潰すべきだと言ってます。救済はアルコール患者にボトルをプレゼントするようなもの。

Daniel Ikensonのコラムの感想

 
要旨   GMの高い固定費は労働協約によるもの。高固定費産業はリストラせざるを得ない。需要が下降の状況をしのげるのは組合不在の外国メーカーと明言。
一口で言うと高固定費の組織労働者を抱えているオールドエコノミーは潰れて当然。

ケイトー研究所のDaniel IkensonのコラムCut out organized labor, and GM survivesを読みましたがhttp://www.latimes.com/news/opinion/la-oew-burtless-ikenson4-2008dec04,0,2031804.story
  高い固定費は団体交渉の結果であるとして、やはり団体協約がビック3を苦境にした原因としています。需要が下降した状況を乗り切れるのは非組合セクターの外国メーカーと明言してます。
   三和総合研究所の2001年の「米国労働市場の柔軟化と産業競争力の回復」とというレポートhttp://www3.keizaireport.com/jump.cfm/-/ReportID=674/によると、「80年代以降、製造業を中心に競争力の低下に苦しんだ米国企業は、ダウンサイジング、リストラクチャリングにより経営の効率化・競争力の強化を図った。また、従来は固定費とみられていた人件費を需要の変動に合わせて調整する「人件費の変動費化」が進んだ‥‥米国企業は、人件費の変動費化を進めることで収益力の向上を図った。‥‥米国企業の人件費の変動費化を目指す動きにより労働市場が柔軟化し、労働力の移動は活発になり、結果的に米国経済も復活を遂げた」
 とありますが、GMは逆なのです。全米自動車労組は労働組合の中でも豊かな年金とヘルスケアを獲得していますが、元々、福利厚生を充実していたのはコダック、IBMシアーズなど組合不在企業の特徴でした。ウェルフェアキャピタリズムと言います。しかしコダックもIBMもシアーズも90年代にリストラせざるを得なくなり、これらの企業は90年代以降 福利厚生も見直しの方向となりました。競争力を回復するには「人件費の変動費化」を進めるべきでしたが、GMはUAWとの団体交渉があるため高固定費構造が不可避だった。
 

2008/12/16

南北対立-UAW 対非組合南部の構図(2)

  UAWの組合員はミシガン、オハイオ、インディアナ、イリノイ、ペンシルベニア、カリフォルニア、ウィスコンシン、ミズーリ、ニュージャージー、アイオワの各州に多い。PDF http://www.jil.go.jp/jil/kaigai/jihou/2001_12/200112tokushu.pdf
とされてますが、主として北の州です。しかしテネシーにもGMの工場があって3500人を雇用している。Bob Corker 上院議員に怒っているということですし、南東にもUAWの組織化した工場はあります。、ディーラーや関連産業もあるので、ビッグ3がこけると南部にもかなり影響があると考えられますが、それでもUAWが効果的に解体されずにビック3を救済することには反対です。Bob Corker 上院議員がやったことに驚喜する理由-危機が好機です。赤い1930年代に出現した産業別組合という悪の1つをこの際駆逐できればそれにこしたことはありません。産業別組合がのさばったのは、大恐慌後の30年代以降の歴史です。1920年代はデトロイトも組合の組織化を抑止していました。

南北問題を扱った記事として次の記事があります。  http://www.boston.com/cars/news/articles/2008/12/15/auto_aid_views_fall_on_north_south_divide/
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/13/AR2008121302207.html?tid=informboxワシントンポスト
  http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article5342459.ece
タイムズ
http://thefeeherytheory.com/?p=346
  ブログ

南部共和党議員は外資系企業の利益を代弁しているのではない(1)

   産経新聞に南北地域対立の構図をわかりやすく解説した記事があります。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081214-00000073-san-intビッグ3救済法案が廃案となったのは企業救済に厳しい見解を持つケンタッキー、テネシー、アラバマ、サウスカロライナ選出などの共和党上院議員が人件費引き下げを次期労働協約改定期と主張した全米自動車労組と折り合わなかったためですが、ケンタッキーにはトヨタの工場があり7千人を雇用し、テネシーには日産北米本社と工場があり、フォルクスワーゲンも誘致して現在工場を建設中、アラバマはメルセデスベンツ、ホンダ、ヒュンダイの工場がある。サウスカロライナはBMWを誘致し4500人の雇用がある。これらの工場は組織化されてないが、労働組合支援派には南部共和党議員は外資系企業の利益を代弁して、ビッグ3を潰そうとしているといったばかげたことを言う人がいますが間違いです。
 2001年にテネシーの日産スマーナ工場の組合代表選挙がありましたが、http://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2001_11/americaP03.html3103対1486というダブルスコアで全米自動車労組は屈辱的敗北を喫しており、南部と日系企業の組織化が難しいことを浮き彫りにしました。しかし、2001年海外労働時報の記事によれば南東部においても2000年以降8つの自動車部品工場で組織化に成功して、実績を上げているとのこと。私自身組織化が難しいとされているノースカロライナ州ガストニアのトラック工場が組織化されたニュースも知ってますし、景気後退期には全米自動車労組もそれなりに健闘していることは知ってますが、しかしながら日系の自動車組立工場の組織化は成功した例は少ないとされてます。海外労働時報2001年12月号の荻野登の記事PDF http://www.jil.go.jp/jil/kaigai/jihou/2001_12/200112tokushu.pdfによるとUAWに組織化されている日系工場は、NUMMI(カリフォルニア州、トヨタとGMの合弁)、AAI(ミシガン州、マツダとフォードの合弁)とMMMA(イリノイ州、 三菱自動車)の3工場だけ。いずれの工場もUAWに組織化されていた工場を土台に再スタートした工場であり、グリーンフィールドにできた工場は組織化されてない。とくに南部の立地では難しいと考えられます。
 労働政策研究・研修機構『海外労働時報』2001年12月号に「UAW、北米日産組織化の研究」特集PDF http://www.jil.go.jp/jil/kaigai/jihou/2001_12/200112tokushu.pdfなどのによると、日産がUAWの組織化攻勢を大差で阻止できた理由として、UAWは仕事量の増加と、退職後の給付が少ないところを攻めたが、テネシーの日産労働者は地域の賃金水準より高い水準の賃金を得ており、日産はノーレイオフ政策なので満足している。UAWは一時解雇時の所得保障に厚いが、日産の労働者は雇用保障を望んだ。そのほか日系企業に特徴的な内部昇進のチャンスなどもあるだろう。日産側の対抗言論もきいているようだ。米国のタフト・ハートレー法では使用者側に組織化への対抗言論が認められている。組合を設立しないメリットを表明することができる。南部は組合に好意的でない風土があるからなおさらである。
 (続く)

