無料ドリンクを始めたのはSASインスティチュートなのか
同志社大学の中村 艶子「アメリカのワークライフバランス」PDF http://www.jalm.jp/yoko08/06.pdf
によると「SAS はメディア報道などで「ユートピア」、「社員天国」と呼ばれるほど充実した福利厚生を有している。創業当初より無料ドリンクや軽食サービス、家族アクティビティ等のアットホームな特典があり、施設面ではカフェテリア等の一般的な施設以外に、ホテル、レクレーション・フィットネスセンター(1984 年開設。広さ58,000 平方ft、従業員の約80%が利用し家族も利用可)、歯科医と医師が常駐する社内保健センター(1983 年に設立の「ワーク・ライフセンター」:従業員および被扶養者に無料診療)、マッサージ療法士、企業内保育所4ヶ所、私立小中学校(敷地内に設立)までが揃う。これらの福利厚生はほとんどの従業員に利用され、1992 年にはワーク・ライフ・イニシアチブ部も設立されて企業文化として定着している (Company History)。
他社ではアウトソースされることが多い保育士、庭師、従業員食堂の係員などの職種を含め、SASでは全員が社員である。報酬制度(ボーナス、給与、昇格)は功績により変わるが、全員が上記の特典や施設、健康保険、プロフィット・シェアリングプラン2などの特典を享受できる。(ただしインドを除く)。SAS では創業時よりフレックスタイム制、週35 時間労働時間が導入され、柔軟な勤務体制を布き、現在でも週70 時間以上の過重労働とならないよう留意されている。」とある。
SASインスティチュートはノースカロライナ州ケアリーを本拠とする業務ソフトウェア大手、組合不在の未公開企業として知られているが、無料ドリンクサービスはマイクロソフトがよく知られているので、マイクロソフトが最初かと思っていたが1976年創業のSASインスティチュートの方が古いのかもしれない。クァルコムの夜食サービス、グーグルでは食事も無料ということだが、つまり自動販売機でコーヒーを売っている企業は三流、無料ドリンク企業は一流と言うことでしょうか。オープンドアーポリシー、シングルステータスと人当たりの良い管理職、従業員に本当に優しいのはいずれも組合不在企業ですよね。競争力のある優良企業、IBM、インテル、テキサスインスツルメンツ、ヒューレットパッカードなどのハイテク企業、SCジョンソン、プロクター&ギャンブル、3Mなんかもそうだと思いますが、もちろんプロクター&ギャンブルは人事管理部門をIBMに外注したり合理化もやってますが、アメリカで競争力のある企業の多くは組合不在企業です。もっともKマートはウォルマートとの競争に敗れてチャプター11を申請し、そのKマートに買収されたのが著名な反労働組合企業シアース゜ですが、これは非組合セクターでの競争によるものです。ハイテク企業もホームデポとロウズいずれも組合不在企業同士で競争してるんです。アメリカで組合不在企業が多いの1947年のタフトハートレー法で従業員に団体行動をとらない消極的団結権を認めるなど組合の権力を削いだからです。アメリカの企業が競争力があるのはタフトハートレー法で全国労使関係法を修正したからですよ。
一方組合セクターの企業、代表的な例がビック3です。組合セクター(ビッグ3)と非組合セクター(リトル8)の競争の勝負ははっきりしてます。
ウォルマート、ターゲット、ファミリーダラー、ホームデポ、ロウズ、コストコ、スターバックスなど組合不在ですよ。非組合セクターだから従業員を駆り立てより良いサービスを提供できます。Service Employees International Unio, Teamsters , United Food and Commercial Workersという凶悪な労働組合が組織化したらレイバーコストと生産性が低下してこうした企業もアウトになるでしょう。ところがオバマをはじめとしてアメリカの国会議員の多くが、タフト・ハートレー法以来の大改革といわれるEmployee Free Choice Actで労働組合を強化しようとしてます。全く愚かです。自国の企業の競争力を失わせようとしている。Employee Free Choice Actの問題点は多岐にわたりますが、政府による強制仲裁制度が導入され、政府によって労働協約が押しつけられると言うのは、経営権と財産権の重大な侵害ではないでしょうか。労働組合に一方的に有利な同法案は階級立法であり、個人主義的自由と財産権に対する重大な脅威となります。
なおEmployee Free Choice Actの概要 インテレッセ インターナショナル インクのホームページ大蔵昌枝弁護士の説明がわかりやすいです。http://www.iiicareer.com/applicant/jp/visa/index.php
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