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2009/03/08

オープンショップ運動・レイバーインジャンクション・ウェルフェアキャピタリズム1920年代黄金時代の意義(3)

 
 レイバーインジャンクション(労働争議差止命令)その2
     
  ボイコット戦術へのシャーマン法の適用とレイバーインジャンクション

 我が国の独占禁止法の母法である1890年制定シャーマン法第1条は「州際、外国との間の取引あるいは通商を制限する全ての契約、トラストその他の形態の団結、共謀を不法とする」ものだが、「契約」「団結」「共謀」という文言が労働組合を包含するかが問題になった。
 1895年のデブス事件判決は消極的にシャーマン法の労働争議への適用を支持したのものだが「ダンベリー帽子製造工事件」として知られる1908年のローウェ対ロウラー判決Loewe v. Lawlor 208 U.S.274  http://www.law.cornell.edu/supct/html/historics/USSC_CR_0208_0274_ZS.htmlで労働組合の適用を明確にした。 
 極保守派のフラー主席判事による法廷意見は、シャーマン法が資本の結合に対してだけではなく、農民及び労働者の結合にも適用されるべきものだと述べ、画期的な判決となった。
 事件はコネチカット州ダンベリーの帽子製造会社に対してなされた組合承認を求める闘争で、北米帽子工組合とAFLは同社製造の毛皮帽子販売のボイコットを消費者に呼びかけ、同社製品を扱う小売店をボイコットしたが、会社側が損害賠償請求を起こしたものである。連邦最高裁はボイコット戦術を州際通商の制限にあたるとしてシャーマン法違反の判断を下し、ボイコットによって発生した損害額の3倍の約25万ドルの賠償支払を組合及び構成員に命じた。(PDF楠井敏朗「アメリカ独占禁止政策の成立と意義(下)」  『横浜経営研究』第13巻4号(1993)http://kamome.lib.ynu.ac.jp/dspace/bitstream/10131/662/1/KJ00000160084. pdf )
  組合を承認せず、組織化を阻止する企業をねらい打ちにする二次的ボイコットにより労働組合が労働市場を独占することはアメリカの風土では容認できないのである。シャーマン法の主たる立法目的が企業の独占を排除し取引の自由を確保することであるが階級立法ではないのであるから州際通商を制限する、団結・共謀はそれが、労働者の団結・共謀によるものであれ違法とする判断はまっとうなものである。イリノイ・ミネソタなど4州は反トラスト法による起訴から労働組合を免除する法律を制定したが、連邦最高裁によって一部の勢力に利する「階級立法」として無効にされた。
 ロ-ウェ事件と同じ時期にバックス・ストーヴ・アンド・レンジ社との争いでサミュエル・ゴンパースらがAFL幹部が差止命令に反し、ボイコット(二次的ボイコット)を呼びかけ法定侮辱罪に問われる事件もあった。以後、ボイコット禁止命令に公然と挑戦する動きは収まった。(竹田有 前掲論文) 

 
 黄犬契約を結んでいる労働者へのオルグ活動は、労働者の「非組合員的地位」に対して有する経営者の財産権の侵害とした1917年ヒッチマン判決

 雇用条件として労働組合に加入しないことを要求するいわゆる黄犬契約を禁止する法律に反し、労働組合に加入したことを理由として解雇を行った使用者を処罰した下級審の判決を破棄した先例として、アデア判決ADAIR v. U S, 208 U.S. 161 (1908) http://caselaw.lp.findlaw.com/cgi-bin/getcase.pl?court=us&vol=208&invol=161 があります。
 ハーラン判事による法廷意見は「労働者が適当と考える条件で労働の買手が買う条件を定める権利と異ならない。雇用者と被用者は平等な権利を有しており、この平等性を妨害する立法は、契約の自由に関する専断的な干渉になる」(石田尚『実体的適法手続』信山社出版 1988)と述べ、修正5条のデュープロセス条項違反として違憲判断が下されている。これはロックナー判決の系統の判決です。今日、全国労使関係法により不当労働行為とされている黄犬契約は憲法上の権利だった。私はもちろん現在の体制より1908年のハーラン判事の判断が正しいと考えます。われわれが商品を買うとき、できるだけ安全なものを選びますし、それは自由です。それと同じことですよ。

 同じく1915年のコッページ対カンサス判決Coppage v. Kansas, 236 U.S. 1 http://supreme.justia.com/us/236/1/case.htmlは黄犬契約を禁止するカンサス州法を修正第14条のデュープロセス条項に反し違憲とした(法廷意見はピットニー判事)。
  1917年のヒッチマン判決Hitchman Coal & Coke Co. v. Mitchell, 245 U.S. 229http://supreme.justia.com/us/245/229/case.htmlのピットニー判事による法廷意見は、黄犬契約を結んでいた非組合員の炭坑夫を組織化しようとした統一炭坑労働組合の活動について労働組合が労働者に組合加入を働きかけることは契約違反の誘致にあたり、組合の勧誘行為の差止命令を認め、オルグ活動は労働者の「非組合員的地位」に対して有する経営者の財産権(炭坑を非組合員によって操業する権利)を侵害し、非組合員労働者の契約上の権利を侵害するとの判断も下した。(水町勇一郎『集団の再生―アメリカ労働法制の歴史と理論』有斐閣2005 69頁、竹田有前掲論文170頁)
  私は以上の判例にすべて同意するものである。どういう人を雇うかは雇用主の自由であり、1970年代のイギリスで二次的争議行為により経済がマヒしてしまったように、二次的ボイコットは悪質なものであり、シャーマン法の適用も当然のことである。
 

