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2009/05/10

オープンショップ運動・レイバーインジャンクション・ウェルフェアキャピタリズム1920年代黄金時代の意義(4)

第1回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-8b88.html

第2回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-95c8.html

第3回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-cfd7.html

 労働者のマグナカルタとゴンパースが称賛した1914年クレイトン法の制定を取りあげる前に、19世紀末期から20世紀初期までの主な労働事件を概観しておこう。全米的規模の1877年の大鉄道ストライキについては当ブログでもhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_c08f.html取りあげた(ウィキペディア日本語版も詳しいので参照)ように、セントルイスでは労働組合の指導で組織的なストライキが起きたが、他の地域ではストに付和雷同して浮浪者、失業者等の群衆が加わり、あるいは10代の青少年が暴徒となって騒乱になるのが殆どだった。ストライキの途中で食糧等の略奪が起きている。連邦軍出動の法的根拠は、(1)州内反乱の抑圧援助(修正法律5297条)、(2)武器庫等連邦財産の保護、(3)連邦裁判所の管財命令である。郵便逓送妨害や、州際通商の妨害は根拠とされていない。インディアナ、イリノイ、カリフォルニアに出動した(3)のケースが直接労働争議の抑圧のためのものであるが、最初にストが勃発したウェストバージニアやメリーランドのケースは(1)に該当し、平たく言えば暴徒を鎮めることであって、労働争議を直接抑圧することを目的とはしていない。にもかかわらず(1)(2)の根拠で、罷業者など群衆によるピケを排除・防止するとともに会社側のスト破り等の列車の運行を確保しており、実質的に労働争議抑圧の手段になった。後の1894年のプルマン・ストライキのように、ズバリ郵便逓送の妨害や、州際通商の妨害を根拠とした禁止命令(インジャンクション)のほうが理屈としてはわかりやすいとはいえるだろう。
 しかし、この事件は教訓になった。当時、刑事共謀法理が廃れていたわけではない。団結活動それ自体は、目的・適用の両面にわたって厳しい制約の下にあったのである。ピケッティングや説得活動であるが、適法とされるのは「個別的自由の集合ないし総和」と認められる限りの行為であって、いささかでもこれを超える要素があると判断されれば違法とされたのであって裁判所の許容する範囲は極めて狭く、裁判所は反組合的であった(註1)。
 進歩的な工業州や都市であっても反組合立法はあった。1879年~1983年の好況で労働組合の結成が相次いだが、例えば1881・1882年ニューヨーク市では刑法の修正により共謀罪の適用を拡大し、多くの形態のピケッティングが脅迫罪を構成するとされた。「個人であれ団結してであれ、生命ないし肉体に損傷を与える危険をもたらす恐れのあうる場合、または高額の財産を破壊したり、それらを損傷を与える恐れのある場合には、雇用ないし労働契約の不履行は犯罪とされる」という条文によって、有罪の判決を受ける者は一年間の懲役及び500ドルの罰金を課された(註2)。
 また1986年のニューヨークでの2件のボイコットを扱った判決では暴力がなくても、集団でボイコット対象の店舗の前を行進し、感情を害するビラをまき、苦情を強い口調で訴えることは威嚇・脅迫となり、雇用主の事業を損ないストライキ行為者やボイコット反対者を罰する行為は告発されることとなった(註3)。

 1886年ヘイマーケット事件

 メーデーの起源として知られる事件。1884年シカゴにおいてドイツ移民の無政府主義者が進歩的煙草労働組合の働きかけで、中央労働組合を結成し連合労組協会と結合。シカゴの諸労働組合を支配すべく猛運動を展開し、中央労組は1886年4月までに主要22組合を加盟させ、8時間労働制を掲げ、連合労組協会も「8時間労働協会」を設立し、傘下組合、社会主義労働党・ナイツを加入させた。
 8時間労働運動は5月1日8万人がストライキに突入するが、5月3日ゼネストは5月3日のマコーミック・ハーベスタ社工場事件で頓挫する。この工場ではロックアウトを喰っており、無政府主義者が工場付近で集会を開き演説をしていたところ、スト破りの労働者が帰途につくため門を出たため乱闘となり警察が到着して発砲し4名が死亡。翌日へイマーケット広場で抗議集会が行われ、集会を解散させるために警備隊が送られたが、演説者と口論になったところ、爆弾が破裂、巡査部長が即死60名の警官が倒れ、警官も応戦のために発砲し死傷者を出したという事件である(註3)。
 もちろん、私はこの事件で処刑されたアナーキストは憎むことはあっても同情することなど全くない。
 そもそも労働組合の目的と活動それ自体が、「取引を制限するコンスピラシー」(doctrine of restraint of trade)ないし「他人の取引を侵害するコンスピラシー」(conspiracy to injure of another)なのである。そもそも争議行為は、契約違反の誘致行為、契約の履行不能をもたらす行為、強迫、共謀、営業妨害等不法行為なのであって、本件においても締め出された労働組合員が工場付近で集会を行っていたところ、門から出てきたスト破りの非組合労働者と乱闘になっている。他者の就労を妨害しているのであり、他人の取引を侵害しているのである。爆弾に至ってはテロであり、弾圧されてしかるべきである。したがって犯罪者たるドイツ移民アナーキストを殉教者として記念するメーデーは悪しき行事としてなくすべきだろう。

(註1)辻秀典「アメリカ労働法における団結権思想の一齣」前田達男・萬井隆令・西谷敏編『労働法学の理論と課題』有斐閣1988年
(註2)津田真澂『アメリカ労働運動史』総合労働研究所1972年94頁
(註3)竹田有「アメリカ例外論と反組合主義」古矢旬・山田史郎編『シリーズ・アメリカ研究の越境第2巻権力と暴力』ミネルヴァ書房2007年167頁
(註4)竹林信一「アメリカ労使関係の史的考察-3-」『甲南経営研究』11巻2号 1970

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