2008/12/14

もはやビッグ3が問題ではなく、UAW 対非組合南部の構図になってます

 当選1回(2006年)のキャリアでビッグ3救済廃案を主導したテネシー選出のBob Corker 上院議員(共和党)が一躍スターになりました。http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601070&sid=aJAYB_AoQSLs&refer=homeもともと有能なビジネスマンで商用不動産業からチャタヌーガ市長の経歴があり、個人資産1919万ドルを有してます。
 全米自動車労組は労働組合叩きだとしてBob Corker上院議員をはじめ南部の共和党議員を激しく非難してます。http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/12/AR2008121203592.html?hpid=moreheadlines http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/12/AR2008121204128.html?hpid=sec-businessテネシーは日産の北米本部があり、フォルクスワーゲンの工場も誘致して建設中です。全米自動車労組は2001年にスマーナ日産工場の組合代表選挙を行いましたが、3103対1486の大差で組合設立を否認しました。つまり非組合です。日産に限らず、外資企業の自動車組立工場の組織化は成功してません。フォルクスワーゲンも組織化はあり得ないと考えられます。Bob Corker 上院議員は日産やフォルクスワーゲンといった外資系工場なみの賃金以下にしないと救済できないとかホームページに書いてます。http://corker.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=NewsRoom.NewsReleases&ContentRecord_id=16ff0b53-c12f-431f-5ce5-b9448c91f7d1
 "The UAW Versus The Non-Union South"というブログhttp://mothanskin.blog-city.com/the_uaw_versus_the_nonunion_south.htmを読んだんですが、トヨタ、ホンダ、日産、BMW,ダイムラー等の外国企業の工場は組織化されていないとあります。もちろん、国内のトヨタや日産、ドイツの、BMW,VWには組合がありますが、アメリカ合衆国では3割の署名を得て組合代表選挙で過半数を得ないと組合は交渉代表にはなれない制度で、使用者側の対抗言論も保障されているので、南部などの保守的な州では、よほど攻勢をかけないと組織化は成功しません。南部の組合なき経営戦略、南部を中心とする22州の労働権法が反組合的立法であること。南部の組織率は低く、それが工場誘致と経済成長の要因となっていることなどは、昨年四月のブログhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_2abf.htmlで書きました。テネシーは労働権州で、組合組織率が近年著しく低下した州です。というより非労働権州のオハイオ、インディアナ、ケンタッキーなども含めて、私は詳しく調べてませんが、乗用車の大抵の場合外国企業の工場は組合不在で全米自動車労組に職務統制されません。
 要するに競争力があるのは組合不在の外国企業の工場でそれはレーバーコストと能率で全米自動車労組が支配するビッグ3に勝るということです。元々、1920年代のデトロイトはオープンショップで、組合の組織化を抑止してきました。その時代に戻るほかないということです。
 つまり、ユニオンバスターしないと、ビッグ3は救済しても競争力のある企業に再建できないということで、私は共和党議員を支持します。ただ私はBob Corker 上院議員より、より明確に反労働組合のサウスカロライナ選出のJim DeMint 上院議員を高く評価したいと思います。
 

2008/12/13

デトロイトフリープレスの自動車メーカーのレーバーコスト記事の感想

  共和党議員はレーバーコストを問題視しました。この点についてデトロイトフリープレスに比較表が出ています。http://www.freep.com/article/20081212/BUSINESS01/81212117/0/BUSINESS01平均時給それ自体は日産25ドル、ホンダ27.62ドル、フォード29ドル、GM29.78ドル、トヨタとクライスラーが30ドルで日本企業がとくに安いわけではないが、退職者年金、ヘルスケアも含めた総コストで差が出ている。
1時間あたりの総コストGM69ドルに対し、トヨタ48ドル、ホンダ47ドルである。 全米自動車労組は所得保障、福利厚生が厚すぎる。共和党議員の主張はもっともだ。

