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2009/03/15

ヴァーチャル・チャイルド・ポルノ規制違憲判決(合衆国最高裁2002年Ashcroft v. Free Speech Coalition)の考察

  アメリカ合衆国においては、1970年代より児童ポルノ規制立法がなされ、それを追認したファーバー判決以降強化されていく経過をたどっている。

 1982年連邦最高裁Ferber判決(New York v. Ferber, 458 U.S. 747 ) において、わいせつ要件を含まないで児童ポルノを禁止していたニューヨーク州法を修正第一条に反しないとされたことを受けて、1984年連邦議会は児童保護法を制定し、わいせつ要件を不要とし、保護される児童の年齢を16歳から18歳に引き上げ、営利を目的としない取引も処罰の対象とした。
  1986年の児童の性的虐待及びポルノグラフィ法では、児童ポルノの宣伝広告を作成又は利用することを禁止し、児童ポルノ製造による被害者である児童個人の被害に対する民事責任を課した。
  1988年の児童保護及びわいせつ施行法では、児童ポルノをコンピューター上で、送信・配布・受領する行為を禁止した。
  1990年連邦最高裁オスボーン判決Osborne v. Ohio495U.S.103 では、児童ポルノの単純所持を禁止するオハイオ州法が合憲とされた。ブラックマン判事による法廷意見はわいせつ物の単純所持修正第一条に反し違憲としたStanley v. Georgia, 394 U.S. 557 (1969) との違いについて、Stanley 判決は公衆の倫理道徳に与える悪影響を懸念したものであったの対し、い本件オハイオ州法は、パターナリスティックな利益ではなくポルノの被写体となる当該児童の身体的精神的健全性を保護するやむにやまれぬ国家利益は修正一条の審査を通過すると述べた。

 
  規制はさらに強化されて、1996年に連邦議会は実在の児童を使ったポルノだけでなくバーチャル・チャイルド・ポルノをも禁止する児童ポルノ禁止法 Child Pornography Prevention Act  (CPPA)を制定した。
  同法は、性的に露骨な行為を行う児童の、または、児童のようにに見える写真、映像、ビデオ、絵画、コンピューター映像、もしくは、コンピュータ-で作り出された映像をあー含むいかなる表現も禁止(2256(8)B条)し、さらに児童が性的に露骨な行為を行っているという印象を与えるように宣伝すること等も禁止(2258(8)D条)した。これは検察の立件を容易にすると考えられていた。

 
  この立法に対し成人娯楽商業組合である表現の自由連合Free Speech Coalitionが「児童ポルノに見える」「児童ポルノであるかのような印象を与える」という文言が過度に広汎で漠然としており、修正一条で保護された作品の製造行為を萎縮させると主張し訴訟を提起した。

  第一審は合憲判決だったが、第9巡回区連邦控訴裁判所は過度に広汎であり文面上違憲と判決したため、アッシュクロフト司法長官が上告したが連邦最高裁は6対3の票決で上告を棄却した。2002年のAshcroft v. Free Speech Coalition判決であるが、ヴァーチャル・チャイルド・ポルノは保護される言論であると判断を下したことで高い関心がもたれた。連邦議会は2003年に同判決とに抵触せずに児童ポルノ規制を強化する法律を成立させているが、表現規制立法の行き過ぎに歯止めをかけたことでは有意義な判決として評価できるのではないかと思う。法廷意見ケネディ判事(スティーブンス、スーター、ギンズバーグ、プライヤー各判事同調)、トーマス判事は結果的同意意見、反対-レーンキスト主席判事、オコーナー判事、スカリア判事である。

ケネディ判事による法廷意見の要旨は大略して次のとおり。
   
  ヴァーチャル・チャイルド・ポルノの規制を支持できない理由として、先例New York v. Ferber,判決 458 U.S.747(1982) (児童ポルノ禁止のニューヨーク州法を合憲)は、わいせつでも性的虐待の産物でもないものは修正一条の保護範囲内にあるとしているが、児童ポルノ規制の理由であるモデル児童への虐待防止という(規制)利益がない
  ヴァーチャル・チャイルド・ポルノがペドファイル(小児性愛者)を刺激し違法行為を惹起するとの見解に対しては、思想統制に等しく、ブランデンバーグ・テストのように、差し迫った違法行為を現実に煽動することで惹起しする場合にのみ表現を規制することができる。と述べた。
  このような論理展開の末、1996年Child Pornography Prevention Act  (CPPA)の2256(8)B条、2258(8)Dにある「児童(未成年者)のように見える」等の文言は過度に広汎であり違憲であると結論した。

