ミツミ電機事件 東京高裁 昭和63年・3・31判決その1
判例時報516号
民主党政権で公務員に争議権まで付与される懸念が強い。十分研究する必要がある。本判決は施設管理権の判断(争議中の集会・構内デモ、ビラ貼付、ビラ貼付、赤旗掲揚の各行為)につき国労札幌事件の論理に依拠しつつも、 従来の「受忍義務説」と同じ比較衡量論をとっていることで問題のある判例である。
またピケッティングの正当性の判断について比較的広くとらえ「少なくとも説得の場を確保するために暴力の行使に至らないかぎりある程度の実力行使で出ることは必要やむをえない措置として容認される。」としたうえで、そのピケの態様対象、それがなされるまでの争議の経過、現実の影響等の諸般の事情を考慮され判断されるべきものとし状況によっては組合に実力行使を容認する問題の多い判例である。
企業は、その構成員に対し、企業秩序定立、維持のため、企業の所有し管理する物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的な規則をもって定め又は具体的にみ指示命令することができ、これに違反する行為をする者
に対しては、その中止を求め又は規程の定めるところに従って制裁として懲戒権を行使することができるものと解されているところ、企業に雇用されている労働者は、企業の所有し管理する物的施設の利用を予め許容されているとしても、この許容は、特段の合意が内限り、雇用契約の趣旨に従って労務を提供するために必要な範囲において、かつ、定められた企業秩序に服する態様において、利用する限度にとどまるものであり、また、労働組合又はその組合員であるからといって、使用者の許可なしに物的施設を利用する権限を有するものとはいえないのであって、ただ、労働組合又は組合員に対し当該物的施設を利用して組合活動を行うことを許容しないことが当該物的施設につき使用者の有する権利の濫用であると認められるような特段の事由のある場合に限り、許諾なしに物的施設を利用したことを理由に懲戒権を行使することができないものとすると解するのが相当である(最高裁昭和四九年(オ)第一一一八号同五四年一〇月三〇日第三小法廷判決・民集三三巻六号六四七頁参照)
ここまでは決まり文句で問題ないが次から比較衡量論になる。
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