公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2011年2月の22件の記事

2011/02/28

恥・恥・恥とわめき散らすウィスコンシン州民主党下院議員

 財政修繕案下院通過時の映像はばかばかしいが報道する価値はあるのではないか。25万9千のアクセスがある。
 http://www.youtube.com/watch?v=5f0VProvuAo&feature
 http://www.youtube.com/watch?v=SGDp581g9t0&feature
 20世紀初期のウィスコンシン州の労働法制は、進歩派のブランダイス連邦最高裁判事が理想的だと述べたほど革新主義的な州だった。労働者災害補償ももっとも古く1911年、州公務員の団体交渉権獲得も全米でもっとも古い1959年。ベトナム反戦運動もここから広まった進歩的な土地柄である。それだけにプライドがあるのかも知れないが、共和党議員に恥を知れとわめき散らす姿は子供じみている。
 、国制の根幹にかかわる問題だが、今の通常国会で自民党と民主党が結託して国家公務員に団体協約締結権を保障する法改正を行うだろう。それは1960年代に流行った政策である。池田内閣のときに社会党が倉石元労相を窓口に交渉したが、結局棚上げにされた政策を今実現した。あまりにも筋の悪い時代錯誤な政策である。時流は団体交渉権剥奪なのに。一般的に我が国のマスコミは米国の内政は取り上げないのが普通だが、ウィスコンシンの騒動はNHK、TBS、産経、朝日、東京新聞などが報道している。しかし扱いはフロリダ州のスコット知事がタンパ-オーランド間の高速鉄道計画を拒否したニュースより小さい。政府の政策が時流に反することを隠しておきたいという暗黙の合意のためだろうか。
 
 コーク・インダストリー社のマディソンの事務所前ににデモ隊が押しかけたことは既に書いたが、デモ隊はFOXニュース取材陣にもやつあたりをしている。

FOX記者のレポートを罵声を吐くデモ参加者
http://www.youtube.com/watch?v=MD_CjOSCyCU
http://www.youtube.com/watch?v=u1-jqJ_3iHg
http://www.youtube.com/watch?v=1BnQ6xS5eVs&feature=related

2011/02/27

全米50州で抗議デモ

「ムーブオン・オーグ」という政治団体の呼びかけで、2月26日州公務員の団体交渉を制限する法案を目指す、ウィスコンシン州のウォーカー知事、オハイオ州のケーシック知事などに反対する連帯の抗議デモが50州で行われた。http://www.cnn.co.jp/usa/30001955.html?ref=ng
ウィスコンシンでは7万人を動員した。ニュージャージーのトレントンでは数千人が集結した。http://www.nj.com/news/index.ssf/2011/02/njea_president_at_rally_accuse.html#incart_mce

 しかし全米で大きなデモが起きてる訳ではない。バージニアでは数百人と報道されている。http://www2.timesdispatch.com/news/2011/feb/27/tdmain14-union-advocates-rally-for-wisconsin-worke-ar-870260/ ノースカロライナでも州都ローリーで数百人と報道されている。主催はノースカロライナ州従業員協会SEANCだが、同州は団体交渉を禁止されている2つの州の1つで、この団体は労働組合ではなく賃金など議員に陳情する活動を行っている。ノースカロライナは民主党の知事が続いている州だが、伝統的に組合を好まない風土である。戦後のディキシーオペレーションというCIOの組織化攻勢をはねつけた州として知られ、全米でもっとも組織率が低い3.2%(2010年)。基本的にカロライナではレーバーデーでもシャーロットあたりでしかデモはやらない。この集会の趣旨はウィスコンシンの公共部門労働者と連帯する趣旨で団体交渉権を求めるものではない。 http://www.newsobserver.com/2011/02/26/1016061/pro-union-supporters-rally-in.html#ixzz1F8aIjjeI http://abclocal.go.com/wtvd/story?section=news/local&id=7982704 http://www.wral.com/news/local/politics/story/9180331/

2011/02/26

ウィスコンシン州財政修繕案下院を通過

 左右のイデオロギー闘争の震源地となったウィスコンシンだが、州公務員の団体交渉の制限を盛り込んだ財政修繕案は民主党議員の怒号がとびかうなか2月25日早朝下院を通過した。賛成51、反対17、棄権28http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=aUIv9KU8hrDg

 http://www.jsonline.com/news/statepolitics/116824378.html
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-1360638/Democrats-fury-Wisconsin-Assembly-pass-union-rights-bill.html
 ウォーカー知事(共和党)は法案反対者が州公務員の大量解雇を誘発していると警告しているようにぶれていない。問題は、上院では民主党議員14人が雲隠れしているために、定足数に達しないため議決できずに膠着していることである。木曜日に民主党上院議員の自宅に警察が派遣されたが、議員を逮捕できなかった。隣のイリノイ州に逃げ潜伏していると報道されている。

 ところで、報道によると、水曜日に州全域でウォーカー知事を支持するテレビ広告がAmericans for Prosperity というティーパーティーにより、流された。この広告をサポートしているのがコーク兄弟といわれている。http://www.huffingtonpost.com/michael-b-keegan/union-busting-the-real-ca_b_828237.html 
 また法案に反対するデモ隊がコーク兄弟のロビー活動に抗議するため、マディソンにあるオフィスの前に詰めかけ抗議活動をやっている。http://host.madison.com/ct/news/local/govt_and_politics/article_d48c0062-40e2-11e0-8ae2-001cc4c03286.html
 
 コーク兄弟とはコークインダストリー社の共同所有者で、保守派の活動家でもある。コーク社とは、カンサス州ウィチタに本拠のある全米第2位の非上場企業で、エネルギーコングロマリット、冷暖房エネルギー、製造用化学薬品、プロセス・汚染制御装置、肥料、木材などを地域社会に提供する事業をやっている。デビット・コークの2009年の所得が215億ドル。コーク兄弟は2010年フォーブスの全米長者番付で5位にランクされる大富豪だ。http://tequilamama.blogspot.com/2010/09/blog-post_24.html
 ティーパーティーが拡大し、オバマの医療保険制度改革などに反対する保守派の運動が盛り上がったのもコーク兄弟の貢献があるためと「ニューヨーカー」が報道していた。
 コーク兄弟はスコット・ウォーカー知事にも $43,000 を提供し、共和党知事の協会に100万ドルを寄贈し支援してきた。http://opinionator.blogs.nytimes.com/2011/02/25/whos-afraid-of-the-brothers-koch/?partner=rss&emcsコーク社の幹部は、ウォーカー知事はウィスコンシンのために正しいことをやっている。財政危機に対処している他の知事とともに今後もサポートすると言ったと報道されている。http://host.madison.com/ct/news/local/govt-and-politics/article_f32e55de-40e1-11e0-8f7b-001cc4c002e0.html?sourcetrack=moreArticle
 コークインダストリーは非上場企業だから、株主に気兼ねする必要もなく、政治活動をやっていて頼もしく思う。コーク兄弟はキャップアンドトレードの気候法案、医療改革法、経済刺激策、オバマの目玉政策のすべてに反対している。
 ヘリテージ財団がビール会社のクアーズの支援でできたように、右派のシンクタンクや政治家を応援してくれる企業は尊敬したい。

 州公務員の労働組合員がコーク社を批判するのは間違いである。
 実は左派のブロガーの策動で、ウォーカー知事が州営発電所売却の方針を決めたのは、裏でコークインダストリーと知事が結びついているのではないかという根拠のない虚偽、憶測による宣伝をやっていたのだ。コークとウォーカーの通話記録というものがユーチューブにアップされているが、これは偽電話と報道されている。三木首相の時に鬼頭判事補の事件があったがそれを思い出した。http://host.madison.com/wsj/youtube_23349fd0-3f6c-11e0-a170-001cc4c002e0.html http://www.npr.org/2011/02/23/134003982/Wis-Governor-Receives-Prank-Phone-Call?ps=rs
 アメリカンエンタープライズ研究所Michael Baroneのコラムによると、労働組合は民主党に2008年の選挙で4億ドル、2010年の選挙に9000万ドルを提供した。公共部門労働組合の既得権を維持することは納税者に民主党への資金を強要するのと同じことなのだ。http://www.humanevents.com/article.php?id=41970
 

2011/02/23

そもそも政府は団体協約を締結してはいけない-統治権の否定

 ウィスコンシンステートジャーナルのブレ-キングニュースはウォーカーは解雇通知もあり得ると警告しますとあります。http://host.madison.com/wsj/news/local/govt-and-politics/article_551d34c2-3e8f-11e0-8f91-001cc4c03286.html
 ニューヨークタイムズのディベートルームでウィスコンシンの事件を有識者が議論をしてますが、ヘリテージ財団のジェームズ・シャークの記事が明解です。http://www.nytimes.com/roomfordebate/2011/02/18/the-first-blow-against-public-employees/fdr-warned-us-about-public-sector-unions、「労働協約は、有権者が最終的には公共政策に関する発言権がないことを意味します。」
 つまり常に労働組合の圧力によって、予算支出、政策決定をゆがめられることになります。統治権の否定です。
  戦前は官吏の俸給は天皇大権事項だから団体交渉などあり得ないように、アメリカでも主権理論であり得ないことだった。1959年まで団体交渉は容認されなかったし、労働組合もそれははわかっていた。1937年のいわゆるルーズベルト書簡が「すべての政府職員は普通に知られている所謂団体交渉の手段は公務員の場合は採用できないものであることを理解せねばならぬ。団体交渉は国家公務員制度に適用せられるに当たっては明確なそして変更しえない制限を受ける。」と述べ、明解に団体交渉権付与を否定していた。ただ議員への陳情と言う形で、労働条件について発言権がありました。
  実は1935年のワグナー法、民間企業労働者に団体交渉権を認めた全国労使関係法ですが、労働協約の締結を義務づけることはしません。強制仲裁もしません。それが合憲判断の理由ともなってます。
  そもそも、1921年の判決で民間企業、商店などの営業行為は財産権と最高裁は断言し、労働争議の禁止命令を正当化してました。財産権というのは、その財産の処分について他者の干渉を容認しないことです。所有者に独占的に決定権がなければ所有権ではありません。
  政府においても同じことで、有権者の代表者である国会議員が予算を議決しますが、国民に選ばれている訳でもない、労働組合に予算の決定についての干渉を許すと言うことで不完全な統治体制になるのです。
 ウォーカー知事の法案は、統治権を取り戻す正しい政策であり、議事堂を占拠し野営して、州議会の機能をマヒさせている組合員こそ民主政体を否定しています。

 
 

2011/02/22

取次ぎたくなかったが取次いだ

 きょう14時頃地域の社民党が組合役員を訪ねてきた。一応私用の客だが、無愛想ながら取り次いだ。
 それとは全く関係ないが、組合掲示板に2月8日狭山事件第三次再審闘争学習会 各支部2名、2月24日狭山事件第三次再審闘争東京集会18時30分台東区生涯教育センター支部3名(完全消化)という動員指令を兼ねたポスターがはってあります。
 

2011/02/20

マディソンとアテネは同類

 表題はウォールストリートジャーナルのAthens in Mad Town という記事と同じ意味です。http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704657704576150111817428004.html

