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2009/09/22

カード リーン生産システム

篠原健一『転換期のアメリカ労使関係-自動車産業における作業組織改革-』ミネルヴァ書房(京都)2003(青) 3頁以下

 1980年代は世界経済においてアメリカのプレゼンスが低下する一方、日本の評価が高まり、日本的経営がもてはやされた時代だった。
 日本の作業組織として優れているものとして、従業員が厳格な職務区分に縛られず、従業員の助け合いなり、ジョブローテーションなり、労働力を柔軟に活用し無駄のない職場のしくみがあるが、これを「リーン生産方式」という。ウィキペディアでは「リーン生産方式はトヨタ生産方式を研究して編み出された方式であり、MITのジェームズ・P・ウォマック(James P. Womack)、ダニエル・T・ジョーズ(Daniel T. Jones)らによって提唱された。製造工程におけるムダを排除することを目的として、製品および製造工程の全体にわたって、トータルコストを系統的に減らそうとするのが狙いである」と説明されている。

 「本物のリーンな工場は」「工場内で、いつどこでどんな問題が起きても、解決能力のある従業員全体が手を貸すために走る」

 これは、ニューディール型労使関係システムにおけるアメリカのジョブコントロールユニオニズムとの対比で語られた。
107頁 アメリカの自動車産業の作業組織はUAW(全米自動車労働組合)によって強力に規制される。それは数年ごとの労働協約改定の際に一斉に決定され、同一労働同一賃金制度が職場の基本的ルールであり、非常に詳細な多くの職務区分があり、職務区分間での移動・昇進は年功的な先任権による。
 このジョブコントロールユニオニズムモデルの作業組織は労働力活用のフレキシビリティーに乏しく、チームワークコンセプトに欠いており、日本的作業組織の優位性が語られた。
 もっともトヨタをはじめとして日本の大企業には大抵労働組合はある。しかし職務統制力がアメリカの産業別組合と大きく違うため「リーン生産方式」を可能であった。この点についてジャコ-ビィがわかりやすく説明している。「(戦前において)、日本では、全国的な戦前において職能別組合は著しく弱く、第二次世界大戦に噴出した諸組合に遺産を伝えることがありませんでした。全国組合の規制力はむしろゲームに遅れて、巨大企業、人事管理、福利厚生、大量生産技術が発展した後に生まれたのです。戦後の日本では経営側が技術と内部労働市場の管理を一手に握り、労働組合は労働過程と企業内での人員配置にかかわる管轄権を放棄しました。人員配置の計画段階から発言権を持っているアメリカの労働組合と違って、戦後の日本の組合は、既成事実を上から与えられてそれに順応することを迫られたのです。そこで組合は個別企業から最大限乗り雇用保障を得るため会社組合を用いるというかたちで‥‥組織構造と戦略を構築しました。‥‥こうした柔軟な選択を可能にした要因のひとつは‥‥産業の寡占体制ができあがった後に労働組合が生まれた結果として、人員配置や技術採用の意思決定に、日本の経営者賀不可侵の特権を有したことでした」S.Mジャコービィ 荒又・木下・平尾・森『雇用官僚制-アメリカ内部労働市場と良い仕事の生成史』北海道大学図書刊行会増補版2005  11頁。
 ジャコービィはもし1930年代の大恐慌と産業別組合の台頭がなければ、実はアメリカの大企業も、日本の企業文化と類似したものになっていたのではないか言っています。そうすると80年代に喧伝された日本的経営の優位性は過信すべきものではけっしてなかったといえます。実際、90年代にアメリカ企業はリエンジニアリングにより生産性を高めました。日本の優位性は、ジョブコントロールユニオニズムがアメリカに比べ相対的に弱かったこと、戦前において、組合が出てくる前に、既に大企業の企業文化が発展していたという遺産によるものにすぎなかったといえるかもしれません。

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