カード 児童ポルノ規制の問題点3
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安冨 潔(慶応法学部教授)「特別刑法の諸問題(3)児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(2)」『捜査研究』51(6) (通号 609) [2002.6]?
「児童ポルノ処罰法」第二条第三項第一号
「児童を相手方とする又児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態」
本号の「児童の姿態」とは①児童を相手方とする性交に係るもの②児童を相手方とする性交類似行為に係るもの③児童による性交に係るもの④児童による性交類似行為
児童のこのような姿態であることが視覚により認識することができるものであれば、性器等が描写それず、又はその部分にぼかしが施されているものであっても本号に該当する(森山真弓『よくわかる児童買春・児童ポルノ禁止法』)
第二号は「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」
第三者が当該児童の性器の当該児童の性器等を触る行為に係る又は当該児童が第三者の性器を触る行為に係るもの
「性欲を興奮させ又は刺激する」というのは、‥‥‥‥医学書に掲載され立て児童に対する治療行為を撮影したものも含まれるが、このようなものを処罰の対象から除外するためである。(森山前掲書)
「性欲を興奮させ又は刺激する」というのは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激することをいう。一部の人の性欲を興奮させ又は刺激するものであって、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものでない限り「児童ポルノ」には当たらない。
第三号は「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」とする。
「衣服の全部又は一部を着けない」とは、社会通念上衣服と認められる物をを全く着用すなわち、全裸又は半裸の状態が考えられ、通常の水着を着用している場合にはこれに該当しないといえよう。もっとも全裸又半裸の身体の上に、社会通念上人が着用するとは認められないような、透明又は半透明の材質により作られた衣装等を着用している場合には「衣服の全部又は一部を着けない姿態」に該当すると考えられる。
具体的な例としては、全裸又は半裸の児童に扇情的なポーズを取らせた姿態を描写した写真等で、性欲を興奮させ又は刺激する姿態であることが姿態により認識することができるものであれば、児童の性器が描写されておらず、又はその部部ににぼかしが施されているものであっても「児童ポルノ」に該当する(森山前掲書)。
なお、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」とされているが、、これは第二号と同趣旨でおむつのコマーシャルに全裸の乳児をしようしたり、炎暑に半裸でプールで遊んでいる姿をニュースで報道するなどは、一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいいがたく、「児童ポルノ」には当たらない。
単純所持処罰以前の問題として、現行の児童ポルノ禁止法それ自体に問題がある。いわゆる三号ポルノ「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」だけで児童ポルノとされているため、宮沢りえのサンタフェやジャニーズの未成年タレントが半裸となって乳首を出した写真でも児童ポルノみたいな馬鹿げた拡大解釈すら行う議員が問題とされた。
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という精神作用、内心の受け止め方にかかわる事柄が文面に入っていることにより、児童そのものの虐待より、性的快楽を追究する価値観と行動を規制するというパターナリズム的ニュアンスを看取できる。しかもそれはこの法律を最初に作った提出者が森山真弓元法相のような東大さつき会人脈の女性エリートや野田聖子元郵政相、辻元清美議員であることから、女性による男性の性的嗜好や性欲追究に関する嫌悪感を前提としているものと考えられる。
しかも与党の改正案では「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管した者も、同様とすること。」となってます。http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g16901032.htm
私は、精神医学にも関心があるし、フロイト左派などの思想も知っていますから、性欲・淫欲というものも人間性の重要な一部分として認める価値観であります。「自己の性的好奇心を満たす目的」でロリータヌードを家の中で1人で見ることが犯罪だとされてしまうと、それは性欲・淫欲というものも人間性の重要な一部分だとする、性欲追究を罪悪視しない思想それ自体の統制になる。これはゆゆしき問題で、そもそも、官憲が家の中で1人で本を読んだり、写真集を見たり、ビデオを見る自由という領域に干渉してくること自体に反対である。銃や覚醒剤の所持処罰とは性格が違うのである。
性欲や淫欲の追究を人間性の価値では著しく劣るという思想を公定することになるからである。
仮に、フロイト左派的な立場を取らないで、人間の性欲はアダムの罪により人間の経験に入ったもので、死や病と同様に人間が逃れることができない。性欲から逃れるには去勢しかないという、広範に受け容れられる価値観を取ったとしても、性欲追究はやむを得ないものとして寛容に処理されるべき問題であるということです。
従って「自己の性的好奇心を満たす目的」とか、現行法の 「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といった精神作用、内心の自由の領域に干渉する文言は削除されるべきである。
アメリカ合衆国で初の連邦法 1977年児童ポルノ規制法のような定義規定のように「現実の、または擬態による(A)、同性間であると異性間であると問わず、性器対性器、口腔対性器、肛門対性器もしくは口腔対肛門による場合を含む性交(B)獣姦(C)自慰(D)(性的刺激を目的とした)加虐・被虐性愛虐待、または(E)いかなる者の性器もしくは陰部の淫らな露出」といった規定なら、思想統制にはなっていないと判断されるので容認するにやぶさかではない。
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