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2011/06/22

コーク兄弟の功績

 東京財団のサイトに、今日リベラル派の集中砲火を浴びて注目されているコーク兄弟に関する比較的客観的な分析の評論があるので取り上げたい。
 宮田智之東大アメリカ太平洋地域センター助教の「コーク(Koch)兄弟についての考察」である。http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=763 
 なお著者の宮田智之は、久保文明編『アメリカ政治を支えるもの-政治的インフラストラクチャーの研究』日本国際問題研究所2010年でも第一章「「政治インフラの形成と財団」の中でコッチ兄弟と表記されているがコーク兄弟に簡単に触れている。

 コーク兄弟とはカンザス州ウィチタに本拠のある、エネルギー・コングロマリットで全米手第二位の未公開企業コーク・インダストリーズ(Koch Industries)を経営するチャールズ・コーク(Charles Koch)とデイビッド・コーク(David Koch)である。私もつい最近まで知らなかったが、もはやアメリカ政治を語るのにコーク兄弟を知らなくてはもぐりである。
 
 コーク兄弟がリベラル派に攻撃されるようになったのは最近の現象で2010年夏の『ニューヨーカー』誌上でのジェーン・メイヤーの記事を発端としている。この記事はではコーク兄弟のこれまでの活動と、繁栄のためのアメリカ人の会(Americans for Prosperity)というティーパーティー運動の主要団体との深いかかわりを分析したものだったが、それまで世間に目立たないように活動していたコーク兄弟が「ティー・パーティー運動を支える億万長者」として注目されるようになったためである。宮田によるとリベラル派がコーク兄弟批判を一斉に始めたのは、ティーパーティー運動が自然発生的なものというよりも大富豪の資金提供を受けて作られたものという悪いイメージを一般に与えるための戦略とみなしているようだ。私はコーク兄弟を尊敬するのでそのようなイメージはもたない。宮田が言うように、ティー・パーティーの影響力は過大評価である。むしろ、コーク兄弟が草の根団体を支援するきっかけになったのが、宮田が言うようにブッシュ政権での危機感なのだろう。共和党政権を支援したもののイラク戦争をはじめ財政的に無責任な政策が推進されていく状況に危機感を抱き、保守派の政治インフラの支援のみでは自由市場や経済的自由は保証されないと考えるようになり、草の根レベルを盛り上げていく必要を痛感したためなのだろう。これは優れた政治感覚のように思える。
 

 コーク兄弟の政治的立場はデイビッド・コークが1980年の大統領選挙でリバタリアン党副大統領候補として出馬したように明確であり、自由市場、経済的自由である。デイビッド・コークがオバマを「史上最も急進的な大統領である。これまでのいかなる大統領よりも自由市場のシステムや長期的な繁栄に対し多くの損害をもたらしている」と語っているように、オバマに対する敵対心を明確に述べ、実際数多くオバマの政策に反対する集会を支援してきた。『ポリティコ(Politico)』紙は、オバマ大統領の再選を阻止するためコーク兄弟が「繁栄のためのアメリカ人の会」などに振り向ける資金として8800万ドルを用意する計画と報じている。
 リベラル派がコーク兄弟を目のかたきにしているのはこういう政治的影響力の大きさゆえだと思う。
 
 アメリカの保守派はゴールドウォーター敗北により政治インフラの脆弱さを思い知らされ、70年代からヘリテージ財団などのシンクタンクを立ち上げてきた。レーガン政権などで政策を立案しリベラル派に拮抗しうる政治インフラを整備してきたといえる。
 
 コーク兄弟は1977年設立のケイトー研究所には創設当時から支援しているほか、長年にわたってリバタリアン系ないし、市場指向のシンクタンクなどを支援してきた。コーク財団の報告書によると下記の団体に大口の支援を行っている。金額は2002年から2009年の助成総額である。
 
 シンクタンク
 Cato Institute 200万ドル
 Heritage Foundation 350万ドル
 Manhattan Institute for Policy Research140万ドル
 Mercatus Center 927万ドル
 人材育成
 Institute for Humane Studies 487万ドル
 大学
 George Mason University Foundation 1333万ドル
 法曹団体
 Federalist Society 138万ドル
 Washington Legal Foundation105万ドル
 
 つまり、大統領選で挫折を味わったコーク兄弟は直接政治家になることをあきらめて、上記のような政治的インフラを支援することによって自由市場を擁護する政策の専門家を鍛えながら育成して左派に対抗できる陣容を整えるとともに、近年にいたっていはそれだけでは足らずテイーパーティーを支援して草の根レベルを盛り上げていく戦略をとっているということだ。
 アメリカ人の65%は自分をリベラルと自認している。保守と自認する人は15%にすぎない。15%が65%に勝つためには、優れた戦略を持って活動しなければ、危機に陥るということだ。上下両院とも民主党が多数派で、アメリカ左傾化のきっかけとなると思われたカードチェック法案も審議入りし、リード院内総務はやる気だったころはアメリカの政治も危機的だった。風向きが変わったは、ケネディ上院議員の死去とマサチューセッツ上院補選の頃からだが、それまでは相当やばい状況であったのである。
 だから私はコーク兄弟の活動の功績は大きいと考える。
 
 
 

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