公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2009年5月の26件の記事

2009/05/31

日記 入手資料整理6

9078伊藤健市『資源ベースのヒューマン・リソース・マネージメント』中央経済社2008
良書。シスコ、IBM、メンズウェアハウス、SASインスティチュートのHRMを解説。
9079 西岡幸一「理念を貫き高収益を上げるSASインスティチュート-人はカネだけのために働くのではない」『道経塾』5号2000.2
9080溝田誠吾「カーネギー製鋼会社の形成過程(上)」『立命館経営学』11巻2号
9081溝田誠吾「カーネギー製鋼会社の形成過程(下)」『立命館経営学』11巻3・4号
9082金田重喜「アメリカ鉄鋼業における独占構造の特質-ガリバー型垂直的統合とその帰結」『研究年報・経済学』東北大52(1)1990
平野厚生「労働力商品とはどういうものか」『研究年報・経済学』52(1)1990
9083伊藤健市『現代の労務管理』知碩書院(京都)1998
9084伊藤健市やわらかアカデミズム〈わかる〉シリーズよくわかる現代の労務管理』ミネルヴァ書房(京都)2006
9085稲垣武「1890年代初頭におけるアメリカ鉄鋼業」『立命館経営学』25巻1・2号

2009/05/27

「理想の母親」辻希美の育児は変だと思う

  女子中高生が選ぶ理想の母親1位が辻希美なんだそうだ。 http://www.zakzak.co.jp/gei/200905/g2009050902_all.html。辻希美は炊飯器でウンチ?http://news.cocolog-nifty.com/cs/article/detail/entame-200905271648/1.htm?c=app.1という記事がありますが、子供がおまると間違えて炊飯器をトイレ代わりに座っている写真http://ameblo.jp/tsuji-nozomi/entry-10266948511.htmlを掲載して、物議を醸しているとか。別に他人の子育てだからどうでもいいけど。
  私は、都立園芸高校園芸科出身なので、畜産の授業で白色レグホンの小屋の掃除と給餌をやった記憶があるが、その時教師からいわれたことは 、給餌のいれものと、糞の掃除のいれものをいっしょにしたらだめ。家畜も人間と同じに扱う。口に入れるものと出すものは別々にして、清潔にすることと教えられた。
 つまり辻希美の育児は鶏小屋以下。

労働組合が目標管理制度(MBO)の形骸化として自己申告の書き方を統制

 きのうときょう私の職場、水道局ですが、全水道東水労営業部会の毎年恒例ですが、目標管理制度の形骸化を図るとして、自己申告書の書き方についての集会を昼休みに弁当つきで全組合員にやってました。集会にでない職員は役員に呼び出されてました。
 示し合わせて組合の指示した雛形どおりに書くというものだと思いますが、今はどうか知りませんが6~7年前は、反OA闘争として、水道の使用中止、開始等の受付データを全てプリントしてバックアップ、紙ベースで記録を残すようにするとか、組合の業務確立闘争(人減らしさせないために余計な仕事をつくる)それ自体を、自己申告書に書くよう指示していた時もあったし、全員組合役員にコピーを提出して検閲するとかやってました。
 職務統制型の労働組合ですから、個別業績評価には当然反対で、実質的に空洞化している。
 目標管理制度というのは1961年にエドワード・C・シュレーによって具体化され、アメリカではホワイトカラーの目標管理制度(MBO)としてはじまり、80年代の不況期にはGM・フォード・GEのリストラ、リエンジニアリングで浮上してきたもので、日本では重化学工業の集団目標管理に導入され、90年代後半から大量に抱え込んだホワイトカラ-を対象として広範に導入されているもので、今は大抵の企業でやってますが。
 目標設定の評価から評価面接 まで評価者と被評価者との密なコミュニケーション を前提とするものだが、管理職の態度は事務的で、数値目標とかやかましいことは何もいわないで、前年度の成果とか何のコミュニケーションもなく、いいかげんなものになってますよ。そもそも目標管理制度は、達成感のある仕事をさせて、権限委譲があり仕事の進め方に自己裁量や創意工夫を認めるものかと思いますが、管理職にはそういう意識を欠いているし、私自身が嫌われてるから、先方も話したくないだろうし、ほとんど有意義なものにならないで終わりですよ。
 というか、実質間接労務管理なんですよ。管理職が密接に接しているのは係長だけで、一般職員かぜ勤務時間中離席しよう遊んでようが、風呂場に入ろうが、管理職は無関心というか注意することはできないことになっている。一般職員は組合の職務統制の指揮のもとに統制された仕事をするという企業風土ですね。
 前にも書きましたがこういう例がありました。ほぼ毎日4時25分頃から20分以上風呂場に入っている職員を私が指摘したら、逆にこっち不良職員にされて転勤させられましたから。内規では営業所の事務職員は勤務時間中に入浴してはいけないが入浴とは入湯であってシャワーについては汚れた場合に上司の許可により可能としている。しかし、その男は、外回りしてないで冷房で涼んでいる日も一年中、風呂場に入ってましたから、汚れ汚れないにかかわららず勝手に入っているだけで、上司の許可はないのだから、内規に反すると考えるのが普通でしょうが、管理職は汚れていたという名目で勝手に入っていいんだという解釈を言い張るわけですよ。おまえも勤務時間中にシャワーを利用しろと言うんですよ。
 その男は「他人の不幸は密の味」と言い、私に向かって馬鹿だの何だのと罵声を浴びせたり、冷房最強にしたり、こちらは寒いといってるのに窓を開け放しにして傍若無人のふるまいでしたが、冷房最強23.5度のうえに扇風機をかけますから。ところが私が自衛のために扇風機を移したら、管理職はおまえが悪いとおまえこそ傍若無人だと攻撃してきました。大型扇風機なんて元々そこになかったものをもってきたわけですよ。私はその翌年、狭心症と心筋梗塞で冠動脈バイパス手術しました。外気と15度ぐらい差のある環境はこたえたんですよ。ファンコイルとエアコンの二重冷房で、ファンコイルを最強にして扇風機がかけるとこたえたんですよ。外回りの仕事していたから厚着できないし。心配してくれたのは医者だけだ。翌年連日深夜から未明に書けて発作を起こし、ニトロを呑んでもなかなか痛みがひかなかなくなったんで、紹介された大病院に行ったら、こんなんじゃ大分前から悪かったんじゃないですかと。しかし東京都の管理職は良好な職場環境を維持するために、扇風機も最強冷房もしなきゃいかんと言うんだから我が儘や人をいたぶる人を尊重するのは最低だと思います。
 どんなことがあっても、組合の職務統制の指揮のもとから外れる人間は管理職が叩くと態勢で、間接労務管理と組合の既得権を維持することが東京都の管理職のおつとめということになっているわけです。

2009/05/26

防衛省庁内管理規則と東京都庁内管理規則を比較してください

 前回のポスト(エントリー)に引用した東京都庁内管理規則と防衛省の庁内管理規則を比較してもわかるように、国は「旗、のぼり、幕、宣伝ビラ、プラカードその他これらに類する物又は拡声器、宣伝カー等を所持し、使用し、又は持ち込み、若しくは持ち込もうとすること。宣伝カー等を所持し、使用し、又は持ち込み、若しくは持ち込もうとすること。」を明文で禁止しているが、東京都はそういう規程がない。つまり労働組合の示威運動を容認しています。はじめから取り締まる根拠規程がないのだ。これは大きな手落ちだと思う。
争議行為を助長し、労働組合のジョブコントロールを促進、一般職員は事実上の間接労務管理、組合とのなれ合いで管理職はらくちん、次世代育成支援・ワークライフバランスの名目で管理職は率先定時退庁でらくちん。そういう不真面目な役所です。東京都というのは。だから今度のインフルエンザ記者会見も評判悪い。産経の【新型インフル】「詳しい情報言えない」都の会見歯切れ悪く によるとhttp://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/090521/tky0905210103003-n1.htm八王子在住の高校生感染の時もノー残業デーだった。いったん家に帰った職員が慌てて駆けつける醜態だ。仕事よりも子育て支援が重視される。私は水道局ですが、次世代育成支援の一貫として労働時間規制があって6時半になるとパソコンに警告が入る。無視して仕事を続行すればどうということはないのですが、何も知らない人がバッテンを押すと、パソコンがシャットダウンして、ワープロとか表計算ソフトに書いていたものがパーになって仕事をじゃまする仕組みになってる。こういうことは都だけでなく国の号令でやっていることではありますが、デッドラインが迫って仕事が忙しいときに休日出勤したり、週休日変更の申し出をしたり、泊まり込んだりするとまるで凶悪犯の非行でもしたかのようら怒鳴りつけられていじめられる。部下に達成感のある仕事をさせない主義。管理職は職場環境を適正良好に保持し規律のある運営体制を確保することには興味はない。仕事が悪で、労働組合の示威行為が善という価値観の転倒した世界になっている。
 

防衛省市ヶ谷庁舎の管理に関する規則
PDF http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1999/ax20000330_00038_000.pdf

