公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2010/12/18

公務員にスト権問題、新型仲裁制度は中央労働委員会に政治判断をさせるつもりか

 公務員への争議権(スト権)付与について検討してきた政府の有識者会議の報告書で、首相が中央労働委員会に仲裁を依頼、その裁定に労使双方が必ず従い、ストを中止する「新型仲裁(仮称)」などが示されたという。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101217-00000633-san-pol
 報告書は読んでないが、ニュースを読んだ時点で率直な感想をいうと、強制仲裁制度は、組合に有利に設計されやすく問題である。 非現業公務員に団体交渉権付与が既定方針でその上に争議権ということだが、過去の教訓をいえば昭和31年の公労法の改正で同法35条で「政府は仲裁裁定が実施できるようにできるだけ努力しなければならない」ことを法文で明確にしたが、これは明らかにプロレーバーの政策であり労働組合を増長させる要因になったと思う。なぜならば昭和24年公労法制定以後、仲裁裁定は15件に達したが、財政事情から実施されたのは専売の3件のみだった。
 そもそも仲裁裁定を実施するかどうかは政治判断の問題であった。国の財政が厳しいときは仲裁裁定は実施されなかった。これは非現業の人事院勧告も同じことである。(昭和29年から昭和34年まで人事院のベースアップ勧告は留保され、報告のみがなされていた。給与を決定すべき諸条件に幾多の不確定な要因を含んでいる現段階において単なる民間給与との較差をもって俸給表の改正を行うことは当を得た措置ではないとしていたのである。ところが昭和35年に春闘相場を上回る12.4%の給与改定を勧告した。これは調査時点を3月から春闘相場が反映する4月に変更したことと、ラスパイレス方式を採用したことによる。以後の人事院勧告は高率ベア勧告になるが、政策上の理由で昭和45年まで完全実施は見送られていた)。
 昭和31年の公労法改正により組合の闘争意欲をかきたてたのには理由がある。つまり予算中の給与総額制度に弾力を持たせるため、各公社法の一部改正がなされ、仲裁裁定があった場合、裁定を実施するに必要な金額は、予算の定めるところにより、主務大臣の承認または認可を受け、給与総額を超えて給与として支給することができるとしたのである。http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/ilo87_06e8.html つまり強制仲裁では給与総額制度は維持できないのではないか。
 問題の昭和32年である。この年は春闘方式の2年目で神武景気を背景に労働側が高姿勢だった。その規模は前年を上回る320万人の参加があり、まず官公庁労組が2月中旬から下旬にかけて第一波、第二波の実力行使、炭労が3月7日から48時間スト、総評を中心とした官民労組の統一闘争は3月11日から実施され国労が2日間にわたり1662箇所の駅、201箇所の客貨車区等で半日職場大会、遵法闘争を実施したため、大量の列車運休遅延を出し全国的に大混乱した。
  政府は11日午後院内大臣室で、岸首相、池田蔵相、松浦労相、石田官房長官らが対策を協議した結果「公労協の実力行使を回避するため、公労協に対して時期をみて仲裁裁定を申請する」方針を決定し、同夜開かれた岸首相ら政府首脳と社会党浅沼書記長との会談で19日、20日に予定されている国労などの第四波実力行使を回避するため努力することで意見の一致をみた。 ところが12日の閣議及び同日夕刻の労働関係閣僚懇談会では、「調停案の拒否理由や、仲裁裁定がなされた場合の態度については検討を要する」との態度をとったため、公労協は仲裁裁定を故意に遅らせているとして16日に第三.五波の実力行使を設定した。
  政府は14日の次官会議、15日の閣議で各調停案を拒否して仲裁申請を行う方針を決定、石田官房長官は「仲裁裁定については公労法の精神にのっとり誠意をもってこれを尊重する。この際労使とも静かに仲裁裁定を待つことを希望する」との談話を発表。 16日午前零時20分~45分に岸・鈴木会談が首相官邸で開かれた、政府側は岸首相、松浦労相、石田官房長官、社会党は鈴木委員長、浅沼書記長、横路国対委員長、池田禎二代議士らが出席、会談後石田官房長官と浅沼書記長が共同発表を行った。国労は年度末手当0.31月分と賃金確定にかえての一時金を3月22日に支給することで了解したが、しかしこの妥結は大蔵省の了解をえておらず、23日に支給困難となったため国労は午後から抜き打ち職場大会に入り、東京管内の主要線が運行困難となり、運輸大臣が午後3時50分に国鉄総裁に業績手当の支払いを命じ収拾されたが、ダイヤは終日乱れ、翌朝まで乗客の騒動が続く始末だった。

 この昭和32年岸・鈴木会談による政治決着により仲裁裁定完全実施の慣例化がなされたのである。労働省のプロレーバー政策を石田博英官房長官の強力な説得により岸首相が追認したものである。要するに社会党とつるんだ合意というものは、石田氏個人の政治力によるところが大きいと考える。『石田労政』によると石田氏は「仲裁裁定の完全実施ををきめた時は、三日ほど池田蔵相に口をきいてもらえなかった」と述懐しているように、石田官房長官主導の政治判断については財政当局は不満があったことを看取することができる。
 岸内閣の方針は、仲裁裁定完全実施というアメを与えつつ、労働組合の違法行為には厳格に対処するというムチをともなうものだったということは、32年6月の岸内閣6月改造で石田官房長官が労相に就任し衆院社労委で「今後とも仲裁裁定については責任をもって対処したい。しかし労組の違法行為に対しては峻厳な態度をもって一貫する」としていることで明らかである。
 その趣旨は仲裁裁定は実施するから違法行為はやめさせ、労働運動の健全な発展と言うことになろうが、しかし、そんなものはしょせん幻想に過ぎなかったのである。

 昭和39年池田・太田会談では史上空前「陸海空統一スト」の脅しに屈した池田首相がストを回避させるため、民賃準拠ルールの確立させてしまった。
 1公共企業体と民間企業との賃金格差は、公労委が賃金問題を処理するに当たって、当然考慮すべき法律上の義務である。従って公労委における調停等の場を通じて、労使ともにこの是正に努力するものとする。
2公労委の決定についてはこれを尊重する。
 マスコミ・世論は史上空前のストを止めた首相に好意的だったが、その代償は大きかったと思う。5月19日に国鉄・林野9.5% 、郵政7.5%、電電・専売6.5%、平均2209円賃上げの仲裁裁定が出された。これは兼子公労委委員長の談話によると「民間賃金の引上げ趨勢がおおむね明らかになってきたので、これを裁定の内容に反映させた」としている。
 以後これが先例となって公企体等の春の賃上げについては、まず公労委の調停の中で、民間の春闘の賃上げを反映すべく努力がなされ、その上に立って仲裁裁定が出されることになった。いわゆる民間賃金準拠原則が確立されたのである。あくまで民間準拠原則は5政-労間の政治決着によるものである。
 ストで脅した結果の組合側の獲得物は大きかった。民間並の生産性を有し、企業としての業績をあげているなら別だが、民賃準拠ルールを与えたことは今日的観点からすれば疑問に思える。またまた組合にアメを与える結果となったのである。
 
 

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