南部共和党議員は外資系企業の利益を代弁しているのではない(1)
産経新聞に南北地域対立の構図をわかりやすく解説した記事があります。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081214-00000073-san-intビッグ3救済法案が廃案となったのは企業救済に厳しい見解を持つケンタッキー、テネシー、アラバマ、サウスカロライナ選出などの共和党上院議員が人件費引き下げを次期労働協約改定期と主張した全米自動車労組と折り合わなかったためですが、ケンタッキーにはトヨタの工場があり7千人を雇用し、テネシーには日産北米本社と工場があり、フォルクスワーゲンも誘致して現在工場を建設中、アラバマはメルセデスベンツ、ホンダ、ヒュンダイの工場がある。サウスカロライナはBMWを誘致し4500人の雇用がある。これらの工場は組織化されてないが、労働組合支援派には南部共和党議員は外資系企業の利益を代弁して、ビッグ3を潰そうとしているといったばかげたことを言う人がいますが間違いです。
2001年にテネシーの日産スマーナ工場の組合代表選挙がありましたが、http://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2001_11/americaP03.html3103対1486というダブルスコアで全米自動車労組は屈辱的敗北を喫しており、南部と日系企業の組織化が難しいことを浮き彫りにしました。しかし、2001年海外労働時報の記事によれば南東部においても2000年以降8つの自動車部品工場で組織化に成功して、実績を上げているとのこと。私自身組織化が難しいとされているノースカロライナ州ガストニアのトラック工場が組織化されたニュースも知ってますし、景気後退期には全米自動車労組もそれなりに健闘していることは知ってますが、しかしながら日系の自動車組立工場の組織化は成功した例は少ないとされてます。海外労働時報2001年12月号の荻野登の記事PDF http://www.jil.go.jp/jil/kaigai/jihou/2001_12/200112tokushu.pdfによるとUAWに組織化されている日系工場は、NUMMI(カリフォルニア州、トヨタとGMの合弁)、AAI(ミシガン州、マツダとフォードの合弁)とMMMA(イリノイ州、 三菱自動車)の3工場だけ。いずれの工場もUAWに組織化されていた工場を土台に再スタートした工場であり、グリーンフィールドにできた工場は組織化されてない。とくに南部の立地では難しいと考えられます。
労働政策研究・研修機構『海外労働時報』2001年12月号に「UAW、北米日産組織化の研究」特集PDF http://www.jil.go.jp/jil/kaigai/jihou/2001_12/200112tokushu.pdfなどのによると、日産がUAWの組織化攻勢を大差で阻止できた理由として、UAWは仕事量の増加と、退職後の給付が少ないところを攻めたが、テネシーの日産労働者は地域の賃金水準より高い水準の賃金を得ており、日産はノーレイオフ政策なので満足している。UAWは一時解雇時の所得保障に厚いが、日産の労働者は雇用保障を望んだ。そのほか日系企業に特徴的な内部昇進のチャンスなどもあるだろう。日産側の対抗言論もきいているようだ。米国のタフト・ハートレー法では使用者側に組織化への対抗言論が認められている。組合を設立しないメリットを表明することができる。南部は組合に好意的でない風土があるからなおさらである。
(続く)
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