11月10日9時半ごろ東京都水道局長ほか幹部職員などに送ったメールと、そのリアクションについて書きます。
東京都水道局のストでは管理職は自由に出入りさせ、管理職で窓口対応をやらせることになっている。また監理団体の職員も同じ庁舎で働いていて、そちらはストをやらないので出入りする。ピケットはスト脱落者を出させないためだけであり、管理職がやる代替業務を妨害することはやってない。組合員と非組合員の団結強制という締め付けにもっとも力点が置かれている。時限ストなので一口でいえば昔の出勤簿、今のカードリーダーをとおさせないことに力点が置かれている。たいへん内向きなので陰険なのである。
上司の営業所長は、昨日、あなたは社会人として常識がないとか組織人としての自覚にかけていると暴言を吐かれた。どこが常識に反するのかという質問しても答えない。幹部に直接メールすることは許せないと非常に官僚主義的な答えである。苦情処理機関はあるが基本的に労使協議事項は回答されないことになっているから意味がないのにもかかわらずである。 勤務時間中に送信したので職務専念義務違反だとも言われた。
本日は愉快犯と暴言を吐かれた。私が悪者扱いである。
明日、都労連のストライキが1時間予定されているので、分会書記長に執務室には入れませんとピケの通告があった。
私の職場は通用門が大変狭く、しかも門扉がついているのでその中に人が埋まると、擦れ合いになるのは確実なので、作為命令要求についてどうなのかきいたが、読む必要もないし、読んでいない。その理由はメールによる苦情はだめだと。
構内でのピケ等の禁止命令はやはり出さないということかときいたら、示達を庁内放送でやっているからそれで十分だとの答えであるが、これは命令ではない(「上司の承認なく職務を放棄、また職場を離れるなどの行為については、業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼を大きく裏切ることになります。職員のみなさんには、全体の奉仕者として、公共の利益のために全力を挙げて職務を遂行すること、また、公務員としての本分を十分にわきまえ、都民の批判を見招くことがないよう、良識のある判断に立って行動をとられることを望みます。」)、一応違法行為たからたんに形式的なアリバイづくりをしているだけのものにすぎない。構内の示威行為や集会、ピケをやめろとは言ってない。つまり管理職は何もしないのである。構内から出せないのかときいたら構内から出すことがかえって問題になるとの答え。 ところが、そのあと来客用入り口はピケをさせない、通用門の内側だけでやると答えていたことからすると、組合とのあいだで通用門のピケを認め、来客入り口はやらないとの協議ができている心証を得た。
ピケの状況はみないのかといったら、8時半まえにみるだけだと答え、窓口にはりつかなければならないので、もみあいを仲裁するようなことはできないということだった。
禁止命令を出してない以上、また所長がピケを通過するなとスト側に荷担している以上、もみあいになる可能性が高い。殴り合いになってもこれは労働者対労働者の抗争だから、殴り合いの相手から訴えられることはあっても、局は部外者だから懲罰はできないですねと言ったら、構内なら局が干与する。けんか両成敗になるなどといい、管理職に非はない。構内だったら懲罰すると脅した 構内の行為を禁止命令もせず、やりたいままにやらせて、ピケを通過させないというのはストに屈服しなさいといっているのも同然だから、ある意味では管理職が挑発しているわけで、示達をやっているからこちらには責任はないとの超無責任発言である。
賃金確定だから組合にがんばってもらいたいともスト支援の言動もあった。
今回も「事故扱いにする」と明言し、カードリーダーは絶対にとおさせない姿勢である。明らかに管理職がスト側にたっているのである。
