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2011/09/14

左傾化したオバマ政権の全国労使関係局(ボーイング787ドリームライナー組立工場サウスカロライナ移転事件)の大問題

 ティーパーティーの主要団体、「繁栄のためのアメリカ人の会」のホームページを見たら、「議会はNLRBをストップできるか」http://www.nationalreview.com/articles/276949/will-congress-stop-nlrb-phil-kerpenというナショナルレビューオンラインの記事がリンクされていた。左傾化した全国労使関係局(NLRB)を批判するものである。

 大統領が行う人事で連邦裁判所判事並に重要と思えるのが、全国労使関係局(NLRB)の局委員(任期5年5人)の任命である。5名の委員のうち3名がオバマ政権によって任命されたことの問題である。というのはわが国の労働委員会や労政審議のような公労使3者構成原則で、どっちつかずのような結論になりがちなのとは違うためだ。とくに、レーガン政権で全国労使関係局の保守化が顕著となり組合に厳しくなり、労働組合退潮の要因となったのである。オバマはもともと最もリベラルな上院議員で自由市場に敵対的な政治家とみられていたが、最も重要な影響が全国労使関係局(NLRB)にあったのである。
 今、大きな問題になっているのがボーイング社の中型ジェット機787ドリームライナーの組立工場をワシントン州シアトルからサウスカロライナのチャールストンに移転すると決定したことに対して、傘下にボーイング社の労組を抱える全米機械工・航空機工組合が同社の決定は不当労働行為であると、2010年3月にNLRBに訴えた問題で、1年に及ぶ調査の結果、ボーイング社の決定はシアトルの工場でのストを回避するのが目的で、「労働権Right to Work」を認めるサウスカロライナ州に一方的に工場を移転するのは不当労働行為の当たると認定したのである。これは最終決定ではないということだが、政府機関が介入して企業に対して操業する場所を指定するのは初めてのことであり、企業活動の自由を侵害するものとして大問題になっている。中岡望のブログをみてください。http://www.redcruise.com/nakaoka/?p=381 あるいはhttp://hrm-partners.com/ja/hr-news/nlrb-and-boeing-south-carolina-dreamliner-plant

 オバマ政権の全国労使関係局は明らかに南部を中心とする23州労働権法州Right to Work States 敵視しており、これが大問題だ。こんな決定がまかりとおるなら自由主義とはとてもいえない。労働権Right to Workとは「労働基本権」とは真逆の意味で、組合に加入することなく、組合費を強制的に徴収されることがなく雇傭される個人の権利である。従って基本的に労働権州というのは組合嫌いな州であり、組織率も低い。ちなみに1月に発表された2010年の組織率の低いベスト10は全て労働権州である。

 労働組合の組織率の低い州(括弧内は2008年大統領選挙結果)

