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2012/02/05

インディアナ州が23番目の労働権法(Right to Work law)州となる

 報道によると、2月1日ダニエルズ州知事は、雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止する労働権法案に署名した。共和党の支配する州上院が28対22で可決したためだが、議事堂には三千人の労働組合員がおしかけ抗議行動を行った。http://www.politico.com/news/stories/0212/72304.html http://www.csmonitor.com/USA/Politics/2012/0126/With-Indiana-right-to-work-vote-a-GOP-thumb-in-the-eye-to-unions http://www.foxnews.com/opinion/2012/01/30/what-indianas-right-to-work-bill-means-for-obama-big-labor-and-us/労働権とは「労働基本権」とは全く逆の意味で、被用者が労働組合に加入せず、組合費を払うことなく雇用される権利を明文化する反労働組合的な権利を意味するので間違えないでください。端的に言えばユニオンショップとエージェンシーショップ協定の禁止である。知事と共和党議員は低迷する経済を好転させ、雇用を増やすための立法と説明している。
 インディアナ州はオクラホマ州が10年前に労働権法(Right to Work law)州となって以来の23番目の労働権法州となった(グァム準州も労働権法を制定してる。なおインディアナ州は、1957年から1965年まで同様の法律を持っていたので正確に言えば労働権州に戻ったことになる)。既得権が奪われる労働組合はインディアナポリスでのスーパーボウルウィークにデモを行うという。
 この意義は大きい。労働権州は地域的に南部に偏っていた。地図を見てください。http://www.nrtw.org/rtws.htmいわゆるレッドステートとほぼ重なる。しかしインディアナはラストベルトの製造業州なのである。ミシガン州を含む9つの州でも労働権法を制定しようとする動きがあるので他の州への波及を促すことになるかもしれない。
 インディアナは2011年最新のデータで労働組合組織率11.2%、労働協約適用労働者12.4%。ラストベルトではプロビジネス、保守的な州とのイメージで好感がもたれているためか、日系企業も多く進出している。
 州駐日事務所のホームページによれば「トヨタ、ホンダ、スバルなどの自動車組み立て工場をはじめ、三菱重工、ソニー、日立など日本を代表する企業260社以上がインディアナ州に拠点を置いています。インディアナ州は、アメリカ製造業の中心地に位置し、ビジネスフレンドリーな環境で、信頼できる熟練労働力が得られるため、世界中からのさまざまなビジネス・ベンチャーが成功しています。」として投資環境の良さを説明しているが、労働権州となったことでよりプロビジネスな州を宣伝できるメリットがあるのである。

 1935年ニューディール政策の一つとして制定された全国労使関係法では排他的交渉代表制がとられ、適正な交渉単位において3割以上の署名を得て組合代表選挙により過半数の労働者の支持を得た労働組合のみが団体交渉権を取得できるシステムである。これは従業員のすべてを代表して交渉する独占権を労働組合に与えるから、組合を支持していなくても個別の従業員の交渉は禁止される。つまりこの制度で、個人の雇用契約の自由、自己自身の労働力という財産の処分権が否定され奪われることになる。
 ただし、1947年タフト・ハートレー法は強くなりすぎた労働組合の権力を削ぐ法改正を行った。クローズドショップを否定、ユニオンショップ協定の内容に制限を加え、使用者のみならず労働組合にも不当労働行為を適用し、被用者に団体行動に加わらない消極的権利を規定した。しかし、組合を承認された職場では協約適用労働者に組合加入、団体行動の支持いかんにかかわらず、組合費の徴収は認めている。
 つまり雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めることがきる。労働組合が排他的交渉代表権を有している職場では、強制的に組合費が徴収されることになるのだ。ユニオンショップ協定がとられらない場合でも、組合に加入していなくても団体交渉の経費としての組合費を徴収できるエージェンシーショップが採用できる。

 しかしながら一方でタフトハートレー法はセクション14(b)によって、雇用条件として労働者に組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止することを州の権限として認めた。
 労働権法とは、この規定にもとづいて組合保障協定を定めた労働協約の交渉を禁止する州法をさす。
 本来Right to Work は非組合員の権利、非組合員が自らの労働力処分において自由に雇用契約し、労働組合から妨害されない権利をさすと考えられるが、全国労使関係法のもとでいう労働権法(Right to Work law)とは組合に加入しない権利と強制的に組合費を徴収されない権利。つまり組合を財政上支持しない勤労者の権利にすぎないのであって、自己自身の労働力取引から労働組合の影響から逃れられる権利ではない。
 しかし、組合を財政上支持しない勤労者の権利は、それだけでも労働組合の力をそぐ意義があるのだ。