そんなにストが嫌いなら休めばいいじゃないかとも言った。暴言である。本日も3割動員集会があったが、こういう日は人員が少ない日は休んではいけないこと教育されてきたし、実は10月にCT検査を受けたら、狭心症で一番重要な冠動脈が一本詰まっているとのことで、11月下旬にカテーテル検査入院と多分、風船治療をやることになる。大きな手術ではないのでたいしたことはないが、入院は早いほうがせいいとせかされていたが、10月は重要に仕事があったのと、ノー超勤ウィークがあったので仕事がたまったので休めず、11月の半ばまでは争議行為とスト、自己申告などがあるので休めないため、わざわざ、忠誠心からストまでは絶対休めないと思って、下旬に入院にすることにしたのにそういうのは暴言なのである。人がいなくてむ一番困っているときこそ協力してやる。いざ鎌倉とはせさんじるのは当然であって、その意味すら理解できない人なのである。
今回もピケを通過するなと言った。ピケラインを越えるなというのは組合の指令そのものであって、管理職は禁句であるという認識はさらさらないという感じだった。またピケを破るとあなたにとって他の職員の関係で悪いことになりますよと圧力さえかけてきたのである。またストは基本的に賃金カットですむ問題という軽い認識も述べていた。
水道局長あてのメールをコピーすると以下のとおりである。なお、固有名詞の一部と微妙な問題、業務運営上部外者が知られることが好ましくない事柄については省略します。
東京都水道局長へ
川西正彦
突然のメールですが深刻かつ切実な事柄なのでお許しください。意見はたくさあるが、さしあたり、11月12日に都労連のストライキが予定されているので、スト実施時当日の出勤にしぼり、下記の作為命令を要求する。
昨年私に対してなされた○○営業所長(○○)へのストライキ参加誘導、事実上ピケラインを越えさせない命令、管理職による就労申し出者の登庁締め出し(ロックアウト)の方針は違法行為であり、私の就労する権利の不当侵害であり、なによりも局長の示達に反するのでやめさせ、ストライキ実行者による構内の示威行為、集会、器物持ち込み、通行妨害を排除し、就労申し出者にはカード-リーダーを通して通常勤務することができるよう最善の措置をとるべきとす作為命令発出の要求。(及び作為命令に関する仕事の不作為、従わない場合の総務部長(庁舎管理統括者)、職員部長(労務管理統括者)、○○営業所長の解雇を含む懲罰要求)
次の作為命令を局長が総務部長、職員部長、○○営業所長に出すよう要求する
1 従来、管理職が非組合員や新入社員に対し、ストライキ実施時に庁舎内の立ち入りを禁止し、戸外で待機させたり、ピケを横断して入庁をさせない命令を出すなどのあしき慣行があるが、これを是正するために、局の方針として非組合員にはピケラインや組合の指令を尊重する義務はなく、組合にも統制権はなく、威嚇や誘導によってスト参加を強要させないことを基本方針として示すこと。(組合員にも同じ方針であるべきだがさしあたり上記を要求する)
2 局の方針として就労申し出者に対し、ストライキ参加に誘導するピケライン尊重等の命令をさせないこと。事故扱いを前提としての登庁締め出しを命令してはいけないとの命令は、職員の就労する権利と団体行動に参加しない権利を侵害するものとして認めないこと。
3 局の庁内管理、施設管理の基本方針として企業秩序を定立し職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保することを示し、ストライキ当日、構内でのピケ、集会、示威行為、拡声器・横断幕・幟・旗の持ち込み、ゼッケン、はちまきの着用等については秩序維持と混乱を防ぐために適宜、解散命令、禁止命令を発出し、従わない者を処罰する方針を示すこと。
4 就労申し出者の8時30分以前の締め出しはしないこと。通常どおり、就業時間前にカードリーダ-通すことを指示し、ピケを理由とする事故扱いは事実上のピケラインを越えないスト支援になるので認めないこと。つまりピケラインを通過しない職員は賃金カットの方針とすること。
5 組合が実力行使の構えである場合でも、ピケ通過を認めない命令により、もみ合いを回避するようなことはしないこと。(中略)就労の権利が正当であり就労妨害が不当なのであるからその逆の対応は許さないこと。
6 (省略)。
7 庁内管理規則で「正常な通行を妨げること」の解釈をピケッティングとの関係で示すこと。具体的にどのようなケースが通行妨害か。
8 過去の例でせっかく、組合の悪罵を脅迫をふりきって就労しているのに、組合との取り決めで仕事をさせないように命令したり、組合を刺激するので窓口業務を行うなと指示されたことがあり○○営業所長も当然だと言っているが、このような事実上の就労停止命令はさせないこと。