 州都マディソンではウャーカー知事の提案した財政修繕案の議決を阻止するため火曜日から連日、数万人規模の州議会議事堂を席巻するデモが繰り広げられているが、一般の公務員、教員だけでなく、ソーシャルワーカー、警察官や消防士、高校生なども参加している。特に問題とされているのが、公立学校教員であり、病欠を理由とする事実上のストライキなのだ。
 ウィスコンシンが労働問題に進歩的な州であったことは、ウィスコンシン州マディソン校の学生新聞の社説http://badgerherald.com/oped/2011/02/15/all_walk_no_talk.phpにもあるように、1911年に合衆国で初めて労働者災害補償制度をつくった州(連邦は1916年)であり、1959年に全米で初めて州公務員との労働協約を締結する権利を認め、最終的に賃金、年金、休暇時間を交渉する能力と権限を付与したことでも明らかなことである。特に大学町のマディソンはベトナム反戦運動が盛んだった進歩的な気風の都市であり、保守派から「マディソン人民共和国」と揶揄されるように、特別な都市との心証が強い。
 合衆国では、鉄道労働法を別として労働組合活動を保護するようになったのは大恐慌後30年代の政策によるものである。1932年平穏な組合活動については財産権の侵害を理由とした労働争議差止命令を禁止するノリス・ラガーディア法、1935年のワグナー法(全国労使関係法)で全国労資関係局が交渉代表選挙と不当労働行為を監督する制度により労働組合結成を促す立法政策をとった(厳密にいうと交渉代表権を得た団体協約の締結を義務づけるものではない)。
 しかし、それは民間企業においてであって、労働組合に有利な政策を展開したルーズベルト大統領も1937年に連邦公務員全国連合のルーサー・スチュワードに宛た有名な書簡で「すべての政府職員は普通に知られている所謂団体交渉の手段は公務員の場合は採用できないものであることを理解せねばならぬ。団体交渉は国家公務員制度に適用せられるに当たっては明確なそして変更しえない制限を受ける。」と述べ、明解に団体交渉権付与を否定していたように、1950年代までは、公務員の組合は議員に陳情することはあっても団体交渉は明確に否認されていた。
 現在でも南部を中心に12州が団体協約を許可していない。州によっては、一般公務員は許可しないが消防、警察、あるいは教員には団体交渉を容認している州もある。団体協約を認めない州でも任意の交渉を容認するところもあるがノースカロライナは州法で団体交渉を禁止している。連邦公務員は1978年に団体協約を認めたが、給与は交渉の対象となっておらず、交渉の範囲が制限されている。
 なお連邦公務員はストは違法で解雇となる。 団体交渉制度のある州でもスト権を否定する州が多く、2005年12月20日より3日間ニューヨーク市の地下鉄・バスがストライキを打ったが、ニュヨーク州では公務員ストは違法であり、州最高裁は20日午後、2度にわたる裁判所の禁止命令を無視したスト実行は、法廷侮辱罪に当たるとして、組合に対し1日あたり100万ドル(約1億1700万円)の罰金支払いを命じた。http://www.jil.go.jp/
 近年ではインディアナなミズーリのように団体交渉権を制限する州の政策もあり24の州で制限されているか完全に廃止したというhttp://online.wsj.com/article/SB10001424052748704657704576150111817428004.html
 このように、アメリカでは州公務員の団体協約締結権は1959年のウイスコンシン以後、プロ労働組合の政党(民主党-但し南部では必ずしもプロ労働組合ではない)が議会を支配している州で実現しただけであり、勤務条件法定主義を墨守する州もあるように地域差があり政治的状況で変化するものでもあるといえる。連邦公務員に制限的な団交権を容認した1978年のカーター政権時も議会においても民主党が優位だった時期に実現したということであって、全国民的に支持されているわけではないと思う。
 2010年には民間の労働組合組織率が6.9%にまで低下していることから、一般に公務員の既得権については批判的な国民が多いとみてよい。
 今回の財政修繕案では職員の年金負担を0%から給与の5.8%に設定し、医療保険料は、給与の12.6%(現行の約2倍)にまで引き上げられることになる。
 ウォーカー知事の記者会見によれば、今回の財政修繕案では、年金の5.8%負担は全米平均と同等、そして医療保険の12%負担は全米平均の半分という極めて控えめな要求しかしていないと主張している。http://uskeizai.com/article/186810290.html
 つまり、州がすべて負担していた年金と、ほとんど負担していた医療保険の負担を従業員に負担してもらうというもので、給与のカットではない。
 報道によるとこの部分については労働組合側も歩み寄りを可能だとしているのである。従って、今回の激しい反発は、この部分にあるのではなく労働組合潰しの政策とみられていることにある。
 今回の財政修繕法案については、ニュースマックスのグローバー・ノーキストの12月18日のコラムで要旨がまとめられるが、ウォーカー知事の法案が成立すれば、警察や消防を除く17万人の州政府労働組合員は、医療保険や年金に関する集団交渉の権利を失う(但し、賃金についてはインフレ率を上限とする団体交渉が残る)。
 法案でもう一つ重要なものとして、組合の交渉代表権を維持するために毎年投票を行うとしていることである。現状では強力な組合でも、力が衰えれば離反する職員も見越した上での政策かもしれない。
 この法案は州公務員5500人と自治体5000人の解雇を防ぐためのものだととも知事は言っている。
 
 率直に言って団体交渉の制限と組合弱体化に焦点をあわせた、優れた政策だと思う。ノーキストは、イリノイ州、ミネソタ州、コネチカット州の民主党知事が大規模な増税を制定したが、共和党の知事は増税することなく困難な予算バランスをとることができると評価している。
 労働組合支持者がいかに暴れても、納税者は許さない。
 

2011/02/19

ウィスコンシン金曜日は法案反対4万人デモ、土曜日はティーパーティーが法案支持のため集結する

金曜日はマディソンの州議事堂を席巻した財政修繕法案反対のデモ隊は4万人と報道されてます。4日連続で数が増えてます。土曜日は保守派のティーパーティーが対抗するために集結を呼びかけている。来週の火曜まで州議会が開かれることはないと報道されてます。
なぜ民主党の州上院議員は州外に脱出したのかというと、CNNの記事http://www.cnn.com/2011/POLITICS/02/18/awol.legislators/index.html?iref=NS1によるとほとんどの州議会は定足数はメンバーの過半数だが、インディアナ州、オレゴン州、テネシー州、テキサス州では、メンバーの3分の2、ウィスコンシン州では、メンバーの5分の3の出席を要するということです。上院は共和党19、民主党14なので定足数に1人足りないということのようです。http://www.reuters.com/article/2011/02/17/us-wisconsin-protests-idUSTRE71G5ZV20110217

ウィスコンシンの州議事堂を包囲している不逞の輩はギリシャやフランスと同質の反乱

   教員が勝手に病欠をとって仕事を放棄して、2万5千人のデモ隊が州議事堂を包囲したウィスコンシンの問題は、分裂したアメリカを象徴する事件となった。ウイスコンシンだけでなく共和党が知事の州であるオハイオ、アイダホ、インディアナ、テネシー、フロリダで反労働組合政策が進められている。しかしこのことは政治の対立軸が明確でわかりやすいともいえる。我が国では、福田内閣で自民党と民主党の合意によって国家公務員の団体協約締結権付与の方針が決められ、この通常国会で提出の予定である。自民党と民主党にさほど大きな違いがあるわけではなく、今の政治家で反労働組合色の強い人をほとんど知らない。明らかにアメリカのほうが面白い政治をやっているといえる。
 
  論評のいくつか見てみた。
 
 ナショナルレビューオンラインのラリ-・バーナンキのコラムMadison Madness http://www.nationalreview.com/articles/260135/madison-madness-larry-kudlowは、労働組合はウィスコンシン州で大騒ぎしているが、納税者はただもうこれ以上耐えられないと言ってます。エジプトのデモは民主化を求めるもの。しかし、ウィスコンシンのデモは州議会の議決を阻止するもので民主主義ではないと言う。ミルウォーキーで教師がストライキをやってるが1981年にレーガンが航空管制官ストで解雇したように、解雇すべきだと述べ、ウィスコンシンの労働組合がやってる事は、ギリシャやフランスに見られるヨーロッパスタイルの反乱というのは適切な見解だろう。
  また、オバマが地方の問題に介入する事にも反対している。連邦公務員には団体交渉制度はあるが、交渉の範囲が制限されていて賃金の交渉を禁じており、賃金は毎年、立法により決められているのだから。
 
  ワシントンタイムズのMURRAY & VERNUCCIO: Fixed labor game is ending in Wisconsin http://www.washingtontimes.com/news/2011/feb/18/fixed-labor-game-is-ending-in-wisconsin/は、ウォーカー知事の提案した財政修繕法案は、州政府の従業員は、年金のために給与の5.8%を支払い、医療保険のために12.6%を支払うというものだが、 金額はおよそ民間の労働者が支払うものの半分だとして公務員労働組合を批判。

 クリスチャンサイエンスモニターは親労働組合American Progress Action Fund のNick Bunker の意見http://www.csmonitor.com/Commentary/Opinion/2011/0218/Wisconsin-anti-union-bill-is-a-shameful-attack-on-workers-basic-rightsと反労働組合のケイトー研究所Chris Edwardsの意見の双方をのせてバランスをとっている。Madison protest: Unions are angry ? but Wisconsin should go even further
http://www.csmonitor.com/Commentary/Opinion/2011/0218/Madison-protest-Unions-are-angry-but-Wisconsin-should-go-even-further
 Chris Edwardsは、統計的研究は、非公共部門の労組より公共部門の労働者は約10%の賃金プレミアムを得ている。公共部門の労働組合のコストとして過度の年金給付水準、パフォーマンスの低い労働者を保護し、政府の活動に安価なボランティアの使用を防ぐため、官僚主義的で非効率的な職場環境を形成することなどを挙げています。また公共部門の労働組合は、強力な特別利益団体であり、 教員組合は、州、郡のアメリカ連合、および市民従業員、およびサービス従業員国際連合700万人を超えるメンバーが組み合わせている。 彼らは十分に資金を有し政治的なキャンペーンで非常にアクティブになることも問題ダトしています。
 バージニアやノースカロライナなど12州が団体協約を許してないが、他の州も「完全に公共部門の労働協約を廃止する必要があります」と断言する明解な意見を表明。ただ「いいね」は71票に過ぎず459票のBunkerの方が優勢である。

ウィスコンシン州上院民主党議員は反労働組合法案議決ボイコットのため州外に逃げる

  プラカードを持ち赤シャツを着たデモ隊が州議会議事堂に押し寄せ、建物の内部に入り込んでいる。ブログ「苺畑より」によるとウォーカー知事の提案した州公務員の給付の改定は、1.健康保険の保険料従業員負担を現在の5%から12.4%に引き上げる。2.年金積み立ての従業員負担を0%から50%に引き上げることで犠牲はそれほど大きくないという。にもかかわらず労働組合の動員で議会の機能をマヒさせているのは暴挙であるというきびしい批判である。今回のデモは他州からも動員されているとのこと。http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2011/02/post_1182.html
  これは36億ドルの予算のギャップを埋めるために今後2年間で3億ドルを節約するためのもので、そのために 警察と消防以外の団体交渉権を剥奪する計画である。
ウィスコンシンの上院民主党議員は法案議決ボイコットのためイリノイ州のロックフォードに逃げているという。保守派は強力な州公務員の労働組合は財政危機の要因であり、
共和党はラストベルトの他の州でもウォーカー知事のやり方を模倣してほしいと考えている。LAタイムズの記事では12の州で団体協約は許可されていない。http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-wisconsin-unions-20110218,0,5074043.story
 団体交渉権のないのは南部などの保守的な州だが、1959年逸早く団交権を獲得した進歩的な州でこの法案が通った場合の政治的意義は大きい。

ウィスコンシン、オハイオの団体交渉廃止提案、我が国でも一斉に報道


  ウィスコンシン州ウォーカー知事が提案した、州公務員団体交渉権剥奪を含む財政修繕法案に反対する州職員や教職員のデモが州議事堂付近で繰り返され、17日には2万5千人規模にふくれあがり、州都マディソンは教員の欠勤で2日間休校になるただならぬ事態となっており、共同、時事、NHKなどが一斉に報道している。 ブログ「苺畑より」によると16日「組合は州の98000人に及ぶ教職組合員に、法案議決審議がされている首都への集結を促した。これに応じて公立学校の40%にも及ぶ教職員は病気を言い訳に仕事を休んでデモ行進に参加した。おかげでマディスン学校区では学校閉鎖を余儀なくされることとなった」という。http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2011/02/post_1179.html

米ウィスコンシン州で職員がデモ―集団交渉権制限法案受け
http://jp.wsj.com/US/node_184885
米公務員の抗議活動、オハイオなど各州に広がる-団体交渉権制限法案
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=aYuardCxmjlk
 NHK
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110218/t10014152801000.html
  共同
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110218/amr11021812200005-n1.htm
合言葉は「エジプトの次はウィスコンシン」
http://wholekernel.blogspot.com/2011/02/blog-post.html#more

