公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2010/12/05

公務員に争議権付与カウンターレポート下書き-アメリカ合衆国・オーストラリアとの比較法制(4)

第一回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-d339.html
第二回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-0419.html
第三回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-de46.html

ブッシュ政権による新しい人事制度National Security Personnel Systemの導入について(1)

  ブッシュ政権は議会においても共和党が優勢な状況において、半世紀以上、いや1920年代から改革されていなかった、連邦公務員制度の人事制度を抜本的改革に着手した。
 National Security Personnel Systemである。これは団体交渉を制限し、懲戒などの不服申立などの行政上の保護規制をなくし、職務遂行能力と処遇の結びつきを強化し、定期昇給をなくし、ペイフォーパフォーマンス給与体系とするもので、本格的、業績・成果主義の人事制度の導入という意味で画期的なものであった。
 もっともそれは、国家安全保障という名目で、他の省庁と区別するやり方だったので、国家安全保障省と国防総省に限定されたという意味では部分的な改革にとどまっただけでなく、後述するように、2009年にオバマ政権、民主党優勢議会でこの方針を転換させることとなり、政策は後退しているのが現状である。
 しかしこの制度を一般の省庁にも拡大してようとする(Working For America Act)動きも一方にはある。そうでなければ本物の行政改革にならないからである。再び共和党優位の形成になればトレンドはそちらに向かう可能性があると考える。。

 従来、本省課長級以下の連邦政府職員に適用される一般俸給表General Scheduleは1923年職階法Classification Actkの給与制度を再編した1949年職階法によって法定されたもので、15階級、定期昇給を基本とした給与体系である。一般俸給表の給与額は連邦議会で必要に応じて改訂されたが、この改訂は不定期であり、民間賃金の上昇やインフレに即応していないため、民間賃金の調査やこれを公務員給与改訂に活用が検討され1962年の連邦給与改革法federal salary reformation はよって、大統領が適切な時期に、連邦労働統計局Bureauof Labor Statisticsの年次調査を基礎として連邦公務員の給与の改訂を「勧告」すべき任務が課せられ、1970年連邦給与均衡法Federal Employees Pay Comparability Actでは給与改訂の権限を決定権を原則的に大統領に委任した。(*1)また1990年連邦給与均衡法Federal Employees Pay Comparability Actで地域差を考慮する賃金調整も行うこととなっている。(*2)
 この一般俸給表General Scheduleによる給与制度と連邦公務員の賃金・職階、業績管理、懲戒処分、人事に関する不服申立等の行政上の保護規制が硬直的なものであることはもはや時代遅れであるとして強い批判があった。
 つまり、優秀な人材の確保や、適材適所への迅速な採用・配置ができないという問題である。例えば成果よりも年功を重視した賃金体系は、優秀な人材の確保を妨げるだけでなく、公務員の士気にも悪影響を与える。また業績が極度に悪い公務員でも解雇することは難しく、その一方で新規・中途採用の長く煩雑な手続きある。長すぎる採用プロセス、業績(成果)によらない悪平等な給与の支払い。再任用の柔軟性の欠如。テロ対策上直ちに首にしたい職員も不服申立等の保護規制があるので簡単に解雇できないといったことである。
 しかし、ブッシュ政権において時代遅れの人事制度の改革に着手、2002年新設の国土安全保障省と国防省において従来の一般俸給表の給与制度によらない新しい人事制度を導入した。

2002年国土安全保障省の設立と新しい人事制度

 2001年9.11事件を契機として、テロ対策強化が重要な政治課題となった。2002年5月リーバーマン上院議員(当時民主党)が、ホームランドセキュリティを一元的に担う「国土安全保障省立法案」を連邦議会に提案したことがきっかけである。巨大官庁の創設に当初ブッシュ大統領は乗り気でなったともいわれるが、2002年6月にリーバ-マン法案と同じ内容の「国土安全保障省」設立に関する法案を提出した。これは、1947年に合衆国軍隊の国防総省への統合、国家安全保障会議とCIAを設立して以来の大きな省庁再編ともいわれる。〔*3〕
 国土安全保障省は、国境警備隊(司法省)、移民局(司法省)、関税局(財務省)、出入国管理及び市民権局(司法省)、連邦航空保安局(運輸省)、動植物保健検査局(農務省)運輸保安庁(運輸省)、沿岸警備隊(運輸省)など8省庁22機関17万人の職員を一つの省に再編・統合したもので包括的なテロ対策を目的としている。
 ブッシュ提案がリーバ-マン提案と異なっていたのは、採用・昇進・解雇等を容易に実行できる柔軟性のある人事制度、連邦公務員の人事や懲戒に対するめ不服申立制度や団体交渉を排除する提案であった。
 リーバ-マンら民主党議員のほか、労働組合は国会議員にメール攻勢をかけて、反対したが、2002年11月25日共和党が両院で多数をしめている状況で成立した。2003年1月より正式に発足した。この立法では国土安全保障省長官と人事管理局長に既存の連邦公務員の人事制度の一部を免除・改正して、新たな人事管理制度を確立する権限を与えた。また、従来、大統領が連邦公務員の団体交渉権を制限する場合には、①その連邦公務員が、主にインテリジェンス、犯罪捜査、または国家安全保障業務を主たる機能とする行政機関に勤務する場合で、かつ、②団体交渉権が、国家安全保障の確保を満たしながら行使することができない場合に限られていた。(5U.S.C7103(b)(1)) のに対し、国土安全保障法では大統領が国土安全保障上の必要から同省の職員について団体交渉権を留保しようと決定する場合、この二つの要件を免除した。

