公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

無料ブログはココログ

ニュース(豪州・韓国等)

« 日本解体阻止!! 守るぞ日本! 国民総決起集会&デモは行かない | トップページ | 本日の頭上報告 »

2009/10/16

カード 山中永之佑「明治民法施行前における妻の氏」その1

高梨公之教授還暦祝賀論文集刊行発起人会編『婚姻法の研究 上 婚姻制度論』有斐閣 1976

夫婦別姓旧慣習説に批判的な論文である。山中永之佑氏は大阪大学名誉教授(法制史)。明治民法施行前の妻の氏の研究としては廣瀬隆司「明治民法施行前における妻の法的地位」『愛知学院大学論叢法学研究』28巻1・2号 1985.03などもある。

青が山中氏からの引用(言い換え・要約あり) 

 身分関係の表彰記号たる氏=家名

 明治四年の戸籍法は明治新政府の行う政策の根幹であり、人民掌握の手段としての戸口の調査を目指したものだった。さらに幕末・維新の動乱のなかで増大した脱藩・浮浪・無産の輩の取締まりと治安維持という目的を持っていた。‥‥戸籍は現実に存在する家を「家」として表示し、諸般の政治も、この「家」を基底として人民を把握しようとしたのである。その前提条件を容易したのは「四民平等」を基軸とする諸改革であったが、その先駆をなしたのは明治三年(1870年)九月一九日の太政官布告「自今平民苗字氏被差許候事」であった。政府は徳川時代において一般に百姓・町人=庶民には許されないたてまえになっていた苗字=氏の使用を許すことにより、武士と庶民の間にあった差別を撤廃していく‥‥苗字と氏は戸籍法の把握しようとした「家」の名として‥‥徳川時代とは異なる新しい意味を持つに至ったのである。すなわち苗字=氏は‥‥「自他」「戸籍」=「家」を識別する表象記号として重要な役割を持ったのである。

 補足していうと、近世の姓氏二元システムは明治四年の段階で廃止された。明治四年十月十二日一切公用文書に姓を除き苗字を用いるとの太政官布告により、苗字(公家の場合は近衛・九条等の称号)に一元化された。つまり藤原朝臣実美ではなく三条実美と、大江朝臣孝允ではなく木戸準一郎(のち孝允)、越智宿祢博文ではなく伊藤博文と、源朝臣栄一ではなく渋沢栄一と書くべきだと。(井戸田博史『『家』に探る苗字となまえ』雄山閣1986)
 近世までの姓氏二元システムとは天皇の賜与・認定による姓氏(古代的姓氏ともいう、源平藤橘など)と自然発生的な家名である苗字(名字)の二元システムのことである。朝廷から賜る位記、口宣案、宣旨の宛名は本姓+実名、例えば常陸土浦藩主(土屋氏)の場合「源寅直」、将軍の領知主印状の宛名は苗字+官職「土屋能登守」但し官職が侍従であったときのみ居城+官職「土浦侍従」になる(大藤修『近世農民と家・村・国家-生活史・社会史の視点から-』吉川弘文館1996)。要するに天皇との君臣関係は公式的には王朝風の古代的姓氏(本姓)。将軍との君臣関係は名字(苗字)であった。
 
 内務省の夫婦同氏案を覆して妻は所生の氏とした明治九年太政官指令の謎

 妻の氏については内務省と左院で検討され内務省も左院も結論は夫婦同氏で、すでに明治民法を先取りするような考え方があったということは廣瀬隆司氏の上記論文が明らかにしている。にもかかわらず、明治九年三月十七日太政官指令「婦女人二嫁スルモ仍ホ所生ノ氏ヲ用ユ可キ事」つまり「妻は所生の氏-夫婦別姓」だった。政府部内で意見が分裂していたのである。

 内務省案は夫婦同氏だったことは明治八年十一月九日の内務省伺で明らかである

明治八年十一月九日の内務省伺
 華士族平民二諭ナク凡テ婦女他ノ家二婚家シテテ後ハ終身其婦女実家ノ苗字ヲ称ス可
キ儀二候哉、又ハ婦女ハ総テ夫ノ身分ニ従フ筈ノモノ故婚家シタル後ハ夫家ノ苗字ヲ終身称ヘサセ候方穏当ト相考ヘ候ヘ共、右ハ未タ成例コレナキ事項ニ付決シ兼候ニ付、仰上裁候‥‥

 内務省案「婦女ハ総テ夫ノ身分ニ従フ筈ノモノ故婚家シタル後ハ夫家ノ苗字ヲ終身称ヘサセ候方穏当ト相考ヘ候」結果的には明治民法で取り入れられる事となる。明治民法の起草委員は帝国大学法科大学教授の穂積陳重、梅謙次郎、富井政章であったが、梅謙次郎は逆縁婚(生存する妻が死亡した夫の兄弟と再婚する)の取り扱いなどで士族家族慣行の採用を却下し、民法を庶民の家族慣習に合致させることを強調した。その政策判断は正しかったと思う。亡兄の嫂を娶るというのは人類学でいうレヴィラート婚ですが、「貞女は二夫に従わず、忠臣は二君に仕えず」と言うように宗法・儒教規範では人倫に反するとされるのである。しかし日本の一般庶民はそのように考えてない。例えば兄が戦死したり不慮の事故があった場合、家を継承するもっとも無難な在り方がレヴィラート婚なのであった。戦争未亡人の再婚の多くがレヴィラート婚であることはよく知られている事実だろう。レヴィラート婚を禁止する儒教規範の建前のほうが悲劇である。梅謙次郎は庶民の家族慣行をよく知っておりそのへんのことがよくわかっていた。
 夫婦同氏についても強く推進したの進歩的な考えをもった梅謙次郎である。穂積陳重・富井政章も異論はなく、世間の実態を追認したものともいえる。梅謙次郎は法典調査会で次のように夫婦同氏を強調した。「支那ノ慣例ニ従テ、妻ハ矢張リ生家ノ苗字ヲ唱フベキモノト云フ考ヘガ日本人ノ中ニ広マッテ居ルヤウデアリマス〔ガ〕‥‥之カ日本ノ慣習少ナクトモ固有ノ慣習テアルトハ信シラレマセヌ、兎ニ角妻カ夫ノ家ニ入ルト云フコトガ慣習デアル以上ハ夫ノ家ニ入ッテ居ナガラ実家ノ苗字ヲ唱ヘルト云フコトハ理窟ニ合ワヌ」。
 支那の慣例に倣うのは良くないと明言した梅謙次郎のセンスの良さは高く評価して良いだろう。
 問題は太政官指令であるが、なぜ「所生の氏」なのかその意味するところを次回検討する。

« 日本解体阻止!! 守るぞ日本! 国民総決起集会&デモは行かない | トップページ | 本日の頭上報告 »

夫婦別姓等民法改正問題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: カード 山中永之佑「明治民法施行前における妻の氏」その1:

» 触れてはいけない過去!「北川景子」実写版セーラームーンで過激パンチラ連発 [触れてはいけない過去!「北川景子」実写版セーラームーンで過激パンチラ連発]
触れてはいけない過去!「北川景子」実写版セーラームーンで過激パンチラ連発していた!! 今人気のモデルで女優北川景子(23)に衝撃の過去が発覚。 [続きを読む]

« 日本解体阻止!! 守るぞ日本! 国民総決起集会&デモは行かない | トップページ | 本日の頭上報告 »

最近のトラックバック

2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

世界旅行・建築