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2009/12/23

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(6)

○スター・チェンバー裁判所における共謀法理の進展

 スター・チェンバー裁判所の創設については1487年説があるが、不明であるというのが通説である。スター・チェンバーの評判が悪くなったのはチャーダー朝後半に国王が議会・コモンロー裁判所と対立し、国王の意に従わせる手段となってからであって、エドワード・コーク卿が「キリスト教世界にある(わが国会を除いて)最も栄誉ある裁判所」と呼んだように一般的には好意的にみられていた。

 国家の安全との平和に関する事件、名誉棄損、詐欺、文書偽造等の事件のほかに、エドワード・コーク卿が検事総長として訴追を行った名医ロペッツの女王暗殺、ウォーター・ローリー卿の国王暗殺、1600年のエセックス伯、サウザンプトン伯の訴追等の共謀事件をはじめとしておいて多くのコンスピラシーに関する事件を処理したが(*5)、理論的に重要なのは1611年の家禽商事件Poulterers Case(ボールタース事件)である。この判決でコンスピラシー法理の核心は害意をもって約束または結合することにあると次のように述べた。
  「犯罪は訴状が送付する以前に完成される。それゆえ、コンスピラシー罪を犯そうとする単なる結合行為も処罰しうる。その理由は犯罪の重点は犯罪意思にあるからで、ある行為の遂行過程で犯罪意思が示されぬ限り、その行為は処罰されないけれども 、コンスピラシーの場合はそれが表明されているからである。」(*6)
 このように共謀法理を理解すれば、不法な目的をもったあらゆる種類の結合を処罰できることとなり、犯罪行為が行われたかどうかは問題にされず、悪い心を持っているかどうかが問題とされる(*5)。つまりスター・チェンバーの法理では、外顕行為としての合意、または結合は害意の存在を推定する有力な証拠となる。
 
○コモン・ロー裁判所によるコンスピラシー法理の継受

  スター・チェンバー裁判所は内乱期の1640の制定法により翌年廃止されたが、そこで運用されていた法律はコモン・ロー裁判所に継受された。
   コンスピラシーは処罰対象を厳密には犯罪・不法行為ではない非道徳行為に拡大していった。17世紀のコモン・ロー刑法の特徴は公共倫理の保護であるといわれる。1664年にセドリ卿は、「当裁判所は国王の全臣民の倫理法廷(custus morm)である」と述べてスター・チェンバーの解釈を踏襲した。(*5)
1665年のR.v.Starling事件はビール醸造業者らが、消費税の収税請負人を困窮させ、収税を妨害する共謀をなしたという理由で告発されたものだが、キングス・ベンチは消費税が国王の歳入の一部であり、その収税請負人を困窮されることは、国王に収入をもたらすことを不可能にさせることになると認定し、三人の判事は、国王の歳入減少をもたらす行為をを共謀したことは、何らの行為がされずとも有罪として罰金を課した。(*6)

  いわば、収税請負人を共謀していじめたケースであるが公共倫理の危害とみなされている。害意(malice)は中世の法理の場合のように、重罪を目的とするだけに限られない。全ての犯罪、不法行為、大衆にもかなりの影響を受ける契約違反、善良な風俗を紊乱し、または大衆に危害を及ぼすことを目的とすることであると考えられた。
 公共倫理の危害のケースの代表的な判例は 1763年のデラヴァル事件(Delaval Caseは)である。音楽家が女弟子を音楽の修行のために自己の指定した家に住まわせるのであるが、その家主のフランシス卿との間に別の契約があり、そこで売春をさせた収益が音楽家に分配されることになっていた。この判決でマンスフィールド卿は「当裁判所は国民の倫理法廷であり、善良な道徳(bornos morum)に反する犯罪の監督権を持っている」と述べ、不道徳な徒弟契約を結んだことによりコンスピラシーが成立すると判示した。(*5)

   同様の判決として1780年のヤング事件があり、感化院の官吏が死体の埋葬を妨害する共謀がコンスピラシーに該るとされた。
  マンスフィールド卿は1774年のJones v.Randall事件でも傍論でも「善良な風俗および節操に反するものは何であれ、全て我国の法原理が禁止する者であり、国民の善良な風習の一般的検閲官であり、かつ国王の裁判所は、それを規制し、処罰する義務を負う」と  述べている。(*5)
  中西洋は「コンスピラシーの法理はイギリス社会が各人の自主的な善意の連帯をひろく自由〉にゆだねたことの反面でもあった。第3者を害することを意図しない人々の放任はイギリス社会の特性だったのである」。(*7)と述べているが、自由な社会であるからこそ第三者を害する結合を敵視し、善良な道徳の維持のため監督が必要なのである。



5田島裕「コンスピラシー法理の研究-2-スター・チェンバーによるその法理の利用 」『 法学雑誌 』 25(1) [1978.09]
6石井宣和「「営業の自由」とコンスピラシー」高柳信一,藤田勇編『資本主義法の形成と展開. 2 』東京大学出版会1972
7中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論》』ミネルヴァ書房1998年 66

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