州都マディソンの人口は21万、都市圏でも50万程度で、2万5千人の動員力に驚く。しかし、2大雇用主となっているのはウィスコンシン州政府とウィスコンシン大学である。ウィスコンシン大学マディソン校は一流大学だが、ベトナム反戦運動の拠点であった。進歩主義的な気風の強い都市で、「中西部のバークレー」、保守派からは「マディソン人民共和国」と揶揄される土地柄という背景を考慮したい。
ウィスコンシン大学は労働運動、労働史学研究の拠点でもあり、1959年に全米50州で初めて州公務員の団体交渉権を獲得したのもそうした背景がある。
オハイオでは州都コロンバスの抗議活動は3800人程度で、他の地域でマディソン並に抗議活動が大きくなるとも考えにくいのである。
ウィスコンシンはブルーステートだが、労働組合組織率は2010年で14.2%に過ぎず、知事はティーパティーが推薦した共和党の保守派である。同性婚を禁止する憲法改正も採択された。従ってデモ=州民の平均的な世論なのではないと思う。
  団体交渉廃止を提案しているオハイオ州のジョン・ケイシッチ知事、ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事、ニュージャージー州のクリス・クリスティー知事の政治は注目したいので、今後もニュースも追っていきたい

2011/02/17

ウォーカー知事、団体交渉制度を排除しなければ、最大6000人解雇の方針

  ウイスコンシンは1959年も50州のなかではもっとも早く、州公務員の団体交渉制度を設けた州で、長く組織労働者の要塞でした。
しかし、36億ドルの予算不足のため、ウィスコンシン州、スコット・ウォーカー知事が荒療治に打って出ました。州公務員の団体交渉制度を廃止する提案です。もしこれに反対なら州公務員最大6000人解雇が必要だと言ってます。
http://hosted.ap.org/dynamic/stories/U/US_WISCONSIN_BUDGET_UNIONS_WIOL-?SITE=WIMIL&SECTION=STATE&TEMPLATE=DEFAULT
火曜日に州都マディソンで州公務員の反対のデモがあったようです。

http://www.jsonline.com/news/wisconsin/116284234.html
また水曜日はマディソンの学校の教師が欠勤してウォーカー知事の提案に反対デモをやるため学校は閉鎖されると報道されてます。
http://host.madison.com/wsj/news/local/education/local_schools/article_e3cfe584-3953-11e0-9284-001cc4c03286.html
ウォーカー知事が団体交渉制度排除に成功すれば大きな業績になるでしょう。

CBS美人記者 エジプトでレイプされる

 夕刊紙の報道で知りましたがやはり暴民は恐ろしいですね。タハリール広場で取材していた"60 Minutes"の特派員Lara Logan (39歳)の災難が報道されている。いったい何人が襲ったのか。20~30なのか詳細が知りたいがよくわかりません。
 
 http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20110216/frn1102161636003-n1.htm
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-1357485/Lara-Logan-assault-Former-GMTV-reporter-suffers-sex-attack-covering-Egypt-uprising.html
 http://www.nypost.com/p/news/international/cbs_reporter_cairo_nightmare_pXiUVvhwIDdCrbD95ybD5N

2011/02/16

本日も頭上報告と署名要請

 8時46分ごろ分会書記長が公務労協・公務員連絡会の片山総務大臣宛の臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用安定に向けた法改正を求める署名のフォーマット(4~5人署名欄のある)を配った。所長もいた。その後書記長は所長と何事か話、9時2分にから書記長会議報告を8~10分ぐらいやっていた。最初の部分は私が電話をとっていてききとれなかったが、相手とのやりとりのに集中できず明らかに業務の妨害になった。今配った署名は書記長まで提出せよと要請があり、最後に3月1日スト権批准投票の呼びかけがあり、必ず投票すること。当日休む人は事前に投票せよと。11月からストを構えた闘争は5回目となる。
 ストライキ投票の呼びかけを勤務時間中、業務を妨害してでも許しているのだから、事実上当局は争議行為と組合に便宜をはかっているのである。
 署名活動も所長がいるまえで、総務大臣宛の署名要請の時間を勤務時間中に提供しているから組合活動支援といえる。
 
 

2011/02/15

寛平三年の右大臣は藤原良世だろ

 講談社の天皇の歴史第三巻佐々木恵介『天皇と摂政・関白』2011年2月14日刊行第1刷を買いましたが、いきなり誤字を発見しました。揚げ足をとるようなことは言いたくないが、目立つところでもあるので、指摘しておきたいと思います。60頁の2行目です。
 「寛平三年(八九一)正月太政大臣藤原基経が五六歳で没すると、公卿の上位には
 左大臣源融(嵯峨天皇の皇子、七0歳)・右大臣藤原良相(冬嗣の子、七九歳)という長老がのこった
」とありますが、当時の右大臣は藤原良世である
 良相は貞観期の右大臣、応天門の変で辞任、貞観九年(867)薨である。なるほど藤原良世はパッと出てこない。私もネットで調べてやっと思い出したほどだ。藤氏長者でありながら、これといった政争に絡むこともなく、ただ良房-基経体制に忠実で、長命でもあったため左大臣にまで昇進したという人物だからである。
 しかし全体的な感想は、比較的わかりやすい内容で有益であった。
 著者は寛平の治をを宇多天皇の意欲的な国政への関与があったと評価していて、『寛平御遺誡』の十九か条全文と逸文の抜粋の口語訳も記載されている。68頁以下。
 次の条文が気に入った。
 「衛府の舎人で精勤の者には、先例にかかわらず昇進や褒賞を行え。ただし婦人・小人の評判に惑わされてはならない」
 私なんか泊まり込みを含む57日間無休連続出勤で粉骨砕身働いたつもりなのに、労働協約違反だのまるで非行扱いで怒鳴りつけられて虐められるから割に合わない。
 精勤した者は制限的労働慣行に反し叩かれるというのはばかげている。「婦人・小人に惑わされるな」は女性差別的なのが良いと思う。
 

2011/02/14

ウィスコンシン州知事、州公務員の団体交渉権を剥奪したいと発言

 アメリカの州公務員は、南部の各州のように勤務条件法定主義を墨守し団体交渉を制度化してない州も少なくない。ノースカロライナ、サウスカロライナ、ウェストバージニア、ルイジアナ、ミシシッピ、アーカンソー、コロラド州は全ての公務員がそうであり、消防士のみ団交立法を設けているのがジョージア、アラバマ、ユタ、ワイオミング州、消防士と警官のみ団交を認めるテキサス、ケンタッキー州、教員のみ団交を認めるノースダコタ、メリーランド州、教員と消防士のみ認めるアイダホ州、ネバダ州は州被用者のみ団交を認めてない(菅野和夫「公務員団体交渉の法律政策」アメリカ(一)」『法学協会雑誌』98巻1号 1981参照)。
 なお、上記の州においても任意的で法的拘束力のない団体交渉を認めている州がありますが、ノースカロライナ州は徹底していて、州、自治体政府と組合の全ての協定は州の公の政策に反し無効であり違反者の処罰を州法で定めている。もっとも州従業員協会というのがありますがもっぱら州議員への陳情である。
 しかし、リベラルな州では団体交渉が制度化されている。なかでもウィスコンシン州公務員は1959年50州の中でもっとも早く団交権を獲得した州として知られている。
 そのウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事(Governor Scott Walker,  Republican)が州の財政危機から、2月10日のAP通信との独占インタビューに答えて公的な団体交渉制度を排除したいという発言をしたという報道されてます。エジプトは困ったことになりましたが、こちらのニュースは歓迎します。
 http://badgerherald.com/news/2011/02/11/walker_to_propose_re.php
 http://host.madison.com/wsj/news/local/govt-and-politics/article_7ff37af2-3562-11e0-8ff9-001cc4c002e0.html
 
 ウォーカー知事の改革については今後もステートラインでニュースを追っていくこととします。
 http://www.stateline.org/live/states/Wisconsin
 ウォーカー知事の小さな政府、反労働組合路線をサポートしているとみられるシンクタンクのThe MacIver Instituteが、知事より、州従業員に当てた電子メールを公開してます。http://maciverinstitute.com/
 CEOから、全従業員に方針を示したり激励したり電子メールを送るのはアメリカではあたりまえ。私は東京都水道局につとめてますが、局長からも知事からもメールをもらったことはない。非常に遅れていると思います。

2011/02/13

団体交渉コレクティビズムから個別雇傭契約自由放任主義へパラダイム変換(下書き6)

前回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-4972.html

アメリカ合衆国-非組合企業隆盛の理由(6)

1.アメリカの経営者の反労働組合主義と憲法革命以前の保守的な司法

承前

 ●シャーマン法の労働組合への適用 (2)

(営業制限の法理と労働組合)続

○1796年モーベイ事件  R.v.MoWbey
 
 住民が公道の修理を怠ったことで起訴された事件に関し、治安判事らが裁判所の判決に影響を与えるための証拠としてその公道が修理中であるとの虚偽の証明書を作成することによって、裁判の進行を妨害するために共謀したことで起訴された。
 傍論で、グロース判事は次のように述べた「多くの先例において、同じ行為が、もし彼らの間で、合意されることなしに、それぞれの個人において別々になされるならば、違法でないとしても、或ることを行うための合意は、共謀を理由として起訴の対象になると考えられたきた。‥‥それぞれの者は、もし可能であるならば、賃金の引き上げを主張することは許される。しかし、もし数人の者が同じ目的で合意するならば違法である。そして当事者は共謀を理由として起訴されうる‥‥」【*1】
 グロース判事は、マンスフィールド卿と同じく団結を共謀として犯罪とするのであるから個人主義私法観である。
(但し18世紀においては主従法や、産業別の団結禁止法といった制定法が有り、コモン・ローよりもそちらの方が労働運動抑圧の機能を担っていた。)

 このように労働者の団結は不法結合であり、その違法性は「営業の制限」という契約上の干渉に求められた。「営業=取引」tradeには使用者の取引のみならず労働者個人の取引も含まれるとの想定のもとに労働者の団結は「営業の制限」restraint of tradeに該当するとして刑事共謀法理が展開されていった【*2】。団結は「営業=取引を制限するコンスピラシー」(conspiracy in restraint of trade )として犯罪である。それは決定的であり不易の法なのである。
 なぜなら、そもそも、法は創造されるものではなく、裁判官が判決録と自然の理性から発見するものだからである。労働者の団結は不法結合であり、営業制限であり共謀罪で起訴されうるということは、判決録に見いだせるだけでなく法制史研究者が明確に述べ、さらに付け加えると、世界史上初の労働組合「合法化立法」である英国の1871年労働組合法が、「本法がなければその目的が営業制限の理由により不法の団体と見なされるべき」労働組合を「単にその目的が営業制限という理由のみでは不法とみなさない」ものとして「合法化」した経緯からも明白なことだからである。
 18世紀において法は神聖で客観的な存在と考えられていた。法律家は社会の変化に対応して、法律を時代に適合するように修正してきたが、法律によって社会的経済的変化を促すという社会工学的な思考はなかった【*3】。現代の民主主義国家のように経済的自由を侵害する社会経済立法を議会が勝手に強制している積極国家は、法の支配が否定されている正しくない統治形態であると言わなければならない。
 イギリスにおいて1906年の労働争議法をA・V・ダイシーやポロック卿、ホウルズワースといった名だたる法学者が「悪法」と断定しているのは第三条「労働争議を企画しまたは促進するための行為は、当該雇用契約を破棄するよう他人を勧誘する、または、他の人の営業や雇用に抵触する、または、資本や労働を自由に処置する他人の権利に抵触する、ということのみを理由に起訴されることはない」第四条第1項 「組合によりまたはそれに代わって行われたと主張される不法行為につき‥‥労働組合たるを問わず雇用組合たるを問わず、組合に対して提起された訴訟は、‥‥どの裁判所も受理してはならない」【*4】と規定し、極めて異常な状態におけるばあい(第2項)は別として、いかなる不法行為に対しても、労働組合を訴える事を不可能にしたことにある。1906年法では労働組合は労働争議であろうと なかろうと、(第2項のばあいを除き)いかなる不法行為に対しても、責任を免除される。
 これは、法の支配による統治ではなく、特定の団体の不法行為免責として、いわば法の支配の埒外とする異常な統治形態をとることとなったからである。
 私が正常への回帰(不法結合である労働組合の駆逐)を主張するのはそういう意味である。