マークJ.ペリー教授の見解の感想

   ミシガン大学フリント校の マークJ.ペリー教授のブログを読みました。http://mjperry.blogspot.com/2008/11/union-flashback.html
ビッグ3は1960年に90%のシェア、今日は47%のシェアですが、労働組合が組織されてない(非組合セクター)トヨタ、ホンダ、日産など北米工場に浸食されたと言うことです。市場で非組合セクターの競争力が上回っている以上、組織化された労働者を抱えている企業の衰退は当然。市場の規律に従って退場ということです。
  さらに、ホンダのインディアナ州グリーンズ゜バーグの新工場(組合不在)を紹介してます。UAWに組織化されたビック3の労働者より10ドルもしくは18.41ドル時給が安いと言ってますが本当でしょうか。いずれにせよビック3がレーバーコストが高く工場は老朽化していて競争力はないということです。http://mjperry.blogspot.com/2008/11/other-side-of-bailout-story-honda.html、左派のブログも読みましたが、http://firedoglake.com/2008/12/11/republican-senator-admits-opposition-to-auto-bill-is-all-about-union-busting-compares-uaw-to-parasites/
DeMint上院議員が本音を語っている。労働組合主義をフジツボにたとえてます。ビック3を再建するならこびりついたフジツボを除去して、競争力のあるファーストクラスの自動車会社に再建すべきだということでしょう。私も賛成です。

Jim DeMint 上院議員のいうUAWがデトロイトの苦境の要因とする見解は基本的に正しい

  救済法案廃案の原因は、共和党議員がUAW(全米自動車労組)に、ホンダ、トヨタやBMWなどの外国企業との競合関係から賃金を削減するよう求めたことです。
APによると http://www.latimes.com/business/la-na-autobailoutfails12-2008dec12,0,706168,full.story GMの普通のUAW労働者では時給29.78ドル、トヨタは時給約30ドルでほとんど変わりませんが、GMの43万2000人以上の退職者の年金と健康管理コスト等を含めた総労働コストは労働時間1時間あたり69ドル、トヨタは年金と健康保険給付のコストを含めても1時間あたり約48ドル。(1時間あたりのコスト約70ドルではトヨタも引き取ることは無理との記事http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000000-sh_mon-bus_all
  労働コストが1時間あたり70ドルもかかっている企業に税金を投入できないという主張はもっともです。
  私はプライベートジェットのコストなんてたいしたことないし、年俸1ドルでは張り合いがなく、みのもんたに笑いものにされた3社のトップに同情します。組合不在企業なら、IBMであれマイクロソフトであれ、インテルであれウォルマートであれホームデポであれ、企業のトップは果断な措置がとれるのでしょうが、組合が組織化されている企業はそうはいかない制度になっているから、民主党議員の経営者叩きは反対です。高コスト構造の要因はUAWですよ。
   ロサンゼルスタイムズhttp://www.latimes.com/business/la-fi-gopunions13-2008dec13,0,7596596,full.storyの記事によって、労働組合批判の急先鋒の1人が  サウスカロライナ選出のJim DeMint 上院議員(共和党)であることを知りましたが、そこで DeMint 上院議員のホームページを見ますとhttp://demint.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=PressReleases.Detail&PressRelease_id=2cf442f2-f9f2-ba5a-7bae-4f66c56e8569とビックスリーでは全米自動車労組UAWが労働者の上に君臨して、労働条件を定め統制しますから、組合不在の工場より2倍の運用コストがかかっていると言います。
  又、組合が交渉代表となると強制的に組合費を徴収している28州のあり方を非難し、南部をはじめ22州で制定されている労働権法(Right to Work law)http://www.nrtw.org/rtws.htmを賛美しています。労働権法とは雇用条件として労働組合員たることを要求されない被用者の権利-結果として全ての組合保障条項が否定され、被用者に組合加入、組合費徴収を強制されません。もちろん、労働権法州でも全国労働関係法により、適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合は排他的交渉代表権を得ますが、労働権法のない28州ではエージェンシーショップを(フリーライダー防止の観点から組合費を全労働者から強制徴収する協定)結ぶことを否定できないので、ユニオンショップは免れても組合費を強制されます。
   要するに、同上院議員が言っているのは例えばドイツのBMWはサウスカロライナのグリーンヴィルに工場がありますが、これはサウスカロライナの労働組合組織率が低いことが工場誘致の要因となっています。合衆国の健全な自動車メーカーの工場はまさしく労働権州に位置していると上院議員は言うのです。もっともインディアナのように、労働権州でなくても保守的な州もあるのでこの見解は精査する必要がありますが、労働権州が競争力で上まっており、非労働権州でUAWが支配しているビッグスリーは高コスト構造という指摘の大筋は間違ってないでしょう。
  鉄道労働法はユニオンショップを認めているが、タフト・ハートレー法は労働組合にも不当労働行為を設け、ユニオンショップについても数々の規制を設け、ユニオンショップ協定のもとでも、組合に対する誹謗中傷、組合秘密の漏洩、スト破りを理由に解雇を要求できなくし、不当に高額な組合加入費を要求することもできなくし、ショップ制は事実上組合費徴収の手段となったともいわれてます。しかし、組合が組織化されると、少なくとも、エージェンシーショップはとられるので、組合の資金源になるのです。同上院議員は強制的労働組合主義に反対しこの体制が労働組合を傲慢にしているとのことです。
  Jim DeMint 上院議員は共和党でももっとも保守ということですが、ワシントンタイムズの上院議員のコラム http://www.washingtontimes.com/news/2008/oct/16/un-american-activities/ で反労働組合の主張が読み取れます。多くのアメリカ人は組合を頼ったり闘争することより。組合がない職場で、直接管理で業績により報酬を得る作業環境の維持を望んでいると述べてます。
 