(物品の販売等)
第17条庁舎管理者は、庁舎において、物品の販売、宣伝、勧誘その他これらに類す
る行為をさせてはならない。ただし、特別の理由がある場合において、庁舎管理者
がやむを得ないと認めるときは、その指定する場所において、これらの行為を許可
することができる。
(広告物等の掲示)
第18条庁舎において、広告物、ビラ、ポスターその他これらに類する物を掲示しよ
うとする者は、その掲示について、あらかじめ庁舎管理者の許可を受けなければな
らない。
(施設の設置)
第19条庁舎管理者は、庁舎にテントその他これに類する施設を設置させてはならな
い。ただし、特別の理由がある場合において、庁舎管理者がやむを得ないと認める
ときは、これらの施設の設置を許可することができる。
(許可又は承認の条件等)
第20条庁舎管理者は、この章に規定する許可又は承認をする場合において必要があ
ると認めるときは、その許可又は承認に条件を付し、又は関係者の守るべき事項を
指示することができる。
2 庁舎管理者は、前項の条件又は指示に違反する者がいるときは、その者に対して
違反事項の是正を命じ、又はその許可若しくは承認を取り消すことができる。
第3章秩序の維持
(立入りの制限等)
第21条庁舎管理者は、庁舎及び庁舎内の室に出入りする者に対し、庁舎の管理上必
要があると認めるときは、必要な事項を質問し、この章に規定する措置のほか、出
入りの禁止その他必要な措置を講ずるものとする。
2 庁舎管理者は、多数の者が陳情その他の目的で庁舎に立ち入ろうとする場合にお
いて、庁舎の管理上必要があると認めるときは、立ち入ることができる人数、立入
りの時間又は場所等を制限し、その他必要な措置を講ずるものとする。

3 庁舎管理者は、庁舎に立ち入ろうとする者の人数、行動その他の事情から判断し
て、これらの者が示威運動その他庁舎における秩序を乱す行為をするおそれがある
と認めるときは、庁舎への立入りを禁止するものとする。
(禁止又は退去命令)
第22条庁舎管理者は、庁舎において次のいずれかに該当する行為をした者について、
庁舎の管理上必要があると認めるときは、その行為を禁止し、又は庁舎から直ちに
退去することを命ずるものとする。
(1) 職員に面会を強要すること。
(2) 銃器、凶器、爆発物その他の危険物を庁舎に持ち込み、又は持ち込もうとする
こと。
(3) 旗、のぼり、幕、宣伝ビラ、プラカードその他これらに類する物又は拡声器、
宣伝カー等を所持し、使用し、又は持ち込み、若しくは持ち込もうとすること。

(4) 庁舎管理者が立入を禁止した区域に立ち入り、又は立ち入ろうとすること。
(5) 建物、立木、工作物その他の施設設備を破壊し、損傷し、若しくは汚損し、又
はこれらの行為をしようとすること。
(6) 文書、図面等を配布し、若しくは掲示し、又はこれらの行為をしようとするこ
と。
(7) 多数集合し、放歌高唱し、練り歩き、その他これらに類する行為をし、又はこ
れらの行為をしようとすること。
(8) 座込みその他通行の妨害になるような行為をし、又はこれらの行為をしようと
すること。
(9) 金銭、物品等の寄附を強要し、若しくは押売りをし、又はこれらの行為をしよ
うとすること。
(10)前各号に掲げるもののほか、庁舎における秩序を乱し、若しくは職員の安全を
脅かすような行為をし、又はこれらの行為をしようとすること。
(撤去又は搬出命令)
第23条庁舎管理者は、庁舎に次のいずれかに該当する物がある場合において、庁舎
の管理上必要があると認めるときは、その所有者若しくは占有者又はこれらの物を
掲示し、持ち込み、若しくは設置した者(以下「所有者等」という。)に対し、直
ちにその物の撤去又は庁舎外への搬出を命ずるものとする。
(1) 第18条の許可を受けず、又は許可の条件若しくは許可に際してなされた指示に
違反して掲示された広告物等
(2) 庁舎に持ち込まれた銃器、凶器、爆発物その他の危険物
(3) 庁舎に設置されたテントその他これに類する施設
防衛省市ヶ谷庁舎の管理に関する規則
(4) 庁舎に掲げられ、又は持ち込まれた旗、のぼり、幕、宣伝ビラ、プラカード、
拡声器、宣伝カーその他これに類する物
(5) 前各号に掲げるもののほか、庁舎の管理上支障を来すおそれがあると認められ
る物
2 庁舎管理者は、前項各号に掲げる物の所有者等が同項の命令に従わないとき、若
しくはその者が判明しないとき、又は庁舎の管理上緊急の必要があると認めるとき
は、自ら、これを撤去し、又は庁舎外に搬出することができる。

夏季一時金闘争で29分職場大会が29分職場報告会に

 29分職場大会と騒いでいたから身構えて出勤したが、午前2時過ぎに妥結したとかで、29分報告会となった。(筆者は東京都水道局勤務)
内容特段譲歩を引き出せないものだったが、それでも実質的に労働組合の大きな利益になっている。つまり、第二本庁舎前の3割動員の決起集会が2回行われていて、組合の指令でそれだけ集まることは、労働組合に職務統制力がある。あるいは労働力供給規制力があることを示威できるようにさせている。恒常的に闘争スケジュールを組んで高い組合費を収奪する名目にもなっている。管理職は監視もしなければ解散命令も発出しない、不服従なら戒告処分にすれば無許可集会の抑止になるのだからな-んもやらないから、実質的に東京都は争議行為に加担しているわけです。
 そもそも庁内管理規則が非常に甘い。、赤旗、横断幕、幟、はちまき、ゼッケン、腕章の持ち込み着用、労働組合宣伝車の乗り込みは明文で禁止していない。
 拡声器も持ち込み自体を否定していない。だからやりたい放題なのである。広場だけでなく旗は庁舎内にも持ち込まれて示威行為がなされることがあるのですよ。
 第五条 何人も庁内においては、次の各号の一に該当する行為をしてはならない。
一 庁内において、拡声器の使用等によりけん騒な状態を作り出すこと。
二 集団により正常な通行を妨げるような状態で練り歩くこと。
三 前号に定めるもののほか、正常な通行を妨げること。
四 テント等を設置し、又は集団で座り込むこと。
五 清潔保持を妨げ、又は美観を損うこと。
六 凶器、爆発物その他の危険物を持ち込むこと。
七 庁舎その他の物件を損壊すること。
八 寄附金を募集し、又は物品の販売、保険の勧誘その他これらに類する行為をすること。
九 印刷物その他の文書を配布し、又は散布すること。
十 はり紙若しくは印刷物を掲示し、又は立札、立看板、懸垂幕等を掲出すること。
十一 面会を強要し、又は乱暴な言動をすること。
十二 前各号に定めるもののほか、庁内の秩序を乱し、公務の円滑な遂行を妨げること。

 要するに、東京都というのは、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務理運営体制を確保することより、組合の既得権を尊重している。

2009/05/25

カード アメリカ鉄鋼業3

1889年ホームステッドストライキ-合同鉄鋼労働組合の勝利

1889年5月カーネギーフィリップス社はホームステッド工場の労働者に対し

1-25%賃金切リ下げ

2-1889年7月から92年1月までの新しいスライディングスケール賃金

3-団体協約拒否と個別的賃金決定

を通告
(スライディングスケール賃金協約とは棒鉄の市場価格の変動によってトン当り賃金を変動させ、その変動率を協約で定めることによって最低賃金を保障しようとするもの)

 6月 合同鉄鋼労組が拒絶
 
 7月1日スト、12日アレゲニー郡保安官導入するが労働組合は2千人を動員し、12日スト破り125人が退却したため、組合勝利。
 
 会社側は条件付降伏となり、組合を交渉相手として認知、賃金切り下げは23インチ、33インチ、119インチ圧延工場に限られ実施され、他の部門は従来どおりの賃率を維持、ビレット価格を基礎としたスライディングスケール賃金方式が採用された。ただし3年後に見直されることとなっていた。

3年後の1892年のホームステッドストライキは流血戦となり、組合は締め出されます。

 
 黒川博「アメリカ鉄鋼業における企業家群像(1)統合化の時代--H.C.フリックをめぐって 」『 岐阜経済大学論集 』31・2-3 1997
 平尾武久「ホームステッド労働争議と反労働組合主義の抬頭 : アメリカ労務管理形成史の一齣」『経済と経営』http://ci.nii.ac.jp/naid/110004033813/パソコンでダウンロードできます。