  小児性愛者を刺激する可能性というだけで、表現を規制するのは思想統制として容認できないこと明言したことを高く評価する。
    結論は過度に広汎ゆえに無効の法理であるが、ケネディ法廷意見は世情に通じなかなか含蓄があることを述べている。特に印象的なことは、Child Pornography Prevention Act は18歳未満であるように見える限り、イメージは禁止されるが、48州で16歳を婚姻適齢としていることと矛盾することを指摘していること。

  さらに、性的行為をしている10代の未成年を描写するという思想の表現は、近代社会の現実であるし、何世紀もの間、文学・芸術のテーマになっていることを述べている。 

  例えばシェークスピア『ロミオとジュリエット』が恋に落ちた時ジュリエットは13歳だった。第72回アカデミー賞作品賞を受賞した1999年公開の『アメリカンビューティー』という映画では薬物依存の十代の少女と十代のボーイフレンドとの性的行為が描かれているが、CPPAの文言が過渡に広汎であるため、こうした芸術的に評価されている作品も否定されかねないと批判している。まず良識的な見解のように思える。

 

  判決後、間柴泰治によると2003年連邦議会はPROTECT法による1996年法の改正で、2002年判決で違憲とされた実在しない児童を描写するポルノについて、「~のように見える」ではなく「区別がつかない」範囲を限定した上で改めて規制対象とする一方、わいせつ物に該当する児童ポルノに規制対象を拡大して罰則を強化することとし、現在に至っているが、写実的でないアニメや漫画が除外されても違憲の疑いは残っている。 漫画やアニメ等が「わいせつ」なものである場合は、たとえ写実的でなく実在の児童を使っていなくても、わいせつ物として処罰される可能性がある。2005年10月にわいせつな日本のアニメをダウンロードしたことにより、陪審から有罪判決を受け2006年3月拘禁20年の判決をみ受けた例があるという。

 

 私は、小児性愛者ではないので、破瓜期以前の女子に関心はないが、18歳未満のくくりは、広汎に過ぎるように思える。破瓜期に達した女子は当然関心があり、学園ものの性コミックは見ているし、小児性愛といってもそれは痴呆性の老人の趣味であることが多く、敵視すべきでなくむしろ同情されるべき性質のものであると考えるので、もちろんレーガン任命のケネディ判事よりずっとリベラルで、思考やファンタジーを規制するヴァーチャル規制は当然のこととして、実在被写体の児童ポルノ禁止法それ自体反対なのである。
 お節介なパターナリズムだと思う。特にオスボーン判決は問題があると思う。アメリカなどから圧力を受けて児童ポルノ規制の強化にももちろん反対である。昨年リオデジャネイロで第3回、「児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」が開催されているがこれも反対である。そもそも我が国の基層文化は性的快楽追求に貪欲で害悪とみなすものではない。大グレゴリウスのように快楽は罪であるという欧米とは文化の土台が異なるのである。我が国の基層文化では13~16歳が女子の伝統的成人年齢で、赤い腰巻を着用すれば大人扱いだった。ヨーロッパにおいても、アルプス以北は婚前交渉に寛容な基層文化である。
 むしろ現代の若者が有史以来未曾有の長期に及ぶ性的禁欲を強要されており、結果、多形倒錯様性行動に固着する傾向は多分にある、性的禁欲の強要は「多形倒錯性欲」進んで「異常性欲」の重大な培地となるのであって、つまりフェチシズム的なそのはけ口は必要不可欠なのものとして理解すべきだ。
 特に我が国の若者は異性の友人を持たない者が多く性行動にも消極的である。社交的で性行動に積極な欧米の文化とも違う。むしろ私は、性的表現物は性的欲求の代償充足(非モテ男の福祉産業)としての機能を果たし、性犯罪を抑制し社会の安定化に貢献していることを評価するものである。

   引用・参考文献
梶原健佑「ヘイト・スピーチと「表現」の境界」『九大法学』94号2007年  116頁の註114https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/handle/2324/11004

  加藤 隆之「児童ポルノ法理の新展開--仮想児童ポルノ規制に関する2002年Free Speech Coalition判決の考察を中心として 」『法学新報』 111(1・2) [2004.7]

 永井善之 「児童ポルノの刑事規制について(1)いわゆる『擬似的児童ポルノ』の規  制の検討を中心に 」『法学』東北大 67(3) [2003.8]「 児童ポルノの刑事規制につ  いて(2・完)いわゆる「擬似的児童ポルノ」の規制の検討を中心に」『法学』東北大 67  (4) [2003.10] 

 間柴泰治「諸外国における実在しない児童を描写した漫画等のポルノに対する法規制の例」『レファレンス』 2008.11 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200811_694/069403.pdf

 松井茂記「レーンキストコートと表現の自由」『比較法学』39巻2号 http://www.waseda.jp/hiken/jp/public/review/pdf/39/02/ronbun/A04408055-00-039020197.pdf

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