悪いニュース  N.C. 世界最大豚屠殺解体処理工場で組合設立成功

   労働組合組織率3%と全米でもっとも低いノースカロライナ州において、フェーエットビル近郊の労働者約4500人という巨大な工場(スミスフィールドターヒール工場)で組合代表選挙がありましたが、2,041対1,879と組合設立賛成52%でUFCW(国際食品商業労組)が辛くも勝利しました。
http://www.charlotteobserver.com/business/story/410452.htmlシャーロットオブザーバー
http://www.newsobserver.com/business/story/1330939.html ニュースオブザーバー
http://www.forbes.com/feeds/ap/2008/12/12/ap5816523.html AP
http://hamptonroads.com/2008/12/smithfield-food-workers-union-start-contract-talks-early-09
The Virginian-Pilot
http://money.cnn.com/news/newsfeeds/articles/djf500/200812120654DOWJONESDJONLINE000597_FORTUNE5.htm ダウジョーンズ

http://www.reuters.com/article/marketsNews/idUSN1141062820081212ロイターhttp://www.nytimes.com/2008/12/13/us/13smithfield.htmlニューヨークタイムズ

ロイター記事によるとスミスフィールドは合衆国で豚肉で31%のシェア、養豚で17%の巨大企業ですが、5万8100人の従業員のおよそ51パーセント、2万8800人が組合に代表されていました。しかしAP記事によるとノースカロライナ州は労働権州なので組合が交渉代表となった職場でも、労働組合に加入せず、組合費を払わない労働者の権利があり、この工場では組合費を払わない労働者が多くなる可能性を示唆しています。シャーロットオブザーバーによると労働組合反対派は今回の組合の勝利にも関わらず、ノースカロライナで組合が足がかりを得たわけではないと述べているということです。又、組合は経済成長に水を差して、時々労働者に不当な契約を強要するという、反組合団体のスポークスマンのコメントも載せています。
  UFCWは合衆国とカナダで精肉業、家禽、食品加工、食品を扱うスーパーマーケットなど で140万人の労働者の交渉代表となっているが、約100万人はスーパーマーケットである。近年で目立った活動としては2003年の南カリフォルニアのスーパーマーケットの長期ストライキhttp://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2004_4/america_01.htm http://premium.nikkeibp.co.jp/retail/column/suzuki2/02/index.shtml、反ウォルマート運動 、
そしてスミスフィールドとの抗争である。組合は2006年にスミスフィールドに対して大きなデモを行った。スミスフィールドは2007年に威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法(RICO法)に基づいて労働組合の活動を恐喝未遂として提訴も行っていたのである。
 それだけに今回  UFCWに勝利を許したことを、非常に遺憾に思いますが UFCWはクローガーやセイフウェイとか、100年近い歴史を持つたグローサリーストアで組織化されてますが、しかし反労働組合の巨大小売業ウォルマートをはじめとして、パプリックスなどの優良食品スーパーは組合不在で組織化は難しいと考えられます。
 

2008/12/11

文化勲章がないのはなぜ

   ノーベル賞の授賞式のニュースをインターネットで見ましたが、益川・小林両氏が文化勲章をつけてなかった。橘の勲章をつけるのは定番だと思ってたが、これは慣例とマナーに反するのでは。常識に乏しいのは科学者だから容認するとしても、 金メダリストで国旗掲揚で帽子をとらなかった里谷多栄以来の失態ではないの。
   http://www.jiji.com/jc/p_archives?id=20081211091652-7519303&rel=y&g=pho
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081211-00000094-san-int

NCスミスフィールド豚肉処理工場で組合代表選挙開始

  悪いニュース大変不愉快ではありますが、スミスフィールドパッキングのノースカロライナ州ターヒール工場-世界最大の豚屠殺解体処理工場(労働者4650人)で国際食品商業労組(UFCW)の組合代表選挙が10日開始しました。もちろん私は、UFCWを敵視しますから、スミスフィールドを応援します。(合衆国の全国労使関係法では排他的交渉代表制がとられ、適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を取得できる制度、1992年にこの工場ができたが、組合は組織化されていなかった。)交渉代表手続きについて次のPDF179頁以下参照http://www.jil.go.jp/institute/reports/2004/documents/L-9_07.pdf
  スミスフィールド(本社はバージニア)は米国最大の養豚・豚肉加工業ですが、ここのノースカロライナ豚は日本でも評判が良い。 http://www.yorkbeni.co.jp/trace/meat/sumisu_buta/01.html月刊養豚情報によるとスミスフィールド社は日本人の嗜好に合わせるため、WLD(大ヨークシャー×ランドレース×デュロック)の三元交配による肉豚生産プログラムを開発。とくにデュロック種は筋肉内脂肪(サシ)が多く出るものを育種・選抜し、柔らかく旨みのある肉を作り出している。住友商事の子会社「サミット」で自然豚を販売、豚カツ専門店「いなば和幸」では社長が惚れ込んで1994年からスミスフィールドの豚肉を導入している。http://www.keiran-niku.co.jp/youton-br08.html  大戸屋のカツ丼もスミスフィールドhttp://www.ootoya.com/report/080619.htmlです。もちろん私は和幸の豚カツが好きで何度も利用してます。日本人に愛されています。それだけに組織化は不愉快。
  全米で労働組合組織率は12%ですが、ノースカロライナは組織率が最も低い3%である。それだけに国際食品商業労組(UFCW)にとって組織化に成功すれば象徴的な勝利になる。この工場は3度目の組合代表選挙でhttp://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5jOakcP-tMiT0ayaRw53BODujnEAAD94SNKCG0  1994年は 704-587、 1997年は1910-1107で敗北している。
 南部は組織化が難しいとされてきたが、過去にノースカロライナで大きな組織化が成功した例としては90年代に全米縫製・繊維労働組合(Unite)がカナポリスにあるフィールドクレスト・キャノンの6つの工場で5000人以上の労働者の組織化に成功した例がある。タオルなどの工場だが、しかし組合が組織化されて潰れている。テキサスのピローテックスが買収した工場は2003年 7月に閉鎖し一挙に4500人が失職した。http://www.jil.go.jp/kaigaitopic/1999_09/americaP03.htm
 組合側のサイトをみると、この工場の60%がヒスパニックで、残りが黒人と書かれてます。http://www.iuf.org/cgi-bin/dbman/db.cgi?db=default&uid=default&ID=977&view_records=1&ww=1&ja=1「この工場は最近のニューヨークタイムズの連載記事の『いかにアメリカで人種が存在するか』で特集された。記者はいかに経営側が人種による労働者の分断を作り上げこれを利用するかを記事にしている」。 つまりニューヨークタイムズは組合側の宣伝に乗ったということですか。