○共謀罪の歴史的経緯

①中世から労働者の団結は共謀罪

 共謀罪の起源は13世紀だが、労働者の団結は14世紀には早くも共謀罪が適用されていた。中世から労働者の団結は共謀罪だった。だから決定的なのだ・
 共謀罪の起源はエドワード1世の治世1285年の裁判手続の是正と取り締まりのための制定法だった【*5】。 Conspiracy(共謀罪)は元来、2人あるいはそれ以上の者が-誓約なり信約なりによって-ある人を重罪にあたるように起訴したり、起訴されるよう陥れる協定を意味していた【*6】。しかし早くも1305年の共同謀議者令Ordinancee of Comspiraciesでは特に労働者間の賃金引き上げのための共謀を、明示的に禁止していないが刑事犯として扱っている。1349年製パン業者の使用人が従来の賃金の二倍もしくは三倍でなければ働かないとする共謀が告発された例、製靴業の使用人が自ら定めた曜日でなければ働かないとして共謀した例がある。その後、これらの団結を規制する一連の法令が出された。1548年に熟練工が一定の価格以下では仕事をしないことを共謀又は約束する場合は、刑事犯とされ、初犯は10ポンドの罰金と20日間の禁錮刑であった。又商人間の価格協定も賃金協定と同様に当然違法とされた【*7】。
 1549年法により団結を規制する一連の法令をまとめ、雇職人の不法な団結つまり「ある価格でなければ仕事をしないとか、他の者がはじめた仕事の完成は引き受けないとか、ある時間しか仕事をしないとかいうように共謀する」ことを明示的に禁止した【*8】。
  
②スターチェンバー裁判所での共謀法理の進展
 
 コンスピラシーの犯罪手続きと近代的意味での不法結合の概念を融合させて実体犯罪としてのコンスピラシーを作り上げたのがスターチェンバー裁判所であった。スター・チェンバーは国家の安全との平和に関する事件、名誉棄損、詐欺、文書偽造等の事件のほかに、多くのコンスピラシー事件を扱った
 理論的に重要な先例は1611年の家禽商事件である。この判決でコンスピラシー法理の核心は害意をもって約束または結合することにあると述べた。
  「犯罪は訴状が送付する以前に完成される。それゆえ、コンスピラシー罪を犯そうとする単なる結合行為も処罰しうる。その理由は犯罪の重点は犯罪意思にあるからで、ある行為の遂行過程で犯罪意思が示されぬ限り、その行為は処罰されないけれども 、コンスピラシーの場合はそれが表明されているからである。」【*9】
 
③コモン・ロー裁判所の共謀法理の継受-公共倫理の危害への適用の拡大
 
 スター・チェンバー裁判所は内乱期の1641年に廃止されたが、そこで運用されていた法律はコモン・ロー裁判所に継受された。
  コンスピラシーの処罰対象は、厳密には犯罪・不法行為ではない非道徳行為に拡大していった。17世紀のコモン・ロー刑法の特徴は公共倫理の保護であるといわれる。1664年にセドリ卿は、「当裁判所は国王の全臣民の倫理法廷(custus morm)である」と述べてスター・チェンバーの解釈を踏襲した。
  害意(malice)は中世の法理の場合のように、重罪を目的とするだけに限られない。全ての犯罪、不法行為、大衆にもかなりの影響を受ける契約違反、善良な風俗を紊乱し、または大衆に危害を及ぼすことを目的とすることであると考えられた。
 公共倫理の危害の代表的な判例は 1763年のデラヴァル事件(Delaval Case)である。音楽家が女弟子を音楽の修行のために自己の指定した家に住まわせたが、その家主のフランシス卿との間に別の契約があり、そこで売春をさせた収益が音楽家に分配されることになっていた。この判決でマンスフィールド卿は「当裁判所は国民の倫理法廷であり、善良な道徳(bornos morum)に反する犯罪の監督権を持っている」と述べ、不道徳な徒弟契約を結んだことによりコンスピラシーが成立すると判示した。【*10】
 共謀罪は何か恐ろしいものであるとの誤った宣伝が為されているが、自由な社会であるためには、人々には結合からの自由がなければならない。共謀して人をはめる事、第三者を害する意図のある結合が犯罪とされてしかるべきなのである。
 端的にいえば小学生の虐めがそうである。ふつう他者に虐待されるとしても一対一なら耐えられるが、第三者を困惑させたりおとしめる目的で示し合せるてやられると耐え難い。他人に迷惑をかけるのはよくないと言うのは間違った教育である。コンスピラシーは犯罪であると教えることをしないから陰湿な虐めはなくならない。
 

○英国19世紀後半の営業制限法理及び共謀罪と労働組合

 ここでは労働組合を営業制限とする著名な先例、ヒルトン対エッカースレイ事件(1855)とホーンビィ対クローズ事件(1867)を取り上げる。また、ベンサム主義的に英儀容制限の法理を厳格適用せず、労働組合「合法化」の道筋をつけたウォルト・アール卿

①ヒルトン対エッカースレイ事件(1855)

 1825年制定法は、1800年団結禁止法を廃止した1824年による大混乱を修正したもので、(1)賃金率・仕事の価格・労働時間もしくは期間につき、談合しかつ決定するためにのみ集会すること(2)賃金率・仕事の価格・労働時間もしくは期間を定めるため、相互に口頭または文書による契約を締結することのみ、コモン・ローの共謀罪で起訴できない(刑事免責)した、限定的団結放任の制定法であり、この例外以外の労働組合活動はコモン・ローが適用され、コモン・ロー上の共謀とせられえた。逆にいうと一応団結は違法とするが、賃金・労働時間に関する「集会」「談合」「協定」を例外として違法性が除去されるものとした制定法である。
 この事件は、営業制限法理の先例として、1825年法が労働組合が「営業制限の法理」及び共謀罪との関係でどのような地位にあるかを示した判決として知られている。
 事案は使用者の団結に関するものだが、1825年法は使用者の団結と労働者の団結を相関的に処理しており、判決自体労働者の団結にも言及しており大きな影響を与えた。
 ある地域の被告を含む18名の綿工場主達が、労働者の団結に対抗し、賃金額、就業時間等の労働条件に関して協定し、捺印債務契約の違約金証書によって協定遵守を担保したが、被告がこの契約に違反して訴えが提起された。争点は違約金証書の民事上の効力であったが、第一審裁判所(Court of Queen's Bench)は「公共の政策」に反して営業を制限するものであるが故に無効とした。
 クロンプトン判事は「本件の団結は、営業や製造の自由なる過程を直接妨害し、干渉する傾向を持つが故に‥‥コモンロー上起訴されうべきもの」とし、1796年のモーベイ事件のグロース判事の傍論を引いて労働条件を変更する団結がコモン・ロー上「営業制限」の共謀罪となる先例が確立していることを前提として、「近来の議会制定法によって刑罰を課せられなくなった合意もしくは団結は、もしすべての当事者が自由意思で団体から脱退し得るならば、それ程有害ではないし、営業の自由なる過程に反するものではない
‥‥しかし、当事者がこのような団結から脱退する権利を放棄する約定に合意するや否や、守る事が法の政策である営業の自由は、直接干渉されたように思われる」と述べた。
 つまり1925年制定法で放任された「団結」とは拘束的合意をしない事が前提とし、脱退の自由こそ、「団結」に対して「営業の自由」を担保する法の政策となるという見解である【*11】。
 労働組合は、労働協約であれ、制限的組合就業規則によるジョブ・コントロール、ストライキであれ被用者の個々の契約に干渉し、競争を妨げ、統一的行為をとることを目的とする結社であるから、その拘束的合意は営業制限であり、公序に反するものであるということだ。
 つまり20世紀における大陸ヨーロッパの制度、産業別組合と使用者団体と集権的な団体交渉の労働協約により、企業横断的的な産業別・職種別賃金を決めてしまうネオコーボラティズムは賃金カルテルそのものであり、営業の自由の対極にある制度だといわなければならない。
 ところが我が国では竹中平蔵なども同一労働同一賃金とかいっているが、それは自由主義的政策ではない。個別企業が労働価格協定から脱ける自由も奪ってしまって、巨大使用者団体と巨大組合ですべてを仕切ってしまう制度は自由企業体制を窒息させるもの同然のものである。
 私は、クロンプトン判事の見解に賛同するが、主席判事キャンベルは、先例の不存在を理由にクロンプトン判事の見解を否認した。但し「この違約金証書のような個人の自由なる行動の制限にあたる契約で、法が効果を与えた契約を私は知らない」と述べ違約金証書を無効とする判断をとった。
 アール判事はクロンプトン判事に反対し、違約金証書を有効とし、団結を容認した【*12】。
 第二審裁判所(Court of Exchequer Chamber)は違約金証書が無効である点において第一審裁判所を支持したが、それが犯罪であるかどうかは積極的に意見を表明しなかった。ただアンダーソン判事が、クロンプトン判事と同様の営業制限とする見解を示している。「自由国においては、法律による以外に各人の取引の自由を制限してはならないが、本証書はかかる取引の自由を制限するものである。それは賃金、労働時間、操業の一部又は全部の中止、経営等が多数を構成する他人によって律せられるのであるから、これは自己の判断に従って自己の最善の利益のために取引を行う各人の利益を制限するものである。従って普通法では強行しえない。ただ、それが犯罪を構成するという意味において違法というのではなく、その点については、本件は意見を述べることを要求しておらず、従って必要ではない」【*13】
 1825年法が使用者・労働者いずれも目的・態様を限定しているが団結を放任しているにもかかわらず、使用者どうしが賃金、労働時間等を取り決め横並びとする違約金証書を無効としたのが本判決であり、それがコンスピラシーか否かについて第二審裁判所は積極的に意見を表明しなかったというものである。
 使用者の団結にかかわる違約金証書が無効なら、労働者の団結も、強制、拘束されるものは無効という論理になる。それは団体自治の名のもとに労働組合指導者の統制の下に個人が取引の自由を奪われることを否定する論理である。従って現代の我が国の法制が労働組合の統制力から個人の権利を守る手立てが乏しいことは大きな問題なのである。

②ウォルト・アール卿(Sir Walt Earle判事)の営業制限の法理の縮小解釈
 (営業制限の意味をベンサム主義的に変質させる理論を展開)