2009/05/24

日記 入手資料整理5

9057 有泉亨「争議権の法認-1-(物語労働法-4-)」『法学セミナー』(通号 173) [1970.07.00] ) 
9058 有泉 亨「争議権の法認-2-(物語労働法-5-) 」 『法学セミナー』 (通号 174) [1970.08.00]   
9059岡田与好『経済的自由主義』東京大学出版会1987
9060岡田与好『独占と営業の自由 : ひとつの論争的研究』木鐸社1975
9061鈴木隆「イギリス労使関係改革立法と労働組合改革」『島大法学』39(3)1995
9062上林 千恵子(カンバヤシ チエコ)「イギリス公共部門の民営化と労使関係」 『労働調査 』 (通号 416) [2004.1]
9063  竹内 治彦 「賃金協約を柱としたコーポラティズムは行き詰まるのか?--ドイツの労働事情」『労働調査 』 (通号 416) [2004.1]
9064高橋克嘉『イギリス労使関係の変貌』日本評論社1987
9065長渕満男「イギリスにおける二次的争議行為の規制」『甲南法学』26-1 
9065  野間 賢 「争議中の組合活動と施設管理権--ミツミ電機事件・東京高裁判決(昭63.3.31)の研究」『労働法律旬報』  (通号 1210) [1989.02.25]
9066小林英夫 『アメリカ労働史論-ウィスコンシン学派の歴史』関西大学出版部1988
9067黒川勝利『企業社会とアメリカ労働者 1900年-1920年』岡山大学経済学部1988
9068木内隆司『アメリカ労働組合の法構造研究-労働組合の機能と組合民主主義』 和歌山大学研究叢書刊行委員会 1988
9069◎野村勝法 労働判例と実務「(2)使用者の施設管理権と企業施設内組合活動[長崎地裁平成18.11.16判決] 『 人事実務 』  44(1019) [2007.8.1・15] 
9070 『現代アメリカ労働運動史-ニュ-ディ-ルからタフト・ハ-トレイ法まで-』日刊労働通信社1964
9071宮里邦雄「組合バッジ着用による一時金減額と不当労働行為の成否」『労働法律旬報』通号1383号1996-5-10
9071「労働判例東海旅客鉄道(新幹線)事件東京地裁判決(平七・一二・一四)『労働法律旬報』通号1383号1996-5-10
9072辻村 昌昭「施設管理権および照会票による組合員調査と支配介入--オリエンタルモーター事件・最高裁第2小法廷判決(平成7.9.8)の研究〔含 判決文〕『労働法律旬報』通号1383号1996-5-10
9073  施設管理権,チェック・オフ(最判平成1,12.11)済生会事件 『 労働法学研究会報』41(8)1990
9074 大内 伸哉 「企業施設を利用した組合集会に対する使用者の施設管理権の行使と支配介入--池上通信機事件(最判昭和63.7.19)(労働判例研究-747-)」 『ジュリスト』  (通号 988) [1991.10.15] 
9075 『ストライキ! アメリカの大衆ラジカリズム』ジェレミー・ブレッヒャー著戸塚秀夫・桜井弘子訳晶文社1980
9076 橋本 基弘 「公共施設管理権と集会規制」『法学新報』103(2・3) [1997.03]
◎9077 平尾武久『アメリカ労務管理の史的構造  アメリカ鉄鋼業を中心として』 千倉書房1984

2009/05/20

GDP成長率戦後最大の減少どこ吹く風、都職員は勤務時間内職場離脱集会で夏季一時金一部凍結反対闘争

 「GDP15.2%減 戦後最悪 1~3月期 年率」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090520-00000144-san-bus_allという記事によると四半期連続マイナス成長ということです。発売中の『週刊ポスト』5月29日号32頁「官僚たちの「がっぽりボーナス」‥‥に怒れ」という記事によると、労務行政研究所の東証上場企業140社調査では今夏ボーナスは平均14.4%減少、70年代以降最大の下げ幅とされ、記事によると特に製造業が厳しく2割、3割削減は当たり前というようなことが書かれてます。対して人事院のボーナス0.2ヶ月引き下げ勧告は9.4%減額なので公務員はもうけものという趣旨のことが書かれている。「不況に苦しむ庶民の苦しみなどどこ吹く風、官僚たちは6月に「がっぽりボーナス」を手にする」と書かれている。
 地方でも同様の動きで「36都道府県が臨時減額求める=0.2カ月分が大半」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090518-00000137-jij-polという記事のとおりである。
 しかし、私の職場東京都水道局では18日頭上行為で全水道東水労は夏季一時金一部凍結を許さない(組合は条例どおり2.1ヶ月のボーナスを支給せよ、0.2ヶ月9%削減を許さない。さらに夏休み10日を要求などと言っている)、公務員攻撃に反対するとして大衆闘争を展開すると号令をかけ、18日には15時より第二都庁舎とNSビルとの間の広場で、3割職場離脱しての集会、16時から都労連も同様の集会、25日にも同じような職場離脱集会、26日に29分の職場集会をやる予定である。

 ここで、週刊ポストや組合の要求の内容には論評しませんが、そもそもボーナスというのはアメリカでは組合不在企業の利潤分配システムとして始まったものではないですか。会社が儲かっていれば、従業員にもボーナスを加算するそういう趣旨だと思います。公務員に利潤分配はないからボーナスは本来なじまない。だから9%減ならもうけものというポストの記事と同じ感覚です。

 私が特に良くないと思っていることは、 職場集会というのは勤務時間内に事務室内の中央に陣取って行うもので、事業所によっては拡声器も持ち込まれアジ演説がなされる。こうしたことは東京都ではごくあたりまえの年中行事のようなものですが、管理職は無許可集会の監視もしないし、解散命令や職務命令はいっさい出さない。私は何十回とこういうものを経験してるが一切ないわけで事実上の容認です。従ってなれあいで適正な規律のある職場秩序維持がなされていないわけです。仕事の環境としては非常に良くないわけです。形式的に庁内放送で示達するだけで、それ以上のことは何もしないでいるわけです。結果的に職員を闘争に巻き込まれやすくしており、管理職が放置するから組合の示威行動等による威圧を容認することになっている。大企業のようにユニオンショップじゃないから、脅し、威圧、威嚇がなければ職員を統制して組合費を収奪できないと言うかもしれないが、管理職が規制しないのでそれに加担しているといえます。もちつもちれつみちたいな関係になっている。
しかし国では特に郵便局では40年前以上から、無許可集会の解散命令や監視は当然のように行っていた、50年以上遅れているわけです。こういう状況で公務員の労働基本権が付与されると、地方公務員は協約改定期に大きなストをやって混乱することが想定されます。
 職場離脱集会は無許可集会で庁内管理規則に反するとされてますが、国と違って、横断幕、旗、拡声器、ゼッケン、はちまきなど着用、持ち込みを明文で禁止してないため、持ち込みは自由。あそこの広場は、都庁舎からNSビルに抜けるところですが、集会の喧噪でNSビルにも入りにくくなっている。今回はどうか知りませんが、広場からはちまきゼッケンをしたまま、赤旗を掲げて庁舎内に組合員が集団示威行為で中に入っていったり、本庁の廊下で座り込みをしたりする闘争もあたりまえのようにあります。管理職が旗を持ち込むなとか禁止命令はいっとさいやらない野放しなんですね。
 ところで都職員に面会を求める、市民団体とかの陳情などで、横断幕やゼッケンやはちまきなどの着用持ち込みは容認されるのでしょうか。私は本庁に勤めたことがないので知りませんが、もしできないのなら、ダブルスタンダードと云うことです。ホームレスはあそこの広場から追い出されるかもしれないが、組合の示威行為は容認というダブルスタンダードでもあります。
 こうした問題についてはまとめて、公務員の労働基本権問題もありますので組合活動の規制について提言を出すように鋭意努力したいと思います。

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2009/05/19

関西しか感染者が出ない不思議

 本当のことがさっぱりわからないので、結果的に2チャンネル情報に依存することなる。【新型インフル】 WHO 「関東に感染拡大していてもおかしくない」「日本の対応を、世界が注目している」★6によると、東京都は17日まで発熱外来の受診対象者を、メキシコなどへの渡航歴のある帰国者に限定していたから(18日以降もPR検査は非渡航者では同じA型陽性反者が3人以上出た学校(クラス単位)等条件をつけている)http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/090518/tky0905182235021-n1.htmから感染者が出てないだけだという。神戸は海外渡航歴のない高校生も疑って検査をしたから感染者を出してしまった。検査のやりすぎが感染者拡大の原因らしい。決められた方針どおり官僚主義的態度の方が得をするという見本のようだ。このまま東京で感染者が出ないで梅雨入りすると、必要以上に検査したためにつまらない風評で関西だけが損をするというばかばかしいことになるようだ。
 マスコミは高校生のバイトがなくて人手不足とか、カラオケに生徒が集まっているとか関西の混乱を面白がって報道しているだけ。

2009/05/18

カード アメリカの鉄鋼業2

平尾武久「内部請負制の衰退と直接的労務管理体制への転換--1890年代のアメリカ鉄鋼業を中心として 」『経済と経営』札幌大12巻4号1982

 1892年7月のホームステッド鉄鋼所の労働争議、カーネギー製鋼会社の再編成を媒介として、‥‥近代的な労務管理の機構を形成させ中西部鉄鋼資本による反労働組合主義的労務政策の展開をもたらし‥‥合同鉄鋼労働組合のビジネスユニオニズムは崩壊し、巨大鉄鋼諸工場から完全に締め出され、いわゆる「労働組合不在の時代」Non-unionEraを迎えざるをえなかった。