Smithfield, UFCW start vote on union       http://money.cnn.com/news/newsfeeds/articles/apwire/b3f088418e2f51cf97f4cab8351a3624.htm
  orkers at N.C. Smithfield plant to vote on union reps
http://hamptonroads.com/2008/12/workers-nc-smithfield-plant-vote-union-reps
 Union vote begins Wednesday at huge NC pork plan
http://www.iht.com/articles/ap/2008/12/09/america/Smithfield-Union-Vote.php

2008/12/09

スミスフィールド豚屠殺場の組合代表選挙に思う(1)

  ニュースを追ってなかったので、10日、11日といわれる組合代表選挙の予測はできませんが、カロライナは組織率が低く、勤勉に働く風土と、州の職業訓練を充実しているイメージを損なうことになるので、4600人という大きな工場が組織化されないこと望む。
 スミスフィールドは米国最大の豚肉加工業で、無菌豚は日本にもかなり出回っているようだ。人々から愛され評価されているブランドである。

 合衆国では1947年タフト・ハートレー法で被用者に団体行動に関与をしない権利を定め、労働組合に被用者に団結を強制したり、雇用者に被用者を差別せしめることなどを不当労働行為として追加し、労働組合に権力を付与した1935年ワグナー法の行き過ぎを改め労働組合の権力の濫用を抑制するとともに、使用者側の対抗言論を保障し労使関係において法律的には中立主義としたのみならず、ユニオンショップについて数々の規制を設け、ユニオンショップ協定のもとでも、組合に対する誹謗中傷、組合秘密の漏洩、スト破りを理由に解雇を要求できなくし、不当に高額な組合加入費を要求することもできなくし、ショップ制は事実上組合費徴収の手段となった。これは多くの企業でユニオンショップが慣行となっていて労組に甘い日本とはかなり状況が異なる点である。
   しかし、タフト・ハートレー法で満足はしません。適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合が団体交渉権を取得できるシステム自体もなくしたい。つまり、エプステイン教授の言うように、1932年ノリス・ラガーディア法以降の労働立法を廃止して20年代以前のレッセフェール時代に戻すべきであります。
 イギリスの保守党政権当時のように、組合を承認するか否か(団体交渉するか否か)  は経営側の判断として、政府が団体交渉を推進するようなシステムでないほうが良いわけです(現在は労働党政権によって法定組合承認制度がある) ニュージーランド国民党による1991年雇用契約法(Employment Contracts Act)も個別雇用契約が団体契約より優先するシステムで 、経営者が認めなければ団体交渉はできない。
 このように経営者が組合を無視して否認できる制度が一番良いわけで、組合代表選挙というのもうざったい。それなら今回のスミスフィールドフーズの豚屠殺場のような場合も、組織化されずにすむわけです。
 三和総合研究所の2001年の「米国労働市場の柔軟化と産業競争力の回復」とというレポートhttp://www3.keizaireport.com/jump.cfm/-/ReportID=674/によると、「80年代以降、製造業を中心に競争力の低下に苦しんだ米国企業は、ダウンサイジング、リストラクチャリングにより経営の効率化・競争力の強化を図った。また、従来は固定費とみられていた人件費を需要の変動に合わせて調整する「人件費の変動費化」が進んだ‥‥  90年代の米国の企業経営の変化として特徴的なのが、①人員削減(レイオフ)の一般化である。従来は例外的だったホワイトカラーのレイオフも、恒常的に行われるようになった。レイオフは、企業経営効率化の手段として定着した。‥‥(2)不採算・非効率部門の業務のアウトソーシング(外注化)も盛んに行い、人材派遣などの非正規雇用を増やした。さらに、(3)組織形態のフラット化による中間管理職の削減や、(4)情報機器を利用した事務職の削減などにより、人件費負担の軽減を実現した。米国企業は、人件費の変動費化を進めることで収益力の向上を図った。‥‥米国企業の人件費の変動費化を目指す動きにより労働市場が柔軟化し、労働力の移動は活発になり、結果的に米国経済も復活を遂げた。米国の経験から、日本経済の復活に必要な条件のひとつは、労働市場の柔軟化を促す構造変化であることが示唆される。」
 と説明しているが、それが可能だったのは、タフトハートレー法で組合組織化に歯止めがかかって組織率は低下し、例えばドイツのように産業別組合の労働協約で地域別に賃金が決まってしまうような構造ではなかったことなどがある。
 しかし、金融危機での景気後退を考えると、アメリカを強くするためにもっと自由主義的な政策が求められる。それは、ワグナー法以降の労使関係法の廃止ないし団体交渉権の否定をやって20年代に戻すことだろう。もし全米自動車労組がなければ、ビッグスリーも救済を求める必要はなかったかもしれないから。

