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2010/02/21

団結否認権の確立Right to Work lawが必要だ 下書き1-(23)

人類史上最悪最凶の制定法の一つ-1875年共謀罪・財産保護法(刑事免責による争議権の容認)の制定

 1872年R v.Bunn事件はベクトンガス工場の火夫が労働組合を結成、賃上げ・労働時間短縮を要求したが、他のガス工場に波及し労働時間の短縮に成功した。しかし使用者は一指導者を解雇してこれに報復したため、労働者側は復職を要求してゼネストに発展、数十名が主従法違反で投獄されたが、さらに使用者側が1871年刑事修正法に基づいて指導者6名が禁錮刑に処せられたもので、
ブレット判事は「不当な妨害improper molestation」を根拠に刑事修正法の但書における免責(下記)

(a)使用者を強制して労働者を解雇させもしくは雇用を中止させること、または労働者をして仕事を離れしめもしくは完了前に仕事を中断せしめること。
(b)使用者を強制して雇用もしくは仕事を提供せしめず、または労働者を強制してそれを受けせしめないこと。
(c)使用者または労働者を強制して、一時的もしくは永続的な団体または団結に加入させ、加入せしめないこと。
(d)使用者または労働者を強制して、一時的もしくは永続的な団体または団結によって課される罰金・違約金を払わせしめること。
(e)使用者を強制して事業をなす方式またはその雇用する労働者の人数・種類を変更せしめること。
 右(a)ないし(e)の目的をもって(1)ないし(3)の行為をなした者は、三月以下の禁錮に処せられる。

 但し(1)ないし(3)の行為を(a)ないし(e)にいう強制の目的をもってなさない限り、その行為が取引の自由を害しまたは害する傾向を有するとの理由によりそれをなし共謀したことに対しいかなる処罰も受けない。

を否定した。「不当な意図をもってなされる行為つまり、不当ないやがらせや使用者の業務行為の妨害であって、通常の神経の持主である使用者ならば思いとどまらせるほどのものと陪審が判断に足る行為」は「不当な妨害」でありコンスピラシーをせい構成するとした。ブレット判事によれば不当な脅迫-例えば一斉に契約違反をなす旨の脅迫-によって使用者の意思に反して業務を行わせしめるよう強制することは刑事共謀を構成するとした。【*6 220頁】この事件は営業制限以外の理由でコンスピラシーを構成した事件であった。

ベクトンガス工場事件は組織労働者を怒らせ、1872年ノッチンガム、1873年リーズ、1874年シェフィールドでTUCの大会がもたれ主従法廃止。刑事修正法廃止立法闘争が盛り上がった。総選挙の時が近付くにつれて2大政党に対する圧力は増した。議員候補者に対する質問表が準備され,そこには労働者の法律上の要求が具体的に乗っていた。どの候補者もその答えが満足のいくものでなければ,労働組合の支援が受けられないことが明白にされていた。ウェッブによるとこの時期に労働運動は最高潮に達したという。
1874年総選挙は自由党が敗北し、保守党が勝利したが、組織労働者が自由党に反対した結果とみられている。保守党内相リチャード・アシュトン・クロスは,総選挙の時に議会委員会がつき付けた質問表に対して,労働組合に好意的な回答を寄せていた。【*31】

刑事修正法と主従法は、労働者の票を獲得することに汲々としていたベンジャミン・ディズレーリ 内閣の保守党政権で廃止され、雇傭契約破棄を犯罪から解放して、民事訴訟に限定し、争議権を「特別な」権利として容認する世界で初の立法がされた。1875年共謀罪・財産保護法(Conspiracy and protection of property Act)である。私は人類史上最悪最凶の立法の一つと評価する。

同法第3条は「2人あるいはそれ以上の人々が雇主たちと労働者たちとの間の労働争議を企図し促進しようとして行い、または行おうとして結んだ協定ないし団結は、もしそうした行為が1人でなされたとき犯罪として罪せられるのでなければ、コンスピラシーとして起訴しえない」と明定することよりコンスピラシーの法理を排除した。また、「暴力(Violens)」「脅迫(threats or intimidation)」「妨害(molestation or obstruction))といった抽象的な諸規定をあらためて、 5つの具体的な行為類型として記述するかたちで、実質的に平和的ピケッティングの除去しようとした。 【*7 142頁以下】よって非暴力的ストライキの刑事免責を保障したものとされている。
労働組合の大衆運動、ロビー活動に票ほしさに応えた保守党政権によってなされた。制定法による事実上の判例法の無効化なのだが、法の支配から、政治の支配への転換により、争議権という市民法原理に反するものを生み出したのであるから、法的正義では全くない。