    クレイトン法の制定と労働組合適用除外規定の論理矛盾

  ウッドロー・ウィルソン大統領の時代(任1913~1921)は進歩主義的国内政治が行われた。私は古典的自由主義に好意的なのでハーディングやクーリッジを好ましい大統領とみなす。ウィルソンは当然嫌悪すべき政治家である。
   労働政策としては労働省設立、1914年クレイトン法の制定 (シャーマン法違反の予防的規制を目的とし,競争を阻害する価格差別,不当な排他的条件付き取引の禁止,合併等企業結合の規制,3倍額損害賠償制度等について定めたが、第6条で労働組合の正当な活動を反トラスト法の適用除外とし、第20条で差止命令の命令の発給を原則として禁止した。) 1918年全国戦時労働理事会(NWLB)の設置(NWLBはリベラル派が推進した産業民主主義路線で、ストを禁止したものの団体交渉と賃金・作業の標準化を厳しく貫き1150件に及ぶ仲裁を行った結果、AFLの組合員数は戦中に100万人も増加したのである )といったことが挙げられる。
 
    AFL終身会長のサミュエル・ゴンパースが「労働者のマグナ・カルタ」と絶賛したのがクレイトン法である。
    クレイトン法第6条は次のように規定する。「人間労働は商品または商品の目的物ではない。反トラスト法のいかなる規定も、相互扶助の目的で設立され資本を有さずまたは営利行為をしない労働団体の存在、活動を禁止し、または労働団体の構成員が当該団体の正当な目的を合法的に遂行することを禁止・制限するものと解釈するべきではなく、更にかかる団体またはその構成員が反トラスト法の下における不法な団結または取引を制限する共謀であると解釈されてはならない」(荒木誠之「 アメリカ団結立法の形成と運営(一) ワグナー法を中心として」 『法政研究』九大44巻3号 1978年44頁  https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/browse-title?bottom=2324%2F1749)
    クレイトン法第20条は次のように規定する「裁判所は雇用者の財産あるいは財産権に弁償不可能な損害が及ぶことを防止する以外は、雇用者と被傭者の間の争議について、この条文に列挙された平和的・合法的な行動に対してインジャンクションを発することはできない」(紀平英作『ニューディール政治秩序の形成運営の研究』京都大学学術出版会1993 83頁)

     しかしクレイトン法は「労働者のマグナカルタ」にはならなかった。
    クレイトン法の労働組合適用除外規定は1921年のデュプレックス印刷機製造会社判決、アメリカ鉄鋼会社判決、ツルアックス対コリガン判決で実質無効化されることになる。
   

 クレイトン法の労働組合適用除外規定に実効性がなかった。それは当然のことである。労働組合は単に共済互助団体ではないのである。 労働組合はどう定義されているのか。経済史家の岡田与好が世界で初めて労働組合を法認したとされる英国の1871年「労働組合法」(人類史上の重大な過ち)の法律的定義により説明している。
  「trade unionとは一時的であると恒久的であるとを問わず、労働者と使用者との関係、もしくは労働者相互の関係、または使用者相互の関係を規制し、あるいは職業もしくは事業の遂行に制限的条件を課すことを目的とし、もし本法が制定されなかったならば、その目的のひとつあるいはそれ以上が、営業を制限することにあるという理由により、不法な団結とみなされたであろうような団結、をいう」(岡田与好「経済的自由主義とは何か-『営業の自由論争』との関連において-」『社会科学研究』東京大学社会科学研究所  37巻4号1985 28頁)
  労働組合とはコモン・ロー上、営業制限とみなされ違法ないし不法とされかねない団結を、制定法によって不法性を取り除いて、法の保護を受けうる存在としたと説明されている。使用者団体もtrade unionという共通の名称のもとで法的に保護されることにより、岡田与好によると労働力取引の団体交渉-個人交渉の排除-が、当事者の平等の原則のもとに公認したのが1871年法である。
 

 その目的は各人が自己の労働と資本を自己の欲するところにしたがって処分する自由を全面的に否定し、他者の個別契約の自由を侵害し、労働協約により特定の集団的労働条件を強要することにある。団結とは取引する権利を有する者の自由意思に、強制や妨害を加えることによって、その者の取引に制限を加えることを目的とする。そもそも労働組合の目的自体が不法なのである。したがってクレイトン法の6条「正当な目的を合法的に遂行する」は本来論理矛盾である。
    コモンローには営業制限の法理があって伝統的に営業制限を嫌うのである。それは営業と誠実な勤勉さを奨励する公序に基づく。労働組合の目的は営業制限であり、本来それはコンスピラシーであり犯罪と把握されていた。
    さらに争議行為は、契約違反の誘致行為、契約の履行不能をもたらす行為、強迫、共謀、営業妨害など理由として、コモン・ロー上の不法行為を構成する。
  かりに、罷業が他者の権利を侵害しない「個別的自由の集合ないし総和」としての行為の職場放棄を認めるとしても、ストライキが単に個人の自発的行為の総和であるということはまず絶対ありえない。ストライキに、他者に脅迫、威嚇、暴力はつきものである。脅迫、威嚇、暴力で就労妨害を行わなければ、ストライキは成功しない。ピケッティングといっても説得活動に威嚇、脅し、暴力はつきものだ。
   当時ピケッティングや説得活動であるが、適法とされるのは「個別的自由の集合ないし総和」と認められる限りの行為であって、いささかでもこれを超える要素があると判断されれば違法とされたのであって裁判所の許容する範囲は極めて狭かった。(合衆国で平穏なピケッティングを表現権として認めたのは1941年のソーンヒル対アラバマ事件THORNHILL v. STATE OF ALABAMA, 310 U.S. 88 (1940) http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?court=us&vol=310&invol=88である)
   クレイトン法の「平和的」「合法的」な行動というのも、論理矛盾であるし、曖昧な規定であるから裁判所によって「平和的」「合法的」を狭く解釈する余地があった。

      

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