 アルバート・ヴェン・ダイシーが『法律と世論』で「1825年以後の50年間、イギリス法を執行したもっともよい、もっとも賢明な」「いかなる裁判官もアール、ブラムウェルほど尊敬を受ける価値があり、もしくは尊敬を受けた裁判官はない」と記されている。ベンサム主義的個人主義者とされるアール卿とブラムウェルに共通していえることは、ダイシーによれば労働組合主義が個人の自由に反し、ピケッティングは恐喝の一形式であり、同盟罷業は理論上は適法であっても、実際においては、雇主、非組合員の恐喝を使用せずに有効に遂行することはできないという物事の本質を理解していたことである。 ダイシーはアール卿の見解を一口に言って、1825年法の下においても、いかなる団結も「営業の自由な進行」の干渉として共謀になる、と慎重に考え主張した【*14】。としているが、この見解は疑問である。
 アール卿はヒルトン事件で使用者団体の団結を容認しているのだ。「もし、すべてのそのような合意(賃金・労働条件の協定)が法から除外されても、それらの合意は、なされるであろうと私は推測する。何故ならば、それらの合意は。厳しい刑罰の下で禁止されていた時でさえ、度々なされ、現在でも不変のままである。そして、立法府は、多分、禁止によってそれらの合意を押さえきれないと考えた。合意が法によって強行されないならば、その合意をなす当事者は、その強行のために社会的迫害に頼るだろう」【*15】
 明らかに、団結容認のベンサム主義的思想といえるだろう。
 しかし、アール卿はピケッティングのように他者の取引を侵害する行為には厳しかった。アール卿の法理論は一口に言って「他人の取引を侵害する団結」conmbination to injure the  trade of anotherに刑事共謀の成立を認め、他人の取引を害するか否かの基準を「害意」の有無とするものである。
 この理論はアール卿自身が委員長になった1869年の「労働組合に関する王立委員会」(The Royal Commission on Trade Unions 1867-69)の多数報告書の基礎となったものである。一見わかりにくいのは、団結それ自体を営業を制限する刑事共謀とは言わない-ベンサム主義を接ぎ木したような理論構成であることである。。
 アール卿はまず1711年営業制限について全般的に考察した指導判例ミッチェル対レイノルズ判決Mitchel v. Reynoldsに基づいて「各個人及び社会公共一般は、取引の過程が不当な妨害unrasonabie obstructionから解放されていることを要求する権利をもつ」という一般原則に基づき、各人は、自己の労働及び資本を自分の欲するところに従って処分するうえで完全な権利を有し、法はこれを保護するのであって第三者はいかなる形にせよ妨害することを禁止される。としたうえで、しかし直ちに取引を制限する契約自体を営業制限とみなさない。取引を制限する契約それ自体は、それを達成するために現実の取引の自由に妨害を与えることによって社会・公共の利益または個人の権利に侵害を及ぼさない限り契約違反、不法行為の私的権利侵害とならなければ、犯罪その他の公的権利侵害をも構成しない。従って、団結の目的が、他人の取引活動または労働の処分を妨害するために追求する場合にはじめて犯罪となる。換言すれば、不法な妨害を受けることなしに取引する権利を有する者の自由意志に強制coercionや妨害molestationを加えることによってい、その者の取引を害するための団結は、普通法上の犯罪を構成する【*16】。
 この理論は18世紀より19世紀初期のマンスフィールド卿、グロース判事、ケンヨン卿のような個人主義私法観に基づき、集団的取引を否定する考え方と違う。明らかにベンサム主義者の結社権の主張に迎合した折衷主義的な見解で論理的に整然としたものとは言いにくい。なぜならばおよそ労働組合は労働者と使用者との関係、もしくは労働者相互の関係、または使用者相互の関係を規制し、あるいは職業もしくは事業の遂行に制限的条件を課すことを目的とし、明らかに営業制限を目的とする団体だからである。それは雇主や非組合員ヘの恐喝により遂行されるから、他者の権利を犯すことを必然とするものであるから。ただ1860年代ともなると、営業制限の法理より、営業を制限する契約をも否定しない契約の自由を神聖視する傾向の強い時代だった。ミッチェル対レイノルズ判決の一般原則が変質した時代でもあり、その風潮を看取することはできる。
 アール卿がピースフルピケッティングを実質容認しない論理を展開したことを評価するものの、労働組合合法化に道筋を与えた見解として疑問視したい。
  
 アール卿がピケッティングに厳しい態度をとった事件として1851年 Reg .v.Rowlandsがある。
 一部の労働者が団結して、他の者を暴行脅迫等により、他の者を同盟罷業に参加せしめ、且つ雇主に対し、経営変更の変更を強制し、さらに他人の就職を妨害したことが、共謀罪として起訴されたものである【*18】。
 アール卿は1825年法第三条【*19】の禁止事項である「脅迫及び妨害」という文言を広く解して、雇主に対して賃金の増額を要求し、その要求を貫徹するために、被用者に対して仕事を休むべきことを、又被用者以外の者に雇入を拒絶すべきことを勧誘することも、雇主に対する脅迫又は妨害であるとし、その行為は同法による犯罪であり、そうするための団結は当然に刑事共謀であるとした。これはコモンローの共謀罪を復活させた見解であった。雇主の営業を害する目的をもって、即ち被用者に仕事を休むべきことを勧誘することによって賃金の増額を強制する目的をもってなす団結は、コモン・ロー上の共謀罪であるとした【*20】。
 アール卿によれば、他人の権利を害するか否かは、その外形的行為ではなく、行為者が害意をもってなすか否か、相手方の取引行為や労働力処分を妨害するためにのみ行動しているかによって決せられる。1825年法第3条の制定法解釈についても、R.v.Hewitt and R.v.Duffirld(1851)においてアール卿は第3条における犯罪の本質は他人の意思に強制を加える意図にあるのであって、かかる意図は暴力・脅迫等を含む行為によって示される。従って、当該行為が本来の暴力・脅迫等の犯罪を構成するためには、当該行為をなす当事者がそれによって相手方の意思を強制し得ると信ずるに足る程度のものであればよいという【*21】。団結して他の労働者をその労務から去らしめる場合は、たといそれが平和的説得もしくは金銭の供与によってなされたとしても、そして何ら契約違反を生じせしめないとしも、使用者に対する害意をもってなされる限り犯罪であると言う【*22】。
 
 アール卿はこのようにベンサム主義に迎合しつつも個人主義的自由主義を徹底した見解も述べている。
 アール卿の労働組合の民事上の地位について見解はこうだった。(Memorandum,p72)
「各人は、労働するかどうかについて、及び労働するとすればその条件について選択する権利を有するが、選択権は、一人の人間が単独で行使し、表示することもできれば、多数人が談合の後共同して(Jointly)行使し、彼等が選択したところを一致して表示することもできる。かつそれに基き、要求すべき条件を獲得する目的で適法に行為することも可能である。しかし、団結によって承認された条件によらなければ労働もしくは雇用しないことを相互に拘束する、法的効果をもった義務を設定することはできない。各当事者は、それが全くなされなかったと同様に、自己の労働に対して与えられることを欲する自身の条件を要求する自由をもつ。人は、自己の意思に従ってその労働もしくは資本を処分する自由を暫時といえども譲渡することは許されないし、かかる自由を一般的に譲渡し自己を奴隷たらしめることもまた許されない。従って、人はかかる自由を組合の執行部に委譲し得ないといわなければならない。」 【*23】 
 この見解では制定法の刑事免責により個別的集合としての罷業それ自体を容認しているが、団体行動に従わせること、は認めていないのである。たとえば、我が国で今日行われているスト賛否投票だが、賛成する者はもちろん反対する者も、多数の賛成が得られれば執行部のスト指令の判断を一任され、それに従うことを誓約するのであるから、自己の意思に従ってその労働もしくは資本を処分する自由を組合執行部に移譲する行為そのものであるから、ベンサム主義者とみられるアール卿の見解からみても営業制限の法理では違法とされる事柄だといえるだろう。
 
③ホーンビィ対クローズ事件(1867)

 19世紀のイギリスの職能別組合は労使間の協約でなく、労働組合が一方的に賃金率を決定し、それを認めないと労働者が自発的に離職し失業者になることによって使用者に認めさせるやり方だった。それができたのは、クローズドショップによる入職規制により、労働市場を支配していたためである。1850年代以降職能別組合は巨額の資金を持つようになったが、労働組合には法律上の地位は与えられていないので、その基金は不安定な地位におかれていた。
 組合基金を保護する目的で、1855年の友愛組合法(friendly society Act)44条により「違法でない目的のために」設立した組合は、その規約を友愛組合登録官に登録することによって、同法の保護を受けられることとしたが、しかし、1867年のホーンビィ対クローズ事件は友愛組合による労働組合の保護を完全に粉砕したのである。
 事案は、ある全国組合の支部議長ホーンビィが、組合員クローズを組合基金を横領したとして訴えたが、治安判事はその労働組合は友愛組合法の適用外として訴えを却下したため、女王座裁判所に持ち込まれた、裁判所は、問題の組合はその規約が「違法な目的」を有しているが故に友愛組合法の範囲内にないとして訴を却下した(結論は全員一致)。
 コックバーン主席判事は 組合の目的には「人が一定の条件の下以外では働かない、また解雇された場合には互いに援助する事を義務づける」規定が含まれている。こうした目的を持った組合は「その組合員が刑法の範囲内にあるという事は論外である」が「このような組合の規約が営業制限の機能をなす事は確かであり、それ故に、かかる意味で違法である、と述べた【*24】。
 ストライキの目的を持つ組合規約を持つ労働組合は営業制限を目的とする違法な団体であり、労働組合はその性質上、公序(Public Policy)に反すると断定したのである。これによりほとんどの組合は、基金の法的保障を失った。
 このホーンビィ判決の先例としての効果をなくすことが、労働団体の政治運動となり、1871年労働組合法による組合「法認」、1875年共謀罪・財産保護法により刑事免責を勝ち取ることとなったが、それは議会による政治的解決であって、法的にはホーンビィ対クローズ事件の営業制限の法理が正しいし、それによって起訴されないというだけのり話であってを法そのものを転覆しているわけではない。

○ アメリカにおける共謀法理の継受

 アメリカ合衆国は、イギリスの18世紀における産業別の団結禁止法、1799-1800年一般的団結禁止法、フランスの1791年ル・シャブリエ法のような団結禁止立法にられる団結禁止政策は知られていない。従って19世紀前半までは欧州より寛容であったともいわれる。
 しかし、アメリカにおいても、労働組合にコモン・ローの刑事共謀法理を適用していた時代がある。1806年のフィラデルフィアなめし靴職人組合事件で、賃金引き上げのための団結が刑事共謀罪にあたるとされた。検事は団結して賃上げをすることによって、需要供給の自然法則による賃金の決定を妨げた。賃上げのために威圧して労働者を組織に加入させ、非組合員には同一使用者の下での労働を拒否して彼らを組織に加入させることは、イギリス慣習法の罪になる。靴工の共謀のごときは、社会に有益な製造工業を妨害し、高賃金高物価を意味し、裁判所は、社会、消費者、産業、個々の労働者を保護しなければならないとした。1809年のニューヨーク靴工事件では労働者に靴工職人団体に加入することを強要し、メンバー以外の労働者を雇用する親方の下では働かないと合意し、それを親方達を強制的に服従させる共謀を(クローズドショップを要求する二次的争議行為)を共謀罪にあたるとしたのである【*25】。
 この判決では靴工団体それ自体を不法とするものではないが、他者に損害を与える不法な行為を目的とする団結は疑いなく共謀罪。目的は不法でなくても目的実現のため恣意的、不法な手段が用いられた場合は共謀罪に当たるとしたものである。このように19世紀においてアメリカでは刑事共謀法理が適用されていた。
 ところが、マサチューセッツ州最高裁1942年のハント事件Commonwealth v.Huntで、これは、ボストン製靴職人組合が規約違反で組合員資格を失った被用者に対して、組合側が親方に解雇を要求し、解雇された事件で刑事共謀法理が適用されず、組合は無罪となった。
 但し、この事件は、刑事共謀法理それ自体を否定するものではない。目的・手段で判断すべきものという趣旨だった。「マサチューセッツの普通法は、違法かつ犯罪とされるような行為を行う団結をなすことは犯罪であるというイギリスの原理を採用した。しかしイギリスにおいて違法でありもしくは犯罪であった多くの行為は、マサチューセッツにおいては、必ずしも犯罪ではなく、もしくは違法行為でもなかった」と言うのである【*26】。これを契機に刑事共謀法理は適用されなくなっていく。民事共謀法理はなお適用されたが、転換点といわれている。

○営業制限の法理を継受した性格を有するシャーマン法

 すなわち、労働者の集団的行動に対してはその手段が合法的である限り共謀罪は適用されないという判断が主流となっており、ニューヨークやペンシルヴェニアなどの主要な工業州では組合の「秩序ある平穏な」行動や圧力はたとえ事業や他人の収入に損害を与えても「違法な強制」とはならないことを立法化した。
 しかしながら、1880年代半ば以降の労働騎士団の躍進、1886年ヘイマーケット事件にみられるアナキストの策動など、ストライキやボイコットの増加、危険思想を持ち込む外国人移民は、中産階級や有産階級に恐怖感を植えつけ、社会不安が高まった。
 この危険な状況に対応するように裁判所は、1880年代半ばから、労働法に関する理論を、共謀法理ではなく、財産権と契約自由、レイバー・インジャンクションを軸として全面的に再構築されていく。裁判所は財産権(自らの資本・労働を用いる権利と、個人同士の契約の自由にもとづく法理論によって、労働者の集団的行動を否定的に捉えた。裁判所は組合規則や慣行の遵守を強要し、スト破り行為を禁止する労働組合を個人の自由を制限し専制的であるとみなし「脅迫」の定義を拡大し、ほとんどあらゆる集団行動を禁止した【*27】。
 19世紀後半、特に1870年代以降は営業の自由(営業制限の法理)より契約の自由が神聖とされ、文明社会において不可欠のものと認識されていた。ともすれば、営業制限特約が契約の自由の神聖の名のもとに許容され、ともすれば16世紀末期以来の営業制限法理が疎んじられる時代だったともいえる。
 そうしたところ連邦議会の制定法であるが、1890年のシャーマン法によって、営業制限法理が再び具現化されることとなったという意味で、バランスをとったともいえるのである。

