公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2010/11/29

公務員に争議権付与カウンターレポート下書き-アメリカ合衆国・オーストラリアとの比較法制(2)

 第1回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-d339.html
 
連邦公務員はスト参加で解雇される(2)

 A マッカーサー書簡-政令201号による政策転換とは、アメリカ本国では公務員に団体交渉権も争議権も付与してないのに、それを行った急進的な占領政策を、アメリカ的な政策に戻したもの

日本の戦前の官吏、待遇官吏、吏員はドイツ公法の考え方と同じ、公法上の勤務関係、特別権力関係にあると考えられ、官吏服務規律第一条は天皇陛下及び天皇陛下の政府に対し忠順勤勉を主とし、法令命令に従いその職務に奉仕する旨規定し、私法上の契約雇用関係ではなく、官吏の俸給は労働の対価ではなく、「天皇の官吏」として社会的体面を保つにふさわしい身分給として、高等官は年俸、判任官は月俸、俸給表は天皇大権により勅令により、枢密院の諮詢事項として扱われ、官吏の待遇にかかわる勅令は法制局が、予算は大蔵省が所管した。天皇大権事項だから団体交渉などありえないし、争議行為などは無条件に否定される。〔*1〕
 しかし終戦直後の官公労働はきわめて異常な無秩序、混乱に陥った。〔*2〕その要因は総司令部経済科学局労働課の指導により、新憲法施行前に逸早く昭和21年3月1日から労働組合法が、21年10月13日から労働組合調整法が施行され、官吏は労働組合法が一部の例外を除いて適用され、政府職員の組合は労働組合を結成し、非現業以外の職員には争議権が認められ、当局との間に労働協約が適用されることとなったことによる。これは合衆国本国の法制・判例法とも全く合致しない急進的で異常な政策で経済科学局労働課長キレンはAFL系労働組合副委員長であり、労働組合主義者である。このような人物によって労働政策が指導されたことが、終戦直後の混乱・無秩序をもたらしたいうべきである。
 昭和23年7月22日マッカーサー元帥の芦田首相宛書簡の発出〔*3〕により、31日政府は政令201号により政府職員の団体交渉権、争議権の否認、既存の団体協約の無効化を定め、GHQとの協議により、11月に国家公務員法が改正された。マッカッサー書簡には1937年のいわゆるルーズベルト書簡〔*4〕が引用された。全国労使関係法の適用は民間企業であって、これは大統領が公務員に団体交渉の手段は採用されないことを明言したものである。
 経済科学局労働課長キレンは団体交渉を否認する占領政策の転換についていけないとして、辞意を表明し帰国するが、実質的には追放されたわけである。 民主党のマニフェストは労働基本権の回復であるが、私は逆に政令201号は当然のことであると考える。
 アメリカ本国でも公務員の団体交渉や争議は認められてないのに(組合は議会への陳情することが行われていた)、本国よりも急進的な政策を軌道修正したマッカーサー元帥の政治判断は全く正しかったと評価するものである。
 
B 連邦公務員は今日においても争議権を全面的に否認

 連邦公務員において争議権が全面的に否認されていることは今日でも同じことである。ストの参加や主張は欠格事項に該当し解雇されると法律で規定されている。
 アメリカの民間企業一般において労働組合活動が制定法によって実質的に保護される体制となったのは赤い30年代、1932年のノリス・ラガーディア法(非暴力的な争議行為につき、裁判所による労働争議差止命令発給権限を否定し、契約自由により裁判所が法的効力を認めていた黄犬契約を否認した急進的立法)以降である。
 1935年ワグナー法(全国労使関係法)7条で被用者の団結する権利、労働団体にに加入・組織・支援する権利、自ら選んだ代表者を通じて団体交渉をする権利、団体交渉またはその他の相互扶助・保護のために団体行動をする権利を保障を規定し、8条に列挙される不当労働行為の規制を担当する機関として全国労働局を設けた。しかし公務員は適用除外である。
 1947年タフト・ハートレー法では「合衆国または合衆国により完全に所有される公法人(Government)を含む政府諸機関に雇用される個人が、ストライキに参加することは違法である。合衆国またはその機関に雇用されている個人であって,ストライキを行った個人は,直ちに解雇され、公務員としての身分を剥奪され,しかも以後三年の間,合衆国またはその機関により再雇用される資格を失うものである」(305条)とされている。
 さらに1955年に制定れた「法律第330号」は、同様の趣旨を詳細に規定し、さきのタフト・ハートレー法第305条を廃止したのである。法律第330号によれば(1条)、①いかなる争議行為であってもこれに参加し,または合衆国政府またはこれらの機関に対する争議権を主張する者および,②その事実を知りながら,合衆国政府またはそれらの機関に対する争議権を主張する政府職員の組織の構成員となっている者に対しては,合衆国政府またはその機関におけるすべての職につき、またはそれらの職を保持することはできないとし、その違反者に対しては、1000ドル以下の罰金もしくは-年以上の懲役またはそれらを併科することとされている。〔*5〕
 