 2005年2月の人材管理制度の最終規則案70 Fed. Reg.5272,5273により行政規則化された(5C.F.R.pt.9701)が、それによると
○連邦政府被用者に認められている懲戒などに対する不服申立制度は利用できない。
○団体交渉を経ずに、多くの人事関係の事項や手続が同省長官の指令で実施できる。
○インテリジェンス、捜査、セキュリティ業務に就き、国土安全保障に影響を与える業務の場合は交渉単位に含まれない。
○連邦労使関係局で扱われた問題は、同省長官により指名された委員によって構成されたいくつかの内部委員会で処理される。〔*4〕
 新制度の主眼は、職務遂行能力と処遇の結びつきを強化し、職員の雇用、昇進、懲罰をより容易にすること、団体交渉を制限して労働組合の力を抑えることにあるとされるhttp://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2006_4/america_01.htm#01
 給与制度は一般俸給表General Scheduleから離脱して、大きく性格の異なる新しい給与システムとした。号俸を簡略化(10号俸ぐらいを3号俸ぐらいにまとめる)それぞれの号俸の中で、上限、下限を設けることで給与の幅(Pay Band)を作成。ペイ・バンドの中で、どの給与を支払うかについては、査定権者の権限とし、実績に比重をおく給与体系とした。定期昇給はなく、給与をフレキシブルに決定できる。〔*4〕職務等級制度の改革、ブロードバンド化は民間の成果主義導入と基本的に同じ流れとみてよいだろう。
 この人事制度は画期的な意義をもつと思うが、わが国ではあまり紹介されなかいのは、不可解である。

 国防総省の新しい人事制度

 2003年11月、2004年度国防授権法に基づき、連邦議会は国防総省に、同省に勤務する軍属(civilian employee軍人でない公務員70万人)に新たな人事管理制度を定める規則制定権限を付与し、2005年2月に国家安全保障人事制度National Security Personnel Systemに関する規則案を公表した。
 この規則案は連邦公務員の行政上の保護規制のうち、賃金、職階、業績管理、懲戒処分、人事に関する不服申立及び団体交渉権に関する規定が免除された。排他的交渉権をもつ労働組合は、国防総省に対して団体交渉を要求できるが、応じるか否かは同省の一方的な権限とされた。〔*4〕

National Security Personnel Systemの指導原則はつぎのとおり。
・任務を第1 に置く。国家安全保障目標及び戦略目的の支援。
・個人の尊重。法により保障された権利の擁護。
・才能、達成、公務に対する指導性とコミットメントに価値を置く。
・柔軟で、理解しやすく、信頼でき、対応しやすく、実行可能である。
・全てのレベルにおいて説明責任を保証する。
・独特な任務の要請と人材の相互運用性との均衡。
・競争的で費用効果的であること。〔*5〕

 給与は3つのペイ・バンドで調整される。給与には地域市場加算、成果にもとづく昇給がある。毎年度の成果管理サイクルは、目標管理制度である。昇給とボーナスが支給されるのは5段階評価の3以上である。

最終的に達成しようとしている目的に関しては、以下のように定義されている。
 国防総省の人的資源環境は、職員の成長、主導性、達成と説明責任を促進するものでなければならず、こうした環境は、適切な人を適切な仕事に、適切な時に適切な費用で、適切な工夫を用いて配置するものである。〔*5〕

 この方針は優れている。粉骨砕身働いている人、組織にコミットメントしても、その価値も認めないということはしない。たんに上司の好み、指図だということでなく、その仕事をなぜさせるのか説明責任を保証すること。職員を使い捨てにするのではく、職員も成長し指導性を促進させるといったことは、組合が支配的な企業ではありえないことである。 

〔*1〕菅野和夫「公務員団体交渉の法律政策」アメリカ(一)」『法学協会雑誌』98巻1号 1981
〔*2〕人事院「官民給与の比較方法の在り方に関する研究会報告-補論1アメリカ及びイギリスにおける公務員給与決定方法の実態調査」(平成18年3月20日)http://www.jinji.go.jp/kyuuyo/kenkyukai_hp/hikakukenkyukai_top.html
〔*3〕土屋恵司「米国における2002年国土安全保障法の制定」『外国の立法』222号2004年
pdf http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/222/022201.pdf
〔*4〕永野秀雄 「海外労働事情(65)アメリカ/国家安全保障にかかわる業務に従事する連邦公務員に対する団体交渉権の制限--九・一一テロの影響とその評価」『労働法律旬報 』(1662), 68-71, 2007-12  /1261 
〔*5〕小塚郁也「米陸軍の文官人的資源管理-SES 制度改革とNSPS 導入をめぐって-」『防衛研究所紀要』9巻1号2006年http://www.nids.go.jp/publication/kiyo/j9-1.html

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コメント

厳しい事を申し上げますが、如何にもぬるま湯に浸りきった、公僕特有の考え方でしか有りませんな。
巷で様々な話題になっているブラック企業の問題点や実感を、貴方は果たしてご存知ですか?
若しも自ら其れを知ろうとなさる意思が無ければ、結局は視野の狭窄な甘えた妄言としか考えられないですがね。

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