2008/12/07

スミスフィールド ノースカロライナの世界最大豚屠殺場の組合代表選挙迫る

 アメリカでは排他的交渉代表制がとられ、適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を取得できるシステムですが、全米でもっとも組織率の低いノースカロライナのフェーエットビルの近くのスミスフィールドTar Heelプラント(本社はバージニア)という豚屠殺場のおよそ4,600人の労働者の組合代表選挙をこの10日か11日にやるというニュースがあります。http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5ih8gLHKrw-32obwUnCMaSc4N2B3gD94SNPFG1 http://www.reuters.com/article/rbssConsumerGoodsAndRetailNews/idUSN1752276720081117一日あたり3万2千の豚をロースとハムにする食肉工場ですが、ヒスパニック系労働者云々と記事にあります。UFCW国際食品商業労組と会社で組織化を巡って10年に及ぶ抗争があったということです。
 豚屠殺の時給9.76ドル云々とあり、バージニアでは時給11.02ドルとか。組織化されるとショックです。人口が流入して州民の気風が少しかわってきたのでしょうか。世界最大級の工場のためか、ロイター、CNNなど多くのメディアが報道してます。

このさい渡辺喜美元行革担当相は離党してもらいたい

  町村信孝元外相が、麻生首相攻撃を強めている渡辺喜美元行革担当相に立腹し、「離党」すべきと発言したというニュースhttp://news.nifty.com/cs/headline/detail/jiji-06X741/1.htmがあるほか本日フジテレビの「新報道2001」で渡辺喜美元行革担当相と中川秀直元幹事長、離党や新党結成の可能性に言及したことがニュースになってます。http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn/20081207/20081207-00000430-fnn-pol.html
 離党の可能性を示唆するならこの際出て行ってもらったほうが良いのでは。とくに渡辺喜美元行革担当相は公務員に争議権を付与せよとの強硬な主張で知られているから民主党と組みたいのだろう。
 
 アメリカ合衆国の制度と比較してもこの主張はきわめて急進的なのである。

 アメリカの州公務員は、南部の各州のように勤務条件法定主義を墨守し団体交渉を制度化してない州も少なくないのですよ。ノースカロライナ、サウスカロライナ、ウェストバージニア、ルイジアナ、ミシシッピ、アーカンソー、コロラド州は全ての公務員がそうであり、消防士のみ団交立法を設けているのがジョージア、アラバマ、ユタ、ワイオミング州、消防士と警官のみ団交を認めるテキサス、ケンタッキー州、教員のみ団交を認めるノースダコタ、メリーランド州、教員と消防士のみ認めるアイダホ州、ネバダ州は州被用者のみ団交を認めてない(菅野和夫「公務員団体交渉の法律政策」アメリカ(一)」『法学協会雑誌』98巻1号 1981参照)。
 なお、上記の州においても任意的で法的拘束力のない団体交渉を認めている州がありますが、ノースカロライナ州は徹底していて、州、自治体政府と組合の全ての協定は州の公の政策に反し無効であり違反者の処罰を州法で定めている。もっとも州従業員協会というのがありますがもっぱら州議員への陳情である。ノースカロライナなど南部の週は団体交渉権はないんですよ。

 連邦公務員は1978年民主党カーター政権で初めて団体交渉権を定めたが、ストライキの参加や主張は欠格事項に該当し解雇されるのでスト権はない。レーガン大統領が1981年にストを起こしていた航空管制官を1万人も一気に解雇している。しかも、団体交渉範囲がきわめて限定されており、給与は法定主義が維持されており、民間企業との均衡達成は大統領の手に委ねられている。団体交渉になりえない事項として行政庁の任務、予算、組織、被用者数および機密保持措置を決定する権限、関係法令に従って被用者を採用し、配置し、指揮し、解雇し、または官職に留める、懲戒処分する権限、仕事を割り当てたり、下請けに出す権限、官職を補充するにつき人員を選定し任命する権限などがある。
 2002年11月  国土安全保障省創設に当たっては実質団体交渉権を剥奪した。公務員改革の方向性としては、昇進、配置転換、解雇は柔軟に行えるあり方が望ましいのである。