 つまり結論としていえることは、シャーマン法は16世紀以来のコモン・ローの営業制限の法理を、州際取引の連邦議会制定法と言う形で、継受したという性格を有しているということである。

                   *  *

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 シャーマン法第1条「州際、外国との間の取引あるいは通商を制限する全ての契約、トラストその他の形態の団結、共謀を不法とする」ものだが、基本的にコモンローの営業制限の法理そのものといえる。「契約」「団結」「共謀」という文言が労働組合を包含するのかという問題について、労働組合を本法の適用外におくという修正条項も検討された。しかし法案提出の最終段階で修正条項が脱落したといわれている。それは労働組合も脅威と認識されていたことを示す。その判断は正しかった。法律家が使用者の団結と労働者の団結を相関的に処理してきたことちは既にのべたとおりである。企業のむ団結・共謀のみを不法とするのは、片手落ちなのである。
 シャーマン法が労働組合に適用された最初の事件は1893年3月25日のニューオーリンズの荷馬車馭者組合の同盟罷業と他の組合の同情罷業が、州際ないし国際間の取引商品の輸送を完全に遮断したという理由で検察側のインジャンクションを許した事例である【*28】とされているが、重要な事件としては1895年のデブス判決IN RE DEBS, 158 U.S. 564 (1895) http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?court=us&vol=158&invol=564 は前年のプルマン・ストライキの差止命令を連邦最高裁が支持したが、シャーマン法の適用も消極的ながら支持されている。
 
○ダンベリー帽子製造工事件

 1895年のデブス事件判決は消極的にシャーマン法の労働争議への適用を支持したのものだが、「ダンベリー帽子製造工事件」として知られる1908年のレーウェ対ロウラー判決Loewe v. Lawlor 208 U.S.274  http://www.law.cornell.edu/supct/html/historics/USSC_CR_0208_0274_ZS.htmlが労働組合の活動にもシャーマン法が適用されることを確定させた。 
 
 事案はコネチカット州ダンベリーにあるレーウェが共同経営する帽子製造会社に対してなされた組合承認を求める闘争で、会社が組合承認を拒否したことから、北米帽子工組とAFLは同社製造の毛皮帽子販売のボイコットを消費者に呼びかけ、同社製品を扱う小売店をボイコットしたが、このボイコットはレーウェの会社に大損害を与え、会社側が損害賠償請求を起こしたものである。連邦最高裁はボイコット戦術を州際通商の制限にあたるとしてシャーマン法違反の判断を下し、ボイコットによって発生した損害額の3倍の約25万ドルの賠償支払を組合及び構成員に命じた【*28】。
 極保守派フラー首席判事の法廷意見は
 「シャーマン法は州間における自由な通商の流通を本質的に妨害する行動を防止するため、一切のどのような団結であろうともこれを禁止した‥‥州際通商の妨害はね間接的であり、被告は通商に従事しなかったという被告の主張は無効である。その理由は、シャーマン法は、そのような形態、あるいは性格が何であろうと、もしくは当事者が誰であろうとも、取引制限のためにするあらゆる契約、団結、あるいは共謀は違法であると宣言しているからである‥‥」
 また「「シャーマン法は、労働条件改善のために組織せられた組合に適用される。先例によれば、裁判所は、『議会の討論は、法律が資本集中の弊害にその制定理由をもっていることを示す。しかし、議会がその最終的法律を仕上げた時に、弊害の根本が重要なものとして考えられるべきでなく、その全体的性格の面においてその弊害が処理されるということが立法者の精神の中に広まってきている。』と述べた」【*30】として立法趣旨においても労働組合への適用を妥当なものと述べた。
べた。
 
  組合を承認せず、組織化を阻止する企業をねらい打ちにする二次的ボイコットにより労働組合が労働市場を独占することはアメリカの風土では容認できないのである。シャーマン法の主たる立法目的が企業の独占を排除し取引の自由を確保することであるが階級立法ではないのであるから州際通商を制限する、団結・共謀はそれが、労働者の団結・共謀によるものであれ違法とする判断はまっとうなものである。
  イリノイ・ミネソタなど4州は反トラスト法による起訴から労働組合を免除する法律を制定したが、連邦最高裁によって一部の勢力に利する「階級立法」として無効にされた。ロ-ウェ事件と同じ時期にバックス・ストーヴ・アンド・レンジ社との争いでサミュエル・ゴンパースらがAFL幹部が差止命令に反し、ボイコット(二次的ボイコット)を呼びかけ法定侮辱罪に問われる事件もあった。以後、ボイコット禁止命令に公然と挑戦する動きは収まった【*31】。

【*1】松林和夫「イギリスにおける「団結禁止法」および「主従法」の展開」高柳信一,藤田勇編『資本主義法の形成と展開. 2 』東京大学出版会1972

【*2】高橋保・谷口陽一「イギリス・アメリカにおける初期労働運動と共謀法理」『創価法学』35巻1号2006年
【*3】矢崎光圀監修 大阪大学法文化研究会 「イギリス契約法史の一潮流--アティアの近著に依拠して」-1-『阪大法学』通号125 1982
【*4】松林高夫『イギリスの鉄道争議と裁判-タフ・ヴェイル判決の労働史』ミネルヴァ書房2005 226頁
【*5】高橋保「イギリス労働法における共謀法理(コンスピラシー)の形成と展開」『創価法学』7巻4号1978
【*6】中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論』ミネルヴァ書房1998 66頁
【*7】谷原 修身「コモン・ローにおける反独占思想-4-」『東洋法学』38(2) [1995.03])
【*8】中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論』ミネルヴァ書房1998 66頁
【*9】田島裕「コンスピラシー法理の研究-2-スター・チェンバーによるその法理の利用 」『 法学雑誌 』 25(1) [1978.09]
【*10】前掲論文
【*11】石田真「イギリス団結権史に関する一考察(上) : 労働組合の法認と「営業制限の法理」早稲田法学会誌  26, 277-314, 1976-03-20  http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/6333
【*12】前掲論文
【*13】片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952 128頁
【*14】A・V・ダイシー 清水金二郎訳『法律と世論』法律文化社1972 210頁
【*15】石田真 前掲論文
【*16】石田真 前掲論文
【*17】片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952 130頁
【*18】江家義男「英米法における共謀罪(Conspiracy)」『早稲田法学』24巻3号 1949[ネット公開論文]http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/1600 378頁
【*19】第三条は、個々の労働者によってなされる暴力・脅迫ならびに妨害(molestation or in any way obstruction)を厳重に禁止する。(「」内は二四年法にはなく本法で附加された規定)
(1)身体・財産に対し暴力を用い、または脅迫し、または「他人を妨害することにより」、以下の行為をなすこと
(a)職人・製造業主・労働者もしくは事業に雇用される他の者を強要して、その職・雇用もしくは仕事を去らしめ、または完成前にその仕事を中止せしめ、または「これらのことを強要しようと努めること」
(b)「職人・製造業主・労働者もしくは雇用されていない他の者が、雇用され、または他人から仕事もしくは雇用を受容することを妨げ、または妨げようとすること」
(2)
(a)他人を強要しまたは誘引して、クラブ・団体に所属させ、共同の基金に醵金させ、罰金もしくは違約金を支払わせる目的をもって、または、(b)特定のクラブ・団体に所属しないこと。賃上げ、賃下げ、労働時間の減少・変更のため、もしくは営業の方式・事業の管理に規制を加えるためになされた規約・指令・決定・規則に従わず、または従うことを拒否したことの故をもって、その者の身体・財産に暴力を用い、脅迫し、または「妨害する」こと。(3)他人の身体・財産に対し暴力を用い、脅迫し、または他人を「妨害して」、製造業主もしくは事業を営む者を強要し、もってその業務を規制し、管理し、指揮し、もしくは行う方式に変更を加えしめ、または「その者の徒弟の人数、その職人・労働者の人数・種類を制限する」。
 以上の行為をなした者、及びこれを教唆し、幇助する者は、略式手続き(六条」により、三月以下の禁錮に処す。片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952 117頁
【*20】24田中和夫「英米に於ける労働組合と共謀罪」『一橋論叢』23巻2号 1950[ネット公開論文]』http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/handle/10086/4593
【*21】片岡曻 前掲書 194頁
【*22】片岡曻 前掲書 198頁
【*23】片岡曻 前掲書 135頁
【*24】石田真 前掲論文
【*25】高橋保・谷口陽一「イギリス・アメリカにおける初期労働運動と共謀法理」『創価法学』35巻1号2006年
【*26】前掲論文
【*27】竹田有『アメリカ労働民衆の世界-労働史と都市史の交差するところ』ミネルヴァ書房2010年 154頁
【*28】田端博邦「アメリカにおける「営業の自由」と団結権 」東京大学社会科学研究所研究報告 第18集『資本主義法の形成と展開  2』東京大学出版会1972年【*29】楠井敏朗「アメリカ独占禁止政策の成立と意義(下)」  『横浜経営研究』第13巻4号(1993)http://ci.nii.ac.jp/naid/110000218782
【*30】谷口陽一「労働差止命令-ニューディール以前におけるアメリカ労働法の形成過程」『創価大学大学院紀要 』31, 85-98, 2009 http://daigakuin.soka.ac.jp/bulletin-law.html
【*31】竹田有「アメリカ例外論と反組合主義」古矢旬・山田史郎編『シリーズ・アメリカ研究の越境第2巻権力と暴力』ミネルヴァ書房2007年

2011/02/09

管理職のヤフーID登録-クロの心証

 今日、情報セキュリティ・個人情報保護の悉皆研修というのがあったものだから、ヤフーのID登録をやったのは重罪でしょときいたら、ID登録にまで入れることを確認したことを課長補佐と話しただけで、登録するには情シスの許可が必要だから連絡をとっただけという。
 なんで、そんなことをやったのかはきかなかったが、登録する手前まで入っていったことは認めているのでクロの心証だ。
 こんな掟破りをやっているやつが、セキュリティ研修でえらそうなこといっているから不愉快だ。これをやったら組織に迷惑がかかるだの懲戒処分だのと言っていたが、業務以外でパソコンを使うの違反という例では、農水省の職員がウィキペディアの編集をやっていたことしか例としてださなかった。
 私は局長にロータスノーツのグルーブウェアで意見具申して違反だ違反だとわめいていたが、てめえは一般職員ができないことをやってOKだというのはふざけている。

2011/02/08

団体交渉コレクティビズムから個別雇傭契約自由放任主義へパラダイム変換(下書き5)

第4回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-df3f.html

アメリカ合衆国-非組合企業隆盛の理由(5)

1.アメリカの経営者の反労働組合主義と憲法革命以前の保守的な司法

承前

 ●シャーマン法の労働組合への適用 (1)

 我が国の独占禁止法の母法である1890年シャーマン法の正式名称を「違法な制限および独占から取引および通商を保護するための法律」という。この法律の制定にリーダーシップを取ってきた上院議員の名前を付してシャーマン法と通称される。
 その立法目的は、一般的には州際通商および外国との交易において「完全で自由な競争」を促すことであり、直接的にはトラスト等による大規模な結合体が生産、供給、価格を支配することから消費者の経済的利益と小規模企業の独立および生存権を保護することである。当時の社会において、大衆の大多数が競争的な社会を望み、大企業の活動に敵意を抱いていたことが背景にあった。
 シャーマン上院議員はトラスト問題の解決のため営業(取引)制限や独占に関するコモン・ローの法理を継承することを提案した。連邦議員のメンバーは好意的だったが、合衆国憲法通商条項が連邦議会にトラスト問題を規制する権限を授与しているのか、関税法との関連などで意見の対立があり、結局シャーマン法は、多くの妥協案が取り入れられ、コモン・ローのアプローチを採用しながら、違反者に罰金、禁固刑などの刑事罰を科したこと、違反行為を停止する差止命令を求めうること。損害を蒙った者に私的訴訟を許し、三倍額の賠償を認めた点で、コモン・ローの範囲を超えた内容になっている【*1】。
 以上の立法趣旨からシャーマン反トラスト法は、先買・再販・買占め規制の1552年制定法に由来するという説もあるように古い由来があり、歴史的には営業制限の法理、一定の団結や営業制限に対する合意に対する敵意を前提としたコモン・ローのパブリックポリシーの延長線上に位置するものと理解できる。
 重要なことは、そもそも労働組合が営業または企業の行為に制約的諸条件を課そうとする団結であり、営業制限を目的とされ不法とみなされていた歴史があることだ【*2】。シャーマン第1条は「州際、外国との間の取引あるいは通商を制限する全ての契約、トラストその他の形態の団結、共謀を不法とする」と規定していたことから、「団結」「共謀」と言う文言により労働組合にも適用される可能性がはじめからあったということである。
 言い換えると独占禁止法の法源をたどるとそこに労働組合を一網打尽に叩く法理をみいだすことができる。独占禁止法と反労働組合政策は元々親和的な性質を有していた。営業制限の法理の歴史を辿ると長文になるのでここでは要点に絞ることとする。

