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2009年12月の25件の記事

2009/12/29

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(8)

18世紀の産業別「団結禁止法」と共謀罪判例(続)


○ 1783年エックレス判決 R.v.Eccles

 エックレス他数人の労働者が、リバブールに住む仕立業者であるエイチ・ブースの営業を妨害を妨害することを目的とした労働者の団結に対して刑事共謀罪が問われたもので、労働者のストライキではなくボイコットに関連した事件である(*1)。夏期巡回裁判所で有罪判決を受けたが、事件は王座裁判所へ移送命令によって移され、起訴状によると、被告らは不法・不正な手段で、共謀、団結、協定し、それを実施してブースが営業を営むことを妨げ、彼をを窮迫させて多大な損害を与えた。このことは悪例となり、治安を紊乱するものである。(*8)とされた。

 傍論であるが近代で最も偉大な法曹と称されるマンスフィールド卿Lord Mansfield は次のように断言した。

「起訴状に共謀を実現する手段を記述する必要はない。何故ならば犯罪は害悪を何らかの手段をもって実現する目的のもとに、共謀することにあるからである。違法な結合が犯罪の眼目である。商品を所有する者は個人として自己の欲する価格でそれを販売し得る。しかし彼等が一定価格以下では販売しないことを共謀し、合意するならば、それはコンスピラシーである。同様にあらゆる人間は自己の好む場所で労働できる。しかし一定価格以下では労働しないとして団結することは、起訴さるべき犯罪である(*10)」

 岡田与好は云う。このマンスフィールド卿こそ、1758年ランカシャー地方の織布工層の大ストライキの弾圧者であった。このような峻厳な態度が18世紀の団結禁止=営業の自由の創出を支えていたこと、を忘れてはならない(*11)。
 私は個別雇傭契約による個人主義私法の徹底、団結禁止が望ましいという観点であるからマンスフィールド卿を高く評価する立場である。

○1796年モーベイ事件  R.v.MoWbey
 
 住民が公道の修理を怠ったことで起訴された事件に関し、治安判事らが、裁判所の判決に影響を与えるための証拠として、その公道が修理中であるとの虚偽の証明書を作成することによって、裁判の進行を妨害するために共謀したことで起訴された。
 傍論で、グロース判事は次のように述べた「多くの先例において、同じ行為が、もし彼らの間で、合意されることなしに、それぞれの個人において別々になされるならば、違法でないとしても、或ることを行うための合意は、共謀を理由として起訴の対象になると考えられたきた。‥‥それぞれの者は、もし可能であるならば、賃金の引き上げを主張することは許される。しかし、もし数人の者が同じ目的で合意するならば違法である。そして当事者は共謀を理由として起訴されうる‥‥」(*8)
 グロース判事も団結を共謀として犯罪とするのであるから個別雇傭契約・個人主義私法観である。
 

○1799年ハモンド事件 R.v.Hammond and Wabb

 ハモンドその他の労働者は、1792年に靴製造職人の団結の規約が作られ、そこには彼らの集会、相互援助のための基金、その他彼らの企図を進めるために相互に運営して行く事項が印刷されていた。本件は組合を結成し、賃金の引き上げのために共謀したことを理由に起訴された。この裁判長ケンヨン卿は労働者団体を「一般的共謀」(*8)と断言した。組合の結成そのものも刑事共謀罪に該当すると判示した(*1)。 
 
 
 

1高橋保 「イギリス労働法における共謀法理(コンスピラシー)の形成と展開」 『創価法学』7(4)〔ネット公開論文〕http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN0013392X/ISS0000435233_ja.html
8松林和夫「イギリスにおける「団結禁止法」および「主従法」の展開」高柳信一,藤田勇編『資本主義法の形成と展開. 2 』東京大学出版会1972
10 片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952 129頁
11 岡田与好『独占と営業の自由 : ひとつの論争的研究』木鐸社1975 133頁

2009/12/27

シャーロット(ノースカロライナ)の動画

発展している南部の都市Charlotte NCをユーチューブで見ます。
シャーロット紹介ビデオ

女王都市シャーロットの美女(なぜか同じ顔に見える)
http://www.youtube.com/watch?v=Tz983ABer68&feature=fvw

http://www.youtube.com/watch?v=Qwn0Ni9G5ow&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=qynTSwYIQsc
http://www.youtube.com/watch?v=gb48Xx9uE8E&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=bkZTEu7A72Q&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=5GE9N9jjgO0&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=u1kPalWwAyg&feature=related
Bank of America Stadium
http://www.youtube.com/watch?v=ZMvnecuZro8&NR=1

Shopping in Charlotte
http://www.youtube.com/watch?v=AK2Nlaiv3_o&feature=related

Family Activities in Charlotte
http://www.youtube.com/watch?v=s9LrEz6qL0k&NR=1

Charlotte Culture
http://www.youtube.com/watch?v=TYbLeNUu8d8&feature=related

Charlotte Dining, Restaurants & Nightlife
http://www.youtube.com/watch?v=7DJds9h4l2s&feature=related

レーク・ノーマンの住宅地の宣伝
http://www.youtube.com/watch?v=MczHv9z59Xw&feature=related

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(7)

(営業制限の法理の進展-略)

18世紀の産業別「団結禁止法」と共謀罪判例

 高橋保(*1)によれば18世紀から19世紀のイギリス労働組合運動は第一に制定法により、第二にコモンロー上のコンスピラシー法理において徹底的に弾圧されたとされているが、コモンロー上の共謀法理は制定法とは独立して発展してきたものかどうかは議論のある事柄(*8)であり、松林和夫のように違法行為に対し、二~三ヶ月を越えない程度の懲治監での重労働といった労働者の処罰は厳しいものではなく、徹底的な弾圧がなされたかは疑問とする見方もある(*8)。

 しかし注目したいのは制定法の進化である。18世紀には40にも達する産業別の団結禁止法があったといわれる。例えばロンドン・ウェストミンスターの仕立職人に対する1720年法、毛織物職人に対する1725年法、制帽職人に対する1745年法、製紙職人に対する1795年法、絹織物職人に対する1887年法などであるが、それがどういうものか幾つかを例示する(*8)が、1726年法では団結自体を犯罪としているものの、団結に基づく暴力・破壊活動を禁止するにとどまっていた。
 しかし18世紀後半になると1773年法では雇用から離脱するよう勧誘・脅迫することを禁止し、1777年法では違法集会への招集、出席の禁止、仕事・労務から離脱するために説得・教唆・脅迫を禁止。組合基金の要求、支払いを禁止している。1794年ではどのような手段であれ雇用されもしくは雇用されるべき職人がその労務を放棄することを直接・間接、勧誘・説得し、影響を与えもしくはそう試みること、雇主が適当と考える者の雇用を禁止・妨害し、その者と共に働くことを拒否すること、を禁止する。としている。

 非組合員という言葉はないが、実質的に仕事からの離脱・放棄の勧誘、脅迫、説得まで含めて明文で違法としており、非組合員も含めて労働者の雇用を妨害し、ともに働くことを拒否することを違法としている、二次的争議行為も違法であることを明らかにしているのである。

 1799年-1800年に一般的団結禁止法が制定されるのであるがこれらのすべてが盛り込まれており、18世紀に制定法の進展が完成した形とみることができるだろう。

1726年法第一条後段

 不法なるクラブ、団体における梳毛工、織布工および梳毛業・織布業の技術を仕込まれ使用している他の者たちによる製品の価格の統制、賃上げ、労働時間短縮を目的とするすべての契約、捺印証書契約、協定、そしてクラブ、団体の定款、規則、規約、指令は違法・無効とする。職人その他の被用者はもちろん梳毛業者、織布業者が右の協定・定款等を(に)維持、継続、実施、参加、署名、捺印し、故意に関係し、その実施を試みることを違法・無効とする。処罰は三ヶ月を越えない期間収監する。
 (第六条で、雇主その他の者が違法な内規、規約、指令に従わないとの理由で、彼らに暴行を加え身体的傷害が生じた場合、または傷害を与えるとの、もしくは家屋、離れ屋、樹木を焼き、破壊し、殺すとの脅迫を行う場合には、労働者を正式起訴に基づいて重罪とし七年の流刑に処すとしている。)

1773年法第三条

 スピタルフィールズの織布工が四季治安判事会議によって決定されたよりも多いもしくは少ない賃金もしくは仕事の代価を要求しもしくは受けとること。賃金引上げの目的は団結すること。同じ目的のために織布工に雇主から離脱することを勧誘・脅迫すること。および四季裁判所における治安判事、ロンドン市の市長・記録官・市参事会員に対する場合を除いて賃金に関するに関する請願文もしくは抗議文を伝達するために10人を超える者が集会することを禁止する。処罰は40シリングを超えない金額の没収で、即時に支払えない場合は三ヶ月を超えない期間懲治監で重労働を科す。

1777年法第四条

 帽子マニファクチュアの職人もしくは他の被用者が、1749年法により違法とされた集会、クラブ、団体もしくは団結に出席すること。これらの集会等に出席するよう、もしくは集会等に使用される負担金、分担金、義捐金を支払うように招集し訪問すること。この目的のために金銭を要求し受けとること、職人その他の者に集会・団結等に加入・関係するよう、もしくは雇主の仕事・労務を放棄・離脱するよう説得、教唆、脅迫しまたはそう努めること、違法な集会等を支持・援助するために金銭を支払いもしくは義捐金基金を設立し加入することを禁止する。
 処罰は1726年法と第一条後段と同じ。

1794年法第一、二、四、五条

 この王国における紙製造職人によって賃金の引き上げ、通常の労働時間もしくは労働量の短縮・削減、雇主の欲する者の雇用の妨害のために、またはいかなる方法にしろ、紙製造の産業、事業を経営もしくはその管理を行う者に影響を与えるためにこれまでに締結された契約、捺印証書契約、協定は、文書によると否とは問わず違法・無効とする。(第一条後段)
 不法なる集会・団結を(に)支持・関係すること、契約・協定等を(に)作成、加入、同意、関係することの禁止。処罰は二ヶ月を超えない期間懲治監で重労働(第二条)。
 賃金を引き上げ、労働の時間もしくは期間を変更し、その他この法律に反する目的のため団結を結成すること。金銭の供与その他の手段により雇用されていない職人もしくは雇用されることを欲している他の者が雇用されることを妨げるために、直接・間接、勧誘・脅迫しもしくはそう努めること、どのような手段であれ雇用されもしくは雇用されるべき職人がその労務を放棄することを直接・間接、勧誘・説得し、影響を与えもしくはそう試みること、雇主が適当と考える者の雇用を禁止・妨害し、その者と共に働くことを拒否すること、を禁止する。(第四条。処罰は第二条と同じ)
 本法により違法と宣言された集会・団結に出席し、または出席するよう召集・訪問すること、この目的のために金銭を集め、要求・依頼・受領すること、職人その他の者に団結へ(に)の加入・関与、もしくは労務離脱・仕事放棄を説得、教唆、誘惑、脅迫すること、違法な団結等を支持・援助するために義捐金または基金を設け、加入すること、を禁止する。(第五条。処罰は1721年法と同じ) 〔制定法の引用は*8〕

18世紀のコモンロー上の共謀罪

 既に述べたようにコンスピラシーの犯罪手続きと近代的意味での不法結合の概念を融合させて実体犯罪としてのコンスピラシーを作り上げたのがスターチェンバー裁判所であり1611年の家禽商事件を契機とし「何らかの犯罪を犯すための結合行為そのものを処罰する」というコンスピラシー罪が成立し、コモンロー裁判所に承継され「何等かの犯罪を犯罪を犯すための結合はたとえその目的たる犯罪が実行されないときにもなる」という17世紀原則に発展した。
 では、コンスパイヤすること自体を処罰対象とする近代刑法上の概念を踏み越えた責任が団結にのみに課されるのはなぜか。
 秋田成就はホッブスとバークを引用して次のように解釈する。ホッブスは云う。「‥‥私人の力を結合することはすべて、もし、悪しき意図の結合のためならば不正であり、もし知られざる意図のためならば公共に対して危険である」。バークは之に賛して云う「自由とは人が之を集団で行えば権力となる」。要するに団結は力であり個人の力よりもより「抑圧的で危険なもの」であるというのが古今を通じての単純素朴な解答であった。秋田の見解は「法は近代国家の主権を脅かす可能性を含む団結をその芽の中に刈り取るための技術をコンスピラシーのうちに求めた」とのことであるが(註9)、重要な論点である。
 コモンローが個人の自由を擁護するものであり、個人主義的私法観に敵対する団結はコンスピラシーとして排除されなければなかったのである。
 労働者の団結に不法を見いだすことは容易だった。それは「営業の制限」という契約上の干渉に求められた。「営業」tradeには使用者の取引のみならずせ労働者個人の取引も含まれるとの想定のもとに労働者の団結は「営業の制限」restraint of tradeに該当するとし刑事共謀法理が展開されていった。(*1)