以下作為命令が必要な理由を説明する。
過去に東京都水道局でストライキに遭遇したことが6~7回はあるが、私はストに反対であり組合の統制に入らない非組合員であるのですべて、パトロール隊によって集団で取り囲まれ悪罵を浴びせられたり、脅し威嚇、や「スト破り」等の暴言を受けているがピケラインを越えて就労している。
ところが管理職がストに参加するために、スト破りの職員に出勤停止を命じたり、ピケライン尊重の義務を命令するようなことを行っているが、職権の濫用である。ストに反対する非組合員に敵対的・虐待的な職場環境を作り出し、職員にストレスを与えるものであり、看過できない。職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保する庁舎管理者の義務も放棄しており管理職にふさわしくない。
○○営業所では次の2点で特に不安がある。
第一に所長がピケラインを越えないよう指示をしたことである。
昨年、ストに参加せず就労することを所長に申し出たところ、労働組合と協議したうえ指示する。ピケを張るので入れない。事故扱いを前提として出勤禁止を指示する等、就労申し出者を庁内から締め出すことを明確に示し、カードリーダーをとおさせないことを事実上命令した。具体的にはピケを通過して庁内に入ることはいけないとし、構内に入る前に、携帯等に連絡して、所長の指示(事故扱いを前提としてピケラインを通過しない)に従うよう命令した。こういうやり方は初めてである。ストライキ時の研修所出勤時通達文書で組織的対応で事故扱いにするやり方は知ってはいたが、事故扱いにするのは、事実上通行妨害を容認し組合に有利なものでストを間接的に認めるので承伏できない。組合の意向に従わないことを理由とする事実上の出勤停止処分でそのような権限は上司にはなく、私の就労する権利の著しい侵害である。なによりも職務を放棄、また職場を離れるなどの行為については、業務の正常な運営に支障を生じさせるばかりでなく、都民の信頼を大きく裏切ることになります云々という局長示達に反する指示であるから局長の指示に従わない不服従行為でもある。
また所長は庁内管理規則の「正常な通行を妨げること」の禁止の解釈について尋ねたところ公定解釈はない。個人的にはピケは含まない、職員の通行妨害ではなく、来客を対象とするものとするなど、明らかにストライキ支援の姿勢である。というより、所長が就労の権利のある正規の職員の正常な通行を妨げる言動を行っていることじたい管理規則違反ではないか。またストライキ時には上司より、組合の構内での集会、示威行為、ピケの締め出し、旗や横断幕等の持ち込み等の取締について指示は何もないからなにもしない。組合のなすままだとの見解を明らかにした。(以下略)
第二に不安な点は(省略)
翻ってわが国のピケッティングをめぐる状況は、労働省がピケ通達(〈労働関係における不法な実力の行使の防止について〉1954年11月6日)を出して、平和的説得の範囲を越えるピケは違法であると警告していたが、プロレーバー労働法学者が猛反発して英米の平和的説得論は労働者側を敗北させる理論として、実力阻止を認める、説得のため実力阻止を認める、説得の限界を超えたスクラムなどの防衛を認める、階級的団結として強制力を認める等々の非情に悪質な学説が流布された結果、非常に労働組合に有利な解釈が説かれることが多い。 戦後労働法学批判が十分なされていないことに問題がある。強い懸念がある。
(中略)ひたすら、私をロックアウトしようとしていることが本末転倒だといわなければならない。締め出されるべきはピケ隊や組合の集会、示威行為であり、秩序維持とは全く逆の対応といわなければならない。
いずれにせよ、民主党政権が労働基本権付与の方針でも、現在は、国公法第98条、地公法第37条、公労法第17条、地公労法11条が争議行為を全面的に禁止している以上、ピケ行為が平穏かつ節度を守って行われても、その争議行為は違法性を有すると一般的には解釈されている。仮に、集団的労家提供停止としてのスト権が認められたとしても、他人の就労の権利を侵害する行為、就労妨害ピケット権は別個の問題と考えるべきである。