(営業制限の法理と労働組合)

 反独占はコモン・ローの伝統であった。あらゆる営業独占が敵視された。契約法の大家P・Sアティアが強調しているように「独占」Monopoliesという言葉が極めて広い意味をもっていた。つまり「営業を制限もしくは規制する排他的権利」を「独占」というのである【*3】。
 16世紀末期からの国制論争において国王大権たる独占特許状の付与をコモン・ローに反すると裁定されたことにより法の支配が確立したのである。私はそれが絶対王政の国王大権を実質制限した立憲君主制-近代市民社会の成立でもっとも重要な意味のある事柄であった。
 営業独占が有害であるという法廷による決定的なステートメントは、1602年ダーシー対アレン判決Darcy v.Alleinという著名な判決である。1598年原告エドワード・ダーシーは、女王エリザベス1世から英国の市場でトランプの全てを輸入し販売する開封勅許状を受取っていた。ところがロンドンの小間物商が女王と原告の許可なしにトランプを販売したため訴えられた。
 王座裁判所全員一致の意見は次のように述べた「原告にたいする……前記の権利付与はまったく無効である……第一に、すべての営業は……国家にとって有益であり、したがって、トランプの独占権を原告に付与したことは、コモン・ロー、および臣民の利益と自由に反する。…」【*4】。
 1711年営業制限について全般的に考察した指導判例ミッチェル対レイノルズ判決Mitchel v. Reynoldsにおいては「非任意的制限(当事者の合意に基づかないもの)に関して、国王の権利附与および特許状ならびに定款による制限が一般的に無効であるという第一の理由は、法が営業および誠実な勤勉さに与えている奨励に由来し、臣民の自由に反するからである。」とされた。【*5】。
 
 コモン・ローの独占に対する敵意は、多くの形態の団結に対する一般的な敵意をも表明した。1721年の南海泡沫会社事件以来あらゆる法人に対する敵意が存在していたのであり、18世紀を通じて奨励されていたのは個人企業であった【*6】。有限責任会社の創設は19世紀の後半、1856~62年に反コモン・ローのベンサム主義者による契約の自由の拡大の努力によりもたらされたものである、自己の財産の一部を損失の危機にさらさずに、営業をなすべき個人の機能は、コモン・ローが認可する契約ではなかったのである【*7】。
 コモン・ローは独占的性質をもつあらゆる団結に対して敵意をもつが、団結が商品価格を固定するものであろうと、労働価格を固定しようとするものであろうと差異はなかった。
 18世紀中葉の法曹の大御所であったマンスフィールド卿(王座裁判所King,s Bench主席裁判官、積極的に法制度改革を試み近代において最も偉大な法曹の一人)の1783年のエックレス事件の意見はよく引用される。
「起訴状に共謀を実現する手段を記述する必要はない。何故ならば犯罪は害悪を何らかの手段をもって実現する目的のもとに、共謀することにあるからである。違法な結合が犯罪の眼目である。商品を所有する者は個人として自己の欲する価格でそれを販売し得る。しかし彼等が一定価格以下では販売しないことを共謀し、合意するならば、それはコンスピラシーである。同様にあらゆる人間は自己の好む場所で労働できる。しかし、一定価格以下では労働しないとして団結することは、起訴さるべき犯罪である」【*8】
 このように、裁判所は、営業の制限を内容とする複数人の結合はそれ自体コモンローのpublic policy(公共政策、公序)に反し、共謀に該り、犯罪として起訴されるという法理を形成していた。要するに反独占とは反団結でもある。
 マンスフィールドを引き継ぎ王座裁判所の主席判事をつとめたのは保守的な法曹と評価されるケンヨン卿であるが、ケンヨン卿は1799年ハモンド事件 R.v.Hammond and Wabbにおいて(事案は1792年に靴製造職人の団結の規約が作られ、そこには彼らの集会、相互援助のための基金、その他彼らの企図を進めるために相互に運営して行く事項が印刷されていた。本件は組合を結成し、賃金の引き上げのために共謀したことを理由に起訴された)。労働者団体を「一般的共謀」【*9】と断言した。組合の結成そのものも刑事共謀罪に該当すると判示した。1799-1800年団結禁止法は営業制限の法理を制定法により具現化したものといえる。 

 
   
【*1】谷原修身『現代独占禁止法要論』六訂版 中央経済社 2003年 45頁
【*2】イギリスの1871年労働組合法は組合基金に法的保護を与え、その共済手当給付を自由とした世界史上初の労働組合合法化立法であるが、「本法がなければその目的が営業制限の理由により不法の団体と見なされるべき」労働組合を「単にその目的が営業制限という理由のみでは不法とみなさない」(同法2条)(秋田成就「イギリスにおける争議権」『季刊労働法』5(1)1955年)と規定した。同法では新たにトレードユニオン(労働組合)となづけた団結を次のように規定した。労働組合の定義として最もわかりやすいものである。「労働者と雇主たち(マスターズ)、あるいは労働者たちと労働者たち、あるいはマスターズとマスターズとの間を規律しようとする団結、ないし営業または企業の行為に制約的諸条件を課そうとする団結」。(中西洋『《賃金》《職業=労働組合》《国家》の理論》』ミネルヴァ書房1998年141頁以下)
【*3】矢崎光圀監修 大阪大学法文化研究会 「イギリス契約法史の一潮流--アティアの近著に依拠して」-1-『阪大法学』通号125 1982
【*4】堀部政男「イギリス革命と人権」東大社会科学研究所編『基本的人権2』東京大学出版会1968所収
【*5】松林和夫「イギリスにおける「団結禁止法」および「主従法」の展開」高柳信一,藤田勇編『資本主義法の形成と展開. 2 』東京大学出版会1972
【*6】矢崎光圀監修 大阪大学法文化研究会 「イギリス契約法史の一潮流--アティアの近著に依拠して」-1-『阪大法学』通号125 1982
【*7】A・V・ダイシー 清水金二郎訳『法律と世論』法律文化社1972 211頁
【*8】片岡曻『英国労働法理論史』有斐閣1952
【*9】松林和夫「イギリスにおける「団結禁止法」および「主従法」の展開」高柳信一,藤田勇編『資本主義法の形成と展開. 2 』東京大学出版会1972

管理職のヤフーID登録に怒り心頭

管理職のヤフーID登録に怒り心頭

 今日、小耳にはさんだ話だが、私の上司である管理職が、パソコンでヤフーID登録を行って情シスから注意を受けたという。
 これは重罪だろ。ホットメールでも使おうとしたのかしれないが、こんなやつが情報セキュリティとか悉皆研修をやっていてふざけている。
 内蔵されているアプリケーションソフト以外のソフトをダウンロードはしていけないことが内規で定められている。どうしても業務上必要な場合は担当部署と協議のうえ許可が必要である。
 類似した事例を知っているが、別の管理職だが、某ソフトをダウンロードしたことが発覚した職員には、管理職から調査課に呼びつけられて、えらいめにあわされたと怒り狂っていたが、一般職員だったらむちゃくちゃ叩かれますよ。
 私なんか、ロータスノーツのグループウェアで局長に直接意見具申したら、それは業務以外の使用だから職務専念義務違反とかいう。労働組合の頭上報告や職場離脱集会、組合バッジの着用など、勤務時間中のビラ配りなどは棚にあげといて、管理職もお気に入りの職員に主任試験論文指導とかやっているのを棚においてですよ。
 ひどいのは平成13年の事例だが、調査課は都の方針に沿って調査課は一人一台パソコンとする方針だが、営業部は組合営業部との協定で、一人一台でも、使ってよいのは料金計算ソフトのみで、はじめから内蔵されライセンスを局が払っている、ワード、エクセル等は一切使わせない。ワードなどは共用パソコンを使うというむちゃくちゃな方針をとっていた。つまりあくまでもパソコンは共用しか許さない、OA機器導入はすべて組合協議で組合が認めないかぎり、都の方針でもパソコンはいじらせないというものだ。
 所長会で、組合の主張にあわせるために、はじめから内蔵されているアプリケーションソフトを使ったら、勝手にソフトをインストールした場合と同罪として扱うという方針を決めてしまって、私が調査課では認めている、はじめからインストールされている一太郎を使ったということで叩かれて、書いたものも全部消されるいやがらせを管理職と組合の双方から受けた。当時組合役員が監視して回って、ワープロのアイコンがデスクトップにあるかをみているひどさだった。
 局が職員に使わせるためにライセンスを払ってパソコンに内蔵している、ワープロや表計算ソフトを使って叩かれてるのに、管理職はなにをやっても簡単な注意程度では不公平である。

2011/02/06

団体交渉コレクティビズムから個別雇傭契約自由放任主義へパラダイム変換(下書き4)

第1回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-ab5d.html
第2回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-c8e7.html
第3回http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-df3f.html

アメリカ合衆国-非組合企業隆盛の理由(4)

1.アメリカの経営者の反労働組合主義と憲法革命以前の保守的な司法

 ●司法部による雇用主と非組合員の神聖な権利の擁護

1892年アイダホ州コーダレーン銀山ストライキ(組合敗退)も重要な事件である。経営者が州法に違反して州外から武装ガードマンに護衛されたことが原因で暴力沙汰が起こり、死者が出て、鉱山が労働者に爆破され占拠された。そのため、州兵とともに連邦軍が介入して四ヶ月間戒厳令をしいた。軍は600名以上を逮捕し、罪を認めて組合不加入の誓約のみを認める者のみを釈放した【*1】。
連邦裁判所コーダレーン判決(1892)は、組合からの圧力に対して保護される権利として、雇用主と非組合員労働者の個人的自由を明解に「財産権」と
規定した。現在の従業員や将来の就職希望者(この裁判ではスト破り労働者を意味)を処遇する雇用主の自由、従業員を自由に解雇する雇用主の自由は財産権となり、そのような解雇を阻止するために組合員が有効で平穏な圧力をかける自由は違法となった。労働者が自分たちの利益を守り条件を改善するために組織することは自由であったが、集団的行動は大幅に制限された【*2】。
 重要なことは非組合員労働者が、雇用主が非組合員労働者を雇用し処遇する財産権と対になるかたちで非組合員労働者が雇用主と契約し就労する個人の自由も財産権の範疇とされていることである。
 個人の労働力処分の自由も財産権であり神聖な領域とされたわけである。従って、労働組合のピケットやいやがらせによって就労を妨害されること自体も権利の侵害なのである。労働組合は雇用主との合意で労働力の集団的取引を行うことが契約の自由として認められるとしても、他者の財産権を侵害する集団行動は制限されることという趣旨である。
 レイバー・インジャンクションは衡平法による差止命令の一種で、財産権の不法な侵害によって回復できない損害を生じるおそれのある場合に侵害行為を禁止する裁判所の命令であるが、営業権も財産権であるというのは、差止命令で救済するためにの方便ではないかとの批判があるかもしれない。しかし私は次の理由で近代市民社会の帰結として妥当なものであると考える。
 契約法の大家P・Sアティア『契約自由の盛衰』によると、そもそも財産権は中世においては絶対的なものではなく、自由土地保有者は所有者というより保管者だった。しかし時代が下ると自由な者は物品の所有権をもつようになり、自らの土地を使用し収益することを望んだ。1760年代には、ホイッグ派もトーリー派も同じように財産権を絶対的なものみなしていた。にもかかわらず18世紀には、古い慣習の権利が残っていた。第一にその土地の近隣にすんでいる貧しい人々が享受できるもので、放牧したり、柴や薪をとったりする権利である。第二に伝統的な家族の権利、とりわけ厳格継承財産設定である。土地相続者の処分権は制限されていた。財産は所有者のためにあるのではなく、家を支えるためにあるという王朝風の家イデオロギーが存在していた。
 しかし1770年頃から負債の弁済などに関する約束が富を構成するものとなった。財産とは物的財産だけではなく、交換価値のある約束も含むものとなった。紙幣や為替手形、約束手形の使用は交換形態に大きなインパクトを与えた【*3】。財産の主要な形態が物的財産や単なる所有ではなく、契約上の取引など期待に基づくものとなった。
 この流れから契約上の取引の自由も財産権として法的に保護されるべきものとするのは当然と考えるのである。

