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2009/10/04

カード 芝紘子「スペインにおける姓名システム」

『西洋史学』 (通号 178) [1995]

スペイン人の結合姓の謎

 ヨーロッパ人の名前は名前が個人名か洗礼名(又は双方)+姓(単一家族名)であるのに、スペイン人は個人名(=洗礼名)+姓(父方姓+母方姓)が一般的でユニークな姓名システムになっている。実定法では1870年法により、父方第一姓と母方第一姓を継承するシステムが規定され、1957年法令で第一姓を父の第一姓、第二姓を母の第一姓とし、連結接続詞で結ぶと規定する。1981年からは成人後、父方姓と母方姓の順序を入れ替えることを可能とした。
 この由来を検討しているのがこの論文であるが、前半の歴史的経緯が実に難解であり一読しただけでは意味ががわからないのだが、後半は比較的理解しやすい。
 
 先行学説としてオルティスの純血法起源説が検討されている。中世イベリア半島にはキリスト教、ムスリム、ユダヤ教が共存していたが、14世紀末期の反ユダヤ説教を端を発し、1492年にはユダヤ人に対し改宗しないならば国外追放令が出され、大量のユダヤ人がキリスト教に改宗した。しかし信仰に疑いが持たれ、異端審問が開始され隠れユダヤ教徒が摘発された。王国の聖俗組織・団体は『純血法』を採用し、父方・母方の祖父母を四方を調査するようになり、この差別的風潮が脅迫観念となり、要らぬ疑いを回避するため父方・母方ともキリスト教徒であることを証明する社会的標識がスペイン特有の結合姓の由来とするものだが、著者はこの説を棄却する。
 著者によると15世紀の異端審問文書などを根拠に、第二姓の種類を多く持つ第一姓は単一姓としての頻度も高いことを発見し、つまりゴンザレス、マルチネス、ディアズ、ガルシアといった姓だが、比較的新しい姓が、わずかな第二姓しか持たないことなどのことから、複姓はきわめて頻度の高い父称姓に識別機能を持たせるためのものとしている。というのも、複姓は父方と母方とは限らず、例えばフランス人を意味するフランシスのように、地名との複姓であることが過半を占め、又当時においても単一姓が大勢をしめるとしている。
 しかも疑いの目でみられていた商人でも単一父方姓の継承傾向が強いので、純血証明のシステムというオルティス説は否認できるとする。
 著者はマヨラスゴ継承説を採用する。マヨラスゴと継承者とは家産維持のための制度で財産目録の作成、在所で居住、武器・姓の継承が義務づけられた相続人のことで、17世紀の資料にからとマヨラスゴの相続人同士の結婚が結合姓とみなしている。マヨラスゴは1841年に廃止されるが、姓システムだけがひとり歩きし、上流階層から庶民に広まった。スペインでは1870年以降は法制化され今日に至り、ラテンアメリカやフィリピン人にもみられる。
 なおイギリスの貴族の二重姓・三重姓は女子相続人を経た家産の女系継承による婿養子型継承のケースがみられるが、家産の継承と姓のリンクを由来としていることではスペインの制度が格別ユニークなものではないとの心証を持った。

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