助手制度から企業内技能養成制度への転換

労働組合時代の職種間排他性を保障する入職規制の役割を担う助手制度では独力で内部請負親方の支配のもとで見よう見まねの経験を積むことによる熟練技能の養成であったが、鉄鋼資本主導の企業内技能養成が行われるようになり、先進的大規模鉄鋼所が年に滞留する多くの若年労働者の供給によりれ低廉な熟練労働力を大量に確保する客観的基盤を形成し、職長を中心とする内部請負制は動揺・衰退し、間接労務管理は転換をせまることになった。直接的労務管理体制への転換である。つのり、近代的賃労働者としての職長層の形成と「直用制」の基での熟練労働者を軸とする職場作業集団の編成への組み替えだった。

熟練労働力の価値の低下により賃金を切り下げる労務管理が可能となった。

 
アメリカ鉄鋼業において1890年代以降、労働組合を締めだしていた時代があった。

Non-unionEraと言うのである。

以上、引用言い換え

私の見解を加えると

いわゆる「資本専制的労務管理」の時代で、賃率の切り下げ[1892-1907年では圧延工で28.72%、第一剪断工は41.20%の切り下げ]と労働時間の延長[8時間労働から12時間労働休日なし]が指摘されているが、決して悪い時代として描くべきではない。ボーナスシステムによる利潤分配制度により、内部請負親方による恣意的な決定を排除したし、フリックの賃金決定方式は、個々の労働者に提示する機構をつくり、個別契約主義的な企業内賃金構造を追求したのは先進的というが現代的である。むしろ労働組合時代の内部請負親方が1日100ドルの収入を得ていることが異常なのである。

1892年~1920年ぐらいまで鉄鋼は1日12時間労働休みなしになった(出所はこの論文ではない)。賃金を切り下げたうえに労働時間を増加させたのである。週84時間労働だが、それくらいはどうということはないのである。現代は労働者を過剰に保護しすぎる。

2009/05/17

カード アメリカ鉄鋼業1

9037 平尾武久「 内部請負制の展開と労務者管理の歴史的性格--産業資本確立期のアメリカ鉄鋼業を中心として」 『経済と経営』12巻3号1981

1892年ホームステッドストライキの結果、組合不在工場となった意義を説明する前提となる論文。
クラフトユニオン(合同 鉄鋼労働組合)による内部請負制から、資本に直接雇用される職長による内部請負制への転換の意味を説明している。

  1860年代以降の中西部鉄鋼業はUnited Sons of Vulcun(73年前半まで)及び合同 鉄鋼労働組合(1976年以降)による内部請負制(親方請負的労働関係)による間接的労務管理体制として企業内労使関係を編成していた。

 クラフトユニオンの職種別組合の間接労務管理とは、労働組合は組合員に義務づけた標準的な技能水準、標準的な労働力の支出量、標準日賃金率を規制する。労働力の質・銘柄は賃金率に体現される。作業の段取り、人の配置、技能の習得、作業量の決定は熟練労働者を中核とする職種内部の自律的機能である。

  United Sons of Vulcunというクラフトユニオンの成員は厳格に熟練労働者という排他的組織で、万能熟練労働者が親方となり全行程の作業を統括する。さらに技能養成、昇進、賃金支払いまで労務管理機能を遂行し、73年恐慌まで製鉄業の支配的な生産形態として確立。合同鉄鋼労働組合は United Sons of Vulcunを継承したクラフトユニオンであるが、労働組合の規制力が及ぶ内部請負制のもとでは工場内装置、機械体系の大型化と生産技術の改良によってのみ労働能率向上をはかることは困難だった。管理者は技術的知識に優れていても、職務遂行の内容、作業方法を細部まで把握していなかった。従って人員配置や賃金決定の能力はなかった。

 合同鉄鋼労働組合は熟練職種を成員とする排他性を堅持し、熟練職種の管轄権を明確にし、労働貴族層の集団内統括力を強化することに主体的機能を見いだしたが、しかし製鋼部門飛躍的発展で、先進的な大規模工場では直接雇用された圧延工によって担われた職長層が相対的高賃金と引き換えに作業集団の雇用・監督・賃金支払いを行うようになったことから、クラフトユニオンの内部請負親方の地位は弛緩し崩壊の過程をたどることとなる。

  以上 引用・言い換え

 私の意見-労働組合が取引を制限する刑事共謀団体と認識される以上、営業制限の法理・共謀罪の厳格適用で潰して良かったはず。にも関わらず労働組合による間接管理を許容したのは、生産技術の実態から直接管理が困難で、クラフトユニオンの親方請負労働関係を許容せざるをえなかったためである。しかし、労働組合が生産過程を支配するのは大型装置、機械を投入しても効率的でなかった。カーネギーは労働組合を追い出し、組合不在工場で現場末端組織としての職長による内部請負制への転換を模索した。それは正しいと考える。

部活交流戦で男女感染の不可解

   民間施設にも休業要請=イベントなども中止-感染者発生の3市で・大阪府http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090517-00000047-jij-sociJQ、というニュースですが、本音を言うとまだ関西で限定的な感染なので焦ってはいない。まだ対岸の火事だからだ。
 本日の産経1面の政治部長の論評できのうの12時45分の国内感染者に関する厚生労働大臣の緊急記者会見はNHKが生中継せず、朝ドラ「つばさ」の再放送を流し、1時になっても民主党党首選挙の演説会を放送していたことを批判してますが、私は逆にこの判断は適切だったと思います。
 つまり国内新型インフル感染者確定は通常番組を潰すほどたいしたニュースではないということです。天下のNHKが大げさな報道にしなかったことでほっとしているわけです。
 私は、都立園芸高校出身なので、普通科とは違って家庭科の裏番組が農業機械等の専門科目で、男女同じ時間に体育をやっていた。女生徒の多い学校だったため、体育の授業でバレーボールの男女戦をやった覚えがある。しかしそれは体育の授業で競技スポーツとしてやったわけではない。
 公立高校のバレー部の交流戦で感染したとかいわれてますが、普通高校の部活は競技スポーツである以上、男女混合ではないだろう。なぜ交流戦で男女感染したのかそれが不可解。合コンで接吻でもしたのか。

感想 「週刊現代」大橋巨泉のエッセイ

 事業家のわりには左寄りの発言に終始するのでいつもくだらないとしか思ってないが、発売中の週刊現代5月30日号で連載のエッセイ「少子化傾向に対する傾向はひとつ‥‥‥」56頁はその結論「生活レベルを下げる」はともかく、少子化対策としての産休や有給休暇に批判的な見解を述べているのは正しい。
 だいたい少子化が社会問題になっていないアメリカ合衆国は法定有給休暇というものはない。従業員福祉は個別企業の政策によるべきだ。1993年年家族医療休暇法は、50人以上雇用する使用者は出産、養子の受け入れ、子・配偶者・親の重大な疾病、本人の重大な疾病のために1年間に12週の無給休暇を被用者が取得することを認めなければならないとする性的中立立法ですが、制度としてはこれだけ。あとは個別企業の福祉政策による。ドイツ人は労働時間が短く休暇をたっぷりとるが少子化が進んでいて、日本の次に子供の割合が少ない。だから関係ないどころか、公務員なみに有給休暇消化促進なんて生産性を低下させるだけですよ。
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日記 入手資料整理4

9047田口典男「イギリス労使関係の転換としての1984~85年炭坑ストライキ」『岡山商大論叢 』 25(2) [1989.09]
9048 埜村 紳士「現代アメリカ政治過程にける労働組合-AFL-CIOの政治的衰退について」『岡山商大論叢 』 25(3) 19909
9049竹内治彦「「産業別協約制度の危機」についての考察 」『岐阜経済大学論集』   31(1)1997
9050堀龍二「アメリカ機械工業における内部請負制度と近代的管理--生産力的見解によせて」 『岡山商大論叢 』24(3) [1989.01]
9051百田義治「内部請負制度の管理史的意義について--「熟練依存型間接管理制度」の特質と管理制度変遷の規定要因を巡って」『 駒沢大学経済学論集 』23(3) [1991.12]
9052前田淳「 テイラーシステムとフォードシステム出現におけるアメリカの経営経済的・社会的条件(1)内部請負制度の形成と崩壊」『 三田商学研究 』47(6) [2005.2]
9053真瀬勝康「世紀転換期におけるアメリカ鉄鋼業の労働力給源」『経営論集 』明大 35(2) [1987.11]
9054黒川博「アメリカ鉄鋼業における企業家群像(1)統合化の時代--H.C.フリックをめぐって 」『 岐阜経済大学論集 』31・2-3 1997
◎9055藤本武『アメリカ資本主義貧困史』新日本出版社1996
データが多い
◎9056田島司郎『アメリカ労務管理形成史』 ミネルヴァ書房1981
20年代の労働組合の衰退、オープンショップ運動等の専論

2009/05/16

感想 松岡心平編『看聞日記と中世文化』(2)

 承前
 
 小川剛生 「伏見宮家の成立」-貞成親王と貞常親王
 
 (親王宣下が切望された意味)
 