(主従法については既に1868年に廃止され、雇傭はマスターとサーバントでなく、使用者-被用者という概念にされたが、主従法の原型である1563年が最終的に廃止されたのが1875年である。-なお問題を争議権に絞りたいので主従法の問題は略す)。
 
  具体的にどのようにピケッティングを許容していたかについて検討する。片岡曻(*6 227頁以下)が同法第7条を分析している。
  片岡によると共謀罪・財産保護法第7条はthreats,molestation , obstructionの三つの使用を止めた。そして、暴力・脅迫(intimidation)・しつように不穏な尾行・器具・衣類の隠匿・監視包囲を禁止する規定のみをおいた。すなわち
  何人も他人を強制して、その者が行為をなす権利を有することにつきこれをおこなわしめないこと。またはその者がある行為をなさない権利を有するにつきこれを行わしめることにつき、を目的として「不法にかつ法律上の権限をなくして」以下の行為を行うこと。
(1)その者または妻子に暴力を加え、脅迫し、またはその財産に損害を与え、脅迫し、またはその財産に損害を与えること。
(2)至る所しつようにその者を尾行すること。
(3)その者の所有しもしくは使用する器具・衣類その他の財産を隠匿し、または奪取し、またはその使用を妨げること。
(4)その者が居住し、労働し、事業を行いもしくは偶然居合せた家屋その他の場所またはそれへの通路を監視または包囲すること。
(5)二人または二人以上の者とともに街路もしくは道路において不穏な状態でその者を尾行すること。
 以上の行為をなす者は略式手続により二十ポンド以下の罰金または禁錮。

 (上記の規定は個人の行為に関するもので、団結してこれを行えばコンスピラシーとして普通法により起訴される。)
 平和的ピケッティングを合法化というのは第七条の次の但書であった。「単に情報を授受する目的で他人の居住し、労働し、事業を行いもしくは偶然居合わせた家屋その他の場所またはそれらの通路に待機する(ateend)」ことは「監視・包囲」とみなさないとしたのである。労働組合がピケッティングの合法化を求めたのは、当時は組織統制力の働かない場合も少なくなく、代替要員(スト破り)や非組合員の就労を阻止できなければ、労働組合が勝利できないためである。
 
 それでも裁判所は平和的ピケッティングを違法とした。

 1875年共謀罪・財産保護法は平和的ピケッティングの合法化を企図したが、そうはならなかった。第7条がピケッティングを「単に情報を授受する目的」と規定したことが致命的だった。
 1876年のR.V.Bauld判決は、1875年共謀罪・財産保護法が情報の授受以外に何事も規定しておらず、平和的に他人を説得してストライキに加入せいめるためのピケッティングは犯罪と判示した。【*6 229頁】
 従って1875年法は労働争議を共謀罪から解放したが、平和的ピケッティングを合法化できなかった。この点について秋田成就は次のように説明する。
 「‥‥ピケットに対して厳格な態度をとったのはかかる行為の反社会性ゆのりは契約自由を労働者相互の間に貫徹させようという意図と思はれる。即ち労働争議に於ける組合を共謀罪から解放したことは既にそれが「資本」と組合と団体的交渉の中に契約自由を認められたことを意味するが、他面で、団体の内的拘束に対してはどこまでも個人の行動の自由を貫徹させようとしてピケットを制限するという事は市民法理論の真髄と矛盾を典型的に現している【*32】」つまり、裁判所は個人的自由を擁護する。それが市民法原理の真髄だからであるということだ。
 結局、イギリスにおいて平和的ピケッティングが合法化されるのは1906年の労働争議法においてである。
 
 
*6片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952
*7中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論》』ミネルヴァ書房(京都)1998年 143頁*31美馬孝人「イギリス・ヴィクトリア期における労働組合の受容について」『季刊北海学園大学経済論集』54(2)2006年[ネット公開論文]http://ci.nii.ac.jp/naid/110006406088/
*32秋田成就「イギリスにおける争議権」『季刊労働法』5(1)1955年

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