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2009/09/22

下書き 労働に関する私の基本的な考え方 2 我が国も労使関係のパラダイム転換を図るべきだ(その1)

 労働改革という観点で、検討すベきなのは、米英豪ニュージーランド1970年代から今世紀初期まで趨勢となっている図式である労働者と経営者(団体)との団体交渉を基盤とする団体主義的労使関係から個別労働者と経営者との企業内関係を重視する個別主義労使関係へのパラダイム転換である。特に英国保守党・オーストラリア自由党・ニュージーランド国民党が反労働組合・新自由主義の政策を遂行したことが参考になると考える。

(1)アメリカ合衆国-ニューディール型労使関係から非組合型労使関係システムへ

 今日、合衆国の内政上もっとも深刻な問題は審議入りしている労働組合の組織化を容易にする被用者自由選択法案Employee Free Choice Act(カードチェック法案ともいう)の行方である。これはAFL-CIOが年内の通過を狙っている。
 6月の『海外労働情報』http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2009_6/america_01.htmでは「上院の民主党議員の中にも反対あるいは慎重な姿勢の議員が8名おり、可決に必要な60票には達していない」と報道されているように情勢は不透明である。最近の情勢についてWSJの「カードチェック法案はまだ死んでいません。そして、それは、より悪くなっているかもしれません」という記事があります。http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204518504574417170230828140.html?mod=googlenews_wsj
 この法案に全米商工会議所、全米製造業協会をはじめ猛反対しているのは、同法が1947年のタフト・ハートレー法以後労使関係法のもっとも重大な変更であり、ビジネスにとって甚だしく有害であるためだ。
 現行全国労使関係法では、少なくとも理論上、労働者が組合を組織したい場合は、そこの労働者の30%の署名を集め全国労働委員会(NLRB)に申請を出すことができる。次にNLRBが職員を派遣して、当該労働者が組合結成の是非についての投票を組織し(交渉代表選挙)、それを監視する。これはNLRBが保障する秘密投票であり過半数の賛成があれば労働組合が結成される。これに対してEmployee Free Choice Actでは、政府の監視する秘密投票を経ることなく、過半数の労働者による授権カードへの署名のみで組合が容易に結成でき、NLRBはカードを数えるだけの機関にしてしまうというものである。
 又この法案は、労働者が組合の結成と最初の協約交渉を目指す期間に雇用者側が労働者の権利を侵害した場合に強力な罰則を課し、最初の協約交渉期間に労使紛争となった場合に独立の仲裁機関と調停を利用することができると規程している。
 この法案の背景には、アメリカ合衆国では民間企業の労働組合組織率が1950年の35%から、現在7.4%まで低下しておいる。というのは、交渉代表選挙で敗北するケースが多いのである。組合は通常8割ぐらいの授権カードの署名がないと交渉代表選挙の申請はしない。というのは多数の署名を得ている場合でも、秘密投票で組合が勝利することはなかなか難しいからである。カードの署名と秘密投票の結果は異なるのが、普通である。1980年代では、交渉代表選挙の2~3割しか組合が勝利できなかったといわれている。(佐藤敬二「アメリカ労働法における中間団体としての労働組合」『 立命館大学人文科学研究所紀要』81号2002PDF http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/hss/book/pdf/no81_01.pdf
 というのは、使用者側が対抗言論で、組合が結成されることは従業員にとっても不利益になることを宣伝するということはタフトハートレー法8条(c)で認められている。(使用者が「書面、印刷、図表その他の目に見える形で見解、議論、意見を表明し、流布することは暴力の威嚇または利益供与の約束を含まない限り、不当労働行為を攻勢せず、また証拠とならない」と規定 塚本重頼「アメリカ法における不当労働行為の包括的規定」『季刊労働法』151号1989
 このようにNLRBの監視する秘密投票が組合にとって不利であった現状を打開し、反転攻勢をかけようとするのが法案の狙いである。一般的に従業員は、同僚からの誘い、組合のオルグ活動・威嚇に屈しやすく、意味も分から授権カードに署名してしまうことが多いのであって、法案が通過すれば組合の組織化は容易になる。
 (スーザン・ジョージ森田成也,大屋定晴,中村好孝訳『アメリカは、キリスト教原理主義・新保守主義に、いかに乗っ取られたのか?』作品社2000年287頁、沼田雅之 「オバマ新大統領の誕生と被用者自由選択法のゆくえ」『労働法律旬報』1686号 2008・12・25参照
 合衆国小売売り上げ第二位ホームデポの創業者の一人であるバーニー・マーカスはこの法案を「文明の終焉」をもたらすと嘆き強く反対している。http://online.wsj.com/article/SB122705706314639537.htmlつまりこの法案は、自由企業体制の否定であり、これまで築いてきた優れた非組合企業文化の破壊になりかねないという深刻な問題である。法案の行方によってはアメリカ社会が左傾化する分水嶺になりかねない。

 しかし、この法案の問題を別とすれば、民間企業の組織率7.4%で明らかなように、優勢なのは非組合セクターであり、ウォルマート、マイクロソフト、シスコシステムズ、IBM、プロクター&ギャンブルなどアメリカを代表する多くの企業が組合不在である。ニューディール型労使関係から非組合型労使関係システムという趨勢にあることはいうまでもない。この趨勢をもたらした重要な要因が1947年のタフトハートレー法で組合の権力強大化を阻止したことであった。これは消極的権利や労働組合の不当労働行為について言及のない我が国の法制と大きく異なる点である。