 つまり常磐井宮満仁親王の愛妾を差し出すという足利義満に阿諛した行動は評判が悪いとしても一面的な見方をとるべきではない。[当時の「公武統一政権」では義満が実力者であった]。それほどまでして親王号に固執した心情こそ着目すべきと言う。
 経済的基盤さえあれば、所領を媒介として家臣団が形成され、宮家は存続する。常磐井宮は安楽寿院領がある[亀山法皇の遺詔では大覚寺統の主要所領は恒明親王に相続されるべきものだったが、後宇多法皇によって反古にそれたために、鎌倉幕府が介入して安楽寿院領を取り戻した]。しかしそれだけではなく、大覚寺統嫡流という意識を捨ててない。実際に格式も高かった。満仁元服の歳の加冠の役は内大臣正親町三条実継、加冠が万里小路嗣房でいずれも後光厳朝の実力者である。木寺宮には洞院家、伏見宮には今出川家というように、宮家の後見は大臣家クラスの上級廷臣であって、このような廷臣を祗候させるには当主の身分も考慮されなければならなかった。
 親王宣下が切望される理由をわかりやすく説明していると思う。『江家次第』によると親王に対しては家政機関として親王庁の設置が認められる。親王宣下と同時に公卿のうちから勅別当が指名され、親族拝以下の本所の儀が執行され、親王庁の構成員、家司・御監・職事・侍者・蔵人が補任されるならわしだった。伏見宮の初代とされる栄仁の親王宣下では、ならわしどおり本所の儀が執行されたと著者は述べている。持明院統正嫡であるから当然のことだろうが。
 宮家の勅別当はほぼ閑院流の清華家・大臣家の公卿に限られた。常磐井宮満仁の親王宣下では正親町三条実音が指名されたが本所の儀は省略され、伏見宮貞成の親王宣下も満仁親王の例に倣って、勅別当に三条西公保を指名したが、本所の儀は略されたという。略式であっても親王と無位無官のたんに某王の皇親では全然違うのである。
  
 (文安二年「不思議の荒説」事件)
 
 ところで、貞常親王について、文安二年(1445年)三月十六日、関白二条持基を加冠役として21歳で元服し、翌日親王宣下の予定だったが、六月二十七日まで延期された理由である「不思議の荒説」事件に言及されている。
 この事件は酒井紀美『中世のうわさ-情報伝達のしくみ』吉川弘文館平成9年に詳しい。『師郷記』によると、この年の三月に禁裏・竹園之間[天皇と皇族]についての不思議荒説がどこからともなく言いふらされてさまざまな影響を及ぼし、翌日の親王宣下が実現されなかった。『師郷記』及び『高倉永豊卿記』によると伏見宮貞成親王の「御訴訟」により五月、万里小路時房と松木宗継の二人が伏見殿に派遣され、訴えを聴取した。結果六月のはじめに、雑説の張本として日野中納言(広橋兼郷)が流罪、噂を広めた神祇伯二位(白川雅兼王)が京外追放処分とされた。
 この時期の『看聞日記』は欠落しているので記事はない。伏見殿に派遣された時房の『建内記』もこの時期のものがない。さらに伏見宮家の侍読で貞常親王の学問の師である中原康富の『康富記』にも記事はなく、真相は不明である。酒井紀美は史料の欠落に作為を看取しているが、それだけ深刻な噂がいいふらされたとみるべきだろろう。
 小川剛生によると、流罪は「云口」では前例のない厳しい処分だという。広橋兼郷は日野重子の口入で流罪を免れたが、辺土に蟄居し名誉回復もなく、毒殺説もあることから悪質な噂とみなしている。噂の中味はたぶん、貞成が不自然なかたちで、後花園を退位させ、貞常の登極を企てたというようなものだったろうと推定している。厳しい処分は後花園院による伏見宮貞成・貞常父子に対する配慮と考えられている。
 貞成親王は後花園院の実父であるが、後花園は後小松の猶子として即位したので名分としては父ではない。後小松崩御においては名分が重んじられ実父でないが諒闇とされた。さらに後小松上皇の遺詔で伏見宮貞成親王への太上天皇尊号を禁じていたわけであるから、禁裏と伏見殿を離間させる悪質なたくらみがあったのかもしれない。
 これに類した事件は近世以降にもあるだろうが、伏見殿をおとしいれる悪口だけで流罪という厳しい処分の前例があることは記憶しておきたい。
 
 つづく

 

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 [ ]内は筆者のコメントで引用ないし言い換えではない。

2009/05/15

日記 入手資料整理3

9036国府俊一郎「アメリカ労働運動の1920年代-停滞と労働者意識-」『九州経済学会年報』40号2002
9038平尾武久「内部請負制の衰退と直接的労務管理体制への転換--1890年代のアメリカ鉄鋼業を中心として 」『経済と経営』札幌大12巻4号1982
9037 平尾武久「 内部請負制の展開と労務者管理の歴史的性格--産業資本確立期のアメリカ鉄鋼業を中心として」 『経済と経営』12巻3号1981
9039小原敬士「ヘイマーケット事件」『一橋論叢』57巻5号
9040渡辺 貞雄「独占段階移行期,成立期のアメリカ鉄鋼業の生産過程における労働の変化と労務管理」『大阪学院大学商経論叢』  5(3) [1979.10]
9041平尾武久「「革新主義時代」アメリカにおける人事管理形成の歴史的特質」『熊本学園商学論集』3(1・2) [1997.03]
9042蔦川 忠久「ストライキと被用者の地位-1--アメリカ法における経済スト参加者と復職」『 熊本大学教養部紀要. 人文・社会科学編』15号 1980
9043森本哲夫「バークと保守主義思想--若きバーク研究『熊本大学教養部紀要. 人文・社会科学編』 15号 1980
9044森本哲夫「バークのフランス革命論の進展 」『熊本大学教養部紀要. 人文・社会科学編』16号1981
9045酒井紀美『中世のうわさ-情報伝達のしくみ』吉川弘文館平成9年
9046田中ひかる「アメリカ合衆国におけるアナーキズム・イデオロギーの形成過程--1883~1885年」『大阪教育大学紀要. 1, 人文科学』  48(2) 2000.01

感想 松岡心平編『看聞日記と中世文化』(1)

 森話社2009年3月刊の論文集。編者の松岡心平氏はこのブログの「『椿葉記』の由緒は重んじられるべきである-旧宮家復帰待望論(2)」
http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_4569.htmlで「椿葉のフェティシズム-朗詠「徳是」から-」『文学』季刊10巻2号1999という論攷を引用していることもあって興味があり、買いました。
 ふつう伏見宮の初代は栄仁親王とされるが、世襲親王家としては貞常親王からである。小川剛生「伏見宮家の成立」-貞成親王と貞常親王」によれば、『椿葉記』の「若宮をば始終君の猶子なし奉るべければ、相構へて水魚の如くにおぼしめして御はごくみもあるべきなり」が、若宮を猶子とするつまり親王宣下を望んでいるものと説明されている。貞常は文安二年(1445年)三月十六日、関白二条持基を加冠役として21歳で元服したのち、同年六月二十七日に親王宣下、翌三年三月二十八日に二品式部卿、八月二十七日に家領が譲られた。翌四年に貞成親王に太上天皇尊号という経過をとる。
 しかし、よく考えると、貞常親王は崇光曾孫四世王といっても、後花園院の弟であることから、令制に忠実なら継嗣令皇兄弟子条の「凡皇兄弟皇子。皆為親王。〔女帝子亦同。〕以外並為諸王。自親王五世。雖得王名。不在皇親之限。」により自動的に親王であるはずである。
 先例としては、淳仁即位により兄弟の船王・池田王の親王格上げがそうである。
 もちろん皇親概念は嵯峨天皇の弘仁期に大きく変化し、親王・内親王は宣下をうけてのち称しうることとなったのであって、奈良時代の例は参考にもならなかったのだろう。
 親王は、天皇の意思により授受される性格の身位に変質した。皇子・皇女でも親王でないケースは少なくない。なお、後堀河、後嵯峨、後光厳、後小松は親王宣下なく即位している 。
  平安後期になると諸王でも宣下をうければ親王・内親王になりうることとなった。三条皇孫で敦明親王(小一条院)の御子である二王、二女王の親王宣下がそうした例である。 鎌倉時代には後鳥羽の皇子・皇孫が相次いで親王宣下をうけて六条宮を称し、後嵯峨の皇子・皇孫、後深草の皇子・皇孫が親王宣下をうけ鎌倉将軍宮となったケースがあるが、三世王の伏見宮貞成王の親王宣下の先例として重要なのは亀山曾孫四世王の常磐宮満仁王の親王宣下であるということを小川剛生氏は述べている。
 『後愚昧記』にある足利義満に小少将という愛妾を譲って、首尾良く宿願(親王宣下)を達したというエピソードが面白いので強調されるきらいがあるが、そもそも満仁親王の祖父、常磐井宮恒明親王は亀山法皇の遺詔で皇位継承者に指定されたことから、大覚寺統嫡流としての認識がある。にもかかわらず政治的事情で即位できなかったが、安楽寿院領という所領を有し嫡流としての意識を捨てず自ら恃むところ頗る厚かった。このへんの事情を小川剛生は適切に説明している。

 つづく

2009/05/12

感想『労働市場改革』(1)