○ 1721年ジャーニーメン・テイラース事件

 本件はケンブリッジ在住のワイズ他数名の仕立職人が団結して賃上げのストライキをしたことが、1720年の主従法に違反するとして起訴された事件で裁判所は「コンスピラシーは不通法上の犯罪であるから、被告等が起訴されたのは制定法に違反して働かないことではなく、賃金値上のためのコンスピラシーによってである。コンスピラシーの目的たる事項がもし結合がなければ適法である場合でもその共謀は違法である」(*9)とし、制定法の有無にかかわらず、労働者の団結はコモンロー上の共謀罪で処罰しうること。個人で行えば合法的である場合でも、共謀すなわち団結することによって不法となることを明らかにした。

1高橋保 「イギリス労働法における共謀法理(コンスピラシー)の形成と展開」 『創価法学』7(4)〔ネット公開論文〕http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN0013392X/ISS0000435233_ja.html

8松林和夫「イギリスにおける「団結禁止法」および「主従法」の展開」高柳信一,藤田勇編『資本主義法の形成と展開. 2 』東京大学出版会1972

9秋田成就「イギリス労働組合史に於けるコンスピラシー」『労働法』通号6 1955

2009/12/25

御在位二十年東京都慶祝の集いにもかかわらず本日も国旗の掲出なし

 本日、午後1時30分より「天皇陛下御在位二十年東京都慶祝の集い」http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/091225/tky0912251812003-n1.htmが池袋の東京芸術劇場にて開催されましたが、私がこの催しを知ったのは22日に業務用のファックスに労働組合の司令文書が入っていて、私も仕事が忙しくてちらったみただけでしたが、当時説、当組合は天皇制に反対であり、25日に国旗の掲出をさせないようにするといった内容が書かれてあったからです。
 本日、都バスは祝日と同じように国旗を掲出していました。また、私が見た限りでは消防署は国旗を掲揚していましたが、私どもの勤務先である東京都水道局の出先は国旗は掲出しませんでした。
 所長に本局からの指示の有無、国旗を掲出しない理由、組合ともめたくない事なかれ主義なのかを問いただそうと思いましたが、所長は有給休暇でした。11月12日も一日中不在でした。http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-3219.html国旗掲出日にとんずらで責任回避ということでしょうか。
 東京都および東京都水道局は庁内管理規則で赤旗の持ち込み、掲出を明文で禁止してないので、全水道東水労が示威行為として、赤旗を掲げながら大勢で庁舎内に入ってくるところをみています。管理職は監視すらしないのです。一方、11月12日の国旗掲出日にも、今回の東京都奉祝にも国旗を掲げません。九年前の香淳皇后斂葬の儀の日(平成12年7月25日)も弔旗掲出なしです。やはり所長がとんずらして組合が仕切って、庁内法放送のボリュームを下げ黙祷を妨害しました。組合旗である赤旗掲出は監視せず許容するが日の丸はダメというのはおかしいと思います。
 多分、国旗を掲出すると組合の抗議を受け、組合から指弾されることを恐れているようですが、組合が妨害すればそれなりの措置をとればよいだけのことです。組合に指弾されると自分の居場所がなくなるとでも思っているのでしょうか。ばかげてます。本局の指導も甘すぎる、国旗掲揚日は有給休暇をとらせないで国旗掲出に責任を持たせることすらしない。とんずらして責任を回避して管理職がつとまる。 定時率先退庁で働かない主義。本当に東京都というのは甘い職場ではないかと思います。
 

2009/12/23

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(6)

○スター・チェンバー裁判所における共謀法理の進展

 スター・チェンバー裁判所の創設については1487年説があるが、不明であるというのが通説である。スター・チェンバーの評判が悪くなったのはチャーダー朝後半に国王が議会・コモンロー裁判所と対立し、国王の意に従わせる手段となってからであって、エドワード・コーク卿が「キリスト教世界にある(わが国会を除いて)最も栄誉ある裁判所」と呼んだように一般的には好意的にみられていた。

 国家の安全との平和に関する事件、名誉棄損、詐欺、文書偽造等の事件のほかに、エドワード・コーク卿が検事総長として訴追を行った名医ロペッツの女王暗殺、ウォーター・ローリー卿の国王暗殺、1600年のエセックス伯、サウザンプトン伯の訴追等の共謀事件をはじめとしておいて多くのコンスピラシーに関する事件を処理したが(*5)、理論的に重要なのは1611年の家禽商事件Poulterers Case(ボールタース事件)である。この判決でコンスピラシー法理の核心は害意をもって約束または結合することにあると次のように述べた。
  「犯罪は訴状が送付する以前に完成される。それゆえ、コンスピラシー罪を犯そうとする単なる結合行為も処罰しうる。その理由は犯罪の重点は犯罪意思にあるからで、ある行為の遂行過程で犯罪意思が示されぬ限り、その行為は処罰されないけれども 、コンスピラシーの場合はそれが表明されているからである。」(*6)
 このように共謀法理を理解すれば、不法な目的をもったあらゆる種類の結合を処罰できることとなり、犯罪行為が行われたかどうかは問題にされず、悪い心を持っているかどうかが問題とされる(*5)。つまりスター・チェンバーの法理では、外顕行為としての合意、または結合は害意の存在を推定する有力な証拠となる。
 
○コモン・ロー裁判所によるコンスピラシー法理の継受

  スター・チェンバー裁判所は内乱期の1640の制定法により翌年廃止されたが、そこで運用されていた法律はコモン・ロー裁判所に継受された。
   コンスピラシーは処罰対象を厳密には犯罪・不法行為ではない非道徳行為に拡大していった。17世紀のコモン・ロー刑法の特徴は公共倫理の保護であるといわれる。1664年にセドリ卿は、「当裁判所は国王の全臣民の倫理法廷(custus morm)である」と述べてスター・チェンバーの解釈を踏襲した。(*5)
1665年のR.v.Starling事件はビール醸造業者らが、消費税の収税請負人を困窮させ、収税を妨害する共謀をなしたという理由で告発されたものだが、キングス・ベンチは消費税が国王の歳入の一部であり、その収税請負人を困窮されることは、国王に収入をもたらすことを不可能にさせることになると認定し、三人の判事は、国王の歳入減少をもたらす行為をを共謀したことは、何らの行為がされずとも有罪として罰金を課した。(*6)

  いわば、収税請負人を共謀していじめたケースであるが公共倫理の危害とみなされている。害意(malice)は中世の法理の場合のように、重罪を目的とするだけに限られない。全ての犯罪、不法行為、大衆にもかなりの影響を受ける契約違反、善良な風俗を紊乱し、または大衆に危害を及ぼすことを目的とすることであると考えられた。
 公共倫理の危害のケースの代表的な判例は 1763年のデラヴァル事件(Delaval Caseは)である。音楽家が女弟子を音楽の修行のために自己の指定した家に住まわせるのであるが、その家主のフランシス卿との間に別の契約があり、そこで売春をさせた収益が音楽家に分配されることになっていた。この判決でマンスフィールド卿は「当裁判所は国民の倫理法廷であり、善良な道徳(bornos morum)に反する犯罪の監督権を持っている」と述べ、不道徳な徒弟契約を結んだことによりコンスピラシーが成立すると判示した。(*5)

   同様の判決として1780年のヤング事件があり、感化院の官吏が死体の埋葬を妨害する共謀がコンスピラシーに該るとされた。
  マンスフィールド卿は1774年のJones v.Randall事件でも傍論でも「善良な風俗および節操に反するものは何であれ、全て我国の法原理が禁止する者であり、国民の善良な風習の一般的検閲官であり、かつ国王の裁判所は、それを規制し、処罰する義務を負う」と  述べている。(*5)
  中西洋は「コンスピラシーの法理はイギリス社会が各人の自主的な善意の連帯をひろく自由〉にゆだねたことの反面でもあった。第3者を害することを意図しない人々の放任はイギリス社会の特性だったのである」。(*7)と述べているが、自由な社会であるからこそ第三者を害する結合を敵視し、善良な道徳の維持のため監督が必要なのである。



5田島裕「コンスピラシー法理の研究-2-スター・チェンバーによるその法理の利用 」『 法学雑誌 』 25(1) [1978.09]
6石井宣和「「営業の自由」とコンスピラシー」高柳信一,藤田勇編『資本主義法の形成と展開. 2 』東京大学出版会1972
7中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論》』ミネルヴァ書房1998年 66

2009/12/22

本日も頭上報告

 18日に闘争の報告会とよその職員2人の勝利報告をやったと思ったら、本日も私の職場(東京都水道局)では全水道東水労分会書記長がビラを勤務時間内に配った上で妥結内容の詳細と、継続闘争の呼びかけの分会長による頭上報告を9時17分から45分までやった。ブログには書かなかったが、9日にも16時38分から、15日も16時55分から17時14分頭上報告をやっている。
 本日は管理職がいたので賃金カットにはなっている。これは累積だと所長が言っていた。29分だから、前回の16時55分から19分の頭上報告は所長不在だったのでカウントされていないので、役員手当があるだろうから、全然こたえない。やはり中止命令、就業命令を行って従わなければ戒告というふうにしないと、いつまで立ってもやりたいほうだいなわけである。

2009/12/20

在特会が東京新聞に対し抗議行動

京都市南区上鳥羽勧進橋町にある京都朝鮮第一初級学校が勧進橋児童公園にゴールポスト、スピーカー、朝礼台を不法に設置し校庭として使用している問題で抗議活動を行った在特会に学校側が反発している問題について、東京新聞12月18日朝刊で『外国人いじめ 不満はけ口』という朝鮮学校側に立った記事を掲載したことに対し、在特会は「公園の不法占拠を「民族差別」だとすり替える捏造記事」と反発し19日に東京新聞に対し抗議行動を行ったことがニコニコ動画にアップされてます。http://www.nicovideo.jp/watch/sm9142360
私は東京新聞の記事を読んでいませんが、差別表現を規制をすべきだとの議論が掲載されているということですが、私は集団誹謗表現・ヘイトスピーチの規制は絶対反対なので、東京新聞の一方的な記事に不快感を持ちます。
なお紙の新聞記事とは違いますが、ネットの東京新聞のサイトにある共同通信の記事は「朝鮮学校で「スパイの子」 “抗議行動”を告訴へ」という記事がアッブされてます。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009121801001139.html
 
京都における抗議活動の様子
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9000067
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9040340

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(5)

 1 刑事共謀法理の起源

○ 共謀者令
 高橋保(*1)によると共謀法理の起源はエドワード1世の治世の1285年の裁判手続の是正と取り締まりのための制定法だった。1305年の共同謀議者令Ordinancee of Comspiraciesはコンスピレーターを「宣誓・誓約そのその他の約束により、互いに共同もしくは結合して虚偽の申立を行い、それによって他人を起訴ないし起訴の危険に陥れ、あるいは十二歳未満の者に、他人に対して重罪の告訴をのなさしめるもの」と定義し、共謀罪とは裁判訴訟法上の不法行為概念だったとする。
 しかし、谷原修身(*2)によれば共謀者令the Ordinance of Conspirators)では、特に労働者間の賃金引き上げのための共謀を、明示的に禁止していないが刑事犯として扱っている。

○ 労働者勅令と労働者規制法
 イギリス最初の労働立法はエドワード3世の治世の1349年労働者勅令Ordinance of  Labourershttp://www.britannia.com/history/docs/laborer1.html と1351年以降1359年まで逐年公布された労働者規制法(Statutes of Labourers)http://avalon.law.yale.edu/medieval/statlab.aspであるこれは1347年から1349年のペストの流行による極端な労働力不足に対応するため、国家的立場から、労働力不足の解消、賃金の高騰の抑制、過剰賃金を得なければ働こうとしないの農業労働者の悪意を抑止するため制定されたもので、60歳以下の身体壮健な者に対して性別を問わず、従来の慣習による賃金で雇傭されるべき義務を規定した、また日雇いを禁止し、年期雇傭とされ、契約期間満了前の就業放棄を厳禁した。また従来の慣習的賃金で法定最高賃金とし、労働者がそれ以上の超過賃金を要求することを罰金で禁じたものである。(*3)
 谷原修身(*2)によれば1349年製パン業者の使用人が従来の賃金の二倍もしくは三倍でなければ働かないとする共謀が告発された例、製靴業の使用人が自ら定めた曜日でなければ働かないとして共謀した例がある。その後、これらの団結を規制する一連の法令が出されたと述べている。とすると団結に対する共謀罪の適用は大変古く14世紀にまで遡ることができる。

