ニューヨーク郊外の「ターゲット」従業員、組合にノー
6月17日にディスカウントストア大手の「ターゲット」(本社ミネアポリス、全米売上げ第5位の組合不在企業)の、ニューヨーク郊外ロングアイランドにあるバレーストリーム店における、国際食品商業労働組合(UFCW)の申請による組合代表選挙が実施されたが、85対135で組合が敗北したとスタートリビューンなどが伝えている。http://www.startribune.com/business/124120324.html http://la-consulting.com/wordpress/?p=7438 http://newyork.cbslocal.com/2011/06/18/valley-stream-target-store-workers-reject-unionization/ターゲットの従業員は組合のない環境で働くことを選択した。
アメリカでは排他的交渉代表制がとられ、適正な交渉単位において3 割以上の署名を得て全国労働関係委員会(NLRB)が監督する組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を得るシステムである。代表選挙で否決されれば組合不在のままである。
UFCWはグローサリーストアから発展したスーパーマーケットの一部を組織化しているが、労働統計局によると、小売業界の組合組織率は2010年4.7%にすぎない。アメリカでは非食品小売で労働組合が組織化されることはまずないといわれている。シアーズやウォルマートが組合不在企業として著名だが、ホームデポ、コストコみなそうなのである。
ターゲットはファッション系の自社ブランドが強いのが特徴で、全米で1755店舗を展開している。スタートリビューン記事によるとターゲットにおいても過去1990年にデトロイト近くで、5年後コロラドで、さらにジョージアで1997年にやカリフォルニアで組合代表選挙が実施されたが、いずれも従業員が組合を拒否しており、組織化を阻止している。組合がなくてあたりまえの業界で、1店舗でも組織化される影響は大きく、、経営環境の悪化を招くので従業員の選択は賢明である。
UFCWは反ウォルマート運動を展開してきた。南カリフォルニアで8年前、スーパー大手3社との協約交渉がこじれ、ラルフスなど852店舗、59000人の労働者約850店を巻き込んだ大規模ストライキに突入した、141日間のストライキは、アメリカスーパーマーケット業界史上、最も長期に及ぶものとなったが、このストライキ自体、ウォルマート等進出による競争で労務コスト縮減の提案が発端になっており、反ウォルマートの宣伝も兼ねていた訳である。http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2004_4/america_01.htm 2011年6月現在も大手3社(ラルフズを経営するクローガー、ボンズ・バビリオンズを経営するセーフウェイ、アルバソンズを傘下に持つスーパーバリュー)の協約交渉が長引き、ストライキを警告している状況にある。http://blog.livedoor.jp/usretail/archives/51693397.html
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