カード 平和第一交通事件・福岡地裁判決平3・1・16その3
もっとも組合が、昭和六一年七月一三日以降、被告の勧告に従い、組合旗の掲揚本数を六ないし一〇本程度に削減し、原告に対し組合旗の掲揚に関するルール作りをするために話し合うよう申し入れたのに対し、原告が、右申し出を一切拒否して、組合が掲揚した組合旗を掲揚した組合旗を撤去し、組合旗を掲揚した組合員に対して処分警告書を発するに至ったことは、既に認定したところである。しかしながら、組合旗の掲揚本数を六ないし一〇本程度に減少させたとしても‥‥営業所兼事務所の入口等前認定の場所に常時掲揚されている等前認定の掲揚態様のもとでは、原告管理施設の美観を損ない、通行人や乗客等に奇異な印象を与える等企業イメージの低下をきたすことにおいてさほど変わりはないというべきである。
原告には‥‥家庭訪問等による組合脱退慫慂(しょうよう)等の不当労働行為がみとめられるのであるから、組合が、組合旗を掲揚して団結を維持しようとしたことは、理解できないことではないが‥‥これを会社敷地内に掲揚することが、そのために必要不可欠であるとはいえないし‥‥原告が久留米市及びその近郊の住民を主な顧客とするタクシー業者であり、経営状態が前認定のとおり数年来赤字に終始していた会社で、経営の改善が急務のとされていたところ、組合旗が原告の唯一の営業所事務所に一見して見える不体裁な状態で常時掲揚されている等前認定の諸事情のもとでは、いまだ原告が組合旗の掲揚を拒否してこれを撤去し、掲揚した組合員に対し処分警告書を発した行為が、専ら不当労働意思による行為であると断定はできず、またこれを権利の濫用と認める特段の事由がある友いうことはない。‥‥原告の各右行為は不当労働行為には当たらないというべき‥‥
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