○1548年法 明文による労働者の団結への共謀罪の適用

 Conspiracyは元来、2人あるいはそれ以上の者が-誓約なり信約なりによって-ある人を重罪にあたるように起訴したり、起訴されるよう陥れる協定を意味していたが、1549年法により団結を規制する一連の法令をまとめ、雇職人の不法な団結つまり「ある価格でなければ仕事をしないとか、他の者がはじめた仕事の完成は引き受けないとか、ある時間しか仕事をしないとかいうように共謀する」ことに適用されることとなった。(*4)
 1548年法では、熟練工が一定の価格以下では仕事をしないことを共謀又は約束する場合は、刑事犯とされ、初犯は10ポンドの罰金と20日間の禁錮刑であった。又商人間の価格協定も賃金協定と同様に当然違法とされた(*2)。

○スター・チェンバー裁判所における共謀法理の進展

 田島裕(*5)に依存するが、17世紀の進展をみていくこととする。スター・チェンバー裁判所の創設については1487年説があるが、不明であるというのが通説である。スター・チェンバーの評判が悪くなったのはチャーダー朝後半に国王が議会・コモンロー裁判所と対立し、国王の意に従わせる手段となってからであって、エドワード・コーク卿が「キリスト教世界にある(わが国会を除いて)最も栄誉ある裁判所」と呼んだように一般的には好意的にみられていた。国家の安全との平和に関する事件、名誉棄損、詐欺、文書偽造等の事件のほかに、エドワード・コーク卿が検事総長として訴追を行った名医ロペッツの女王暗殺、ウォーター・ローリー卿の国王暗殺、1600年のエセックス伯、サウザンプトン伯の訴追等の共謀事件をはじめとしておいて多くのコンスピラシーに関する事件を処理したが。
 理論的に重要なのは1611年の家禽商事件Poulterers Caseである。この判決では中世のコンスピラシー法理の核心は害意をもって〔他人に危害を加えることを〕約束または結合することにあると理解された。かようにこの法理を理解すれば、不法な目的をもったあらゆる種類の結合を処罰できることとなり、犯罪行為がおこなわれたかどうかは問題にされず、悪い心を持っているかどうかが問題とされる。共謀法理が未遂の段階で処罰する統制機能を有するのはそういう理由である。
 

1 高橋保 「イギリス労働法における共謀法理(コンスピラシー)の形成と展開」 『創価法学』7(4)〔ネット公開論文〕http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN0013392X/ISS0000435233_ja.html
2谷原修身 「 コモン・ローにおける反独占思想-4- 」『東洋法学』38巻2号1995年
3小宮文人『イギリス労働法』信山社出版1991、高橋保前掲論文
4中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論』ミネルヴァ書房1998 66頁
5田島裕「コンスピラシー法理の研究-2-スター・チェンバーによるその法理の利用 」『 法学雑誌 』 25(1) [1978.09] 

2009/12/19

小沢一郎氏の韓国講演で述べた事実に反する見解と偏った歴史認識

 今月訪韓した小沢一郎幹事長のソウル市内の大学における講演の動画をみました。
http://www.youtube.com/watch?v=uX7xFMvCly8
 考古学で否定的な見解が大勢を占める「騎馬民族征服説」を「たぶん歴史的事実であろうかと思っております」と述べています。また、桓武天皇生母に言及し「桓武天皇の生母は百済の王女様だったということは天皇陛下自身も認めておられます」と発言してます。
 陛下のおことばというのは「私自身としては、桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」というものであり、小沢一郎氏は異なったことを述べている。

 桓武生母皇太夫人高野朝臣新笠(大同元年追贈太皇太后)の父は和史乙継、母は土師宿禰真妹である。もともと和史新笠であったが宝亀年間に光仁天皇より「高野朝臣」姓を賜った。これは夫人の新笠個人だけの姓だった。
 瀧浪貞子京都女子大学教授の『日本古代宮廷社会の研究』思文閣出版1991年は高野新笠の出自について

 「父方の和氏は『新撰姓氏録』に「和朝臣、百済国の都慕王の十八世孫、武寧王自り出づ」と記すように、百済系の渡来氏族であり、武烈天皇の時に帰化したという。(『日本書記』)。和(倭)氏を名のるようになった時期は不明であるが、一族が大和国城下郡大和郷に住んでいたことによるものであろう。」と説明している。

  渡来の卑姓氏族であるが、武寧王の治世は502~523年と古く、和氏が渡来した武烈天皇の治世は498~507年で、桓武天皇の出生が737年であるからこの間230年以上経過している。むろん百済王女ではないから、事実に反する見解を述べている。

 また江上波夫氏の「騎馬民族征服説」については、橋本義彦(宮内庁書陵部編修課長・正倉院事務所長を歴任した大正13年生まれの歴史家)が『平安の宮廷と貴族』.吉川弘文館平成8年「皇統の歴史-その正統と異変-」で次のように述べている。

 「戦前、皇統の「万世一系」が「国体の精華」と謳われた反動であろうか、戦後になると、『古事記』『日本書紀』の伝える古代天皇の系譜に疑いをさしはさみ、様々な古代王朝交替説が唱えられた。いわく葛城(かつらぎ)王朝、いわく近江王朝、いわく難波王朝など、種々の憶説が提示されているが、なかには「殆どナンセンス」に近いと評されているものもあり、まだ確説の域に達しているものはないようである。考古学者が提唱し、一時世上に喧伝された「騎馬民族説」(征服王朝説)も、現在の考古学界では否定的見解が大勢を占めていると聞く」

 小沢一郎氏は、自民党時代のことか江上波夫氏から応神・仁徳天皇陵を調査したいので宮内庁にかけあってくれともちかけられたエピソードも講演で語っているが、「騎馬民族説」(征服王朝説)は考古学者はほとんど否定的見解ということである。それを「たぶん歴史的事実であろうかと思っております」というのはセンスが悪すぎるし、偏った歴史認識を持った政治家といえるだろう。

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(4)

 団結否認、個人の結合せざる権利の確立のために、英米の共謀法理と労働について歴史的検討を行う。

1 刑事共謀法理の起源

 コンスピラシーと呼ばれる共謀法理はイギリスで生成し、アメリカに継受され労働組合の弾圧法理となったと説明されることが多いが、私は刑事共謀である団結それ自体を弾圧するのが最も望ましい。団結を営業制限の法理にもとづく営業の自由のコロラリーとしての個人の労働の自由、労働力取引の自由を阻害するものとして、「取引を制限するコンスピラシー」(doctrine of restraint of trade)として把握するべきであると考える。。
 仮に、妥協するとしても、団結は認めてもそれは個人の権利の総和に過ぎないのであって「他人の取引を侵害するコンスピラシー」(conspiracy to injure of another)を容認されるべきという立場なので共謀法理は肯定的に評価する。

 なぜならば現実に私は腹黒い共謀によってはめられそうになった。東京都水道局では年に少なくとも3回時限ストを構えた労働組合の闘争が年中行事のようにある。11月の中旬ストを構える都労連のストライキと、12月の中旬にストを構える局内闘争と、3月中旬の春闘、それ以外にも平成16年の業務手当闘争の時は夏場にも随時ストライキ闘争を構え、最近では昨年平成20年3月の春闘で1時間ストライキを決行してる。

 私は本年11月の都労連闘争時にスト決行の場合でもピケットを通過して就労することを直属の上司である所長に申し出ると、所長は組合への敵対行為は許さないという意図からか、それは組合と協議すると言った。第三者である労働組合と協議し、非組合員である私の服務を決定するというわけである。
 所長はスト決行予定日の前日に電話番号が書かれた付箋紙を私に渡し、とくに12月17日の局内闘争ではスト決行の要素が多分にあったので、庁舎に入る前に必ず電話を入れるよう命令した。私は管理職からそのように指示された前例はないとして拒否すると、ダメだ必ず電話しろと強要、押し問答のうえ、結局連絡先として受け取っておくが、必ず電話を入れることはしないと私は言った。
 たぶん、電話をかけろというのは、ピケットを越えるなと指示して、事故扱いにするする算段だと思った。というのはピケット通過は許さないという趣旨で、事故扱いにすると言うことをはっきり言っていたことと、もし「庁舎に入ってきたら報告してもらう」、上司の指示不服従なら懲罰するというニュアンスを述べたからである。
 そもそも、東京都水道局庁内管理規程では次のように正常な通行を妨げることは禁止している。
一 庁内において、拡声器の使用等によりけん騒な状態を作り出すこと。
二 集団により正常な通行を妨げるような状態で練り歩くこと。
三 前号に定めるもののほか、正常な通行を妨げること。

 ピケッティングがピースフルであけば、それは説得であるから、説得に応じなければ、物理的妨害がない限り通過できるわけであるし、組合側が威嚇・脅迫するとしても大量動員ピケか物理的妨害になれば通過は不可能ではない。
 庁内管理規則の通行妨害について基準はあるかと所長に訪ねたところ、基準はないし、来客に危害が加わるような態様でなければあえて取り締まることはないと明言し、事実上スト破りを監視するためのピケはどのような態様でも正常な通行を妨げる行為とはみなされず庁舎管理規則に反することなく許容されるとの組合に有利な解釈を示した。。
 ピケに限らず、赤旗、拡声器、横断幕等の持ち込みにより、庁舎構内を占拠し無許可集会することについても、監視、解散命令などの規制はしない、そういう指示はないからとはっきり言った。
 所長は聴いたことは要するに、本局からストライキ時にピケの態様や無許可集会についてなんの監視指示はないから庁舎管理責任者であっても、責任をとるつもりはないとのニュアンスなのである。過去に私はスト決行時に出勤簿を押した後に6~7人の組合員に取り囲まれ、罵声を浴びせられたり、攻撃を受けてるが、そういう場合も規制しないと所長は言った。
 結局、管理職は、労働組合の秩序違反行為は容認し、ストに反対する非組合員は、組合敵対行動として容認せず、ピケットラインを越えないように命令し、組合のいいなりになっているわけだが、労働組合と管理職が共謀して非組合員の就労の権利を侵害する在り方なのである。「他人の取引を侵害するコンスピラシー」(conspiracy to injure of another)そのものだと言ってもよい。
 これは服務の問題だから、私と上司との間だけ話し合うべきものなのに、第三者である組合の統制を受けなければならないとするのは正当なものではない。しかも形式的とはいえ事前に所長は「服務の示達」という文章をマイクロホンの前で読んでいて、私は服務の示達で命令されたとおりストライキに参加しないとしているのに、それはけしからんと前言を翻すのは道義に反するものである。しかも所長ははっきり、ストライキは全員が参加してやることになっているとはっきり述べた。違法行為の強要である。

 Conspiracyとは人を陥れる協定のことであるから、組合と管理職が示し合わせて、ピケット通過を阻むのはコンスピラシーそのものである。
 以上のことから労働組合と共謀により非組合員の就労の権利を侵害する命令を行ったいうことで、職権濫用であり懲罰要望書で対抗する予定である。

2009/12/18

本日は管理職が事務室内・勤務時間内の他所勤務組合員による全水道東水労が職員部長・給水部長に謝罪文出させて東京都水道局局内闘争勝利との演説を許可

 本日は登庁すると「ストライキ中止36協定締結」という貼り紙があって、「カードリーダーを通してください」という貼り紙あり、カードリーダー付近と正面の廊下に組合のステッカーが13枚貼ってあった(ステッカーは写真をとったうえ所長が始業時前にはがした)、9時23分頃より事務室内で24分程度の組合の年末局内闘争報告があり、就業時間が7時間45分に15分短くすることとなった(私は反対だ)、知事部局のように時間休がとれるようになった(知事部局では1時間きざみで有給休暇がとれる制度を私が入る前から(私が東京都に入ったのが美濃部の最後の年)やっているが、水道局は交替直勤務職場と日勤職場と格差ができるという組合の強い反対でこれまで導入してこなかった)などと説明、メーター下流部の漏水調査外注委託の提案は撤回させ、謝罪文を出させたと報告があった。
 

 さらに午後2時10分頃、つかつかと他所の全水道東水労配水部会の職員2人が、営業部会との共闘で提案撤回を勝ち取った報告演説のために、事務室内に入ってきて、一人が所長の許可を得るため交渉、もう一人はビラを各人の机にビラを撒いた(かれらは有給休暇をとっているので賃金カットの対象にならない)2時13分から25分まで2人が演説、12月1日にオルグ活動で演説していた者のようだ。
 私の机にも撒かれたビラの写真がこれである。

