公務員に労働基本権付与絶対反対-政府は巨悪と手を結ぶな

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2011/02/20

マディソンとアテネは同類

 表題はウォールストリートジャーナルのAthens in Mad Town という記事と同じ意味です。http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704657704576150111817428004.html

 州都マディソンではウャーカー知事の提案した財政修繕案の議決を阻止するため火曜日から連日、数万人規模の州議会議事堂を席巻するデモが繰り広げられているが、一般の公務員、教員だけでなく、ソーシャルワーカー、警察官や消防士、高校生なども参加している。特に問題とされているのが、公立学校教員であり、病欠を理由とする事実上のストライキなのだ。
 ウィスコンシンが労働問題に進歩的な州であったことは、ウィスコンシン州マディソン校の学生新聞の社説http://badgerherald.com/oped/2011/02/15/all_walk_no_talk.phpにもあるように、1911年に合衆国で初めて労働者災害補償制度をつくった州(連邦は1916年)であり、1959年に全米で初めて州公務員との労働協約を締結する権利を認め、最終的に賃金、年金、休暇時間を交渉する能力と権限を付与したことでも明らかなことである。特に大学町のマディソンはベトナム反戦運動が盛んだった進歩的な気風の都市であり、保守派から「マディソン人民共和国」と揶揄されるように、特別な都市との心証が強い。
 合衆国では、鉄道労働法を別として労働組合活動を保護するようになったのは大恐慌後30年代の政策によるものである。1932年平穏な組合活動については財産権の侵害を理由とした労働争議差止命令を禁止するノリス・ラガーディア法、1935年のワグナー法(全国労使関係法)で全国労資関係局が交渉代表選挙と不当労働行為を監督する制度により労働組合結成を促す立法政策をとった(厳密にいうと交渉代表権を得た団体協約の締結を義務づけるものではない)。
 しかし、それは民間企業においてであって、労働組合に有利な政策を展開したルーズベルト大統領も1937年に連邦公務員全国連合のルーサー・スチュワードに宛た有名な書簡で「すべての政府職員は普通に知られている所謂団体交渉の手段は公務員の場合は採用できないものであることを理解せねばならぬ。団体交渉は国家公務員制度に適用せられるに当たっては明確なそして変更しえない制限を受ける。」と述べ、明解に団体交渉権付与を否定していたように、1950年代までは、公務員の組合は議員に陳情することはあっても団体交渉は明確に否認されていた。
 現在でも南部を中心に12州が団体協約を許可していない。州によっては、一般公務員は許可しないが消防、警察、あるいは教員には団体交渉を容認している州もある。団体協約を認めない州でも任意の交渉を容認するところもあるがノースカロライナは州法で団体交渉を禁止している。連邦公務員は1978年に団体協約を認めたが、給与は交渉の対象となっておらず、交渉の範囲が制限されている。
 なお連邦公務員はストは違法で解雇となる。 団体交渉制度のある州でもスト権を否定する州が多く、2005年12月20日より3日間ニューヨーク市の地下鉄・バスがストライキを打ったが、ニュヨーク州では公務員ストは違法であり、州最高裁は20日午後、2度にわたる裁判所の禁止命令を無視したスト実行は、法廷侮辱罪に当たるとして、組合に対し1日あたり100万ドル(約1億1700万円)の罰金支払いを命じた。http://www.jil.go.jp/
 近年ではインディアナなミズーリのように団体交渉権を制限する州の政策もあり24の州で制限されているか完全に廃止したというhttp://online.wsj.com/article/SB10001424052748704657704576150111817428004.html
 このように、アメリカでは州公務員の団体協約締結権は1959年のウイスコンシン以後、プロ労働組合の政党(民主党-但し南部では必ずしもプロ労働組合ではない)が議会を支配している州で実現しただけであり、勤務条件法定主義を墨守する州もあるように地域差があり政治的状況で変化するものでもあるといえる。連邦公務員に制限的な団交権を容認した1978年のカーター政権時も議会においても民主党が優位だった時期に実現したということであって、全国民的に支持されているわけではないと思う。
 2010年には民間の労働組合組織率が6.9%にまで低下していることから、一般に公務員の既得権については批判的な国民が多いとみてよい。
 今回の財政修繕案では職員の年金負担を0%から給与の5.8%に設定し、医療保険料は、給与の12.6%(現行の約2倍)にまで引き上げられることになる。
 ウォーカー知事の記者会見によれば、今回の財政修繕案では、年金の5.8%負担は全米平均と同等、そして医療保険の12%負担は全米平均の半分という極めて控えめな要求しかしていないと主張している。http://uskeizai.com/article/186810290.html
 つまり、州がすべて負担していた年金と、ほとんど負担していた医療保険の負担を従業員に負担してもらうというもので、給与のカットではない。
 報道によるとこの部分については労働組合側も歩み寄りを可能だとしているのである。従って、今回の激しい反発は、この部分にあるのではなく労働組合潰しの政策とみられていることにある。
 今回の財政修繕法案については、ニュースマックスのグローバー・ノーキストの12月18日のコラムで要旨がまとめられるが、ウォーカー知事の法案が成立すれば、警察や消防を除く17万人の州政府労働組合員は、医療保険や年金に関する集団交渉の権利を失う(但し、賃金についてはインフレ率を上限とする団体交渉が残る)。
 法案でもう一つ重要なものとして、組合の交渉代表権を維持するために毎年投票を行うとしていることである。現状では強力な組合でも、力が衰えれば離反する職員も見越した上での政策かもしれない。
 この法案は州公務員5500人と自治体5000人の解雇を防ぐためのものだととも知事は言っている。
 
 率直に言って団体交渉の制限と組合弱体化に焦点をあわせた、優れた政策だと思う。ノーキストは、イリノイ州、ミネソタ州、コネチカット州の民主党知事が大規模な増税を制定したが、共和党の知事は増税することなく困難な予算バランスをとることができると評価している。
 労働組合支持者がいかに暴れても、納税者は許さない。
 

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