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2010/01/05

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(12)

営業制限の法理、共謀法理に正反対するマカロックのばかげた団結禁止法廃止論

 団結禁止法撤廃に経済理論を提供したのが経済学者マカロックの団結放任論だった。それは暴力的手段による個人の自由を基準とする任意の団結Voiuntary combinationsとの峻別である。
 1824年の『エディンバラ評論』でこのように云う。「暴力的手段による、すなわち、他人に対して、自らの欲する賃金率で働くことを強制的に妨害しようとする一群の人々による団結拡張の一切の試みが、適当な処罰によって直ちに抑圧されるべきであるということは、一瞬たりとも疑義ないし躊躇を許すものではない。しかし、隣人の業務を暴力的に妨害する労働者の行為を防止するための干渉と、彼ら自身の間で形成する任意の合意を抑圧するための干渉との間には著しい差がある。前者は明白かつ直接的な平和の破壊であり、後者は、すべてのひとが生まれながらに与えられている自由の行使にすぎないように思われる。任意の団結の究極の結果がいかなるものであれ、多くの諸個人が一定の価格以下では彼らの労働を売らないし、また一日当り一定時間以上働かないと合意することには、不正もしくは不道徳なものは何もない‥‥」さらに「労働者が、労働の販売の条件を相互に協定することを妨げられているかぎり、彼らは自己の欲する仕方で労働を処分すことを許されていると主張することは、明らかに誤りである‥‥」(*20 96頁)と述べ、任意的団結の抑制は権利の侵害と述べている。
 暴力や強制でない限り任意の団結は害悪ではないという主張だが、労働者の実態をとらえていない非常に甘い考え方であると思える。
 例えば後にハスキスンが1824年法を修正するための、1825年3月29日特別調査委員会設置提案で述べている団結の実態とは、(1)雇用主に対しその事業を指揮する方法を命令する。(2)雇用主が徒弟を雇用すべきか否かを指示する。(3)労働することに対する個人の遺志を妨げる(4)各労働者は同じ賃金支払いを受けるべきという原則を押しつける。(5)自分たちの定めた条件に従わない労働者に重い罰金を支払わせるということである。つまり団結とは事業経営の干渉し、個々の労働者の契約の自由補を犯し、各個人に干渉することを常としているものであるという指摘にあるとおりである。(*18)
 重大なことはマカロックの主張は、コモン・ローの営業制限の法理、共謀法理と敵対する正反対の主張であるということである。すなわちイギリス法における「営業の自由」の原則とは、ホールズベリーの『イギリス法』第三版第38巻によれば「ひとは欲するところに従い、また欲する場所で適法な営業または職業を営む権利をもつ、というのが、コモン・ローの一般原則であって、コモン・ローは、つねに契約の自由に対する干渉の危険を冒してでも、営業に対する干渉がおこなわれることがないよう注意してきた。というのは個人の営業の自由の制限はすべて国家の利益にとって有害なものであるがゆえに、それらに反対することが公序であるからである」
 「営業を制限する合意」について『イギリス法』は次のように分類する。(1)営業の売手と買手の合意(2)共同出資者の合意(3)使用者と雇用者の合意(4)競争の排除・縮減、算出量の規制等々を目的とする独立の営業者あるいは営業者群の合意(5)雇用者たちに対する統一行動を目的とする使用者相互の合意(6)使用者たちに対する統一行動を目的とする雇用者相互の合意、である。カルテル協定、使用者団体、労働組合等における加盟者自身の自由の制限などを「営業制限」と云うのである。(*20 57頁以下)
コモン・ローの「営業制限の法理」は個人の自由と団結に無条件の敵対関係を設定したものであり岡田与好は「18世紀的自由主義」と呼ぶが、マカロックの主張は団結が-任意のものである限り-財産の自由を根幹とする個人の自由と原理的には対立しないという思想で、J.S.ミルも同じ考えを示しているが、団結の諸結果に対して無責任な甘い考えだと私は思う。
 
 マカロックが、団結禁止法撤廃後に楽観的な見通しを持っていた論拠として「賃金基金説」がある。これは賃金とは労働者の数と、賃金支払いに当てられる資本(基金)の量で決まるという単純な学説である。
 労働者の賃金の増大する場合は(1)労働者一定であるとすれば資本(基金)が増大する場か、むもしくは(2)資本が一定であるとすけば労働者が減少する場合、その逆が賃金が減少する場合だと云う。
 そして賃金は市場の自由な競争によって調整されるべきであり立法府による支配をうけるべきでないという自由放任の主張を述べ、労働者の賃金が適正な賃金率より低い場合は適正水準まで団結により引き上げることは可能としつつ、一方でストライキを行えば、賃金の低い関連産業部門の労働者が職に就き、スト参加者は職を失うか、以前より低い仕事に就かざるをえなくなるから、団結は意味を失うと云うのである。(*18)
 以上の見解は、任意の団結なので適正水準以上に賃金を引き上げることによりストは敗北するという前提に立っているが、現実はそのようなものではありえない。ストにより適正水準以上のべらぼうな賃上げも何回もあった。イギリスの組合がクローズドショップで労働市場を支配し、ピケットやスト破りを閉じこめるなどしてスト破りに就業させない妨害をしたり、経営者と労働組合がなれ合いで、スト参加者を解雇せず、継続雇用するような慣行二次的争議行為、二次的ボイコットやゼネストなどによって社会が混乱する事態を想定できなかったのだろうか。団結が生産工程を支配し、労働量を規制することにより生産性を低下させることなども計算に入れていないマカロックなど団結放任論者の考えはあまりにも甘い空想に過ぎなかったのである。

*18武内 達子「団結に関する〔英国〕1825年法制定の経過」『愛知県立大学外国語学部紀要. 地域研究・関連諸科学編』(通号 4) [1969.12.]
*20岡田与好『経済的自由主義-資本主義と自由-』東京大学出版会1987

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