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2010/11/16

労使関係の団体主義から人的資源管理等の個別主義へのパラダイム変換の提案-アメリカにおける団体主義労使関係の衰退と非組合企業の隆盛(1)

アメリカの労働組合組織率低下の要因について(1)

 
 アメリカの労働組合の組織率は民間企業で2006年に7.4%、協約適用労働者で8.1%であるhttp://www.austin-chamber.org/DoBusiness/GreaterAustinProfile/Japanese/workforcej.html(公共部門も含めた全体では組織率12.0%、協約適用労働者13.1%にすぎない[註1]))。竹田有によるとアメリカは既に「労働組合がほとんど存在しない経済体制」[註2]とも言われる、。竹田有の表現は新鮮だが、まだ侮れないと思う。巻き返しの可能性は残っているから。
 労働組合の巻き返しの一手が組合の労働組合の結成を容易にするるカードチェック法案 Employee Free Choice Act であった。http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2009_6/america_01.htmこれは、1947年タフト・ハートレー法以来の大きな改革で、国家は中立主義だったのを団体交渉促進に舵をきる時代錯誤な法案である。オバマは労働組合の支援で当選しており法案を支持した。2009年上院で審議入りしたが、もちろん全米商工会議所をはじめ実業界は猛反発し、結局上院の賛成者が60名に達していない。また審議が深まらなかった要因として、オバマ政権を実質的に仕切っていたエマニュエル主席補佐官が医療保険制度改革を優先する政治判断をとり、そちらにエネルギーが集中されたこともある。またエドワード・ケネディ上院議員死去に伴う上院補選で共和党のブラウンが当選したことも重なった。2010年9月オバマは上院通過は困難と発言している。http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2010_10/america_02.htm。また中間選挙で共和党が46議席を獲得したので、さしあたりアメリカ社会左傾化の危機は回避している状況にある。
 しかし、際どかったといえる。民主政体の恐さを感じる。今の国会議員は1937年の座り込みストがいかに悪質だったのか。アメリカで組織率が最も高かったのは、第二次大戦中の40%といわれているが、戦時協力のためストを自粛していた組合が、終戦後1年に大幅な賃上げを求め490万がストに参加する史上最大のスト攻勢となった[註3]、その時の国民の怒りを忘れたのだろうか。あまりにも強くなりすぎた労働組合の権力を削ぐことを目的としたのが1947タフト・ハートレー法だが、共和党と南部民主党でトルーマンの拒否権行使を覆す再可決で法案を通過させたのである。再び組合に強い権力を付与するこの法案の愚をわかってない議員が多すぎる。結果的にはフィリバスターを無効とするためには60名(5分の3)の議員の賛成票を要するという上院のルールで辛うじて回避しているきたといえるだろう。

 アメリカの全国労働関係法は排他的交渉単位制度を採用しており、労働組合を組織する場合は、交渉単位の労働者の30%以上の賛成署名を集めるとともに、全国労使関係委員会選挙において労働組合は過半数の支持を得なければならない。交渉代表に選出された多数組合は、その組合を支持しない被用者も含めて、単位内の全被用者のために団体交渉を行う権限を有する。組合と使用者間で締結された労働協約は、単位内の全被用者に適用される。代表となる制度であるが、全国労使関係法が会社組合を実質否定しているため、アメリカでは集団的従業員代表制というものは公式的には存在しない。従って組合代表選挙が行われない反労働組合企業(例えばウォルマート等)、組合代表選挙が行われても、組合が敗北した企業(例えば北米日産)、また組合代表権否認選挙で組合を追い出した企業では組合は存在せず、個別契約、個別交渉の労使関係なのである。なお、日本の労働基準法の36協定のような制度は存在しない。わが国のように組合のない企業でも過半数代表との協定を要するいう制度はない。(アメリカの連邦法には労働時間、有給休暇、休日について定めた規定はない。1938年公正労働基準法(FLSA)は週40時間を超えて働かせた場合には、超過労働時間について通常賃金の50%増の賃金の支払いを使用者に義務づけているだけである。)

 組合代表選挙で組合が勝っても、必ずしも団体協約が成立するものではないから正確ではないが、大ざっぱにいって、従業員の過半数が組合を選挙で支持すれば、団体主義の労働関係になり、そうでない場合は個別主義の労使関係のままで、組合は排除できる制度である。この制度はサッチャー・メジャー政権時代のイギリス、アメリカではニューディール立法以前であるが、組合を団体交渉の席に着かせるか否かの組合承認は経営者の任意の判断としているあり方と比較すると一見して、組合に有利に思えるかもしれないが、必ずしもそうともいえないところを理解する必要がある。(つづく)

註1)2002年の公共部門の組織率は37.4%である。公共部門の内訳を見ると、連邦31.6%、州30.5%、地方自治体43.1%と、地方自治体労働者の組織率が最も高い。民間部門では、輸送・公益事業(電気、ガス、水道など)が23.5%と最も高く、続いて、建設業18.4%、製造業14.6%となっている。低い産業は金融・保険・不動産業で2.1%である。PDFhttp://www.jil.go.jp/kunibetu/kiso/2003pdf/us.pdf
註2)竹田有『アメリカ労働民衆の世界-労働史と都市史の交差するところ』
ミネルヴァ書房2010年
註3)有賀・大下・志邨・平野編『世界歴史大系 アメリカ2』油井大三郎「パクスアメリカ-ナの時代」329頁ストライキは自動車・鉄鋼・食品加工・電機に波及し特に炭鉱と鉄道で強力に展開された。

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