Cimg0264_3   

 メーター下流部漏水調査外注委託化の提案を撤回させ、職員部長・給水部長・労務課長名で謝罪文まで書かせたので一応勝利、ただし当局はあきらめていないので営業部会との共闘態勢を呼びかける内容の演説を行っていた。

 東京都水道局の職場はこのように、他所に勤務している組合員も自由に出入りして、勤務時間内、事務室内のオルグ演説、アジ演説をやりたい放題。
 外部の人間はオルグのために事務所内に立ち入らせないとルールがないから、つねに組合活動で騒がしく、争議行為に巻き込まれやすい企業風土となっている。私はそういう企業風土の改革を提案する予定だ。

 プロレーバー学説の受忍義務説、違法性阻却説に沿って広範な組合活動を容認する必要などない。何回も言っているように国労札幌地本ビラ貼り事件判決(最高裁第三小法廷昭和54・10・30『労働判例』329)の意義は、プロレーバー学説の、受忍義務説と違法性阻却説を明確に否定したことにある。つまり使用者の企業秩序定立権を前提として企業内組合は、企業の物的施設を組合活動の主要な場とせざるをえないなどという理由で、無許可の施設利用を受忍する必要はないということである。「企業は、その構成員に対してこれに服することを求めうべく、その一環として、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもつて定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができるもの」としたのである。
 局施設はとりわけ事務室は業務目的のためにあるのであって目的外使用である組合活動の場ではないという趣旨を徹底すべきである。

 従って、よその組合員が勝手に入ってきて演説、ビラ撒き自由みたいな在り方は、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢とは到底いえないのであるから、この点での是正を今後、組合に謝罪した職員部長などに強く求めていく所存である。
 

2009/12/17

所長は明日の東京都水道局2時間スト(予定)で、はっきり、事故扱いになりますと、登庁してカードリーダーを通すことは認めない方針。明確な就労拒否宣言で懲罰要望書で対抗する。

 本日、事務室内のキャビネットと机の脇にビラ貼りがあった。下水道局云々というものと、係統合、南部第二支所統合反対云々というものだが、所長に苦情をいうと、はがすのはいいんだけど、写真をとって報告することになってるんじゃないかと言うと、こんだけのものだからいいんだよとの返答だった。
これまでの例では千代田営業所が一番ひどかったが、事務室内に貼って、所長がおそるおそるはがすのが14時半とか、現在本局の幹部も午前中はビラを貼ったままにして、組合に配慮するとか言っていた。デジカメで写真とって始業時前にはがす課長もいるんですが、例外で、報告が正確に為されているとはとても思えない。

 帰り間際に、分会長より明日のストライキでピケットをやると脅しがあった。火曜の頭上報告で当局がかたくななのでストは決行の方向だと言う。
 所長は態度が変わらない。東京都水道局のストというのは管理職の通行自由で組合は管理職には好意的に対応し、組合が締め出すことはしない。管理職と応援の管理職で8時30分から窓口対応し通常の営業はやる。ピケの対象は一般職員がストを破らないように見張ることで、標的は一般職員にあって組合の意思に従わせることである。
 管理職は組合の示威行為、赤旗、たて看板、横断幕、拡声器等のもちこみ、玄関前や来客用の駐車場を占拠して行う集会について一切監視、解散命令などはしないから、組合のやりたいほうだいで、今回、所長は組合の秩序違反行為について庁舎構内で規制することはしないことにかわりはないと言っている。庁舎構内の秩序違反について何もしないのは管理職による営業を認め、管理職もスト破りがないように見張ってストに協力するバーターだと考えられるのである。非常に悪い企業風土だと思います。
 それで、5時すぎになって、所長がやってきて明日庁内にはいるの前に必ず電話しろと命令、電話したら庁内に入るなとスト参加を強要する段取りのようなので、これまでそういう命令はなかったし拒否した。あとで報告してもらうぞと脅しもかかった。ピケを突破したら不服従で叩くねらいのようなので、本当に東京都水道局の管理職は悪質だと思います。庁舎管理規則違反の通行妨害を認めて、逆にストに反対の人を叩くという在り方です。
 所長はおまえが要望書だしたから上役からぶつぶつ言われて迷惑してるとか言っていたが、管理職によっては就労するのは当然だという人もいたし、庁舎に入るなと断言した人はいなかった。私がストに参加しないと言うと、この問題は組合と協議するとか、組合と一緒になって方針を出してくるところがえげつないし、態度が変わらない以上、懲罰要望書を出していく方向になる。
 所長は昨日はっきり、事故扱いになりますと、登庁してカードリーダーを通すのを絶対に認めない方針である。

2009/12/16

ストライキ時に非組合員の就労の権利を侵害しピケットラインの尊重の旨の指図をする上司への抗議と改善要望書

 本日、東京都水道局長等宛の要望書の内容

非組合員の就労の権利を否定する所長の見解に抗議すると同時に、もし態度変更がなされず、本局も黙認する場合は、職権を濫用し不当な指図を行ったものとして上司および庁舎管理の責任者である総務部長、労務管理の責任者として職員部長の3者の懲罰要望書を提出する。

                                          

 先月の都労連の闘争時に所長は非組合員で就労したいと申し出ているにも関わらず、スト決行時はピケラインを尊重し、庁内には入ってはならない旨の指図を受けたが、これは不当な命令であり容認できない。出勤停止処分に等しい命令は受けられない。ストライキに反対し就労したい職員に対して、事実上組合の統制に従うよう指示することは不当であり、非組合員の就労の権利を侵害する所長による不当な指図を撤回して貰いたい。ストライキに遭遇する以上、擦れ合うリスクがあっても、就労義務が優先すると考える。
 服務の示達で、都民の信頼を損なうことがないよう就労が命令されている。のみならず、黙示的誠実労働義務がある。実定法や判例でも違法であり、職務に専念する義務がある。また非組合員でありストライキについて組合の司令に統制される理由はない。しかも所長は9月の汚職・非行悉皆研修で、チャイムがなってから着替え退庁すること。始業時間には着替えをすませ、スタンバイの状態にあるべきことを徹底指示しており、その趣旨からも当然である。
 のみならず出勤停止や休職処分でないので当然就労の義務と権利がある。しかも公務員の職場で実際に管理職で営業を行っているのに就労したい人を締め出すのは不当である。所長は庁舎構内におけるピケッティングの態様、ストライキ参加者の庁舎構内における無許可集会における占拠、拡声器、赤旗、横断幕、ハチマキ、工作物等の持ち込み、着用について監視なり解散命令なり規制するよう指示がないので放置する。庁舎管理規則で通行妨害を禁止しているが、基準は何もないし、来客者に危険が及ぶ妨害はともかく非組合員の就労阻止のためのピケを監視することはしない。自分は庁舎に入った後に大勢で取り囲まれ罵声を浴びせるようなパトローリングによる攻撃を過去に組合から行われた経緯があるが、それも規制しないとはっきり言った。組合の秩序違反行為は一切監視もしないし、解散命令、就業命令もしないとし、組合のやりたいままとしながら、就労したいまじめな職員は事実上出勤停止を命令するというのは、いかにも争議行為に加担した行為であり、東京都水道局の庁舎管理・労務管理はきわめて悪質であると考える。勿論、上司個人を非難する趣旨ではない東京都の管理職が総じて悪質であり、私が最も非難したいのは悪しき慣行を放置してきた本局当局であるが、職場において良好な人間関係を保ちたいが、就労の権利という重大な問題である故、懲罰要望書を出すなど対抗措置をとらざるをえない。
 

 ちなみに我が国では消極的権利は明文化されていないが米国のタフト・ハートレー法では団体行動に参加しない被用者の権利があり、強要すると不当労働行為とされる。イギリスでも1988年雇用法により組合員の個別的権利を拡大した。スト投票が正当に行われ多数の組合員が賛成した場合でも、ストライキに参加することを不当に強制されない権利が定められているように、被用者のストライキに参加しない権利がある。
 

○ ピケッティングについて

 そもそも争議行為は、契約違反の誘致行為、契約の履行不能をもたらす行為、強迫、共謀、営業妨害など理由として、コモン・ロー上の不法行為を構成する。
 しかし、ストライキ以前の問題として、コモンローの理論を遡っていくと、営業制限の法理にもとづく営業の自由のコロラリーとしての個人の労働の自由、労働力取引の自由を阻害するものとして、「取引を制限するコンスピラシー」(doctrine of restraint of trade)ないし「他人の取引を侵害するコンスピラシー」(conspiracy to injure of another)の概念構成により、労働者の団結そのものも、コンスピラシー(共謀)の要件に該当するものとして把握されていた。アメリカでは無体財産も財産権として、営業妨害などの争議行為に差止命令が1920年代まで多用された。
 労働組合は、たんに共済互助団体にとどまるなら、他者を害するものにではないかもしれない。しかしその本質は個人の賃金と労働条件を規制し、労働供給を制限することにある。脅迫、威圧、暴力あらゆる手段を使って、労働者相互の賃金、労働時間、仕事の遂行方法、能率を制限しようとするのが労働組合の本質である。
 英米においはて団結放任後も、容認できる団結が個人の権利の総和であるから、労働団体が個人の権利を制限する(非組合員の就労の権利を阻害する)ことを法認することはない。法人や団体が個人と同等の権利を有するとしても他者の権利を侵害する権利性はないからだ。従って、アメリカでは1932年のノリス・ラガーディア法以前はかなり厳格にピケッティングが規制されていた。1917年の最高裁判例ではビケラインそのものが脅迫であり違法であるとし、1921年の最高裁判例では出入り口に1人を認めたが、2人以上、つきまといや脅迫は違法とされた。1941年のソーンヒル対アラバマ事件でピースフルピケッティングが表現の自由として認めれたが、あくまでも説得という表現活動に過ぎない。
 イギリスでは大量動員ピケッティングが規制されていて、ピースフルで6人に限られている。
 我が国ではプロレーバー法学が悪質で、実力行使を容認する説、立ちはだかる形での受動的実力ピケを容認する説があるが、判例の大勢は争議権に組合員外を統制し就業を中止の実力行使の権利は含まれず、同盟罷業の定義を労務供給義務の不履行とし、ピケは平和的説得の方法において就業の中止を要求する範囲とするものと思われるが、研究不十分なので詳論しないが、いずれにせよ、公務員の職場で争議権はまだ付与されてない。庁舎管理規則で通行妨害が禁止されている以上、実力行使や許されないだろうし、擦れ合うことはあっても、説得を無視して通行することは当然あり得ることで、これまでも脅迫や擦れ合いはあっても大量動員ピケで身動きが取れなくなったことはない。

○団体行動に参加しない権利の明文化を 

 きわめて切実な問題として提起したいのが消極的自由、団結否認権、Right to Work lawの明文による法定という重大な課題がある。公序に反し違法行為、団体行動を強要する敵と闘って行かなければならない。特に東京都水道局は、労働組合の庁舎構内における示威行為を放置するのみならず、管理職がまじめに働こうとする非組合員でも組合のスト指令に服すよう命令し、就労を否認し締め出そうとする悪質な所だから、何が起きるかわからないリスクを常に抱えている状態なので切実なのである。
  合衆国では1947年タフトハートレー法7条において被用者の権利を定めているがワグナー法の規定に、労働組合の団体行動等の一部及び全部に参加しない、消極的自由の項目を加えている。
  「被用者は、自主的に団結する権利、労働組合を結成し、これに加入し、またはこれを援助する権利、みずから選出した代表者を通じて団体交渉を行う権利および団体交渉または相互扶助のためにその他の団体行動に従事する権利を有するとともに、かかる行動の一部または全部に参加しない権利をも有する‥‥」としている。
  また、労働組合にも不当労働行為として六種類の行動を8条(b)項で定めているが、被用者の7条の権利行使を組合が抑圧あるいは強制することも含まれている(註1)。使用者についても組合と結託して団体行動の強要は不当労働行為である。
  イギリスでは1988年雇用法により組合員の個別的権利を拡大した。スト投票が正当に行われ多数の組合員が賛成した場合でも、ストライキに参加することを不当に強制されない権利と組合運営に訴訟を起こす権利を組合員に与えた。組合員がスト実施中にピケット・ラインを越えた場合でも制裁されない権利、組合会計記録閲覧権、チェックオフ停止権といった個別的権利も拡大している(註2)。
  市場からの抑制力のない公務員の争議権の付与が政治日程となる状況において、組合員、非組合員も含めた個別的権利、消極的権利も明文化しする方向での検討は必要になる。今後、協約改定期に大きなストが予想されるからである。、
   ハイエクが言うように「消極的自由」、他者から強制されない自由が最も重要だからだ。
 
  (註1)千々岩力『アメリカ不当労働行為審査制度の研究』 日本評論社1996 316頁
  (註2)田口典男『イギリス労働関係のパラダイム転換と労働政策』ミネルヴァ書房2007 95頁

