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2010/04/20

カード 古賀昭典「米国州労仂法と団結強制 Right‐to‐Work Lawsをめぐって」

『九州工業大学研究報告. 人文・社会科学』7号1959http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN00054120/ISS0000040659_ja.html

 労働権法に関する論文、1959年と古いが、ネットで公開されている。

 著者は端的に次のように説明する。「合衆国でright-to-workという言葉は,通常,労働組合の組合員であると否とにかかわりなく働く権利,あるいはまたストライキもしくは類似の争議行為中に・組合の干渉を受けることなく働く権利という極めて限定された意味で用いられてきたのであった。」
 つまり労働基本権とは逆であって、団結強制に反対する反労働組合主義をright-to-workというのである。
 もっとも反団結という本当の意味でのright-to-workを確立するためには、1932年ノリス・ラガーディア法、1935年全国労使関係法を否定し、1920年代以前の在り方に戻すことである。したがって、全国労使関係法を前提とするともう少し狭い意味でright-to-work
が用いられている。つまり組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を否定する州法のことである。南部を中心とする23州とグァム島であるで適用されている。
 合衆国ではニューディール政策で1935年のワグナー法により民間労働者の団結権と代表者による団体交渉権を保障し、不当解雇、御用組合、差別待遇を禁じた。 また雇用主による不当労働行為の禁止を規定した。1942年に設置された全国戦時労働委員会は、戦争協力のため労働組合にストライキを放棄させる一方、労働協約締結期間中の組合離脱を禁止し、それを保障するためのチェックオフを導入した。組合の組織維持と拡大は容易になり、労働組合員は1941年の1020万人から、1945年の1432万人に増加し、アメリカの産業別組合は、ニューディール立法で存立基盤を与えられ、戦時中の労働組合保護政策によりその地位を確立させたのである。1947年のタフトハートレー法 は強くなりすぎた労働組合の権力を削ぐための ワグナー法の修正であリ、全米製造業者協会、共和党、南部民主党により推進され、トルーマン大統領の拒否権発動を覆して成立した。タフト・ハートレー法はクローズドショップを否定、ユニオンショップ協定の内容に制限を加えつつも、組合を承認された職場で協約適用労働者に組合加入、団体行動の支持いかんにかかわらず、組合費の徴収は認めているのである。しかしながら一方でタフトハートレー法はセクション14(b)によって、雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止することを州の権限として認めた。
 セクション14(b)に基づく州立法のことである。(つづく)

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