1位 ノースカロライナ3.2% 労働権州(オバマ)
2位 ジョージア4.0% 労働権州(マケイン)
2位 アーカンソー4.0% 労働権州(マケイン)
4位 ルイジアナ4.3% 労働権州(マケイン)
5位 ミシシッピ4.5% 労働権州(マケイン)
6位 ヴァージニア4.6% 労働権州(オバマ)
6位 サウスカロライナ4.6% 労働権州(マケイン) 
7位 テネシー4.7% 労働権州(マケイン)
8位 テキサス5.4% 労働権州(マケイン)
9位 オクラホマ5.5% 労働権州(マケイン)
10位 フロリダ5.6% 労働権州(オバマ)
10位 サウスダコタ5.6% 労働権州(マケイン) 
(註)一般に南部は組織率が低い。労働権(Right to Work law)を州憲法か州法で規定しているのは南部など23州とグァム準州である。http://www.nrtw.org/rtws.htm
 ノースカロライナ州の組織率の突出して低い要因は、たぶん州法で州公務員は任意の団体交渉も禁止されており労働組合が否認されてため。但し州従業員協会という職員及び退職者の団体があり、議会への陳情などの活動を行っているが労働組合員にカウントされないためと思われる。 
 合衆国ではニューディール政策の1935年のワグナー法により民間労働者の団結権と代表者による団体交渉権を定め、不当解雇、御用組合、差別待遇を禁じた。また雇用主による不当労働行為の禁止を規定した。排他的交渉代表制がとられ、適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を取得できるシステム。これは従業員のすべてを代表して交渉する独占権を労働組合に与えるから、組合を支持していなくても個別の従業員の交渉は禁止される。
1942年に設置された全国戦時労働委員会は、戦争協力のため労働組合にストライキを放棄させる一方、労働協約締結期間中の組合離脱を禁止し、それを保障するためのチェックオフを導入した。組合の組織維持と拡大は容易になり、労働組合員は1941年の1020万人から、1945年の1432万人に増加し、アメリカの産業別組合は、ニューディール立法で存立基盤を与えられ、戦時中の労働組合保護政策によりその地位を確立させたのである。1947年のタフトハートレー法 は強くなりすぎた労働組合の権力を削ぐための ワグナー法の修正であリ、全米製造業者協会、共和党、南部民主党により推進され、トルーマン大統領の拒否権発動を覆して成立した。タフト・ハートレー法はクローズドショップを否定、ユニオンショップ協定の内容に制限を加えつつも、組合を承認された職場で協約適用労働者に組合加入、団体行動の支持いかんにかかわらず、組合費の徴収は認めているのである。しかしながら一方でタフトハートレー法はセクション14(b)によって、雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止することを州の権限として認めた。
 つまりこの規定に基づいて、23州が組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を否定する労働権を憲法、州法で定めているのである。
  27の非労働権州では労働組合が排他的交渉代表権を有している職場では、強制的に組合費が徴収される。ユニオンショップ協定がとられず、組合に加入していなくても団体交渉の経費としての組合費を徴収できるエージェンシーショップとなる。

 1950年代以降、北部の労働組合の強いところから、工場を労働権州などに移転させることにより、組合のない工場にする戦略は多くの企業がやってきたことだ。GEなどがそうである。サンベルトの隆盛や南部が企業誘致で有利になったのは、比較的低い賃金と労働権のおかげだった。南北カロライナは、繊維や家具の工場が多い地帯で、近年ではこれらの産業は縮小しているが、低賃金長時間でも勤勉に働く保守的な風土で組織率がむかしから低かった。サウスカロライナがBMWなどの工場を誘致できたのも組織率の低い保守的な風土が企業にとって魅力だったし、ボーイングのねらいも、ストのない組合不在工場を求めたためである。。
 サウスカロライナはかんかんに怒っているようだ。ボーイング社の工場誘致に当たって1.7億㌦の資金援助を与え、さらに数億㌦の税軽減措置を講じたのである。

 この事件の政治的意味は大きい。アメリカでは時価総額1位はエクソンモービルだが、石油化学は組合で組織化されてない。IBM、インテル、マイクロソフト、シスコシステムズ等のハイテクや新興企業や、ウォルマートをはじめとする小売りの多く、SCジョンソンやプロクター&ギャンブル、コダックのような老舗企業も組合不在であり、金融・保険なども組合で組織化されない。民間部門の組織率が7%に低下しているように、今日ではアメリカの主要企業の多くが非組合セクターなのだ。ただしアメリカの重要産業で組合が組織化されストも少なくないのが航空機と自動車である。ボーイングがそうであり、しかし、そのボーイングもワシントン州か組織化されないサウスカロライナに工場を移すとなると、組合にとって打撃が大きく、今回のそれは労働組合を守るための動きであるが、このことによりオバマは労働権州23州を敵に回したことになる。
 労働権州は大統領選では共和党の地盤となるレッドステートと重なることになる。かつて南部は民主党の牙城だったが、南部民主党というのは今日ではほとんど政治的意味をもたなくなっているが、それでも前回の選挙では僅差でノースカロライナやフロリダをオバマが取った。しかし、今度は難しくなると思う。

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