村木厚子逮捕は痛快だが育児介護休業法改正は不愉快
厚生労働省前雇用均等・児童家庭局長村木厚子容疑者(53)が、「凛(りん)の会」の要望を聞き入れ、郵便事業会社(日本郵便)に電話で「割引制度の適用を承認してほしい」と頼んでいたことが16日、捜査関係者への取材で分かったというニュースがあります。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090616-00000186-jij-soci
育児休業だセクシャルハラスメント防止だなんだとえらそうなことを言うエリート女性局長が文書偽造というつまらない容疑ではあるが逮捕されたこと自体は痛快ではある。東大さつき会でなかったから救いの手がなかったのかなというのは冗談ですが、しかし、こいつが深くかかわった育児介護休業法(3歳未満の子のいる従業員に対する短時間勤務、残業免除を企業に義務づけることや、厚労相の勧告に従わない企業名の公表を骨子とする)は今国会で成立の見通しというのは全く不愉快だ。悪人がつくった法律ですからろくなもんじゃないんですよ。http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090613k0000m010020000c.html
育児休業制度は従業員30人未満の企業で女性の採用を抑制する効果があるという分析がある(脇坂明「仕事と家庭両立支援制度の分析」猪木・大竹編『雇用政策の経済分析』東京大学出版会2001年)。勧告に従わない企業名の公表というペナルティで女性採用の抑制効果が強まる可能性があるといえる。育児休業の法定が決して女性全体の利益にはなっていないと考える。
そもそも出生率が増加傾向にあるアメリカ合衆国のファミリーフレンドリーな従業員政策は各企業のポリシーで勝手にやっていることにすぎず、法定有給休暇もない。1978年の妊娠差別禁止法は妊娠・出産を一時的労働不能状況とみなし、疾病や傷害で一時的に労働不能な者と同等処遇をもって平等とする考え方で女性を特別扱いにするものではないし、1993年家族・医療休暇法(50人以上雇用する使用者は出産、養子の受け入れ、子・配偶者・親の重大な疾病、本人の重大な疾病のために1年間に12週の無給休暇を被用者が取得することを認めなければならないとする性的中立立法。この法案は8年にわたって議論され、父ブッシュ大統領が二度拒否権を行使したため、クリントン政権になってやっと成立したものであった。)も12週の無給休暇であるから1歳未満の子を養育する労働者を対象とする我が国の制度よりずっと短い。合衆国の合計特殊出生率は1990年に2.08、2000年2.06、2006年2.10(労働政策研究・研修機構の『データブック国際労働比較2009』69頁)で、家族・医療休暇法が影響したとは考えにくい。要するにアメリカ合衆国は育児休暇などなくても出生率は高い。たぶん教会の文化的影響力やコミュニティの健全さがあるのだろう。
一般論としていえば若い女性の就業は持参金効果をもたらし結婚しやすくすると考えられる。むしろ育児休業などのコストを嫌って女性の採用を抑制する傾向が認められるならば、むしろ育児休業法定は少子化対策としても有害だといえるだろう。
村田厚子のやった偽障害者団体に便宜を図ったことは信用失墜行為にすぎずそれ自体は小さな悪にすぎないと思うが、真の悪はこいつがかかわってきた女性政策そのものであって均等法・育児休業・セクハラ規制などを全面的に見直しすべきだというのが私の考えである。
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