 鶴光太郎・樋口美雄・水町勇一郎編著日本評論社2009年3月刊

    解雇規制の強化は生産性を低下させる

「 第6章 奥平寛子・滝澤美帆・鶴光太郎 雇用保護は生産性を下げるのか」
  先行研究として解雇訴訟判例に地域差と判事による個人差があることが説明され、1950年から2001年までの整理解雇に関する判例260件の分析から都道府県別の傾向「解雇無効判決変数」を作成することによって地域性が述べられている。それによると、大阪では解雇無効、東京では解雇有効の判決が相対的に多く、全体として関西・中国地方は解雇無効、関東・九州で解雇有効の傾向を指摘したうえ、労働者寄りの解雇無効判決がTFP(total factor productivity全要素生産性)に与える影響を分析している。 

  結論として解雇無効判決が相対的に多く蓄積する傾向がある時に、その裁判所がある都道府県に本社を置く企業では、TFP伸び率を有意に減少させることが明らか。TFP伸び率の減少を通じて労働生産性の伸び率も減少することは明らかとしている。
 又、解雇規制は企業家精神や革新的なイノベーションを抑制する効果があるという先行研究に言及したうえで、企業のイノベーションが解雇規制の強化で抑制されている可能性が示唆されている。
 つまり解雇規制は企業がリスクテイキングできる環境でないからプロダクトイノベーションを抑制するのでジリ貧になっていくだけということだろう。
 
 要するに、労働者寄りの解雇無効判決の判事、それを弁護するプロレーバー法律家と、それを支援する労働組合が、生産性を低下させ、日本経済を停滞させる要因の一つである。と同時に解雇規制を強化する政策、一律的な解雇規制ルール法制化の企ては、日本経済を低迷・悪化させる要因となる可能性が示唆されている。

  これは長期雇用の是非の問題とは違う。つまり解雇自由原則のアメリカでもウェルフェアキャピタリズムモデルを踏襲する組合不在企業は暗黙のノーレイオフ(あるいはなるべく解雇を避ける)であリ、ノーレイオフが社員の教育投資効果とコミットメントをもたらし、ヒューマンリソースマネージメントが効果を上げている企業もあるわけだが、これは個別企業の文化であって、司法部による解雇規制の影響とは別問題と考える。

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2009/05/10

オープンショップ運動・レイバーインジャンクション・ウェルフェアキャピタリズム1920年代黄金時代の意義(4)

第1回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-8b88.html

第2回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-95c8.html

第3回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-cfd7.html

 労働者のマグナカルタとゴンパースが称賛した1914年クレイトン法の制定を取りあげる前に、19世紀末期から20世紀初期までの主な労働事件を概観しておこう。全米的規模の1877年の大鉄道ストライキについては当ブログでもhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_c08f.html取りあげた(ウィキペディア日本語版も詳しいので参照)ように、セントルイスでは労働組合の指導で組織的なストライキが起きたが、他の地域ではストに付和雷同して浮浪者、失業者等の群衆が加わり、あるいは10代の青少年が暴徒となって騒乱になるのが殆どだった。ストライキの途中で食糧等の略奪が起きている。連邦軍出動の法的根拠は、(1)州内反乱の抑圧援助(修正法律5297条)、(2)武器庫等連邦財産の保護、(3)連邦裁判所の管財命令である。郵便逓送妨害や、州際通商の妨害は根拠とされていない。インディアナ、イリノイ、カリフォルニアに出動した(3)のケースが直接労働争議の抑圧のためのものであるが、最初にストが勃発したウェストバージニアやメリーランドのケースは(1)に該当し、平たく言えば暴徒を鎮めることであって、労働争議を直接抑圧することを目的とはしていない。にもかかわらず(1)(2)の根拠で、罷業者など群衆によるピケを排除・防止するとともに会社側のスト破り等の列車の運行を確保しており、実質的に労働争議抑圧の手段になった。後の1894年のプルマン・ストライキのように、ズバリ郵便逓送の妨害や、州際通商の妨害を根拠とした禁止命令(インジャンクション)のほうが理屈としてはわかりやすいとはいえるだろう。
 しかし、この事件は教訓になった。当時、刑事共謀法理が廃れていたわけではない。団結活動それ自体は、目的・適用の両面にわたって厳しい制約の下にあったのである。ピケッティングや説得活動であるが、適法とされるのは「個別的自由の集合ないし総和」と認められる限りの行為であって、いささかでもこれを超える要素があると判断されれば違法とされたのであって裁判所の許容する範囲は極めて狭く、裁判所は反組合的であった(註1)。
 進歩的な工業州や都市であっても反組合立法はあった。1879年~1983年の好況で労働組合の結成が相次いだが、例えば1881・1882年ニューヨーク市では刑法の修正により共謀罪の適用を拡大し、多くの形態のピケッティングが脅迫罪を構成するとされた。「個人であれ団結してであれ、生命ないし肉体に損傷を与える危険をもたらす恐れのあうる場合、または高額の財産を破壊したり、それらを損傷を与える恐れのある場合には、雇用ないし労働契約の不履行は犯罪とされる」という条文によって、有罪の判決を受ける者は一年間の懲役及び500ドルの罰金を課された(註2)。
 また1986年のニューヨークでの2件のボイコットを扱った判決では暴力がなくても、集団でボイコット対象の店舗の前を行進し、感情を害するビラをまき、苦情を強い口調で訴えることは威嚇・脅迫となり、雇用主の事業を損ないストライキ行為者やボイコット反対者を罰する行為は告発されることとなった(註3)。

 1886年ヘイマーケット事件

 メーデーの起源として知られる事件。1884年シカゴにおいてドイツ移民の無政府主義者が進歩的煙草労働組合の働きかけで、中央労働組合を結成し連合労組協会と結合。シカゴの諸労働組合を支配すべく猛運動を展開し、中央労組は1886年4月までに主要22組合を加盟させ、8時間労働制を掲げ、連合労組協会も「8時間労働協会」を設立し、傘下組合、社会主義労働党・ナイツを加入させた。
 8時間労働運動は5月1日8万人がストライキに突入するが、5月3日ゼネストは5月3日のマコーミック・ハーベスタ社工場事件で頓挫する。この工場ではロックアウトを喰っており、無政府主義者が工場付近で集会を開き演説をしていたところ、スト破りの労働者が帰途につくため門を出たため乱闘となり警察が到着して発砲し4名が死亡。翌日へイマーケット広場で抗議集会が行われ、集会を解散させるために警備隊が送られたが、演説者と口論になったところ、爆弾が破裂、巡査部長が即死60名の警官が倒れ、警官も応戦のために発砲し死傷者を出したという事件である(註3)。
 もちろん、私はこの事件で処刑されたアナーキストは憎むことはあっても同情することなど全くない。
 そもそも労働組合の目的と活動それ自体が、「取引を制限するコンスピラシー」(doctrine of restraint of trade)ないし「他人の取引を侵害するコンスピラシー」(conspiracy to injure of another)なのである。そもそも争議行為は、契約違反の誘致行為、契約の履行不能をもたらす行為、強迫、共謀、営業妨害等不法行為なのであって、本件においても締め出された労働組合員が工場付近で集会を行っていたところ、門から出てきたスト破りの非組合労働者と乱闘になっている。他者の就労を妨害しているのであり、他人の取引を侵害しているのである。爆弾に至ってはテロであり、弾圧されてしかるべきである。したがって犯罪者たるドイツ移民アナーキストを殉教者として記念するメーデーは悪しき行事としてなくすべきだろう。

(註1)辻秀典「アメリカ労働法における団結権思想の一齣」前田達男・萬井隆令・西谷敏編『労働法学の理論と課題』有斐閣1988年
(註2)津田真澂『アメリカ労働運動史』総合労働研究所1972年94頁
(註3)竹田有「アメリカ例外論と反組合主義」古矢旬・山田史郎編『シリーズ・アメリカ研究の越境第2巻権力と暴力』ミネルヴァ書房2007年167頁
(註4)竹林信一「アメリカ労使関係の史的考察-3-」『甲南経営研究』11巻2号 1970

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2009/05/09

検疫はいい加減やめるべきだ

 毎日電子版によれば「世界保健機関(WHO)のブリアン・インフルエンザ対策部長代理は8日、『(新型インフルエンザの)感染が広がっても、軽症患者ばかりが確認されるようなら、対策を現実に合わせていかなければならない』と述べた。」http://news.biglobe.ne.jp/social/638/mai_090509_6387637122.html。報道によれば、キラーウィルスといわれるほど強毒性ではなく、症状・致死率も季節性インフルエンザと大差なしとされている。従って感染してしまうこと自体リスクを全く感じない。恐れているのは病気ではなく、検疫の巻き添えて10日間拘留されたり、かかってしまうことで、評判を落としたり、出勤停止になったりするそっちのリスクが大きい。病気そのものではないわけです。
 そういう考えは甘いといわれるかもしれないが、日本のように空港で重装備の検疫をやっているのは他に中国ぐらいなんじゃないですか。もっとも国民を安心させる政治的パフォーマンスとしての心理的効果はあるかもしれないが、現実問題、アメリカに出張して検疫の巻き添えで10日間も拘留されたらビジネスマンはたまらないだろう。