 私が政府にやってもらいたくない改革として、夫婦別姓導入や公務員に労働基本権付与、女子法定婚姻適齢を16歳から18歳に引き上げがありますが、それを政策にしている民主党政権になるときわめて危険であると考える。もちろん現在の自公政権でもそれをやってしまう可能性も多分にあるわけで、実際、安倍は国民投票の18歳引き下げで民主党と妥協し、先送りになるはずだった労働基本権問題も福田が民主党と妥協して協約締結権付与の方向性とされたわけです。夫婦別姓についても日本会議とか保守系議員は反対しても、そうでない自民党議員も少なくないはずだから、私は自公連立政権には満足してはいませんが、民主党政権や大連立は危険なので、今の麻生政権が比較的無難と考える。
 渡辺喜美元行革担当相は麻生政権にマニフェストがないことを批判してます。http://news.nifty.com/cs/domestic/governmentdetail/kyodo-2008120701000124/1.htmつまり急進的な改革はやりそうにないということで、私は首相の人柄を知りませんが、育ちの良さなのか、くつろいだ雰囲気があり、危ない橋は渡らない安心感があるリーダーのように思えます。渡辺喜美氏のような改革派がコーポラティズムを指向しストライキを煽るようでは危なっかしいので信頼できないのである。 

2008/12/06

高校生にとって携帯電話は必需品 橋下知事の持ち込み禁止強権発動やめろ

   橋下が政令指定都市をのぞく府下の公立学校で携帯電話禁止令という強権政治をやってるがとんでもない。  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000010-yom-soci   9月23日にも書きましたが、月刊高校教育8月号によると 2007年7月発表の内閣府調査によるとケータイ所有率は、小学生31%、中学生57.6%、高校生96%で、高校生は必需品となっている。2008年4月の日本青少年研究所の調査でも96.5%である。千葉勝吾の記事によると1998年の都立高校生1200名の調査では3%だったからここ10年で3%から96%に上昇したことになる。当初ケータイはアルバイト率の高い学校から自立の象徴とみなされ広まったと言っている。
 高校生は必需品ですよ。教育社会学的に言うと、学校は友人をつくったり、情報を交換したりするために登校するものなんですよ。勉強をするのは建前というか第一義ではないんですね。まじめに校則を守っていたらピーアグループ の文化にとけ込めなくて孤立するだけでしょ。橋下の母校は進学校で勉強してたかもしれんが、一般的にはそうではないです。学校なんてたいしたことは教えませんから。校則を守って一生懸命勉強したところで、学校が安定した就職先を斡旋してくれるのか、そういうことはない。むしろ、アルバイトで社会経験を積んだり、異性関係で社交的な技術を覚えたほうが社会では役に立つわけですよ。私は成人年齢引き下げに反対だが、半分以上大人の高校生を子供扱いしていて不愉快だ。
 このIT時代にIT機器を取り上げたりするとは野蛮ですよ。私は東京在住だが、関西が好きだし、大阪にもっと発展してもらいたいと思ってるが、強権橋下は嫌いです。こんなことでは大阪がクリエイティブてスマートな都会のイメージとかけはなれてしまう。

私は「すき家」を支持します

 「すき家」は店内が明るく清潔で、ベレー帽の店員もおしゃれ、押しボタンで店員を呼べて便利、メニューも牛丼だけでなく五目あんかけ丼、麻婆なすとか、ねぎとろ丼とかとても豊富で飽きないし安い。深夜も営業していて独身者にとっては豚汁や味噌汁、サラダが食べられてうれしい。競合他社より利用することは多いです。フライデーでこの問題は知ってましたがhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000027-mai-soci
これだけ顧客に愛されている「すき家」を悪く書かないでください。悪いのは契約の自由に反する労働法や労働行政ですよ。過剰に労働者を保護しすぎる。前回のエントリで書いたニュージーランドの雇用契約法(Employment Contracts Act)型立法で、労働者保護法を適用除外する自由な契約ができれば、こうしたことで残業代を支払ずにすむと思います。