2009/12/14

「騎馬民族征服説」を韓国で喋った小沢一郎氏

中央日報日本語版の【小沢氏来韓】「在日韓国人ら外国人地方参政権を現実化させる」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123896&servcode=A00&sectcode=A00という記事を読みました。

 外国人参政権法案は「来年、国会で現実化されるだろう」とのことです。

「小沢一郎民主党幹事長は、古代から韓日が近い関係だという点を語り、東京大学考古歴史学者だった江上波夫教授から直接聞いた「騎馬民族日本征服説」を紹介した。「韓半島南部の地域権力者が海を渡って来て今の奈良県に政権を樹立したという」と語った。「この話をもっと強調すれば日本に帰れないから、これ以上強く話すことはできない」と話すと、聴衆から笑いが起こった。」

とありますが「騎馬民族征服説」は一時流行ったが、今日では歴史家の大勢は否定している。通説ではないものを事実上の「日本国王」とも呼ばれる政治家が軽々しく口に出すことはかなり問題がある。

2009/12/13

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(3)

労使関係の先進化法案が必要である

 私のいう「先進化」とは1980年代以降のイギリス保守党政権、オーストラリア自由党政権、ニュージーランド国民党政権の新自由主義雇用法をモデルとし、集団的労働関係(団体交渉)から個別契約にパラダイム転換する提言であリ、戦後レジームからの脱却を図るというものである。
 1992年英国保守党メージャー政権の白書『人、仕事および機会』では次のようにパラダイム転換を説明している。「‥‥団体交渉と労働協約に基づく労使関係の伝統的な形態は益々不適切になり、衰退してきた。多くの使用者は時代遅れの労務慣行を捨てて新たな人的資源管理を採用しつつある。それは個々の労働者の才能や能力の開発に力点を置くものである。使用者の多くは、労働組合や公式の労使協議会を仲介とするよりも、その被用者との直接のコミュニケーションを求めている。個々人の個人的技能、経験、努力及び成果を反映する報酬を個別交渉する傾向が増しているのである」*1
 サッチャー政権は1980年に労働組合承認の法的手続を廃止して、組合を承認し団体交渉を行うか否かは使用者の任意とした。元々イギリスの普通法において労働組合が営業を制限するコンスピラシーとして違法な存在とみなされていたにも関わらず、今日まで存在してきたのは使用者がクラフトユニオンの内部請負制を便利なものとして利用していたことがある。使用者側に生産過程を管理する能力がなければ、労働者は組合の職長をとおした間接管理しかできないからである。しかしクローズドショップの違法化で、労働組合は労働市場を支配できなくなった。現代の産業構造では労働組合による内部請負制は必然的なものではなく、生産過程と仕事の分量など労働者の職務統制、賃金の配分等を組合に丸投げにするコストが大きくなれば競争力は低下し、組合を承認する利点は少なくなったといえる。
 職場雇用関係調査によると全体的には公務員職場で組合承認が維持されているために組合承認率は1990年の53%から、1998年の45%と劇的には低下していないが、民間部門の1998年の組合承認は1990年の三分の一の水準に低下した。機械・金属業では組合承認のある職場が1990年には37%であったのが、1998年に19%に低下し団体交渉は崩壊したとも云われる。一方組合員のいない職場が1984年に27%であったものが、1998年に47%に上昇した。*2
 もし保守党政権が続行していれば2010年までに労働組合は消滅したとまでいわれ言われたものである。

 最も先進的な労働法制がニュージーランド国民党政権1991年雇用契約法(Employment Contracts Act)であるが、これは労働法から、「労働組合」も「団体交渉」も消し去り、労働関係を個別雇用契約によって処理した。*3

  究極の労働市場の規制緩和である。もっとも労働党への政権交代で2000年雇用関係法によって「団体交渉」も「労働組合」も復活したが、しかし2008年再び国民党政権に戻っている。個別主義がトレンドであることは間違いない。

  オーストラリア自由党の政策としてはオーストラリア職場協定(Australian Workplace Agreement:AWA)」がある。これは労働協約を排除した使用者と個人が交渉する個別雇用契約制度だが、労働条件で定の水準を上回った場合に認められる制度なので完全な契約自由ではないが、個別契約を求めるニーズに応じた制度として評価できる。*4

 我が国もこうした新自由主義の労働政策に倣うべきである。林=プレスコット説によると1990年代の日本経済低迷「失われた10年」の要因とは「時短」により,週当たりの雇用者平均労働時間が,バブル期前後で44時間から40時間に低下したこと,もう一つは,生産の効率性を図るTFP(total factor productivity)の成長率が,90年代の中ごろから低下したことである。硬直した労働法制に経済低迷の要因であることは、はっきりしているわけだから、労働基準法を廃止して、労働時間規制をなくすべきであるが、今の民主党政府は労働組合との深い関係があるので、いつまでたっても低迷から抜け出すことができないだろう。
 
 ニュージーランド1991年雇用契約法(Employment Contracts Act)のような個別雇用契約の自由の確立は最終目標である。勿論それを一挙にやれればそれにこしたことはないが、事実上の労働基本権の否認であり、労働組合の既得権を剥奪するものなのでそう容易なことではない。
 そこで、まず私は、第一段階として労働組合の団体行動に加わらない被用者の権利を明文化することを提案する。我が国ではプロレーバーの労働法学が諸悪の元凶だろう。不当に労働組合寄りの解釈を行ってきたため、個人主義的自由が論じられなかった嫌いがある。
 仮に労働基本権を認めても非組合員に団体行動に参加しない消極的権利はあると解釈するのが妥当である。つまり表現の自由に表現せざる自由がある。例えば政府が官製デモを組織して、「民主党万歳」と叫ばせることを強要することはできない筈である。宗教の自由には特定の宗教を信仰しない自由の含意もあり、結婚する自由もあるが、結婚せざる自由もあることと同じである。消極的権利を明文化しなくても消極的権利を肯定すべきであるが、現実に私の勤務する東京都水道局では消極的権利を否認するような管理職の指図がある。個人の自由は私生活に限定されるべきではない。最も重要なの労働力処分の自由である。冒頭に述べたような米国や英国ではストライキに参加しない被用者の権利を明文化しなければならないと思う。
 仮にピースフルピケッティングを認めるとしても、それは説得活動に過ぎないから、説得に応じるか否かは自由であり、実力行使して通行を妨害することは個人の就労の権利の侵害である。法人や団体に個人の正当な権利を侵害するの権利はないはずである。
 プロレーバー学説は最大限の威圧行為や実力行使さえ容認する学説があるが、労働組合が統制下にない者の権利を侵害するほどの権力を付与することには同意できないからである。
 つまり私は非組合員であるあなた(管理職)の就労を妨害する権利はない。それと同じように労働組合や管理職にストライキに反対する職員の就労を妨害する権利はない。しかも服務の示達でストライキに参加しないよう命令しているのだから、就労は義務であるのに、いったんストライキが司令されたら、ピケラインを尊重して就労するなというのは命令を発出しながら命令に反する行動を取れということで道理に反するからである。
 ストライキである以上、擦れ合いは当然覚悟して就労するわけでである。昔から流血の事態はあった。イギリス1984~85年全国炭坑労働組合(NUM)ストライキでは反ストライキ派の乗ったタクシーに岩が投げつけられて死者を出している。差止命令やピケ隊の排除がない以上リスクはつきものでそれはやむをえないことである。
 こちらは職務専念義務と誠実労働義務に基づく就労だから正当な行動であるし、リスクを承知して正しい行動を為すことは、ほめられることはあっても非難される筋合いのものではない。
 むしろ管理職は通行妨害が庁舎管理規則に反するのだから労働組合のピケッティングやパトローリングに行きすぎがないか監視すべきなのに、それは一切やらないと言う、規律違反や秩序維持のための監視を抛棄して、スト参加を促す管理職は無責任だと言わなければならない。
 

合衆国の組合不在企業の文化が優れている

 団体協約より個別契約が望しいというのは、単に国家の経済成長のためだけではない。労働組合が個々の労働者の自由に労働力を処分することを否定し、働き方を統制して団結の意思に服して取引を強制していることが個別労働者にとっても不利益となっているのである。

 アメリカ合衆国の全国労使関係法では3割以上の署名を得て全国労使関係局の管理する組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を取得できるシステムであるが、労働組合組織率は2005年で12.5%であり、民間企業では7.5%に過ぎない。ウォルマート、ホームデポ、IBM、マイクロソフト、プロクター&ギャンブル、SCジョンソン、3Mなどアメリカを代表的する企業をはじめ、一流企業の多くが組合不在企業であり、金融・銀行をはじめとして民間のホワイトカラーは組織化されることはまずない。

 アメリカが欧州よりも組織率が低くコーポラティズムをとっていないのは、1920年代のアメリカンプラン、20世紀初頭からの全米製造業者協会などのオープンショップ運動という強い反労働組合運動政策によるところが大きいと考える。特にオープンショップ運動の意義を高く評価したい。
 むき出しの組合への敵意であったオープンショップ運動とは別の戦略として、1920年代に組合不在企業においてロックフェラー=ヒックス流哲学の流れを汲んだウェルフェアキャピタリズムの系譜もある。それは洗練された労務管理の手法としてそれなり評価されており、ジャコ-ビィ-の名著『会社荘園制』でコダック、シアーズ、トムソンプロダクツという代表的な組合不在企業の労務管理などが紹介されているのでここでは省略するが、利潤分配制度、年金、疾病給付金、ボーナス制度、有給休暇、ストックオプション等の従業員福祉や、教育訓練・能力開発、ノーレイオフ原則、シングルステータス、オープンドアーポリシー(上級経営者への直接のアクセス)、チーム制組織、行動科学を導入した人事管理、人当たりの寛容な企業文化、注意深い監督者訓練、従業員を公正に扱い一体感を確保する組織文化は組合不在企業で開発された企業文化であった。アメリカの最大の財産とはまさに組合不在企業の企業文化なのではあるまいかと考えるものである。
 オープンショップ運動の典型的例として1901年採択された全国金属業者協会の基本方針はこうである。
   
1 被用者に関して---われわれ使用者は、労働者が行う作業に対し責任を負っている。したがって、われわれがだれがその作業を行う能力をもち、その作業を行わせるにふさわしいかを決定する裁量を専権的に有している。かりに労働組織が適切に機能することを妨げる意図がなくても、われわれはわれわれの経営に対するいかなる干渉も容認しない。
   
2  ストライキとロックアウト---本協会は、労使紛争の解決のためにストライキやロックアウトを行うことを承認しない。本協会は、すべての合理的手段が失敗に終わったとき以外にロックアウトを認めないし、ストライキを行っている被用者たちを一つの集団として扱うことをしない。

3 被用者の関係---工場で働く労働者は、そのすべての同僚被用者と平和にかつ協調的に働き、使用者の利益のために忠誠を尽くして働かなければならない。*5

 当然ここには非組合員の権利を侵害しない含意がある。
 重要なことは20世紀初頭のオープンショップ運動は、セオドア・ルーズベルト政権の商務労働省においても支持されていたことである。
 セオドア・ルーズベルトの「スクエアディール」施策としてストライキへの積極介入がある。1902年ペンシルヴァニアの無煙炭坑労働者のストライキの介入がよく知られているが、労使双方をホワイトハウスに呼んで、調停委員会を任命し、ストライキを収拾したが、調停委員会は1903年に裁定を下している。そこで10%賃上げと9時間労働の設定で労働者の要求に応えたが、組合活動については、反組織労働の線を明確にした。すなわち裁定は組合員であるか否かによる差別や非組合員に対する組合の干渉を禁じただけでなく、「非組合員の権利は組合員のそれと同様に神聖である。多数派が組合を結成することにより、それに加入しない者に関しても権限を得るという主張は支持できない。」と明記された。オープンショップ運動はこの時期から本格化していく。*6
 セオドア・ルーズベルトはコーポラティズムを指向した革新主義的政治家ともみなされるが、組織労働者に決定的な権利を付与することはなかったと言う点で、フランクリン・ルーズベルトよりずっとましな政治家だった。 
 オープンショップ運動の基盤となった非組合員の権利は神聖であるという趣旨は、個人の労働力取引の自由と就業の権利、団体行動をしない権利を尊重するものだろう。
 