ドイツは資格社会・階層社会で風通しが悪そうで嫌い

   ドイツは良くないということは、「ドイツ人経済ブロガーがいない10の理由」というロイター記者のフェリックス・サーモンの翻訳http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090421でもわかる。「ドイツ人は対価抜きに仕事しない」「ドイツ人は休暇をものすごく大事にする。ブログから休暇を取るのは難しい」「ブロガーは‥‥アウトサイダーでいることに誇りを持ち、権力に対し真実を告げるという役回りを演じたがる。ドイツでは、アウトサイダーであると宣言するのは尊敬を集める方法とは言えない」。「ドイツではとにかく資格がモノを言う‥‥読み手は‥‥発言者の資格が確かなものかどうかを気にする」なるほどと思った。
 私なんかは実社会でペイペイの平で虫けら同然なので、献身的に働いても評価されないし悪者扱いされるんで、平等主義で資格も肩書きもなく対等に書けるブログ圏を好む。ドイツ人のメンタリティと逆。

2009/05/07

林=プレスコット説に思う(3)ドイツに倣う政策はろくなものがない

 「ユーロ圏成長率、最悪4・0%のマイナス成長…09年予測」という読売の記事http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090505-00000055-yom-bus_allによると、輸出依存度が高いドイツの09年度成長率はマイナス5.4%としている。

 しかし、Japan Business Press 「ドイツ経済に忍び寄る「失われた10年」」2009年04月08日Financial Times の翻訳 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/850を読みましたが、コメルツ銀行のチーフエコノミストは最大マイナス7%としている。

 この記事によるとドイツはリーマンショックで大きな影響を受けた。「各地の企業が投資計画を凍結、ドイツの工場は誰も買いたがらない工業製品を作っていることに気づく羽目になった」という。「ちょうど1990年代の日本のように、国内に成長の源を見いだせず、ひたすら世界経済の潮目が変わることを待つ『失われた10年』――長期に及ぶ経済停滞――に突入する危険」があるという。要するに私が言いたいのは、労働協約法、共同決定法、事業所組織法等の協約自治システムをとるドイツ・モデルは自由企業体制とはいえないのでダメだということです。
 馬鹿げたことに我が国の政府は、ドイツの時短が時流と勘違いして推進した結果が、経済の停滞だ。政府は労働組合でもないのに時短の旗振りをしたことが犯罪的だということです。
 それで『諸君』の最終号のくだらない座談会を読んでたら、反米主義の西尾幹二が「ライン型資本主義」を推奨しているので、本当に馬鹿げているなあと思いました。ドイツや北欧のコーポラティズムはろくなもんじゃですよ。もっとも、『諸君』座談会をけなす池田信夫http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/8d708fb93d1219f8963fe5ef1bef2241もデンマークのような北欧モデルを推奨しているからリバータリアンを標榜する割には、かなり変だと思ってはいますが。

2009/05/06

林=プレスコット説に思う(2)ドイツに倣う政策はろくなものがない

   1990年代の日本経済低迷「失われた10年」の要因とは−−「時短」により,週当たりの雇用者平均労働時間が,バブル期前後で44時間から40時間に低下したこと,もう一つは,生産の効率性を図るTFP(total factor productivity)の成長率が,90年代の中ごろから低下したことである−−という 林文夫教授とプレスコット教授による有力な説がありますが、労働基準法の改訂が時短の原因であると同時に経済低迷の要因であることは明白であるにもかわらず、性懲りもなく、政府が少子化対策・ワークライフバランス等に口実を変えた時短推進政策がとられているのは全くばかげたことである。
 OECD (2007) によれば, 雇用者の年間平均総労働時間は, ドイツが1436 時間ともっとも少なく、わが国は1784 時間であり, 米国1804 時間より少ない PDF http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2008/06/pdf/049-061.pdf
 
 そもそも時短の契機というのは、1984年ドイツ金属産業労組(IGメタル)とゲザムトメタルの労働時間協約交渉において戦後最大規模のストライキが打たれ、6月24日に特別仲裁委員会の合意提案を双方が受け容れ協約上の週労働時間を38.5時間としたことであった。
 1987年と90年にも労働時間短縮と雇用保障をパックにした雇用保障協定が締結され、1995年10月から労働組合の目標だった週35時間制を実現した(註1)。
 労使関係のドイツモデルは使用者団体の高い組織率と産別労組による集権的な構造の団体交渉・協約自治システムと強い労働協約の拘束力を特徴としている。労働協約法により企業協定より産別労組との労働協約が優位する。労働組合にハイアラーキー構造があって金属労組(IGメタル)が主導する。同労組の組織率の高さから強力なパターンセッティングがなされる(註2)。政府は労使交渉に干渉しないが、労使が申請した場合、連邦労働社会省が一般的拘束力宣言を発することにより、労働協約を該産業の未組織労働者にも拡張適用させて労働条件を規制している。連邦労働社会省によると、07年7月1日現在、ドイツ全体で有効な労働協約6万7300のうち、一般的拘束力宣言を受けている協約が448ある。PDF http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2009/documents/050_06.pdf
 
 産業レベルの労使団体による団体協約自治というシステム、それは20世紀の最初の三十年間、ヨーロッパ社会が社会主義と労働組合運動の高揚に対応して企業横断的な雇主協会を結成し、この協会が、財産権と経営権を組合が支持するという約束と引き換えに、組合を容認し産業レベルの団体交渉に応ずるようになったという経緯によるものであるが、このシステムを私はもっとも嫌悪する。産業平和の確立のためだというがドイツのような労働協約の強い拘束力の体制は労働の自由と自由企業体制に反するものであるから。
 
 むろん、80年代の時短はドイツが持続的に経済成長し好調だったことを背景としている。他のOECD諸国がインフレと失業に悩んでいたがドイツと日本が良好なパフォーマンスを演じていた。なぜ、80年代までドイツは好調だったのか、近藤正基が引いているハッセル説がわかりやすい(註2)。それは低生産性産業が拡大しなかったことである。ドイツの賃金構造が集権的労使交渉制度により平等的であり、賃金の低い低生産性部門の雇用創出を抑えた。又、早期退職制度や寛大な失業保険により、低生産性部門のコストが外部化が行われたとする。日本は、企業内組合が欧米の産業別組合と違ってFA(ファクトリーオートメーション)ME(マイクロエレクトロニクス)の導入に協力的で技術革新が進んだので80年代は好調だった。
 しかし、それは相対的な優位に過ぎなかったわけである。90年代以降ドイツ経済は低迷し、経済成長率の低下、失業率の増大、財政赤字の増大で「ヨーロッパの病人」と呼ばれるようになった。日本も90年代低迷し、アングロサクソン型資本主義が明白に優位となり、ステークホルダー(利害関係者)重視型のドイツ、日本は良くない制度ということになった。ドイツモデルについていえば広域労働協約(Flaechentarifvertrag、産業別・地域別に一律に適用される団体協約)といった硬直した労働条件規制が自由な企業の進展に弊害になっているとみるべきだろう。
 金属産業労組(IGメタル)は2003年の旧東独地域の週35時間制要求のストライキで50年ぶりの敗北となりhttp://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2003_09/germanyP01.html、ドイツでは時短は見直しの方向になった。2004年にはジーメンス、ダイムラークライスラーの一部事業所で週40時間制が導入された。IGメタル本部は強く反発したが、ジーメンス社は労働時間延長がなければハンガリー、中国へ工場を移転せざるをえないとしたため、労組も妥協ざるをえなかった。http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2004_8/germany_01.htm
 
 このように、ドイツではIGメタルなどの強力な産別労組主導で協約自治システムにより時短がすすめられた。我が国はドイツのような団体協約自治システムはないのに、政府主導で、労使交渉ではなく労働基準法の改正により週休2日制の定着が図られ、1992年は「労働時間の短縮の促進による臨時措置法」が設定され、「労働時間短縮推進計画」において2005年までに年間総労働時間1800時間の定着・達成が政府目標とされるなどして時短が進められた。もともと労働組合が組織されておらず時短を望んでない中小企業まで促進された。企業内組合や組合不在の中小企業、あるいは低生産性企業では実現できない時短政策を政府が産別労組の役割に代わって推進する、非常に筋の悪い政策であったと思う。結果的にも日本経済を低迷させたことで、犯罪的な政策といえるだろう。

 なるほど、ドイツにおいて時短は推進したが、ドイツに倣う必要など全くなかったのである。

(註1)和田肇「ドイツにおける労働時間協約政策の変化--金属産業労働時間弾力化協約を素材として」『名古屋大学法政論集』  (通号 167) [1997.01] 

(註2)近藤正基「 現代ドイツにおける労使関係の変容(1)統一以降の協約自治システムの展開に関する政治経済学的考察」『法学論叢』
   163(4) [2008.7] 

