機械工組合はボーイング787組立工場のサウスカロライナ移転を不当労働行為とするNLRBへの申立取り下げ、和解との報道
ボーイング社の最新鋭中型ジェット機787(ドリームライナー)の第一組立ラインはワシントン州にあるが、第二組立ラインは2009年にサウスカロライナ州ノースチャールストンにあるボート・エアクラフト社の製造組立工場を買収して新工場にしている。このためにボーイング社は$750ミリオンを投資し、カロライナで1000人を雇用した。
サウスカロライナは労働組合組織率が4.6%と低いことで知られており、労働権州(組合に加入せず、組合費を徴収されずに雇用される被用者の権利を定める)であり、この工場も組合不在である。
この工場移転は、ボーイング社の組合がしばしば大きなストを繰り返したことから、組合が組織化されにくい南部に進出したという理由であることは明らかである。
NLRB(全国労使関係委員会)は2000年3月国際機械工・航空宇宙産業労働者組合(IAM)の申立を受け、1年間の審査を経て組合の利益を最優先し、「労働権州」への工場移転は2008年ボーイング社の機械工関連部門を組織する国際機械工・航空宇宙産業労働者組合(IAM)による9月6日から57日間のストライキに対する報復として不当労働行為と認定し、サウスカロライナ州以上の雇用をワシントン州で維持することを求めていた。(中岡望のブログが詳しいhttp://www.redcruise.com/nakaoka/?p=381)
この事件は、オバマ政権で左傾化したNLRBを象徴するもので、明らかに反ビジネス、「労働権州」を敵対視し著しく労組側に加担したものであり、これまで政府が干渉したことのない企業の工場閉鎖及び移転の自由を妨げるものとして激しく非難された。
共和党が支配する合衆国議会下院は、九月に工場の閉鎖や、工場の再配置をNLRBが強制することを禁止する法案を238対186で通過させていた。
12月9日付の各紙の報道によると、機械工組合は四年間の労働協約を締結したことにより、本件の救済申立を取り下げ、和解との報道である。http://www.latimes.com/business/la-fi-1210-boeing-nlrb-20111209,0,3328402.story
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