 オープン・ショップ運動は、組合が労働市場を支配するクローズド・ショップを個々の労働者の権利と自由を否定する非アメリカ的なものとして徹底的に排除する雇用主の政策であるが、オープン・ショップは非組合員が就労する権利を神聖とする司法部にも支えられていた。しかし、それだけではなく、革新主義政治のセオドア・ルーズベルト政権の商務労働省においても実質的に支持された政策なのである。
 セオドア・ルーズベルトの「スクエア・ディール」(関係者すべての者の利害に公平に処置するという政策)として1902年ペンシルヴァニアの無煙炭坑労働者のストライキの介入がよく知られているが、労使双方をホワイトハウスに呼んで、調停委員会を任命し、ストライキを収拾した。
 調停委員会は概ね資本側の意向に即して人選され1903年に裁定を下している。そこで10%賃上げと9時間労働の設定で労働者の要求に応えたが、組合の勝利というほどではなかった。組合活動については、反組織労働の立場を明確にした。すなわち裁定は組合員であるか否かによる差別や非組合員に対する組合の干渉を禁じただけでなく、「非組合員の権利は組合員のそれと同様に神聖である。多数派が自発的組合を結成することにより、それに加入しない者に関しても権限を得るという主張は支持できない。」と明記された。オープン・ショップ運動はこの時期から本格化していく。 
 オープン・ショップ運動を全国的な運動に結集する要の役割を果たしたのが1895年に輸出増進を主眼として設立された全国製造業者協会(NAM-National Association of Manufacturers)http://www.nam.org/s_nam/index.aspである。NAMは、オープン・ショップ政策だけでなく1935年ワグナー法反対の論陣を張り、1947年タフト・ハートレー法制定を推進し、今日でもカードチェック法案に反対する雇用者団体だが、一貫して反労働組合の要を担ってきた、アメリカ史のなかでももっと評価されてよいと考える。
 NAMは労使関係の危機意識が高まるなかで1903年に反労働組合戦線結成の大会を開き124の経営者団体が参加した。ここでアメリカ市民産業連盟(CIAA)が設立され、NAMの組織を基盤にオープンショップ運動を展開、NAMはレイバー・インジャンクション(労働争議における裁判所の差止命令)の要請、組合指導者の告発、損害賠償の訴追を積極的に行った【*4】。
 
 連邦最高裁のレッセフェールアクティビズムの典型的な判例として、憲法で明文規定の雇用条件として労働組合に加入しないことを要求するいわゆる黄犬契約を禁止する連邦法を「契約の自由」の侵害として違憲と判断したアデア対合衆国判決ADAIR v. U S, 208 U.S. 161 (1908) http://caselaw.lp.findlaw.com/cgi-bin/getcase.pl?court=us&vol=208&invol=161 が挙げられる。
 ハーラン判事による法廷意見は「労働者が適当と考える条件で労働の買手が買う条件を定める権利と異ならない。雇用者と被用者は平等な権利を有しており、この平等性を妨害する立法は、契約の自由に関する専断的な干渉になる」【*5】と述べ、修正5条のデュープロセス条項違反として違憲判断が下されている。
 黄犬契約禁止の州立法を違憲とした判例としてコッページ対カンサス判決COPPAGE v. STATE OF KANSAS, 236 U.S. 1 (1915)
 http://caselaw.lp.findlaw.com/cgi-bin/getcase.pl?court=us&vol=236&invol=1においてピットニー判事の法廷意見は、労働者側は経済上の弱者であって労働の売買は対等な立場で行われていないという州裁判所の見解を排して、私有財産権の存するところには富の不均衡ははつきものであり、あらゆる契約で当事者双方が平等な立場に置かれるとは限らない。「契約や私有財産権の自由を守りながら、これらの権利の行使に必然的に伴うことになる富の不均衡の合法性を認めないということは、事理に反する」と述べた【*6】。私有財産権の存するところ当事者の不平等が前提であらゆる契約・取引が成り立っていて、契約当事者の力関係の対等性などありえない。現代においては古典的自由主義者シカゴ大学ロースクールのエプステイン教授がピットニー判事と同様の趣旨を述べている。
 連邦最高裁ヒッチマン判決Hitchman Coal & Coke Co. v. Mitchell, 245 U.S. 229(1917)http://caselaw.lp.findlaw.com/cgi-bin/getcase.pl?court=us&vol=245&invol=229のピットニー判事による法廷意見は、黄犬契約を結んでいた非組合員の炭坑夫を組織化しようとした統一炭坑労働組合の活動について労働組合が労働者に組合加入を働きかけることは契約違反の誘致にあたり、組合の勧誘行為のレイバー・インジャンクションを認め、オルグ活動は労働者の「非組合員的地位」に対して有する経営者の財産権(炭坑を非組合員によって操業する権利)を侵害し、非組合員労働者の契約上の権利を侵害するとの判断も下した【*7】。
 ツルアックス対コリガン判決TRUAX V. CORRIGAN, 257 U. S. 312 (1921)http://supreme.justia.com/us/257/312/case.htmlにおいても連邦最高裁は営業行為を財産権と述べ憲法で保障されると明解に述べ、レイバー・インジャンクションを支持した。
 これは平和的な争議を構える場合に争議差止命令を要求しても裁判所は認めないとした1913年アリゾナ州法を違憲としたもので、事案はレストラン経営者に争議を起こした従業員がレストラン前でピケットを張り、周辺住民に当該レストランの利用を避けるようボイコット戦術をとった行為であるが、タフト主席判事による法廷意見は「営業行為は、財産を獲得する行為として憲法が保障する財産権に含まれる実質的な財産権そのものであり、労働者の争議がこの営業行為の妨げになる場合、雇用者が争議の停止を求めることは憲法的権利である。本事件の場合、レストランのボイコットを第3者に対して呼びかけた行為は営業を妨害した行為である。アリゾナ州法はその種のボイコットを停止させるインジャンクションまで禁止している点で違憲」と述べた【*8】。
   
【*1】竹田有『アメリカ労働民衆の世界-労働史と都市史』ミネルヴァ書房2010 152頁
【*2】前掲書 156頁
【*3】矢崎光圀監修 大阪大学法文化研究会 「イギリス契約法史の一潮流--アティアの近著に依拠して」-1-『阪大法学』通号125 1982
【*4】長沼秀典・新川健三郎『アメリカ現代史』岩波書店1991 297~300頁
【*5】石田尚『実体的適法手続』信山社出版1988 16頁
【*6】前掲書
【*7】水町勇一郎『集団の再生―アメリカ労働法制の歴史と理論』有斐閣2005 69竹田有「アメリカ例外論と反組合主義」古矢旬・山田史郎編『シリーズ・アメリカ研究の越境第2巻権力と暴力』ミネルヴァ書房2007年170頁)

【*8】紀平英作『ニューディール政治秩序の形成過程の研究』京都大学学術出版会1993 86頁

2011/02/03

本日は不当処分抗議声明職場集会

 私の職場(東京都水道局)では、9時15分頃組合ニュースを分会書記長が、各組合員の机に配りはじめ、所長に一言断ったうえで、9時18分頃から34分まで書記長会議報告と2月3日付の全水道東水労中闘5名の最大16日間の停職処分(昨年12月10日の1時間ストライキと17日の勤務時間執務室内職場集会を理由とする)と各支部長に対する訓告(12月10日の1時間ストライキ)に対する長文の抗議声明を朗読するための集会をやった。
 所長は認めてないので自席に戻るよう望みますとか言っていたけど、勿論命令ではなす。
 書記長会議報告では1月闘争の総括として、当初23年4月から板橋営業所と足立営業所の監理団体の(株)PUCへの業務委託の提案については、提案自体を撤回できなかったが、足立営業所を切り離したうえで、板橋営業所だけの問題として、実施時期も延期させた(実施時期は未定)ことはストライキを打った闘争の成果だと言っていた。
 抗議声明のほうは長文で声も大きかった、訓告という軽い処分だが、支部長の処分は初めてで団結を破壊するものなどと言っていた。
 また国家公務員の労働基本権付与の流れに逆行する処分で、人事院勧告廃止で、公務員は横並び賃金でなくなる方向性とも異なるという趣旨のことも言っていた。
 そもそも、勤務時間中に自由にビラが配布されていることも問題だが、こういう演説も
は中止命令を出すことはしないのである。
 またきょう午前中小耳にはさんだところによると設備担当者が「ここはまだ低いけどよその営業所では27度から28度だよすごいんだから」と言っていた、私の職場は23度(私の机の私物の温度計)だが、もちろんこれは22年11月26日付22環都計475号総務局長・財務局長・環境局長より公営企業管理者宛の通知(廊下に貼り出してある)「冬のライフスタイル」通知に違反している。執務室内は20度設定でなければならないはずだ。(これは東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市・さいたま市・千葉市の1都3県5政令指定都市共通の通知)
 これは今の職場でないが、私はきちんと内閣府の省エネ通知(民間は20度、官庁しは19度、ウォームビズで対応)をきちんと読んでいて、下着を2枚着込んでウォームビズをやってるが実際には25度ぐらいになるのであせだくで仕事していた。管理職に暑すぎるというと、怒りまくって、19度といっても、朝8時半の19度なのか何時の19度なのか、どこで計測すべきものか、机の上トハ書いてたない、どの場所での19度なのか規定は何もないんだ。おまえの机の上の24度とか25度という計測は全く問題にならないというわけである。デスクワークデ働いている人の机の上の温度という規定ハ何もないから、いくら25度だと言っても通知に違反する訳ではない。勿論、8時半より前は暖房を入れたばかりなので19度以下なのは知っている。だから違反しないという屁理屈そのものなのである。
 要するにはじめから逃げ道が用意されていて、黒いものも白いものといいくるめる手法だ。私は仕事をさせないいやがらせの昼休みの消灯やなどより、冷暖房をきちんとコントロールしたほうが、温室効果ガス排出は少なくなるのではと思う。表向き20度設定と言っているだけで、抜き打ち監査もなにもなく、アンタッチャブルな領域になっているのが実態である。
 本日発売の東スポを読んだが大変慎重な記事ですね。「当事者同士が認めない限り疑惑の域を出ない」という記事であくまでも「八百長疑惑」にすぎない。公式には八百長はないことになっている。たんに「八百長を示唆する文書が残っていた」だけでそれは疑惑にすぎないわけで。なるほど大したものだな東スポは。しかしこれはどうだろう公式には東京都の施設は暖房20度となっているとされている。しかし、実態は27度設定とか、20度厳守している職場なんてきいたことがない。民間には温室効果ガス削減とか厳しい条例を作って、報告書を書かせているくせに身内は甘くて27度設定でぬくぬくと。
 それでも20度の厳密な基準はないから、たとえ27度設定でも通知違反ではないという官僚主義的な逃げ道があるという汚さである。

 

2011/02/02

西友の700円ワインうまかった

 ワインは全く素人で銘柄も味もわからない初心者なのでウォルマート傘下の英国ASDA(アズダ)のプライベートブランド「ASDA Extra Special」を買うことにした。700円の「ミネルヴォア」という南仏の赤が売れていて1本だけ残っていたので買ったが、タンニンの苦みにくせがなくて呑みやすかった。これで700円なら満足できる味だ。西友のワイン全体の売上は昨年度比2桁増で推移しているとのこと。http://kirei.biglobe.ne.jp/news/detail/20101101223058_myl002seiy-4

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