連邦下院はNLRBが工場閉鎖・再配置を強制することを禁止する法案を可決
不当労働行為の禁止や組合代表選挙の監督など1935年制定の全国労使関係法を執行する独立機関のNLRB(全国労使関係局)がボーイングの最新鋭中型ジェット機787ドリームライナー組立の一部をワシントン州から、労働権州で組合不在工場のサウスカロライナ州に移転した問題で、これはストライキの報復として不当労働行為と認定したことについては、著しく労働組合に加担したものであり、これまで政府が干渉したことのない企業の工場閉鎖及び移転の自由を妨げるものとして激しく非難されていますが、共和党が支配する合衆国議会下院は、工場の閉鎖や、工場の再配置NLRBが強制することを禁止する法案を238対186で承認したと報道されてます。ただし上院は民主党が過半数のため成立は難しい。しかしこれは議会のNLRB攻撃の第一弾です。http://www.politico.com/news/stories/0911/63613.html http://www.businessweek.com/ap/financialnews/D9PP3MPG3.htmワシントンポストの記事http://www.washingtonpost.com/blogs/2chambers/post/house-passes-bill-to-limit-nlrb-authority-in-battle-over-boeing-ruling/2011/09/15/gIQAtL9LVK_blog.htmlは企業は工場を中国に移転することは自由です。しかしサウスカロライナ州(労働組合組織率4.6%と低く、労働権法Right to Work law労働組合に加入せず、組合費は支払わずに雇傭される被用者の権利を定めている)への移転は妨げられる。そんなばかなことはありますかと言ってますがそのとおりです。ボーイングの工場はサウスカロライナに1000人の雇用をもたらした。NLRBが求めているのはサウスカロライナ新工場の閉鎖ではなく、サウスカロライナ州以上の雇用をワシントン州で維持することhttp://www.sankeibiz.jp/compliance/news/110901/cpd1109010505009-n3.htmだが、ボーイング社が組合との協約交渉が煩わしく、ストも少なくないことから、サウスカロライナにシフトする戦略を否定するものであり、こんなばかなことはない。
これまで国際機械工・航空宇宙産業労働者組合(IAM)は大きなストを行ってきてます。例えば、2000年2月ボーイング社航空宇宙専門技術者労働組合(SPEEA)1万7千人の40日間のストhttp://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2000_05/americaP01.htm2002年ロッキ-ド・マーティン社ジョージア州マリアッタ工場における国際機械工労組(IAM)に加盟している約2700人の機械工のストhttp://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2002_06/americaP03.html 2008ボーイング社の機械工関連部門を組織する国際機械工・航空宇宙産業労働者組合(IAM)の9月6日から57日間のストhttp://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2008_12/america_01.htm
57日もストを決行している。経営者からみれば、組合不在工場の多いの南部、とりわけサウスカロライナ州が魅力的に思えるのは当然でしょう。カロライナはもともと繊維、織物、室内装飾を地場産業としてきたが、工場の外国移転や中国など輸入によって、繊維産業は90年代以降、雇傭を大きく減らしている。しかし、もともと工場町が多い製造業州である。低賃金でも長時間でもまじめに働く気風がある。公立学校でクリスマスを祝うのは南北カロライナだけ。戦後のオペレーションディキシーという労働組合の組織化攻勢もはねつけた土地柄で、組合組織率が低いことで知られている。
BMWがグリーンヴィルに進出して成功している。ボーイングが最新鋭ジェット機の工場をチャールストンに置いたのは正しい戦略であると思うし、マクドネル・ダグラスの吸収によって2001年に本社をシアトルからシカゴに移したのもワシントン州に偏らないという方針のあらわれのように思える。
もっとも私は西海岸のワシントン州も嫌いではありません。マイクロソフト、アマゾン、スターバックスという有名企業があります。これらの新興企業は非組合セクターです。マリナーズのイチロー選手も住んでいる。カスケード山脈の自然もすばらしいです。ツインピークスという映画も見ました。
ただ労働組合組織率は19.4%もあり全米第4位です。これは気に入らない。ボーイングの労働者ガしょっちゅうストをやっているのも気に入らない。
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