昨日のビラ配りと統一自治体選挙全水道組織内候補の顔写真等の掲示について
ブログは些細な出来事も記録として書く。小さなことでも私は常にいらいらしている。結果、冠動脈が3本詰まって手術をし、さらに代替血管も詰まった。昨日は10時から10時3分ごろにかけて、全水道分会書記長により数枚のビラが所長在席の前で組合員の各机に配られていた。小さいことだが業務集中阻害要因である。
事務室内でのビラ配りについてはリーディングケースとしては、倉田学園事件・最三小判平6・12・20『労働判例』669号13頁というのがあり、始業時前のビラ配布を次の理由で容認している。
表現内容-団体交渉の議題、経過や賃金妥結額等労働組合としての日ごろの活動状況の報告であって、違法・不当な行為をあおり又はそそのかすなどの内容を含むものではない。
配布時間-始業時刻の15分前
態様-ビラは二つ折りにされ片面印刷のものは印刷面を内側に置かれ、業務に支障を来したことを窺わせる事情はない。
これに対して、現状の東京都水道局で行われている職場規律を乱している態様のビラ配りは次の点で問題がある。
表現内容-合法的な組合活動報告だけでなく、「ストライキで闘うぞ」等の闘争的言辞、ストライキ実施批准投票や勤務時間内職場離脱集会の呼びかけのような、違法・不当な行為をあおり又はそそのかすなどの内容を含む。
配布時間-勤務時間内に執務中の職員に対して配布される。
態様 -二つ折りにされることなくバサッと表の記事を出して迷惑も顧みず置かれる。業務を直接妨害しないとしても、気を散らし職務専念を阻害する。また、頭上報告や勤務時間内事務室内でなされる業務を阻害する職場集会の前に資料として渡される事もある。
上記の態様は規制すべきであるが、黙認されているので、他の問題とまとめて当局の見解を糺す予定。私の考えは許容できるのは倉田学園事件の基準に合致するあり方に限定されるべきである。
(倉田学園事件・最三小判平6・12・20『労働判例』669号13頁抜粋)
本件ビラ配布は、許可を得ないで被上告人の(学校)内で行われたものであるから形式的には就業規則(略)の禁止事項に該当する。しかしながら、右規定は非上告人の学校内の職場規律の維持及び生徒に対する教育的配慮を目的としたものと解されるから、ビラの配布が形式的にはこれに違反するように見える場合でも、ビラの内容、ビラの配布の態様に照らして、その配布が学校内の職場規律を乱すおそれがなく、また、生徒に対する教育的配慮に欠けることとなるおそれのない特別の事情が認められるときは、実質的には右規程の違反になるとはいえず、したがって、これを理由として就業規則所定の懲戒処分をすることは許されないというべきである(最高裁昭和四七年(オ)第七七七号同五二年一二月一三日第三小法廷判決・民集三一巻七号九七四頁参照)。
右の見地に立って本件ビラ配布について検討すると、本件ビラはいずれも職場ニュースと題する上告参加人の機関紙であるところ、本件各ビラの内容は、香川県下の私立高校における労使間の賃金交渉の妥結額(五月八日配布のもの)、被上告人との間で予定されていた団体交渉の議題(同月九日配布のもの)、右団体交渉の結果(同月一六日配布のもの)など、上告参加人との労働組合としての日ごろの活動状況の報告及びこれに関連する事項であって、違法・不当な行為をあおり又はそそのかすなどの内容を含むものではない。また本件ビラ配布は、丸亀校の職員室内で行われたものであるが、いずれも就業時間前に、ビラを二つ折にして(特に五月八日及び一六日配布の片面印刷のものは、印刷面を内側にして)教員の机の上に置くという方法でなされたものであって、本件ビラ配布によって業務に支障を来したことを窺わせる事情はない。また、生徒に対する教育的配慮という観点からすれば(中略)始業時刻より十五分以上も前の、通常生徒が職員室に入室する頻度の少ない時間帯に行われたものであって、前記の教育的に欠けることのおそれのない特別の事情が認められるものということができ、本件懲戒処分は、懲戒事由を定める就業規則上の根拠を欠く違法な懲戒処分というべきである。
次に組合掲示板に貼り出されている、全水道の機関紙の内容であるが、統一自治体
選挙勝利などと称して、全国の苫小牧市議選から長崎県議選までの全水道の組織内候補者の名前と顔写真が掲載されている。民主党7名、社民党5名、無所属6名の計18名である。
東京近辺では調布市議選候補の広瀬みち子(民主)、千葉県議選の小宮清子(社民)〔4/10選挙流山選挙区当選〕、横浜市議選(戸塚)の小野和宏(民主)〔4/11選挙落選〕、横須賀市議選の角田基(無所属)の顔写真等が掲載されている。