労働組合と同様に管理職がスト破りを認めない、非組合員や就労申し出者もスト参加に誘導している東京都水道局は悪質だといわなければならず、私を出勤停止にする正当な理由はなく、重大な権利侵害であるから、そのような命令を出す管理職は悪質なので解雇が妥当である。
また作為命令要求に関して次の理由も追加する。
まず地方公務員法52条2項において、職員に組合に加入しない自由を保障しており、団体に加入していない非組合員である私は、労働組合のストライキ指令の統制機能に従う理由はない。 にもかかわらず○○営業所長は職員は全員でストに参加しなければならないとしているが、全く不当である。
市民法上の団体には認められない強度の組織強制手段であるユニオンショップ制のように行動しなければならない根拠は全くない。またわが国ではユ・シ協定というが認められているから消極的団結自由は否定されているという見解もあるが不当なものである。プロレイバー学者でさえ、団結権が市民的自由に優越することに否定的何見解がある(林和彦「ショップ条項」現労6 1981 )
欧米先進国では消極的団結自由やスト(団体行動)に参加しない権利を明文化している。(わが国では外国のように労働協約改定期の長期ストをやることが少ないため、これまであまり議論されていないも事柄だが、来年通常国会での労働基本権付与法案提出が政治日程となっている以上、長期ストを想定とした対策という観点からも立法化が望ましいとあると考え、この後、私が議員に提案する予定である)。
合衆国では1947年タフト・ハートレー法が民間企業の団体交渉権を認めた1935年ワグナー法の「団結する権利、労働団体を結成・加入・支援する権利、自ら選んだ代表者を通じて団体交渉を行う権利、および、団体交渉またはその他の相互扶助ないし相互保護のために、その他の団体行動を行う権利」に対し、「それらの行動のいずれかを、またはいずれも行わない権利を有する」(7条) と定め消極的団結権、団体行動を行わない権利を労働者に付与し、強要すれば不当労働行為となる。
英国では、1988年雇用法において1984年労組法および88年雇用法のの規定している厳しい投票実施要件を適正にクリヤーして多数の賛成を取得し、ストに入ろうとするとき、そのストに参加することを拒否する組合員がいても、彼らを統制違反として制裁の対象としてはいけないとした。この立法の思想は、それに参加するか、しないかの決定権は労働組合によりも組合員にあると考えるべきである。つまり労働組合の団結する権利よりも個人の自由な決定権が優越的価値をもつものだというもので、団結とは個人の権利の総和であるとの考え方による。(渡辺章「イギリスの労働法制とその変遷(講苑)」『中央労働時報』804号 1990 )
ピケッティングはコモンロー上不法行為を構成するが一定の範囲で免責される。大量動員ピケッティング、その職場でない者の参加等を禁止しており、行為準則において出入口6人以下とし「平和的に情報を得または伝播し人を説得することは、合法的ピケッティングの唯一の目的である。例えば、暴力的、脅迫的、妨害的行為を伴うピケッティングは違法である。ピケッティング参加者はできるだけ説得的に自己の行為について説明しなければならない。他の者を説明を聞くようににおしとどめ、強制し、自分達が求めている通り行動するよう要求してはなない。人がどうしてもピケットラインを越えようとする場合には、それを認めなければならない。」(小島弘信「海外労働事情 イギリス 雇用法の成立とその周辺-二つの行為準則と労働界の反応を中心として」『日本労働協会雑誌』22巻11号 1980.11)と規定し、非組合員であれ、組合員であれピケラインを越える自由を明文化している。違法ピケットは差止請求と損害賠償請求ができ、大量動員ピケや「脅し」(intimidation)や契約違反誘因(Inducement)の存在が有る場合に警察介入、差止命令の対象となることは1984年の炭鉱スト以来確立している。
フランスにおいても消極的団結自由は認められてるし、ドイツはナチスの組織強制の反省から、消極的団結自由は当然のものとされている。
わが国でも、労使関係の先進化のために消極的団結自由の権利を明文化したタフト・ハートレー法型立法が望まれる。
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