 
 労働権州が経済発展のために有利だということは2年前の私のブログで書いてきたことなので再掲します。
http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/right-to-work-s.html
 強制的組合費徴収の論理は「ただ乗り」防止ということです。つまりあなたは組合を支持していなくても排他的交渉代表制度により協約適用労働者であり、団体交渉の成果の受益者であるから、団体交渉にかかった費用の負担を求めるというものです。フリーライダーを認めず団結するという論理ですが、労働権(Right to Work law)はこの論理を否定します。
  この点についてミシガン州の自由主義シンクタンク Mackinac Center for Public Policy のウイリアム.T.ウイルソン博士の論文 「The Effect of Right-to-Work Laws on Economic Development」 http://www.mackinac.org/article.aspx?ID=4293を見てください。ウイルソン博士は「囚われた乗客」といってます。「ただ乗り」するのではなく「囚われた乗客」となる不利益です。
 すべての従業員が団体協約の受益者ということはあり得ません。組合のある職場では組合就業規則により従業員の競争が排除され、業務遂行方法が統制されますが、若い人が能力を発揮し熟練するために良い環境とは言えません。
 これは、ウイルソン博士も言っていることですが、団体協約は横並びで競争を排除するので、より生産的でない従業員に手厚く所得を補償する一方、より生産的な労働者の賃金は抑制されます。先任権制度により、若い人の不利益もあるでしょう。実際、UAWの職場は横並びでレイオフされても手厚い所得保障があり、30年勤務で年金が支給されることが利益と考える人もいるでしょうが、昇進の機会に乏しい。組合不在の日系企業の工場では能力を発揮することによって昇進のチャンスがあります。何がその人の利益であるかは違います。
 職場環境でいえば、非組合セクターでは大抵、オープンドアーポリシーがあって直属の上司を飛び越えて、会社のトップや上層部、人事部に直接苦情が出せる制度があり風通しが良く、従業員にフレンドリーな環境があります。例えば典型的な組合不在企業ウォルマートでは会社のトップが時給労働者に店長に不満があるならどしどし言ってくださいと語りかけます。実際、会社は丁寧に一つ一つの苦情に応えますし、横並びで競争を排除される環境より、会社に献身的に働ければ認められて、昇進でき、経営者と敵対的でない環境で仕事をしたい人は労働協約などない方が良いわけです。ショップスチュワードに統制されるより、働きがいのある仕事ができた方が良いわけです。
  そもそも、排他的交渉制度による団体協約で個別の雇用契約の自由、自己自身の労働力を処分する自由が組合に奪われること自体が、契約自由の侵害であり、それ自体が不利益だと私は考えますからフリーライダーただ乗り論には反対であります。
 従って私は、フリーライダー論を否認したことに労働権法の重要な意義があると考えます。

 さらに重要なことは経済発展のためにも労働権州が有利であるということです。ウイルソン博士は次のようなことを言ってます。
   一般論でいえば組合のない職場が作業環境がフレキシブルで、単位労働コストは低い。高い生産性とビジネスの成長を促します。組合のない職場の方がトップダウンでなく従業員参加を促す経営になるので働きがいがあり、雇い主と労働者双方のニーズに敏感な作業環境を支持します。労働権法は組合の組織化を抑制する効果は当然認められます。
  でも名目所得は非労働権州が10%高いのです。しかし可処分所得で労働権州が0.2%有利です。つまり物価が安いと言うことです。
  「 311の米国都市エリアを調べて、ジェームス・ベネット(1994)は、非労働権州に生活する家族が、より高い平均した名目所得を持っていますが、労働権法州の普通のアーバンファミリーには1年あたりの税引後の購買力における以上が同じ家族が非労働権州に持っているだろうより2,852ドルあるのがわかります。」とウィルソン博士の論文にあります。                               
 1970年から2000年のデータの分析です。http://www.mackinac.org/article.aspx?ID=4291
 労働権州は143万の製造業の雇用を増やしましたが、非労働権州は218万の製造業の雇用者数を 失いました。1978年から2000年まで、平均して失業率は労働権法州が0.5パーセントより低かったです。労働権州の貧困家庭の割合は1969年と2000年の間に18.3パーセントから11.6パーセントまで低下しました。
 又ウィルソン博士は組合のある職場でも組合財政を支持するか否かの自己決定を与えている労働権法州のほうが、より労働者のニーズに敏感な職場になると言ってます。

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