4月15日の退庁時にも貼られていたから、18日の統一自治体選挙後半戦の告示日にも貼られ、職員の目につくことになる。私の職場では、調布、横須賀居住の職員はいないように思うが、いずれにせよ、すでに終わっている県議選と政令指定都市市議選は、選挙期間中に貼りだされていたし、後半も告示日以降に貼られている問題はある。
この問題については、すでに、平成21年8月の総選挙時に「野党協力で政権交代!」という大きなポスターで保坂のぶと(社民)、菅直人(民主)、亀井久興(国民新)の顔と名前が大きく書いてあるものが貼られていた件について問題視し、以下のように平成21年9月15日水道局長あてに質問および意見書を出しているがhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-a7ac.htmまったく無視されている。
私がこれまで書いたものを抜粋する。
実態として排他的占有的にノーチェックで掲示物が貼られ、室内環境の整理などでも、組合掲示板がきれいに貼ってなくてもそれを問題視できない雰囲気があるという問題があります。最近では8月上旬から告示日後も2~3日野党協力で政権交代!という大きなポスターが全水道東水労の組合掲示板に貼ってあった。保坂のぶと(社民)、管直人(民主、亀井久興(国民新)の顔と名前が大きく書いてあったものだが、郵政省は内規で政治目的の掲示物は許可しないことになっているが、水道局では貼られている。
『郵政省庁舎管理規程』では「庁舎等における秩序維持等、犯罪の防止、業務の正常な遂行、清潔の保持及び災害の防止を図る」(一条)という目的のために必要な事項を定めた。
「庁舎管理者は、庁舎等における秩序維持等に支障がないと認める場合に限り、庁舎等の一部をその目的外に使用することができる」(四条)
具体的には
「庁舎管理者は、法令等に定めのある場合のほか、庁舎等における、広告物又はビラ、ポスター、旗、幕、その他これに類するもの‥‥の掲示、掲揚又は掲出をさせてはならない。ただし庁舎における秩序維持等に支障がないと認めた場合に限り、場所を指定してこれを許可することができる。」(六条)とする。
つまり、広告物又はビラ、ポスター、旗、幕、その他これに類するものは原則禁止。例外的に秩序維持等に支障がないと認めた場合に限り、庁舎管理の許可がありうるとしている。
その内容・基準を具体化したのが、『運用通達』六条の二項で掲示物が「内容が法令違反にわたるもの、政治的目的を有するもの、郵便事業もしくは官職の信用を傷つけるようなもの、または人身攻撃にわたるものは庁舎等における秩序維持に支障のあるものとして許可しないこと」こととされ、三項では「組合等恒例的に掲示しようとするとする者があるときは、掲示申立ごとの許可にかえて、掲示許可願を‥‥提出させ、あらかじめ一括的に許可してさしつかえない」としている。
参考http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/--57107-f8d8.html又、
官公労組による「掲示板」利用関係の法的性質に関する先例として全逓昭和郵便局事件判決(最高裁判所第一小法廷昭57・10・7労働判例394号)がありますが、事実上組合の専用を許可していた「掲示板」(行政財産)の当局による一方的な撤去をめぐって全逓と国の間で争われた訴訟について、当局による「掲示板」を利用した組合掲示物の許可処分は、組合に対し「掲示板」に関するなんらかの公法上または私法上の使用権を設定、付与するものではないとして当局の幅広い裁量権が存在すると判示している。だから組合が掲示板iにどんな物であれ勝手に貼ってよいというわけではない。
郵便局長に掲示板を含め庁舎等の一部を〔郵政事業等の〕目的外に使用する権限を与える一方で『運用通達』において『庁舎等の一部をその目的外に使用することを許可する』とは国有財産法第一八条および郵政事業特別会計規程第11編固定資産第33条の2に定める使用許可ではなく
「申出によってその権限のわく内で、事実上使用することを許可するものであって権利を設定する行為ではない」としている。
これに対し、水道局の実情は、慣行上、なんでも掲示を許しており、庁舎管理としては非常に甘いように思え、是正が求められるが、局長以下の見解は。
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