感想 日本建築学会編『音楽空間への誘いコンサートホールの楽しみ』
鹿島出版会2000年。建築書。80年代初期に多目的ホールの無目的性が批判され、1981年の中新田町バッハホールを皮切りとして、82年の大阪ザ・シンフォニーホール、熊本県立劇場大ホール以降、80~90年代全国各地に非常に多くのコンサート専用ホールの建築ラッシュがあったが、音楽空間の在り方を論じたもの。
音楽空間の様相は157頁の図面で素人でもおおよそのことはわかる。この本ではシューボックス形式偏重を総じて批判しているように思えた。基本的なタイプは1870年ウィーン楽友協会大ホール(ムジークフェラインザール=別名“黄金のホール”)、1884年ライプチヒのノイエス(旧)ゲヴァントハウス、1888年アムステルダムのコンセルトヘボウ、1900年ボストンシンフォニーホールに代表される。
つまり19世紀後半のタイプだが、大阪いずみホール、浜離宮朝日ホール、紀尾井ホールなど多くのホールがこのタイプで、165頁以下で建築家の澤岡清秀が、欧州のホールにはない木の内装といい、インテリアの類似性といい、画一的な「キッチュ」と言う厳しい批判が展開されている。要するにウィーン楽友協会大ホールがいまだに世界最高のホールとされ、それに似た形なら施工主も納得し悪趣味なものを量産したということか。しかし木製の内装という日本スタイルを確立したのではないか。
一方、この本は1986年竣工のサントリーホールを成功例としており、192頁以下で座談会を載せてますが、1963年竣工のベルリンフィルハーモニーに倣ってアリーナ形式(ワインヤード形式とも言う)を採ったこと、重厚でなくカジュアルな野暮ったさが好評の一因として指摘している。私も一度行ったことがあり、裏側の席で見た。神谷町下車で歩いたがわかりにくいところにあって迷ってしまったが、周囲の都会的な雰囲気は悪くなかった。
その後札幌、新潟、川崎がアリーナ形式を採用している。
私はシューボックス型ホールに行ったことがないので、どちらが良いのか分からないが、この座談会でも建築家がシューボックスを無難な設計とみなしていることを批判している。
建築書なので、ホール建設と経済効果についての評価といった問題には深入りしていない。
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あっもう!ちょ!!!凄い!!!凄いよ!!!!!
あぁぁテンション上がりすぎて何から言えばいいかわかんねwww
勃.起おさまんねーし今からもっかい行ってくるwwwwwww
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投稿: しゅおおぁあああ!!!!! | 2009/06/21 20:15
包茎ガリガリ体系で29年間童貞でギャルゲー三昧だった俺。。。
ちょっと勇気出してコレやってみたら楽勝でセクれたわ(^^;
こないだの子は俺のアバラ骨で素股して潮ピュッピュ吹いてたしwww
ワロタけどアバラ骨も使いようによっては武器になるんだなぁwwww
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投稿: 俺なんかが売れたーよヽ(゜∀゜)ノヒャッヒャ | 2009/06/23 22:57