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2009/05/05

日記 入手資料整理2

◎9007 有泉亨 「物語労働法第12話ボイコット2」『法学セミナー』190 1971
9008 松田裕之「1920年代アメリカにおける労使関係の一動向」『労働問題研究』20号 1985
◎9009有泉亨「第13話寛容から助成へ-不当労働行為」『法学セミナー』191号1971
◎9010有泉亨「労働組合の不当労働行為・助成から規制へ」『法学セミナー』195号1972
△9011田中和雄「書評中央大学企業研究所編『「日本的経営」の再検討』」『経営研究』45巻1号 1994
9012伊藤健市『導入する企業が増え続ける年俸制とは」『税経セミナー』48巻9号 2003
9013辻秀典「アメリカの公共部門ストライキ理論」『法律時報』61巻11号 1989
9014平尾武久「労務管理発展史論の方法に関する一考察・1920年代アメリカ労務管理と労資関係」『経営論集』34巻3・4号 1987
9015竹林信一「テーラーシステムと鉄鋼産業」『甲南経営研究』14巻7号 1973
◎9016竹林信一「タフトハートレー法への道」『甲南経営研究』24巻2号 1983
9017井上英夫「タフト・ハートレイ法全国緊急事態条項の機能とその問題点 (公共部門におけるストライキ権の比較法的研究)」『比較法学』10(1) [1975.06]
◎9018「  タフト・ハートレー法の特徴について (現代経営管理の研究)」『甲南経営研究』26(1・2) [1986.03]
9019竹林信一「アメリカ労使関係の史的考察-4完」『甲南経営研究』12巻4号 1972
◎9020外尾 健一「タフト・ハートレー法下のユニオン・ショップ制 (磯田進教授還暦記念号)」『社會科學研究』   26(3・4) [1975.02]
○9021伊藤健市「アメリカ人の働き方は変化したのか(2)ピーター・キャペリ著『キャリア型の仕事は消滅した』」」
9022伊藤健市「大恐慌期の特別協議委員会--その雇用政策とくにワークシェアリングへの対応を中心に」『関西大学商学論集』45(3) [2000.8]
9023松井茂記「実体的デュー・プロセス理論の再検討」『阪大法学』141・142号 1987
9024辻秀典「カリフォルニア州における公共部門ストライキ権判例理論の展開-1-」『広島法学』16(4) [1993.03]
9025 Sanford M. Jacoby   伊藤 健市翻訳 「アメリカ人の働き方は変化したのか サンフォード・M・ジャコービィ著『返答:消滅との報告は時期尚早である』」『関西大学商学論集』49(2) [2004.6]
9026木南敦「合衆国憲法の執行権の理解とニューディール」『アメリカ法』1997-1
9027小島基男「1920年代のアメリカ鉄道業における労働問題-1926年鉄道労働法の成立-」『経済と経営』21巻3号 1991
9028竹林信一「アメリカ労使関係の史的考察-3-」『甲南経営研究』11巻2号 1970
◎9029有泉亨「物語労働法第20話ショップ制の問題点」『法学セミナー』203号 1972
【重要】9030有泉亨「物語労働法第11話レイバー・インジャンクション(2)『法学セミナー』188号 1971
9031竹田有「郊外化とアメリカ中産階級 (都市と郊外<特集>)」『アメリカ研究』1971
9032中島醸「アメリカ全国労働関係法とニューディール・リベラル派-立法過程における対抗関係-」『一橋社会科学』3号 2007
9033成瀬龍夫「独占資本主義と国民生活様式--1920年代における『アメリカ的生活様式』の成立とその意義   『彦根論叢』(通号 231) [1985.03]

平均週当たり労働時間 1909 52.7
           1919 47.8
           1923 47.3
           1929 45.7
           1932 38.2
           1939 37.6
           
9034 森川 章「デュポン社における初期ニューディール労働政策への対応--従業員代表制の全社的導入」『名城論叢』   8(3) [2007.11]8巻3号2007
◎9035竹林信一「アメリカ労働総同盟とクレイトン法」『甲南経営研究』  18巻2号1977

2009/05/04

日記 入手資料等整理1

 資料整理のためにナンバーをふっていく。
 
9001 第1部 日本航空メールボックス事件と不当労働行為 (特集 企業施設管理権と組合活動)『労働法律旬報』  (1517・1518) [2001.12.上・下旬]
 
◎9002 第2部 企業施設利用に関する判例・命令 (特集 企業施設管理権と組合活動) 

古川陽二 「一〇・三〇判決以降の施設管理権と組合活動に関する判例動向」『労働法律旬報』  (1517・1518) [2001.12.上・下旬
一〇・三〇判決以降のと組合活動と施設管理権に関する判例一覧

9003 武井 寛 施設管理権をめぐる最近二〇年間の労働委員会命令の動向 (特集 企業施設管理権と組合活動) -- (第2部 企業施設利用に関する判例・命令)]『労働法律旬報』  (1517・1518) [2001.12.上・下旬

9004 近藤正基「 現代ドイツにおける労使関係の変容(1)統一以降の協約自治システムの展開に関する政治経済学的考察」『法学論叢』
   163(4) [2008.7] 
   
9005  近藤正基  「大連立国家」の変容(1)現代ドイツにおける年金縮減改革の政治過程 『法学論叢』159(3) [2006.6]
   
「大連立国家」の変容(2)現代ドイツにおける年金縮減改革の政治過程 『法学論叢』160巻2号6]

「大連立国家」の変容(3)・完現代ドイツにおける年金縮減改革の政治過程 『法学論叢』161巻3号

9006 伊藤 之雄  「東久邇宮稔彦王の復活と宮中・陸軍(2)皇族と満州事変への道・1927~1932」  『法学論叢』159(3) [2006.6]

Cimg0042  雑誌記事の入手は国会図書館のオンラインサービスを使えば在宅のまま資料を入手できるが、即ほしい時は図書館に行く。そこで5月3日に、都立中央から雑誌類を移してマガジンバンクと称している立川の都立多摩図書館(雑誌の集中サービス館として1日にリューアルオープンした)に初めて行った。教育センターの一室だけなので場内の広さは並の地域図書館かそれ以下、退場しないと自動販売機もないので、トイレ前の水飲み場で水を飲む。なぜか都立農業高校で栽培したカトレアが。蔵書検索のパソコンにマウスパッドがないのがあったが、文句は言わなかった。立川駅前を見たのも生まれて初めて。北口角の居酒屋で昼食玉丼。ビックカメラでプリンターのインク・紙とソフトなどを買う。

感想 ETV特集 「いま憲法25条“生存権”を考える~対論内橋克人-湯浅誠」

 NHK教育2009年5月3日放映。敵とみなされる活動家湯浅某と共生経済とか馬鹿げたことを言ってる内橋克人の対談だから不愉快で見る価値などなかったがブログのねたとして見た。

そもそも私は憲法25条は憲法28条とともに廃止したい。ワイマール憲法なんて左翼政権がつくったろくでもないもので、鼻くそくらいの価値しかないと思っている。ワイマール憲法を法源とする規定は全て削除されるべきであ。森戸辰夫の熱意なんて余計なお世話としか思ってない。しばしば個人のつまらない熱意や思いこみにより、ばかげた法律がつくられれる。

  湯浅が「日本は福祉国家でない」と実感してるという趣旨の発言がありましたが、私は逆に福祉国家でないほうが救いようがあるとの認識だから、全く反対の意見です。

 又、湯浅誠は生活保護費を引き上げると最低賃金も連動するから、労働組合と連帯できる云々という趣旨の発言がありましたが、これもばかげている。

  最低賃金引き上げはレーバーコストの上昇から低スキルの労働力需要を減少させるというのが一般的な見方である。アメリカでの議論はこのブログでも引用したとおりであるhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_7d33.html。つまり最低賃金引き上げの受益者は、低所得層ではなく中間層であるとアメリカでは分析されている。つまり貧困とは言えない若者や主婦がパートで稼ぎ、彼らが恩恵を受ける。中間層を潤し、貧困対策として機能しない。つまり、最低賃金引き上げにより、マイノリティーの若者、福祉の需給を受けている母親や低スキルの成人が、高い賃金に魅力を感じた中間層のティーンエイジャーにより排除され、高い最低賃金構造は低所得層の収入をむしろ抑制し、低所得層と中間層以上との格差を拡大させる。

  そんなに貧困者や派遣に同情するなら、むしろ正規社員の労働組合員の既得権をなくし、労働者保護法を廃止する。ニュージーランド1991年雇用契約法のような、労働の自由を促進して、団体交渉権否認の労働政策、集団的労働関係に拘束されずに勤労できる権利を確立したほうが、逆説的に格差は是正されると思う。
 
 マスコミや政治家が騒いでいるほど、世間は派遣村に同情してないでしょ。池尾和人の『開発主義の暴走と保身』という本を読みましたが、パブル経済の崩壊でダメージが大きかった「負け組」は一般政府部門と、金融機関で、家計部門は「勝ち組」と書かれてます(202頁)。1991から2002年に家計部門は649兆3896億円の評価損を被ったが、1980年から90年の間に得た評価額の半分強が失われただけで、80年から2002年まで通算すると578兆1107億の評価益と書かれてます。
 家計部門は勝ち組だから、経済低迷にもかかわらずダメージは深刻でないとすると、生活者重視の政策は間違いだと思います。生産性を向上させてない生活者が勝ち組となったことが変だと思う。社会民主主義的な政策を求めて既得権を守って、勝ち逃げしたいと考えてる人が結構多いんじゃないですか。

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