 組合不在企業へのオルグ活動を経営者の財産権(炭坑を非組合員によって操業する権利)を侵害し、非組合員労働者の契約上の権利を侵害するとものとしてレイバーインジャンクションを支持した名判決として1917年のヒッチマン判決Hitchman Coal & Coke Co. v. Mitchell, 245 U.S. 229  http://supreme.justia.com/us/245/229/case.htmlがある。
 ウェストヴァージニア州にあるヒッチマン炭坑会社Hitchman Coal & Coke Coは1903年に労働組合が組織されたが3回にわたるストライキで組合は敗北し、1907年に鉱夫たちは「会社に雇われている間は労働組合に加入しません。それに違反した場合は労働契約は終了したものとみなされて異議ありません」といういわゆる黄犬契約に署名させられたが、アメリカ炭坑労働組合は非組合化が他の州の鉱夫の労働条件に影響するため、組織化にのり出した。ストライキ手当を用意し、密かに組合加入をさせながら、会社に組合承認の要求を突きつけた。
 対してヒッチマン炭坑会社は、「組合化のために会社に強制して会社と被用者の関係に干渉する差止める」ことを裁判所に求め、1907年に仮差止命令、1908年に中間的差止命令、1912年に永久的差止命令が出されたが、これに対する抗告があり1914年こに原審がくつがえされたが、1917年連邦最高裁は第一審の差止命令を是認した*7

 ピットニー判事による法廷意見は労働組合が黄犬契約の存在を知りながら会社に対してクローズドショップ協定を結ぶよう強要するため、労働者に組合加入を働きかけることは契約違反の誘致にあたり、組合の勧誘行為の差止命令を認め、オルグ活動は労働者の「非組合員的地位」に対して有する経営者の財産権(炭坑を非組合員によって操業する権利)を侵害し、非組合員労働者の契約上の権利を侵害するとの判断を下した。*8

 この判決では組合員が黄犬契約を破棄して組合に加入するよう説得するためピケ・ラインを張ったその行為に対し、「ピケ・ラインをはること自体脅迫であり違法である」としている。司法が正常だった時代のひとつの判例である。黄犬契約も契約の自由として容認されていたわけある。これはロックナー時代の判例で1937年に判例変更されているが、よき時代のアメリカでは非組合員の地位の保全も財産権として保護していたように、労働力処分の自由に親和的な理論を提供してきた。
 
 組合不在は雇用主だけが望むものではない被用者もそうなのである。2001年にテネシー州のスマーナ日産工場の組合代表選挙を行いましたが、3103対1486の大差で組合設立を否認した。つまり非組合である。日産に限らず、外資企業の自動車組立工場の組織化は成功していない。従業員はUAWよりも北米日産の側についたわけである。
  アメリカの産業別労働組合で何が問題かというと 制限的労働規則(restrictive work rules)である。労働組合による仕事の制限、統制である。「工場内における職務を細分化し、個々の職務範囲を極めて狭い範囲に限定するものである。このため、単一の工場内における職種が数十種類に及び、組合は個々の職種ごとに賃金等を設定し、仕事の規制を行うので、職場組織は極めて硬直的となる。」  http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpyj199401/b0055.html
  日本は戦前から大企業が存在し、新技術の導入と人員配置は経営者の強い権限を持つモデルなので、柔軟に対応できるが、アメリカの組合セクターはそうではない 。米国に進出した日系自動車工場がUAWの組織化を嫌うのも主としてこの理由である。「米メーカー並の複雑な就業・作業規則などを締結すると‥‥規則に手足を縛られ‥労働者の配置転換1つを取っても、大きな困難となる。」http://www.jil.go.jp/mm/kaigai/20010829b.html
  さらに、組合セクターは従業員の競争を排除するので、個別の査定による業績給が導入できない。同志社大学大学院教授佐藤厚のコラムから引用すると「組合員内部には、階層格差が全くなく、したがって入職してから経験を積むにつれてより上位の地位に昇進するキャリアもない。細かくみると、チームリーダーには多少の上乗せ賃率(時間当たり0.5ドル)があったり、修理などを行う保全労働者とラインのオペレーターとでは時間賃率に差があったりするが‥‥働きぶりの個人差を反映する査定や熟練形成に伴う昇進キャリアのない世界」なのである。日系企業には職長への昇進キャリアがある。http://sosei.doshisha.ac.jp/column/07.html
労働者もUAWのような制限的労働規則では、生産性が向上せず、結局競争力を失うことがわかっている。
 要するに組合のある職場では組合就業規則により従業員は横並びで競争が排除され、業務遂行方法が統制されますが、若い人が能力を発揮し熟練するために良い環境とは言えない。
 団体協約はより生産的でない従業員に手厚く所得を補償する一方、より生産的な労働者の賃金は抑制される。先任権制度により、若い人の不利益もある。実際、UAWの職場は横並びでレイオフされても手厚い所得保障があり、30年勤務で年金が支給されることが利益と考える人もいるでしょうが、昇進の機会に乏しい。何がその人の利益であるかは違う。
 職場環境でいえば、非組合セクターでは大抵、オープンドアーポリシーがあって直属の上司を飛び越えて、会社のトップや上層部、人事部に直接苦情が出せる制度があり風通しが良く、従業員にフレンドリーな環境がある。例えば典型的な組合不在企業ウォルマートでは会社のトップが時給労働者に店長に不満があるならどしどし言ってくださいと語りかける。実際、会社は丁寧に一つ一つの苦情に応えますし、横並びで競争を排除される環境より、会社に献身的に働ければ認められて、昇進でき、経営者と敵対的でない環境で仕事をしたい人は労働協約などない方が良い。ショップスチュワードに統制されるより、働きがいのある仕事ができた方が良いわけです。組合のない職場が作業環境がフレキシブルで、単位労働コストは低い。高い生産性とビジネスの成長を促す。組合のない職場の方がトップダウンでなく従業員参加を促す経営になるので働きがいがあり、雇い主と労働者双方のニーズに敏感な作業環境がつくられる。
 

タフト・ハートレー法と労働権州Right to Work Statesの意義

 次にタフトハートレー法とアメリカ南部を中心とした23州とグァム島の州法、憲法等で定めている労働権法(Right to Work law勤労権法とも訳される、)の立法経緯と意義について述べる。http://www.nrtw.org/rtws.htm
 これは我が国のいわゆる労働基本権とは全く反対の意味で、勤労者が雇用条件として労働組合に加入することを求められない、組合費の徴収をされないで勤労する権利である。アメリカで労働組合の組織率の低い州の上位が労働権州Right to Work States である。
 1947年タフトハートレー法でセクション14(b)によって、雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止することを州の権限として認めたことにより、州権で労働権の立法化を可能にした。
 
 一例としてアラバマ州の労働権法は次のとおり
第三条 何人も、使用者により、雇入または雇用継続の条件として労働組合または労働団体の構成員となり、もしくは構成員となり、もしくは構成員としてとどまることを要求されない。
第五条 使用者は、何人に対しても、雇入または雇用継続の条件として、組合費、入会金その他いかなる種類の賦課金をも、労働組合もしくは労働団体に支払うよう要求してはならない(Ala.Code Ann.tit.26.375(1959)*9 
 労働組合組織率の低い州(<2003年)

ノースカロライナ  3.1%
サウスカロライナ  4.2%
アーカンソー   4.8%
ミシシッピ    4.9%
テネシー     5.2%
テキサス     5.2%
アリゾナ     5.2%
ユタ       5.2%
サウスダコタ   5.4%
フロリダ     6.1%
ルイジアナ    6.5%
ジョージア    6.7%
オクラホマ    6.8%
(上記すべて労働権州)*10

 今日のアメリカ民間企業の労使関係の基本的制度は1935年ワグナー法の排他的交渉代表制・不当労働行為制度である。アメリカの1930年代の組織率は9.3%にすぎず、デトロイトの自動車産業も組織化を阻止していたし、中西部の鉄鋼業も19世紀末から組合不在であったが、労働組合に有利な制度であったワグナー法制定を契機に産業別組合が台頭した。大恐慌で大量の失業者が労働争議に付和雷同する騒然とした世相において、1937年には座り込みストライキのような悪質な争議行為が流行、GM・クライスラー・USスチールと続々組合が承認されていった。
 1942年に設置された全国戦時労働委員会は、戦争協力のため労働組合にストライキを放棄させる一方、労働協約締結期間中の組合離脱を禁止し、それを保障するためのチェックオフを導入した。組合の組織維持と拡大は容易になり、労働組合員は1941年の1020万人から、1945年には1933年の5倍の1432万人に増加、このようにしてアメリカの産業別労働組合は、ニューディール立法で存立基盤を与えられ、戦時中の組合保護政策によりその地位を固めた。*11
 戦勝後は大幅な賃上げを求めて各産業はストライキに突入、1年間で490万がストライキに参加する労働攻勢となったが、鉄道・炭坑ストは物価を騰貴させ、中間層の不満の高まりを背景として1946年の中間選挙で共和党が圧勝、反労働組合の国民世論を背景として1947年強くなった労働組合の権力を削ぐためワグナー法を片面性を修正しタフト・ハートレー法が制定された。これは全米製造業者協会、共和党、南部民主党により推進され、トルーマン大統領の拒否権発動を覆して成立したものである。
タフトハートレー法では、排他的交渉代表制・不当労働行為制度というワグナー法の枠組みを維持しつつ、交渉力の平等の確保、労働組合との関係において被用者の権利を保護、労使間の意見の不一致とは完全に無関係の第三者を保護する目的で多くの改正がなされている。*12
 クローズドショップは否定された。ユニオンショップは基本的に認めるものの数々の規制を設け、ユニオンショップ協定のもとでも、組合に対する誹謗中傷、組合秘密の漏洩、スト破りを理由に解雇を要求できなくし、不当に高額な組合加入費を要求することもできなくし、ショップ制は事実上組合費徴収の手段となった。これはユニオンショップにおける組合の統制が強い日本のあり方とは異なる点である。
  また冒頭に述べたように被用者の権利(7条)を定めているワグナー法の規定に、労働組合の団体行動等の一部及び全部に参加しない、消極的自由の項目を加えて、労働組合にも不当労働行為として6種類の行動を8条(b)項で定めた。(この点も我が国では労働法制上不備である)
 私は同法による法改正の意義を肯定的に評価するものであるし、我が国の法制においても、バランスをとるために最低限、消極的権利の明文化、労働組合への不当労働行為の適用など必要であると考えるが、しかながら最善策はワグナー法の修正ではなく廃棄であった考える。つまり私は1932年ノリス・ラガーディア法(反インジャンクション法)以降の労働法は廃止すべきとするリチャード・エプステインの見解を支持する。ワグナー法の廃棄であったと考える。
 そもそもワグナー法は民主党の選挙公約でもなく広範な国民的合意によるものではもちろんなかった。ただ反対派が油断していたのは、違憲判決が下されるという予想だった。しかし連邦最高裁は1937年に契約の自由と通商規制権限の判例変更を行い、ワグナー法も1937年ジョーンズラフリン製鉄会社判決National Labor Relations Board v. Jones & Laughlin Steel Corporation http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?court=us&vol=301&invol=1合憲判断としたのである。
 20世紀初期からオープンショップ運動とレーバーインジャンクションの多用で反労働組合政策をとってきた全米製造業者協会(NAM)等は1935年ワグナー法による団結権・団体交渉権を廃止すべきとしていたのである。
 下院労働教育委員会フレッド・ハートレー議員の法案は全国労使関係局の廃止、反トラスト法への労働組合への適用を含む、1920年代以前もしくは1914年のクレイトン法以前に戻す反労働組合立法であった。私は20年代以前のロックナー時代が正常で、赤い30年代は不正常と考えるので、ハートレー議員の線で、ニューディール型労使関係を否定する法案が最善であったと考える。
 一方、上院労働公共福祉委員会のロバート・タフト法案は組織労働者が1932年ノリス・ラガーディア法や1935年ワグナー法によって獲得した既得権を損なわうべきではないとの認識に立ち、労使関係において是正すべき不正や不平等をを手直しする方針で、結果的に穏健なロバート・タフトの線で法改正がなされた。これは大統領の拒否権をも覆すにはニューディール型労使関係を維持する妥協的な改正案でなければ困難だったという政治的妥協とみられている。*13
 ロバート・タフト議員は中道穏健な考えであったが、私はあくまでも次善の選択肢としての法改正との評価をとりたい。
 そのように政治的妥協の産物であるがゆえに、タフト・ハートレー法はユニオンショップを基本的に是認つつも、反労働組合の南部諸州に配慮して14(b)によって、雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止することを州の権限として認めた。
 従って、結果的にアメリカは南部を中心とする労働権州(反労働組合)とそれ以外の非労働権州の二つの地域に分かれることになった。27の非労働権州では労働組合が排他的交渉代表権を有している職場では、強制的に組合費が徴収される。ユニオンショップ協定がとられず、組合に加入していなくても団体交渉の経費としての組合費を徴収できるエイジェンシーショップとなる。
 一方23の労働権法(Right to Work law)州では、労働組合が設立され協約適用労働者となっても、組合に加入せず、組合費の徴収からまぬがれることができる。労働権法州ではエイジェンシーショップは認められない。
 