 アメリカ社会が左傾化したのは1930年代であった。1935年制定ワグナー法は民間企業の団結と団体交渉を推進、組織労働者保護のため雇用主による不当労働行為の禁止を規定したことが、産業別組合を台頭させた。さらに1942年に設置された全国戦時労働委員会は、戦争協力のため労働組合にストライキを放棄させる一方、労働協約締結期間中の組合離脱を禁止し、それを保障するためのチェックオフを導入した。組合の組織維持と拡大は容易になり、労働組合員は1941年の1020万人から、1945年の1432万人に増加し、終戦後の1年間に大幅な賃上げを求めて490万人がストライキに参加した。インフレとストライキ攻勢で国民の不満が高まりトルーマンの支持率が低下、1946年の中間選挙では共和党が大勝した。
 共和党・南部民主党・全米製造業者協会などの連携により1947年労働組合の悪しき慣行を禁止したタフト・ハートレー法(ワグナ-法の修正)が大統領の拒否権を覆して成立した。
 同法では、第8条に追加して労働組合の不当労働行為を新設し、ワグナー法の第7条「団結する権利、労働団体を結成・加入・支援する権利、自ら選んだ代表者を通じて団体交渉を行う権利、および、団体交渉またはその他の相互扶助ないし相互保護のために、その他の団体行動を行う権利」を修正して、「それらの行動のいずれかを、またはいずれも行わない権利を有する」(7条) と定め被用者の団体行動に参加しない権利、消極的権利を明文化して、労働組合主義奨励ではなく、中立立法にした。〔我が国の法制では労働組合に不当労働行為を設けたり、消極的権利については明文がないのは、片手落ちであると考える。〕
 又、第8条においては強制組合主義の濫用を防止するため、一定の条件及び厳格な規制の下に容認するものとした。クローズドショップは禁止(但し1959年法により建築産業は容認)する一方、ユニオンショップの合法性についても厳しく制約し、組合費の不払い以外の理由では脱退者、被除名者の解雇は認められず、団結強制を目的とするユニオンショップの機能は実質的に骨抜きにされ、組合費徴収策としての意味を持つだけに過ぎない。(『外尾健一著作集第八巻アメリカのユニオンショップ制』信山社2002 66頁以下
 又さらに、14条(b)によって、雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止することを州の権限として認めた。
 つまりこの規定に基づいて、現在南部を中心とする23州http://www.nrtw.org/rtws.htmが組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を否定する労働権を憲法、州法で定めている。〔Right to Work lawという労働権州ではユニオンショップ及びエージェンシーショップも否定される〕
 アメリカで組合不在企業が多いのは、第一にタフト・ハートレー法で労組の権力濫用を抑止した成果である。とりわけ使用者側の対抗言論が権利とされたことが大きい、それは脅迫・利益の約束と言ったプラスファクターがない限り労働組合問題について発言できる。大企業では必ずと言って良いほど反労働組合コンサルタントを雇っているが、反労働組合企業では組織化の動きを察知すると、あっという間に過去の労働組合の起こした暴力事件などの新聞記事などが掲示されたりして従業員にストの怖さを説示したりしている。
 使用者側の対抗言論の成果で、交渉代表選挙で使用者側が勝利するケースは多く、これは重要な武器になった。
 さらに、日常から組合が組織化されないために従業員の不満や提案を上層部に直接訴えることのできるオープンドアーポリシーを採用したり、従業員に対して人当たりがよく公正に処遇することなどの優れた企業文化を形成するなどの企業努力により、組合不在企業として経営することが可能なのである。それに加えて、南部諸州などの労働権州では労働者に組合に加入しないで雇用される権利、かりに組合が組織化されても組合費を徴収されない権利を労働権として保障しているため、いっそう組織化の歯止めになっているわけである。
 
  労働組合組織率の低い州(2003年)

ノースカロライナ  3.1%
サウスカロライナ  4.2%
アーカンソー   4.8%
ミシシッピ    4.9%
テネシー     5.2%
テキサス     5.2%
アリゾナ     5.2%
ユタ       5.2%
サウスダコタ   5.4%
フロリダ     6.1%
ルイジアナ    6.5%
ジョージア    6.7%
オクラホマ    6.8%
    以上すべて労働権州

  労働組合組織率の高い州(2003年)
 
ニューヨーク   24.6%
ハワイ      23.9%
ミシガン         21.9%
ワシントン    19.8%
ニュージャージー 19.5%
イリノイ     17.9%
ロードアイランド 17.0%
ミネソタ     17.0%
オハイオ      16.7%
カリフォルニア  16.8%
オレゴン     15.7%
コネチカット   15.4%
ペンシルヴァニア 15.1%
   以上すべて非労働権州
データの出所  篠田徹「岐路に立つ労働運動-共和党の攻勢と労組の戦略論争」久保文明編『米国民主党-2008年政権奪回への課題』日本国際問題研究所2005年所収) 
 
(続く)

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