〔*1〕西村美香『日本の公務員給与政策』東京大学出版会

〔*2〕ブレイン・フーバー民政局公務員課長は当時の官界の無規律・無秩序について次のように云っいる。
「‥‥某々省においては、数千という職員が、その勤務時間の全部を職員組合の仕事に費やしそれに熱中していました‥‥彼等は勤務時間中に数千人に及ぶ組合員の会合を開催していたので、そのあいだは役所の事務は全く停止されていました。彼等は建物の中で数個の最もよい室を占領してこれを職員組合の用に充てていました‥‥彼等は、勤務時間中に役所の費用をつかって、役所の仕事を犠牲にしながら、デモ行進やストライキをやりました。彼等は、その役所の業務管理の機能を奪ってしまったため、監督の地位にある上級官吏が自分の命令が確実に行われると自信を以て仕事を指揮している人はほとんどいない有様でした‥‥」岡部史郎『公務員制度の研究』有信堂1955 200頁

〔*3〕昭和23年7月22日内閣総理大臣宛マッカーサー元帥の書簡(抄出)
  ( 松林・寺田編 労働基本権関係資料『法律時報』48巻8号)
 ……勤労を公務に捧げるものと私的企業に従事するものとの間には顕著な区別が存在する。前者は国民の主権に基礎をもつ政府によって使用される手段そのものであって、その雇用される事実によって与えられた公共の信託に対し、無条件の忠誠の義務を負う。‥‥公務員の上にはこの国民全体に奉仕する義務が負わされている。‥‥……労働者の権利の唱道者として第一人者であったかつての故米国大統領フランクリン・ローズベルト」の言葉によれば「国民はその利益と福祉の為に政府活動のうちに秩序と脈絡とが維持せられることを要求する。公務員の上にはこの国民全体に奉仕する義務が負わされている。これは最高の義務である。彼等自身の職務が政府の機能に関係するものである以上、公務員の争議行為は彼等自身に於て要求が満足せらるるまでは政府の運営を妨害する意図があることを明示するものにほかならない。自ら支持を誓った政府を麻痺せしめんと企図するこのような行為は想像し得ないものであると同時に許しえないものである。」
 余はこの見解に全面的に賛成である。雇傭若しくは任命により日本の政府機関若しくはその従属団体に地位を有する者は、何人といえども争議行為若しくは政府運営の能率を疎外する遅延戦術その他の紛争手段に訴えてはならない。何人といえどもかかる地位を有しながら日本の公衆に対しかかる行動に訴えて、公共の信託を裏切るものは雇傭せられているが為に有するすべての権利と特権を抛棄するものである。
 「ローズベルト」大統領は更に言っている、「すべての政府職員は普通に知られている所謂団体交渉の手段は公務員の場合は採用できないものであることを理解せねばならぬ。団体交渉は国家公務員制度に適用せられるに当たっては明確なそして変更しえない制限を受ける。政府の性質並に目的それ自体がその行政運営に当る官吏をして政府職員の団体との間の協議若しくは交渉に於て使用主を代表し又は拘束することを不可能ならしめている。使用主は全国民である。国民は国会に於けるその代表者により制定せられる法律によりその意志を表明する。従って行政運営の任に当る官吏も雇傭せられているものも、均しく人事に関し方針、手続並に規則を定める法律によって支配せられ、指導せられ又少なからざる場合に於て制約を受けている」と
 然しながらこの理念は公務員たるものが、自ら若しくは選ばれた代表を通じ雇傭条件の改善を求めんが為に自由にその意見見解若しくは不満を表明する個人的若しくは団体的の妨げられることなき権利を有しない意味ではないことを明確に了解しなければにらない。この権利は民主主義社会に固有の権利であり奪うべからざるものである。而して余はこの権利は現に提案されている国家公務員法の修正案の中に十分規定せられていると信ずる。

〔*4〕ルーズベルト大統領は1937年に連邦公務員全国連合のルーサー・スチュワードに宛た有名な書簡で「すべての政府職員は普通に知られている所謂団体交渉の手段は公務員の場合は採用できないものであることを理解せねばならぬ。団体交渉は国家公務員制度に適用せられるに当たっては明確なそして変更しえない制限を受ける。政府の性質並に目的それ自体がその行政運営に当る官吏をして政府職員の団体との間の協議若しくは交渉に於て使用主を代表し又は拘束することを不可能ならしめている。使用主は全国民である。国民は国会に於けるその代表者により制定せられる法律によりその意志を表明する。従って行政運営の任に当る官吏も雇傭せられているものも、均しく人事に関し方針、手続並に規則を定める法律によって支配せられ、指導せられ又少なからざる場合に於て制約を受けている」と述べ、職員団体の論理的地位を認めつつも公務員の団体交渉の可能性についてははっきりとした限界(definite limits)があることを明確にしている。団体交渉権の否定であるから当然争議権を否定しているのである。

〔*5〕浜口金一郎「公務・公共部内における労働基本権の考察――主要各国の法制――」『比較法制研究』(國士舘大學比較法制研究所)第5号1981
http://libw01.kokushikan.ac.jp/RING/SKStart.html?recordID=1001731&status=01&type=2&reqPageType=SN

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