 Right to Work の原義はおそらく、労働組合によって非組合員が労働力処分において干渉されない権利を指すものと考える。しかし、全国労使関係法はすべての州で適用されるから排他的交渉代表制がとられ、適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を取得すれば従業員のすべてを代表して交渉する独占権を労働組合に与る制度なので、組合を支持していなくても個別の従業員の交渉は禁止される。つまりこの制度で、個人の雇用契約の自由、自己自身の労働力という財産の処分権が否定され奪われる。
 Right to Work といっても本来の意味でのものでは全くないわけである。労働権州は強制的労働組合加入主義を否定しているだけなのである。
 したがって、それ自体は中途半端な権利であるが、しかし非労働権州においても被用者は団体行動をしない消極的権利を明文化していることと併せると、組合にかかわることなく就労する権利としてかなりの意義のある権利といえるのである。
 少なくとも私は、我が国に、タフトハートレー法と労働権州並の非組合員の権利の明文化を要求したい。

 非労働権州と労働権州のエイジェンシーショップの考え方の違いについて述べる。非労働権州の強制的組合費徴収の論理は「ただ乗り」防止ということです。つまりあなたは組合を支持していなくても排他的交渉代表制度により協約適用労働者であり、団体交渉の成果の受益者であるから、団体交渉にかかった費用の負担を求めるというものです。フリーライダーを認めず団結するという論理であるが、労働権(Right to Work law)はこの論理を否定する。
  この点についてミシガン州の自由主義シンクタンク Mackinac Center for Public Policy のウイリアム.T.ウイルソン博士の論文 「The Effect of Right-to-Work Laws on Economic Development」 http://www.mackinac.org/article.aspx?ID=4293を見てください。ウイルソン博士は「囚われた乗客」と言っている。「ただ乗り」するのではなく「囚われた乗客」となる不利益である。
 
  我が国のホワイトカラーエグゼンプション導入案はこれを個人的に望んでも、過半数組合の同意がないと制度を導入できないものとしている。結局、労働組合によってより働き方が規制されるのであり、このような観点からも「囚われの乗客」にならない働き方が望ましく真の意味でのRight to Work が望まれる。
 
  

1小宮文人『現代イギリス雇用法』信山社2006 
2田口典男『イギリス労使関係のパラダイム転換』ミネルヴァ書房2007
3伊藤 祐禎「ニュージーランドの「雇用契約法」と労働運動 (特集 世界の労働運動の動向)」『労働経済旬報』(通号 1581) [1997.04.05]
4長淵 満男「オーストラリア労働関係における個別化と組合排除--90年代における労働関係法の改編」甲南大学法学会40(1・2) [1999.12]
5水町勇一郎『集団の再生―アメリカ労働法制の歴史と理論』有斐閣2005年
6長沼秀典・新川健三郎『アメリカ現代史』岩波書店1991 297~300頁
7 有泉亨「物語労働法13第11話レイバー・インジャクション2」  『法学セミナー』188号1971年9月
8水町勇一郎『集団の再生―アメリカ労働法制の歴史と理論』有斐閣2005 竹田有「アメリカ例外論と反組合主義」古矢旬・山田史郎編『シリーズ・アメリカ研究の越境第2巻権力と暴力』ミネルヴァ書房2007年
9外尾健一著作集第八巻『アメリカのユニオンショップ制』信山社2002
10 篠田徹「岐路に立つ労働運動-共和党の攻勢と労組の戦略論争」久保文明編『米国民主党-2008年政権奪回への課題』日本国際問題研究所2005年所収
11油井大三郎「第四章パクスアメリカーナ」有賀・大下・志邨・平野『世界歴史大系アメリカ史2』山川出版社1993
12 外尾健一著作集第八巻『アメリカユニオンショップ制』信山社2002
13長沼秀世・新川健三郎『アメリカ現代史』岩波書店1991 471頁

2009/12/10

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(2)

(前回)団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1
http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/right-to-work-l.htmlの別バージョン
 
  夫婦別姓等民法改正絶対反対である。公務員への労働基本権付与絶対反対である。きわめて厳しい局面にあり、非常に深刻な事態ではあるが、ここで自己の力不足を嘆いている場合ではない。
  一方きわめて切実な問題として提起したいのが消極的自由、団結否認権、Right to Work lawの明文による法定という重大な課題がある。公序に反し違法行為、団体行動を強要する敵と闘って行かなければならない。特に私が勤務する東京都水道局は、労働組合の庁舎構内における示威行為を放置するのみならず、管理職がまじめに働こうとする非組合員でも組合のスト指令に服すよう命令し、就労を否認し締め出そうとする悪質な所だから、何が起きるかわからないリスクを常に抱えている状態なので切実なのである。
  合衆国では1947年タフトハートレー法7条において被用者の権利を定めているがワグナー法の規定に、労働組合の団体行動等の一部及び全部に参加しない、消極的自由の項目を加えている(赤字の部分)。
  「被用者は、自主的に団結する権利、労働組合を結成し、これに加入し、またはこれを援助する権利、みずから選出した代表者を通じて団体交渉を行う権利および団体交渉または相互扶助のためにその他の団体行動に従事する権利を有するとともに、かかる行動の一部または全部に参加しない権利をも有する‥‥」としている。
  また、労働組合にも不当労働行為として六種類の行動を8条(b)項で定めているが、被用者の7条の権利行使を組合が抑圧あるいは強制することも含まれている(註1)。使用者についても組合と結託して団体行動の強要は不当労働行為である。
  イギリスでは1988年雇用法により組合員の個別的権利を拡大した。スト投票が正当に行われ多数の組合員が賛成した場合でも、ストライキに参加することを不当に強制されない権利と組合運営に訴訟を起こす権利を組合員に与えた。組合員がスト実施中にピケット・ラインを越えた場合でも制裁されない権利、組合会計記録閲覧権、チェックオフ停止権といった個別的権利も拡大している(註2)。
  市場からの抑制力のない公務員の争議権の付与が政治日程となる状況において、組合員、非組合員も含めた個別的権利、消極的権利も明文化しする方向での検討は必要になる。今後、協約改定期に大きなストが予想されるからである。、
   ハイエクが言うように「消極的自由」、他者から強制されない自由が最も重要だからだ。
 
  (註1)千々岩力『アメリカ不当労働行為審査制度の研究』 日本評論社1996 316頁
  (註2)田口典男『イギリス労働関係のパラダイム転換と労働政策』ミネルヴァ書房2007 95頁
 
 
 
 

2009/12/07

本日は所長要請行動と頭上報告

 本日は昼休み時間中の12時24分から45分まで、まず全水道東水労の分会長がこれから要請行動をやるので組合員は集まるようにと声をあげ、結果的に組合役員を含めてのべひらの組合員も含め9人が所長席前に詰めかけて大衆団交を行っていた。発言者は5人に及んでおり、局内合理化とか所長の権限でない事柄も言っていた。ほとんど組合員が一方的に喋っていた。
 平成15年のながら条例改正以前は、勤務時間内に、役員が大声で所長席前に集まるよう職務離脱を促し、所長席の周囲の什器、机、天井などにビラをはり、大勢が取り囲み、怒鳴り声をあげ、吊し上げるようなやり方で行われていた。本日は怒鳴り声こそなかったが、基本的には同じスタイルであり、要請文を本局に届けさせるようなことをやっているのだと思う。
 そもそもこういう一人を大勢が取り囲む大衆団交スタイルの職場交渉は認める必要はない。例えば東京城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6『労働判例』442号、45頁の昭和41年の城東郵便局の例では「従来城東局においては、正規の団体交渉の他に各職場において管理者とその職場の組合員の代表者との間で職場交渉といわれるものが慣行的に確立しており(中略)正規の団体交渉の決定事項の具体的運用の協議の場として機能していたが、同局長は職場交渉を認めないとし、各課長が個別に組合と話し合うのを禁止した。更に、同局長は、正規の団体交渉においても、交渉事項はいわゆる三六協定と二四協定の締結に関するものに限られるとして、それ以外の議題を制限し、交渉人員の数にも制限を加えた。」と書かれている。
 職場交渉は交渉事項を限定し、人数を制限すべきである。結果的に所長要請行動は労働組合の示威行動である。管理職を怒鳴りつけて、集団で圧力をかける所を職員にみせつけて、組合の威圧感、威嚇力を誇示して、職員を支配するためのツールである。職場交渉の人数も制限していないような在り方は労務管理としては甘いので、この点も是正すべきとして意見を出す。
 また、16時38分から17時14分まで36分の部会委員会報告があった、これは11日の部会報告というこちだが、12月8日14時30分からの各支所で行われる決起集会への参加を促していた。この2割動員の集会は、支所の駐車場など庁舎構内で行われる示威行動だが、過去の例だと赤旗、立て看、ビラ貼りがびっしり貼られて、行われるものだが、当局は違法とも言っておらず、事実上容認している。
 締め出すべきであるが監視も、解散命令も勿論やらないわけである。
 なお本日の頭上報告は所長出張中で管理職の現認がないので、こういう場合は賃金カットにならないときいている。

個人情報公開

 期末・勤勉手当(12月10日支給)850,703円
手取りは660,136円。
 ペイペイのひらだからこれは東京都水道局の49歳では一番少ないほうだと思う。
独占企業なのに反独占経済的自由主義を標榜しているのが矛盾しているが、ちなみに定額給付金は手続きするのが面倒で受給しなかった。

2009/12/06

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1

 近代資本主義社会成立において最も重要な価値は「営業の自由」であると思う。私は「営業の自由」のコロラリーとして労働力取引の自由を核心的に重要な価値として信奉する立場であるので、特にコモンローの営業制限の法理と共謀法理の文明史的価値を高く評価する。言い換えると「営業の自由」「結合からの自由-第三者を害する意図のある結合の排除」この2つの個人主義的自由を核心的価値とし「法の支配」を憲法原理とする社会は自由であり、そのような古典的自由主義、反独占経済的自由主義タイプが最も望ましく、労働三法を廃止して労働政策を抜本的に改める方向で、我が国が進む以外に国力衰退を打開する道はないとも考えるものである。より現代的な思想でいえばシカゴ大学のリチャード・エプステイン教授の考え方、「人間は自己の身体について排他的な独占権を持つ‥‥このことは、自己の身体を用いて行われる労働についても、同様に自己によって所有されることを意味する‥‥労働の自己所有のシステムにおいては、人々に他人の労働を支配する権利は認められず、労働を所有している個人が、自分がふさわしいと考える方法で、他人に対して自己の労働を支配する独占的な権利を与えるものである」というリバタリアニズムにも共鳴する。労働関係はコモンローの不法行為法、契約法で足りる。労働協約など集団的労働関係拒否権、労働者保護法の拒否権を含む思想と評価できるからである。
 アダム・スミス以前にも経済的自由主義はあった。17世紀コモンローヤーが財産所有、取引および営業、利子をとること、独占および結合から免れること、自己の意思決定、政府および法令の規制を受けない経済的自由を強く支持したのである(註1)。エドワード・コーク卿はマグナ・カルタ29条「自由人は,その同輩の合法的裁判によるか,国法によるのでなければ,逮捕,監禁され,その自由保有地,自由,もしくはその自由な習慣を奪われ,法外放置もしくは追放をうけ,またはその他いかなる方法によっても侵害されることはない」を注釈し、「自由」および「諸自由」を示すlibertates libertiesをに言及し、これらが「王国の法」「イングランド臣民の自由」「国王から臣民に与えられた諸特権(privileges)を意味するとことを明らかにし「法の支配」という憲法原理を確立したのだが、libertates libertiesの中に営業の自由を認める非解釈主義的法思想が展開された。
 なぜイギリスが逸早く18世紀後半に産業革命に到達したのか。私はウェーバーテーゼを否認しないが、一つの要因として、名誉革命期までに、いわゆる「初期独占」が完全に崩壊し、少数の私人に「独占」されていた諸産業部門を社会全体に解放していった営業の自由の確立があり、コモンロー裁判所が1563年職人規制法に当初から敵対的態度をとり、徒弟の入職規制を骨抜きにして(徒弟制度は1813/14年に廃止)労働の自由が進展した先進性を挙げてよいと思う。
 古典的法律百科事典ホールズべリの『イギリスの法』によれば「ある者が欲するときに欲するところでなんらかの適法的な営業または職業を営む権限を有するというのがコモン・ローの一般原則であって、国家の利益にとって有害である、個人の行動の自由のすべての制限に反対することは公益となるので、コモン・ローは、契約の自由に対する干渉の危険を冒してでさえも、営業に対するなんらかの干渉を猜疑的につねに注視してきたのである。その原則は『営業』ということばの通常の意味における営業の制限に限られない」(註2)としている。