非正社員の正社員化を促す政策ばかげている

 自公の雇用対策3年間で2兆円とか報道http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000060-yom-polされてますが、非正社員の正社員化を促す政策はレーバーコストを増大させ、雇用構造を硬直化させる。こんなことに金を使うのはもったいないし、構造改革にもならないのでばかげていると思う。全米自動車労組みたいに工場休止で一時解雇中でも所得保証したりしていると会社が潰れそうになるわけですよ。
 前から言ってますが、たぶんもっとも雇用創出効果のある労働規制緩和は個別雇用契約の自由という大胆な改革だと思います。私はシンクタンクじゃないからシュミレーションはやってませんが、外国にすでに実績がありますから。そもそも労働法というのは自己自身の労働力間処分の自由、個人の選択の自由や契約の自由を侵害する性格のもので基本的に悪いものと認識すべきです。英国保守党、ニュージーランド国民党、オーストラリア自由党が推進した、労働の団体(協約)主義から個人契約主義へのパラダイム転換ですよ。18世紀型自由主義といってもいいですが、もっとも急進的な改革はニュージーランド国民党による1991年雇用契約法(Employment Contracts Act)です。個人は企業と直接雇用条件を定め、労働協約や集団的労働関係に束縛されない個人の雇用契約です。この法律は今世紀に入って政権交代により変更されてしまったが、この秋に国民党が政権に復帰したので再びニュージーランドの夢の可能性もでてきたわけです。
 Employment Contracts Actでは労働日・労働時間という概念がなくなった結果勤務時間がフレキシブルになり超過勤務、休日勤務手当といったレーバーコストを解決した。団体協約も可能だが、個人契約が優先されるので、協約適用労働者が5割減となった。上級マネージャーは75%が個人契約となった。[伊藤裕禎 「ニュージーランドの「雇用契約法」と労働運動 (特集 世界の労働運動の動向)」『 労働経済旬報』  (通号 1581)]
 私が政治家なら、ハイエク主義、個人行動の正義、契約の自由、リバータリアンのリチャード・A・エプステインの言う「何人も自分自身を所有し、自らの労働を自らの望む条件で自由に利用する権原を有する」という労働の自由、リバタリアニズムの観点から、自発的な合意の尊重、階級立法反対、パターナリズム排撃、自由企業体制という理念を前面に出して、これは自己自身の財産である自己自身の労働力を個人のものに取り戻す正義であると同時に雇用創出という実利的効果もあるという観点で、こうした政策をやります。
 プロレーバー(労働組合支援主義)の水町勇一郎はダイヤモンドオンラインで次のような現状認識を示します「90年代以降の労働問題は、正社員が日本的雇用システムという枠のなかで守られ、それと非正社員とのバランスが悪くなってしまったことに大きな原因があります。コスト削減圧力が強まっても、正社員は簡単には雇用調整できない。だから、新卒を採らず、まずパート、次には派遣、それが法規制で使い勝手が悪いとなると、今度は業務請負の利用に走り、格差拡大の方向に一直線に向いてしまった。と同時に、枠のなかで守られていると思ってきた正社員が少数化して過剰労働に陥るという状況も生まれてきた。」http://diamond.jp/series/tsujihiro/10014/?page=3
 正社員と非正社員のバランス問題というなら、水町が言うような団体主義で解決するのではなく、個人契約導入による労働のパラダイム転換で解決するという発想があっても良いのだ。ニュージーランドのEmployment Contracts Actは業績給により有能な人の所得は上昇するが、労働協約で守られていた部分がなくなるから格差が拡大するといわれてます。しかし、我が国ではすでに格差が問題になっていて、むしろ、新自由主義的政策で逆説的に格差を解消できるかもしれない。
 労働基準法その他の制定法に拘束されない個人雇用契約が可能なら、レーバーコストがかからずに起業しやすくなり雇用を創出する。中小企業も歓迎する。個人契約により労働市場が柔軟化すれば、正社員でもクビが切りやすくなる、例えば成績下位5%はクビといっても、よそに受け皿があれば冷酷なものではない。安倍が大好きな再チャレンジも可能なわけです。個人契約の業績給による競争主義により生産性が高まれば、欧米、中国や韓国との国際競争にも対応できると思います。
 我が国には労働基準法という過剰なパターナリズムがあり、労働時間について過半数組合との協議がありますから、個人的には裁量労働制やホワイトカラーエグゼンプションを望んでも、過半数組合が自由な働き方が妨害されてしまうわけです。意欲的に仕事ができない、目標達成を妨害される、達成感のある仕事ができない非常に強い閉塞感のある労働法制だ。
 与えられたすかすかの仕事を、労働組合の労働過程支配、ジョブコントロールで必要以上にやらないで、ただ権利だけを主張しているやり方では会社は潰れるわけですよ。組織がフラット化し、権限委譲が進んで官僚制は打破されているのが先進的な企業ですよ。フラットな組織だと、上下関係に関わらず発言ができ、仕事に意欲的に取り組めるわけです。ノキアとか役職を廃止したんでしょ。そうでないと顧客にきめ細かな対応ができない。一般社員でも通勤が楽で集中して仕事ができる土日も管理職なみに働くべきですよ。
 ニユージーランド国民党政権の立法が急進的すぎるなら、オーストラリア自由党が推進した「オーストラリア職場協定(Australian Workplace Agreement:AWA)」があります。これも労働協約を排除した使用者と個人が交渉する個別雇用契約制度です。オーストラリア職場協定(AWAs)は、オーストラリア公正給料・条件基準に沿ったものであれば、雇用援護事務所への届出によってその効力が認められる。
 団体協約でない個別主義を促す政策ですが、一定の労働条件基準に沿うことが前提になっているので、完全な契約自由ではないが、過半数組合によって、個人の労働力処分を妨害されないという点で自由主義的な制度と評価する。このおかげなのか、オーストラリア人は勤勉になったようである。
 「オーストラリアは、年間平均労働時間が1,870時間と、アメリカ1,830時間、日本1,700時間等に比べ長く、OECD国々の中では労働時間が最も多い国の一つである。」http://www.jogmec.go.jp/mric_web/current/06_20.html
 労働基準法を守れとか馬鹿なことを言っている日本人は堕落してますよ。

2008/12/05

感想ダイヤモンドオンライン ヤーマック教授 インタビューなど

「ビッグ3再建、労組側も協力 労働協約、見直しへ」 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081204AT2M0400Q04122008.htmlというニュースでは一時解雇中の労働者の所得保障を凍結するなどとしているが、ダイヤモンドオンラインの安藤茂彌の記事によるとhttp://diamond.jp/series/siliconvalley/10013/、退職者の年金や医療保険が重荷になっている。「GMにChapter 11の適用」したほうが、健全ということらしい。 
 「ビッグスリー救済は天下の愚策」ニューヨーク大学ヤーマック教授 インタビューhttp://diamond.jp/series/worldvoice/10033/?page=2を読みましたが、ビックスリ-が破産しても壊滅的な打撃にはならず、むしろ全米自動車労組に打撃となることで、中長期的にはアメリカ経済も健全化する見通しを述べているわけだが、自動車業界の労働力が労働組合のない業界になればうれしい。そもそも1920年代のデトロイトは健全なオープンショップの都市であり、自動車産業は組合の組織化を抑止していたわけです。

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