 問題は営業制限の法理と労働組合の関係である。労働組合の定義として適切なのは世界で初めて労働組合を法認した英国の1871年「労働組合法」の定義である。
  「trade unionとは一時的であると恒久的であるとを問わず、労働者と使用者との関係、もしくは労働者相互の関係、または使用者相互の関係を規制し、あるいは職業もしくは事業の遂行に制限的条件を課すことを目的とし、もし本法が制定されなかったならば、その目的のひとつあるいはそれ以上が、営業を制限することにあるという理由により、不法な団結とみなされたであろうような団結、をいう」
  労働組合とはコモン・ロー上、営業制限とみなされ違法ないし不法とされかねない団結であるが、制定法によって不法性を取り除いて、法の保護を受けうる存在としたと説明されている。使用者団体もtrade unionという共通の名称のもとで法的に保護されることにより、労働力取引の団体交渉-個人交渉の排除-が、当事者の平等の原則のもとに公認したのが1871年法である。「個人の自由」から「集団の自由」への転換であり(註3)、本来の営業の自由の形骸化をもたらした。
  1875年共謀罪及び財産法では、非暴力的ストライキの刑事免責を保障し、平和的ピケッティングを合法化した。1906年労働争議法に至っては民事免責を保障、「ある人によって労働争議の企図ないし促進のためになされる行為は、それが誰かある他の人に雇用契約を破棄するよう誘導するとか、誰か他の人の営業、企業、または雇用の妨害になるとか、または誰か他の人が彼の資本あるいは労働を欲するままに処分する権利の妨害という理由だけでは起訴できない」(註4)としたもので、雇用契約違反の誘導、営業・仕事・雇用の妨害、労働の自由の妨害といったコモンロー上の不法行為であっても制定法上免責するということになっている。これはハイエクも批判しているように制定法のなかでも最も悪質なものであると考える。
 本来法は「営業=取引を制限するコンスピラシー」(conspiracy in restraint of trade)を犯罪とし、個人が自己の労働と資本を自己の欲するところにしたがって処分する完全な自由を保護するべきものであるが、制定法により営業制限の法理の実効性を否定したもので「法の支配」の崩壊を意味する。
  ただし、今日でもイギリスにおいて労働協約は法的拘束力を有さず、紳士協定にすぎないというのは、そもそも労働協約が営業の自由のコロラリーとしての個人の労働力取引の自由を侵害するものであって、違法なのである。違法であるが法律的抑圧をおこなわないというにすぎないのであって、我が国の憲法28条のように労働団体に積極的権利を付与するものではない。
 
 もっとも労働組合の何が違法であるかについては時代的変遷がある。
イギリスでは既に1304年の共謀者令において、親方間と団結、労働者間の団結を規制していた。特に労働者間の賃金引き上げの団結を刑事犯として扱っている。1349年製パン業者の使用人が従来の賃金の二倍もしくは三倍でなければ働かないとする共謀が告発された例、製靴業の使用人が自ら定めた曜日でなければ働かないとして共謀した例がある。これらの団結を規制する一連の法令が出されたが、1548年法が統合した。熟練工が一定の価格以下では仕事をしないことを共謀又は約束する場合は、刑事犯とされ、初犯は10ポンドの罰金と20日間の禁錮刑であった。又商人間の価格協定も賃金決定協定と同様に当然違法された。(註5)

 近代において最も偉大な法曹の一人とされるマンスフィールド卿の1783年のエックレス事件の傍論はよく引用される。
「起訴状に共謀を実現する手段を記述する必要はない。何故ならば犯罪は害悪を何らかの手段をもって実現する目的のもとに、共謀することにあるからである。違法な結合が犯罪の眼目である。商品を所有する者は個人として自己の欲する価格でそれを販売し得る。しかし彼等が一定価格以下では販売しないことを共謀し、合意するならば、それはコンスピラシーである。同様にあらゆる人間は自己の好む場所で労働できる。しかし一定価格以下では労働しないとして団結することは、起訴さるべき犯罪である(註6)」1796年モーベイ事件のグロース判事の傍論は「各人はその賃金を増額すべきことを主張しても差し支えない。しかし、数人がその目的により共同すれば、それは不法であって当事者は共謀罪として起訴されるかもしれない(註7)と述べた。
 労・使の個人的取引でない団結や協定は営業を制限するコンスピラシーあり違法とする論理であリ労働組合が法認される余地は全くない。18世紀には特定産業別に凡そ40の制定法で団結が禁止された。小ピット政権の1799-1800年の全般的団結禁止法は、産業別の制定法を統合したものであるが、14世紀の共謀者令より長い歴史において団結が禁止されていたのであり、これを制定法とするのは全く妥当なものであったと考える。
 アメリカでは、英国のように制定法で団結を禁止するやり方でなく、コモン・ローの刑事共謀法理を適用した。1806年のフィラデルフィアなめし靴職人組合事件で、賃金引き上げのための団結が刑事共謀罪にあたるとされた。検事は団結して賃上げをすることによって、需要供給の自然法則による賃金の決定を妨げた。賃上げのために威圧して労働者を組織に加入させ、非組合員には同一使用者の下での労働を拒否して彼らを組織に加入させることは、イギリス慣習法の罪になる。靴工の共謀のごときは、社会に有益な製造工業を妨害し、高賃金高物価を意味し、裁判所は、社会、消費者、産業、個々の労働者を保護しなければならないとしている(註8)。
 ところがイギリスでは1824年に団結禁止法がテイラーのフランシス・プレイスと急進的な国会議員ジョゼフヒュームの個人的努力であっさり廃止されてしまう。

続く

(註1)谷原修身「コモン・ローにおける反独占思想(三)」『東洋法学』38巻1号 [1994.09]
(註2)堀部政男「イギリス革命と人権」東大社会科学研究所編『基本的人権2』東京大学出版会1968所収
(註3)岡田与好「経済的自由主義とは何か-『営業の自由論争』との関連において-」『社会科学研究』東京大学社会科学研究所  37巻4号1985 
(註4)中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論》』ミネルヴァ書房(京都)1998年 143頁

(註5)谷原 修身「コモン・ローにおける反独占思想-4-」『東洋法学』38(2) [1995.03])

(註6)片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952 129頁
(註7)石田眞「イギリス団結権史に関する一考察(上)」『早稲田法学会誌』  (通号 26) [1976.03]  http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/6333
(註8)高橋保・谷口陽一「イギリス・アメリカにおける初期労働運動と共謀法理」『創価法学』35巻1号2006年
名誉革命期に営業の自由が確立

2009/12/05

入手資料整理28

9254島村修治『外国人の姓名』ぎょうせい1971
9255島村修治『世界の姓名』講談社1977
9256榊原富士子『女性と戸籍』明石書店1992
9257榊原富士子・吉岡睦子・福島瑞穂『結婚が変わる・家族が変わる-家族法・戸籍法大改正のすすめ』日本評論社1993
9258橋本芳和「元弘元年康仁親王立太子の背景Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」『政治経済史学』473・474・475号2006年
 元弘元年(元徳三年1331)九月二十八日後醍醐天皇が拠る笠置山の陥落に先立ち、九月二十日に持明院統の光厳天皇が幕府に擁立されて践祚、十月二十五日には大覚寺統から後二条天皇の皇孫で、邦良親王の皇子康仁王が親王宣下、十一月八日に皇太子に立てられた。その背景を考察したものだが菊地大樹の先行研究もある。
9259松浦千春「禅譲儀礼試論」『一関高等専門学校研究紀要』40号 2005年
9260松浦千春「王莽禅譲考」『一関高等専門学校研究紀要』42号2008年
9261劉権敏「日本古代における天命思想の受容-祥瑞思想の和風化」『哲学・思想論叢』筑波大学24号 2006年
 継体・欽明期に五経博士が渡来しており『書経』により中国の天命(受命)思想は受容され、積極的に利用された。『日本書紀』は武烈を悪帝、継体を聖帝として扱っているのがその現れである。天命思想は、為政者が善政を行えば、天はそれを嘉して祥瑞をくだすという祥瑞思想を随伴しているが、『日本書紀』では推古紀以下の諸巻に集中的に祥瑞の記事がみられる。祥瑞は聖王が天下を治める際に天が顕したもので、祥瑞思想が飛鳥・白鳳時代に鼓吹されたことは当時の政界に天命思想が深く浸透していたことを示す。
 むろん天命思想は、支配権を下す主体が「天」であるため、貴族や平民でも「天命」により支配者になる可能性から、天皇の統治形態を脅かす思想にもなりうるが、天武・持統朝に天孫降臨神話を基盤とする万世一系の思想やアキツカミ思想が宣伝され、支配権を下す主体が天つ神であると同時に、天皇は天つ神の御子であるという絶対的な血脈関係により権威付けられ、非革命の哲学を構築した。さらに和銅以後、祥瑞の主体が中国思想の「天」ではなく、日本の天つ神国つ神と皇祖神に置き換えられる変容(祥瑞思想の「和風化」)によって天命思想が万世一系の思想と共存できるようになったという。

未婚率上昇の理由についてのある占い鑑定士の見解

 「男女お互いに不平等」が幸せを呼ぶと占い鑑定士飛鳥銘のコラムがあります。 http://news.livedoor.com/article/detail/4486025/「電化製品の発達で家事のボリュームは減ったにもかかわらず、家事も育児も男女平等に負担ということになれば、結婚の意味そのものがなくなったわけです」が要点をついてますが、男に家事や育児を押しつけるフェミニズムの厚かましい思想、女性差別撤廃思想が間違いだったというのは基本的に正しいと思います。女子差別撤廃条約批准に乗じた、男女共修家庭科が諸悪の根源でしょう。

2009/12/04

水島総社長が皇統問題を語る

日本文化チャンネル桜の水島総社長は草莽全国地方議員の会とともに平成16年の有識者会議報告後11月になかのZEROホール、17年の通常国会前に日比谷野外音楽堂で、保守系論客を集めて皇室典範改悪に反対する集会を開催、デモを組織したことで、行動力のある人だとは思っていた。現在も外国人参政権などの日本解体法案阻止のための国民運動やNHK批判などを行っているが、今回「高森アイズ」というチャンネル桜の番組で、キャスターの高森明勅が持論の女系容認論を展開したことに対して、チャンネル桜はそういう立場にないことを明確にするために、12月3日の水島がキャスターの番組で皇室典範問題について意見を述べている。http://www.youtube.com/watch?v=2V1F4g7StoM&feature=channel
自分は水島のような伝統保守の人間ではないが、この問題で、女系は皇統断絶を意味すると歯切れ良く言っているのは基本的に同意、大筋においては自分も類似した意見である。疑問に思った点は、真子様、佳子様の配偶者は旧宮家が望ましいとしている点である。どういう意味で言ったかは不詳だが、私は男系の血筋の配偶者なら宮家の女性当主を認める案は絶対反対だ。宮家の当主は男性皇族であるべき。 

2009/12/03

李明博大統領、鉄道ストに対決姿勢

  李明博大統領が、鉄道労組ストで非常事態となっている鉄道公社を訪れ、スト破りの代替要員としてソウルメトロの機関士や退職者の志願者などを増やすべきだと述べた。ストライキと対決姿勢を出している。http://www.chosunonline.com/news/20091203000042 http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2009120376398
 当然私は李明博を応援する。

2009/12/02

本日は局内合理化反対決起集会

本日は18日の2時間ストを構えて全水道東水労が14時30分より都庁第2本庁舎とNSビルの間の半地下の公開空地で決起集会があり組合役員が動員に行ってくれとか、組合員に行ってました。前の職場のようらに一人1回は必ず行けとか指図はしてないようですが、この集会は当局も全面的に認めていて、もちろん監視もしません。職場離脱であるのに事実上の許可集会になってる。問題の公開空地は庁舎構内だがらやろうと思えば閉め出せるはずなのにやらない。東京都と東京都水道局の労働組合既得権保護で認めてしまっているわけです。ホームレスは追い出すが労働組合の示威行為は容認する。
 私は絶対容認しない。徹底的に糾弾し思います。

2009/12/01

本日も組合演説

14時17分ぐらいから14~15分分会長の司会でよその部所からやってきた全水道東水労配水部会の3人18日の2時間ストライキに向けて闘争課題と交渉経過を説明してました。
 八ッ場ダム建設中止請願の署名は回覧で回ってました。これは中止要請はしてませんので、既成事実化しましたが、質問書は出す予定です。

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